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ミラーレス・マニアックス(28)

安価な中古ミラーレス機とマニアックなレンズによる
コスパの良いアダプター遊びを楽しむシリーズ第28回目。

今回は、まず、このシステムから。

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カメラは、お馴染みアダプター母艦LUMIX DMC-G1
発売から7年余を経過したマイクロフォーサーズ初号機で
あるが、後継機よりも優れている点も多々あり、未だ現役で
問題なく使用できる。

レンズはYASHICA AUTO YASHINON DS 50mm/f1.9

このレンズは、第24回記事で紹介したDSB 50/1.9の原型と
なったレンズであるが、こちらはDSBのヤシコン・マウント
とは異なり、M42マウントである。
発売は1960年代と思われる。当時のヤシカには、Jシリーズや
TLシリーズ等のM42マウントの銀塩MF一眼レフが存在した。
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モノコート(単層コーティング)のレンズであるが、まあ、
あまり極端な逆光で撮らない等注意すれば、他には特に使用上に
おいて気を使う点はなさそうだ。

ただ今回は、カメラ側G1の機能のフィルム・モードを多用している。
カラーの場合は、ダイナミックやバイブラントを基調に微調整し、
モノクロ撮影では、ダイナミックB&Wモードを微調整して使っている。

まあ、このレンズだから、という訳でも無いが、さすがに50年
程前の古いレンズであるから、若干色味やコントラストを調整
してあげるのも良いであろう。さらに言えば、レンズ本体の性能
も、そうやってカメラ等でいじくってしまえば、もうあまり
関係なくなってしまう訳だ。

そして、フィルムモードの設定に加え、露出補正、絞り設定等の
基本的な撮影要素の設定も勿論必要である。
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本レンズの後継機であるヤシカDSB50/1.9の時にも感じたが、
フラット光やコントラストの低い被写体状況で、まあいい感じの
写りになる。その反面、高コントラスト被写体では、一工夫加えて
いく必要があるという事になる。

で、上写真では、まずダイナミックB&Wモードでモノクロとし、
かつ、絞りを思い切り(f11~最大のf16まで)絞り込み、
さらに露出補正を若干マイナスにする等で、キリキリとした
感じの描写を得ることができる。
けどまあ、それは、どんな被写体でもそうすれば良いという
訳でもなく、被写体の種類によって、どんな設定をするのかを
考える必要はある。

・・というか、絞りを開けたり絞ったり、被写体に応じて様々な
撮影技法を選べることが、銀塩MF一眼時代、50mm標準レンズ
の最も基本的かつオーソドックスな使い方だった筈だ。
けど、その後のズームレンズの時代、あるいは銀塩AF一眼や
デジタルの時代になって、P(プログラム)露出モードで撮る
ユーザー層が殆どになってからは、そうした、ごくごく基本的な
技法は、失われてしまったように思える。

まあ、しかしながら銀塩MF時代では、カメラのシャッター速度と
フィルムの感度との関連の制限により、現実的には50mmの
大口径レンズであっても、絞りを少し開ければシャッター速度
オーバーとなり、逆に絞りをちょっと絞れば、今度はスローシャッター
になりすぎて手ぶれを誘発する、といった大問題があった。だから
結局、f5.6前後の「安全な」絞り値で露出を決定する事を重要視
するようになり、せっかくの標準レンズであっても、f1.4~f16
を駆使して様々なパターンの撮影をする等は実質は出来なかった。

結局のところ、よほど条件が合わないかぎり、あるいは光線条件
などを人為的に選ぶ技術や経験を身に付けないかぎり、絞りの
効果はあまり実現できなかったわけだ。
すなわち、実はズームレンズが普及したから、という訳でもなく、
本質的に「基本中の基本」であっても標準レンズの使いこなしは、
それ相応に難しかったから、そういう重要な技法が伝承して
いかなかったのではなかろうか・・とも思ってしまう。
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まあでも、現代であればデジタル一眼あるいはミラーレス機の
最高シャッター速度は、銀塩MF一眼時代の最高1/1000秒とかでは
無く、1/4000~1/8000秒となっているし、ISO感度も自在に変更
する事ができる。だから今こそ50mm標準レンズの幅広い絞り効果
を最大限に発揮できる時代となっていると思われる。
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YASHINON DS50mm/f1.9の最短撮影距離は50cmだ、
ちなみに、偶然が必然かは不明だがヤシノンの50mm標準レンズは
ほとんど全てが最短50cmとなっている。

本レンズ使用上の注意点であるが、M42レンズではあるが、
絞り制御のAuto/Manual切り替えスイッチが無い。よって
レンズ背面の絞り連動ピンを押し込まないと、絞りが絞られない。

ミラーレスでマウントアダプターで使用する場合は、ほぼ全ての
アダプターで絞り連動ピンを押し込む事が出来る構造になって
いるので問題ないが、PENTAX のKマウント一眼やK-01などで
純正の「マウントアダプターK」を用いて装着した場合は、
常に絞り開放となってしまうので注意が必要だ。

本レンズの購入価格は、1990年代に8000円ほどであった、
今にして思うと少々高かったようにも思う、まあ5000~6000円
程度が現代における妥当な相場ではなかろうか。

で、特にこのレンズを購入する必然性は無いと思うが、何かしら
の標準レンズ(50mm単焦点)は、前述の絞り効果を実践(勉強)
する上でも必携レンズであると思う。

余談だが、標準レンズは、絞り開放から最大絞り(通常f16)の
全てを自由に使える事が望ましい。ただし、晴天の屋外で
開放絞りを使うのは、デジタル一眼の最低感度(ISO100程度)
にしても無理であろう(シャッター速度オーバーとなる)
で、ちょっと暗めの光源状況(曇天、日陰、夕方、室内等)に
おいては、絞りを開放にした時にカメラ側がシャッター速度
オーバーならず、かつ、絞り込んだ時に手ぶれしないような
シャッター速度となるようにISO感度を選ぶ(手動設定する)
事がポイントである。

これは言葉で書くとちょっとわかりにくいのだが、ISO感度手動
設定の目安(根拠)としては非常に重要な要素である。
例としては、f1.4=1/4000秒、f2=1/2000,f2.8=1000・・・
f11=1/60,f16=1/30の数列となるようにISO感度を決めれば良い。
これで、絞り値を全部自由に使うことができる。ただし、これは
晴天下ではまず無理で、ISO25(またはデジタルND4フィルター)
が必要となるが、それを搭載しているカメラは、ほとんど無い。

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さて、次のシステム
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カメラは、Eマウント初号機のSONY NEX-3である。
DMC-G1ほど古くは無いが、本カメラも発売後6年近くとなり
かなりクラッシックとなってきている。
最初から完成度が高かったG1と比較すると、NEX-3の操作系は
あまり優れたものでは無い。2年後のNEX-7では、操作系が大幅に
改善されている(ただし初級者では使えないほど高度かつ複雑に
なっている)

よって、現在、Eマウントアダプター母艦としては、操作系に優れ、
かつ、性能からすると圧倒的にコスパが高い(コスパを重要視
するのは本シリーズ記事での基本コンセプトである)NEX-7を用い、
本NEX-3は、Eマウントでのトイレンズ(特殊レンズ)母艦とし、
たまにAFレンズ、そして、まれにMF広角レンズ(かつ最短撮影
距離が長めのもの)の母艦として使用している。

今回のレンズは OYMPUS OMシステム ズイコー 21mm/f3.5だ。
1970~80年代のMFレンズである。OMシステムのレンズでは
(50mm標準以外では)同一焦点距離でも、大口径f2級版と、
小口径f3.5版が併売されていた。なお、その際の、大口径版の
フィルター径は55mmΦ、小口径版では49mmΦと、統一されて
いて、極めてシステマティックである。
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銀塩時代の21mmは超広角レンズであるが、APS-Cサイズの
NEX-3に装着時には、換算約30mmと普通の広角レンズと
なってしまう。
最短撮影距離は20cmとまずまず優秀なのだが、MF操作系に
課題を持つNEX-3であるから、無理な近接撮影はしない方が無難だ。

描写力はかなり優秀、まあこれは、OMズイコーのf3.5版の
小口径レンズのほぼ全てに共通する特徴であるが、シャープネス
を重視して設計されているように思える。
対してf2版は、ボケ質や階調表現などを重視し、性格が異なる。
このため、同一焦点距離の大小口径を両方集めることも
意味の無い事では無い。まあでも、大口径f2版は現代においても
結構高価な中古相場で流通している事が多いので、多くを集める
事は、なかなか難しいかと思うが・・
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無理に近接撮影を行った場合でも、ボケ質はさほど悪く無い。
このレンズのちょっと上の焦点距離の 28mm/f3.5は、本シリーズ
第23回で紹介しているが、まあ、それも小口径版として似たよう
な性格を持っている。

小口径f3.5版の中でも50/3.5Macroは、極端にシャープネスが
高く反面ボケ質が非常に固いという、かなりエキセントリックな特徴を
持つレンズである。そのレンズは銀塩時代に使っていたのだが、
知人に譲渡してしまい、現在は保有していない。まあ、いずれ買い
なおすつもりであったのが、再購入を長らく保留したままにして
いるのは、その極端な性格の為かも知れない。
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本レンズの購入価格は、2000年代に3万円ほどであった。
銀塩時代は21mmの超広角レンズは憧れの対象であり、すなわち
それは一般的には、広角といえば28mmまでであり、それを超える
超広角は、非常に高価であり贅沢品でもあったわけだ。
その為、メーカー純正ではなくレンズメーカー製の、24mm,20mm,
17mm等を、超広角の穴を埋めるために購入するのであるが、
それらは、あまり優れた性能を持つレンズは多くなかったので、
ますますメーカー純正は高値の花となっていた。

このレンズをなかなか購入できなかったのも、その価格ゆえの
問題である、つまりデジタル時代に入ってからOMズイコーは
安価になったという訳であった。

現代で必要なレンズか?というと、それはかなり疑問だ。
現代では、APS-C機であってもちゃんと広角効果が得られるような
10mm台のレンズが単焦点もズームでも存在している。あえて銀塩
時代の超広角を高価な相場で入手しなくとも、現代レンズが同等
か、それ以下の価格で購入できるわけだ。
ミラーレス機専用で良いのであれば、例えばSIGMA 19/2.8DN
などは、中古で1万円台前半という極めて安価な相場でありながら
下手すると本レンズより描写力は上であろう。

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さて、次のシステム
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カメラ本体は、RICOH GXR
冒頭のDMC-G1よりも1年ほど新しいカメラではあるが、
こちらの方がG1より、スペック的老朽化が激しい。

(すなわち、周囲の新型カメラがどんどん高性能になっていき、
故障もしていなくて問題なく使えるカメラなのにもかからわず、
仕様的に見劣りして、使えなくなっていくという事だ。
これがあるのでデジカメは基本的には高価な新品を買っては
ならない、今どんなに良いものでも、数年後には陳腐化する)

ユニットは、A12 50/2.5 Macroだ。
ちなみに、GXRシステムの場合は、レンズ側に撮像センサーを
含むため、レンズではなくユニットと呼ばれている。

本ユニットの描写力は発売当初からかなり評判が良かったが
高価であったので購入していなかった。近年は中古相場がかなり
安価になってきた事が購入の理由だが、前述のスペック老朽化が
気になったものの、現在使うのであれば仕様的な弱点(古さ)は
ぎりぎりセーフであろう。この数年後ではもう(古く見えてしまい)
使えないであろう、という判断からであって、すなわち、
今ガンガン使わないと、この先使えないシステムになってしまう。
ということから、本システムも過去1~2度、重複して本シリーズ
記事で紹介している次第だ。
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スペック的老朽化で最も大きな課題はピント精度である。

GXRのシステムでは、絞りを開けたり、遠距離あるいは近接撮影
ではAFでは殆どピントが合わない。かと言ってMF操作も絶望的だ、
したがって、ピント合わせ全般が致命的に近い弱点となっている。

まあ、とは言え、2009年の段階では、技術的にもこのあたりまでが
限界であったのであろう、そう考えると、近年のカメラも一見
なかなか性能が良くなってないように思えて、意外に一部の
基礎技術などは進化している模様だ(例:ISO感度の高感度化)

ただ、万が一(?笑)ピントが合った場合の描写力はさすがに
捨てたものではない。
本シリーズ第10回記事で本システムを紹介したときに書いた事は
「マクロと考えずに標準レンズと考えれば良い」であったが
これはまあ、近接撮影はやめておくのが良いという意味と同じだ。

ピント以外の、スペック的老朽化は、GXRシステムには高感度も
なければ、エフェクトも無く、シンプルすぎる。

それこそ、前述のように、50mm(相当)の標準レンズとして、絞り
や露出補正の効果をオーソドックスに使うしか無いかも知れない。

けど、そうした基本操作においては、GXRの操作系は悪くない、
なにせ、絞り・露出補正・ISO感度の、3大デジタル基本要素を
いずれもダイヤル等で常時直接変更可能なデジタルカメラは、
このGXRを含め数えるほどしか無い。

それから、GXRを使っていて気になるのは背面モニターの色味の
再現性が悪い事だ。実は、AWB自体もあまり確実性が無く、同一
条件で撮っても1枚1枚色味がバラつく場合があり、それに加えて
モニターの色味が悪いので、どうにもどんな色で撮れているのか
心配な状態になる。

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さて、今回は先ほどより、絞り値の変化という事を良く説明して
いるのだが、現代の撮影技法においては、ほぼ99%までが
「絞り優先」露出モードとするのが間違いの無い設定だ。

残りの1%は、Pモード=他人に記念写真を撮ってもらう時。
Sモード=スポーツなどの特殊な撮影、Mモード=花火などの
特殊な撮影。という感じだと思って良い。

銀塩MF一眼レフ時代、AE(自動露出)が初めて出始めた頃、
世の中では「絞り優先とシャッター優先、どちらが良いか?」
という議論があったと聞く、その後両者を搭載した「両優先」
のカメラが登場し、その議論は収まったらしい。

で、実際のところどっちなの?という話になるのだが、これは
撮影表現技法的に言えば「絞り優先」を主体にするのが正しい。

けど、技術的な背景はどうか? たとえばキヤノンAE-1が発売
された1970年代、そのカメラはシャッター優先であった。

カメラの仕様を考察すると、AE-1の最高シャッター速度は、
1/1000秒であった、これにFD50mm/f1.4を装着したとする、
その際、一般カメラマンの手ブレ限界シャッター速度は1/30秒だ。
つまり、1/30は当時の初級カメラマンだと手ブレしてしまうので、
1/60秒が実質的に使える最低シャッター速度だ。
すると、シャッター速度で実用的に使えるのは、1000,500,250,
125,60の僅か5種類(=5段と言う)だ。
対して、絞りは、f1.4,2,2.8,4,5.6,8,11,16の8段だ。

使えるシャッター速度より使える絞りの数が多い、つまり、
シャッター優先にした方が、様々な光線状況あるいはフィルム
感度の関係での自由度が高いことになる。

すなわち、写真表現的には絞り優先が正しいが、当時のカメラの
性能的な面を考えると、シャッター優先の方が無理が無いという
事になる。
そして、その後の銀塩AF一眼レフの時代となると、シャッター
速度の最高は、1/8000秒である機種が多くなり、シャッターの
自由度は、3つ増えて8段となり、絞りの段数とイコールになった。

しかし、レンズ側はズームレンズが増えて、これらの開放f値は
f3.5ないしf4であったので、使える絞りの数はむしろ減って6段
程度となった、この状態では、絞り優先の方がカメラ仕様上の
自由度が高い事となる。

その後のデジタル時代、一般的なデジタル一眼やミラーレス機の
最高シャッター速度は、1/4000秒とむしろ銀塩時代より退化
そしてf1.4の単焦点レンズすら一般的ではなくなり、近年発売
される新型f1.4級レンズは皆、超高価な高級品ばかりとなって
しまった。したがって、ここでも、シャッターの段数と絞りの
段数はほぼイーブンとなり、A,S(Tv)どちらのモードでも
カメラ仕様上の使い勝手に大差は無い。

デジタル時代、絞りとシャッター速度に加え、もう一つの露出
要素となったのがISO感度だ。もし、これの自由度が高いので
あれば、シャッター速度と絞りを自由に決めて、ISOがそれに
追従して変化すれば良いので、写真表現上の自由度は銀塩時代
では考えられないくらい極めて高くなる。
これを実現しようと頑張っていたのは、ペンタックスとニコンで
あるが、最初にこのTAv露出を実現した頃のデジタル一眼は、
ISO感度の最大値が1600程度であり、変更可能なISO感度の段数は
僅かに4段ないし5段程度となる、これでは、シャッターと絞りの
組み合わせの数の方がはるかに多いので、実用的では無い。

長らくその機能は発展せず、世の中のカメラユーザーもこれに
着目する事はなかったのだが、近年の超々高感度時代になって、
ISOの変化幅は、例えば100~40万であれば13段、さらにニコン
D5のように50~328万であれば、実に17段となった。

ここまでISOの可変幅が大きければ、どのような光線状態で、
どのような任意のシャッター速度と、任意の絞り値をユーザーが
選んでも、ISO感度は、まず殆どの場合追従するであろう。
被写界深度と動体効果を同時に決定できる、これは写真表現的には
革命的であって凄い事なのだが、D5に、この機能は搭載されていた
だろうか?

なお「殆どの場合に追従する」と書いたのは、実はこの感度自動
調整機能は、f1.4以下の超大口径レンズでは無理である事が計算
上明らかだからだ。前述したが、晴天下ではf1.4のレンズを使おう
とすれば、ISO50以下が必須であり、それより大きな口径(f0.95等)
の場合は、ISO25よりもさらに低感度が必要になるのだ。

まあでも、ほぼ問題なく実用範囲だと思うので、将来、10年程度
先に、ISO数百万が、どのデジタルカメラにも搭載されるほど
普及すれば、その時の撮影技法は「絞りもシャッター速度も
自由に決めて撮る、あとは勝手にISO感度で調節してくれる」
というものに変わっているであろう。それはもう今までの写真
常識とは、完全にかけ離れた世界だが、まあ、早くそんな時代が
来てもらいたいとも思う。
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ISO感度自動追従の時代となれば、このような、被写界深度と
動体を両立した写真も撮るのが容易になるであろう。
尤も、この状況では、その両者および感度の関係は勿論意識して
撮っており、最大の問題は露出制御ではなく、GXRのピントが
合うか合わないかという点であったのだ(汗)
(このため、実際にはAFロックをかけて撮っている)

さて、GXRシステムの中古相場だが、2016年になって、私が購入
した2015年時点よりも、またさらに相場が安価になった模様だ。
このA12 50/2.5Macroであれば2万円台の前半くらいで入手可能と
なっている、GXR本体も1万円程度であるので、コスパは非常に良いと
言えば良い状況なのだが、なにせスペック的老朽化(陳腐化)が
最大の問題であり、悩みどころでもあろう・・

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さて、今回ラストのシステム。
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カメラは、Eマウント最強の高度な操作系を誇るNEX-7
レンズは、RICOH XR135/2.8である。
これはPKマウントのレンズであり、一般的なKマウントアダプター
で問題なく使える。

リコーのXRというと、50mm/f2が優秀なレンズとして知られて
いるが、まあ、小口径標準はどれも良く写るので、別にその
レンズだけが特別という訳でも無い。でも、やはりリケノン50/2は
良く写ったので、他のXRシリーズも何本か買ってみた次第であった。
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NEX-7装着時、このレンズは、換算200mm相当の望遠
画角となる。 で、望遠レンズで遠くのものを撮るとなると、
アングルの自由度が無く、面白味に欠けるのは確かだと思う。

ちなみに、上写真では、デジタルズームを2倍程度かけている。
NEX-7では、最大10倍までのデジタルズーム機能を、MFレンズ
をアダプターで使った場合でも自由にかけることができる。
まあ、あまりその倍率を上げてしまうと画質が極端に劣化するが、
3~4倍程度までであれば、ほとんど問題は無いであろう。

結局、200~800mm/f2.8相当の望遠レンズとして使える事になる
数字だけ聴くと凄いが、単純に拡大しているだけなので、画像を
トリミングしているのと大差無く、他の望遠効果(遠近感の圧縮や
ボケ量の変化)は起こらない。

遠距離に対して、本レンズの最短撮影距離は1.5mと、一般的な
135mmレンズの標準的性能(最短135cm)よりは少し劣る。
多少なりとも近接撮影が出来る方が、撮影アングルの自由度が
少しでも高くなるので望ましいが・・
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近接撮影時に問題になるのは、ボケ質の破綻である。

大口径135mmとなると、第15回記事のFD135/2や,第18回記事
のAi135/2 があるが、このうち Ai135/2の方はボケ質の破綻が
起こり難い優秀なレンズである。本XR135/2.8は、f2級ほど
大口径では無いが、ボケ質の破綻はFD135/2と同等レベルで
発生しやすい。まあ、このあたりが普通の135mmレンズの
一般的なボケ性能であろう(もっと悪い135mmもいくらでもある)
ちなみにボケ質に関しては、第17回記事のSTF135/2.8は例外的な
「横綱クラス」であるので、他の135mmと比較するのもはばかれる。

ボケ質の破綻を、絞り調整、撮影距離と背景距離、背景の絵柄等
の条件を整えて回避した場合には、本XR135/2.8も、まずまずの
背景ボケ質となる。

200mm相当という焦点距離は、散歩撮影での上限の焦点距離で
あろうか。これより長い望遠となると、特殊な用途、例えば
動物園での動物の撮影、野鳥の撮影といった遠距離の動物全般、
スポーツ競技、運動会、ライブや舞台イベントといった、遠距離
での人物撮影などに限られてしまう。まあ、これらについては、
撮影アングルの自由度云々は、一般的撮影に比べてあまり問題に
ならないかも知れない(動物や人物がちゃんと写れば良い)ので、
適切な焦点距離で開放f値が明るいレンズがあればそれで良い。

一般的なズームレンズで大口径と言えばf2.8だが、舞台や暗所等
での撮影ともなると開放f値はそれより少しでも明るい方が良い。

そこで、近年ミラーレス機やコンパクトに良く搭載されている
デジタルズーム・デジタルテレコン系の画質がもう少し上がって
もらえれば嬉しい。もしそうなれば、例えばノクトン42.5/0.95
を、デジタルテレコン等で200~300mm相当程度の画角で、
f0.95という明るさで使用することが出来るのだが・・
(ちなみに、厳密にはトリミングとデジタルズームは画像処理的に
内容が異なる)
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本レンズの購入価格だが、2000年代に8000円程であった。
まあMF単焦点135mmで小口径(f2.8以下)のものは、現在では
中古相場が極めて安価であり、4000~5000円というのも良くある
話なので、8000円でも若干高かったようにも思える。

XR135/2.8は、現代において必須のレンズでは無いと思う。
135mmの用途であれば、やはりf2級の大口径か、STF135/2.8
のようなボケ質が極めて優れたレンズしか選択肢は無いようにも思う。

まあでも、銀塩時代では135mmは望遠として必要だったので、
f2.8~f3.5級の135mmは様々なマウントで沢山持て余している、
この機に(ミラーレス・マニアックスシリーズを書いている間に)
色々と使って良さげなのをピックアップしておくとしようか・・・

次回シリーズ記事に続く。

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