本シリーズは元々「μ4/3(マイクロフォーサーズ)」用
レンズの紹介記事であり、既に4回の短期連載を終了して
いる。ここで、補足編として、マイクロフォーサーズの
前身となった「フォーサーズ」(以下適宜「4/3」と記す)
用のレンズを、6本(OLYMPUS純正4/3用レンズ4本と、
他社製4/3用トイレンズ2本)紹介していこう。
では、まず最初の「4/3」(フォーサーズ)レンズ
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レンズは、OLYMPUS ZUIKO DIGITAL 14-45mm/f3.5-5.6
(新古購入価格 13,000円相当?)(以下、ZD14-45)
カメラは、OLYMPUS E-410 (4/3機)
2004年に発売されたフォーサーズ機専用のローコスト
AF標準ズーム。
OLYMPUSの4/3用レンズの名称は「ZUIKO DIGITAL」と
なっていて、全て大文字で記載するのが正しい。
(注:銀塩OM-SYSTEMでも同様だが、一部では、先頭
のみが大文字の「Zuiko」表記もあったかも知れない)
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元来はOLYMPUS E-300(4/3機、2004年)のキット
レンズとして発売されたものであり、私はそのキットを
新古品で入手した次第で(注:当初はE-300のボディ
単品発売は無かった)よって、レンズ単体の購入価格は
不明である。適当な価格配分としておこう。
長年の過酷な使用で、元々のボディのE-300は、故障
廃棄となってしまったが、その後の4/3システムの市場
縮退(撤退)により、2010年頃に在庫処分品の
E-410(今回使用機、2007年発売)を安価に新品購入し、
本レンズは引き続き2010年代においても、実用レベル
の機材として使用していた。
で、「何が実用レベルか?」という意味であるが・・
4/3(マイクロ4/3も同じ)は、センサーサイズが
小さい規格だ。この為、使用するレンズは小型軽量化
が可能な他、本ZD14-45のように、実焦点距離が短い
標準ズームレンズ(等)を作る事が出来る。
まあつまり、14-45mmは、フルサイズ機換算で、
28-90mmの標準ズームと同等の画角になる。
で、この場合のメリットだが、「被写界深度を深く」
する事が出来る。
が、被写界深度を計算で求める際の「許容錯乱円」の
定義は、デジタル(光学)においては、凄く曖昧であり
参照する文献や、研究者、研究組織毎にまちまちだ。
その概念が統一できていない(研究が進んでいないか、
あるいは、銀塩とデジタルは基本原理が全く異なる為
両者で同一の考え方をする事が、そもそも出来ない)
事は、まあさておき、オリンパスにおいては、4/3や
μ4/3システムでは、0.016mm(35mm判フィルムの
半分)を「許容錯乱円」と定義している。
ただ、この数値で計算すると、実際に写真を撮っている
時の被写界深度の感覚とは、ずいぶんと異なってしまう。
私は4/3機やμ4/3機で、優に数十万枚の写真を撮影した
経験を持つが、正直言えば、デジタル(光学)の研究者
達が、これと同等以上の経験値・経験則を持ち、そこで
被写界深度を感覚的に捉え、「許容錯乱円の定義を厳密
に決めている」とは思えない。
「4/3(μ4/3)のセンサー対角線長は35mm判フィルム
の半分であるから、銀塩時代の許容錯乱円0.033mmを
半分にした0.016mmとしておこう」といった、単純な
計算で、これを決めているように思えてならないのだ。
私の個人的な感覚値では、APS-C機や4/3(μ4/3)機の
場合も「銀塩35mm判フィルムと同じ、0.033mm」を
許容錯乱円と定義した方が、すんなりと受け入れられる。
それに、もっと面倒な話をすれば、例えば、今回紹介して
いるような4/3(マウント)用レンズの中には、4/3機
専用では無く、フルサイズ機でも使える(フルサイズ対応)
のものも存在する。
では、そのレンズをAPS-C機やフルサイズ機に装着すれば、
センサーサイズが変わり、(仮定の)許容錯乱円も変る
ので、計算上での被写界深度も変ってくる。
でも、実写においては、そのような感覚は少ない。
レンズが同じであれば、センサーサイズの変化による
感覚的な被写界深度の変化は「さほど大きくは無い」と
私は思っている。
また、近年の一部の「マシンビジョン」(産業)用
レンズ業界においては、撮像センサーサイズがかなり
まちまちで、それに装着するレンズの対応イメージ
サークルもバラバラな、産業用システムにおいては、
「全てのレンズでの許容錯乱円を0.04mmで統一する」
としている様子である。
・・こんな状況なので、もう、あれこれと悩む事は
面倒であるし、そもそも、そうしたややこしい話を、
撮影者(ユーザー)側に「押し付けて」しまうのは、
「デジタル光学界全般での大きな課題」であろう。
何も、ユーザー側が悩む必要は無く、研究者がちゃんと
研究し、ちゃんと考えて決めて、ユーザー層に伝えれば
良い事だ。
・・という事で、本ブログにおいては、被写界深度の
説明をする際、全て、銀塩35mm判相当の0.033mmを、
許容錯乱円として計算を行っている。
これは、必ずしも正しい措置であるとは言い切れないが、
「世の中の誰も正解を決めれ無い」ならば、やむを得ない。
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さて、余談が長くなったが、余談とは言い切れず、この
許容錯乱円の他にも、デジタル光学、あるいはデジタルに
限らない「撮像光学」の世界では、曖昧な事が極めて沢山
存在する。(例:レンズ解像力LP/mmと、ベイヤー配列
等のセンサーのピクセルピッチとの関係性はいかに?)
だから、書籍、文献、Web等においても研究者毎に、
まちまちな事や解釈を言っているし、そこで使われる
光学用語の意味や定義すらも、まちまちだ。
そういう文献や情報を参照したユーザー(利用者層)も
「あっちの本に書いてあった事と、こっちのサイトに
書いてある事が違う」と、指摘をしたり文句を言う訳だ。
でも、そこまで気づいたならば、むしろ、たいしたものだ、
普通は、どこかから1つの情報を聞きかじっただけで、その
内容を盲信し、「それが正しい」と言い張る人達が殆どだ。
光学の世界での矛盾や課題に気づき掛けたのであれば、
それは”ちゃんと勉強する意思がある”という事であろう。
であれば、もう少しだけ、ちゃんと勉強してみるのも良い。
光学の専門書を10冊も買ってきて、ちゃんと読んだならば
専門書毎に、言っている事や用語定義が全く異なる事に
気づくであろう。まあ、そこで、勉強した人は思う・・
「書いてある事、まるっきりアテにならないではないか!」
と・・ そう、つまり、そういう事なのだ。
だから、自分なりに、正解と思う事を探求していかなくては
ならない。何か疑問に思ったら、必ず自分でそれを確かめる
必要がある。
「何十万枚も写真を撮る」と前述した。それは自身の疑問を
解消する為の研究と同等の行為である。
それをせずに、研究者が研究室の中だけでパソコンで計算して、
何かを考えて決めていたり、あるいは、ユーザー層においても
「こっちの本と、あっちのサイトが違う」とか文句を言って
いるだけでは、何も始まらない。
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では、話を元に戻す。
本ZD14-45レンズを日中晴天時のイベント撮影に使用する。
絞り優先AEで、例えば、絞り値をF7.1前後(F5.6、
F6.3、F7.1、F8あたり迄)に設定しつつ、2~3m程度
の距離で、人物スナップ撮影等を行うとする。
この場合の被写界深度は、F7.1、撮影距離3m、
許容錯乱円径0.033mmの条件で、焦点距離毎に・・
14mm広角側:約0.6m~∞(無限遠)
30mm中間 :約1.6m~約13m
45mm望遠側:約2.2m~約4.6m
・・となる。
これはすなわち、このシステムの”実用上”において、
「ズームを、あまり望遠側に設定さえしなければ、
AFが何処かに合ってさえすれば、スナップ撮影で
写真がピンボケになる事は、まず有り得ない」
という、多大な実用的メリットに繋がる。
簡単に言えば「(絶対に)失敗しない、撮影システム」
となる訳だ。(注:ブレには要注意だ、夕刻や弱暗所等で
手ブレや被写体ブレが発生しそうな場合は、ISO感度を
高めつつ、被写界深度を犠牲にしても絞り値を開けていく)
よって、「イベントの会場記録」等の業務撮影上では、
こういうシステムは非常に有益である。まず失敗しないの
だから、安心して大量の写真撮影に注力する事が出来る。
「所詮、安物のキットズームだ」と思うかも知れないが、
それもまた、業務/実用撮影等では多大なメリットである。
つまり「過酷な環境で用いて、壊れても惜しく無い」とか
「撮影コストと撮影実利の差が大きい=利益率が良い」
と言う事に繋がり、事実、本レンズは、十数回か、それ
以上の回数での「雨天撮影」でも大活躍している。
それに、それだけ酷使しても、何故か全く壊れない。
防水等の構造を謳っている訳では無いのだが、それに
しても、タフなレンズである。
---
さて、次の4/3レンズはマクロである。
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レンズは、OLYMPUS ZUIKO DIGITAL 35mm/f3.5 Macro
(中古購入価格 8,000円)(以下、ZD35/3.5)
カメラは、OLYMPUS PEN-F(4/3機)
電子アダプターは、OLYMPUS MMF-2(4/3→μ4/3)
2005年発売のフォーサーズ用の軽量等倍マクロレンズ。
4/3システムは現在では終焉している為、こうした
4/3用レンズを使う際に、4/3機が無い場合には、
OLYMPUS製等の電子アダプターでμ4/3機に装着可能
である。(例:今回使用のOYMPUS MMF-2等。
他の用法については、本記事で追々紹介する)
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さて、ここでOLYMPUS 一眼レフ(銀塩OMおよび
4/3システム等)の歴史を少し紹介しておく。
1972年~1984年 銀塩OM-SYSTEM展開期
天才と呼ばれた技師「米谷」氏の頭文字を取った
銀塩Mシステムの開発と展開が進められた時代。
Mシステムは、徹底的な「小型軽量化」「レンズ
ラインナップの汎用性」「共通設計思想」等の
拘りとも言える、強い特徴を持ち、一般大衆向けと
ともに「オリンパス党」とも言える熱烈なファン層
(マニア層)も生み出した。
なお、Mシステムは、エルンスト・ライツ社(ライカ)
からの「Mを使うな!」という、いいがかりにも近い
クレームにより、「OMシステム」と名前を改める事と
なっていた。(注:この事実は「オリンパス党」や
上級マニア層等の人達からは、「ライカは度量が狭い」
等と、酷く嫌われている歴史だ)
この時代の代表機:
M-1(1972)、OM-1(1973)、OM-2(1975)
OM10(1979)、OM-4(1983)、OM-2SP(1984)
OM-3(1984)
(注:OMヒトケタ機以外は、ハイフンが入らない)
1986年~1988年 OM AFシステム試験期
1985年、MINOLTAより世界初の実用的AF一眼レフ
システムの発売。この通称「αショック」(事件)
を受け、オリンパスもAF化に追従。
しかし、MFのOM機とのレンズ互換性が無く、かつMF
操作を軽視した仕様は、ユーザー層に受け入れられず、
オリンパスOMのAF化は失敗し、開発は凍結されてしまう。
この時代の代表機:
OM707(1986)、OM101(1988)
1985年~1997年 銀塩OM-SYSTEM終焉期
AF化に失敗したOM-SYSTEMだが、マニア層を中心に
根強い人気はまだ残っている。この時代に全くの新規
開発でのOM機は、もう発売されていないが、旧機種の
リニューアルや、OEM生産版のOM機の発売はあった。
この時代の代表機:
OM-4Ti(1986)、OM-4Ti Black(1989)、
OM-3Ti(1994)、OM2000(1997)
ちなみに、私はここまで代表機として紹介した機体の
内の多くを所有していたが、現有機は、OM-4Tiと
OM2000のみであり、それぞれ「銀塩一眼レフ・
クラッシックス第13回、第22回」記事で紹介済みだ。
他のOM機は、デジタル時代に入った頃に「もはや
実用価値に欠ける」と見なし、処分してしまっている。
2003年 4/3機販売開始
デジタル時代に突入し、オリンパスも旗艦E-1で
久しぶり(新規設計は十数年ぶり)にレンズ交換式
カメラ(一眼レフ)市場に再参入。
フォーサーズとは、4/3型撮像センサーを用いる規格
からであり、これはフルサイズ機or銀塩35mm判機の
約半分の対角線長で、その面積は約1/4である。
今から思うと小さいセンサーだが、当時の他のデジタル
一眼レフの大半はAPS-C機(フルサイズの半分の面積)で
あったので、4/3と大差があるという訳では無かった。
2004年~2010年 4/3システム展開期
この時期、オリンパスは積極的に4/3機およびその
交換レンズ群を市場に展開する。
2006年~2007年の期間では、オリンパスのみならず
Panasonicからも4/3機が新発売された。
この時代の4/3機では、ライブビュー撮影機能の搭載、
手ブレ補正内蔵、アートフィルター(エフェクト)機能
の搭載など、先進的な技術展開を行うのだが・・
ただ、他社一眼レフ陣営は、画素数競争が顕著であった
時代でもある。4/3機は当初500~800万画素、そして
中期は1000万画素、終焉期で、やっと1200万画素と、
他社一眼レフに対して見劣りするスペックであり、
市場競争力を失っていく。
画素数競争等のビギナー的視点では無く、マニア的
視点からでの4/3システムの課題は3つあり、
1)銀塩時代からの保有レンズ資産を、ほとんど活用
する事が出来ない(=新規に4/3専用レンズを買う
必要がある)
2)4/3のレンズラインナップが少なく、魅力的な
(仕様・性能)レンズも極めて少ない。
3)レンズに通電しないとMFが出来ない。(=カメラ
の電源をONするまで、ピントリングが廻らない。
また、絞り環が無いので、同様に電源投入前の
絞り値の「事前設定」が出来ない)
上記1,2はともかく、3)は結構、致命的な課題だ。
速写性に多大な影響があり、写真を撮る道具として
実用性が低いと言わざるを得ない。
4/3システムを設計する人達が、実際の写真撮影に、
どの程度のノウハウを持っていたのか? どうも
そのあたりが疑問である。銀塩OMの終焉期(1980年代
後半)から、20年近くもOLYMPUSは一眼レフを
新規開発しておらず、当然ながら、技術者達も、この
長い期間の間に、総入れ替えとなった事であろう。
写真撮影に関するノウハウが設計側で完全に失われて
しまっていた可能性が高い。さもなければ、上記3)
のような仕様で4/3システムを設計するという事が
考え難い。なんだか、「動けば良いのです」という風に
撮影時の利便性を考えない(あるいは全く知らない)まま、
デジタルでの仕組みを設計したとしか思えないのだ。
この時代の代表機:(注:オリンパス機のみ)
E-300(2004)、E-500(2005)、E-330(2006)、
E-410(2007)、E-510(2007)、E-3(2007)、
E-30 (2008)、E-620(2009)、E-5(2010)
2008年 μ4/3(マイクロフォーサーズ)規格の発表
OLYMPUSとPANASONICの共同で、新規格μ4/3が
発表された。
4/3の低迷を見かねての戦略転換だと思われるが・・
個人的な想像だが、この少し前の時代にカメラ事業
から撤退したMINOLTAや京セラの、カメラや写真撮影
に極めて詳しいエンジニア達による、μ4/3規格の
発案だろう、と分析している。
2009年 OLYMPUS初のμ4/3機の発売
μ4/3機(そしてミラーレス機でもある)の
初号機は、PANASONIC DMC-G1(2008年)であった。
μ4/3規格の発表からDMC-G1の発売までの期間が、
やたら短かったのは、すでに量産試作機が存在して
いて、後から規格制定が行われたのであろう。
(前述のμ4/3誕生の想像を裏付ける話である)
OLYMPUSは、やや遅れ、2009年夏に、ようやく
初号機としてOLYMPUS PEN E-P1が発売されている。
銀塩PENシリーズのイメージを踏襲した、この機体は、
マニア層からも大きな注目を浴びた。
(注:前述の天才技師「米谷」氏は、デジタルのPENが
発売された同年同月に他界してしまった・・)
2013年 4/3終焉宣言
OLYMPUSは、2010年頃からμ4/3システムを主軸とし
4/3機の発売はE-5(2010年)のみに留まり、
その機体が、結果的に4/3最終機となった。
事前に誰が見ても4/3の終焉は明らかではあったが、
一応、オリンパスも、この2013年のμ4/3旗艦機
OM-D E-M1の発売時に「4/3とμ4/3を統合して・・」
という主旨の発表を行った事により、ここで事実上
4/3は終焉した事となった。
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思えば、4/3は僅か10年、実質としては7年間だけの
短い寿命であった。
公式資料、市場関係者、ファン層・・等であれば
「フォーサーズは、マイクロフォーサーズに発展したのだ」
という言い方をするとは思うが、例えば中古市場等では
4/3とμ4/3の両システムは、完全に別物の扱いであり、
4/3は終焉したシステムであるから、これはもう「実用
価値無し」と見て二束三文の中古相場(という価値感覚)
となる。まあ、それが当たり前の市場感覚であろう。
本レンズZD35/3.5の話が殆ど無いが、他記事と重複
する為、割愛する。例えば以下の記事を参照されたし。
「特殊レンズ第2回オリンパス新旧マクロレンズ編」
----
では、3本目はトイレンズである。
![_c0032138_07254502.jpg]()
レンズは、HOLGA LENS 60mm/f8 HL-O
(新古品購入価格 1,000円)
カメラは、OLYMPUS OM-D E-M5Ⅱ Limited(μ4/3機)
アダプターは、OLYMPUS MMF-2(4/3→μ4/3)
2010年代初頭位に発売された、中国製トイレンズ。
まだミラーレス機用に対応していない時代であったので
このレンズは、各種(デジタル)一眼レフ用マウントで
販売されていた。
型番の最後の「-0」は、オリンパス用を意味し、これは、
この時代であれば、すなわち4/3マウント用レンズという
意味である。
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「4/3用レンズは、電源を投入しないとピントリングが
廻らない」と前述したが、こうしたトイレンズは例外で
あり、レンズ内AFモーターも無ければ、電子接点も無い。
まあつまり、物理的に4/3機やμ4/3機に嵌りさえすれば
使える、という事になる。
今回は電子アダプターMMF-2を使っているが、ここでは
電気的な通信が行われている訳では無く、単にマウント
形状やフランジバックを揃える為のアダプターにしか
なっていない。まあつまり、μ4/3機を使わずとも、
4/3→? の機械式マウントアダプターがあれば、その
?のマウントにおいて、本レンズを使用可能となる。
本レンズの新古品購入価格は、僅かに1,000円である。
まあ、元々定価も3,000円程度と高価では無いのだが、
これは「7割引」のディスカウント店で購入した次第だ。
ディスカウント(アウトレット)店では、商品価値の
低いもの、つまり「訳アリ」の商品を安価に仕入れ、
それを安価に販売するのだが・・
本レンズの何が「訳アリ」なのか? と言えば、もう
説明する必要も無いであろう。
既に終焉した4/3(フォーサーズ)用のレンズだからだ。
「古い規格、古いシステム、もう使えない・・」
そうであるから、使用するには何の問題も無い新品の
レンズでありながら、哀れ「7割引き」で売らざるを
得なくなってしまう。
まあこれが、本当の「市場価値」である。
ファン層やマニア層等が、いくら「4/3は、μ4/3に発展
したのだ」と、差し障りの無い婉曲表現で物事を語ったと
しても・・ 実際の店舗に行けば「4/3製品は7割引き」
である。これが現実の世界であり、現実の価値感覚だ。
![_c0032138_07255255.jpg]()
さて、本レンズは「Lo-Fi」レンズである、
ここで「Lo-Fi」について説明をし始めると、記事文字数
を大幅に消費してしまい、冗長だ。
「Lo-Fi」については、本ブログではもう何十回も書いて
来ている事なので、今回は、ばっさりと割愛する。
まあ、中上級層や、中上級マニア層であれば、「Lo-Fi」
という概念も、十分に理解している事であろう・・
----
では、4本目のシステム、こちらもトイレンズ風である。
![_c0032138_07260165.jpg]()
レンズは、LENSBABY MUSE Double Glass Optic
(新品+中古購入価格 計9,000円)(以下、MUSE DG)
カメラは、SONY NEX-7 (APS-C機)
アダプターは、ノーブランド(4/3→NEX)
2009年発売のティルト型レンズ(シリーズ)
この「MUSE」は光学系(Optic/オプティック)を
交換できる仕組みである。本MUSEシステムは、
交換光学系により、本格的な描写力から、トイレンズ
相当のLo-Fi描写までを選べるという稀有なシステムだ。
![_c0032138_07260122.jpg]()
で、これも、まだミラーレス機普及期以前の製品の為、
各種一眼レフ用マウント版での発売であり、本レンズは
4/3(フォーサーズ)マウント版である。
ここでは、4/3→SONY E(NEXと記載)の機械式マウント
アダプターであり、単にマウント形状を変換するだけ
のものである。
こうした単純アダプターでは、純正(AF等)4/3用レンズ
は、前述のようにレンズ側に通電が出来ず、ピントも
絞りも動かず、実質的に使用できないのであるが・・
本MUSEは、ピントも絞りも特殊な構造のMFレンズで
あるが故に、マウント形状だけ任意のカメラ用に揃えて
しまえば、問題なく使える(ちなみに、フルサイズ
対応レンズである)
で、そういう事であるから、本MUSEを購入した際、
他マウント(現役マウント)品は、1万円台だかして
いたのが、この4/3マウント用のみ、6000円とかの
新品価格に値下げされていたのだ。
ここも勿論、4/3は終焉したシステムだから、店舗側も
在庫する事を嫌った、在庫処分価格であった訳だ。
私としては、MUSEはマウント形状さえ変換してしまえば
どのカメラでも使える事がわかっていた為、あえて
この4/3マウント版を購入。
これで、4/3機、μ4/3機、SONY Eマウント機の3系統の
機体で本レンズを活用できる事になる。
ただし、本MUSEは、操作性が極めて難しいレンズで
あるから、使用する母艦の形状やサイズ感も、かなり
それを限定してしまう。利用者の手指のサイズとか
利用者が、どれくらい器用か?などの条件もあるが、
私の場合は、LENSBABY 3Gおよび本LENSBABY MUSE
の母艦としては、SONY NEX-3/NEX-7のいずれかの
機体を用いる事としている。これらのカメラであれば、
小型軽量であり、MUSE(や3G)の複雑な撮影操作を
なんとかこなす事ができる。他のカメラに装着して
試した事も勿論あるが、あまりにボディのサイズが
大きくなってしまうと、ティルト(傾ける)や、
ピント合わせの操作、および、それらの操作を維持
しながらシャッターを切る事が(私の手指では)困難
となるのだ。
![_c0032138_07260422.jpg]()
まあ、現代となって、あえて、このような4/3用の
特殊レンズを買う必要は無いであろう。
こうした特殊レンズを買う場合は、NIKON Fマウントで
買う事がセオリーである。そうしておけば、およそ
殆どの他社カメラで、マウントアダプター経由での
高い使用汎用性が得られる(注:むしろNIKON一眼レフ
で使う方が、色々と制限事項が多い。特に、NIKONの
初級機D3000/D5000シリーズ等では、まず使えない)
ただまあ、本レンズの場合は、4/3終焉により在庫処分
で安価になったものを購入した訳であり、これはこれで
筋が通っている。本レンズ購入時には、NIKON Fマウント
版は併売されてはいたが、現役商品であるが故に高価で
あった訳だ。
---
さて、5本目の4/3システム
![_c0032138_07261063.jpg]()
レンズは、OLYMPUS ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm/f4-5.6
(中古購入価格 5,000円相当)(以下、ED40-150)
カメラは、OLYMPUS E-520 (4/3機)
2007年頃に発売されたと思われる、フォーサーズ機用
の小型軽量AF望遠ズーム。
単品発売もあったが、多くはE三桁シリーズ機のダブル
ズームレンズキットとして販売されたと思われる。
![_c0032138_07261104.jpg]()
2004年~2006年頃にキット(標準ズーム)レンズと
なっていたZD14-45(本記事冒頭のレンズ)は、
やや大柄であった為、小型軽量の機体とはバランスが悪く
特に2007年発売のE-410(冒頭の機体)は、発売当時
世界最小・最軽量のデジタル一眼レフだった為、
E-410/510の発売に合わせて、ダブルズームキット用
レンズも大幅に小型軽量化されたのだと思われる。
本ED40-150も、その開発コンセプトのレンズであり、
フルサイズ換算300mm級の望遠ズームでありながら、
重量は僅かに222g(実測値)しか無い。
本レンズは近年の購入であり、4/3システムが終焉
してから、かなりの年月が経っていた為、相応に安価な
相場で中古購入する事が出来た。
今回使用の4/3機(E-410、E-520)を母艦とする他、
μ4/3機に装着し、さらに小型軽量な望遠システムを
構築する事が主目的での購入である。
(注:OLYMPUS MMF-1~3電子アダプター必須)
μ4/3機に装着時では、像面位相差AF(DUAL FAST AF)
を備える機種(OM-D E-M1系列等)であれば、4/3機と
同等レベルのAF性能(速度・精度)が得られる事は
実験済みである。ただし、コントラストAFのみの機種
(OM-D E-M5Ⅱ、PEN-F等)だと、4/3系レンズを
AFで使うには、ちょっと分が悪い(遅い、合わない等)
![_c0032138_07261175.jpg]()
描写力だが、ED(特殊低分散ガラス)を用いた設計
であり、ローコストレンズながら、あまり手を抜いて
いない点は良い。ただし、EDレンズの効能は、主に
小型化および、描写力面では、解像力や色収差低減に
向けられていると思われ、ボケ質の破綻が出やすい事、
および逆光耐性が低く撮影状況によってはコントラスト
が低下するのが課題だ。
----
では、次は今回ラストの4/3システム
![_c0032138_07261905.jpg]()
レンズは、OLYMPUS ZUIKO DIGITAL 50mm/f2 Macro
(中古購入価格 22,000円)(以下、ZD50/2)
カメラは、OLYMPUS OM-D E-M1(μ4/3機)
電子アダプターは、OLYMPUS MMF-2(4/3→μ4/3)
2003年発売の、フォーサーズ用の1/2倍マクロ。
4/3機ではシステム的に使い難い為「OLYMPUS MMF-2」
電子アダプターを介してμ4/3機で使用する。
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「精密ピント合わせ型」のレンズではあるが、この
システム(μ4/3機を母艦とする)の場合では、AF/MF
性能に、あまり不満を感じない。
まあ、前述のように、オリンパスは本機OM-D E-M1の
発売時に「4/3を、もう止めます」という発表をした
訳であるから、もし、本機E-M1で4/3用レンズを
使用時に実用以下の性能であったら、4/3ユーザーから
ブーイングの嵐となってしまう。まあつまり、E-M1では
像面位相差AF等が、ちゃんと4/3用レンズでも動作して
いる(ように慎重に設計されている)訳だ。
ちなみに、同じMMF-2電子アダプターを使ったとしても、
この記事での2つ目の組み合わせ、つまりZD35/3.5+
MMF-2+PEN-Fにおいては、AFは非常に遅く、いくら像面
位相差AF「非」搭載のPEN-Fとは言え「なんじゃこりゃ?
どこか故障しているのかいな?」と、疑ってしまった
位である。
![_c0032138_07262005.jpg]()
でもまあ、「精密ピント合わせ型」のマクロレンズで
あると、前述の「4/3は電源を入れないとピントリングが
廻らない」は、MF使用上での重欠点としてのしかかる。
まあつまり、「実用MF技法」が使えず、非常に厳しい。
ちなみに「AFで合わせて、もし合わない場合はシームレス
MFを用いてピントを合わせる」などというMF技法は、
初級も初級であり、MFの実用撮影上では、そんな撮り方を
する人は、ビギナー層以外、誰も居ない。
MF撮影は、予め、撮影距離に「アタリ」(目標とする)
をつける事で、速写性を高める等のメリットが存在する、
それが基本的なMF実用撮影技法である。
まあつまり、μ4/3機用レンズ等もそうだが、無限回転式
ピントリング搭載の純正レンズ等では、マクロ撮影や
MFでの精密ピント合わせ、遠距離高速動体等の撮影時
には、使い物にならないのだ。
そんな事は、ちょっと写真撮影がわかっている人ならば、
自社が開発したレンズを、実際にフィールド(屋外)に
持ち出してみれば、ものの30分で「あ、こりゃまずいや」
と理解できる筈だ。だが、そういう仕様のままの製品が
発売されてしまう・・ という事は、メーカーの開発部も
企画部も営業部も、誰ひとりとして自社製品で多数の
写真を撮らないまま、それが発売されてしまう、という事
だとしか考えようが無い。(だとすれば、残念な話だ)
それと、本レンズはヘリコイドの繰り出し量が大きい為、
近接撮影をして、そのままカメラの電源をOFFにすると、
レンズのヘリコイドが伸びたままになってしまい、カメラ
バッグ等への収納性が落ちる。
勿論、カメラの電源を再投入しないかぎりピントリングは
一切廻らないので、手でヘリコイドを引っ込める訳には
行かないのだ。(注:この課題は、MMF-2電子アダプター
使用時に発生する。オリジナルの4/3機に本レンズを
装着する場合では、電源OFF時に自動的にレンズを無限遠
まで引っ込めてくれる。(E-410/E-520で確認済み)
ただし、全ての4/3機が、そういう動作をするか?は不明。
また、毎回の電源再投入時にAFが無限遠からスタートする
ので、マクロレンズ等で近接撮影が主体な場合は、この
仕様は、あまり効率的とは言えない)
![_c0032138_07262018.jpg]()
まあ、もう4/3は「終焉したシステム」である。
今更、何を文句を言っても始まらないのであるが・・
それでも使い難い事は確かである。
「当時の4/3機のユーザー層は、良く、こういう点を
我慢していたなあ・・」と、今にして、そう思う。
----
では、今回の補足編「4/3用レンズ・マニアックス」
は、このあたり迄で。これにて本シリーズを終了する。
以降、本シリーズは、特定の条件下での機材紹介の
短期連載の記事群をグループとして続けていく予定だ。
レンズの紹介記事であり、既に4回の短期連載を終了して
いる。ここで、補足編として、マイクロフォーサーズの
前身となった「フォーサーズ」(以下適宜「4/3」と記す)
用のレンズを、6本(OLYMPUS純正4/3用レンズ4本と、
他社製4/3用トイレンズ2本)紹介していこう。
では、まず最初の「4/3」(フォーサーズ)レンズ

(新古購入価格 13,000円相当?)(以下、ZD14-45)
カメラは、OLYMPUS E-410 (4/3機)
2004年に発売されたフォーサーズ機専用のローコスト
AF標準ズーム。
OLYMPUSの4/3用レンズの名称は「ZUIKO DIGITAL」と
なっていて、全て大文字で記載するのが正しい。
(注:銀塩OM-SYSTEMでも同様だが、一部では、先頭
のみが大文字の「Zuiko」表記もあったかも知れない)

レンズとして発売されたものであり、私はそのキットを
新古品で入手した次第で(注:当初はE-300のボディ
単品発売は無かった)よって、レンズ単体の購入価格は
不明である。適当な価格配分としておこう。
長年の過酷な使用で、元々のボディのE-300は、故障
廃棄となってしまったが、その後の4/3システムの市場
縮退(撤退)により、2010年頃に在庫処分品の
E-410(今回使用機、2007年発売)を安価に新品購入し、
本レンズは引き続き2010年代においても、実用レベル
の機材として使用していた。
で、「何が実用レベルか?」という意味であるが・・
4/3(マイクロ4/3も同じ)は、センサーサイズが
小さい規格だ。この為、使用するレンズは小型軽量化
が可能な他、本ZD14-45のように、実焦点距離が短い
標準ズームレンズ(等)を作る事が出来る。
まあつまり、14-45mmは、フルサイズ機換算で、
28-90mmの標準ズームと同等の画角になる。
で、この場合のメリットだが、「被写界深度を深く」
する事が出来る。
が、被写界深度を計算で求める際の「許容錯乱円」の
定義は、デジタル(光学)においては、凄く曖昧であり
参照する文献や、研究者、研究組織毎にまちまちだ。
その概念が統一できていない(研究が進んでいないか、
あるいは、銀塩とデジタルは基本原理が全く異なる為
両者で同一の考え方をする事が、そもそも出来ない)
事は、まあさておき、オリンパスにおいては、4/3や
μ4/3システムでは、0.016mm(35mm判フィルムの
半分)を「許容錯乱円」と定義している。
ただ、この数値で計算すると、実際に写真を撮っている
時の被写界深度の感覚とは、ずいぶんと異なってしまう。
私は4/3機やμ4/3機で、優に数十万枚の写真を撮影した
経験を持つが、正直言えば、デジタル(光学)の研究者
達が、これと同等以上の経験値・経験則を持ち、そこで
被写界深度を感覚的に捉え、「許容錯乱円の定義を厳密
に決めている」とは思えない。
「4/3(μ4/3)のセンサー対角線長は35mm判フィルム
の半分であるから、銀塩時代の許容錯乱円0.033mmを
半分にした0.016mmとしておこう」といった、単純な
計算で、これを決めているように思えてならないのだ。
私の個人的な感覚値では、APS-C機や4/3(μ4/3)機の
場合も「銀塩35mm判フィルムと同じ、0.033mm」を
許容錯乱円と定義した方が、すんなりと受け入れられる。
それに、もっと面倒な話をすれば、例えば、今回紹介して
いるような4/3(マウント)用レンズの中には、4/3機
専用では無く、フルサイズ機でも使える(フルサイズ対応)
のものも存在する。
では、そのレンズをAPS-C機やフルサイズ機に装着すれば、
センサーサイズが変わり、(仮定の)許容錯乱円も変る
ので、計算上での被写界深度も変ってくる。
でも、実写においては、そのような感覚は少ない。
レンズが同じであれば、センサーサイズの変化による
感覚的な被写界深度の変化は「さほど大きくは無い」と
私は思っている。
また、近年の一部の「マシンビジョン」(産業)用
レンズ業界においては、撮像センサーサイズがかなり
まちまちで、それに装着するレンズの対応イメージ
サークルもバラバラな、産業用システムにおいては、
「全てのレンズでの許容錯乱円を0.04mmで統一する」
としている様子である。
・・こんな状況なので、もう、あれこれと悩む事は
面倒であるし、そもそも、そうしたややこしい話を、
撮影者(ユーザー)側に「押し付けて」しまうのは、
「デジタル光学界全般での大きな課題」であろう。
何も、ユーザー側が悩む必要は無く、研究者がちゃんと
研究し、ちゃんと考えて決めて、ユーザー層に伝えれば
良い事だ。
・・という事で、本ブログにおいては、被写界深度の
説明をする際、全て、銀塩35mm判相当の0.033mmを、
許容錯乱円として計算を行っている。
これは、必ずしも正しい措置であるとは言い切れないが、
「世の中の誰も正解を決めれ無い」ならば、やむを得ない。

許容錯乱円の他にも、デジタル光学、あるいはデジタルに
限らない「撮像光学」の世界では、曖昧な事が極めて沢山
存在する。(例:レンズ解像力LP/mmと、ベイヤー配列
等のセンサーのピクセルピッチとの関係性はいかに?)
だから、書籍、文献、Web等においても研究者毎に、
まちまちな事や解釈を言っているし、そこで使われる
光学用語の意味や定義すらも、まちまちだ。
そういう文献や情報を参照したユーザー(利用者層)も
「あっちの本に書いてあった事と、こっちのサイトに
書いてある事が違う」と、指摘をしたり文句を言う訳だ。
でも、そこまで気づいたならば、むしろ、たいしたものだ、
普通は、どこかから1つの情報を聞きかじっただけで、その
内容を盲信し、「それが正しい」と言い張る人達が殆どだ。
光学の世界での矛盾や課題に気づき掛けたのであれば、
それは”ちゃんと勉強する意思がある”という事であろう。
であれば、もう少しだけ、ちゃんと勉強してみるのも良い。
光学の専門書を10冊も買ってきて、ちゃんと読んだならば
専門書毎に、言っている事や用語定義が全く異なる事に
気づくであろう。まあ、そこで、勉強した人は思う・・
「書いてある事、まるっきりアテにならないではないか!」
と・・ そう、つまり、そういう事なのだ。
だから、自分なりに、正解と思う事を探求していかなくては
ならない。何か疑問に思ったら、必ず自分でそれを確かめる
必要がある。
「何十万枚も写真を撮る」と前述した。それは自身の疑問を
解消する為の研究と同等の行為である。
それをせずに、研究者が研究室の中だけでパソコンで計算して、
何かを考えて決めていたり、あるいは、ユーザー層においても
「こっちの本と、あっちのサイトが違う」とか文句を言って
いるだけでは、何も始まらない。

本ZD14-45レンズを日中晴天時のイベント撮影に使用する。
絞り優先AEで、例えば、絞り値をF7.1前後(F5.6、
F6.3、F7.1、F8あたり迄)に設定しつつ、2~3m程度
の距離で、人物スナップ撮影等を行うとする。
この場合の被写界深度は、F7.1、撮影距離3m、
許容錯乱円径0.033mmの条件で、焦点距離毎に・・
14mm広角側:約0.6m~∞(無限遠)
30mm中間 :約1.6m~約13m
45mm望遠側:約2.2m~約4.6m
・・となる。
これはすなわち、このシステムの”実用上”において、
「ズームを、あまり望遠側に設定さえしなければ、
AFが何処かに合ってさえすれば、スナップ撮影で
写真がピンボケになる事は、まず有り得ない」
という、多大な実用的メリットに繋がる。
簡単に言えば「(絶対に)失敗しない、撮影システム」
となる訳だ。(注:ブレには要注意だ、夕刻や弱暗所等で
手ブレや被写体ブレが発生しそうな場合は、ISO感度を
高めつつ、被写界深度を犠牲にしても絞り値を開けていく)
よって、「イベントの会場記録」等の業務撮影上では、
こういうシステムは非常に有益である。まず失敗しないの
だから、安心して大量の写真撮影に注力する事が出来る。
「所詮、安物のキットズームだ」と思うかも知れないが、
それもまた、業務/実用撮影等では多大なメリットである。
つまり「過酷な環境で用いて、壊れても惜しく無い」とか
「撮影コストと撮影実利の差が大きい=利益率が良い」
と言う事に繋がり、事実、本レンズは、十数回か、それ
以上の回数での「雨天撮影」でも大活躍している。
それに、それだけ酷使しても、何故か全く壊れない。
防水等の構造を謳っている訳では無いのだが、それに
しても、タフなレンズである。
---
さて、次の4/3レンズはマクロである。

(中古購入価格 8,000円)(以下、ZD35/3.5)
カメラは、OLYMPUS PEN-F(4/3機)
電子アダプターは、OLYMPUS MMF-2(4/3→μ4/3)
2005年発売のフォーサーズ用の軽量等倍マクロレンズ。
4/3システムは現在では終焉している為、こうした
4/3用レンズを使う際に、4/3機が無い場合には、
OLYMPUS製等の電子アダプターでμ4/3機に装着可能
である。(例:今回使用のOYMPUS MMF-2等。
他の用法については、本記事で追々紹介する)

4/3システム等)の歴史を少し紹介しておく。
1972年~1984年 銀塩OM-SYSTEM展開期
天才と呼ばれた技師「米谷」氏の頭文字を取った
銀塩Mシステムの開発と展開が進められた時代。
Mシステムは、徹底的な「小型軽量化」「レンズ
ラインナップの汎用性」「共通設計思想」等の
拘りとも言える、強い特徴を持ち、一般大衆向けと
ともに「オリンパス党」とも言える熱烈なファン層
(マニア層)も生み出した。
なお、Mシステムは、エルンスト・ライツ社(ライカ)
からの「Mを使うな!」という、いいがかりにも近い
クレームにより、「OMシステム」と名前を改める事と
なっていた。(注:この事実は「オリンパス党」や
上級マニア層等の人達からは、「ライカは度量が狭い」
等と、酷く嫌われている歴史だ)
この時代の代表機:
M-1(1972)、OM-1(1973)、OM-2(1975)
OM10(1979)、OM-4(1983)、OM-2SP(1984)
OM-3(1984)
(注:OMヒトケタ機以外は、ハイフンが入らない)
1986年~1988年 OM AFシステム試験期
1985年、MINOLTAより世界初の実用的AF一眼レフ
システムの発売。この通称「αショック」(事件)
を受け、オリンパスもAF化に追従。
しかし、MFのOM機とのレンズ互換性が無く、かつMF
操作を軽視した仕様は、ユーザー層に受け入れられず、
オリンパスOMのAF化は失敗し、開発は凍結されてしまう。
この時代の代表機:
OM707(1986)、OM101(1988)
1985年~1997年 銀塩OM-SYSTEM終焉期
AF化に失敗したOM-SYSTEMだが、マニア層を中心に
根強い人気はまだ残っている。この時代に全くの新規
開発でのOM機は、もう発売されていないが、旧機種の
リニューアルや、OEM生産版のOM機の発売はあった。
この時代の代表機:
OM-4Ti(1986)、OM-4Ti Black(1989)、
OM-3Ti(1994)、OM2000(1997)
ちなみに、私はここまで代表機として紹介した機体の
内の多くを所有していたが、現有機は、OM-4Tiと
OM2000のみであり、それぞれ「銀塩一眼レフ・
クラッシックス第13回、第22回」記事で紹介済みだ。
他のOM機は、デジタル時代に入った頃に「もはや
実用価値に欠ける」と見なし、処分してしまっている。
2003年 4/3機販売開始
デジタル時代に突入し、オリンパスも旗艦E-1で
久しぶり(新規設計は十数年ぶり)にレンズ交換式
カメラ(一眼レフ)市場に再参入。
フォーサーズとは、4/3型撮像センサーを用いる規格
からであり、これはフルサイズ機or銀塩35mm判機の
約半分の対角線長で、その面積は約1/4である。
今から思うと小さいセンサーだが、当時の他のデジタル
一眼レフの大半はAPS-C機(フルサイズの半分の面積)で
あったので、4/3と大差があるという訳では無かった。
2004年~2010年 4/3システム展開期
この時期、オリンパスは積極的に4/3機およびその
交換レンズ群を市場に展開する。
2006年~2007年の期間では、オリンパスのみならず
Panasonicからも4/3機が新発売された。
この時代の4/3機では、ライブビュー撮影機能の搭載、
手ブレ補正内蔵、アートフィルター(エフェクト)機能
の搭載など、先進的な技術展開を行うのだが・・
ただ、他社一眼レフ陣営は、画素数競争が顕著であった
時代でもある。4/3機は当初500~800万画素、そして
中期は1000万画素、終焉期で、やっと1200万画素と、
他社一眼レフに対して見劣りするスペックであり、
市場競争力を失っていく。
画素数競争等のビギナー的視点では無く、マニア的
視点からでの4/3システムの課題は3つあり、
1)銀塩時代からの保有レンズ資産を、ほとんど活用
する事が出来ない(=新規に4/3専用レンズを買う
必要がある)
2)4/3のレンズラインナップが少なく、魅力的な
(仕様・性能)レンズも極めて少ない。
3)レンズに通電しないとMFが出来ない。(=カメラ
の電源をONするまで、ピントリングが廻らない。
また、絞り環が無いので、同様に電源投入前の
絞り値の「事前設定」が出来ない)
上記1,2はともかく、3)は結構、致命的な課題だ。
速写性に多大な影響があり、写真を撮る道具として
実用性が低いと言わざるを得ない。
4/3システムを設計する人達が、実際の写真撮影に、
どの程度のノウハウを持っていたのか? どうも
そのあたりが疑問である。銀塩OMの終焉期(1980年代
後半)から、20年近くもOLYMPUSは一眼レフを
新規開発しておらず、当然ながら、技術者達も、この
長い期間の間に、総入れ替えとなった事であろう。
写真撮影に関するノウハウが設計側で完全に失われて
しまっていた可能性が高い。さもなければ、上記3)
のような仕様で4/3システムを設計するという事が
考え難い。なんだか、「動けば良いのです」という風に
撮影時の利便性を考えない(あるいは全く知らない)まま、
デジタルでの仕組みを設計したとしか思えないのだ。
この時代の代表機:(注:オリンパス機のみ)
E-300(2004)、E-500(2005)、E-330(2006)、
E-410(2007)、E-510(2007)、E-3(2007)、
E-30 (2008)、E-620(2009)、E-5(2010)
2008年 μ4/3(マイクロフォーサーズ)規格の発表
OLYMPUSとPANASONICの共同で、新規格μ4/3が
発表された。
4/3の低迷を見かねての戦略転換だと思われるが・・
個人的な想像だが、この少し前の時代にカメラ事業
から撤退したMINOLTAや京セラの、カメラや写真撮影
に極めて詳しいエンジニア達による、μ4/3規格の
発案だろう、と分析している。
2009年 OLYMPUS初のμ4/3機の発売
μ4/3機(そしてミラーレス機でもある)の
初号機は、PANASONIC DMC-G1(2008年)であった。
μ4/3規格の発表からDMC-G1の発売までの期間が、
やたら短かったのは、すでに量産試作機が存在して
いて、後から規格制定が行われたのであろう。
(前述のμ4/3誕生の想像を裏付ける話である)
OLYMPUSは、やや遅れ、2009年夏に、ようやく
初号機としてOLYMPUS PEN E-P1が発売されている。
銀塩PENシリーズのイメージを踏襲した、この機体は、
マニア層からも大きな注目を浴びた。
(注:前述の天才技師「米谷」氏は、デジタルのPENが
発売された同年同月に他界してしまった・・)
2013年 4/3終焉宣言
OLYMPUSは、2010年頃からμ4/3システムを主軸とし
4/3機の発売はE-5(2010年)のみに留まり、
その機体が、結果的に4/3最終機となった。
事前に誰が見ても4/3の終焉は明らかではあったが、
一応、オリンパスも、この2013年のμ4/3旗艦機
OM-D E-M1の発売時に「4/3とμ4/3を統合して・・」
という主旨の発表を行った事により、ここで事実上
4/3は終焉した事となった。

短い寿命であった。
公式資料、市場関係者、ファン層・・等であれば
「フォーサーズは、マイクロフォーサーズに発展したのだ」
という言い方をするとは思うが、例えば中古市場等では
4/3とμ4/3の両システムは、完全に別物の扱いであり、
4/3は終焉したシステムであるから、これはもう「実用
価値無し」と見て二束三文の中古相場(という価値感覚)
となる。まあ、それが当たり前の市場感覚であろう。
本レンズZD35/3.5の話が殆ど無いが、他記事と重複
する為、割愛する。例えば以下の記事を参照されたし。
「特殊レンズ第2回オリンパス新旧マクロレンズ編」
----
では、3本目はトイレンズである。

(新古品購入価格 1,000円)
カメラは、OLYMPUS OM-D E-M5Ⅱ Limited(μ4/3機)
アダプターは、OLYMPUS MMF-2(4/3→μ4/3)
2010年代初頭位に発売された、中国製トイレンズ。
まだミラーレス機用に対応していない時代であったので
このレンズは、各種(デジタル)一眼レフ用マウントで
販売されていた。
型番の最後の「-0」は、オリンパス用を意味し、これは、
この時代であれば、すなわち4/3マウント用レンズという
意味である。

廻らない」と前述したが、こうしたトイレンズは例外で
あり、レンズ内AFモーターも無ければ、電子接点も無い。
まあつまり、物理的に4/3機やμ4/3機に嵌りさえすれば
使える、という事になる。
今回は電子アダプターMMF-2を使っているが、ここでは
電気的な通信が行われている訳では無く、単にマウント
形状やフランジバックを揃える為のアダプターにしか
なっていない。まあつまり、μ4/3機を使わずとも、
4/3→? の機械式マウントアダプターがあれば、その
?のマウントにおいて、本レンズを使用可能となる。
本レンズの新古品購入価格は、僅かに1,000円である。
まあ、元々定価も3,000円程度と高価では無いのだが、
これは「7割引」のディスカウント店で購入した次第だ。
ディスカウント(アウトレット)店では、商品価値の
低いもの、つまり「訳アリ」の商品を安価に仕入れ、
それを安価に販売するのだが・・
本レンズの何が「訳アリ」なのか? と言えば、もう
説明する必要も無いであろう。
既に終焉した4/3(フォーサーズ)用のレンズだからだ。
「古い規格、古いシステム、もう使えない・・」
そうであるから、使用するには何の問題も無い新品の
レンズでありながら、哀れ「7割引き」で売らざるを
得なくなってしまう。
まあこれが、本当の「市場価値」である。
ファン層やマニア層等が、いくら「4/3は、μ4/3に発展
したのだ」と、差し障りの無い婉曲表現で物事を語ったと
しても・・ 実際の店舗に行けば「4/3製品は7割引き」
である。これが現実の世界であり、現実の価値感覚だ。

ここで「Lo-Fi」について説明をし始めると、記事文字数
を大幅に消費してしまい、冗長だ。
「Lo-Fi」については、本ブログではもう何十回も書いて
来ている事なので、今回は、ばっさりと割愛する。
まあ、中上級層や、中上級マニア層であれば、「Lo-Fi」
という概念も、十分に理解している事であろう・・
----
では、4本目のシステム、こちらもトイレンズ風である。

(新品+中古購入価格 計9,000円)(以下、MUSE DG)
カメラは、SONY NEX-7 (APS-C機)
アダプターは、ノーブランド(4/3→NEX)
2009年発売のティルト型レンズ(シリーズ)
この「MUSE」は光学系(Optic/オプティック)を
交換できる仕組みである。本MUSEシステムは、
交換光学系により、本格的な描写力から、トイレンズ
相当のLo-Fi描写までを選べるという稀有なシステムだ。

各種一眼レフ用マウント版での発売であり、本レンズは
4/3(フォーサーズ)マウント版である。
ここでは、4/3→SONY E(NEXと記載)の機械式マウント
アダプターであり、単にマウント形状を変換するだけ
のものである。
こうした単純アダプターでは、純正(AF等)4/3用レンズ
は、前述のようにレンズ側に通電が出来ず、ピントも
絞りも動かず、実質的に使用できないのであるが・・
本MUSEは、ピントも絞りも特殊な構造のMFレンズで
あるが故に、マウント形状だけ任意のカメラ用に揃えて
しまえば、問題なく使える(ちなみに、フルサイズ
対応レンズである)
で、そういう事であるから、本MUSEを購入した際、
他マウント(現役マウント)品は、1万円台だかして
いたのが、この4/3マウント用のみ、6000円とかの
新品価格に値下げされていたのだ。
ここも勿論、4/3は終焉したシステムだから、店舗側も
在庫する事を嫌った、在庫処分価格であった訳だ。
私としては、MUSEはマウント形状さえ変換してしまえば
どのカメラでも使える事がわかっていた為、あえて
この4/3マウント版を購入。
これで、4/3機、μ4/3機、SONY Eマウント機の3系統の
機体で本レンズを活用できる事になる。
ただし、本MUSEは、操作性が極めて難しいレンズで
あるから、使用する母艦の形状やサイズ感も、かなり
それを限定してしまう。利用者の手指のサイズとか
利用者が、どれくらい器用か?などの条件もあるが、
私の場合は、LENSBABY 3Gおよび本LENSBABY MUSE
の母艦としては、SONY NEX-3/NEX-7のいずれかの
機体を用いる事としている。これらのカメラであれば、
小型軽量であり、MUSE(や3G)の複雑な撮影操作を
なんとかこなす事ができる。他のカメラに装着して
試した事も勿論あるが、あまりにボディのサイズが
大きくなってしまうと、ティルト(傾ける)や、
ピント合わせの操作、および、それらの操作を維持
しながらシャッターを切る事が(私の手指では)困難
となるのだ。

特殊レンズを買う必要は無いであろう。
こうした特殊レンズを買う場合は、NIKON Fマウントで
買う事がセオリーである。そうしておけば、およそ
殆どの他社カメラで、マウントアダプター経由での
高い使用汎用性が得られる(注:むしろNIKON一眼レフ
で使う方が、色々と制限事項が多い。特に、NIKONの
初級機D3000/D5000シリーズ等では、まず使えない)
ただまあ、本レンズの場合は、4/3終焉により在庫処分
で安価になったものを購入した訳であり、これはこれで
筋が通っている。本レンズ購入時には、NIKON Fマウント
版は併売されてはいたが、現役商品であるが故に高価で
あった訳だ。
---
さて、5本目の4/3システム

(中古購入価格 5,000円相当)(以下、ED40-150)
カメラは、OLYMPUS E-520 (4/3機)
2007年頃に発売されたと思われる、フォーサーズ機用
の小型軽量AF望遠ズーム。
単品発売もあったが、多くはE三桁シリーズ機のダブル
ズームレンズキットとして販売されたと思われる。

なっていたZD14-45(本記事冒頭のレンズ)は、
やや大柄であった為、小型軽量の機体とはバランスが悪く
特に2007年発売のE-410(冒頭の機体)は、発売当時
世界最小・最軽量のデジタル一眼レフだった為、
E-410/510の発売に合わせて、ダブルズームキット用
レンズも大幅に小型軽量化されたのだと思われる。
本ED40-150も、その開発コンセプトのレンズであり、
フルサイズ換算300mm級の望遠ズームでありながら、
重量は僅かに222g(実測値)しか無い。
本レンズは近年の購入であり、4/3システムが終焉
してから、かなりの年月が経っていた為、相応に安価な
相場で中古購入する事が出来た。
今回使用の4/3機(E-410、E-520)を母艦とする他、
μ4/3機に装着し、さらに小型軽量な望遠システムを
構築する事が主目的での購入である。
(注:OLYMPUS MMF-1~3電子アダプター必須)
μ4/3機に装着時では、像面位相差AF(DUAL FAST AF)
を備える機種(OM-D E-M1系列等)であれば、4/3機と
同等レベルのAF性能(速度・精度)が得られる事は
実験済みである。ただし、コントラストAFのみの機種
(OM-D E-M5Ⅱ、PEN-F等)だと、4/3系レンズを
AFで使うには、ちょっと分が悪い(遅い、合わない等)

であり、ローコストレンズながら、あまり手を抜いて
いない点は良い。ただし、EDレンズの効能は、主に
小型化および、描写力面では、解像力や色収差低減に
向けられていると思われ、ボケ質の破綻が出やすい事、
および逆光耐性が低く撮影状況によってはコントラスト
が低下するのが課題だ。
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では、次は今回ラストの4/3システム

(中古購入価格 22,000円)(以下、ZD50/2)
カメラは、OLYMPUS OM-D E-M1(μ4/3機)
電子アダプターは、OLYMPUS MMF-2(4/3→μ4/3)
2003年発売の、フォーサーズ用の1/2倍マクロ。
4/3機ではシステム的に使い難い為「OLYMPUS MMF-2」
電子アダプターを介してμ4/3機で使用する。

システム(μ4/3機を母艦とする)の場合では、AF/MF
性能に、あまり不満を感じない。
まあ、前述のように、オリンパスは本機OM-D E-M1の
発売時に「4/3を、もう止めます」という発表をした
訳であるから、もし、本機E-M1で4/3用レンズを
使用時に実用以下の性能であったら、4/3ユーザーから
ブーイングの嵐となってしまう。まあつまり、E-M1では
像面位相差AF等が、ちゃんと4/3用レンズでも動作して
いる(ように慎重に設計されている)訳だ。
ちなみに、同じMMF-2電子アダプターを使ったとしても、
この記事での2つ目の組み合わせ、つまりZD35/3.5+
MMF-2+PEN-Fにおいては、AFは非常に遅く、いくら像面
位相差AF「非」搭載のPEN-Fとは言え「なんじゃこりゃ?
どこか故障しているのかいな?」と、疑ってしまった
位である。

あると、前述の「4/3は電源を入れないとピントリングが
廻らない」は、MF使用上での重欠点としてのしかかる。
まあつまり、「実用MF技法」が使えず、非常に厳しい。
ちなみに「AFで合わせて、もし合わない場合はシームレス
MFを用いてピントを合わせる」などというMF技法は、
初級も初級であり、MFの実用撮影上では、そんな撮り方を
する人は、ビギナー層以外、誰も居ない。
MF撮影は、予め、撮影距離に「アタリ」(目標とする)
をつける事で、速写性を高める等のメリットが存在する、
それが基本的なMF実用撮影技法である。
まあつまり、μ4/3機用レンズ等もそうだが、無限回転式
ピントリング搭載の純正レンズ等では、マクロ撮影や
MFでの精密ピント合わせ、遠距離高速動体等の撮影時
には、使い物にならないのだ。
そんな事は、ちょっと写真撮影がわかっている人ならば、
自社が開発したレンズを、実際にフィールド(屋外)に
持ち出してみれば、ものの30分で「あ、こりゃまずいや」
と理解できる筈だ。だが、そういう仕様のままの製品が
発売されてしまう・・ という事は、メーカーの開発部も
企画部も営業部も、誰ひとりとして自社製品で多数の
写真を撮らないまま、それが発売されてしまう、という事
だとしか考えようが無い。(だとすれば、残念な話だ)
それと、本レンズはヘリコイドの繰り出し量が大きい為、
近接撮影をして、そのままカメラの電源をOFFにすると、
レンズのヘリコイドが伸びたままになってしまい、カメラ
バッグ等への収納性が落ちる。
勿論、カメラの電源を再投入しないかぎりピントリングは
一切廻らないので、手でヘリコイドを引っ込める訳には
行かないのだ。(注:この課題は、MMF-2電子アダプター
使用時に発生する。オリジナルの4/3機に本レンズを
装着する場合では、電源OFF時に自動的にレンズを無限遠
まで引っ込めてくれる。(E-410/E-520で確認済み)
ただし、全ての4/3機が、そういう動作をするか?は不明。
また、毎回の電源再投入時にAFが無限遠からスタートする
ので、マクロレンズ等で近接撮影が主体な場合は、この
仕様は、あまり効率的とは言えない)

今更、何を文句を言っても始まらないのであるが・・
それでも使い難い事は確かである。
「当時の4/3機のユーザー層は、良く、こういう点を
我慢していたなあ・・」と、今にして、そう思う。
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では、今回の補足編「4/3用レンズ・マニアックス」
は、このあたり迄で。これにて本シリーズを終了する。
以降、本シリーズは、特定の条件下での機材紹介の
短期連載の記事群をグループとして続けていく予定だ。