過去の本ブログのレンズ紹介記事では未紹介のマニアックな
レンズを主に紹介するシリーズ記事。
今回は、未紹介レンズ4本を取り上げる。
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まず、今回最初のレンズ
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レンズは、LENSBABY BURNSIDE 35 (35mm/f2.8)
(中古購入価格 34,000円)(以下、BURNSIDE35)
カメラは、SONY α7 (フルサイズ機)
2018年に発売された米国製のフルサイズ対応MF単焦点
準広角「ぐるぐるボケ」レンズである。
国内販売代理店としてはKenko Tokina社が務める。
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本記事の時点までで、「ぐるぐるボケ」レンズは
2本紹介している、
Lomography New Petzval Art Lens 85mm/f2.2
と、LENSBABY社製のTwist 60mm/f2.5だ。
両者は、本シリーズ第37回「ペッツヴァール対決」
記事で紹介済みだ。
「ペッツヴァ(バ)ール」とは聞きなれない用語
(人名)だとは思うが、同第37回記事を参照の事。
本レンズBURNSIDE35は、それらの旧来のレンズ群が
ペッツヴァール構成を変形させた3群4枚で、極端な
像面湾曲収差と非点収差を出して「ぐるぐるボケ」を
発生させていたのとは異なり、4群6枚の新規構成である。
35mm/F2.8では、これまでの中望遠「ぐるぐるボケ」
レンズに比べて、ボケ量が大きく取れない為、「あまり
ぐるぐるボケが出ないのでは?」という不安があるだろう。
ただ、本レンズは最短WD15cm(最短撮影距離約22cm)
のマクロレンズ並みの近接性能を誇る為、近接撮影に
持ち込めば、被写界深度を浅く取れ、ぐるぐるボケの
発生頻度を高める事も可能だ。(注:いつでも常に
ぐるぐるボケが発生する訳では無い)
ぐるぐるボケの原因となる像面湾曲・非点収差を
意図的に高めるならば、画角を広くし、かつ絞りを
開ければよい、だから基本的にはフルサイズ機で
本レンズを使うのが良く、NIKON Fマウント版を購入
しておけば、たいていの他社フルサイズ機で使える事と
なるが、逆に現代のNIKON一眼レフ機では、非Ai仕様の
本レンズをちゃんと使える機体はNIKON Dfくらいしか
無いかと思われ、他の機体では露出のバラツキに
悩まされるだろうから、結局NIKON Fマウント版を買って
もNIKON機で使わない、という不条理な状況を受け入れる
しか無い。
本レンズの「BURNSIDE」の意味だが、1つは「男性の顎鬚
(あごひげ)」である。固有名詞では人名であり、例えば
アメリカ南北戦争の時の将軍に同じ苗字の人が居たとの事。
いずれにしても、レンズ名としての意味が不明だ、これまで
もLENSBABY社では特殊なレンズ名を使う事が多かったが、
なんとなく効果とは連動している名前(VelvetやTwist)
であったので、BURNSIDEとは、ちょっと違和感がある。
(追記:記事執筆後に命名の由来が判明、「地名である」
との事。それ故に、こうした固有名詞のレンズ名の場合、
LENSBABY社では、「全て大文字」で製品名を記載する
ルールとなっている模様。これは、様々な製品紹介サイト
においても「Brunside35」と、誤記となっている)
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さて、本レンズであるが、「ぐるぐるボケ」や「周辺減光」
のコントローラビリティは、テクニカル的、またはアート
表現的に面白く、十分な使い勝手がある。
「あまり一般的では無い特殊レンズ」という様相も強いが
それこそがLENSBABYの存在意義であり、こうした特殊レンズ
が現代の縮退した交換レンズ市場において製品化される事
自体が貴重な事だ。
まあ、写りはこれで十分、特殊レンズであるから、一般的
な解像感や歪曲収差などの評価項目を挙げても意味が無い。
以下、色々と気になった点を挙げていこう。
まず、本レンズのWebカタログ等では「周辺減光や周辺ボケ
の効果を高めることができる第2絞りを装備している」との
記載があるが、これでは意味が良くわからない。
実際に、その第二絞りは「ゴールド・スライダー」で調整が
できる。ただ、説明書には「ビネット効果やボケの細部を
加えたり、取り除いたりします」と、あまりに簡潔すぎる
記載であり(各国語の併記だから、という理由もある)
その光学的な原理も効能も不明で、一般的な説明でも無く、
あまりに曖昧である事が大変気になる。
つまり技術的な内容説明や根拠がゼロであり、まるで技術に
縁の無い人が書いた、又は、そうした読み手を対象とした
説明に見える。これでは海外(米国等)はともかく、国内の
マニア層や一般ユーザー層には不安と不満に結びつく。
ちなみに、説明書での操作手順は、黒いマニキュアを塗った
女性の指の写真が入っていて、レンズの色と同じとなって
操作がわかりにくいし、そもそも不気味だ。
で、実際に第二絞りを操作すると、レンズ前群あたりに
あるドーム形状の一種の「視野絞り」が動作し、入射瞳が
収縮し、意図的な「ケラれ」効果が出る様子である。
(まあ、広い意味での「口径食」を発生させている訳だ。
なお、「口径食」の光学用語には様々な意味と原因が並存
していて、用語の定義の統一がされていない状態なので、
私は、近年では安直にこの用語を使わないようにしている)
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これが周辺減光(ヴィネッティング)に関与する模様で
あり、まあ、これはこれで良いと思う。こういう機構を
持つレンズは他には無いので、大変希少、かつ貴重だ。
注意点としては、この第二絞りを「周辺減光」側にすると
約1/3段程度、露出値が変わる(暗くなる) ただまあ
AEやAUTO-ISOで撮っていれば特別な補正操作は不要だ。
第一絞りは、通常どおりレンズ主点近くにあり、こちらは
いわゆる「開口絞り」であるから、被写界深度の調整や
有効径の変化に伴う像面湾曲と非点収差の増減に役立ち
つまり、ぐるぐるボケ効果のコントローラビリティを高める。
ただし、私の近年の研究分析では、「ぐるぐるボケ」とは、
通常レンズにおける「ボケ質破綻」と、密接な関係がある、
という仮説が出来てきている。「ボケ質破綻」は、その
厳密な再現性が難しく、絞り値以外にも、撮影距離、
背景距離、センサーサイズ等による、「被写界深度」の
要素と、それに加えた、背景や前景の図柄、という部分も
密接に「ボケ質」に影響があるように思えてきている。
(例:主要被写体の背景にあるボケた「木の枝」等は
「二線ボケ」が目立ち易い)
したがって、「ぐるぐるボケ」も、「ボケ質破綻」や
その回避と同様に、コントロールが難しい。
特に「いつても、ぐるぐるボケが出る訳では無い」という
点が、この手のレンズの使いこなしの難しさ、すなわち
表現意図(目的)の調整の難しさに強く影響してしまう。
背景の図柄としては、点光源等で、ボケの変形(口径食)と
ぐるぐるボケが顕著に現れる事から、ぐるぐるボケレンズ
の作例では、夜景での点光源や、木漏れ日ボケを背景にする
人物撮影が多い模様だ(そうであれば、効果がはっきり出る)
ただし、変形ペッツヴァール構成等では、画面中央部に
被写体を置かない限り、その解像感や諸収差の減少は望めない
から、どうしても「日の丸構図」になってしまう事は
避けれない、ここを任意の構図位置(比率)で撮ろうと
する事は、ぐるぐるボケ効果と関連づけさせるのが、
事前予測が困難で、かつ制御も極めて難しい。
まあ、これらの点もあり、一眼レフの光学ファインダーでは
綿密なボケ質コントロールが出来ないので、ミラーレス機+
高精細EVFで使うのが基本であろうが、そうしたとしても
EVF上でのボケ質のチェックは困難である。
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他の弱点であるが、まずは比較的高価なレンズ(新品価格
は6万円以上)であり、高付加価値型商品だったとしても
用途からしてコスパが悪い。今回は、たまたま出た中古品
を入手できたが、新品では、まず買う気になれない価格帯だ。
第二に、仕様記載が曖昧である、最短WDが記載されているが、
最短撮影距離と最大撮影倍率が書かれていない、これらは
現代の他社のレンズ仕様記載での通例に反している。
また、ピントリングの距離目盛は、なんと撮影距離では
なく、レンズ前からのワーキング・ディスタンスである。
これも世の中の常識や規約に反していて、とても好ましく
無い仕様だ。(わざと近接性能が強いように見せるという
確信犯なのかも知れない)
また、前述のように、第二絞りの説明不足も不満である。
それから、φ62mmの各種フィルターを装着できるが、
フィルターをつけると、付属の金属キャップが嵌らない。
これは困った状態であり、いったい何故、こんな単純な
仕様ミスがあるのかが理解できない。
そういえば旧来のLENSBABY製品は、TILT系の製品も多く
ちゃんとフィルターを装着して使うレンズの設計経験が
少ないのかも知れない訳だし、製品毎に外観や操作性の
仕様が全く異なり、個々に、いきあたりばったりの設計や
外注先を用いている状況かも知れない訳だ。
LENSBABY製品が、旧来のように、半分トイレンズ的な
「色物」として扱われていた2000年代であれば、こういう
状況でもかまわないが。2010年代、ちゃんとKenko Tokina
という国内代理店が付き、かつ同時代での交換レンズ市場の
大きな縮退により、LENSBABY社製品群も6万円以上もする
高付加価値型の本格的なレンズ群が主力となってきている、
という現状においては、ちゃんとした「写真撮影機材」と
しての最低限のスペックや機能・性能・記載ルール等は
守らないとならないと思う。
さもないと、ユーザーからは、いつまでも「色物だ」という
認識は避けられず、それにしては高価すぎる製品が多いから、
(国内)ユーザー層には受け入れられなってしまいかねない。
事実、私においても、2010年代後半のLENSBABY製品は
高価すぎる、という認識が強く、殆ど(TwistとBURNSIDEしか)
購入していない状況だ。
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さて、次のシステム、
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レンズは、FUJIAN GDS-35 35mm/f1.7
(中古購入価格 2,000円相当)(以下、FUJIAN35/1.7)
カメラは、OLYMPUS OM-D E-M1 (μ4/3機)
2010年代後半頃に発売と思われる、CCTV(監視カメラ)
用の、MF単焦点レンズ。(注:メーカー(ブランド)
名は他の表記の場合もある)
レンズ上に「TV LENS」の記載があるが、これは
CCTV(Closed-Circuit Televison)用という意味で、
Cマウント品であり、2/3型イメージサークルに対応
との事。
数年前に新品で2000円台で通販で販売されていた
模様だが、すでに販売終了、後に出てきた中古品で、
Cマウントのアダプター付属で3000円で入手した。
レンズ自体の価格は、2000円という事にしておこう。
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さて、これはCCTV用レンズであり、マシンビジョン用
レンズ程の高描写性能は持たない事は、事前に承知の
上である。
この手のCCTV/FA用レンズの使用は、専門的な知識が
必要とされ、一般ユーザー層では困難であるし、
基本的に、専門的なマシンビジョンレンズ等は個人での
購入が不可であり、企業等の法人契約でないと買えない。
ただ、稀にこうしたCCTV用(監視カメラ用)レンズは
一般個人市場にも流通する場合があり、それらがまた
中古市場(ハードウェア・リサイクル店等)に流れて
くる場合もある。しかし、そうした場合、付属して
いたマウントアダプターが、どうみてもCマウント
レンズの使用に適さないもの(例、CANON EFや
EF-Mマウント等)があったりするし・・
本レンズ等を入手した初級マニア層等のレビューを
見ていても、「正しいシステム環境」で、これらの
CCTV/FA用レンズを使っている例は皆無である。
詳しくは「特殊レンズ・スーパーマニアックス
第1回記事、マシンビジョンレンズ編」等を参照
してもらえればわかると思うが、こうしたレンズを
使用するには非常に専門的な知識が必要とされるので
初級カメラマニア層層が、手におえるシロモノでは
無いと思う。
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さて、本レンズは2/3型センサー対応レンズであるから
正しくこれを利用できる母艦は、PENTAX Qシリーズ
(1/2.3型機、1/1.7型機)、あるいはμ4/3機を
常時2倍デジタルテレコンモード(4/3÷2=2/3型)
で使用するしか無い、それら以外の母艦システムでは
画面周辺がケラれてしまう。
ただ、本レンズは、イメージサークルの余裕が比較的
大きく、μ4/3機による連続デジタルズームでの検証
においては、およそ0.75型(3/4型)に相応する
イメージサークルが得られている事がわかる。
そして、μ4/3機でも、周辺減光があるものの、
周辺が全く写らない、という訳では無い。
しかしながら、そうした場合での周辺画質は、設計上
では想定外だ、まともに撮れる状況では無い。
なお、一般機で周辺減光が発生する事から、本レンズを
「トイレンズ」と勘違いしているユーザーが居る事は
少々驚きだ。本レンズはCCTV(監視カメラ)用であり
トイレンズでは無いし、「トイレンズ=周辺減光がある」
という定義すらも存在しない。
解像力だが、かなり低いと推察される。
優秀と思われるピーキングアルゴリズムを持つ機体を
用いても、絞り開放近くではコントラスト差分が発生
せずに、ピーキングが出ない。
予想されるレンズ解像力は、50LP/mm以下であり、
これはアナログTVであれば、高々35万画素相当であるから
この解像力でも良いが、現代のデジタルカメラでは、
この解像力に相当するセンサー側ピクセルピッチは
10μm以上となり、このレベルの写真用デジタルカメラは
現代では存在しない。
デジタル一眼レフでは最大と思われるNIKON Dfでも
約7.2μmピッチであるし、そのカメラでは本レンズを
使用できない。
PENTAX Qシリーズや各種μ4/3機ではセンサーサイズが
小さく、ピクセルピッチも極めて小さい為、たとえ最低
画素数で使用しても適合しない。
また、SONY α7S系列機ならば約8.4μmピッチだが
これでも若干足りないし、フルサイズから常時小さく
クロップして使うのは、操作性的にも困難だ。
あるいは、旧規格のCCTVボードカメラ(CMOS,CCD等)で
あれば使えそうだが、例えば1/3型VGAを選んでも、
ピクセルピッチは、約7.5μmとなり、その場合の
レンズ解像力は、最良で66LP/mmが要求されるので、
本レンズの性能では、僅かにそこに満たないと思われる。
2/3型VGAセンサーがあれば良いが、2000年代ならば
ともかく、現代では、もうほとんど生産終了となって
いる、過去の規格である。
まあつまり本FUJIAN35/1.7は、2000年代のCCTV用
レンズであり、もう現代のCCTVシステムにおいては
古い性能で使えないから、現代の初級マニア層等に
向けて通販で在庫処分をしたのだろうと思われる。
値段が安ければ、マニア層ならば文句は言わない、
言ったとしても「やはり中国製だ、安かろう、悪かろう」
で納得して終わってしまうだろうし、そもそも本レンズ
のようなCCTVレンズをちゃんと使えるシステム構成も
知識も、(高度なものを要求される)撮影技能も持ち
あわせていなければ、結局「ちょっと使って、すぐ飽きる」
で終わってしまう場合が大半であろう。
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さて、以下は、正しく本レンズを使える環境を整えた上
での評価となる。
まず、最大の課題である解像感の低さについては、
常に絞りを少し絞った状態で、諸収差を低減させて使う
しか無い、せっかくの開放F値1.7は使えない訳だ。
なお、開放F1.7は、写真用交換レンズと比較すると
明るく大口径である印象があると思うが、暗所で使用
する事の多いCCTV(監視カメラ)用レンズでは、
開放F0.85~F1.0程度が一般的であって、
開放F1.4以下(より暗い)は小口径の部類に属する。
本レンズは、CCTV用の中では、かなりの低スペックだ。
ちあみに、開放F値を暗くする事で、球面収差等を減らし
(この収差はF値の3乗に反比例して酷くなる)解像力を
高める設計が多い「マシンビジョン用」(FA用)レンズ
では、開放F1.4~F2.5程度が普通である。
本レンズは、実用撮影用途の性能には満たない為、
その後は、画像実験システム(ボードカメラ使用)の
テストレンズとして転用する事となった。
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では、次のシステム。
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レンズは、CANON EF-S 18-55mm/f3.5-5.6 USM
(中古購入価格 2,000円)(以下、EF-S18-55)
カメラは、CANON EOS 8000D(APS-C機)
2003年に発売されたAPS-C機専用AF標準ズーム。
初代EOS Kiss Digital(2003年)のキットレンズと
しての発売である。
(注:レンズ単体での発売は2004年となった)
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EF-S標準ズームの「元祖」と言える存在であり、
現代に至るまで、このレンズの系譜は長く続いている。
以降の本レンズの歴史であるが、全て未所有につき
ここではスペック等の客観的な話題に留める。
2004年:EF-S 18-55mm/f3.5-5.6 Ⅱ USM
Kiss Digital Nのキットレンズとして、外観を
リニューアルした。レンズ単体発売は2005年。
旧モデルからレンズの光学系に変更は無し。
この時代、各社から低価格のデジタル一眼レフが
発売されている。この状態で、キット標準ズームの
性能が低いとメーカーのブランドイメージに傷がつく。
本レンズ(およびⅡ型)は、低価格ながら、描写力や
性能にあまり手を抜いていない点が好ましい。
2007年:EF-S 18-55mm/f3.5-5.6 IS
当時、PENTAX機やSONY機が(ボディ内)手ブレ補正
機構を搭載した事により、手ブレ補正のニーズが高まり、
ビギナー向けにIS(手ブレ補正)を搭載したレンズ。
時代の狭間で急遽投入されたレンズと思われ、Kiss
Digital Xや、EOS 40Dのキットとしては間に合わず、
次世代のKiss X2(2008年)のキットレンズとなった。
ISの搭載でもローコスト化を図った製品であると思われ、
USM(超音波モーター)の搭載は廃止されていて、
一般的なDCモーターとなっている。
光学系は、旧モデルとは僅かに変更されている模様だ。
2011年:EF-S 18-55mm/f3.5-5.6 IS Ⅱ
EOS Kiss X5のキットレンズとして、旧モデルから
外観のみをリニューアル、Ⅱ型とした。
この時代、既にミラーレス機の台頭が始まっており、
このモデルチェンジは、コストダウン(利益増大)の
意図もあった模様。
発売直後に「東日本大震災」が発生。この世情・心情的
および製造・流通の被害等の理由で、各社、その後、
この年の新製品等の発売は控えめとなった。
2013年:EF-S 18-55mm/f3.5-5.6 IS STM
EOS Kiss X7系のキットレンズとしてモデルチェンジ。
この時代、ミラーレス機の普及により、一眼レフ市場の
縮退が始まっている。Kiss X7はミラーレス機に対抗する
為、従来モデルからの大幅な小型化を図ったが、レンズ
の方は、まだそこまでは小型化はできていない。
また、この時代からミラーレス機や一眼レフで動画撮影
を行う事が一般層にも広まっていく。
そうなると、旧シリーズのDCモーター(=USMなし)では
不利である為、このモデルから小型の新モーターである
STM(ステッピングモーター)を搭載した、なお、これに
よる重量増は最小限(5g)に留まっている。
ただし、レンズ構成は旧モデルと同一である。
2017年:EF-S 18-55mm/f4-5.6 IS STM
EOS Kiss X9系およびEOS 9000Dのキットレンズとして
従来型より大きくモデルチェンジを行った。
具体的には全長の小型化であり、従来型より13mm
程度短くなっている、しかしながらフィルター径
には変化が無く、重量は旧型に対して微増だ。
この小型化には、広角端の開放F値を旧来のF3.5から
F4にスペックダウンした事も貢献しているとは思う。
従来モデルより価格がややアップ、同時にコストダウン
も図られていると思われ、一眼レフ市場縮退を受けて
こうしたローエンドモデルにも高利益率化(=販売数が
減っても、利益でカバーする)が、行われているのだと
思われる。
ここまでが本レンズの系譜であるが、どの時代を見ても
それぞれ、世情に敏感に反応した製品コンセプトと
なっている。まあ、エントリー機のキットレンズ故に、
CANON純正レンズとしては、最も数が出るレンズだ、
市場からの評価とか、わずかなスペックの差による
原価の違いや利益率とか、そのあたりがとてもシビアな
製品系列のレンズであろう。
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本レンズEF-S18-55の話をする前に、まず最初に、私は
個人的ポリシーとして、CANON製デジタル一眼レフ用
レンズのうち、EF-Sタイプの物とSTMタイプのものは
出来るだけ買わないようにしている。
その理由を簡単に言えば、EF-S型はCANON製フルサイズ
一眼レフに装着できず、STM型はCANON機から電源供給を
しないとピントリングすら廻らない(MFが動かない)事だ。
これはつまり「所定のCANON機で無いと利用困難である」
という「排他的仕様」を持つレンズであり、その点が
私の機材購入ポリシーに全くマッチしない事が理由だ。
(=他社機材との連携を拒み、自社ビジネスの事だけを
考えている。近年のIT等の世界では、完全なる「オープン
思想」であるのに、排他的思想は現代のテクノロジーの
世界観とは、まるで逆転している好ましく無い思想だ、
という考え方から、この製品(企画)思想に賛同できない。
こうした場合のユーザーからの対抗措置は「気に入らない
から買わない」という、ただその1つの方法しか無い。
なお、これはCANON製品に限らず他社でも同様な排他的
仕様の製品は色々とある、それらも全く同様の理由で、
購入を控えている次第だ)
ただ”1本も持たずに文句ばかり言っていても始まらない”
とも思い、歴史的価値の高いものであれば、このような
排他的なレンズも「歴史的資料」という観点で、購入して
おくのも悪く無いか、と思った。
本EF-S 18-55mmは「初のEF-Sレンズ」という事であり、
他に所有しているEF40/2.8STM(本シリーズ第27回等)
は、CANON初のパンケーキレンズで、両者いずれも
歴史的価値が高い。
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本レンズであるが、少し前述したように、ビギナー層
が最初に手にするCANON製レンズである為、あまり
手を抜いた設計・仕様にはなっていない。もしここで
低性能のものを売ってしまうと、ビギナー層は二度と
CANON製レンズを買おうとは思ってくれないからだ。
だが、こういう状況であると、マニアとしては、
「では、いったいどの性能に手を抜いていて、
トレードオフを実現しているのだ?」
という点が気になってくる。つまり、全ての性能を
高める事はコスト上、絶対に出来ないから、かならず
何処か目立たない点で性能を妥協せざるを得ない訳だ。
その検証の結果だが、弱点は「逆光耐性」と「ボケ質
破綻」であった。
その他、解像感、周辺減光、歪曲収差、色収差等、
ビギナー層または一般層が、すぐに目について、
「これは、周辺減光が出るからアカン!」などという
クレームまたは低評価が出てしまうような要素は、上手く
避けるように工夫されている。
(・・つまり、初級マニア等が、上記のような欠点だけを
すぐに指摘し、他の欠点にまるで気づかないから、
メーカー側でも、マーケティングリサーチの結果として、
そうした点だけを重点的に改善するのだ。これでは完全に
ユーザーは、メーカー側から「下に見られて」しまって
いる状況である。くれぐれも、そうした、誰にでもわかる
ような内容の評価記事などは書くなかれ)
「逆光耐性」は、ちょっとした逆光でも盛大にゴースト
やフレアが発生するが、これは実は、ビギナー層でも
原因と対策の因果関係がすぐ理解できる、つまり
ビ「逆光で撮ったら、やはりダメだな」
と、容易に納得する訳であり、ビギナー層では、これを
レンズの責任にはしない。
「ボケ質破綻」については、そもそもビギナー層では
本レンズのスペックでは、ボケを生かした撮影技法を
使えないので、あまり関係が無い話だ。
仮に背景ボケを偶然生じさせる事ができたとしても
そのボケ質が良好か否かを判定する事は、ビギナー層
には困難な話である。
まあ、つまり、ビギナー層に向けて、目立つ性能には
手を抜かず、そうで無い部分で設計基準やスペックを
妥協している訳であり、これはなかなか見事な、製品
企画上のバランス感覚であると思う。
(注:しかし、前述のように「ユーザー側が手玉に
取られている状況だ」と言える)
他の弱点としては、今回母艦としているEOS 8000D
との組み合わせにおいて、稀にAFを外す(AF精度が悪い)
事がある。まあでも、この機体の性能ではやむを得ない
(=低価格帯機に、不条理な「仕様的差別化」がある為
本レンズに限らず、大抵のレンズで同様の状況である)
ので、それについては不問だ。
AF精度が欲しければ、高級機と組み合わせれば良いが、
そこまで真面目に使うレンズでも無い。オフサイドの
法則を鑑みても(本レンズの入手価格は僅かに2000円
である)低価格機との組み合わせが望ましい。
ドラゴンボート大会等でのイベント撮影用「消耗レンズ」
としての利用も想定していたが、この逆光耐性の低さ
では、屋外イベント撮影には、残念ながら向かない。
歴史的価値からの「研究用資料」レンズとしておこう。
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次は、今回ラストのレンズ
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レンズは、7 Artisans (七工匠)60mm/f2.8 Macro
(新品購入価格 24,000円)(以下、七工匠60/2.8)
カメラは、PANASONIC DMC-G6(μ4/3機)
2019年に発売された、中国製のAPS-C機以下の
ミラーレス機対応、MF中望遠等倍マクロレンズ。
各種マウント版が発売されているが、μ4/3版を選択。
こうしておくと、SONY E等、いくつかの他マウントへ
アダプターで共用可能だ。(注:電子接点を持たない
MFレンズで、かつ絞り環がある事が、共用の条件だ)
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七工匠は、「ジェネリック(過去の名玉の設計のコピー)」
設計のレンズを得意とするメーカーであるが、本レンズの
原典は見つける事ができなかった。オリジナル設計である
可能性も高い。ただ、設計技能が低い新鋭メーカーだと
オリジナル設計レンズは色々と課題が出る場合も多いと
思われる。本レンズも当初発売予定日の告知から3ヶ月
も遅れて発売され、出荷ぎりぎりまで設計変更や調整が
行われていたのではなかろうか?という推測もできる。
・・というのも、本レンズ、期待したほどの性能が出て
いないのだ。特に、解像感が、マクロレンズとしては
低く感じ、そこが不満点になる。
他には、逆光耐性が低い。もっともこの点については、
名レンズと言える「七工匠55/1.4」にも同様の弱点
が存在し、これは光線状況に留意して回避する。
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七工匠のレンズは他にも数本持っていて、それらは
多くがジェネリック設計であり、ジェネリックの元と
なったレンズの特性を知っていれば、そのノウハウを
元に弱点は回避して使用できる為、総合的に、それら
七工匠レンズの性能的な不満は少なく、コスパの良い
レンズとして、個人的にはこれまで好評価であった訳だ。
本レンズの場合には、恐らく、私の方の使いこなしの
ノウハウがまだ整っていない事も大きな課題だと思われる。
マクロレンズは数十本所有しているが、本レンズは前例の
無い特性なので、これを、どのように使いこなすべきかが、
まだ良くわかっていない事が正直な問題点だ。
結局のところ、レンズ評価などは、買ってから数週間程度
使った程度では、まるで出来ず、少なくとも何年も使用し
少なくとも数千枚から1万枚程度撮ってからで無いと、
良くわからない部分が大半であろう。
だから、初級中級層などが「新レンズ、買っちゃいました、
良く写ります」などと言っている記事は、殆ど信用に
値しないし、職業評論家層のレビュー記事でも同様に
短期間しか使用していないので、それも信用できない。
ましてや、自分で購入もしていないレンズについて語る
事などは、「マニア道」的には、あってはならない事だ
とも強く思っている。
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別ジャンルでの話だが、”文房具の大賞を決める”という
企画を見かけた。その審査員はメーカーや大手販売店等の
ベテランだと言う、そこまでは良いのだが、審査基準として
「審査員が自腹で買っても良いと思った商品」とあった。
私は「何? ”買っても良い”?? それ位、評価の仕事
だったら、全部買えよ・・! そう高いものでも無いのだし
自分で買って使わない限り、絶対に評価などできないぞ!」
と思い、その入賞商品等の評価結果を完全に無視した。
評論家が自分で買おうともしない商品など、そんな評価は、
まるっきり、あてになる筈は無いではないか・・
で、文房具(特に単色高級ボールペン)は、近年、私が
重点的に志向している趣味分野だ。既に十数本の高級
ボールペンを購入しているが、これくらいだと、趣味と
しては”まだまだ、始めたばかり”というレベルであり、
当然、ブログ記事等で紹介できるような段階でも無い。
例えば、100以上もの対象分野商品をちゃんと購入し、
それらを10年以上とか、長期間使った上で、やっと
「絶対的な評価感覚・価値感覚」が身についてくる。
その段階に至れば、ようやく、その製品ジャンルに
ついて他者に語ったり、意見を言えるようになってくる。
そこまで達しないうちは、まだまだビギナーに過ぎない。
----
さて、今回の第53回記事は、このあたり迄で・・
次回記事に続く。
レンズを主に紹介するシリーズ記事。
今回は、未紹介レンズ4本を取り上げる。
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まず、今回最初のレンズ
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(中古購入価格 34,000円)(以下、BURNSIDE35)
カメラは、SONY α7 (フルサイズ機)
2018年に発売された米国製のフルサイズ対応MF単焦点
準広角「ぐるぐるボケ」レンズである。
国内販売代理店としてはKenko Tokina社が務める。
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2本紹介している、
Lomography New Petzval Art Lens 85mm/f2.2
と、LENSBABY社製のTwist 60mm/f2.5だ。
両者は、本シリーズ第37回「ペッツヴァール対決」
記事で紹介済みだ。
「ペッツヴァ(バ)ール」とは聞きなれない用語
(人名)だとは思うが、同第37回記事を参照の事。
本レンズBURNSIDE35は、それらの旧来のレンズ群が
ペッツヴァール構成を変形させた3群4枚で、極端な
像面湾曲収差と非点収差を出して「ぐるぐるボケ」を
発生させていたのとは異なり、4群6枚の新規構成である。
35mm/F2.8では、これまでの中望遠「ぐるぐるボケ」
レンズに比べて、ボケ量が大きく取れない為、「あまり
ぐるぐるボケが出ないのでは?」という不安があるだろう。
ただ、本レンズは最短WD15cm(最短撮影距離約22cm)
のマクロレンズ並みの近接性能を誇る為、近接撮影に
持ち込めば、被写界深度を浅く取れ、ぐるぐるボケの
発生頻度を高める事も可能だ。(注:いつでも常に
ぐるぐるボケが発生する訳では無い)
ぐるぐるボケの原因となる像面湾曲・非点収差を
意図的に高めるならば、画角を広くし、かつ絞りを
開ければよい、だから基本的にはフルサイズ機で
本レンズを使うのが良く、NIKON Fマウント版を購入
しておけば、たいていの他社フルサイズ機で使える事と
なるが、逆に現代のNIKON一眼レフ機では、非Ai仕様の
本レンズをちゃんと使える機体はNIKON Dfくらいしか
無いかと思われ、他の機体では露出のバラツキに
悩まされるだろうから、結局NIKON Fマウント版を買って
もNIKON機で使わない、という不条理な状況を受け入れる
しか無い。
本レンズの「BURNSIDE」の意味だが、1つは「男性の顎鬚
(あごひげ)」である。固有名詞では人名であり、例えば
アメリカ南北戦争の時の将軍に同じ苗字の人が居たとの事。
いずれにしても、レンズ名としての意味が不明だ、これまで
もLENSBABY社では特殊なレンズ名を使う事が多かったが、
なんとなく効果とは連動している名前(VelvetやTwist)
であったので、BURNSIDEとは、ちょっと違和感がある。
(追記:記事執筆後に命名の由来が判明、「地名である」
との事。それ故に、こうした固有名詞のレンズ名の場合、
LENSBABY社では、「全て大文字」で製品名を記載する
ルールとなっている模様。これは、様々な製品紹介サイト
においても「Brunside35」と、誤記となっている)
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のコントローラビリティは、テクニカル的、またはアート
表現的に面白く、十分な使い勝手がある。
「あまり一般的では無い特殊レンズ」という様相も強いが
それこそがLENSBABYの存在意義であり、こうした特殊レンズ
が現代の縮退した交換レンズ市場において製品化される事
自体が貴重な事だ。
まあ、写りはこれで十分、特殊レンズであるから、一般的
な解像感や歪曲収差などの評価項目を挙げても意味が無い。
以下、色々と気になった点を挙げていこう。
まず、本レンズのWebカタログ等では「周辺減光や周辺ボケ
の効果を高めることができる第2絞りを装備している」との
記載があるが、これでは意味が良くわからない。
実際に、その第二絞りは「ゴールド・スライダー」で調整が
できる。ただ、説明書には「ビネット効果やボケの細部を
加えたり、取り除いたりします」と、あまりに簡潔すぎる
記載であり(各国語の併記だから、という理由もある)
その光学的な原理も効能も不明で、一般的な説明でも無く、
あまりに曖昧である事が大変気になる。
つまり技術的な内容説明や根拠がゼロであり、まるで技術に
縁の無い人が書いた、又は、そうした読み手を対象とした
説明に見える。これでは海外(米国等)はともかく、国内の
マニア層や一般ユーザー層には不安と不満に結びつく。
ちなみに、説明書での操作手順は、黒いマニキュアを塗った
女性の指の写真が入っていて、レンズの色と同じとなって
操作がわかりにくいし、そもそも不気味だ。
で、実際に第二絞りを操作すると、レンズ前群あたりに
あるドーム形状の一種の「視野絞り」が動作し、入射瞳が
収縮し、意図的な「ケラれ」効果が出る様子である。
(まあ、広い意味での「口径食」を発生させている訳だ。
なお、「口径食」の光学用語には様々な意味と原因が並存
していて、用語の定義の統一がされていない状態なので、
私は、近年では安直にこの用語を使わないようにしている)
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あり、まあ、これはこれで良いと思う。こういう機構を
持つレンズは他には無いので、大変希少、かつ貴重だ。
注意点としては、この第二絞りを「周辺減光」側にすると
約1/3段程度、露出値が変わる(暗くなる) ただまあ
AEやAUTO-ISOで撮っていれば特別な補正操作は不要だ。
第一絞りは、通常どおりレンズ主点近くにあり、こちらは
いわゆる「開口絞り」であるから、被写界深度の調整や
有効径の変化に伴う像面湾曲と非点収差の増減に役立ち
つまり、ぐるぐるボケ効果のコントローラビリティを高める。
ただし、私の近年の研究分析では、「ぐるぐるボケ」とは、
通常レンズにおける「ボケ質破綻」と、密接な関係がある、
という仮説が出来てきている。「ボケ質破綻」は、その
厳密な再現性が難しく、絞り値以外にも、撮影距離、
背景距離、センサーサイズ等による、「被写界深度」の
要素と、それに加えた、背景や前景の図柄、という部分も
密接に「ボケ質」に影響があるように思えてきている。
(例:主要被写体の背景にあるボケた「木の枝」等は
「二線ボケ」が目立ち易い)
したがって、「ぐるぐるボケ」も、「ボケ質破綻」や
その回避と同様に、コントロールが難しい。
特に「いつても、ぐるぐるボケが出る訳では無い」という
点が、この手のレンズの使いこなしの難しさ、すなわち
表現意図(目的)の調整の難しさに強く影響してしまう。
背景の図柄としては、点光源等で、ボケの変形(口径食)と
ぐるぐるボケが顕著に現れる事から、ぐるぐるボケレンズ
の作例では、夜景での点光源や、木漏れ日ボケを背景にする
人物撮影が多い模様だ(そうであれば、効果がはっきり出る)
ただし、変形ペッツヴァール構成等では、画面中央部に
被写体を置かない限り、その解像感や諸収差の減少は望めない
から、どうしても「日の丸構図」になってしまう事は
避けれない、ここを任意の構図位置(比率)で撮ろうと
する事は、ぐるぐるボケ効果と関連づけさせるのが、
事前予測が困難で、かつ制御も極めて難しい。
まあ、これらの点もあり、一眼レフの光学ファインダーでは
綿密なボケ質コントロールが出来ないので、ミラーレス機+
高精細EVFで使うのが基本であろうが、そうしたとしても
EVF上でのボケ質のチェックは困難である。
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は6万円以上)であり、高付加価値型商品だったとしても
用途からしてコスパが悪い。今回は、たまたま出た中古品
を入手できたが、新品では、まず買う気になれない価格帯だ。
第二に、仕様記載が曖昧である、最短WDが記載されているが、
最短撮影距離と最大撮影倍率が書かれていない、これらは
現代の他社のレンズ仕様記載での通例に反している。
また、ピントリングの距離目盛は、なんと撮影距離では
なく、レンズ前からのワーキング・ディスタンスである。
これも世の中の常識や規約に反していて、とても好ましく
無い仕様だ。(わざと近接性能が強いように見せるという
確信犯なのかも知れない)
また、前述のように、第二絞りの説明不足も不満である。
それから、φ62mmの各種フィルターを装着できるが、
フィルターをつけると、付属の金属キャップが嵌らない。
これは困った状態であり、いったい何故、こんな単純な
仕様ミスがあるのかが理解できない。
そういえば旧来のLENSBABY製品は、TILT系の製品も多く
ちゃんとフィルターを装着して使うレンズの設計経験が
少ないのかも知れない訳だし、製品毎に外観や操作性の
仕様が全く異なり、個々に、いきあたりばったりの設計や
外注先を用いている状況かも知れない訳だ。
LENSBABY製品が、旧来のように、半分トイレンズ的な
「色物」として扱われていた2000年代であれば、こういう
状況でもかまわないが。2010年代、ちゃんとKenko Tokina
という国内代理店が付き、かつ同時代での交換レンズ市場の
大きな縮退により、LENSBABY社製品群も6万円以上もする
高付加価値型の本格的なレンズ群が主力となってきている、
という現状においては、ちゃんとした「写真撮影機材」と
しての最低限のスペックや機能・性能・記載ルール等は
守らないとならないと思う。
さもないと、ユーザーからは、いつまでも「色物だ」という
認識は避けられず、それにしては高価すぎる製品が多いから、
(国内)ユーザー層には受け入れられなってしまいかねない。
事実、私においても、2010年代後半のLENSBABY製品は
高価すぎる、という認識が強く、殆ど(TwistとBURNSIDEしか)
購入していない状況だ。
----
さて、次のシステム、
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(中古購入価格 2,000円相当)(以下、FUJIAN35/1.7)
カメラは、OLYMPUS OM-D E-M1 (μ4/3機)
2010年代後半頃に発売と思われる、CCTV(監視カメラ)
用の、MF単焦点レンズ。(注:メーカー(ブランド)
名は他の表記の場合もある)
レンズ上に「TV LENS」の記載があるが、これは
CCTV(Closed-Circuit Televison)用という意味で、
Cマウント品であり、2/3型イメージサークルに対応
との事。
数年前に新品で2000円台で通販で販売されていた
模様だが、すでに販売終了、後に出てきた中古品で、
Cマウントのアダプター付属で3000円で入手した。
レンズ自体の価格は、2000円という事にしておこう。
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レンズ程の高描写性能は持たない事は、事前に承知の
上である。
この手のCCTV/FA用レンズの使用は、専門的な知識が
必要とされ、一般ユーザー層では困難であるし、
基本的に、専門的なマシンビジョンレンズ等は個人での
購入が不可であり、企業等の法人契約でないと買えない。
ただ、稀にこうしたCCTV用(監視カメラ用)レンズは
一般個人市場にも流通する場合があり、それらがまた
中古市場(ハードウェア・リサイクル店等)に流れて
くる場合もある。しかし、そうした場合、付属して
いたマウントアダプターが、どうみてもCマウント
レンズの使用に適さないもの(例、CANON EFや
EF-Mマウント等)があったりするし・・
本レンズ等を入手した初級マニア層等のレビューを
見ていても、「正しいシステム環境」で、これらの
CCTV/FA用レンズを使っている例は皆無である。
詳しくは「特殊レンズ・スーパーマニアックス
第1回記事、マシンビジョンレンズ編」等を参照
してもらえればわかると思うが、こうしたレンズを
使用するには非常に専門的な知識が必要とされるので
初級カメラマニア層層が、手におえるシロモノでは
無いと思う。
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正しくこれを利用できる母艦は、PENTAX Qシリーズ
(1/2.3型機、1/1.7型機)、あるいはμ4/3機を
常時2倍デジタルテレコンモード(4/3÷2=2/3型)
で使用するしか無い、それら以外の母艦システムでは
画面周辺がケラれてしまう。
ただ、本レンズは、イメージサークルの余裕が比較的
大きく、μ4/3機による連続デジタルズームでの検証
においては、およそ0.75型(3/4型)に相応する
イメージサークルが得られている事がわかる。
そして、μ4/3機でも、周辺減光があるものの、
周辺が全く写らない、という訳では無い。
しかしながら、そうした場合での周辺画質は、設計上
では想定外だ、まともに撮れる状況では無い。
なお、一般機で周辺減光が発生する事から、本レンズを
「トイレンズ」と勘違いしているユーザーが居る事は
少々驚きだ。本レンズはCCTV(監視カメラ)用であり
トイレンズでは無いし、「トイレンズ=周辺減光がある」
という定義すらも存在しない。
解像力だが、かなり低いと推察される。
優秀と思われるピーキングアルゴリズムを持つ機体を
用いても、絞り開放近くではコントラスト差分が発生
せずに、ピーキングが出ない。
予想されるレンズ解像力は、50LP/mm以下であり、
これはアナログTVであれば、高々35万画素相当であるから
この解像力でも良いが、現代のデジタルカメラでは、
この解像力に相当するセンサー側ピクセルピッチは
10μm以上となり、このレベルの写真用デジタルカメラは
現代では存在しない。
デジタル一眼レフでは最大と思われるNIKON Dfでも
約7.2μmピッチであるし、そのカメラでは本レンズを
使用できない。
PENTAX Qシリーズや各種μ4/3機ではセンサーサイズが
小さく、ピクセルピッチも極めて小さい為、たとえ最低
画素数で使用しても適合しない。
また、SONY α7S系列機ならば約8.4μmピッチだが
これでも若干足りないし、フルサイズから常時小さく
クロップして使うのは、操作性的にも困難だ。
あるいは、旧規格のCCTVボードカメラ(CMOS,CCD等)で
あれば使えそうだが、例えば1/3型VGAを選んでも、
ピクセルピッチは、約7.5μmとなり、その場合の
レンズ解像力は、最良で66LP/mmが要求されるので、
本レンズの性能では、僅かにそこに満たないと思われる。
2/3型VGAセンサーがあれば良いが、2000年代ならば
ともかく、現代では、もうほとんど生産終了となって
いる、過去の規格である。
まあつまり本FUJIAN35/1.7は、2000年代のCCTV用
レンズであり、もう現代のCCTVシステムにおいては
古い性能で使えないから、現代の初級マニア層等に
向けて通販で在庫処分をしたのだろうと思われる。
値段が安ければ、マニア層ならば文句は言わない、
言ったとしても「やはり中国製だ、安かろう、悪かろう」
で納得して終わってしまうだろうし、そもそも本レンズ
のようなCCTVレンズをちゃんと使えるシステム構成も
知識も、(高度なものを要求される)撮影技能も持ち
あわせていなければ、結局「ちょっと使って、すぐ飽きる」
で終わってしまう場合が大半であろう。
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での評価となる。
まず、最大の課題である解像感の低さについては、
常に絞りを少し絞った状態で、諸収差を低減させて使う
しか無い、せっかくの開放F値1.7は使えない訳だ。
なお、開放F1.7は、写真用交換レンズと比較すると
明るく大口径である印象があると思うが、暗所で使用
する事の多いCCTV(監視カメラ)用レンズでは、
開放F0.85~F1.0程度が一般的であって、
開放F1.4以下(より暗い)は小口径の部類に属する。
本レンズは、CCTV用の中では、かなりの低スペックだ。
ちあみに、開放F値を暗くする事で、球面収差等を減らし
(この収差はF値の3乗に反比例して酷くなる)解像力を
高める設計が多い「マシンビジョン用」(FA用)レンズ
では、開放F1.4~F2.5程度が普通である。
本レンズは、実用撮影用途の性能には満たない為、
その後は、画像実験システム(ボードカメラ使用)の
テストレンズとして転用する事となった。
----
では、次のシステム。
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(中古購入価格 2,000円)(以下、EF-S18-55)
カメラは、CANON EOS 8000D(APS-C機)
2003年に発売されたAPS-C機専用AF標準ズーム。
初代EOS Kiss Digital(2003年)のキットレンズと
しての発売である。
(注:レンズ単体での発売は2004年となった)
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現代に至るまで、このレンズの系譜は長く続いている。
以降の本レンズの歴史であるが、全て未所有につき
ここではスペック等の客観的な話題に留める。
2004年:EF-S 18-55mm/f3.5-5.6 Ⅱ USM
Kiss Digital Nのキットレンズとして、外観を
リニューアルした。レンズ単体発売は2005年。
旧モデルからレンズの光学系に変更は無し。
この時代、各社から低価格のデジタル一眼レフが
発売されている。この状態で、キット標準ズームの
性能が低いとメーカーのブランドイメージに傷がつく。
本レンズ(およびⅡ型)は、低価格ながら、描写力や
性能にあまり手を抜いていない点が好ましい。
2007年:EF-S 18-55mm/f3.5-5.6 IS
当時、PENTAX機やSONY機が(ボディ内)手ブレ補正
機構を搭載した事により、手ブレ補正のニーズが高まり、
ビギナー向けにIS(手ブレ補正)を搭載したレンズ。
時代の狭間で急遽投入されたレンズと思われ、Kiss
Digital Xや、EOS 40Dのキットとしては間に合わず、
次世代のKiss X2(2008年)のキットレンズとなった。
ISの搭載でもローコスト化を図った製品であると思われ、
USM(超音波モーター)の搭載は廃止されていて、
一般的なDCモーターとなっている。
光学系は、旧モデルとは僅かに変更されている模様だ。
2011年:EF-S 18-55mm/f3.5-5.6 IS Ⅱ
EOS Kiss X5のキットレンズとして、旧モデルから
外観のみをリニューアル、Ⅱ型とした。
この時代、既にミラーレス機の台頭が始まっており、
このモデルチェンジは、コストダウン(利益増大)の
意図もあった模様。
発売直後に「東日本大震災」が発生。この世情・心情的
および製造・流通の被害等の理由で、各社、その後、
この年の新製品等の発売は控えめとなった。
2013年:EF-S 18-55mm/f3.5-5.6 IS STM
EOS Kiss X7系のキットレンズとしてモデルチェンジ。
この時代、ミラーレス機の普及により、一眼レフ市場の
縮退が始まっている。Kiss X7はミラーレス機に対抗する
為、従来モデルからの大幅な小型化を図ったが、レンズ
の方は、まだそこまでは小型化はできていない。
また、この時代からミラーレス機や一眼レフで動画撮影
を行う事が一般層にも広まっていく。
そうなると、旧シリーズのDCモーター(=USMなし)では
不利である為、このモデルから小型の新モーターである
STM(ステッピングモーター)を搭載した、なお、これに
よる重量増は最小限(5g)に留まっている。
ただし、レンズ構成は旧モデルと同一である。
2017年:EF-S 18-55mm/f4-5.6 IS STM
EOS Kiss X9系およびEOS 9000Dのキットレンズとして
従来型より大きくモデルチェンジを行った。
具体的には全長の小型化であり、従来型より13mm
程度短くなっている、しかしながらフィルター径
には変化が無く、重量は旧型に対して微増だ。
この小型化には、広角端の開放F値を旧来のF3.5から
F4にスペックダウンした事も貢献しているとは思う。
従来モデルより価格がややアップ、同時にコストダウン
も図られていると思われ、一眼レフ市場縮退を受けて
こうしたローエンドモデルにも高利益率化(=販売数が
減っても、利益でカバーする)が、行われているのだと
思われる。
ここまでが本レンズの系譜であるが、どの時代を見ても
それぞれ、世情に敏感に反応した製品コンセプトと
なっている。まあ、エントリー機のキットレンズ故に、
CANON純正レンズとしては、最も数が出るレンズだ、
市場からの評価とか、わずかなスペックの差による
原価の違いや利益率とか、そのあたりがとてもシビアな
製品系列のレンズであろう。
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個人的ポリシーとして、CANON製デジタル一眼レフ用
レンズのうち、EF-Sタイプの物とSTMタイプのものは
出来るだけ買わないようにしている。
その理由を簡単に言えば、EF-S型はCANON製フルサイズ
一眼レフに装着できず、STM型はCANON機から電源供給を
しないとピントリングすら廻らない(MFが動かない)事だ。
これはつまり「所定のCANON機で無いと利用困難である」
という「排他的仕様」を持つレンズであり、その点が
私の機材購入ポリシーに全くマッチしない事が理由だ。
(=他社機材との連携を拒み、自社ビジネスの事だけを
考えている。近年のIT等の世界では、完全なる「オープン
思想」であるのに、排他的思想は現代のテクノロジーの
世界観とは、まるで逆転している好ましく無い思想だ、
という考え方から、この製品(企画)思想に賛同できない。
こうした場合のユーザーからの対抗措置は「気に入らない
から買わない」という、ただその1つの方法しか無い。
なお、これはCANON製品に限らず他社でも同様な排他的
仕様の製品は色々とある、それらも全く同様の理由で、
購入を控えている次第だ)
ただ”1本も持たずに文句ばかり言っていても始まらない”
とも思い、歴史的価値の高いものであれば、このような
排他的なレンズも「歴史的資料」という観点で、購入して
おくのも悪く無いか、と思った。
本EF-S 18-55mmは「初のEF-Sレンズ」という事であり、
他に所有しているEF40/2.8STM(本シリーズ第27回等)
は、CANON初のパンケーキレンズで、両者いずれも
歴史的価値が高い。
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が最初に手にするCANON製レンズである為、あまり
手を抜いた設計・仕様にはなっていない。もしここで
低性能のものを売ってしまうと、ビギナー層は二度と
CANON製レンズを買おうとは思ってくれないからだ。
だが、こういう状況であると、マニアとしては、
「では、いったいどの性能に手を抜いていて、
トレードオフを実現しているのだ?」
という点が気になってくる。つまり、全ての性能を
高める事はコスト上、絶対に出来ないから、かならず
何処か目立たない点で性能を妥協せざるを得ない訳だ。
その検証の結果だが、弱点は「逆光耐性」と「ボケ質
破綻」であった。
その他、解像感、周辺減光、歪曲収差、色収差等、
ビギナー層または一般層が、すぐに目について、
「これは、周辺減光が出るからアカン!」などという
クレームまたは低評価が出てしまうような要素は、上手く
避けるように工夫されている。
(・・つまり、初級マニア等が、上記のような欠点だけを
すぐに指摘し、他の欠点にまるで気づかないから、
メーカー側でも、マーケティングリサーチの結果として、
そうした点だけを重点的に改善するのだ。これでは完全に
ユーザーは、メーカー側から「下に見られて」しまって
いる状況である。くれぐれも、そうした、誰にでもわかる
ような内容の評価記事などは書くなかれ)
「逆光耐性」は、ちょっとした逆光でも盛大にゴースト
やフレアが発生するが、これは実は、ビギナー層でも
原因と対策の因果関係がすぐ理解できる、つまり
ビ「逆光で撮ったら、やはりダメだな」
と、容易に納得する訳であり、ビギナー層では、これを
レンズの責任にはしない。
「ボケ質破綻」については、そもそもビギナー層では
本レンズのスペックでは、ボケを生かした撮影技法を
使えないので、あまり関係が無い話だ。
仮に背景ボケを偶然生じさせる事ができたとしても
そのボケ質が良好か否かを判定する事は、ビギナー層
には困難な話である。
まあ、つまり、ビギナー層に向けて、目立つ性能には
手を抜かず、そうで無い部分で設計基準やスペックを
妥協している訳であり、これはなかなか見事な、製品
企画上のバランス感覚であると思う。
(注:しかし、前述のように「ユーザー側が手玉に
取られている状況だ」と言える)
他の弱点としては、今回母艦としているEOS 8000D
との組み合わせにおいて、稀にAFを外す(AF精度が悪い)
事がある。まあでも、この機体の性能ではやむを得ない
(=低価格帯機に、不条理な「仕様的差別化」がある為
本レンズに限らず、大抵のレンズで同様の状況である)
ので、それについては不問だ。
AF精度が欲しければ、高級機と組み合わせれば良いが、
そこまで真面目に使うレンズでも無い。オフサイドの
法則を鑑みても(本レンズの入手価格は僅かに2000円
である)低価格機との組み合わせが望ましい。
ドラゴンボート大会等でのイベント撮影用「消耗レンズ」
としての利用も想定していたが、この逆光耐性の低さ
では、屋外イベント撮影には、残念ながら向かない。
歴史的価値からの「研究用資料」レンズとしておこう。
----
次は、今回ラストのレンズ
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(新品購入価格 24,000円)(以下、七工匠60/2.8)
カメラは、PANASONIC DMC-G6(μ4/3機)
2019年に発売された、中国製のAPS-C機以下の
ミラーレス機対応、MF中望遠等倍マクロレンズ。
各種マウント版が発売されているが、μ4/3版を選択。
こうしておくと、SONY E等、いくつかの他マウントへ
アダプターで共用可能だ。(注:電子接点を持たない
MFレンズで、かつ絞り環がある事が、共用の条件だ)
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設計のレンズを得意とするメーカーであるが、本レンズの
原典は見つける事ができなかった。オリジナル設計である
可能性も高い。ただ、設計技能が低い新鋭メーカーだと
オリジナル設計レンズは色々と課題が出る場合も多いと
思われる。本レンズも当初発売予定日の告知から3ヶ月
も遅れて発売され、出荷ぎりぎりまで設計変更や調整が
行われていたのではなかろうか?という推測もできる。
・・というのも、本レンズ、期待したほどの性能が出て
いないのだ。特に、解像感が、マクロレンズとしては
低く感じ、そこが不満点になる。
他には、逆光耐性が低い。もっともこの点については、
名レンズと言える「七工匠55/1.4」にも同様の弱点
が存在し、これは光線状況に留意して回避する。
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多くがジェネリック設計であり、ジェネリックの元と
なったレンズの特性を知っていれば、そのノウハウを
元に弱点は回避して使用できる為、総合的に、それら
七工匠レンズの性能的な不満は少なく、コスパの良い
レンズとして、個人的にはこれまで好評価であった訳だ。
本レンズの場合には、恐らく、私の方の使いこなしの
ノウハウがまだ整っていない事も大きな課題だと思われる。
マクロレンズは数十本所有しているが、本レンズは前例の
無い特性なので、これを、どのように使いこなすべきかが、
まだ良くわかっていない事が正直な問題点だ。
結局のところ、レンズ評価などは、買ってから数週間程度
使った程度では、まるで出来ず、少なくとも何年も使用し
少なくとも数千枚から1万枚程度撮ってからで無いと、
良くわからない部分が大半であろう。
だから、初級中級層などが「新レンズ、買っちゃいました、
良く写ります」などと言っている記事は、殆ど信用に
値しないし、職業評論家層のレビュー記事でも同様に
短期間しか使用していないので、それも信用できない。
ましてや、自分で購入もしていないレンズについて語る
事などは、「マニア道」的には、あってはならない事だ
とも強く思っている。
Clik here to view.

企画を見かけた。その審査員はメーカーや大手販売店等の
ベテランだと言う、そこまでは良いのだが、審査基準として
「審査員が自腹で買っても良いと思った商品」とあった。
私は「何? ”買っても良い”?? それ位、評価の仕事
だったら、全部買えよ・・! そう高いものでも無いのだし
自分で買って使わない限り、絶対に評価などできないぞ!」
と思い、その入賞商品等の評価結果を完全に無視した。
評論家が自分で買おうともしない商品など、そんな評価は、
まるっきり、あてになる筈は無いではないか・・
で、文房具(特に単色高級ボールペン)は、近年、私が
重点的に志向している趣味分野だ。既に十数本の高級
ボールペンを購入しているが、これくらいだと、趣味と
しては”まだまだ、始めたばかり”というレベルであり、
当然、ブログ記事等で紹介できるような段階でも無い。
例えば、100以上もの対象分野商品をちゃんと購入し、
それらを10年以上とか、長期間使った上で、やっと
「絶対的な評価感覚・価値感覚」が身についてくる。
その段階に至れば、ようやく、その製品ジャンルに
ついて他者に語ったり、意見を言えるようになってくる。
そこまで達しないうちは、まだまだビギナーに過ぎない。
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さて、今回の第53回記事は、このあたり迄で・・
次回記事に続く。