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レンズ・マニアックス(87)補足編~SIGMA EX DG MACRO

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今回記事は補足編として「SIGMA EX DG MACRO」編
とする。
この意味だが、SIGMA製で「EX」と「DG」の型番が
ついている、2000年代~2010年代初頭の期間に
発売された(フルサイズ対応:等倍)マクロレンズ
と定義する。
それら「EX DG MACRO」を、焦点距離の順に5本
(注:同一レンズを含む為、実質4機種)紹介する。
_c0032138_21132845.jpg
なお、今回紹介の機種群に180mmのEX DG MACRO
(注:F3.5版とF2.8版あり)を、加えれば、
それらしか「EX DG MACRO」は存在しない為、
本記事は「グランドスラム」(希少なレンズ群を
全て所有する事、と定義)となるのだが、その
180mmマクロは用途が無いと思って購入していない。
(注:EX DGでは無い銀塩時代のSIGMA 180mm/F2.8
MACROを所有しているが、重過ぎて出動機会が殆ど
無い→特殊レンズ第42回「伝説のSIGMAマクロ」編
を参照)
まあ、「グランドスラム」ではなくても、それは
名目上だけの話なので構わない、実用上でのSIGMA
EX DG MACROは本記事で紹介の範囲で十分であろう。

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ではまず、今回最初のSIGMA EX DG MACRO
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レンズは、SIGMA (AF) MACRO 50mm/f2.8 EX DG
(中古購入価格 9,000円)(以下、EX50/2.8)
カメラは、CANON EOS 8000D (APS-C機)

2004年に発売されたフルサイズ対応AF等倍マクロ
レンズ。
_c0032138_21132800.jpg
正式型番は不明、例によってSIGMAの旧製品は、もう
WEB上にも情報が残っていないし、レンズ上の記載を
参考にしようにも、部分的な型番が順不同で書かれて
いる状態だ。(例:EXとDGは離れた位置に記載)
本記事ではSIGMAの後年の後継レンズの正式型番を
参考にして、妥当と思われる機種名を記載している。
(今回紹介の他のEX DG MACROも同様)

「EX」とは、SIGMAにおいては、「開放F値が
変動しないレンズ」という意味だが、ズームは
ともかく、単焦点では、これは当たり前の仕様だ。
よって、2000年代のSIGMA製単焦点レンズの多く
(全て?)には、「EX」の名称が付けらている。
(注:確か、開放F値変動型超広角ズームの1本
にもEXの名称が付けられていた筈だ→未所有)

「DG」とは”デジタル対応”の意味だと思いきや、
これは「フルサイズ対応」という意味だそうだ。
ただ、DG型番が付いているレンズは、場合により
銀塩一眼レフでは、使用できない可能性もあり、
やはり「デジタル対応である」とも意識しておく
必要はあるだろう。

それとは逆のケースの【重要な注意点】としては、
1990年代までに生産されたSIGMA製EFマウントの
レンズ群(DG型番無し、無印、銀塩用)は、
2000年以降(銀塩EOS 7/デジタルEOS D30以降)
のCANON製一眼レフ(EOS)では、CANON側での
カメラとレンズの通信プロトコルの変更により、
レンズ装着時又は撮影時にエラーとなって実質的に
使用できない。
(注:MINOLTA α一眼レフの場合でも同様な
ケースがあった、という情報もあるが、当該の
組み合わせを所有していない為に未確認だ。
いずれにしても、SIGMA製の1990年代~2000年代
のレンズを使う場合、銀塩機とデジタル機での
相互互換性には要注意だ)
_c0032138_21132871.jpg
さて、本レンズに関しては、旧型(EX DGなし)を
EOS EFマウントで銀塩時代に愛用していたが
前述の2000年のCANON側プロトコル変更により
デジタル機では使えなくなってしまっていた(怒)
それでも、EF用機械絞り内蔵マウントアダプター
で、近年においてまでも「騙し騙し」使っていた。

こうした機械絞り(羽根)内蔵アダプターは、絞り
の光学的な効能が通常とは異なり、露出調整は可能
だが、被写界深度の調整やボケ質破綻の調整には
ほとんど有効では無い。そういう風に非常に制限
された状態でも、旧版SIGMA 50mm/F2.8 Macro
を使用していたのは、基本的には、そのレンズの
描写力が優れていたからである。

私が思うところの、銀塩時代(1990年代迄)の
AF標準等倍マクロで優秀なものは、
MINOLTA AF50/2.8、PENTAX-FA50/2.8、
SIGMA AF50/2.8(旧)の3本であったので、
(他にも色々所有しているが、その3本だけしか
優れていないとも思っている)歴史的に重要な
SIGMAの標準マクロを休眠させたく無かった訳だ。

で、CANON側のプロトコル変更で、旧SIGMA 50/2.8
が使えなくなってしまった歴史は「自社の利益優先で
ユーザーの事を考えない行為である」と、個人的には
ずっと根に持っていて(反感を持っていて)・・
「新型の本レンズを買って対処する」という対策を
保留しつづけた。なんだか、そういう安直な対応を
してしまうと記憶も歴史も「風化」してしまうから、
「何がいけない事なのか」という倫理感、価値観も
薄れてしまいそうであったからだ。旧型を使うたびに
不便をすれば、「そういう考え方で製品を作る事は、
やってはならない事である」と、ユーザー側でずっと
意識が続くからだ。(まあ、だから旧型の紹介記事
でも、ずっと、その件を書き続けてきた訳だ。)

(参考:SIGMA SAマウントというレンズが、
銀塩時代から存在する。
そのマウント形状は、ほぼPENTAX Kであるが、
(注:フランジバック長は異なる)電子接点を見ると
CANON EFと同等形状であり、電子通信プロトコルも
CANON EFに準じている可能性がある。
他にも2010年代のSIGMA製マウントコンバーター
MC-11での、SIGMA EFマウントレンズとCANON EOS
デジタル一眼レフとの親和性の高さ(=機能を
損なわず、装着互換性が高い)を見ると・・
すなわち1990年代以降では、SIGMAとCANONは協業
していた(いる)可能性が高く、そうであれば、
前述の2000年の通信プロトコル変更も、CANON側
単独での判断ではなく、SIGMAの了解を得た上での
変更(もう旧レンズは使えないですが、良いですか?
→はい、結構です)であった可能性も捨てきれない。
ただ、どんな経緯であっても、困るのはユーザー側で
あり、それを問題とする事は、やはり譲れない部分だ)

だが、それも、もう20年も経てば「時効」であろう。
新型の本レンズを買って(まあ、安直ではあるが)
もう、それで済んだ話だ・・
_c0032138_21133691.jpg
本レンズEX50/2.8の長所は、旧型に引き続き、高い
描写力を持つ事である。

後述の「EX70/2.8」は「カミソリマクロ」の異名を
持つが、本EX50/2.8も同様な描写傾向であるし、
さらに言えば、今回紹介のEX DG MACROの内の
望遠マクロを除く3機種は全て類似の描写傾向だ。
この時代の、SIGMAにおけるマクロレンズの設計
コンセプト(味付け、企画方針)が、そうであった
との類推は容易である。つまり、2000年代のSIGMA
EX DG MACROは、全てが「カミソリマクロ」なのだ。

だが、そういう事実は、ここでやっているように、
同等の全ての製品をコンプリート(準グランドスラム)
しないと見えて来ない。

よって、マニア層や評論家層等が、どれかたった1本
のマクロだけを「手に」して(=所有する事。下手を
すれば、買ってもいないケースも十分有り得るだろう)
「これはカミソリマクロと言える」などと神妙に評価
するスタンスは、個人的にはあまり好まない。
「だって、他のEX DG MACROも、皆、カミソリマクロ
 では無いか! 他のレンズの立場はどうなるんだ?」
という感じだからだ。

本EX50/2.8の弱点だが、AF精度・速度に劣る事だ。
この話は長くなるし、他のEX DG MACROにも同様な
弱点がある為、他のレンズの紹介の所で後述する。

----
さて、2本目のEX DG MACRO
_c0032138_21133655.jpg
レンズは、SIGMA (AF) MACRO 70mm/f2.8 EX DG
(中古購入価格 28,000円)(以下、EX70/2.8)
カメラは、CANON EOS 7D (APS-C機)

2006年に発売されたフルサイズ対応AF等倍マクロ。
これも正式型番は不明だ。
_c0032138_21133657.jpg
こちらが、初出の際にインターネット上のレビュー
記事で「カミソリマクロ」と称された事から、
ごく一部のマニア層や、メーカー側でも後継製品
(ART版、2018年)を発売した際にも「カミソリ
マクロ」の愛称を用いたという歴史がある。

(注:マニア層全般に広まっていた呼称では無い。
一部のマニア層では1980年代頃のTOKINA 90/2.5を、
カミソリマクロと評した例もある位で、そういう
呼称は、わりと普遍的だ。また、他にも同等の特性を
持つマクロも多いから、特定のマクロの事を称して
「カミソリだ」とかは呼び難い訳だ)

で、本EX70/2.8の描写傾向を「カミソリマクロ」と
呼ぶ事自体は、言いえて妙ではあるのだが・・
前述のように、この時代の「EX DG MACRO」には、
全レンズに「カミソリマクロ」のテイストが多少
なりとも入っている為、本EX70/2.8だけの特徴や
呼称であるとは言い難い。

個人的には、「カミソリマクロ」か否か?という
よりも、シンプルに、この「EX DG MACRO」群の
描写傾向は好みだ。よって、近年ではこれらの
シリーズを重点的に収集し、機嫌良く実用としたり
性能的および歴史的な研究を続けている次第だ。

まあ、この時代(2000年代)ライバルのTAMRON
でのマクロの製品開発が停滞してしまっていた
事と(例:SP90マクロは2004年~2012年の
間の8年間も新製品が無かった)この時代以降、
2010年代の各社マクロは、さらに元気がない
(高付加価値化で高価になりすぎ、需要が減った)
ので、いずれも、あまり市場ニーズがないし、
個人的な興味も沸き難い状況だった訳だ。

そこで、近年においては、「EX DG MACRO」群の
収集を重点的に行い、これらを「最後の実用的
マクロレンズ」としようとしている次第だ。

何が「最後」なのか? という点だが、この後の
時代の、超音波モーター(&手ブレ補正)内蔵の
マクロは、実用的性能が減退してしまっている
弱点がある。
つまり、実用的なマクロは、これらEX DG MACRO
が最終形態なのではなかろうか?という仮定だ。

まあ確かに、2000年代までのAFマクロは、
AF性能が劣るので、AFでの近接撮影は厳しい。
だけど、「その課題の改善は、超音波モーター
搭載が最適解とは言い難かった」というのが、
私の個人的な印象なのだ。
_c0032138_21133700.jpg
まあつまり、本EX70/2.8もAF性能(速度・精度)
が厳しい、これは前述のEX50/2.8も同様であり、
そこでは、母艦をEOS 8000Dといった初級機
との組み合わせで使ったが、そのシステムでは
AFの歩留まり(成功率)が、かなり低下する。

よって、この課題の改善の為に、この時代以降の
各社マクロには、超音波モーター(SIGMAではHSM)
が搭載されたのであろう。しかしそれは付加価値の
増加の為の施策(製品企画意図)でもあるから、
当然ながら、製品価格は(2010年代以降)大きく
値上がりしてしまった。

だが、マクロで「超音波モーター」は基本的には
不要であると私は思っている。
2000年代迄の各社AFマクロでのAF性能が劣るのは
マニア層や中上級層にとっては「常識」であるし、
近接撮影で精密なメカの動きを要求される訳だから、
AFが合い難いのは、技術の中身が理解できるユーザー
ならば「さもありなん、しかたがない」と判断し、
「ではMFで撮る事としよう」と対策を考察できる。

しかし、EX50/2.8で使用のEOS 8000D等の初級機
では、MF性能(ファインダー&スクリーン)が
壊滅的にNGだ。どこにピントが合っているのか?が
良くわからない状態なので、これではMFでの使用は
まず不可能である。(参考:各社初級機においては、
コストダウン要素の他、上級機との差別化の要因も
あるし(=ピントをちゃんと合わせたければ、高級機
を買ってください)それに加えて、ビギナー層が喜ぶ
「ファインダーが明るくて見やすい」という特徴を
実現しようとすると、素通しのガラスで映像を見ている
ような状態となり、MF性能は大きく減退してしまう。
仮に、そんな事は承知の上でカメラを選んで買っていた
としても、この課題の利用者側での技能による回避は、
とても困難で、「重欠点」に近い状態となってしまう)

それと、後年の超音波モーター搭載マクロでは、
その殆どが無限回転式ピントリング仕様であり、
これで「距離指標」の構造を持たない場合には、
正当なMF技法が使えず、大いに不満となる。
(参考:後継型のSIGMA Art 70/2.8 Macroは、
その無限回転式仕様であり、MF技法が使えない。
2010年代のTAMRON SP90/2.8USD(F004)では、
一応距離指標を持つが、ピントリングの停止感触
が全く得られないので、これもMFでの使用は厳しい)

まあ、そうであれば、近代の超音波モーター搭載
マクロを使わず、あえて旧世代(2000年代)の
マクロを使った方が、効率的な撮影が出来るのでは
なかろうか? と、私は近年ではそう思うように
なってきている。(だからEX DG MACROを重点的に
収集している。それが「最後の実用マクロ」だ)

で、「超音波モーター無し」(AF性能が劣る)事
への対処法は、いくつか考察済みである。

A)AF性能に優れた機体を利用する事。
(例:CANONで言えば、EOS 7D系列、または
 EOS-1D系列(未所有)を使う、等)

B)MF性能に優れた機体を利用する事。
(例:CANONで言えば、EOS 6DまたはEOS 5D
 のMarkⅡ以前の機体で、MF用スクリーン
(Eg-S等)に換装して用いる)

C)一眼レフでは無く、マウントアダプターを
 介して、EOS M/R系列のミラーレス機に装着し、
 そこでMFを主体で用いる(実例後述)

これらの措置により、弱点を緩和する事が出来る
ので、古い時代のレンズであっても、いや、むしろ
それらの古いレンズの方が、快適かつ実用的に利用
できるようになる為、トータルとしてのコスパが
(近代レンズに比べて)とてつもなく高評価と
なる訳だ。(=新しく高価なレンズを買って、
それで使いにくい場合は、コスパ評価は最悪だ)
_c0032138_21134466.jpg
本EX70/2.8の総括だが、描写表現力は及第点。
AFで使うには厳しい、MFで使うには母艦を選ぶ。


そして、後継のART型が出るまで、2010年代を
通じてセミレア品となっていた為、その後の時代
でも、レンズ発売時期が古いわりには、中古相場が
若干高目である事が、コスパ評価点をかなり落とす
要因となっている。
まあ、そんな所であり、そうした課題を認識した
上で、購入検討を行う必要があるだろ。

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では、3本目のEX DG MACRO
_c0032138_21134468.jpg
レンズは、SIGMA (AF) MACRO 105mm/f2.8 EX DG
(中古購入価格 25,000円)(以下、EX105/2.8)
カメラは、NIKON Df (フルサイズ機)

2004年に発売されたフルサイズ対応AF等倍マクロ。
こちらも正式型番不明。
_c0032138_21134479.jpg
本レンズが、個人的に最初に入手したEX DG MACRO
であった。2005年頃だったと思うが、当時において
は、まだ銀塩カメラも、かろうじて併用している時代
であったので、本レンズは、銀塩NIKON AF機(F4等)、
銀塩NIKON MF機(FE2、F3等)、デジタルNIKON機の
最初期の物(NIKON D2H)での使用が主であった。

これらの当時の母艦機の特徴だが、いずれも現代の
NIKONデジタル一眼レフ(の大半)よりも、MF性能に
優れている。(=ファインダーやスクリーンが優秀
である。各社近代機では、そのあたりが高明度化や
各種情報表示の為の理由で、MFでのピント合わせの
面では「改悪」されているケースが大多数である)

よって、本EX105/2.8は、発売当時のNIKON機の
環境では、AF/MF併用で快適に使えていた。
で、その時点で気づいた事は「このSIGMA 105mm
/F2.8というマクロは、なかなか凄いレンズだ!」
という事実であった。 勿論、当時から定番である
「TAMRON 90マクロ」は、数本(52系、72E系)
を愛用していたが、TARMON人気に隠れてSIGMAの
マクロの好評価は、世間では殆ど無かったので・・
むしろ「何で、皆、SIGMAマクロに気づかんのか?」
という感覚を持つようになった。

現代、本レンズを使うにおいては、NIKON Fマウント
版(Ai仕様、絞り環あり)なので、各社機体への
装着汎用性が高い。まあつまり、一部の他社一眼
レフや、ほぼ全ての各社ミラーレス機で本マウント
品を使用できる。中にはMF性能に優れた機体
(例:ミラーレス機でピーキング機能を利用可能)
もある訳だから、不満は全く無い状態だ。
_c0032138_21134450.jpg
本EX105/2.8には後継版があり、超音波モーター
(HSM)や手ブレ補正(OS)で武装されてはいるが、
その分、相当に高価になっている(注:値上げを
したいが為の高付加価値化戦略だ)


後継機では光学系も若干の改良が施されている
のかも知れないが(注:詳細不明)、旧型でも
個人的には、描写表現力上の不満を殆ど持たない
(個人評価:描写表現力(5点満点中)4点)ので
旧型のコスパが圧倒的に優れると思っている。

本EX105/2.8(初期型)は悪いレンズでは無い、
安価に見つけたら、「買い」であろう。

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さて、4本目のEX DG MACRO
_c0032138_21135137.jpg
レンズは、SIGMA (AF) MACRO 105mm/f2.8 EX DG
(中古購入価格 5,000円)(以下、EX105/2.8)
カメラは、CANON EOS M5 (APS-C機)

2004年に発売されたフルサイズ対応AF等倍マクロ。
1つ前で紹介したレンズと全くの同型であるが、
異マウントで購入している。
_c0032138_21135293.jpg
先にNIKONマウント版を使用していて、その高描写力
に感心し、CANON EFマウント版を買い足す事とした
のだが、本レンズの購入価格がやたらと安価なのは、
「AF故障品」と書いてあった物を購入したからだ。

まあ、そういう記載があったとしても、SIGMA製品は
カメラメーカー側のプロトコル変更に振り回されていた
事が何度かあった為(例:2000年でのCANON EOS機
全般(AF/デジタル)のプロトコル変更。2013年の
NIKON D5300でのプロトコル変更。2020年のNIKON
D6でのプロトコル変更、等の歴史があり、いずれも
SIGMA製レンズが正常に動作しなくなる)
本レンズも「もしかすると旧機種等では動くかも」
という期待が少しあったのがNGで、かつ念の為の
「電子アダプター経由だった動くかも?」の検証も
無効であり、これは完全なる「AF故障品」であった。

ただまあ、基本的にマクロレンズはMF主体で撮る事が
セオリーであるから、5000円であれば破格の買い物だ。

なお、通常では本レンズを使用する際には、
MF用スクリーン(Eg-S)に換装したEOS 6Dを使用する
事としていた。この場合のMF性能は他のEOS機よりも
高いので、実用上では何も問題無い。


だが、今回は、ちょっとひねくれて、「EF-EOS M」
マウントアダプターを介して、ミラーレス機である
EOS M5で使用している。この場合はピーキング機能
が利用できるので、さらにMF操作が快適となるの
ではなかろうか?という目論見(試験)だ。

なお参考情報だが、2015年頃から以降のCANON EOS
一眼レフでは、フォーカシングスクリーンを交換
可能な機種が殆ど見当たらなくなってしまった。

EOS機(一眼)は、銀塩AF時代から現代のデジタル機に
至るまで、いずれもスクリーンの(MF)性能が低い。
趣味撮影で精密ピント合わせが必要な際に、Eg等~S
シリーズのMF用スクリーンの使用は有益なのだが、
これに換装可能な機種が極めて限られている。
実用機(上級機)の範囲で言えば、EOS 5D/Ⅱ、6D、
7DⅡしか無いし、いずれも2010年代前半迄に発売
された機種であるから、やや古い。

EOS 6D(2012年)が、やや老朽化してきたので
EOS 5DⅢ/Ⅳ、5DS、6DⅡあたりを物色していたので
あるが・・ いずれも、スクリーン交換が不可なので、
後継機を買う事を保留した次第だ。
「たったそれだけの理由か?」と思うかも知れないが
私にとっては重要な事だ。MFが実質的(実用的)には
使えないような上級一眼レフはいらない。
(注:AF専用機を物色するケースもあるが、前述の
EOS 8000Dのような、ローコストの初級機とする事
としている。上級/高級機とは用途が異なる訳だ)

まあ、この課題もあったので、近年にミラーレス機の
EOS M5を入手した次第だ、こちらがEFマウントレンズ
で、精密ピント合わせのMF撮影を行う為の母艦となる
という感じだ。
ただ、課題としては、EOS M5のピーキング精度は
他社機と比較して優れない、という弱点がある。

一応、ピーキング強度(閾値の変更)は、強、弱を
選べるのだが、被写体状況に応じて、頻繁にそれを
変更しても、あまり有益な結果が得られない場合が
多い。(注:その「MFピーキング設定」は、EOS M5
ではマイメニューに登録可能だ。この機体の場合は
良いのだが、他社機や他機では、各種ショートカット
機能(ボタンやメニュー)に、こうしたマイナーな
機能設定が、わざと登録できないようになっている
(=メーカー側の勝手な思い込みの仕様だ)という
操作系上の重欠点が存在している場合が多々ある)

まあでも、根本的にはピーキングに係わる画像処理
のアルゴリズムを改善してもらいたいものだ。

他社機でEOS M5より優れている例はいくつもあるし、
そもそも、私が個人的に長年研究して作り上げた
自作ピーキングアルゴリズムの方が、このEOS M5
よりも精度的には優れている。
(本ブログ「プログラミング」シリーズ第3回記事
「高精度ピーキング」比較ソフトのプログラミング
を参照の事。ただし、このアルゴリズムは計算量が
多いので、実時間(リアルタイム)処理は不可だ)

個人においてさえ、ピーキングのアルゴリズムが
作れる訳だから、メーカー等は何百人も何千人も
技術者が居るので、より優れたものに改善するのは、
困難という訳では無い筈だ。
もし現状あたりのレベルで「これくらいで十分だろう」
と妥協していたり、実際に、そのカメラでの撮影検証
も十分では無い状態で、ピーキングの改良の優先度を
低めているのだとすれば、実際に、その、性能が優れた
他社機と比較しながら、MFで何千枚か撮ってみれば、
その差異は実感できる筈だ。

_c0032138_21135296.jpg
余談が長くなったが、本EX105/2.8は、前述の通り
描写力的には、ほとんど不満が無いレンズである。
半故障品で入手価格が安価であったが、それは特殊
ケースとして、コスパ評価は、通常の価格で買った
前提として、正式には4点(5点満点)としている。

総合評価は、3.8点(5点満点)であり、これは
本ブログで定義する名玉の条件(総合4点以上)に
僅かに届いていないが、「準名玉」と言っても差し
支え無いであろう。前述の通り、本EX105/2.8は、
安価な中古品を見つけたら「買い」である。 

----
では、今回ラストのSIGMA EX DG MACRO
_c0032138_21135265.jpg
レンズは、SIGMA APO MACRO 150mm/f2.8 EX DG OS HSM
(中古購入価格 58,000円)(以下、EX150/2.8)
カメラは、NIKON D500 (APS-C機)

2011年に発売されたフルサイズ対応AF等倍マクロ。
こちらは正式型番だと思う。(公式Webを参照している)


(注1:2004年発売の、OS無しの旧型が存在する。
 だが、本レンズも2020年前後に生産終了となった)


(注2:1つ前に掲載した記事と、紹介機種被りに
 なってしまった。各シリーズ記事は別々に執筆
 しているので、あくまでタイミング上での偶然だ)
_c0032138_21140448.jpg
APO(色収差を補正するアポクロマート設計)仕様、
およびOS(手ブレ補正)、HSM(超音波モーター)
で完全武装している「高付加価値型商品」であり、
当然ながら高価だ。(定価は13万円+税)

重量も重く1150g(注:SIGMAマウント版の値)もあり、
「SIGMA ART LINE」の超高性能レンズ(例:A40/1.4や
A135/1.8)と、ほとんど同等の重量級レンズであるが、
三脚座を外す事が可能であり、その場合での重量は
実測で1022gであった。

さて、描写力に優れたEX DG MACROシリーズの中でも、
さらにワンランク高い描写表現力を発揮する高性能
レンズである。(描写表現力個人評価4.5点)

まあ、発売(開発)時期も、他のEX DG MACROより
遅く、最大で10年近くも新しい時代のレンズであるし、

SIGMAでの「APO」銘は高性能レンズの称号であるから、
これくらいの描写力を持っているのは当然であろう。
(参考:異常低分散ガラス(SLD)レンズを3枚含む、
13群19枚という、複雑なコンピューター光学設計だ。
ただし、本レンズの初期型については、あまり情報が
無く、この構成が初期型からか?あるいは本レンズで
変更が加えられたのか?は、ちゃんと調べていない)

だが、複雑な設計の結果としての「三重苦」には、
本当に閉口してしまう。
大きく重く高価なレンズは、一般的な趣味撮影等では
持ち出す意欲が減退してしまうのだ。

結局、「自然観察会」等の用途(まあ、趣味撮影では
あるが、記録としての写真が必要となるケースもある)
あたりで使う程度となってしまう。

しかし、その重い重量は、本レンズを購入前から
仕様を見て予想できていた事態ではあった。
なので、本レンズ(1022g)をNIKON軽量一眼レフ
(例:NIKON D5300、480g)に装着し、システムの
トータル重量を軽減する作戦であったのだが・・

中古専門店で本レンズを予約し、到着後にD5300を
持って店舗に向かった。しかし、本EX150/2.8を
D5300に装着すると、AFが効かないではないか(汗)
中古店で他のNIKON機を借りて、それに装着すると
無事AFが動くので、故障では無い。
後で調べると、NIKON D5300側でプロトコル変更
が行われていて、たまたま本EX150/2.8と相性
が悪かったみたいだ。

2010年代前半では、SIGMA側で本レンズのROMを
アップデートし、D5300に対応する処置を行って
いた模様だが、今更をそれを(恐らくは有償?)で
やる気も起こらない。他機(例:今回使用の
D500等)では問題なくAFは動作するし、あるいは
軽量化を完遂する為に、わざわざD5200/D5100等
の旧型初級機を買い足しする必然性も無いだろう。

まあ、いざとなれば本レンズはNIKON Fマウント(G型)
である為、G型対応マウントアダプターを使えば、
他社ミラーレス機等で利用できる。

「それではAFが動かないじゃあないか」とは言う
なかれ。ここまで散々述べてきたように、マクロ
レンズでのAF性能(精度・速度)は全く期待できない
し、特に「望遠マクロ」(概ね120mm以上と定義)
では、それは顕著だ。大きく重たいレンズ群を、
大きいAF可動範囲で動かすのは、機構的に無理があり、
下手をすれば、AFの合焦が、待っていられない程の
遅さとなって、とてもイライラする事が必至で、
「何が超音波モーター搭載だ!」と、悪態をつく
羽目となるケースがとても多く、いっそマクロ
(特に望遠マクロ)では、AFを使わずに、MF撮影に
特化した方が、精神衛生上では遥かに良い。
_c0032138_21140415.jpg
まあ、あれこれと課題がある事を承知した上でも
本EX150/2.8を使いたい理由は、やはりその高い
描写表現力であろう。
ただまあ、「望遠マクロ」という領域においては、
「そういう機材を必要とするシチュエーションは、
あまり多くは無い」という課題が存在するので
その高い描写力を発揮できる機会が少ないのが
残念な状況だ。

それと、ライバルのTAMRONにも、SP180/3.5
という超絶描写力(個人評価描写表現力5点満点)
の望遠マクロが存在している。そちらもまあ
「三重苦」ではあるが、本EX150/2.8よりも、
重さ、大きさ、価格の三悪が、すべて軽度である。
ただし、AF速度が壊滅的に遅い、それがSP180/3.5
の欠点となっている。
(しかし、SP180/3.5はα(A)マウント版で買って
いるので、αフタケタ機でのピーキング機能を使う
事が出来るので、ほぼMF撮影に特化している)

SIGMAにもEX DG MACROシリーズで180mm/F3.5
と180mm/F2.8版が存在しているが、冒頭にも記載
したように、それらはもう「実用範囲外」という
判断で未購入だ。(旧版の無印のSIGMA 180/2.8
MACROを所有しているが、巨大すぎて殆ど出動機会が
無い、という、まるで「戦艦大和」級のレンズだ)
_c0032138_21140468.jpg
まあ、望遠マクロの場合は、上級層や職業写真家層
等で、専門的な分野・ジャンル(自然観察等)の
撮影が必要な場合における必携レンズであろう。
一般撮影や一般趣味撮影においては、重厚長大すぎて
殆ど利用機会が無いと思われるので、購入検討は
慎重に行う必要がある。

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さて、今回の補足編「SIGMA EX DG MACRO編」記事は、
このあたり迄で。次回記事に続く。


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