新規購入等の理由で、過去の本ブログのレンズ
関連記事では未紹介のマニアックなレンズを主に
紹介・評価するシリーズ記事。
今回は未紹介レンズ4本を取り上げる。
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ではまず、今回最初のレンズ
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レンズは、MEIKE 50mm/f2
(新品購入価格 10,000円)(以下MK50/2)
カメラは、CANON EOS M5(APS-C機)
2017年頃発売の中国製ミラーレス機(APS-C以下)
専用、単焦点MF標準(中望遠画角)レンズ。
EF-Mマウント版での購入であり、交換レンズの
販売ラインナップが少ないEF-Mマウントにおいて、
「ユーザー側ラインナップ」、すなわち、利用者が
どのように、そのマウントでのレンズを揃えて行くか?
という視点において、必要性を感じて購入したレンズ
である。
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価格が安価で、EF-Mでの常用中望遠(80mm相当)
として使える事が利点ではあるが、実際に使用して
いると、課題も色々と感じるレンズである。
まずは、最短撮影距離が65cmと長い。
換算画角の80mmに対しては、これでも焦点距離
の10倍則(80cm)よりも寄れている計算だが、
「10倍則」は、実焦点距離に対しての感覚的な
性能の目安であり、かつ、銀塩時代からの通例で、
「50mm標準レンズの最短撮影距離は45cm」
という意識(=それが標準的な性能)がある。
この為、本レンズは「寄れない」という不満を
かなり強く感じるレンズだ。
具体的に、他のレンズで同等システムを構築する
ケースを考えてみれば、もしEOS M5等の利用者が
EF-EOS M電子マウントアダプター(中古6000円前後)
を所有しているのであれば、EOS EF/EF-Sマウントの
各種レンズを装着し、AFで使用できる。
その際、CANON EF50mm/F1.8Ⅱ あるいは
中国製YONGNUO YN50mm/F1.8(注:両者は同一
の光学系)のいずれかを装着するならば、本レンズと
ほぼ同等のスペックで、描写力も、本レンズよりも
EF50/1.8ⅡやYN50/1.8の方が、やや優れる。
かつ、それらの最短撮影距離は45cmなので、
本MK50/2の65cmよりも、ずっと寄れる。
そして、本MK50/2は、ほとんど中古流通は無いが
EF50/1.8Ⅱは中古の玉数が豊富で、相場は7,000円
程度と、本レンズの新品価格よりも安価だ。
また、YN50/1.8は新品で7000円位、中古は滅多に
見ないが、あれば3000円~4000円と激安だ。
(本シリーズ第20回記事YN50/1.8の項目参照)
つまり、EF-EOS Mアダプターさえ持っていれば、
EOS M機に、このように流通が豊富で安価なEF/EF-S
マウント用レンズを色々と装着できるので、あえて
EF-M専用レンズ、しかも(当たり外れのある)中国製
のMFレンズを買う必要性が、あまり無くなってしまう。
ただまあ・・
EF用レンズを使うのも、いつも同じレンズばかりでは
芸も無いと思い、本MK50/2の購入検討を開始したが、
本MK50/2の最短撮影距離情報はWeb等からは見つからず
あまり気にせず買ってしまった(中国製レンズ等では、
その販売者がカメラ等の専門業者では無い場合が多く
仕様表記等が、いい加減(不十分)の場合が多い)
そして、EOS M5のカメラ本体は小型軽量(427g)の
高性能機であり、そこにマウントアダプターを介して、
フルサイズ対応レンズを付けると、やや大型化して
しまうので、それを嫌って、EOS M機に装着できる小型
軽量レンズとして、本MK50/2(188g)を選んだ次第だ。
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しかし、ちょっとした誤算があったのは、前記の
最短撮影距離問題。それから、本MK50/2は、十分に
小型軽量だと思ってはいたのだが、実際に手にすると、
フィルター径φ49mmは、銀塩MFの小口径標準レンズと
ほぼそのままのサイズ感であり、軽量だと思っていた
188gも、意外にずっしりとした重量だ。
念の為、EF50/1.8Ⅱの重量を調べてみると130g。
が、それは所有していないので、同等品のYN50/1.8
の重量を測ると(注:公称値なし)118g(実測値)
と、いずれも本MK50/1.8よりも、ずっと軽い(汗)
匠「あちゃ~、ちょっと失敗か? システムの
小型軽量化を目論んだのに、何だか自分でも
良くわからない事をやっているよ(汗)」
と、一瞬悔やんだが、まあでもEF-EOS Mのアダプター
が110gあるので、やはり、それを介すると重量増に
なるし、「まあいいかあ・・」と、無理に納得した。
次の課題としては、EOS M5のピーキング精度が
やや低い。だが、ここは私はCANON機でピーキング
が搭載されているカメラで、最初に買ったのが
このEOS M5であり、ピーキングの実用性を購入前に
チェックできない(注:店頭で、少し触った程度では
良くわからない。実際に屋外に持ち出し、様々な
レンズを付けて使ってみないと真の実用性能は不明だ)
・・ので、やむを得ない所はある。
CANON機に限らず、他社のミラーレス機等においても、
私は、ピーキング機能への評価は厳しい目であり、
なかなか好評価を下す事は無い。
その理由は、完全独自構想のピーキング機能を作った
経験があり(プログラミング・シリーズ第3回記事
「高精度ピーキング比較ソフトのプログラミング」)
その自作アルゴリズムの精度の方が、各カメラメーカー
のピーキング精度よりも優秀であったからだ。
「日曜大工」ならぬ、個人の「日曜プログラミング」に
メーカーの画像処理技術が負けていたら話にならない。
とても厳しく評価をするのも、やむをえない話であろう。
この課題(カメラのピーキング精度)の回避としては、
被写体状況によりけりで、カメラ側のピーキング精度を
頻繁に変更する事だ。だが、残念ながらEOS M5には
DIAL FUNCやM-Fnといった、新規操作子が搭載されて
はいるものの、それらへのアサイナブル項目に
「ピーキング強度」は含まれていない。まあつまり
メーカー側としても「想定外の用法」なのだろう。
やむなく、”マイメニュー登録”機能を用い、そこから
「MFピーキング」設定を行う。多少、操作上での手数は
増えるが、我慢できない程の操作系悪化では無い。
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さて、本MK50/2の描写力は、可も無く不可も無し
という感じで、特筆すべき長所も短所もあまり無い。
レンズ構成は5群6枚と、恐らくこれは、銀塩MF時代
での変形ダブルガウス型と同等と思われる。
(これは比較的完成度の高いレンズ構成だ)
他の中国メーカー製レンズには、よくあるように、
2/3程度に焦点距離やイメージサークルを縮めて設計
された「縮小版ジェネリック」では無く、場合により
「そのままジェネリック」かも知れない。
そういう設計とすれば、小型化による入射瞳(径)の
減少で、開放F値が下がっているのかも知れないが、
まあでも、1/4000秒機が最大であるEOS Mマウント
ミラーレス機用としては、開放F2は妥当な仕様だ。
(注:本レンズは他のミラーレス機用でも発売
されている)
だがまあ、同じ5群6枚構成の、EF50/1.8(Ⅰ/Ⅱ)
やYN50/1.8の方が、本MK50/2よりも、感覚的に
描写力が高いので、やはり、わざわざ本MK50/2を
購入したのは失敗だったかも知れない。
他(ミラーレス機)マウント版での購入も同様に、
あまり推奨できない。
何故ならば、例えばPENTAX SMC TAKUMAR 55mm/
F1.8やら、RICOH XR RIKENON 50mm/F2、それから
MINOLTA MC ROKKOR-PF 50mm/F1.7等、銀塩MF
時代の小口径標準レンズの名玉は、いくらでも存在し、
それらを各ミラーレス機にアダプターを介して装着した
方が、ずっとエンジョイ度が高まるだろうからだ。
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では、次のシステム。
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レンズは、MC SOLIGOR C/D ZOOM+MACRO 80-200mm/f4.5
(ジャンク購入価格 500円)(以下、SOLIGOR80-200)
カメラは、PANASONIC DMC-G6(μ4/3機)
詳細出自不明、発売年も不明、恐らくは1970年前後の
製品であろうか?
型番のC/Dの意味も不明、ともかく、何もかもが
良くわからないレンズである(汗)
過去の本シリーズ第30回、第73回記事でも、
SOLIGOR社製の135mm/F3.5レンズを紹介しているが、
まあ、「写りが悪い」と一刀両断の評価だった(汗)
SOLIGOR自体、聞き慣れないメーカー名だろうが、
銀塩MF時代に「交換型マウント機構」を開発していた
事から、多数の各社マウント用のMFレンズを販売して
いたと思われ、1990年代の中古カメラブームの際にも、
たまに中古を見かける時もあったし、近年においても
ごく稀に、ジャンクコーナー等で見かけるので・・
そういう場合には「ワンコイン・レッスン」、つまり
「写りが悪い事は予想はついているが、その弱点を
回避する為の練習用の教材として、そのレッスン費が
ワンコイン(500円)であれば、まあ許せる」
という観点から、購入する事とした訳だ。
![_c0032138_17230261.jpg]()
さて、早速、弱点探しを行おう。まずは弱点、そして
長所、それらが分かったら、弱点を回避する方法論を
模索する、ここまでがワンコインレッスンのメニューだ。
本レンズはNIKON F(Ai)マウント品であった、
開放F値固定型の、ワンハンド式望遠ズームであるから
この手のスペックのレンズには、私が「望遠母艦」と
呼んでいるPANASONIC DMC-G6をあてがうのが望ましい。
史上最強のMF望遠ズーム母艦であるDMC-G6でも、仮に
上手く使いこなせない問題点が出たのならば、他社機
や他機では、もうお手上げであろう。
まず、逆光耐性が低い。EVFでもすぐにわかるほどに
フレアによるコントラスト低下が起こる。けど半世紀も
前のオールド望遠ズームであれば、当然の状況だろう。
そして、そもそも外観は綺麗ではあるが、レンズには
軽い「クモリ」がある、経年劣化なのでやむを得ない。
マクロモードはズーム広角端にて使えるが、そもそも
最短撮影距離のスペックが不明である。距離指標は
通常モードで2m位まで、マクロモードでやっと1.3m
あたりだろうか? いずれのスペックも物足りない。
(注:やや後年1980年頃での同等仕様の望遠ズーム
では、だいたい通常モードで1.2m~1.5m程度、
マクロ域では、90cm(望遠端)とか、中には56cm
(広角端)まで寄れるものもある)
ただまあ、寄れない事はわかっていたから、その点も
μ4/3機のDMC-G6で、かつ、同機の優れた操作系
でのデジタルズーム/デジタルテレコン機能を用いて
仮想的に撮影倍率を上げ、寄れない不満を解消できる。
![_c0032138_17230206.jpg]()
白い被写体は色収差が発生する、これもまあやむを得ない。
軸上色収差であれば、絞りを絞り込む事で解消できるが
望遠域の倍率色収差に関しては、そのまま残ってしまう。
回避法は、「白い被写体を撮らない」である(笑)
そして解像感が低い。この点は回避は難しいのだが、
望遠端や広角端等の、収差の補正が設計上では難しいと
予想される焦点域を避け、あえて中途半端な中間画角
(160mmとか)で撮影し、光学ズームの代わりとして
デジタルズームで構図調整をする、という技法を用いる。
そして絞りをF5.6~F8程度に、やや絞る事も重要だ。
幸い、本レンズは開放F値固定型ズームであるから、
ズーミングで、設定値以上に絞り値が暗くなる事は
無い為、その特徴を最大限に活用するには、初めから
諸収差の低減に有利な絞り値を選択する事が必要だ。
ただし、絞り込んだからと言って、各種ある収差の
いずれもが低減する訳では無い。
(→匠の写真用語辞典第29回記事参照)
そこを理解した上で、”何でもかんでも絞り込めば
描写力は高まる”とは、思い込まない方がベターだ。
絞り値の課題は、もう1つある。
それは、本レンズではボケ質破綻が頻発する事であり、
若干は、その様子はEVF等でも事前確認は出来るのだが、
いざ、ボケ質の破綻を絞り値で調整しようとしても、
大口径レンズのように「大ボケ」させて目立たなく
する事は出来ない、本レンズは最大でも開放F4.5だ。
また、絞り込んで回避しようとしても、そもそも
解像感の向上の為に、F8程度で撮っているのだから
その上は、F11、F16、F22の3つしか選択肢が無い。
(注:一部の値には1/2段中間絞り値が存在している)
で、あまりに絞り込みすぎると、「小絞りボケ」とかの
どこかで聞いたような良くわからない話を気にする前に、
(↑システムによりけりだ、個人的には一切気にしない)
手ブレ補正無しの本システムでは、そもそも撮影不能
となる。400mm相当の望遠域では、昼間でもF22では
通常ISO感度では、まず撮れない。
超低解像力と思われる本レンズに、撮像センサー側の
ピクセルピッチが小さいμ4/3機は、あまりシステム的な
バランスが良く無いのではあるが、もうやむを得ない、
画質を云々言う前に、撮れるか撮れないか?の世界だ。
ボケ質破綻の回避は、もう諦めた。いかにあれこれと
工夫をしても、もはや限界。無理なものは無理なのだ。
長所? それはあまり無い。あえて言えば、様々な
技法を用いて弱点を出来るだけ回避して撮るならば
条件がハマれば、50年も前の500円のジャンクレンズ
だ、とは誰も思わないような、ごく普通の写真が
撮れる、という、ただそれくらいだろうか・・
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千何百枚か撮って、これにて練習は終了。
これで500円、まあ、趣味での練習代として考えれば、
1枚の撮影あたりでコンマ数円、と廉価であるから、
ゴルフの打ちっぱなしの練習とかよりも安上がりだ。
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さて、次のシステム。
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レンズは、CANON EF90-300mm/f4.5-5.6 USM
(ジャンク購入価格 500円)(以下、EF90-300)
カメラは、CANON EOS 8000D(APS-C機)
2002年発売のEFマウント(フルサイズ対応)
軽量AF望遠ズーム。
300mm級の望遠レンズとしては、重量が420gと
軽量の類である。
2002年発売、というのは購入時では知らずに、
「1990年代前半頃のレンズだろう」と判断して
購入していた。
・・と言うのも、1980年代位での各社MF300mm級
望遠ズームは、100-300mmの仕様が多かった
(例:CANON (New) FD100-300mm/f5.6 1980年、
本シリーズ第88回記事等参照)・・のだが、
ここからAF化時代において、同300mm級ズームの
広角端の焦点距離は、90mm、85mm、75mm、と
少しづつ縮まり、2000年代位に、ようやく近代的
スペックである、70-300mmあたりに落ち着いた
歴史がある。
そんな中、90-300mmの仕様の本レンズを見れば、
匠「100-300mmが70-300mmへ変化する間の
成り掛けのレンズかな? 同じスペックの
TAMRON AF90-300mm/f4.5-5.6
(本シリーズ第34回記事参照)が確か1990年
発売だから、本レンズも1990年代前半という
所か?」
と思ってしまうのもやむを得ない。
だが、購入し、帰宅して調べてみると、その時代の
CANON AF望遠ズームは、75-300mm/f4.5-5.6
のスペックが1990年代を通じて発売されていて
90-300mmのレンズは存在せず、2002年と新しい
時代となって、やっと本EF90-300が発売された
事に、ちょっと驚いてしまった。
![_c0032138_17231289.jpg]()
ちなみに、本レンズの本体には、
「CANON ZOOM LENS EF 90-300mm 1:4.5-5.6 USM」
と記載されている。
しかし、正式名称はCANONのWebによると、
CANON EF90-300mm F4.5-5.6 USMである。
ここで注意するべきは、F値の表記法では無い、
各社とも、レンズ上と製品名が違う事、さらには
F値の書き方すらもまちまちな点は、本ブログでは
良く「問題点だ!」と指摘している事であり、
各社で統一的な表記法が存在していないから、
本ブログでは、○○mm/f△ といった「暫定的
共通表記法」を(不本意ながら)ずっと使わざるを
得ない状況なのだ。
で、注意するのは、そこでは無く、「EF」という
シリーズ型番だ。
他社レンズでは、 このシリーズ型番(Ai AFとか
FAとか、AFとか)の後の焦点距離表記との間には
空白(スペース)が入る事が一般的(ほぼ全て)
なのだが、CANONの場合は、その空白が入らない。
つまり、「EF 90-300mm」は、誤りであり、
「EF90-300mm」が正式だ、との事になる(??)
私が、その事に気づいたのは比較的近年であり、
CANONのWeb上の「CANON CAMERA MUSEUM」
で、古いレンズの情報を検索しようとした際に、
EFの後(および、それ以前のFDも同じ)に
空白(スペース)を入れたところ、全く検索が
されず何も表示されない。
匠「なんで出て来ない! こっちはレンズ上に
書いてある通りに打ち込んでいるのだから
出て来ないはずが無いだろう!(怒)」
とブチ切れていたのだが、良く良く見てみると
空白(スペース)が無いのが正式名(??)であり、
そう打ち込むと、普通に検索される事がわかった。
だけど、レンズ上では空白アリなのに、
Web上の製品名では空白ナシとは、いったい
どっちが正しいのか?など、わかりようが無い。
ちなみに、他のカメラ・レンズメーカーのWebでも
製品上に書かれている名称(これが本来ならば正しい
はずだ)と、Web等での記載が異なるケースを多数
見かけている。
私は、こうした場合、「Web制作担当者にカメラや
レンズの知識が無い/興味が無い」と見なしている。
ホンモノのカメラやレンズ等、見た事も無い状態で
HTMLなどを書いたりデザインをしていたら、
「そりゃあまあ、間違えるわなぁ・・」というのが
正直な所だ。まあつまり、公式情報とは言っても
ネット上の情報が正しい保証は何処にも無いのだ。
![_c0032138_17233594.jpg]()
さて、本EF90-300では無く、銀塩時代1990年代での
EF75-300の話に戻るが・・
そのレンズは、初代、USM型、Ⅱ型、Ⅲ型とマイナー
チェンジを繰り返し、その度に重量が、初代の500g
から僅かづつ軽量化されていく。EF75-300のⅢ型
(1999年)で480gまで落ちていたのだが・・
この直後の時代は、銀塩からデジタルへの転換期
である、EOS Kissのデジタル版(Kiss Digital)
等は当然、製品企画として上がっていただろうから
望遠レンズを(デジタル)入門層に売ろうとしたら
できるだけ小型軽量である事が望ましい。
なので、本レンズEF90-300は、EF75-300(Ⅲ)と
同じ9群13枚構成ながら、広角端の焦点距離を
僅かに犠牲にし、つまり、約10年ほど時代が
戻った仕様とし、収差補正上での光学系の制約を
僅かに緩め、その結果として60gの軽量化に成功した
のであろう。
ちなみに定価も、EF75-300(Ⅲ)の43,800円から、
僅かに値下げして、EF90-300では40,000円と
なっていた模様だ。
で、CANONの良いところは、交換レンズの性能向上に
ついて、細かい光学系の改良を、短期間で何度も
何度も繰り返すという点にあると思う。
他社では、何十年間も光学系を変えず、外観等を
変えるだけで新製品としていたケースも、多数の
実例がある。
まあ、新規の光学系を開発し、それを製造する、
というのは、ユーザー層が想像するよりも遥かに
手間やお金がかかる事だ。あるいは、前機種と
写りが変わったら、ユーザーからのクレームになる
リスクも無きにしもあらずだろう。
だから、正直言えば、メーカー側としても、それ
(光学系の刷新)は、やりたく無いのだろうと思われる。
光学系を変更するよりも、MFレンズをAF化したり、
AFレンズに超音波モーターや手ブレ補正を入れる
方が楽であり、それによる「値上げ」の大義名分
(言い訳)も、簡単になるからだ。
![_c0032138_17233560.jpg]()
さて、本EF90-300の話にやっとなるのだが・・
描写力上の不満は、さほど無い。「コストダウンと
軽量化」が主体とは言え、細かい改良を施した効果
は、それなりに出ていると思う。
ボケ質破綻が僅かに出るが、そこはご愛嬌だろう。
最大の課題は、MFの操作性だ。
何と、USM仕様でありながら、フルタイムMF機能が
使えない!
AFでピントを合わせた状態からMFを使おうとしても
重たいピントリングが簡単には廻らず、実用には
適さない。MFを使おうとしたら、都度、レンズ側の
AF/MF切換スイッチをMFに倒さないとならないのだ。
近年の中国製CANON EFマウントAFレンズ、
例えば、MEIKE MK85/1.8(本シリーズ第36回)
や、YONGNUO YN85/1.8(本シリーズ第59回)
といった、高性能AFモーターを持たない廉価版
レンズであれば、それはやむを得ないのだが、
CANON純正としては珍しく、恐らくだが、AF時代
初期のA型番が付いたレンズ(AF専用という意味か?)
具体的には、CANON EF100-200/4.5A(1988年、
本シリーズ第17回記事)あたりしか知らない。
ただ、不思議な事に上記3本のレンズ、MK85/1.8、
YN85/1.8、そしてEF100-200/4.5Aのいずれも
(何故か)描写力が高く、それでいて価格が安価な
為、コスパがとても良く、お気に入りのレンズ群だ。
そして本EF90-300も同様、そこそこの高描写力で
500円の入手価格は、極めてコスパが高い。
何故なのだろうか? コスパが良くて気にいっている
レンズ群であるのに、「MFがちゃんと使えない」
という重欠点を抱えてしまっている。
う~ん、下手をすれば、「廉価版レンズを買う層は、
いずれもビギナーか入門層であるから、MFなんか
使える筈も無い、AF専用でコストダウンできる
ならば、それで良いでは無いか!」というような
「ユーザーを下に見た」設計思想である、という
事なのだろうか? だとしたら残念な話である。
なお、この、シームレスMFが効かない点が
「AF故障品」と見なされていたのだろうか?
それ故のジャンク価格であったのか?
まあでも、これは恐らく「そういう仕様」だと思う、
いざとなれば、AF性能に優れた母艦でAFに特化して
使うか、あるいは、MF性能の高い母艦でMFで使えば
何も問題無い訳だ・・
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次は、今回ラストのレンズ
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レンズは、Meyer Optik Goerlitz DOMIPLAN 50mm/f2.8
(注:原語綴りには変母音が含まれるが、記載便宜上
それを省略し、代替表記を行っている)
(中古購入価格 7,000円)
カメラは、SONY α7(フルサイズ機)
詳細不明。恐らくは、1960年代~1970年代頃に
東独にて生産されたMF標準レンズであり、M42マウント
である。
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メーカー「Meyer Optik」(本来、マイヤーと読む)は、
ドイツで1896年に設立された老舗光学機器メーカーで
あるが、第二次大戦の敗戦で東西分断、旧ソ連体制下に
おいて、PENTACON(ツァイス)への統合、そして
事業縮小やら、ドイツ再統一後の消滅・・
さらには、近代(2010年代後半)での復活、その後の
経営者の事故による再度の事業停止。資本投下による
再再度の復活、と、激動の歴史を歩んだ企業である。
本DOMIPLAN50/2.8は、戦後、東独時代のレンズで
あり、低価格帯の標準レンズを製造する意図があった
と聞く。旧来のPrimotar 50mm/F2.8の後継との事。
しかし、昔の東独のレンズ等は、そんなに潤沢に
中古品が流通している訳ではなく、前機種とか、
なんだとか言われても、あまりピンとはこない。
まあ、現代においても本DOMIPLAN 50/2.8あたりが、
かろうじて入手可能な感じであろうか・・
ただまあ、低価格化の弊害か、あまり高級感は無い
レンズである。
で、以前、コシナ社がフォクトレンダーの発売記念に、
一部の上得意ユーザー層に「東ドイツカメラの全貌」
という、高価な大型本を贈ってくれた事があった。
それを読むと、本DOMIPLAN50/2.8の事も少し書いては
あるのだが・・ 他に殆ど、当時の「東側」の公開
資料は無いし、その大型書籍も、情報量は多いのだが
ジャーナリスト等の著作なので、技術的背景等の正確性
に欠ける部分もある。まあつまり、たとえ、ちゃんとした
書籍であったとしても、それを、現代において、そのまま
信じて引用するのは、怪しい部分もある、という事だ。
以降は、自分なりの分析を進めていこう。
(注:「東ドイツカメラの全貌」は、多くのユーザー層
に配布された為か?現代の準公式Webのようなサイトにも、
この書籍のみを引用元として記載しているケースが多い。
しかし、そうした準公式サイトでは、誤記だらけで、殆ど
参考にならない。まあ、この書籍の引用に限らず、たいてい
何処かからか、転記してきただけの情報で纏めているだけ
だと思われ、現物の機材を確認・参照していない事が最大
の問題なのだろう。また、「引用があるから正しいのだ」
と思ってしまう風潮も、あまり褒められたものでは無い)
さて、「Meyer Optik」は、その後の近代においても、
何度か復興(ブランド名を再度使う)の動きはあったが、
どれも成功せず、やっと、2010年代になって、また
新規にレンズの生産および、その国際展開を始めたとの
事である。(KENKO TOKINA社も2017年に代理店登録)
ただし、これらの復刻版の新レンズは非常に高価であり、
新品で20万円以上、中古でも軽く10万円以上もする為、
上級マニア層においても「憧れのレンズ」となっている
のだが、まあ、生産量が少ないが故の、高価な価格帯
なのであろう。(=あまり売れなければ、当然高価だ)
しかし、この復活(新)Meyer Optikは、数年後に
経営者の事故により、事業を停止してしまったと聞く。
さらに数年後(2020年だったか?)に新Meyer Optik
の新品在庫品の処分が行われたのだが、やはり高価だった
のと、コロナ禍初期の世情不安から、購入は見送った。
どうやら、(新)Meyer Optikは、一旦倒産して
しまっていた模様で、そこから資本投下が入り、
さらに翌年、2021年に(新・新)Meyer Optik
として活動を再開したとのこと。
もう何度、倒産と復活を繰り返したのだろうか?
良くわからないメーカーである(汗)
で、同社が戦前から製造していた3群3枚(トリプレット)
構成のレンズは、「TRIOPLAN」と呼ばれている/いた。
これは「シャボン玉ボケ」が発生する事で知られている。
(注:マニア層の一部では「バブルボケ」とも呼ばれる。
ただし、近年のビギナー層が言う「玉ボケ」とは異なり、
そちらは、単なる円形ボケであり、絞りを開放にすれば、
どんなレンズでも出るものだが、ここで言う「シャボン玉
ボケ」は円形ボケに二線ボケの輪郭線が発生する状態を指す。
でもまあ、そんな状態は、さまざまなオールドレンズで出そう
なものであるが、あまりちゃんと、それを試した人は居ない
のであろう・・ なので、TRIOPLAN100mmが、特に有名で
その結果、投機的要素で高騰してしまったそうだ・・
→あまり興味が無い経緯なので、良く知らない・汗)
![_c0032138_17234907.jpg]()
で、まあ、TRIOPLANと類似の、トリプレット構成である
本DOMIPLANだが、50mm/F2.8で、焦点距離が短くて暗く、
かつ最短撮影距離が75cmもある為、背景ボケを発生させる
には、高い撮影・機材スキルが必要であるから、こちらの
レンズの「シャボン玉ボケ」は、あまり話題にならず、
中古相場も安価で、投機的な要素は、全く発生していない。
さて、今回、本レンズを使うにあたり、「M42ヘリコイド
アダプター」を使用し、フルサイズ機に装着する。
絞りは勿論開放、これで、像面湾曲や非点収差等が
「わらわら」と(笑)発生するから、こういう状態では、
シャボン玉ボケだろうが、ぐるぐるボケだろうが自由自在
となる。ボケ質は、すぐに破綻する為、逆説的には、その
コントローラビリティは高い、とも言えよう。
![_c0032138_17234990.jpg]()
絞り開放近く、かつ近接撮影において、背景に光源を
入れた場合、「シャボン玉ボケ」が発生するが、画面周辺
では収差の影響で、ボケの変形が甚だしい。
この手のレンズの場合、どうしても「シャボン玉ボケ」を
出すような技法に特化してしまいそうなのだが、
元々、トリプレット構成のレンズであるから、やや絞り
込む事で収差は低減され、シャープな写りを得る事が
出来る。
概ね、絞り値、撮影距離(注:ヘリコイドアダプターを
用いないと、75cmの長い最短撮影距離に悩まされる)、
背景の光源等を作画意図に応じてバランスよくコントロール
する事で、様々な描写傾向を得る事ができる。
まあ、比較的テクニカルであはあるが、「エンジョイ度」
の高いレンズだとは言えよう。
![_c0032138_17235459.jpg]()
総括だが、あまり高価な場合は推奨できないが、
8,000円以下程度の中古相場であれば、中級マニア層以上
には推奨できるレンズだ、と言えるかも知れない。
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さて、今回の第90回記事は、このあたり迄で・・
次回記事に続く。
関連記事では未紹介のマニアックなレンズを主に
紹介・評価するシリーズ記事。
今回は未紹介レンズ4本を取り上げる。
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ではまず、今回最初のレンズ

(新品購入価格 10,000円)(以下MK50/2)
カメラは、CANON EOS M5(APS-C機)
2017年頃発売の中国製ミラーレス機(APS-C以下)
専用、単焦点MF標準(中望遠画角)レンズ。
EF-Mマウント版での購入であり、交換レンズの
販売ラインナップが少ないEF-Mマウントにおいて、
「ユーザー側ラインナップ」、すなわち、利用者が
どのように、そのマウントでのレンズを揃えて行くか?
という視点において、必要性を感じて購入したレンズ
である。

として使える事が利点ではあるが、実際に使用して
いると、課題も色々と感じるレンズである。
まずは、最短撮影距離が65cmと長い。
換算画角の80mmに対しては、これでも焦点距離
の10倍則(80cm)よりも寄れている計算だが、
「10倍則」は、実焦点距離に対しての感覚的な
性能の目安であり、かつ、銀塩時代からの通例で、
「50mm標準レンズの最短撮影距離は45cm」
という意識(=それが標準的な性能)がある。
この為、本レンズは「寄れない」という不満を
かなり強く感じるレンズだ。
具体的に、他のレンズで同等システムを構築する
ケースを考えてみれば、もしEOS M5等の利用者が
EF-EOS M電子マウントアダプター(中古6000円前後)
を所有しているのであれば、EOS EF/EF-Sマウントの
各種レンズを装着し、AFで使用できる。
その際、CANON EF50mm/F1.8Ⅱ あるいは
中国製YONGNUO YN50mm/F1.8(注:両者は同一
の光学系)のいずれかを装着するならば、本レンズと
ほぼ同等のスペックで、描写力も、本レンズよりも
EF50/1.8ⅡやYN50/1.8の方が、やや優れる。
かつ、それらの最短撮影距離は45cmなので、
本MK50/2の65cmよりも、ずっと寄れる。
そして、本MK50/2は、ほとんど中古流通は無いが
EF50/1.8Ⅱは中古の玉数が豊富で、相場は7,000円
程度と、本レンズの新品価格よりも安価だ。
また、YN50/1.8は新品で7000円位、中古は滅多に
見ないが、あれば3000円~4000円と激安だ。
(本シリーズ第20回記事YN50/1.8の項目参照)
つまり、EF-EOS Mアダプターさえ持っていれば、
EOS M機に、このように流通が豊富で安価なEF/EF-S
マウント用レンズを色々と装着できるので、あえて
EF-M専用レンズ、しかも(当たり外れのある)中国製
のMFレンズを買う必要性が、あまり無くなってしまう。
ただまあ・・
EF用レンズを使うのも、いつも同じレンズばかりでは
芸も無いと思い、本MK50/2の購入検討を開始したが、
本MK50/2の最短撮影距離情報はWeb等からは見つからず
あまり気にせず買ってしまった(中国製レンズ等では、
その販売者がカメラ等の専門業者では無い場合が多く
仕様表記等が、いい加減(不十分)の場合が多い)
そして、EOS M5のカメラ本体は小型軽量(427g)の
高性能機であり、そこにマウントアダプターを介して、
フルサイズ対応レンズを付けると、やや大型化して
しまうので、それを嫌って、EOS M機に装着できる小型
軽量レンズとして、本MK50/2(188g)を選んだ次第だ。

最短撮影距離問題。それから、本MK50/2は、十分に
小型軽量だと思ってはいたのだが、実際に手にすると、
フィルター径φ49mmは、銀塩MFの小口径標準レンズと
ほぼそのままのサイズ感であり、軽量だと思っていた
188gも、意外にずっしりとした重量だ。
念の為、EF50/1.8Ⅱの重量を調べてみると130g。
が、それは所有していないので、同等品のYN50/1.8
の重量を測ると(注:公称値なし)118g(実測値)
と、いずれも本MK50/1.8よりも、ずっと軽い(汗)
匠「あちゃ~、ちょっと失敗か? システムの
小型軽量化を目論んだのに、何だか自分でも
良くわからない事をやっているよ(汗)」
と、一瞬悔やんだが、まあでもEF-EOS Mのアダプター
が110gあるので、やはり、それを介すると重量増に
なるし、「まあいいかあ・・」と、無理に納得した。
次の課題としては、EOS M5のピーキング精度が
やや低い。だが、ここは私はCANON機でピーキング
が搭載されているカメラで、最初に買ったのが
このEOS M5であり、ピーキングの実用性を購入前に
チェックできない(注:店頭で、少し触った程度では
良くわからない。実際に屋外に持ち出し、様々な
レンズを付けて使ってみないと真の実用性能は不明だ)
・・ので、やむを得ない所はある。
CANON機に限らず、他社のミラーレス機等においても、
私は、ピーキング機能への評価は厳しい目であり、
なかなか好評価を下す事は無い。
その理由は、完全独自構想のピーキング機能を作った
経験があり(プログラミング・シリーズ第3回記事
「高精度ピーキング比較ソフトのプログラミング」)
その自作アルゴリズムの精度の方が、各カメラメーカー
のピーキング精度よりも優秀であったからだ。
「日曜大工」ならぬ、個人の「日曜プログラミング」に
メーカーの画像処理技術が負けていたら話にならない。
とても厳しく評価をするのも、やむをえない話であろう。
この課題(カメラのピーキング精度)の回避としては、
被写体状況によりけりで、カメラ側のピーキング精度を
頻繁に変更する事だ。だが、残念ながらEOS M5には
DIAL FUNCやM-Fnといった、新規操作子が搭載されて
はいるものの、それらへのアサイナブル項目に
「ピーキング強度」は含まれていない。まあつまり
メーカー側としても「想定外の用法」なのだろう。
やむなく、”マイメニュー登録”機能を用い、そこから
「MFピーキング」設定を行う。多少、操作上での手数は
増えるが、我慢できない程の操作系悪化では無い。

という感じで、特筆すべき長所も短所もあまり無い。
レンズ構成は5群6枚と、恐らくこれは、銀塩MF時代
での変形ダブルガウス型と同等と思われる。
(これは比較的完成度の高いレンズ構成だ)
他の中国メーカー製レンズには、よくあるように、
2/3程度に焦点距離やイメージサークルを縮めて設計
された「縮小版ジェネリック」では無く、場合により
「そのままジェネリック」かも知れない。
そういう設計とすれば、小型化による入射瞳(径)の
減少で、開放F値が下がっているのかも知れないが、
まあでも、1/4000秒機が最大であるEOS Mマウント
ミラーレス機用としては、開放F2は妥当な仕様だ。
(注:本レンズは他のミラーレス機用でも発売
されている)
だがまあ、同じ5群6枚構成の、EF50/1.8(Ⅰ/Ⅱ)
やYN50/1.8の方が、本MK50/2よりも、感覚的に
描写力が高いので、やはり、わざわざ本MK50/2を
購入したのは失敗だったかも知れない。
他(ミラーレス機)マウント版での購入も同様に、
あまり推奨できない。
何故ならば、例えばPENTAX SMC TAKUMAR 55mm/
F1.8やら、RICOH XR RIKENON 50mm/F2、それから
MINOLTA MC ROKKOR-PF 50mm/F1.7等、銀塩MF
時代の小口径標準レンズの名玉は、いくらでも存在し、
それらを各ミラーレス機にアダプターを介して装着した
方が、ずっとエンジョイ度が高まるだろうからだ。
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では、次のシステム。

(ジャンク購入価格 500円)(以下、SOLIGOR80-200)
カメラは、PANASONIC DMC-G6(μ4/3機)
詳細出自不明、発売年も不明、恐らくは1970年前後の
製品であろうか?
型番のC/Dの意味も不明、ともかく、何もかもが
良くわからないレンズである(汗)
過去の本シリーズ第30回、第73回記事でも、
SOLIGOR社製の135mm/F3.5レンズを紹介しているが、
まあ、「写りが悪い」と一刀両断の評価だった(汗)
SOLIGOR自体、聞き慣れないメーカー名だろうが、
銀塩MF時代に「交換型マウント機構」を開発していた
事から、多数の各社マウント用のMFレンズを販売して
いたと思われ、1990年代の中古カメラブームの際にも、
たまに中古を見かける時もあったし、近年においても
ごく稀に、ジャンクコーナー等で見かけるので・・
そういう場合には「ワンコイン・レッスン」、つまり
「写りが悪い事は予想はついているが、その弱点を
回避する為の練習用の教材として、そのレッスン費が
ワンコイン(500円)であれば、まあ許せる」
という観点から、購入する事とした訳だ。

長所、それらが分かったら、弱点を回避する方法論を
模索する、ここまでがワンコインレッスンのメニューだ。
本レンズはNIKON F(Ai)マウント品であった、
開放F値固定型の、ワンハンド式望遠ズームであるから
この手のスペックのレンズには、私が「望遠母艦」と
呼んでいるPANASONIC DMC-G6をあてがうのが望ましい。
史上最強のMF望遠ズーム母艦であるDMC-G6でも、仮に
上手く使いこなせない問題点が出たのならば、他社機
や他機では、もうお手上げであろう。
まず、逆光耐性が低い。EVFでもすぐにわかるほどに
フレアによるコントラスト低下が起こる。けど半世紀も
前のオールド望遠ズームであれば、当然の状況だろう。
そして、そもそも外観は綺麗ではあるが、レンズには
軽い「クモリ」がある、経年劣化なのでやむを得ない。
マクロモードはズーム広角端にて使えるが、そもそも
最短撮影距離のスペックが不明である。距離指標は
通常モードで2m位まで、マクロモードでやっと1.3m
あたりだろうか? いずれのスペックも物足りない。
(注:やや後年1980年頃での同等仕様の望遠ズーム
では、だいたい通常モードで1.2m~1.5m程度、
マクロ域では、90cm(望遠端)とか、中には56cm
(広角端)まで寄れるものもある)
ただまあ、寄れない事はわかっていたから、その点も
μ4/3機のDMC-G6で、かつ、同機の優れた操作系
でのデジタルズーム/デジタルテレコン機能を用いて
仮想的に撮影倍率を上げ、寄れない不満を解消できる。

軸上色収差であれば、絞りを絞り込む事で解消できるが
望遠域の倍率色収差に関しては、そのまま残ってしまう。
回避法は、「白い被写体を撮らない」である(笑)
そして解像感が低い。この点は回避は難しいのだが、
望遠端や広角端等の、収差の補正が設計上では難しいと
予想される焦点域を避け、あえて中途半端な中間画角
(160mmとか)で撮影し、光学ズームの代わりとして
デジタルズームで構図調整をする、という技法を用いる。
そして絞りをF5.6~F8程度に、やや絞る事も重要だ。
幸い、本レンズは開放F値固定型ズームであるから、
ズーミングで、設定値以上に絞り値が暗くなる事は
無い為、その特徴を最大限に活用するには、初めから
諸収差の低減に有利な絞り値を選択する事が必要だ。
ただし、絞り込んだからと言って、各種ある収差の
いずれもが低減する訳では無い。
(→匠の写真用語辞典第29回記事参照)
そこを理解した上で、”何でもかんでも絞り込めば
描写力は高まる”とは、思い込まない方がベターだ。
絞り値の課題は、もう1つある。
それは、本レンズではボケ質破綻が頻発する事であり、
若干は、その様子はEVF等でも事前確認は出来るのだが、
いざ、ボケ質の破綻を絞り値で調整しようとしても、
大口径レンズのように「大ボケ」させて目立たなく
する事は出来ない、本レンズは最大でも開放F4.5だ。
また、絞り込んで回避しようとしても、そもそも
解像感の向上の為に、F8程度で撮っているのだから
その上は、F11、F16、F22の3つしか選択肢が無い。
(注:一部の値には1/2段中間絞り値が存在している)
で、あまりに絞り込みすぎると、「小絞りボケ」とかの
どこかで聞いたような良くわからない話を気にする前に、
(↑システムによりけりだ、個人的には一切気にしない)
手ブレ補正無しの本システムでは、そもそも撮影不能
となる。400mm相当の望遠域では、昼間でもF22では
通常ISO感度では、まず撮れない。
超低解像力と思われる本レンズに、撮像センサー側の
ピクセルピッチが小さいμ4/3機は、あまりシステム的な
バランスが良く無いのではあるが、もうやむを得ない、
画質を云々言う前に、撮れるか撮れないか?の世界だ。
ボケ質破綻の回避は、もう諦めた。いかにあれこれと
工夫をしても、もはや限界。無理なものは無理なのだ。
長所? それはあまり無い。あえて言えば、様々な
技法を用いて弱点を出来るだけ回避して撮るならば
条件がハマれば、50年も前の500円のジャンクレンズ
だ、とは誰も思わないような、ごく普通の写真が
撮れる、という、ただそれくらいだろうか・・

これで500円、まあ、趣味での練習代として考えれば、
1枚の撮影あたりでコンマ数円、と廉価であるから、
ゴルフの打ちっぱなしの練習とかよりも安上がりだ。
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さて、次のシステム。

(ジャンク購入価格 500円)(以下、EF90-300)
カメラは、CANON EOS 8000D(APS-C機)
2002年発売のEFマウント(フルサイズ対応)
軽量AF望遠ズーム。
300mm級の望遠レンズとしては、重量が420gと
軽量の類である。
2002年発売、というのは購入時では知らずに、
「1990年代前半頃のレンズだろう」と判断して
購入していた。
・・と言うのも、1980年代位での各社MF300mm級
望遠ズームは、100-300mmの仕様が多かった
(例:CANON (New) FD100-300mm/f5.6 1980年、
本シリーズ第88回記事等参照)・・のだが、
ここからAF化時代において、同300mm級ズームの
広角端の焦点距離は、90mm、85mm、75mm、と
少しづつ縮まり、2000年代位に、ようやく近代的
スペックである、70-300mmあたりに落ち着いた
歴史がある。
そんな中、90-300mmの仕様の本レンズを見れば、
匠「100-300mmが70-300mmへ変化する間の
成り掛けのレンズかな? 同じスペックの
TAMRON AF90-300mm/f4.5-5.6
(本シリーズ第34回記事参照)が確か1990年
発売だから、本レンズも1990年代前半という
所か?」
と思ってしまうのもやむを得ない。
だが、購入し、帰宅して調べてみると、その時代の
CANON AF望遠ズームは、75-300mm/f4.5-5.6
のスペックが1990年代を通じて発売されていて
90-300mmのレンズは存在せず、2002年と新しい
時代となって、やっと本EF90-300が発売された
事に、ちょっと驚いてしまった。

「CANON ZOOM LENS EF 90-300mm 1:4.5-5.6 USM」
と記載されている。
しかし、正式名称はCANONのWebによると、
CANON EF90-300mm F4.5-5.6 USMである。
ここで注意するべきは、F値の表記法では無い、
各社とも、レンズ上と製品名が違う事、さらには
F値の書き方すらもまちまちな点は、本ブログでは
良く「問題点だ!」と指摘している事であり、
各社で統一的な表記法が存在していないから、
本ブログでは、○○mm/f△ といった「暫定的
共通表記法」を(不本意ながら)ずっと使わざるを
得ない状況なのだ。
で、注意するのは、そこでは無く、「EF」という
シリーズ型番だ。
他社レンズでは、 このシリーズ型番(Ai AFとか
FAとか、AFとか)の後の焦点距離表記との間には
空白(スペース)が入る事が一般的(ほぼ全て)
なのだが、CANONの場合は、その空白が入らない。
つまり、「EF 90-300mm」は、誤りであり、
「EF90-300mm」が正式だ、との事になる(??)
私が、その事に気づいたのは比較的近年であり、
CANONのWeb上の「CANON CAMERA MUSEUM」
で、古いレンズの情報を検索しようとした際に、
EFの後(および、それ以前のFDも同じ)に
空白(スペース)を入れたところ、全く検索が
されず何も表示されない。
匠「なんで出て来ない! こっちはレンズ上に
書いてある通りに打ち込んでいるのだから
出て来ないはずが無いだろう!(怒)」
とブチ切れていたのだが、良く良く見てみると
空白(スペース)が無いのが正式名(??)であり、
そう打ち込むと、普通に検索される事がわかった。
だけど、レンズ上では空白アリなのに、
Web上の製品名では空白ナシとは、いったい
どっちが正しいのか?など、わかりようが無い。
ちなみに、他のカメラ・レンズメーカーのWebでも
製品上に書かれている名称(これが本来ならば正しい
はずだ)と、Web等での記載が異なるケースを多数
見かけている。
私は、こうした場合、「Web制作担当者にカメラや
レンズの知識が無い/興味が無い」と見なしている。
ホンモノのカメラやレンズ等、見た事も無い状態で
HTMLなどを書いたりデザインをしていたら、
「そりゃあまあ、間違えるわなぁ・・」というのが
正直な所だ。まあつまり、公式情報とは言っても
ネット上の情報が正しい保証は何処にも無いのだ。

EF75-300の話に戻るが・・
そのレンズは、初代、USM型、Ⅱ型、Ⅲ型とマイナー
チェンジを繰り返し、その度に重量が、初代の500g
から僅かづつ軽量化されていく。EF75-300のⅢ型
(1999年)で480gまで落ちていたのだが・・
この直後の時代は、銀塩からデジタルへの転換期
である、EOS Kissのデジタル版(Kiss Digital)
等は当然、製品企画として上がっていただろうから
望遠レンズを(デジタル)入門層に売ろうとしたら
できるだけ小型軽量である事が望ましい。
なので、本レンズEF90-300は、EF75-300(Ⅲ)と
同じ9群13枚構成ながら、広角端の焦点距離を
僅かに犠牲にし、つまり、約10年ほど時代が
戻った仕様とし、収差補正上での光学系の制約を
僅かに緩め、その結果として60gの軽量化に成功した
のであろう。
ちなみに定価も、EF75-300(Ⅲ)の43,800円から、
僅かに値下げして、EF90-300では40,000円と
なっていた模様だ。
で、CANONの良いところは、交換レンズの性能向上に
ついて、細かい光学系の改良を、短期間で何度も
何度も繰り返すという点にあると思う。
他社では、何十年間も光学系を変えず、外観等を
変えるだけで新製品としていたケースも、多数の
実例がある。
まあ、新規の光学系を開発し、それを製造する、
というのは、ユーザー層が想像するよりも遥かに
手間やお金がかかる事だ。あるいは、前機種と
写りが変わったら、ユーザーからのクレームになる
リスクも無きにしもあらずだろう。
だから、正直言えば、メーカー側としても、それ
(光学系の刷新)は、やりたく無いのだろうと思われる。
光学系を変更するよりも、MFレンズをAF化したり、
AFレンズに超音波モーターや手ブレ補正を入れる
方が楽であり、それによる「値上げ」の大義名分
(言い訳)も、簡単になるからだ。

描写力上の不満は、さほど無い。「コストダウンと
軽量化」が主体とは言え、細かい改良を施した効果
は、それなりに出ていると思う。
ボケ質破綻が僅かに出るが、そこはご愛嬌だろう。
最大の課題は、MFの操作性だ。
何と、USM仕様でありながら、フルタイムMF機能が
使えない!
AFでピントを合わせた状態からMFを使おうとしても
重たいピントリングが簡単には廻らず、実用には
適さない。MFを使おうとしたら、都度、レンズ側の
AF/MF切換スイッチをMFに倒さないとならないのだ。
近年の中国製CANON EFマウントAFレンズ、
例えば、MEIKE MK85/1.8(本シリーズ第36回)
や、YONGNUO YN85/1.8(本シリーズ第59回)
といった、高性能AFモーターを持たない廉価版
レンズであれば、それはやむを得ないのだが、
CANON純正としては珍しく、恐らくだが、AF時代
初期のA型番が付いたレンズ(AF専用という意味か?)
具体的には、CANON EF100-200/4.5A(1988年、
本シリーズ第17回記事)あたりしか知らない。
ただ、不思議な事に上記3本のレンズ、MK85/1.8、
YN85/1.8、そしてEF100-200/4.5Aのいずれも
(何故か)描写力が高く、それでいて価格が安価な
為、コスパがとても良く、お気に入りのレンズ群だ。
そして本EF90-300も同様、そこそこの高描写力で
500円の入手価格は、極めてコスパが高い。
何故なのだろうか? コスパが良くて気にいっている
レンズ群であるのに、「MFがちゃんと使えない」
という重欠点を抱えてしまっている。
う~ん、下手をすれば、「廉価版レンズを買う層は、
いずれもビギナーか入門層であるから、MFなんか
使える筈も無い、AF専用でコストダウンできる
ならば、それで良いでは無いか!」というような
「ユーザーを下に見た」設計思想である、という
事なのだろうか? だとしたら残念な話である。
なお、この、シームレスMFが効かない点が
「AF故障品」と見なされていたのだろうか?
それ故のジャンク価格であったのか?
まあでも、これは恐らく「そういう仕様」だと思う、
いざとなれば、AF性能に優れた母艦でAFに特化して
使うか、あるいは、MF性能の高い母艦でMFで使えば
何も問題無い訳だ・・
----
次は、今回ラストのレンズ

(注:原語綴りには変母音が含まれるが、記載便宜上
それを省略し、代替表記を行っている)
(中古購入価格 7,000円)
カメラは、SONY α7(フルサイズ機)
詳細不明。恐らくは、1960年代~1970年代頃に
東独にて生産されたMF標準レンズであり、M42マウント
である。

ドイツで1896年に設立された老舗光学機器メーカーで
あるが、第二次大戦の敗戦で東西分断、旧ソ連体制下に
おいて、PENTACON(ツァイス)への統合、そして
事業縮小やら、ドイツ再統一後の消滅・・
さらには、近代(2010年代後半)での復活、その後の
経営者の事故による再度の事業停止。資本投下による
再再度の復活、と、激動の歴史を歩んだ企業である。
本DOMIPLAN50/2.8は、戦後、東独時代のレンズで
あり、低価格帯の標準レンズを製造する意図があった
と聞く。旧来のPrimotar 50mm/F2.8の後継との事。
しかし、昔の東独のレンズ等は、そんなに潤沢に
中古品が流通している訳ではなく、前機種とか、
なんだとか言われても、あまりピンとはこない。
まあ、現代においても本DOMIPLAN 50/2.8あたりが、
かろうじて入手可能な感じであろうか・・
ただまあ、低価格化の弊害か、あまり高級感は無い
レンズである。
で、以前、コシナ社がフォクトレンダーの発売記念に、
一部の上得意ユーザー層に「東ドイツカメラの全貌」
という、高価な大型本を贈ってくれた事があった。
それを読むと、本DOMIPLAN50/2.8の事も少し書いては
あるのだが・・ 他に殆ど、当時の「東側」の公開
資料は無いし、その大型書籍も、情報量は多いのだが
ジャーナリスト等の著作なので、技術的背景等の正確性
に欠ける部分もある。まあつまり、たとえ、ちゃんとした
書籍であったとしても、それを、現代において、そのまま
信じて引用するのは、怪しい部分もある、という事だ。
以降は、自分なりの分析を進めていこう。
(注:「東ドイツカメラの全貌」は、多くのユーザー層
に配布された為か?現代の準公式Webのようなサイトにも、
この書籍のみを引用元として記載しているケースが多い。
しかし、そうした準公式サイトでは、誤記だらけで、殆ど
参考にならない。まあ、この書籍の引用に限らず、たいてい
何処かからか、転記してきただけの情報で纏めているだけ
だと思われ、現物の機材を確認・参照していない事が最大
の問題なのだろう。また、「引用があるから正しいのだ」
と思ってしまう風潮も、あまり褒められたものでは無い)
さて、「Meyer Optik」は、その後の近代においても、
何度か復興(ブランド名を再度使う)の動きはあったが、
どれも成功せず、やっと、2010年代になって、また
新規にレンズの生産および、その国際展開を始めたとの
事である。(KENKO TOKINA社も2017年に代理店登録)
ただし、これらの復刻版の新レンズは非常に高価であり、
新品で20万円以上、中古でも軽く10万円以上もする為、
上級マニア層においても「憧れのレンズ」となっている
のだが、まあ、生産量が少ないが故の、高価な価格帯
なのであろう。(=あまり売れなければ、当然高価だ)
しかし、この復活(新)Meyer Optikは、数年後に
経営者の事故により、事業を停止してしまったと聞く。
さらに数年後(2020年だったか?)に新Meyer Optik
の新品在庫品の処分が行われたのだが、やはり高価だった
のと、コロナ禍初期の世情不安から、購入は見送った。
どうやら、(新)Meyer Optikは、一旦倒産して
しまっていた模様で、そこから資本投下が入り、
さらに翌年、2021年に(新・新)Meyer Optik
として活動を再開したとのこと。
もう何度、倒産と復活を繰り返したのだろうか?
良くわからないメーカーである(汗)
で、同社が戦前から製造していた3群3枚(トリプレット)
構成のレンズは、「TRIOPLAN」と呼ばれている/いた。
これは「シャボン玉ボケ」が発生する事で知られている。
(注:マニア層の一部では「バブルボケ」とも呼ばれる。
ただし、近年のビギナー層が言う「玉ボケ」とは異なり、
そちらは、単なる円形ボケであり、絞りを開放にすれば、
どんなレンズでも出るものだが、ここで言う「シャボン玉
ボケ」は円形ボケに二線ボケの輪郭線が発生する状態を指す。
でもまあ、そんな状態は、さまざまなオールドレンズで出そう
なものであるが、あまりちゃんと、それを試した人は居ない
のであろう・・ なので、TRIOPLAN100mmが、特に有名で
その結果、投機的要素で高騰してしまったそうだ・・
→あまり興味が無い経緯なので、良く知らない・汗)

本DOMIPLANだが、50mm/F2.8で、焦点距離が短くて暗く、
かつ最短撮影距離が75cmもある為、背景ボケを発生させる
には、高い撮影・機材スキルが必要であるから、こちらの
レンズの「シャボン玉ボケ」は、あまり話題にならず、
中古相場も安価で、投機的な要素は、全く発生していない。
さて、今回、本レンズを使うにあたり、「M42ヘリコイド
アダプター」を使用し、フルサイズ機に装着する。
絞りは勿論開放、これで、像面湾曲や非点収差等が
「わらわら」と(笑)発生するから、こういう状態では、
シャボン玉ボケだろうが、ぐるぐるボケだろうが自由自在
となる。ボケ質は、すぐに破綻する為、逆説的には、その
コントローラビリティは高い、とも言えよう。

入れた場合、「シャボン玉ボケ」が発生するが、画面周辺
では収差の影響で、ボケの変形が甚だしい。
この手のレンズの場合、どうしても「シャボン玉ボケ」を
出すような技法に特化してしまいそうなのだが、
元々、トリプレット構成のレンズであるから、やや絞り
込む事で収差は低減され、シャープな写りを得る事が
出来る。
概ね、絞り値、撮影距離(注:ヘリコイドアダプターを
用いないと、75cmの長い最短撮影距離に悩まされる)、
背景の光源等を作画意図に応じてバランスよくコントロール
する事で、様々な描写傾向を得る事ができる。
まあ、比較的テクニカルであはあるが、「エンジョイ度」
の高いレンズだとは言えよう。

8,000円以下程度の中古相場であれば、中級マニア層以上
には推奨できるレンズだ、と言えるかも知れない。
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さて、今回の第90回記事は、このあたり迄で・・
次回記事に続く。