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【演劇専科】劇団「斜彼女」~「SODA」(1)

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2015年8月22日~23日に、大阪市平野区で行われた
劇団「斜彼女」(SHA-GIRL:シャガール)の公演、
「SODA」の模様より、第1回(全4回予定)

読「ドラゴンボートの記事を早く読みたい」
とおっしゃってくれる熱心な読者さんも多いのだが、
まあ、それとは同様に、劇団関連の方も
劇「早く演劇の記事が読みたい」という事なのだ、
しばらくの間、ドラゴン(ペーロン)記事と、
演劇の記事を交互に掲載する事にしよう。

ちなみに、私の知っているドラゴンボートの選手で、
役者さんという方が2名いらっしゃる、1名はプロの役者さんで
TV番組にも出演していたりする。なので、まあ、ドラゴンと
演劇とは、まるで接点が無いという訳でもないかも知れないので
ドラゴンの選手の方達も、
ド「ああ、演劇は関係ないや」とは思わず、さらりと目を通して
いただければ幸いと思う、演劇の世界も、これはこれで、奥が
深くて、なかなか面白いのだ。
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「斜彼女」は、若手の劇団員により構成された新劇団だ、
発足は昨年(2014年)となる、今回が2度目の公演である。

今回、ゲネプロ(Generalprobe:最終リハーサルの意味)を
撮影する機会があったので、舞台の模様を紹介してみよう。

さて、ちょうど昼食時か? 先ほど何人かの劇団員と外で
すれ違ったのだが、会場受付には人影は見当たらない。
実は、新しい劇団と言っても、メンバーの殆どは知っている、
勝手知ったる・・ということで、楽屋を覗いてみよう。

匠「お邪魔しま~す」
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おっと、「劇団13番街」の「木下」氏のメイク中でしたか。

木下氏は、その存在感のある独特の演技で「怪優」と呼ばれて
いる、福井県在住なので、本日(8月22日)のみ客演と聞いている。

匠「おや、木下さん、遠くからお疲れ様、今朝着いたのですか?」
木「いや、昨晩ですよ、まあ、飲みに来たみたいなもので(笑)」

ところで、メイクしている女性は、私は初対面だ。
千「千夏です、明日香の妹で・・」
匠「ああ、団長さんの妹さん、どうりで似ていると思った!」
千「いつも姉がお世話になっております」
匠「いえいえ・・で、今日は出演(でる)のですか?」
千「はい、初舞台で・・ 緊張します」
匠「芸達者の団長さんの妹さんならば、大丈夫ですよ」
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匠「田中さん、今日も名演技、期待していますよ」
こちらは「斜彼女」の副団長、田中さんだ、表情豊かな演技派で
看板女優という感じだ。
田「あはは、よろしくお願いいたします」
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匠「ナオミさん、ご無沙汰しております!現役復帰ですか?」

こちらのナオミさんは、劇団舞台処女(まちかどおとめ)出身で、
結婚・出産を期に、しばらく舞台を休んでいた。
舞台に出てくるだけで、空気が変わってしまうような、なんとも
言えない存在感を示す名女優だ、今日は久しぶりに彼女の演技が
見れるということで、とても楽しみだ。

ナ「はい、ずいぶん休んでました」
匠「え~と、確か4年ぶりくらいでしたかね? お子さんは?」
ナ「4年ぶりです。子供は母のところに預けてきちゃいました」
匠「もう3つくらいかな?大きくなったんでしょうね・・」

けど、かつての名女優に、そんな家庭的な話をするのもよくない、
舞台前なので、劇の世界観に没頭してもらいたいので、
このあたりまでにしておこうか。

・・さて、ぼちぼち舞台の方も見てくるとするか、この会場は
平野図書館の2階にあるスタジオだ、あまり広い場所ではないと
思うので、レンズの画角や照明の状況が気になるのだ。
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都合の良いことに、照明担当の高橋さんが居た。
匠「今日の照明はどんな感じですか?」
高「そうね・・だいたいこれくらい」(と、照明を切り替える)
匠「ふうむ・・明るさは了解です、白熱電球かな?微妙な色味です、
  オートホワイトバランスでいけるかなあ・・(?)」

照明の様子はわかった。
あと注意点は、ビデオの撮影との干渉かな?
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ビデオ担当の宇野さん、音響担当の「へんた」さんに聞いてみる。

匠「そこからビデオ撮ります? 広角ですか、この位置入るかな?」
宇「あ、今はゲネなので、気にしないで匠さんの好きに撮って
  ください。本番になったら、ビデオ廻しっぱなしにします、
  観客は動かないと思いますので、本番の方がメインです」
匠「了解です、じゃあ、ちょっと(観客用の)椅子もどけて、
  このあたりを中心に動いて撮ります。
  あと、音響の方はどんな感じですか?」

へ「今日は、全部PCからの出力です、動画ファイルを
  プロジェクターで投影、音声もそこについてきます」
匠「なるほど・・ いや、しかし、舞台設備も年々進歩して
  きますねえ。最近はイベントのPA(会場音響)なんかも
  イーサネットでデジタル転送ですからね」  
へ「ああ、そうみたいですね。そうそう、AV機器に繋いで、
  LANに変換できる機械を、こないだ見つけましたよ」

匠「ん? AD変換、MPEGの エンコーダー、デコーダーと、
  TCP/IPや映像のI/F,という構成かな?、電源が必要ですよね?
  それだと、ペアで3万円くらいかな・・?」

へ「それが、セットで1万円くらいでした、電源は必要でしたね」
匠「そんなに安いの? 世の中どうなっちゃっているのですかね?
  部品コストと価格が比例しませんね、不思議な時代です・・
  私も買おうかなあ? でも、今のところ用途は無いけど(笑)」

さあ、こちらの事前の打ち合わせはこれで終了だ、打ち合わせらしい
打ち合わせは無かったけど(汗)まあ、あとは出たとこ勝負。

・・というか、例によって、台本などは事前に読んで(貰って)
いない、これは、舞台撮影では、いつもの事で「観客として、次に
どんなシーンが来るか期待や想像をしながら撮る」というポリシーで
やっているからだ。なんとなくその方が、集中して撮影が出来るように
思うのだ。ただ、その分、カメラの撮影準備などは非常に素早く
行わなければならない。そういう事もあり、今日のカメラは3台、
PENTAX K-5+ FA☆85mm/f1.4 ,
PANASONIC DMC-G5+フォクトレンダーノクトン42.5mm/f0.95 、
SONY NEX-7 +E16mm/f2.8

それぞれのレンズは、いずれも明るい単焦点で、
3本で広角から中望遠域をカバーしている。

ドラゴンボートの撮影では、過酷な環境なので、3台のカメラでも
総額4~6万円程度と、安価な機材ばかり使うが、舞台撮影などは
安全な環境なので、若干高価な機材でもリスクは少ない。

カメラはいずれも高感度かつシャッター音が静かなものばかりだ。
ゲネプロとは言え、役者さんがシャッター音が気になるかも知れない、
(本番撮影では、絶対といっていいほどシャッター音はNGだ)

うちDMC-G5は、いざとなれば電子シャッターに切り替えて無音撮影
が出来るのだが、電子シャッターは弱点があり、非常に速く動く被写体
では、画面内で歪みが発生する事、それとPCのプロジェクター画面
のような被写体では、走査線が走っているのが写ってしまう事だ。
G5は、今日の場合は、メカシャッターで撮影するとしよう。

ノクトン42.5mm/f0.95だけMFレンズだ、これのピント合わせが
舞台用には難しいかも知れないが、まあ、歩留まり半分程度
(半分はピンボケ覚悟)と思っておこうか。
それぞれのカメラは、先ほど照明の高橋さんが見せてくれた明るさに
合うようにISO感度を設定、絞りは全レンズで開放近く、露出補正は
多分やっている暇がほとんど無い。全て単焦点なので、いちいち構図を
考えてズーミングの操作をする必要もない、あとは3台のカメラを
シーンに合わせて、持ち替えて撮影するだけだ。ピントとシャッター
だけに集中すれば良い。
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さあ、ゲネが始まった、舞台の照明が落ちる。
プロジェクターの明るさも、明るすぎず、カメラの適正な
ラティチュード(明暗差の写る範囲)に収まっている。
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早速出ましたね、劇団「斜彼女」団長の安田明日香さんだ。

ブサイクなメイクをわざとしているが、実は今年4月の平野区の
お祭りで阿加流比売神(あかる姫)に抜擢された位の美人さんだ。
(まあ、ミス福娘が1名だけ選ばれているようなものだと思って
いただければ良いだろう、これは、なかなかの快挙だ)

で、その演技力はピカイチ、あらゆる役柄をこなせるが、特に、
「不気味(暗い、陰湿)なキャラクター」を得意としている。
私が特に印象に残っているのは、2012年の劇団舞台処女の公演
「斑女(はんじょ)」での、まさに鬼気迫る演技だ。

今回、明日香嬢の役柄は、”ネットアイドル”だ。
昼のリアルの世界と、夜のネットの世界を行き来する住民、
ネットの世界が華やかであればあるほど、現実の世界との
ギャップが大きくなる。
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しかし、いい照明ですなあ、パソコンの操作に見立てた下からの
LED光、奥のプロジェクター光とも干渉しないし、いかにも
ネット上での異なる仮想世界が、彼女の手の内にあるように
見えるではないか。
プロジェクターのビデオ上にも、様々な”つぶやき”が、
ちょっと皮肉まじり感覚で表示されているのも面白い。

ふうむ・・さすがに若手劇団員によるフレッシュな「斜彼女」だ、
劇のテーマが面白いよね。

でも、そうした裏・表の構図という事は、一瞬で観客は見抜くだろう、
じゃあ、この後、劇をどのように展開していくのか、そこが肝かな。
まあ、台本はまったくわからないので、舞台を楽しみながら撮影
していくことにしようか・・・
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で、こちらが、リアル世界ということだね。
チョコレート屋さん「チョコ・タベナハーレ」で働く若い女性が
3人、店長は男性か、まあ「スイーツ」というのも、若い女性に
とってみれば、なくてはならないものだし、夢や憧れの世界でもある、

しかし、こちらが現実であるとすれば、ネットアイドル世界との
ギャップが少ないのではなかろうか? どちらも華やかといえば
華やかだ。まあ、しかし、そういう心配は、脚本や演出でどうにでも
なるだろうから、心配無用という感じかな。
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店長を演じる「猫のろば男爵」氏、劇団「斜彼女」の正式メンバーだ、
さきほどゲネの前に少し言葉をかわした
匠「え~と、今の芸名は、ろば男爵?、いや、猫の・・(?)」
猫「”猫のろば男爵”です、ちょっと芸名が長いですね(汗)」
匠「あ、もう覚えました(笑)斜彼女の男性若手の中心人物なので
  頑張ってくださいね・・」

今回の役柄は、結構チョコレートに偏愛しているような店長さんだ、
オタクっぽい感じだが、悪い性格の役という訳ではなさそうだ。
今回の劇に、悪役は存在するのかな? 
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再び明日香嬢、以下役名での紹介になるが、彼女は「豆子」
(遠藤豆子・えんどうまめこ)である。
ネットアイドルとしてのハンドル名は「ぶりん」ちゃんだ。

ちなみに、店長は「シロップ」氏である、すると、今回の劇の役名は
すべてスイーツ関連という事だろうね・・

「豆子」は、ホレ薬ならぬ「ホレチョコ」を、他の店員の目を盗んで
密かに開発している模様だ。そら、陰湿なイメージが出てきましたよ、
これで明日香嬢の本領発揮という事だろう、少し面白くなってきた。

台本を読まない効果で、観客がその時々のシーンで感じるだろう事が
手に取るようにわかる、私なりの舞台撮影の醍醐味だ。

問題はカメラ(撮影)がそれに追いつくか?ということだが、
適度な緊張感を持つことで集中力は増すし、その結果、舞台の
シナリオやセリフ等も比較的よく頭に入ってくる。
ただ劇を見ているだけでは、なかなかこうはいかず、
写真を撮らない舞台だと、後で何も覚えていない位だ(汗)
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チョコレート店の常連客らしき人が入ってきた、怪優の木下氏だ、
役名は「軽亜」(カルーア)となっている。
どこかの会社の社長さんとのこと。

しかし、よく考えてみれば、カルーアは、スイーツの種類ではなくて、
コーヒーリキュールの商品名(銘柄)のような気もするが・・・
いや、それを言うならば「プリン」だって、もともとは「プディング」
から生じた、商品名とも一般名称とも、どちらとも言えないような
ものではないか、まあどうせ役名なので、どうでもいいかあ・・(笑)

「軽亜」氏に、店長の「シロップ」氏が、色々とチョコレートを
おすすめしている、商品ラインナップには「ツンデレチョコ」とか
「ヴィーナスの乳首」とか「進撃の巨パフェ」とか、色々変わった
ものがある模様だ。いったいどういうものなのか実物を見てみたいが、
残念ながら舞台上ではパントマイムのみ。
(舞台のパンフレットにこれらのイラストが書いてある模様だ)

ここで異変が発生、どうやら、常連客の「軽亜」氏に、「豆子」が
一目ぼれをしてしまった模様だ。
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ふふ・・ますます、ダークな感じになってきましたね、
シナリオが暗くなればなるほど、明日香嬢の演技は光ってくる。
「豆子」がこれからさらに現実とネットの羽間で七転八倒すれば、
そしてその様子を上手く演じることができれば、この劇は成功だよね。

で、「豆子」が開発中であった「ホレチョコ」は、試作品であった
筈だが、それが上手く効果を発揮したらしい、だから「豆子」は
「軽亜」氏に恋をしたのであろう。

けど、自分で恋してどうする、それは相手に食べさせるものでは
ないのかな? まあ、でも、まさか試作品が、こんなに効果てきめん
とは思ってもみなかったのであろう。

それと、新チョコ開発と合わせて、何かチョコレートの資格を取る
ための勉強も「豆子」はしている模様だ。意外に真面目というか、
まあ、それがむしろ現代の若い女性の現実ということなのかな?
生活の為に必要な事はする、けど、やはり、そうしている事で、
自由な時間や、やりたい事をする時間は取れず、大きなストレスが
溜まってくるのであろう、で、「豆子」はそれをネットで発散して
いるのか? ふうむ・・筋書きがつながった、まさしく、そういう
構図なのであろう。

そして、ネットにスイーツ(チョコレート)に恋愛か、まさしく
若い女性の代名詞みたいなものだな。

「豆子」はネットで、自分の思いをぶちまける。
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さて、「SODA」という舞台は、まだ始まったばかりだ、
これからどんな展開になるのか、現時点では予想もつかないが、
かつて明日香嬢が所属していた劇団舞台処女(まちかどおとめ)の
劇にくらべ、視点が若い、ということだけは言えると思う。

ただ、若い、あるいは斬新であれば良い劇になるかと言えば
そうではない。様々な細かい点まで考えて作られた老練な劇も
また面白い、まあ、舞台の完成度も勿論重要なのだが、商業演劇で
最も重要なのは、勿論お客さんだ。お客さんに満足していただいて
初めて成功と言える。けど、簡単な話のようで、実はそれは非常に
難しい・・ 私も多数の演劇を見ているが、客として満足でき、
かつ、印象に残っている劇はさほど多くは無い。

まあ、だからこそ、私は、撮影しながらでも、ここでお客さんは
どう思うのかなあ、どう感じるのかなあ?と、できるだけそうした
視点を意識するようにしている。

そうやって意識していることで、シーンの意味、シーンの本質が
少しだが、見えてくる。撮影(写真)は、それらと連動しないと
意味が無い。まあ、舞台を撮り始めたころは、暗くて被写体も
動き回る厳しい環境で、ただ失敗しないように撮るだけが必死で
そうした余裕もなかったが、慣れてくれば、まあ、撮れる事は
わかっているので、他に色々考えることが出来るようになる。
シーンを象徴する写真を撮っていけば良い、または撮った中から
それを選べば良い、それが結果的に、役者さんの舞台表現を撮る
事に繋がる、ただ、役者さんを綺麗にあるいは格好良く撮れば良い
というものでは全然無いのだ。

私が撮った写真のお客さんは劇団の役者さんなのだ、であれば、
彼達彼女達の持つ「表現力」を最大に示すことができる写真を
撮れば良い。オーバーなくらいに、そのシーンにマッチした表情や
仕草がわかればさらに良いのだ。できれば、単純に表情のみならず
そこにある「役柄としての心理状態」まで写しだせればなお良い。
まあ、それは、そんなに簡単な事ではないのだが、1舞台に数枚でも
そんな写真が撮れれば良いと思っている。

以降、(2)に続く・・

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