「新・関西の楽しみ」シリーズ第100回記事。
2020年8月上旬に、京都市上京区にある京都御苑
(京都御所)内の「ビオトープ」(=野生の生物等を
生息させる為に半人工的に整備された環境)である
「トンボ池」にて行われた自然観察会の模様より。
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本ブログでは数年前にも、本イベントを紹介している。
毎年、春(5月頃)と初夏(7月頃)に、「自然観察会」
(参加自由、無料)が行われているのだが、今年は
コロナ禍により、春の観察会は中止、そして夏の
観察会も、少々タイミングが遅れての開催となった。
ただし、コロナ感染拡大防止の観点から、例年のように
自由に参加できる状況ではなく、まず、完全予約制で
少数限定、観察時間は1時間限定、1日2回のみの観察会、
そして入場時には、勿論マスク着用、アルコール消毒、
および健康状態の問診等もあって、まあ万全の体制だ。
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こちらが「トンボ池」の全景。
各辺15m~20m位の、ほぼ四角形の人工池であり、
水深は数十cm程度、水はポンプで循環している。
数年前の紹介記事以降も、何度かこの観察会には来て
いるのだが、「ビオトープ」と言っても、その環境は
人間の手で、いつも一定に保たれているという訳では
なく、ある程度は、自然のままに変化していく。
それに伴い、「生態系」も変化していく状況であり、
毎回毎回、同じ生き物達が見られる訳では無い。
また、季節や気候の僅かな差も、動植物の生態に影響が
大きい、例えば、このビオトープで見られる「半夏生」
という植物も、今回はタイミングが合わず、盛りを
過ぎてしまっていた。
(参考:ハンゲショウ(半夏生)とは、元々は生活暦の
1つである。「二十四節気」(春分、立秋、立冬等)は
著名であるが、「半夏生」は二十四節気には含まれず、
「八十八夜」や「土用」と同等の区分で、「雑節」と
呼ばれており、だいたい「夏至」の後、「小暑」の頃の
7月上旬のタイミングだ。
この「半夏生」の時期に茂る草が「ハンゲショウ」であり、
葉の一部が花弁化して白くなる事から、”半分お化粧を
する”という観点で「半化粧」と書かれる事もある。
また、奈良県等では、昔から田植えの終わった「半夏生」
の頃に、小麦、もち米、きなこ等を材料として加工した
「半夏生餅」を食べる風習がある。これは、現代では
「さなぶり餅/半夏生餅」として、奈良県橿原市等では
土産品として市販されていて、何度か購入した事がある。
世間では”名物、美味いもの無し”と、良く言われるが、
この「半夏生餅」は、なかなかの美味で、好みだ)
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それと、気候も生態系への影響が強く、たとえば今回の
時期は、雨が少なく、「キノコ」の類は、殆ど見かける
事は無かった。ちなみに「茸」の成長は早く、自然界の
茸の場合でも、雨が降って湿度が高まると、たった数日で
数多くが繁殖する様子が見られる。
まあいずれにしても、同じ場所に、だいたい同じ季節に
訪れても、その時の僅かな季節や環境条件の差により、
動植物の生態系は大きく変化している、という事であり、
その事もまた「自然観察」の面白さに繋がる。
一般層における「桜」や「紫陽花」「向日葵」「紅葉」
といった、ざっくりとした季節区分だけの感覚では、
見えて来ない細かい変化も多々ある、という訳だ。
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こちらは「モリアオガエル」。 都会では、もう殆ど
カエルの類を見る事は無いが、この「トンボ池」では
オタマジャクシから孵った「モリアオガエル」が
この時期には、沢山見られる。
ただし、「モリアオガエル」を探すのは、意外にも
かなり難しい。葉の裏側だとか、草木が生い茂った水際
のあたりに居て、良く見えないとか、場合により、少し
離れた木の上等にも居る。
つまり、なかなか何処に居るかはわからない状態であり、
普通であれば、たとえ目の前に生息していても、殆ど
気づかず、これを見る機会は、まず無い。
まあ、森林に居るから「森青蛙(モリアオガエル)」
という名前が付いている訳だ。生き物の名前の意味や
生態を知っていれば、様々な生物を見つけ易くなる。
だから、生物の研究の専門家の人達は、一般人よりも
様々な生き物を見つけたり、それを観察する機会が
増える訳だ。
で、近年の本ブログでの、レンズ等の紹介記事での
掲載写真は、昆虫等の自然観察写真が少しづつ増えて
来ているが、その理由は、近年、私もこの自然分野の
勉強をしていて、だんだんと知識や経験がついてきて
おり、様々な生き物を、見つけやすい状況になりつつ
あるからだ。
ちなみに、効率的に勉強をするには、一旦自分なりの
文章としてまとめてみたり、人に伝えるつもりで
話し言葉としてまとめてみる事が、有効な勉強法だと
思っている。その時点で、何かわからない点があれば、
文章化や言語化が出来ない訳であり、それを調べて
論理の体系を整える事に、重要な意味がある。
そうやって自分の考えで、その項目を纏めてしまえば
理解も出来、忘れにくくもなる。(本ブログの記事の
大半は、そうした自分の為の勉強内容となっている)
それをしないで、他者のまとめた、教科書、参考書、
資料、Web等を、ただ見たり読んでいるだけでは、
まず後にその記憶が残る事は無く、勉強にはなり難い、
と思っている。
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それから、現代の都会の子供達等では、カエル、トンボ
その他の昆虫や小動物全般において「怖い、気持ち悪い」
等の拒絶反応を起こす子供等の比率が極めて高い模様だ。
恐らくは、「自然や生き物に触れる・見る経験」が
とても少ないから、そうなってしまうのであろう。
まあ要は「知らないから、怖い」という状態だと思う。
親御さん達が、もっと子供達等に自然に触れる経験を
積ませて上げても良いのでは?とも思うのだが・・、
その親御さん自体、都会育ち等で、生き物に拒否反応を
起こしてしまう様相もあり、つまり、もう何十年も
昔から、そういう状況になってしまっているのだろう。
また、近年では、学校等でも「昆虫採集」を奨励しない
方針もある模様だ。だが、「採集」はともかく、「観察」
ですら、機会が減っているだろうから、ますます子供達等
は、自然の生き物に触れるチャンスには恵まれなくなる。
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こちらは「オオシオカラトンボ」だと思う。
一般的に良く見る「シオカラトンボ」とは、少しだけ
差異があり、1つの見分け方としては「オオシオカラ」
の方が、羽根(翅)の根元の黒い部分が多い事だ。
(まあ、ざっくり「シオカラトンボが居るな」と
思ったとしても、より細かく見れば、種類が色々と
混在している、という事である)
生物学においては、生き物の種類を見極める作業を
「同定(どうてい)する」と呼ぶ。
生き物の、その種類が何であるか?を調べる事は、
勿論、様々な研究・調査において、非常に重要な
事である。
で、研究者の撮る写真は、その生物を「同定する」
為に、他の種族と差異がある部分だけを、重点的に
撮るようなアングルを探す事が殆どだ。
だが、いわゆる「カメラマン」は、そうでは無い。
例えば、道路のアスファルト上や、排水溝の金網に
トンボが止まっていたとしよう。
「写真表現」という感覚からは、道路の真ん中に
トンボが居ても、あまり撮影する気にはなれない。
それでは「絵にならない」からであり、トンボを
撮るならば、「自然」「季節」「風情」「郷愁」・・
あたりの、いずれかの「表現」を作画意図として
構図や背景に込めたい、と思う事が中上級カメラマン
ならば当然の考え方であろう。
ところが、研究者(のカメラマン)だと、こんな
場合でも嬉々として、道路の真ん中に居るトンボを
例えば真上からや真横から撮影しようとするのだ。
何故ならば、そういうアングルの写真が、そのトンボ
の種別を同定するのに適正だからであって、それが
記録や研究における正確性を増す事になる。
(何月何日、どこそこに、オオシオカラ1頭/匹、等)
まあつまり、こちらは「写真」と言うよりも、むしろ
「記録映像」な訳だ。
両者は、どちらが良いとか悪いとかいう問題では無い。
両者における「写真を撮る」という目的が、まるで
異なるという状態だ。
まあだから、カメラやレンズの話をする時に、
仮に「どんなカメラ(レンズ)が良いのですか?」
と、聞かれたとしても、その質問者の撮影の目的
や用途(1つだけではなく、複数あるだろう)が
わからないかぎり、その質問には答えようが無い訳だ。
で、カメラマニアであれば、非常に多数の撮影機材を
所有している場合もあるだろう。まあ私も同様だ、
だが、マニアの中には「収集」つまり「コレクション」
を主目的としている場合も極めて多い。
写真を撮る事ではなく、カメラやレンズという機械
(ハードウェア)そのものが好きな訳だ。
コレクター志向を否定するつもりは無いのだが、私の
場合では、多数の所有機材は、ある撮影目的があった
として、その為に最適な機材(カメラ+レンズでの
「システム」)を選ぶ事が、最大の楽しみとなっている。
(つまり全所有機材を実用化する手法を模索している)
そして、今回の観察会でも、この目的に、ほぼBESTと
思える機材(システム)を、セレクトして来ている。
具体的には、以下のシステムだ。
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レンズは、SIGMA APO MACRO 150mm/f2.8 EX DG OS HSM
カメラは、NIKON D500(APS-C機)
このシステムが何故今回の撮影用途に最適なのか?
という点を詳しく説明すると、軽く、1記事分位の
文章量になってしまう。相当に端折って簡単に説明
しておこう。
なお、言うまでも無いが、本ブログでは三脚撮影を
推奨しておらず、必ず手持ち撮影を前提とする。
ましてや、こういう自然環境に影響が強い撮影状況
では、三脚を用いる事自体が、マナー違反となる。
(現代では「三脚族」は、絶滅危惧種となっているが
ほんの10年位前では、シニア層を中心に、マナーや
モラルの無い「三脚族」が、いたるところに居た)
<レンズ側の特徴>
1)「望遠マクロ」である事(その機種は多くは無い)
2)最短撮影距離(38cm)や撮影距離が適正である事
3)手持ち撮影での重量限界を超えていない(1150g)
4)手ブレ補正、超音波モーター内蔵
5)高解像力、高描写力である事
6)ボケ質破綻が出難い事
<カメラ側の特徴>
1)APS-C機であり、画角や撮影倍率を稼げる事
2)高速連写機であり、秒10コマで200枚迄連写可能
3)AFが高性能(精度が高い)である事
4)1.3倍クロップモードを持ち、それを使う際、
換算画角300mm、最大撮影倍率2倍が得られる。
5)レンズ側の高解像力とあいまって、さらに最大
2倍程度までのトリミング編集が可能。
つまり、目の前40cm程度から、5m程度までの
距離範囲内にある小さい昆虫等は、全て被写体と
して見なせる事となる。
6)最高ISO感度が164万まで使え、やや暗所での近接
撮影時のシャッター速度低下での手ブレリスクを
ISO感度の増加で、いくらでもカバーできる。
7)AUTO-ISOが最大感度まで追従し、低速限界の手動
設定ができるから、手ブレのみならず、被写体ブレ
(例:蝶のはばたき)等にも任意に対応が可能だ。
8)システムとしての総重量が2kgを下回り、
ハンドリング性能が良い他、手持ち撮影でも
負担や疲労が少ない。
ただし微細な弱点もある。
A)レンズ側手ブレ補正機構が、動作調整の為、
AF開始時等に一瞬「構図ブレ」を起こす。
B)システムが高価すぎる(発売時の定価レベルでは、
税込み40万円越え) 入手時の課題のみならず、
撮影時の取り扱いにも注意しなければならない。
(ラフに扱えない)
C)やはり、やや重い。炎天下の丸一日の撮影とも
なれば、体力や集中力を切らせてしまうだろう。
なお、「最適のシステムを使う」という観点に
おいては、本システム(組み合わせ)は、この
「トンボ池」(での短時間撮影)以外においては、
あまり使わない、という事である。
まあカメラはカメラで、レンズはレンズで、別の
撮影目的に使う事はあるが、それはそれでまた別件だ。
注意点は、こういう「用途特定システム」において
気をつけるのは、その長所(特徴)ではなく、むしろ
「弱点」の方である。弱点が、実際の用途上での
課題になる場合は、そういうシステムは適正では無い、
ということだ。今回の場合、晴天時であれば、前記の
弱点(手ブレ補正機構の振る舞い、価格の高さ等)は、
さほど問題にはならない状況(環境、条件)なのだ。
さて、本記事はカメラやレンズの紹介記事では
無いので、このあたりの、機材性能や評価の話は、
ほどほどにしておこう。
ただし、たとえ、自然観察分野での「映像記録」が
目的であったとしても、映像を撮るための機材には、
皆、もっと関心を持っても良いのではなかろうか?
とも思う。カメラやレンズの性能や仕様は、その
撮影目的に応じて、必ず適正なものが存在するだろう
からだ。
逆に言えば、目的に合わない(適切では無い)撮影機材
を用いたら、「映像記録」そのものも、極めてやり難く
なってしまうと思う。
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こちらの「モリアオガエル」には、まだ尻尾がある、
つまりオタマジャクシから変わったばかりであり、
まだ幼生と言う事だろう。(大きくなると、きっと
森の方に行く。水際に来るのは繁殖期がメインだ)
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こちらは「ギンヤンマ」、産卵中である。
産卵をしているから、当然メスなのだが、ギンヤンマ
のオスメスの区別は、腹が水色なのがオス、黄緑色が
メスだ。
(注:関西圏では、かなり良く見かける種だが、
先日、TV番組を見ていたら、東京で、「ギンヤンマが
出たぞ!」と生物学の研究者の先生が興奮していた。
首都圏では、そんなに見る事が珍しいのだろうか?
ちなみに、長野県と高知県では準絶滅危惧(NT)に
指定されている模様だ)
トンボは水面や、水面にある草のあたりで産卵する
事が多い。
ただ、気になるのは近くにオスが見当たらない事だ、
数日前に家の近くの川で見たギンヤンマの場合では
「連結産卵」、つまり交尾したままの産卵であった。
多分、環境が異なるのだろう。
例えば周囲に、同種の他のオスが多数居る環境の
場合は、多くのトンボのオスは、ペアのメスの産卵時に、
他のオスが近づいて来て、自身の「種」を残す事を妨害
する(=メスを横取りする)事を嫌い、空中で警戒行動
(=飛翔し、他のオスが来たら、追い払う)をするか、
又は、連結したままの産卵となるケースが多い。
まあつまり、この「トンボ池」の環境では、他に
ライバルとなるオスのギンヤンマが殆ど居ないから、
オスも安心して、メスだけの単独産卵を見逃しているの
かも知れない。(実際にはどうだか・・? 勿論不明)
なお、「オスはメスに食べられてしまったのでは?」
という想像もあるかも知れない。だけど、その行為は
「トンボの世界では、まずあり得ない」との事だ・・
そういう事をするのは、例えば「カマキリ」の一種で
しかも、メスがオスをいつも食べてしまう訳では無く、
「20%前後の割合だ」という研究報告もある模様だ。
「トンボは共食いをしない」が、正解な様子だが、
ただし、異なる種属の場合は、トンボがトンボを
食べる(捕食する)ケースはある。(詳細後述)
もう1つ、この時期(8月)は、どうやらトンボに
とっては繁殖期な模様だ。この「トンボ池」以外の
普通の地域でも、トンボの連結(交尾)や産卵を
良く見かける。
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さて、こちらは「モノサシトンボ」だと思う。
「イトトンボ」と良く似ているが、こちらの方が
やや大型、そして色味もずいぶん違う(モノサシは
黒や金(黄)色が多いが、イトトンボは、青、緑、
黄、赤等だ・・)ただし、種類が多く、見た目の
差も少ない為、それらを「同定」するのは難しい。
---
余談だが、「モノサシトンボ」(科/属)とは、勿論、
見た目が「物差し」(スケール)のようだからだ。
・・で、カメラを構えてファインダーを覗く時、
「被写体のサイズを測る”物差し”が表示されたら
便利なのに・・」と、こうした自然観察撮影では
良く思う事がある。
例えば、被写体のサイズが5cmだ、とわかるとか・・
様々な生き物の中には、同定が難しく、単に個体の
大きさだけで種別が異なってしまう場合もある。
で、顕微鏡等では、そういう(スケール表示)機能が
ついている機種は珍しくないが、カメラ(写真機)
では皆無であろう。
まあ、顕微鏡での検体は、普通は平面(的)だが、
写真(カメラ)の被写体は、立体(三次元)的なので
「物差し」が表示されても、あまり意味は無いので
あろう(例えば、奥行きがあったり、斜めになったり
している被写体の場合、サイズが測りにくいからだ)
だが、AF(デジタル)カメラであれば、レンズの焦点
距離、被写体距離(始点、終点)、センサーサイズ、
記録画素数等の情報があれば、これは、立体被写体で
あっても、原理上、そのサイズを測れると思う。
ここで面倒なのは、被写体距離の始点(先端)と
終点(後端)の2箇所を独立して計測(AF合焦)する、
という、カメラ上での操作性(操作系)だ。
実は、これに似た操作性は、銀塩時代のCANON EOS
(概ね、1987年~2000年代初頭)での機能、
「DEP(深度優先AE)モード」として存在していた。
これは、例えば前後に距離が異なる2人の人物等で、
各々でAFを2回合わせると、その両者にピントが合う
(=被写界深度内に収まる)絞り値を(シャッター
速度も)自動的に設定してくれる機能であった。
だが、AFを2回合わせるのは、いかにも面倒な操作だし、
1人を測った後に、その人が動いてしまっても台無しだ。
そこで、デジタル時代のEOS(概ね2000年代~)の
初級中級機では、A-DEP(自動被写界深度優先AE)に
改善された。この機能では複数のAF測距点において
合焦した複数の被写体群(=人物の集合写真等)で、
全てが被写界深度内に収まるように、絞り値等が
設定されるようになった。(ただし、この機能は、
EOS上級機、あるいは2010年代頃からの初級中級機
では搭載されていない。意味がわかりにくい、又は
被写界深度の概念を理解していれば不要、あるいは
全自動撮影モードに含まれる、という事だと思う)
で、話を戻して、カメラ上では、多少面倒な操作を
するならば、「モノサシトンボ」の長さを測る
「物差し」の表示機能は実現できそうだ。
ただ、やはり操作系が煩雑になるのは否めない。
では、ソフト(アプリ)上ではどうだろうか?
この場合、PC上で動くソフトをプログラミングして
(別途「プログラミング・シリーズ」記事群参照)
撮影後の画像からEXIFデータ等を参照して、被写体
のサイズが測れないだろうか?
だが、これは少々実現困難であろう。被写体距離は
EXIFには記録されていないケースが大半だし、
あったとしても1つだけだろうし、被写体の何処の
部分でAF測距が行われたか?も、まず不明だ。
ましてやMFレンズであれば、撮影距離は完全に不明だ。
では、撮影距離を手動入力するのはどうか?これならば
可能性はある。ついでにレンズの焦点距離も、画素数も
センサーサイズも、全て手動入力にしてしまえば良い。
だけど・・ 撮影後に、特にマクロ撮影をして撮った
写真において、例えば「モノサシトンボ」の先端部の
撮影距離が45.3cm、後端部の撮影距離は47.2cm、
などと(写真を見ただけで)正確にわかるだろうか?
・・まあ、まず、そこまではわからない。
結局、撮影後では無理な話か? でも、限られた条件
(先端後端の距離差なし、距離はアバウトでも良い)
等のケースでは「モノサシトンボを測る物差し」(笑)
のソフトウェアは実現(開発)できそうな気もする。
いずれ、暇な時に、このソフトを作ってみよう。
(追記:記事執筆後に開発済み、後日紹介予定)
さて、余談が長くなった。自然観察の話に戻る。
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シオカラトンボの連結(交尾)
やはり、この時期は繁殖期な模様で、あちこちで
トンボのカップルが成立している。
人間が居ても気にしない模様だ。このビオトープは
普段は一般人が立ち入り出来ない(非公開)な為、
生物の、人間に対する警戒心も薄いのかも知れない。
家の近所で見かける「ハグロトンボ」(カワトンボ科)
とかは、ちょっと人間が近寄っただけで、さっさと
逃げてしまう。
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交尾の後、連結を解除して、オスメスが別々に
飛び去った。
手前に写っている黄色がメスのシオカラトンボで
奥に飛んでいる水色が、オスのシオカラトンボだ。
この直後に普通、メスは産卵するので
他のオスの妨害等からの安全性を確保するならば、
連結産卵を行なう筈だが、これは前述のように
ここが安全な環境であるからであろう。
少し、この後もカメラを追ってみよう。
(なお、飛翔するトンボ等を撮影する事は、非常に
高難易度だが、その為にも、高性能な専用撮影機材
を準備して、その難易度を低める工夫をしている)
![_c0032138_17352831.jpg]()
シオカラトンボのメスが産卵場所を探している。
都会の川等では、浮かぶ藻や草に卵を産み付ける場合
もある。その際、草等が流れていったらどうなるの
だろうか?とも思うが、そこは良くわからない。
産んだ卵の、ごく一部しか孵らないのかも知れない。
多分、トンボは水流等も見えるのであろう。
このビオトープ(トンボ池)は、一応、水は循環して
いるのだが、その変化はゆっくりであり、ほとんど
止まっているようにも見えるだろうから、直接水面に
産卵してしまうケースもありうる。
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水面に直接、産卵しているようにも見えるが、
一応、草や葉を意識しているのかもしれない。
この状況で、普通はオスは空中で警戒飛行をし、
他のオスが近寄って来ると、それを追い払う。
![_c0032138_17353432.jpg]()
ここでも、一応、オスは警戒飛行中だ。
ただ、あまり他の(同種の)オスは、ここには居ない
ので、これ以上の「事件」は起こりそうにない。
(もっと同種のトンボが多い場所だと、いたる
ところで「三角関係」が起こるので、見ていても
なかなか興味深い・・)
メスは、数回~十数回、産卵を繰り返して終了、
恐らく、その後は、ペアは解消となるのであろう。
![_c0032138_17354222.jpg]()
さて、「トンボ」の「同定」が難しいだけではなく、
「蝶」の「同定」も、それなりに難しい。
上は、「ナガサキアゲハ」か?「クロアゲハ」か?
の判別が困難だ。専門家であれば、羽根にある模様で
区別できる模様だが、捕まえないで、ある程度の
距離から写真を撮っている状態では、その手法では
難しい。一応区別がつきそうなのは、黒い蝶において
羽根の後ろの突起が尻尾のように伸びているのが、
「クロアゲハ」なのだが、上写真はそれが無いから、
「ナガサキアゲハ」のように思える。
ただし、判定は、その昆虫の生息地によっても異なり、
さらに突起が長い「オナガアゲハ」や「カラスアゲハ」
という種類も居る。
けど、その地域によっては出現する種は限られている
ので、この京都(関西)付近で見られるならば、上の
写真は、まず「ナガサキアゲハ」であろう。
なお、今回、トンボ池に飛んできた黒い蝶の中には、
「クロアゲハ」も混ざっていた。
しかし、昆虫等は、本当に「同定」、すなわち見分ける
事が難しい分野である。(まあ、「キノコ」の方が、
はるかに難しいみたいだが・・)
この難しさは、カメラで言えば、NIKKORレンズの
AiとAi~Sを見分けるくらいか?、いやもっと難しく
CANON F-1の前期型と後期型を見分ける位のレベルか?
「その何処が違うのだ? わかりにくい例を出すな!」
と言われそうだが(汗) まあ、その「難易度」には
明確な基準はある。
つまり、昆虫等においては、フィールド(屋外等の
実際の現場)において、一般的な当該分野での知識
レベル(中級という感じ)で、その昆虫が同定できる
か否か? あるいは、実際に標本として持ち帰ったり
撮った写真を、家や研究室に持ち帰り、図鑑、資料、
文献、ネット等で調べないと、同定ができないか?
そこの線引きが、難易度での線引きでもある。
カメラの例では、中古店でNIKKORレンズを見れば、
AiとAi~Sの区別は、中級マニア層以上ならばできる。
だが、CANON F-1の前期型と後期型を見分けるには
その機体を買って、家に帰って、資料等の仕様を元に
細かくチェックしないとわからないレベルであろう。
そういう感じでの「レベル(難易度)の線引き」だ、
で、経験値や知識が増えれば、フィールド(屋外)
や中古店でも、その場で、昆虫の種類や、カメラの
種類が判断できるようになるだろうが・・ 何でも
同定(判定、鑑定)できるようになる為には、相当
にハイレベルでないとならないであろう。
(昆虫等の個別分野での専門的研究者、あるいは
カメラでは超上級マニアや中古専門店販売員等)
![_c0032138_17354235.jpg]()
さて、上写真の昆虫は、全然なんだかわからなかった。
これはやむをえない、専門スタッフの人に聞いてみる。
専「これはカメムシの仲間で、ハゴロモと言います」
ぐぅ・・ 全く知らない(汗)
「不勉強が露呈した」という感じだが、まだこの
自然観察を始めて数年程度なので、やむをえない。
家に帰って調べてみると、確かに「カメムシ」目
(もく)に属する「ベッコウハゴロモ」という種類
である事がわかった。
だが、全然、どんな生態なのかも、良くわからない
「そもそも、これ、飛べるの・・・?」
まあ、追々勉強していく事にしよう。
でも、あういう「カメムシ」も居るという事が驚きだ。
一般的な「キマダラカメムシ」等は、誰もが見た事は
あるとは思うが、実は、カメムシの種類も、とても
多い模様であり、例えば、「セミ(蝉)」ですら、
カメムシ目(「半翅目」とも言う)に分類される
と聞く。
書店では「カメムシ」だけの数巻セットの大辞典
(勿論専門書であり、高価だ)も売っている位だ。
ちょっと変わったカメムシも、このトンボ池には
生息している模様だ。そう思って、良く良く探して
見れば、小さい虫も見えるようになってくる。
(注:発見する力を鍛える事も重要だ。一般層だと
そもそも、様々な生物等を発見する事自体が困難だ)
![_c0032138_17354259.jpg]()
これは「ウシカメムシ」だろうか? 似たような
種類が多いので、確実に同定できている訳では無い。
ここは写真的に、あるいは撮影位置的に「こういう
アングルで撮ると格好いいかな?」と思って撮って
いる訳で、もし確実に生物種を同定しようとすれば
様々なアングルで撮影をしておく必要がある。
(注:同定できる要素が何であるか? 例えば
形や模様等の特徴、は、この撮影時点では良く
わからないかも知れない。同定するポイントに
おいては、後で調べたら、例えば「腹の色」とか
「目の周りの模様」とかいった場合すらあるので、
その為には、あらゆる角度から撮っておく必要がある。
・・が、現実的には、撮影アングルを自由にできる
等の好条件は極めて少なく、とても難しいであろう)
さて、あっと言うまに、所定の時間1時間が過ぎて
しまったので、これでイベントは終了である。
ちなみに、撮影した枚数は500枚位である。
単純計算では7秒に1枚写真を撮っている状況だが、
今回は高速連写機NIKON D500を使っているので、
まあ、普通に撮影していても、最低限これ位には
なるだろう。例えば、ボート競技の記録撮影で
あれば、この倍のペースの、1時間あたり1000枚
程度となる事も良くある話だ。
多分、一般層(スマホ等で撮る人)、あるいは写真
のビギナー層とか、こういう自然観察分野の人達は、
この10分の1から100分の1程度、つまり1時間で
数枚~数十枚程度しか撮影をしないと思う。
が、カメラマンの感覚からすると、それは少なすぎる。
撮影枚数が少なければ、経験値も撮影技術も育たないし、
撮影成功確率も下がるし、被写体を探す目線も育たない。
カメラの初級中級層に言いたい事だが、いままで
撮っている枚数の、10倍から100倍のペースで撮影
する事を推奨したい。
例えば、いったん撮影目的で外出したら、目標値で
1000枚撮影するまで帰宅しない、とか、そんな風な
厳しいハードルを設けるくらいが良いかも知れない。
さて、トンボ池を出て、京都御苑の中では・・
![_c0032138_17354740.jpg]()
これはすごい、「シオカラトンボ」のメスが、
「ウスバキ(薄羽黄)トンボ」を捕食している!
少し前述したが、「トンボは共食いをしない、が、
異種のトンボを捕まえて食べる事はある」という事を
地でいっている。
まあ、”自然界の厳しさ”であろう・・
![_c0032138_17354843.jpg]()
さて、京都御苑を出て、東に数百m歩けば、鴨川の河畔に
到達する。
川原を少し歩いて、三条駅から帰路に着く事にしようか。
![_c0032138_17354821.jpg]()
妙な行動をするカモを見かけた。
飛び立つ訳でもなく、水面を跳ね回っている。
どうやら、これは「換羽」(関連:エクリプス)で
あろうか? カモの羽根が生え変わる時期であるから、
水に付けたり、動き回ったりして、換羽を促進して
いるのではなかろうか? なお、換羽する期間は
カモ(等)の種別で差異があると思うが、下手を
すれば、換羽中は飛べなくなってしまう種も居ると
思われ、それでは敵に襲われた際に危険だし、食べ物
を得る事も難しくなるから、本能的にも、できるだけ
早く換羽したいのだろうと思われる。
そして換羽中においては、その鳥の種別も、やや
わかりにくくなってしまう。上写真は、マガモだと
は思われるが、やや遠距離で、詳しくはわからず、
かつ換羽途中であると模様や雰囲気までもガラリと
変わってしまう事もあるだろう。
![_c0032138_17354815.jpg]()
総括だが「自然観察分野」は、なかなか奥が深くて
興味深い。その分野自体での研究的要素のみならず、
カメラマン的視点で、写真の「被写体」としても、
それが記録としての要素も含まれるので、長期間に
渡り、「飽きずに」撮れる撮影ジャンルになり得る
のではなかろうか?
今後、本ブログのカメラ・レンズ関連記事の掲載
写真でも、少しづつ、この分野の被写体が増えて
くると思う。
さて、これにて今回の記事は終了。
本「新・関西の楽しみ」カテゴリーは、完全なる
不定期連載であり、次回記事の掲載時期は未定だ。
2020年8月上旬に、京都市上京区にある京都御苑
(京都御所)内の「ビオトープ」(=野生の生物等を
生息させる為に半人工的に整備された環境)である
「トンボ池」にて行われた自然観察会の模様より。

毎年、春(5月頃)と初夏(7月頃)に、「自然観察会」
(参加自由、無料)が行われているのだが、今年は
コロナ禍により、春の観察会は中止、そして夏の
観察会も、少々タイミングが遅れての開催となった。
ただし、コロナ感染拡大防止の観点から、例年のように
自由に参加できる状況ではなく、まず、完全予約制で
少数限定、観察時間は1時間限定、1日2回のみの観察会、
そして入場時には、勿論マスク着用、アルコール消毒、
および健康状態の問診等もあって、まあ万全の体制だ。

各辺15m~20m位の、ほぼ四角形の人工池であり、
水深は数十cm程度、水はポンプで循環している。
数年前の紹介記事以降も、何度かこの観察会には来て
いるのだが、「ビオトープ」と言っても、その環境は
人間の手で、いつも一定に保たれているという訳では
なく、ある程度は、自然のままに変化していく。
それに伴い、「生態系」も変化していく状況であり、
毎回毎回、同じ生き物達が見られる訳では無い。
また、季節や気候の僅かな差も、動植物の生態に影響が
大きい、例えば、このビオトープで見られる「半夏生」
という植物も、今回はタイミングが合わず、盛りを
過ぎてしまっていた。
(参考:ハンゲショウ(半夏生)とは、元々は生活暦の
1つである。「二十四節気」(春分、立秋、立冬等)は
著名であるが、「半夏生」は二十四節気には含まれず、
「八十八夜」や「土用」と同等の区分で、「雑節」と
呼ばれており、だいたい「夏至」の後、「小暑」の頃の
7月上旬のタイミングだ。
この「半夏生」の時期に茂る草が「ハンゲショウ」であり、
葉の一部が花弁化して白くなる事から、”半分お化粧を
する”という観点で「半化粧」と書かれる事もある。
また、奈良県等では、昔から田植えの終わった「半夏生」
の頃に、小麦、もち米、きなこ等を材料として加工した
「半夏生餅」を食べる風習がある。これは、現代では
「さなぶり餅/半夏生餅」として、奈良県橿原市等では
土産品として市販されていて、何度か購入した事がある。
世間では”名物、美味いもの無し”と、良く言われるが、
この「半夏生餅」は、なかなかの美味で、好みだ)
----
それと、気候も生態系への影響が強く、たとえば今回の
時期は、雨が少なく、「キノコ」の類は、殆ど見かける
事は無かった。ちなみに「茸」の成長は早く、自然界の
茸の場合でも、雨が降って湿度が高まると、たった数日で
数多くが繁殖する様子が見られる。
まあいずれにしても、同じ場所に、だいたい同じ季節に
訪れても、その時の僅かな季節や環境条件の差により、
動植物の生態系は大きく変化している、という事であり、
その事もまた「自然観察」の面白さに繋がる。
一般層における「桜」や「紫陽花」「向日葵」「紅葉」
といった、ざっくりとした季節区分だけの感覚では、
見えて来ない細かい変化も多々ある、という訳だ。

カエルの類を見る事は無いが、この「トンボ池」では
オタマジャクシから孵った「モリアオガエル」が
この時期には、沢山見られる。
ただし、「モリアオガエル」を探すのは、意外にも
かなり難しい。葉の裏側だとか、草木が生い茂った水際
のあたりに居て、良く見えないとか、場合により、少し
離れた木の上等にも居る。
つまり、なかなか何処に居るかはわからない状態であり、
普通であれば、たとえ目の前に生息していても、殆ど
気づかず、これを見る機会は、まず無い。
まあ、森林に居るから「森青蛙(モリアオガエル)」
という名前が付いている訳だ。生き物の名前の意味や
生態を知っていれば、様々な生物を見つけ易くなる。
だから、生物の研究の専門家の人達は、一般人よりも
様々な生き物を見つけたり、それを観察する機会が
増える訳だ。
で、近年の本ブログでの、レンズ等の紹介記事での
掲載写真は、昆虫等の自然観察写真が少しづつ増えて
来ているが、その理由は、近年、私もこの自然分野の
勉強をしていて、だんだんと知識や経験がついてきて
おり、様々な生き物を、見つけやすい状況になりつつ
あるからだ。
ちなみに、効率的に勉強をするには、一旦自分なりの
文章としてまとめてみたり、人に伝えるつもりで
話し言葉としてまとめてみる事が、有効な勉強法だと
思っている。その時点で、何かわからない点があれば、
文章化や言語化が出来ない訳であり、それを調べて
論理の体系を整える事に、重要な意味がある。
そうやって自分の考えで、その項目を纏めてしまえば
理解も出来、忘れにくくもなる。(本ブログの記事の
大半は、そうした自分の為の勉強内容となっている)
それをしないで、他者のまとめた、教科書、参考書、
資料、Web等を、ただ見たり読んでいるだけでは、
まず後にその記憶が残る事は無く、勉強にはなり難い、
と思っている。
---
それから、現代の都会の子供達等では、カエル、トンボ
その他の昆虫や小動物全般において「怖い、気持ち悪い」
等の拒絶反応を起こす子供等の比率が極めて高い模様だ。
恐らくは、「自然や生き物に触れる・見る経験」が
とても少ないから、そうなってしまうのであろう。
まあ要は「知らないから、怖い」という状態だと思う。
親御さん達が、もっと子供達等に自然に触れる経験を
積ませて上げても良いのでは?とも思うのだが・・、
その親御さん自体、都会育ち等で、生き物に拒否反応を
起こしてしまう様相もあり、つまり、もう何十年も
昔から、そういう状況になってしまっているのだろう。
また、近年では、学校等でも「昆虫採集」を奨励しない
方針もある模様だ。だが、「採集」はともかく、「観察」
ですら、機会が減っているだろうから、ますます子供達等
は、自然の生き物に触れるチャンスには恵まれなくなる。

一般的に良く見る「シオカラトンボ」とは、少しだけ
差異があり、1つの見分け方としては「オオシオカラ」
の方が、羽根(翅)の根元の黒い部分が多い事だ。
(まあ、ざっくり「シオカラトンボが居るな」と
思ったとしても、より細かく見れば、種類が色々と
混在している、という事である)
生物学においては、生き物の種類を見極める作業を
「同定(どうてい)する」と呼ぶ。
生き物の、その種類が何であるか?を調べる事は、
勿論、様々な研究・調査において、非常に重要な
事である。
で、研究者の撮る写真は、その生物を「同定する」
為に、他の種族と差異がある部分だけを、重点的に
撮るようなアングルを探す事が殆どだ。
だが、いわゆる「カメラマン」は、そうでは無い。
例えば、道路のアスファルト上や、排水溝の金網に
トンボが止まっていたとしよう。
「写真表現」という感覚からは、道路の真ん中に
トンボが居ても、あまり撮影する気にはなれない。
それでは「絵にならない」からであり、トンボを
撮るならば、「自然」「季節」「風情」「郷愁」・・
あたりの、いずれかの「表現」を作画意図として
構図や背景に込めたい、と思う事が中上級カメラマン
ならば当然の考え方であろう。
ところが、研究者(のカメラマン)だと、こんな
場合でも嬉々として、道路の真ん中に居るトンボを
例えば真上からや真横から撮影しようとするのだ。
何故ならば、そういうアングルの写真が、そのトンボ
の種別を同定するのに適正だからであって、それが
記録や研究における正確性を増す事になる。
(何月何日、どこそこに、オオシオカラ1頭/匹、等)
まあつまり、こちらは「写真」と言うよりも、むしろ
「記録映像」な訳だ。
両者は、どちらが良いとか悪いとかいう問題では無い。
両者における「写真を撮る」という目的が、まるで
異なるという状態だ。
まあだから、カメラやレンズの話をする時に、
仮に「どんなカメラ(レンズ)が良いのですか?」
と、聞かれたとしても、その質問者の撮影の目的
や用途(1つだけではなく、複数あるだろう)が
わからないかぎり、その質問には答えようが無い訳だ。
で、カメラマニアであれば、非常に多数の撮影機材を
所有している場合もあるだろう。まあ私も同様だ、
だが、マニアの中には「収集」つまり「コレクション」
を主目的としている場合も極めて多い。
写真を撮る事ではなく、カメラやレンズという機械
(ハードウェア)そのものが好きな訳だ。
コレクター志向を否定するつもりは無いのだが、私の
場合では、多数の所有機材は、ある撮影目的があった
として、その為に最適な機材(カメラ+レンズでの
「システム」)を選ぶ事が、最大の楽しみとなっている。
(つまり全所有機材を実用化する手法を模索している)
そして、今回の観察会でも、この目的に、ほぼBESTと
思える機材(システム)を、セレクトして来ている。
具体的には、以下のシステムだ。

カメラは、NIKON D500(APS-C機)
このシステムが何故今回の撮影用途に最適なのか?
という点を詳しく説明すると、軽く、1記事分位の
文章量になってしまう。相当に端折って簡単に説明
しておこう。
なお、言うまでも無いが、本ブログでは三脚撮影を
推奨しておらず、必ず手持ち撮影を前提とする。
ましてや、こういう自然環境に影響が強い撮影状況
では、三脚を用いる事自体が、マナー違反となる。
(現代では「三脚族」は、絶滅危惧種となっているが
ほんの10年位前では、シニア層を中心に、マナーや
モラルの無い「三脚族」が、いたるところに居た)
<レンズ側の特徴>
1)「望遠マクロ」である事(その機種は多くは無い)
2)最短撮影距離(38cm)や撮影距離が適正である事
3)手持ち撮影での重量限界を超えていない(1150g)
4)手ブレ補正、超音波モーター内蔵
5)高解像力、高描写力である事
6)ボケ質破綻が出難い事
<カメラ側の特徴>
1)APS-C機であり、画角や撮影倍率を稼げる事
2)高速連写機であり、秒10コマで200枚迄連写可能
3)AFが高性能(精度が高い)である事
4)1.3倍クロップモードを持ち、それを使う際、
換算画角300mm、最大撮影倍率2倍が得られる。
5)レンズ側の高解像力とあいまって、さらに最大
2倍程度までのトリミング編集が可能。
つまり、目の前40cm程度から、5m程度までの
距離範囲内にある小さい昆虫等は、全て被写体と
して見なせる事となる。
6)最高ISO感度が164万まで使え、やや暗所での近接
撮影時のシャッター速度低下での手ブレリスクを
ISO感度の増加で、いくらでもカバーできる。
7)AUTO-ISOが最大感度まで追従し、低速限界の手動
設定ができるから、手ブレのみならず、被写体ブレ
(例:蝶のはばたき)等にも任意に対応が可能だ。
8)システムとしての総重量が2kgを下回り、
ハンドリング性能が良い他、手持ち撮影でも
負担や疲労が少ない。
ただし微細な弱点もある。
A)レンズ側手ブレ補正機構が、動作調整の為、
AF開始時等に一瞬「構図ブレ」を起こす。
B)システムが高価すぎる(発売時の定価レベルでは、
税込み40万円越え) 入手時の課題のみならず、
撮影時の取り扱いにも注意しなければならない。
(ラフに扱えない)
C)やはり、やや重い。炎天下の丸一日の撮影とも
なれば、体力や集中力を切らせてしまうだろう。
なお、「最適のシステムを使う」という観点に
おいては、本システム(組み合わせ)は、この
「トンボ池」(での短時間撮影)以外においては、
あまり使わない、という事である。
まあカメラはカメラで、レンズはレンズで、別の
撮影目的に使う事はあるが、それはそれでまた別件だ。
注意点は、こういう「用途特定システム」において
気をつけるのは、その長所(特徴)ではなく、むしろ
「弱点」の方である。弱点が、実際の用途上での
課題になる場合は、そういうシステムは適正では無い、
ということだ。今回の場合、晴天時であれば、前記の
弱点(手ブレ補正機構の振る舞い、価格の高さ等)は、
さほど問題にはならない状況(環境、条件)なのだ。
さて、本記事はカメラやレンズの紹介記事では
無いので、このあたりの、機材性能や評価の話は、
ほどほどにしておこう。
ただし、たとえ、自然観察分野での「映像記録」が
目的であったとしても、映像を撮るための機材には、
皆、もっと関心を持っても良いのではなかろうか?
とも思う。カメラやレンズの性能や仕様は、その
撮影目的に応じて、必ず適正なものが存在するだろう
からだ。
逆に言えば、目的に合わない(適切では無い)撮影機材
を用いたら、「映像記録」そのものも、極めてやり難く
なってしまうと思う。

つまりオタマジャクシから変わったばかりであり、
まだ幼生と言う事だろう。(大きくなると、きっと
森の方に行く。水際に来るのは繁殖期がメインだ)

産卵をしているから、当然メスなのだが、ギンヤンマ
のオスメスの区別は、腹が水色なのがオス、黄緑色が
メスだ。
(注:関西圏では、かなり良く見かける種だが、
先日、TV番組を見ていたら、東京で、「ギンヤンマが
出たぞ!」と生物学の研究者の先生が興奮していた。
首都圏では、そんなに見る事が珍しいのだろうか?
ちなみに、長野県と高知県では準絶滅危惧(NT)に
指定されている模様だ)
トンボは水面や、水面にある草のあたりで産卵する
事が多い。
ただ、気になるのは近くにオスが見当たらない事だ、
数日前に家の近くの川で見たギンヤンマの場合では
「連結産卵」、つまり交尾したままの産卵であった。
多分、環境が異なるのだろう。
例えば周囲に、同種の他のオスが多数居る環境の
場合は、多くのトンボのオスは、ペアのメスの産卵時に、
他のオスが近づいて来て、自身の「種」を残す事を妨害
する(=メスを横取りする)事を嫌い、空中で警戒行動
(=飛翔し、他のオスが来たら、追い払う)をするか、
又は、連結したままの産卵となるケースが多い。
まあつまり、この「トンボ池」の環境では、他に
ライバルとなるオスのギンヤンマが殆ど居ないから、
オスも安心して、メスだけの単独産卵を見逃しているの
かも知れない。(実際にはどうだか・・? 勿論不明)
なお、「オスはメスに食べられてしまったのでは?」
という想像もあるかも知れない。だけど、その行為は
「トンボの世界では、まずあり得ない」との事だ・・
そういう事をするのは、例えば「カマキリ」の一種で
しかも、メスがオスをいつも食べてしまう訳では無く、
「20%前後の割合だ」という研究報告もある模様だ。
「トンボは共食いをしない」が、正解な様子だが、
ただし、異なる種属の場合は、トンボがトンボを
食べる(捕食する)ケースはある。(詳細後述)
もう1つ、この時期(8月)は、どうやらトンボに
とっては繁殖期な模様だ。この「トンボ池」以外の
普通の地域でも、トンボの連結(交尾)や産卵を
良く見かける。

「イトトンボ」と良く似ているが、こちらの方が
やや大型、そして色味もずいぶん違う(モノサシは
黒や金(黄)色が多いが、イトトンボは、青、緑、
黄、赤等だ・・)ただし、種類が多く、見た目の
差も少ない為、それらを「同定」するのは難しい。
---
余談だが、「モノサシトンボ」(科/属)とは、勿論、
見た目が「物差し」(スケール)のようだからだ。
・・で、カメラを構えてファインダーを覗く時、
「被写体のサイズを測る”物差し”が表示されたら
便利なのに・・」と、こうした自然観察撮影では
良く思う事がある。
例えば、被写体のサイズが5cmだ、とわかるとか・・
様々な生き物の中には、同定が難しく、単に個体の
大きさだけで種別が異なってしまう場合もある。
で、顕微鏡等では、そういう(スケール表示)機能が
ついている機種は珍しくないが、カメラ(写真機)
では皆無であろう。
まあ、顕微鏡での検体は、普通は平面(的)だが、
写真(カメラ)の被写体は、立体(三次元)的なので
「物差し」が表示されても、あまり意味は無いので
あろう(例えば、奥行きがあったり、斜めになったり
している被写体の場合、サイズが測りにくいからだ)
だが、AF(デジタル)カメラであれば、レンズの焦点
距離、被写体距離(始点、終点)、センサーサイズ、
記録画素数等の情報があれば、これは、立体被写体で
あっても、原理上、そのサイズを測れると思う。
ここで面倒なのは、被写体距離の始点(先端)と
終点(後端)の2箇所を独立して計測(AF合焦)する、
という、カメラ上での操作性(操作系)だ。
実は、これに似た操作性は、銀塩時代のCANON EOS
(概ね、1987年~2000年代初頭)での機能、
「DEP(深度優先AE)モード」として存在していた。
これは、例えば前後に距離が異なる2人の人物等で、
各々でAFを2回合わせると、その両者にピントが合う
(=被写界深度内に収まる)絞り値を(シャッター
速度も)自動的に設定してくれる機能であった。
だが、AFを2回合わせるのは、いかにも面倒な操作だし、
1人を測った後に、その人が動いてしまっても台無しだ。
そこで、デジタル時代のEOS(概ね2000年代~)の
初級中級機では、A-DEP(自動被写界深度優先AE)に
改善された。この機能では複数のAF測距点において
合焦した複数の被写体群(=人物の集合写真等)で、
全てが被写界深度内に収まるように、絞り値等が
設定されるようになった。(ただし、この機能は、
EOS上級機、あるいは2010年代頃からの初級中級機
では搭載されていない。意味がわかりにくい、又は
被写界深度の概念を理解していれば不要、あるいは
全自動撮影モードに含まれる、という事だと思う)
で、話を戻して、カメラ上では、多少面倒な操作を
するならば、「モノサシトンボ」の長さを測る
「物差し」の表示機能は実現できそうだ。
ただ、やはり操作系が煩雑になるのは否めない。
では、ソフト(アプリ)上ではどうだろうか?
この場合、PC上で動くソフトをプログラミングして
(別途「プログラミング・シリーズ」記事群参照)
撮影後の画像からEXIFデータ等を参照して、被写体
のサイズが測れないだろうか?
だが、これは少々実現困難であろう。被写体距離は
EXIFには記録されていないケースが大半だし、
あったとしても1つだけだろうし、被写体の何処の
部分でAF測距が行われたか?も、まず不明だ。
ましてやMFレンズであれば、撮影距離は完全に不明だ。
では、撮影距離を手動入力するのはどうか?これならば
可能性はある。ついでにレンズの焦点距離も、画素数も
センサーサイズも、全て手動入力にしてしまえば良い。
だけど・・ 撮影後に、特にマクロ撮影をして撮った
写真において、例えば「モノサシトンボ」の先端部の
撮影距離が45.3cm、後端部の撮影距離は47.2cm、
などと(写真を見ただけで)正確にわかるだろうか?
・・まあ、まず、そこまではわからない。
結局、撮影後では無理な話か? でも、限られた条件
(先端後端の距離差なし、距離はアバウトでも良い)
等のケースでは「モノサシトンボを測る物差し」(笑)
のソフトウェアは実現(開発)できそうな気もする。
いずれ、暇な時に、このソフトを作ってみよう。
(追記:記事執筆後に開発済み、後日紹介予定)
さて、余談が長くなった。自然観察の話に戻る。

やはり、この時期は繁殖期な模様で、あちこちで
トンボのカップルが成立している。
人間が居ても気にしない模様だ。このビオトープは
普段は一般人が立ち入り出来ない(非公開)な為、
生物の、人間に対する警戒心も薄いのかも知れない。
家の近所で見かける「ハグロトンボ」(カワトンボ科)
とかは、ちょっと人間が近寄っただけで、さっさと
逃げてしまう。

飛び去った。
手前に写っている黄色がメスのシオカラトンボで
奥に飛んでいる水色が、オスのシオカラトンボだ。
この直後に普通、メスは産卵するので
他のオスの妨害等からの安全性を確保するならば、
連結産卵を行なう筈だが、これは前述のように
ここが安全な環境であるからであろう。
少し、この後もカメラを追ってみよう。
(なお、飛翔するトンボ等を撮影する事は、非常に
高難易度だが、その為にも、高性能な専用撮影機材
を準備して、その難易度を低める工夫をしている)

都会の川等では、浮かぶ藻や草に卵を産み付ける場合
もある。その際、草等が流れていったらどうなるの
だろうか?とも思うが、そこは良くわからない。
産んだ卵の、ごく一部しか孵らないのかも知れない。
多分、トンボは水流等も見えるのであろう。
このビオトープ(トンボ池)は、一応、水は循環して
いるのだが、その変化はゆっくりであり、ほとんど
止まっているようにも見えるだろうから、直接水面に
産卵してしまうケースもありうる。

一応、草や葉を意識しているのかもしれない。
この状況で、普通はオスは空中で警戒飛行をし、
他のオスが近寄って来ると、それを追い払う。

ただ、あまり他の(同種の)オスは、ここには居ない
ので、これ以上の「事件」は起こりそうにない。
(もっと同種のトンボが多い場所だと、いたる
ところで「三角関係」が起こるので、見ていても
なかなか興味深い・・)
メスは、数回~十数回、産卵を繰り返して終了、
恐らく、その後は、ペアは解消となるのであろう。

「蝶」の「同定」も、それなりに難しい。
上は、「ナガサキアゲハ」か?「クロアゲハ」か?
の判別が困難だ。専門家であれば、羽根にある模様で
区別できる模様だが、捕まえないで、ある程度の
距離から写真を撮っている状態では、その手法では
難しい。一応区別がつきそうなのは、黒い蝶において
羽根の後ろの突起が尻尾のように伸びているのが、
「クロアゲハ」なのだが、上写真はそれが無いから、
「ナガサキアゲハ」のように思える。
ただし、判定は、その昆虫の生息地によっても異なり、
さらに突起が長い「オナガアゲハ」や「カラスアゲハ」
という種類も居る。
けど、その地域によっては出現する種は限られている
ので、この京都(関西)付近で見られるならば、上の
写真は、まず「ナガサキアゲハ」であろう。
なお、今回、トンボ池に飛んできた黒い蝶の中には、
「クロアゲハ」も混ざっていた。
しかし、昆虫等は、本当に「同定」、すなわち見分ける
事が難しい分野である。(まあ、「キノコ」の方が、
はるかに難しいみたいだが・・)
この難しさは、カメラで言えば、NIKKORレンズの
AiとAi~Sを見分けるくらいか?、いやもっと難しく
CANON F-1の前期型と後期型を見分ける位のレベルか?
「その何処が違うのだ? わかりにくい例を出すな!」
と言われそうだが(汗) まあ、その「難易度」には
明確な基準はある。
つまり、昆虫等においては、フィールド(屋外等の
実際の現場)において、一般的な当該分野での知識
レベル(中級という感じ)で、その昆虫が同定できる
か否か? あるいは、実際に標本として持ち帰ったり
撮った写真を、家や研究室に持ち帰り、図鑑、資料、
文献、ネット等で調べないと、同定ができないか?
そこの線引きが、難易度での線引きでもある。
カメラの例では、中古店でNIKKORレンズを見れば、
AiとAi~Sの区別は、中級マニア層以上ならばできる。
だが、CANON F-1の前期型と後期型を見分けるには
その機体を買って、家に帰って、資料等の仕様を元に
細かくチェックしないとわからないレベルであろう。
そういう感じでの「レベル(難易度)の線引き」だ、
で、経験値や知識が増えれば、フィールド(屋外)
や中古店でも、その場で、昆虫の種類や、カメラの
種類が判断できるようになるだろうが・・ 何でも
同定(判定、鑑定)できるようになる為には、相当
にハイレベルでないとならないであろう。
(昆虫等の個別分野での専門的研究者、あるいは
カメラでは超上級マニアや中古専門店販売員等)

これはやむをえない、専門スタッフの人に聞いてみる。
専「これはカメムシの仲間で、ハゴロモと言います」
ぐぅ・・ 全く知らない(汗)
「不勉強が露呈した」という感じだが、まだこの
自然観察を始めて数年程度なので、やむをえない。
家に帰って調べてみると、確かに「カメムシ」目
(もく)に属する「ベッコウハゴロモ」という種類
である事がわかった。
だが、全然、どんな生態なのかも、良くわからない
「そもそも、これ、飛べるの・・・?」
まあ、追々勉強していく事にしよう。
でも、あういう「カメムシ」も居るという事が驚きだ。
一般的な「キマダラカメムシ」等は、誰もが見た事は
あるとは思うが、実は、カメムシの種類も、とても
多い模様であり、例えば、「セミ(蝉)」ですら、
カメムシ目(「半翅目」とも言う)に分類される
と聞く。
書店では「カメムシ」だけの数巻セットの大辞典
(勿論専門書であり、高価だ)も売っている位だ。
ちょっと変わったカメムシも、このトンボ池には
生息している模様だ。そう思って、良く良く探して
見れば、小さい虫も見えるようになってくる。
(注:発見する力を鍛える事も重要だ。一般層だと
そもそも、様々な生物等を発見する事自体が困難だ)

種類が多いので、確実に同定できている訳では無い。
ここは写真的に、あるいは撮影位置的に「こういう
アングルで撮ると格好いいかな?」と思って撮って
いる訳で、もし確実に生物種を同定しようとすれば
様々なアングルで撮影をしておく必要がある。
(注:同定できる要素が何であるか? 例えば
形や模様等の特徴、は、この撮影時点では良く
わからないかも知れない。同定するポイントに
おいては、後で調べたら、例えば「腹の色」とか
「目の周りの模様」とかいった場合すらあるので、
その為には、あらゆる角度から撮っておく必要がある。
・・が、現実的には、撮影アングルを自由にできる
等の好条件は極めて少なく、とても難しいであろう)
さて、あっと言うまに、所定の時間1時間が過ぎて
しまったので、これでイベントは終了である。
ちなみに、撮影した枚数は500枚位である。
単純計算では7秒に1枚写真を撮っている状況だが、
今回は高速連写機NIKON D500を使っているので、
まあ、普通に撮影していても、最低限これ位には
なるだろう。例えば、ボート競技の記録撮影で
あれば、この倍のペースの、1時間あたり1000枚
程度となる事も良くある話だ。
多分、一般層(スマホ等で撮る人)、あるいは写真
のビギナー層とか、こういう自然観察分野の人達は、
この10分の1から100分の1程度、つまり1時間で
数枚~数十枚程度しか撮影をしないと思う。
が、カメラマンの感覚からすると、それは少なすぎる。
撮影枚数が少なければ、経験値も撮影技術も育たないし、
撮影成功確率も下がるし、被写体を探す目線も育たない。
カメラの初級中級層に言いたい事だが、いままで
撮っている枚数の、10倍から100倍のペースで撮影
する事を推奨したい。
例えば、いったん撮影目的で外出したら、目標値で
1000枚撮影するまで帰宅しない、とか、そんな風な
厳しいハードルを設けるくらいが良いかも知れない。
さて、トンボ池を出て、京都御苑の中では・・

「ウスバキ(薄羽黄)トンボ」を捕食している!
少し前述したが、「トンボは共食いをしない、が、
異種のトンボを捕まえて食べる事はある」という事を
地でいっている。
まあ、”自然界の厳しさ”であろう・・

到達する。
川原を少し歩いて、三条駅から帰路に着く事にしようか。

飛び立つ訳でもなく、水面を跳ね回っている。
どうやら、これは「換羽」(関連:エクリプス)で
あろうか? カモの羽根が生え変わる時期であるから、
水に付けたり、動き回ったりして、換羽を促進して
いるのではなかろうか? なお、換羽する期間は
カモ(等)の種別で差異があると思うが、下手を
すれば、換羽中は飛べなくなってしまう種も居ると
思われ、それでは敵に襲われた際に危険だし、食べ物
を得る事も難しくなるから、本能的にも、できるだけ
早く換羽したいのだろうと思われる。
そして換羽中においては、その鳥の種別も、やや
わかりにくくなってしまう。上写真は、マガモだと
は思われるが、やや遠距離で、詳しくはわからず、
かつ換羽途中であると模様や雰囲気までもガラリと
変わってしまう事もあるだろう。

興味深い。その分野自体での研究的要素のみならず、
カメラマン的視点で、写真の「被写体」としても、
それが記録としての要素も含まれるので、長期間に
渡り、「飽きずに」撮れる撮影ジャンルになり得る
のではなかろうか?
今後、本ブログのカメラ・レンズ関連記事の掲載
写真でも、少しづつ、この分野の被写体が増えて
くると思う。
さて、これにて今回の記事は終了。
本「新・関西の楽しみ」カテゴリーは、完全なる
不定期連載であり、次回記事の掲載時期は未定だ。