本シリーズは、各カメラメーカーが発売した銀塩・
デジタルのカメラを、およそ1970年代から現代の
2020年代に至る迄の、約50年間の変遷の歴史を
辿る記事群である。
今回は、CANON編(後編)として、主に2000年代から
2010年代中頃までのCANONデジタル一眼レフ(EOS)
を中心に紹介する。
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紹介機は、現在なお所有しているカメラで、かつ実際に
使っているものに限るが、1機種だけ故障廃棄している。
また、挿入している写真は、その機体(と、紹介機体写真
に装着しているレンズ)で撮影したものであるが、写真と
記事の内容とは、特に関連は無い。
では、2000年代の、CANONデジタル一眼レフの
歴史説明より開始する。
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2000年 EOS D30
史上初の民生用デジタル一眼レフ(上写真)
(デジタル一眼第23回記事で紹介)
2001年 EOS-1D
民生・業務用ハイエンドモデル、約400万画素。
最高シャッター速度1/16000秒、45点AF、秒8コマ。
2002年 EOS-1Ds
民生・業務用ハイエンドモデル、約1100万画素。
EOSデジタル初のフルサイズ機。発売時95万円前後。
2002年 EOS D60
D30の改良機、自社製CMOS 約600万画素。定価は33万円
この時代のデジタル機種群は個人的には、まだ「黎明期」
(デジタル一眼レフ・クラッシックスで定義する第0世代)
だと見なし、「実用レベルには満たない」と思っている。
(よって、歴史的に貴重なEOS D30以外は未所有だ。
なお、下写真は、そのEOS D30での撮影。
以下同様に紹介機での撮影写真を挟んで行こう)
まあ、EOS-1D系列であれば十分使えただろうとは思うが、
非常に高価であり、例の「操作系」への不満もあったので
後年に中古が安価になった状態でも購入していない。
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2003年 EOS 10D(未所有)
EOSフタケタD機の実質的な最初のモデル。
それ以前にD30とD60が存在しているが、まだ実用レベル
では無いし、価格も30万円以上と高価であった。
このEOS 10Dが実用的な機種としては最初であろう。
発売時価格も20万円を切り(注:オープン価格)
やっとアマチュア層でも手が届く価格帯となった。
SNS(BLOG)が普及しはじめた2000年代中頃においては、
この機体を使用していた写真ブロガーも何人か居た。
2003年 EOS Kiss Digital(未所有)
発売時価格が約12万円台と、史上最も安価なデジタル
一眼レフとして登場した。
だが、その点については、この機体は普及機の性能であり
翌2004年には、本格的中高級機のNIKON D70が約15万円で
発売、さらに同2004年にPENTAX *istDsが10万円を切る
低価格で発売されたので「少し待てばいくらでもデジタル
一眼レフの価格は下がる」と予想できた時代でもあった。
ちなみに、ニコンにおいてもEOS Kiss Digitalの発売は
脅威と見たのか、NIKON D70の開発発表を、かなり前倒し
してKiss Digital発売と同時期に行った経緯がある。
(参考:NIKON D70は発売直前まで定価が不明であった。
市場の様子を見ながら、戦略的に価格を最終決定した様相が
見て取れる。つまり、製造原価から定価が決まるのでは無く、
「いくらならば売れるのか?」という視点での、21世紀型
の販売(マーケティング)戦略の走りであったと言える)
これら2003~2004年に発売された初期デジタル一眼レフは
実用的レベルに達してはいた、という個人的判断だったが、
その価格低下の要点があった為、私は、この時期の各社の
カメラは、いずれも1年程度待ってから中古で購入している。
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2003年 EF-Sレンズの発売
EOS Kiss Digitalの発売に合わせたAPS-C機専用のレンズ群。
(上写真は、最初期のCANON EF-S18-55mm/f3.5-5.6
USM。ただし、後年のEOS機に装着している)
イメージサークルが小さいので、小型軽量化、そして
低価格化が可能である。
またズームでは18mm位からの広角端焦点距離となっていて
「APS-C機でフルサイズ用レンズを使うと、広角画角が
足りない」という課題にも対応しているし、被写界深度が
深くなる為、AF精度の向上や、ビギナー層でのピンボケの
リスクも減少させる事ができる。
一見して良い事ばかりであるが、1つだけ重要な問題点があり、
それは、「EF-Sレンズは、フルサイズのEOS機(一眼レフ)
では、使用できない(装着不可となる仕様)」事である。
私は、その事実を知って「じゃあ、CANONのAPS-C機を使って
いてEF-Sレンズを買ったら、将来フルサイズEOSに買い換えた
場合に全部使えなくなるじゃあないか、一体、どうするんだ?」
という疑問が生じた。まあ、私個人であれば問題無い、きっと
そういうケースでもフルサイズ機とAPS-C機を並行して所有する
だろうからだ。しかし一般ユーザーではそうでも無いであろう。
で、結局のところ、そこから長期間、私は、EF-Sレンズを
1本も購入しなかった。CANON純正では無くサードパーティー
製のレンズでも同様だ、つまりEOSにおいては必ずフルサイズ
用レンズを購入する事にしている、そうであればフルサイズ機
でもAPS-C機でも、どちらでも問題なく利用できるからだ。
(注:2010年代後半に、技術的な視点における研究の為、
歴史的に重要と思われるEF-Sレンズを2本購入している)
ちなみに、CANON以外の他社でもAPS-C機とフルサイズ機を
並存させる事は普通であるが、どの場合でもAPS-C用レンズ
がフルサイズ機に装着できない、と言う制限は無い。
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2004年 EOS 20D
EOS 10Dからさらに実用性能を増した中級機、この機体は
私は1年程待ってから中古購入後、長らく愛用したのだが、
2010年を過ぎた頃に露出計が故障してしまい、やむなく
廃棄処分となった。よって現在では実機の紹介が出来ない。
カタログスペックに現れない長所としては、バッテリ-の
持ちが極めて良い事である。この機体より前のデジタル機は
バッテリー消耗が早く、丸一日の撮影は不可能とも言えたが、
このEOS 20Dで、やっとそれが可能となった。
(同年発売のNIKON D70も同様にバッテリーの持ちが良い)
2004年 EOS-1D MarkⅡ、EOS-1Ds MarkⅡ
旗艦級ハイエンド機であるが、この頃から私はEOSの旗艦機に
興味を持てなくなってしまい、以降でもEOS-1D系列の機体を
1台も所有していない。
最大の理由は価格が高価な事だ、そして重量も重く、実用機
として使おうとしても、ちょっと限界点を超えているという
判断だ。さらに様々な記事で述べている「操作系」の課題が
大きく、あまり興味が持てないのだ。
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さて、この年2004年は各社からデジタル一眼レフが出揃った
年でもある。NIKON等では、それまでも旗艦機級や高級機の
デジタル一眼レフを発売していたが、いずれも高価すぎた。
2004年に軽快な中高級機NIKON D70が発売。
(デジタル一眼レフ・クラッシックス第4回記事)
またPENTAXでも *istDsを史上最安値で発売。
(デジタル一眼レフ・クラッシックス第2回記事)
さらに、合併したKONICA MINOLTAも、史上初の手ブレ
補正内蔵一眼レフである、α-7 DIGITALを発売した。
(デジタル一眼レフ・クラッシックス第3回記事)
また、オリンパスもフォーサーズシステムの2機種目である
E-300をレンズキット版として発売している(故障廃棄)
(デジタル一眼レフ・クラッシックス第8回記事で少し説明)
私はこの2004年を「デジタル一眼レフ元年」と定義している。
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2005年 EOS 5D
EOS-1D系列が超高性能を持ちながらも価格帯が高価すぎた
課題を受け、ハイアマチュア層等であっても購入できる
価格帯で発売された、初のフルサイズデジタル一眼レフ。
ただし、安価とは言え、40万円程度と依然コスパが悪い。
この機種の登場により、私は逆に「アンチ・フルサイズ」の
意識が芽生えてしまった。この時代の各社ASP-C機であれば
中古で数万円という、手頃な価格帯で買えるのに、何故、
フルサイズ機はそんなに高価なのだ?たかがセンサー面積が
2倍になるだけだろう・・と。
結局、私は、その後2010年代半ばになるまで、フルサイズ機
を1台も購入しない「アレルギー症状」となる。
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この年2005年、RICOHからGR DIGITALが発売される。
デジタルでは実質初の高級コンパクトである。
銀塩時代からGR1シリーズを愛用していた為、GR DIGITALも
発売当日に購入。以降15年を超えてまで現役使用している。
*コンパクト・デジタル・クラッシックス第2回記事
*ハイ・コスパレンズ・マニアックス第20回記事
等を参照の事。
2004年製の各社デジタル一眼レフが、いずれも低価格で
かつ実用性能に達していたのと、それらの5機種を全て中古で
購入できた為、私はこの時期、GR DIGITAL等のコンパクト機
と合わせて、デジタル機には不自由しなかった。
全メーカーのデジタル機を入手するのは贅沢な話ではあるが、
購入コスト削減の要因として、1つは全て中古で購入した事、
(デジタル機が次々に発売される為、最大でも1年も待てば
十分に安価な中古機が出て来た)もう1つは、新規の4/3
システムを除き、他のデジタル一眼レフのマウントは全て
銀塩時代と共通であった。よって、交換レンズを1本も新規
に購入せず、銀塩時代の交換レンズ群を全てそのまま
活用できた訳だ。(ただし、いずれもAPS-C型以下機で
あった為、既存銀塩用レンズでは広角画角が不足した。
これをGR DIGITAL(28mm相当)の併用で解決していたので、
GRDの重要性が非常に高く、撮影枚数が膨大になった)
これらの「ケチケチ作戦」(笑)により、デジタル一眼レフ
の旗艦機級を新品で1台買うよりも、むしろ安価に、全ての
マウントのデジタルシステムが揃った訳だ。
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この頃に迷ったのは、銀塩システムの扱いであった。
銀塩一眼レフはまあ、まだフィルムで撮る可能性もあるとは
言え、もうほんの数年で、それも無理になるであろう・・
あまりに古い銀塩機体は処分(譲渡や売却)せざるを得ない。
では、交換レンズ群はどうするのか?
特に問題でなのはCANON FDやMINOLTA MD、KONICA AR、
CONTAX Nシステムといったマイナーマウントのレンズ群だ。
他のマウント、例えばNIKON Aiは、無理をすればデジタル
一眼レフで使用可能だ、同様にPENTAX KやM42もOKだ。
OLYMPUS OMは、E-300購入時にOMアダプターをメーカー
から無償で送って貰ったので使う事ができる。
CONTAX Y/C(RTS)は、CANON EOS用または4/3用のアダプター
を入手すれば、まあ使えた。
レンジ機用の、ライカマウント(L/M)や旧CONTAXマウントは
デジタルでは使い難いが、まあ、あまり本数も持っていないし
デジタル・レンジ機であるEPSON R-D1(2004)という機種も
出ていたので、いずれその手のカメラが普及すれば、装着する
事もできるだろうと思った。
私は結局、多くのMFマウントのレンズを残す事にした。
マイナーマウントは、ここから数年間は全く利用不可であった
のだが、幸いにして数年後の2010年頃からミラーレス機の
時代に入り、およそどんなMFマウントのオールドレンズも、
マウントアダプターで装着可能になった次第だ。
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2006年 EOS 30D
EOS 20Dのマイナーチェンジ版、市場においては、優秀であった
EOS 20Dの後継機であるから、ずいぶんと性能が改善されて
いるだろう事を期待する声が大きかったのだが、蓋をあけて
みれば、EOS 20Dと画素数も同じ(約800万画素)で、がっかり
した声が上がった。
まあ、この当時は「画素数競争」が顕著であり、やっと市場に
普及したデジタル一眼レフを選ぶ際、少しでも画素数が高い
機種を皆が欲しがったのだ。
・・とは言え、つい1~2年前までは、アマチュア層は、皆
フィルムで撮っていた訳だ、デジタルの詳細な原理がわかる
筈もなく、ただ単純に、画素数の大きいカメラを追い求めて
いた状況に過ぎない。
私の場合、後年2010年頃に故障したEOS 20Dの代替機として
このEOS 30Dを選んだ。世の中には既に40Dも50Dも60D
も出ていたので、30Dの中古購入価格は15,000円と超格安
であった。値段が安価で、使い潰しても良い事に加えて、
所有しているEOS D30と名前が似ていて、マニア的視点
からは面白い。
EOS 30Dについては、デジタル一眼レフ・クラッシックス
第5回記事で紹介している。
購入後は、雨天等の厳しい撮影環境で、消耗用機体として
使用を続けていたが、発売後10年に至るまで何ら問題なく
使えていた。ただ、さすがにボロボロになっていたので、
後年では代替機を模索しはじめる事になる。
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2007年 EOS 40D、EOS-1D MarkⅢ、EOS-1Ds MarkⅢ
この頃、キヤノンのデジタル一眼レフは、旗艦機、上級機、
中級機、普及機のラインナップを堅守し、各々のランクの
モデルチェンジは1~2年で行われ、極めてあわただしい。
ここでは紹介していないが、普及機Kiss Digitalシリーズも
ほぼ毎年のモデルチェンジだ。
この頃の私は、「このようにモデルチェンジが早いと、
旧機種はすぐに見劣りしてしまう」(仕様老朽化寿命が短い)
という懸念を持つようになり、あまり新機種に興味を持たない
ようにしていた、「2~3世代変わってから買っても十分」
という考え方もあった訳だ。
2008年 EOS 50D、EOS 5D MarkⅡ
引き続き、モデルチェンジが早すぎて興味が持てず。
この時代ではEOS 20Dをずっと使い続けていたし、その機体は
バランスが取れた優秀なカメラで何ら不満は無かったからだ。
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2009年 EOS 7D
この時代、初めて「おっと!」と、注目に値するEOS機が
登場した、新しい番号のEOSヒトケタ機シリーズであるし、
銀塩EOS 7(2000年)は優秀な中高級機であった為、型番が
似ているこの機種にも、それなりの期待感があった。
加えて個人的にアンチ化していたフルサイズ機では無い事も
良いし、「高速連写機」というコンセプトも非常に好みだ。
本シリーズ第1回記事でEOS-1HSを紹介したが、その機体は
高速連写機能を主眼としての購入だった。後年にNIKON F5
(銀塩一眼レフ・クラッシックス第19回記事)も同様な
用途で購入したが、いずれも、銀塩での高速連写機は
コンセプト的に無理があり、実用的では無かった次第だ。
デジタル時代に入って、高速連写機NIKON D2Hを入手した。
(デジタル一眼レフ・クラッシックス第1回記事)
その快適かつ実用的な連写性能は様々な撮影シーンで極めて
重宝したのだが、2000年代後半から2010年代ともなると
さすがに400万画素機というのは実用的に満たない性能に
なっていた。
EOS 7Dは、D2Hの代替機として最適では無いか?という
判断が出てきた。
EOS 7Dは発売時20万円程の高価な機体であったので、
すぐには購入が出来なかった。
結局、数年後の2010年代前半になるまで入手できなかった
が、その時点では中古価格も4万円弱まで落ちていたので、
極めてコスパの良い買い物となった訳だ。
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本機EOS 7Dで書きたい事は多々あるが、デジタル一眼レフ・
クラッシックス第10回記事と重複するので、割愛する。
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2000年代のCANONデジタルコンパクト機
この時期、CANONでは、基本のPowerShotシリーズと
スタイリッシュなIXYシリーズの両面展開をしている。
PowerShotは、さらに価格帯により仕様が細分化されていて
その機種数は極めて多い。毎年のように多数の新機種が
出てくるので、マニアック度の無さや、仕様老朽化寿命の
短さにより、個人的には全く興味が持てなかった。
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2010年 EOS 60D
ここに来て、CANONのEOS新機種発売ペースが、やや鈍化。
その原因は明白だ、2000年代末頃からミラーレス機とスマホ
の急速な普及により、消費者層の多くはデジタル一眼レフに
興味を持たなくなってしまったのだ。
それに、もう消費者層にアピールする内容が殆ど無い。
2000年代のように「画素数が上がりましたよ」といつまでも
言い続ける訳にもいかない、製造技術的な限界点も勿論あるし、
それに、この頃では、ユーザー層の皆がデジタルの原理に
ついても理解してきている。単純に「画素数を上げれば
写りが良くなる」訳では無い事は、皆、もう知っているのだ。
ではどうするのか?ここはCANONとしても迷いどころであろう。
その答えは、もう少し後の時代になって明らかになる。
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2011年
この年の3月、東日本大震災が起こる。
これも大きな出来事であり、1995年の阪神淡路大震災と
同様に、直接の被害を免れた人達の間にも精神的なショックが
あった事で、これは消費行動にも大きく影響する。
CANONでは、3月に発売されたEOS Kiss X5/X50を除き、
震災後のこの年のデジタル一眼レフの新発売を控えた模様だ。
恐らく、この休止期間において、製品研究開発が促進され、
続くフルサイズ化時代への準備期間となったのであろう。
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2012年 EOS-1D X
ここにきて、フルサイズ機にも高速連写性能を持たせた
超絶性能機が初登場。
というのも、これまでの時代、いや、この機体の後でも
2016年くらいまでの各社のデジタル一眼レフにおいては
「フルサイズ機は連写が遅く、APS-C機は連写が速い」
という、明白な住み分けを行っていた。
技術的には、両者を統合するのは(同じ画素数であれば)
さほど難しく無い筈であるが(注:フルサイズ機の方が、
ミラー駆動がやや重いか?)これは市場戦略上の狙いが
あったのかもしれない(あわよくば両者を買って貰いたい)
だが、前述のように、デジタル一眼レフは「飽和市場」で
縮退が始まっている事と、スマホやミラーレス機に押された
状況においては、もうそれらの安価な機体では到底到達不能
な「超絶性能」を持たせて差別化するしか無いではないか・・
そして、こういう高付加価値型カメラは価格を上げる事が
できる、「デジタル一眼レフの販売数が減っているならば、
1台あたりの利益を上げるしか無い」という理屈である。
その後の時代では各社で当たり前となった、「超絶性能」
戦略の走りとなったのが、このEOS-1D Xであったと思う。
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2012年 EOS 5D MarkⅢ、EOS Kiss X6i
前年2011年が震災の年であった為、開発や製造や発売が
遅れていた機種もあるかも知れない。どの機種がどうだとか
までは分からないが、この2012年には、CANONはもとより
各社でも、デジタル一眼レフを始め、ミラーレス機や
コンパクト機等の多くの機種の新発売が復活している。
まあ、もしかすると、この頃に伸びのピークを迎えた
ミラーレス市場への牽制の要素もあったかも知れない。
(CANON機は色々と新発売があって、面白いよ・・と)
![_c0032138_07360927.jpg]()
2012年 EOS 6D
ミラーレス機やスマホの台頭に対する、CANONの1つの回答と
なったと思われる、新シリーズモデル。
フルサイズ・デジタル一眼レフとして最軽量(本体680g)
のボディである、またフルサイズ機としては最も安価な
18万円台(発売時実勢価格)でもある。(注:依然高価だ)
(参照:デジタル一眼レフ・クラッシックス第16回記事)
![_c0032138_07361450.jpg]()
この年、他社からもフルサイズ機が多数新規発売された、
具体的には、
CANONからはEOS-1D X,EOS 5D MarkⅢ,EOS 6D
NIKONではD4,D800,D800E,D600 そして
SONY α99やSONY DSC-RX1(コンパクト機)がある。
私は、この状況をもって「2012年はフルサイズ元年」と
定義している。
まあ、フルサイズ型センサーがコストダウンされたという
製造上の理由もあるだろう。安くなったものを高く売れば
利益が増えて、縮退したデジタル一眼レフ市場を支えられる。
加えて、フルサイズ機は、μ4/3やAPS-Cが中心であった
ミラーレス機陣営に対しても優位性を謳える事が出来る。
つまり「フルサイズはミラーレスよりも圧倒的に面積が大きく、
よって圧倒的に画質が良い!」と消費者層に言える訳だ。
でも、そういう話を聞いた、(わかっている)消費者層は
「はい、そうですか、ではフルサイズ機を買います」等と
素直には反応してくれない。
たとえば
「おいおい、つい2~3年前までは、画素数が多いカメラの
方が良く写るとか言って、そういう高いカメラを買わされた
ではないか、今度はセンサーが大きい方が良く写るだと?
いったい何台、高価なカメラを買わせるつもりなんだ!」
と思う中上級ユーザーも多かった事であろう。
デジタル時代に突入して既に10年近く、結果ユーザー側にも
それなりにデジタルの原理理解や知識がついてきている訳だ。
もう、そんなに簡単に、ユーザー層は乗ってこない。
フルサイズ化されて騒いでいるのは初級層のみという状況だ。
(でも、初級層ではこうした高価なカメラは買い難い)
結局、この時期2010年代初頭、ほとんどの消費者層は、
ミラーレス機の方に夢中になってしまったと思う。
これでは、一眼レフはますますヤバイ状態になるではないか、
起死回生のフルサイズ化戦略も、はたして効果があったか
否か・・?
![_c0032138_07361464.jpg]()
2010年代のCANONデジタルコンパクト機
2012年には、PowerShot G1 Xが発売。これはセンサー
サイズを1.5型(注:μ4/3より若干大きい)に大型化した
モデルである。センサーの大型化は上記EOS 6Dで説明した
理由とまったく同じだ。以降、PowerShot G-Xシリーズは
1型センサーに若干サイズダウンしたり、APS-Cに大型化
されたりしたが、依然、大型のセンサーを搭載したハイエンド
(高級)コンパクトとしてシリーズ展開を続けている。
なお、コンパクト市場は一眼レフ以上に市場縮退の要素が
大きく、こうした高付加価値の高価格帯(いずれも10万円
以上もする)カメラを、マニア層やビギナー層に売って
いかないと市場維持が難しい状態だ。
ただ、私は個人的には、残念ながらこれらの製品群に興味を
持てない。APS-Cセンサー機が欲しいのであれば2000年代の
デジタル一眼レフや、2010年頃の初期のミラーレス機で
あれば、1万円あたりから安価に購入する事が可能だからだ。
つまり「高級コンパクトはコスパが悪い」と見なしている。
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2012年 EOS M
キヤノン初のミラーレス機、キヤノンの同市場への参入は
他社に比べて最も遅く、この年からである。
これは同社が2000年代には自社製CMOSセンサーの優位点を
主眼に「高付加価値化戦略」を取っていた事情からであり、
つまり「高性能のEOS一眼レフを売って利益を得る」という
ビジネスモデルだからだ。もしここで安価なミラーレス機を
売ってしまうと、消費者はそちらを買って満足してしまって
高価な一眼レフの販売機会を逃してしまうかも知れない訳だ。
だが、市場におけるミラーレス機の伸びは、この時代は驚異的
であり、CANONも「いつ迄もこの市場を無視する事は出来ない」
という判断に至ったのであろう。それと、一眼レフの方は
この年から「超絶性能化」しているので、ミラーレス機とは
明確に「差別化」する事ができる点も重要なポイントだ。
なお、マウントが新規のEF-Mとなっていて、一眼用のEFや
EF-Sレンズはアダプターを介さないと使えない。
個人的には、EOS Mシリーズは後発である為、初期の製品群
は、性能的に未成熟と見なして購入していなかった。
(例:EOS M3までは像面位相差無しのコントラストAFのみ)
![_c0032138_07361912.jpg]()
2013年 SONY α7/α7R発売。
ここでキヤノンの話から一旦それる。
初のフルサイズ・ミラーレス機、α7系は、前年の各社の
一眼レフ・フルサイズ化戦略をひっくり返してしまった。
マニアであったら、きっと以下のように思う事であろう。
「だって、これでミラーレスと言っても、フルサイズだから
性能は一眼レフと同等だし、最軽量のEOS 6Dとか言っても、
α7ならば、その2/3程度の僅かに415g(本体のみ)だろう?
それにα7であれば、どんなオールドレンズもマウント
アダプターで遊べる。EOSもまあ、アダプターは何種類か
使えるのだろうが、オールドレンズをつけたら、フォーカス
エイドすら効かないし、勿論、拡大やらピーキングやら
そういう小技は不可能ではないか。
それに、そもそも値段だって、EOS 6Dよりもα7の方が
安価(発売時15万円台)だ、こっちを買った方が、ずっと
お買い得だろう?」
・・という感じで、マニア層は、いっせいにα7に傾倒した。
せっかくの一眼レフ陣営の起死回生のフルサイズ化戦略も、
ちょっと陰りを見せてしまった。それに、これではもう
「ミラーレス機はセンサーが小さいから、うんぬん・・」という
話は、μ4/3機を指名しての悪口でしか言えなくなってしまう。
それはさすがにフェアでは無い。
様々な「流言」(真偽とりまぜて、市場の思想を思惑どおりの
方向に誘導する)を流す「(ネット)情報戦略」は、もう
この時代では当たり前ではあるが、そこに「大義名分」が無い
限りは、そうした「流言」は、一般層に拡散されては行かない。
この時代に流れた、「μ4/3機は、フルサイズの1/4しか
面積が無いので、良く写る筈が無い!」という、恐らくは
業界内での敵対勢力関係を起因とした、悪意のある流言は、
一般層にまでは広まる事は無かった。
・・・さて、こんな状況の中、デジタル一眼レフは、一体
どこに向かって行くのだろうか?
![_c0032138_07362637.jpg]()
2014年 EOS 7D MarkⅡ
「超絶性能機」の一種である。APS-C機ながら、秒10コマの
高速連写性能を持ち、遠距離動体被写体に無類の対応力を持つ。
(参照:デジタル一眼レフ・クラッシックス第19回記事)
現状、個人的には最も気に入っているEOS機であるが、
まあ用途が極めて限定されている為に、趣味撮影には向かない
業務用途専用機である事は言うまでも無いであろう。
![_c0032138_07362942.jpg]()
直接のライバル機は、同等の性能を持つNIKON D500(2016)
(参照:デジタル一眼レフ・クラッシックス第20回記事)
であるが、こちらの機種の方が発売が早く、D500よりも
中古相場が、かなり安価なのでコスパが良い。
![_c0032138_07363449.jpg]()
2015年 EOS 8000D
(参照:デジタル一眼レフ・クラッシックス第21回記事)
EOS Kiss Digitalの上位機種としての新シリーズの発売。
小型軽量でありながらスペックをあまり制限していない。
(=仕様的差別化の要因が少ない)
内部部品は、Kiss (X8i)と同じだが、「操作系」的には、
EOSフタケタDシリーズの中級機と同等であろう。
小型軽量な事はハンドリング性能が高く、個人的には好み
のコンセプトである。惜しむらくは同等の性能を持つEOS
フタケタDシリーズよりも、むしろ中古相場が高価になって
しまう点があったが、2018年頃に少々高目で購入している。
後継機にEOS 9000D(2017年)がある。
![_c0032138_07365051.jpg]()
2016年 EOS M5 (APS-C型ミラーレス機)
前述のとおり、EOS Mシリーズは、各社ミラーレス機と
比べて最後発の、2012年からの展開であった。
従前のEOS Mシリーズは、コントラストAFのみの
仕様であったが、本機EOS M5から、「像面位相差AF」
(デュアルピクセルCMOS AF)が搭載された為、「実用的な
レベルに達した」という判断で、近年に購入している。
フルサイズ・ミラーレス機のEOS Rシリーズが新発売
された為、APS-C機のEOS Mシリーズの中古相場が急激に
低下し、コスパが良くなった事も購入の一因だ。
![_c0032138_07365088.jpg]()
使用開始から、まだ日が浅い為、詳細の説明は避ける。
いずれミラーレス・クラッシック記事等で紹介しよう。
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2015年以降のCANON 一眼レフの展開
EOS-1D X MarkⅡ(2016)、EOS 5Ds/R(2015)、
EOS 5D MarkⅣ(2016)、EOS 6D MarkⅡ(2017)、
EOS 90D(2019) などが代表的機体だ。
このあたりは非常にざっくりとした時代区分だが、
まだこれらの近年の機種は、所有もしていないので、
詳細には触れられないが、ごく簡単に述べておこう。
まずこれらの機種は「出し惜しみしないスペック」となった。
すなわち、何度も述べている国内一眼レフ市場の縮退の
事実を受け、高性能を「これでもか」と「てんこ盛り」にした
機種群である。
これは、CANONだけの戦略ではなく、他社もまったく同様に
この時期からの上級機種群に同様な「超絶性能」を与えている。
これらは「付加価値」であるから、価格を上げる事ができる。
つまり一眼レフの数が売れないのであれば、利益率を上げる
しか無いわけであり、メーカーの論理としては正しい。
しかしながら消費者側から見れば、自身が必要としない性能
(例えば超高感度や、超高速連写)が入って、それで価格が
高くなっているのであれば、それは、「コスパ」の意味を
もう一度、自身に問い直してみる必要性があるだろう。
ユーザーが不要な機能・性能は、無駄にお金を払っている
のと同等になってしまうからだ。
だが、コスパを判断できない初級中級層が、こうした超絶性能
機を欲しがって新品購入してくれる事で、国内一眼レフ市場は、
かろうじて支えられているとも言える。
これはCANONに限らず、他社でも全く同様の状況である。
なんとも複雑な時代になってしまった物だ、デジタルカメラは
現代、大きな転機を迎えているのかも知れない・・
ただ、それをあまり憂う必要は無く、記事で述べてきたように
一眼レフへの転換期、AFへの転換期、デジタルへの転換期で
各メーカーは、それなりに苦労して、新しい時代に対応しようと
していた。それについて行けずに撤退したメーカーも多々あれど
今生き残っているメーカーは、そうした大変革の経験を多数
積んできた老舗ばかりなのだ。また新しい形態のカメラに、
きっとうまく対応してくれるに違い無い。
まあ、既に各社はフルサイズ・ミラーレス機で、その変革を
行おうとしている状況だが・・
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CANON フルサイズ・ミラーレス機の展開
2018年~
新規フルサイズ・ミラーレス EOS Rシリーズを発売。
これについては所有もしていないし、調査もしていない。
正直、あまり興味が無いからだ。一眼レフ市場がもう限界
なので、無理やりミラーレス機に戦略転換した印象がある。
そして、既にEFマウントで多数の交換レンズを所有して
いる訳だから、たとえそれらがマウントアダプターで利用
可能とは言っても、これらのRマウントでの新鋭レンズ群
(注:魅力的に見せる為の、高付加価値化の工夫がある)
を、高価に重複購入させられるのは、コスト的に辛すぎる。
まあ、将来、これらの新鋭機種を入手する機会があれば、
本記事の「続編」を書くかも知れない。
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さて、ここまでがCANONの全カメラの歴史である。
今回紹介した機種群以外にも、実際にはもっと多くの機種が
存在しているが、書きたい事も色々あって、何回記事を重ねた
としても書きつくせるものでは無い。
それに、自身で所有した事が無い機種については、あまり
あれこれと書く事は、本ブログのコンセプトに外れる。
まあでも、これで新鋭Rシリーズの関連を除き、概ねCANON製
のカメラの変遷については、殆ど網羅できたと思っている。
Rシリーズについては、もし入手したら続編を書くが、
「対応レンズを全て新規購入する」という点で、ユーザーに
出費を強いる市場戦略が明白な為、今の所、購入予定は無い。
なお、当然ながら、こういうケースでは、従来マウント
では実現不可能であった仕様等のレンズを新規発売して
新マウント(レンズ)の優位性をメーカー側はアピールする。
(例:NIKON NIKKOR Z 58mm f/0.95 S Noct とか、
CANON RF85mm F1.2 L USM DS等の高付加価値レンズ)
その戦略に、モロにひっかかってしまうと、膨大な金額の
新規投資を強いられてしまう(それでは「メーカーの勝ち、
消費者の負け」の状態だ)ので、要注意だと思っている。
最後に、CANONの製品群では、本シリーズで紹介した
約50年間の間に、何度もの「排他的戦略」を取っている。
まあつまり、自社製品(システム)で固めて使う場合に
のみ高性能が得られ、結果、「汎用性を重視せず、他社
製品の利用を排除する」という企画設計思想だ。
まあ、メーカーが生き残る為、あるいは機材の性能向上
の為には、やむない戦略だ、とも考える事も出来るが。
それが度を越すと、気分を害して、「買わない」という
選択肢も、消費者側からは必ず出て来る事であろう。
CANONには限らず、本ブログでは全く紹介していない特定
のメーカーの製品群、あるいは特定のシリーズ製品群が
あるのだが、それらは個人的には「購入ポリシーにおける
我慢の限度を超えているから、一切購入しない」という
選択が既になされている状態の製品群な訳だ・・・
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では、次回記事は「PENTAX編」としよう。
デジタルのカメラを、およそ1970年代から現代の
2020年代に至る迄の、約50年間の変遷の歴史を
辿る記事群である。
今回は、CANON編(後編)として、主に2000年代から
2010年代中頃までのCANONデジタル一眼レフ(EOS)
を中心に紹介する。

使っているものに限るが、1機種だけ故障廃棄している。
また、挿入している写真は、その機体(と、紹介機体写真
に装着しているレンズ)で撮影したものであるが、写真と
記事の内容とは、特に関連は無い。
では、2000年代の、CANONデジタル一眼レフの
歴史説明より開始する。

史上初の民生用デジタル一眼レフ(上写真)
(デジタル一眼第23回記事で紹介)
2001年 EOS-1D
民生・業務用ハイエンドモデル、約400万画素。
最高シャッター速度1/16000秒、45点AF、秒8コマ。
2002年 EOS-1Ds
民生・業務用ハイエンドモデル、約1100万画素。
EOSデジタル初のフルサイズ機。発売時95万円前後。
2002年 EOS D60
D30の改良機、自社製CMOS 約600万画素。定価は33万円
この時代のデジタル機種群は個人的には、まだ「黎明期」
(デジタル一眼レフ・クラッシックスで定義する第0世代)
だと見なし、「実用レベルには満たない」と思っている。
(よって、歴史的に貴重なEOS D30以外は未所有だ。
なお、下写真は、そのEOS D30での撮影。
以下同様に紹介機での撮影写真を挟んで行こう)
まあ、EOS-1D系列であれば十分使えただろうとは思うが、
非常に高価であり、例の「操作系」への不満もあったので
後年に中古が安価になった状態でも購入していない。

EOSフタケタD機の実質的な最初のモデル。
それ以前にD30とD60が存在しているが、まだ実用レベル
では無いし、価格も30万円以上と高価であった。
このEOS 10Dが実用的な機種としては最初であろう。
発売時価格も20万円を切り(注:オープン価格)
やっとアマチュア層でも手が届く価格帯となった。
SNS(BLOG)が普及しはじめた2000年代中頃においては、
この機体を使用していた写真ブロガーも何人か居た。
2003年 EOS Kiss Digital(未所有)
発売時価格が約12万円台と、史上最も安価なデジタル
一眼レフとして登場した。
だが、その点については、この機体は普及機の性能であり
翌2004年には、本格的中高級機のNIKON D70が約15万円で
発売、さらに同2004年にPENTAX *istDsが10万円を切る
低価格で発売されたので「少し待てばいくらでもデジタル
一眼レフの価格は下がる」と予想できた時代でもあった。
ちなみに、ニコンにおいてもEOS Kiss Digitalの発売は
脅威と見たのか、NIKON D70の開発発表を、かなり前倒し
してKiss Digital発売と同時期に行った経緯がある。
(参考:NIKON D70は発売直前まで定価が不明であった。
市場の様子を見ながら、戦略的に価格を最終決定した様相が
見て取れる。つまり、製造原価から定価が決まるのでは無く、
「いくらならば売れるのか?」という視点での、21世紀型
の販売(マーケティング)戦略の走りであったと言える)
これら2003~2004年に発売された初期デジタル一眼レフは
実用的レベルに達してはいた、という個人的判断だったが、
その価格低下の要点があった為、私は、この時期の各社の
カメラは、いずれも1年程度待ってから中古で購入している。

EOS Kiss Digitalの発売に合わせたAPS-C機専用のレンズ群。
(上写真は、最初期のCANON EF-S18-55mm/f3.5-5.6
USM。ただし、後年のEOS機に装着している)
イメージサークルが小さいので、小型軽量化、そして
低価格化が可能である。
またズームでは18mm位からの広角端焦点距離となっていて
「APS-C機でフルサイズ用レンズを使うと、広角画角が
足りない」という課題にも対応しているし、被写界深度が
深くなる為、AF精度の向上や、ビギナー層でのピンボケの
リスクも減少させる事ができる。
一見して良い事ばかりであるが、1つだけ重要な問題点があり、
それは、「EF-Sレンズは、フルサイズのEOS機(一眼レフ)
では、使用できない(装着不可となる仕様)」事である。
私は、その事実を知って「じゃあ、CANONのAPS-C機を使って
いてEF-Sレンズを買ったら、将来フルサイズEOSに買い換えた
場合に全部使えなくなるじゃあないか、一体、どうするんだ?」
という疑問が生じた。まあ、私個人であれば問題無い、きっと
そういうケースでもフルサイズ機とAPS-C機を並行して所有する
だろうからだ。しかし一般ユーザーではそうでも無いであろう。
で、結局のところ、そこから長期間、私は、EF-Sレンズを
1本も購入しなかった。CANON純正では無くサードパーティー
製のレンズでも同様だ、つまりEOSにおいては必ずフルサイズ
用レンズを購入する事にしている、そうであればフルサイズ機
でもAPS-C機でも、どちらでも問題なく利用できるからだ。
(注:2010年代後半に、技術的な視点における研究の為、
歴史的に重要と思われるEF-Sレンズを2本購入している)
ちなみに、CANON以外の他社でもAPS-C機とフルサイズ機を
並存させる事は普通であるが、どの場合でもAPS-C用レンズ
がフルサイズ機に装着できない、と言う制限は無い。
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2004年 EOS 20D
EOS 10Dからさらに実用性能を増した中級機、この機体は
私は1年程待ってから中古購入後、長らく愛用したのだが、
2010年を過ぎた頃に露出計が故障してしまい、やむなく
廃棄処分となった。よって現在では実機の紹介が出来ない。
カタログスペックに現れない長所としては、バッテリ-の
持ちが極めて良い事である。この機体より前のデジタル機は
バッテリー消耗が早く、丸一日の撮影は不可能とも言えたが、
このEOS 20Dで、やっとそれが可能となった。
(同年発売のNIKON D70も同様にバッテリーの持ちが良い)
2004年 EOS-1D MarkⅡ、EOS-1Ds MarkⅡ
旗艦級ハイエンド機であるが、この頃から私はEOSの旗艦機に
興味を持てなくなってしまい、以降でもEOS-1D系列の機体を
1台も所有していない。
最大の理由は価格が高価な事だ、そして重量も重く、実用機
として使おうとしても、ちょっと限界点を超えているという
判断だ。さらに様々な記事で述べている「操作系」の課題が
大きく、あまり興味が持てないのだ。
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さて、この年2004年は各社からデジタル一眼レフが出揃った
年でもある。NIKON等では、それまでも旗艦機級や高級機の
デジタル一眼レフを発売していたが、いずれも高価すぎた。
2004年に軽快な中高級機NIKON D70が発売。
(デジタル一眼レフ・クラッシックス第4回記事)
またPENTAXでも *istDsを史上最安値で発売。
(デジタル一眼レフ・クラッシックス第2回記事)
さらに、合併したKONICA MINOLTAも、史上初の手ブレ
補正内蔵一眼レフである、α-7 DIGITALを発売した。
(デジタル一眼レフ・クラッシックス第3回記事)
また、オリンパスもフォーサーズシステムの2機種目である
E-300をレンズキット版として発売している(故障廃棄)
(デジタル一眼レフ・クラッシックス第8回記事で少し説明)
私はこの2004年を「デジタル一眼レフ元年」と定義している。
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2005年 EOS 5D
EOS-1D系列が超高性能を持ちながらも価格帯が高価すぎた
課題を受け、ハイアマチュア層等であっても購入できる
価格帯で発売された、初のフルサイズデジタル一眼レフ。
ただし、安価とは言え、40万円程度と依然コスパが悪い。
この機種の登場により、私は逆に「アンチ・フルサイズ」の
意識が芽生えてしまった。この時代の各社ASP-C機であれば
中古で数万円という、手頃な価格帯で買えるのに、何故、
フルサイズ機はそんなに高価なのだ?たかがセンサー面積が
2倍になるだけだろう・・と。
結局、私は、その後2010年代半ばになるまで、フルサイズ機
を1台も購入しない「アレルギー症状」となる。
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この年2005年、RICOHからGR DIGITALが発売される。
デジタルでは実質初の高級コンパクトである。
銀塩時代からGR1シリーズを愛用していた為、GR DIGITALも
発売当日に購入。以降15年を超えてまで現役使用している。
*コンパクト・デジタル・クラッシックス第2回記事
*ハイ・コスパレンズ・マニアックス第20回記事
等を参照の事。
2004年製の各社デジタル一眼レフが、いずれも低価格で
かつ実用性能に達していたのと、それらの5機種を全て中古で
購入できた為、私はこの時期、GR DIGITAL等のコンパクト機
と合わせて、デジタル機には不自由しなかった。
全メーカーのデジタル機を入手するのは贅沢な話ではあるが、
購入コスト削減の要因として、1つは全て中古で購入した事、
(デジタル機が次々に発売される為、最大でも1年も待てば
十分に安価な中古機が出て来た)もう1つは、新規の4/3
システムを除き、他のデジタル一眼レフのマウントは全て
銀塩時代と共通であった。よって、交換レンズを1本も新規
に購入せず、銀塩時代の交換レンズ群を全てそのまま
活用できた訳だ。(ただし、いずれもAPS-C型以下機で
あった為、既存銀塩用レンズでは広角画角が不足した。
これをGR DIGITAL(28mm相当)の併用で解決していたので、
GRDの重要性が非常に高く、撮影枚数が膨大になった)
これらの「ケチケチ作戦」(笑)により、デジタル一眼レフ
の旗艦機級を新品で1台買うよりも、むしろ安価に、全ての
マウントのデジタルシステムが揃った訳だ。
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この頃に迷ったのは、銀塩システムの扱いであった。
銀塩一眼レフはまあ、まだフィルムで撮る可能性もあるとは
言え、もうほんの数年で、それも無理になるであろう・・
あまりに古い銀塩機体は処分(譲渡や売却)せざるを得ない。
では、交換レンズ群はどうするのか?
特に問題でなのはCANON FDやMINOLTA MD、KONICA AR、
CONTAX Nシステムといったマイナーマウントのレンズ群だ。
他のマウント、例えばNIKON Aiは、無理をすればデジタル
一眼レフで使用可能だ、同様にPENTAX KやM42もOKだ。
OLYMPUS OMは、E-300購入時にOMアダプターをメーカー
から無償で送って貰ったので使う事ができる。
CONTAX Y/C(RTS)は、CANON EOS用または4/3用のアダプター
を入手すれば、まあ使えた。
レンジ機用の、ライカマウント(L/M)や旧CONTAXマウントは
デジタルでは使い難いが、まあ、あまり本数も持っていないし
デジタル・レンジ機であるEPSON R-D1(2004)という機種も
出ていたので、いずれその手のカメラが普及すれば、装着する
事もできるだろうと思った。
私は結局、多くのMFマウントのレンズを残す事にした。
マイナーマウントは、ここから数年間は全く利用不可であった
のだが、幸いにして数年後の2010年頃からミラーレス機の
時代に入り、およそどんなMFマウントのオールドレンズも、
マウントアダプターで装着可能になった次第だ。

EOS 20Dのマイナーチェンジ版、市場においては、優秀であった
EOS 20Dの後継機であるから、ずいぶんと性能が改善されて
いるだろう事を期待する声が大きかったのだが、蓋をあけて
みれば、EOS 20Dと画素数も同じ(約800万画素)で、がっかり
した声が上がった。
まあ、この当時は「画素数競争」が顕著であり、やっと市場に
普及したデジタル一眼レフを選ぶ際、少しでも画素数が高い
機種を皆が欲しがったのだ。
・・とは言え、つい1~2年前までは、アマチュア層は、皆
フィルムで撮っていた訳だ、デジタルの詳細な原理がわかる
筈もなく、ただ単純に、画素数の大きいカメラを追い求めて
いた状況に過ぎない。
私の場合、後年2010年頃に故障したEOS 20Dの代替機として
このEOS 30Dを選んだ。世の中には既に40Dも50Dも60D
も出ていたので、30Dの中古購入価格は15,000円と超格安
であった。値段が安価で、使い潰しても良い事に加えて、
所有しているEOS D30と名前が似ていて、マニア的視点
からは面白い。
EOS 30Dについては、デジタル一眼レフ・クラッシックス
第5回記事で紹介している。
購入後は、雨天等の厳しい撮影環境で、消耗用機体として
使用を続けていたが、発売後10年に至るまで何ら問題なく
使えていた。ただ、さすがにボロボロになっていたので、
後年では代替機を模索しはじめる事になる。

この頃、キヤノンのデジタル一眼レフは、旗艦機、上級機、
中級機、普及機のラインナップを堅守し、各々のランクの
モデルチェンジは1~2年で行われ、極めてあわただしい。
ここでは紹介していないが、普及機Kiss Digitalシリーズも
ほぼ毎年のモデルチェンジだ。
この頃の私は、「このようにモデルチェンジが早いと、
旧機種はすぐに見劣りしてしまう」(仕様老朽化寿命が短い)
という懸念を持つようになり、あまり新機種に興味を持たない
ようにしていた、「2~3世代変わってから買っても十分」
という考え方もあった訳だ。
2008年 EOS 50D、EOS 5D MarkⅡ
引き続き、モデルチェンジが早すぎて興味が持てず。
この時代ではEOS 20Dをずっと使い続けていたし、その機体は
バランスが取れた優秀なカメラで何ら不満は無かったからだ。

この時代、初めて「おっと!」と、注目に値するEOS機が
登場した、新しい番号のEOSヒトケタ機シリーズであるし、
銀塩EOS 7(2000年)は優秀な中高級機であった為、型番が
似ているこの機種にも、それなりの期待感があった。
加えて個人的にアンチ化していたフルサイズ機では無い事も
良いし、「高速連写機」というコンセプトも非常に好みだ。
本シリーズ第1回記事でEOS-1HSを紹介したが、その機体は
高速連写機能を主眼としての購入だった。後年にNIKON F5
(銀塩一眼レフ・クラッシックス第19回記事)も同様な
用途で購入したが、いずれも、銀塩での高速連写機は
コンセプト的に無理があり、実用的では無かった次第だ。
デジタル時代に入って、高速連写機NIKON D2Hを入手した。
(デジタル一眼レフ・クラッシックス第1回記事)
その快適かつ実用的な連写性能は様々な撮影シーンで極めて
重宝したのだが、2000年代後半から2010年代ともなると
さすがに400万画素機というのは実用的に満たない性能に
なっていた。
EOS 7Dは、D2Hの代替機として最適では無いか?という
判断が出てきた。
EOS 7Dは発売時20万円程の高価な機体であったので、
すぐには購入が出来なかった。
結局、数年後の2010年代前半になるまで入手できなかった
が、その時点では中古価格も4万円弱まで落ちていたので、
極めてコスパの良い買い物となった訳だ。

クラッシックス第10回記事と重複するので、割愛する。
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2000年代のCANONデジタルコンパクト機
この時期、CANONでは、基本のPowerShotシリーズと
スタイリッシュなIXYシリーズの両面展開をしている。
PowerShotは、さらに価格帯により仕様が細分化されていて
その機種数は極めて多い。毎年のように多数の新機種が
出てくるので、マニアック度の無さや、仕様老朽化寿命の
短さにより、個人的には全く興味が持てなかった。
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2010年 EOS 60D
ここに来て、CANONのEOS新機種発売ペースが、やや鈍化。
その原因は明白だ、2000年代末頃からミラーレス機とスマホ
の急速な普及により、消費者層の多くはデジタル一眼レフに
興味を持たなくなってしまったのだ。
それに、もう消費者層にアピールする内容が殆ど無い。
2000年代のように「画素数が上がりましたよ」といつまでも
言い続ける訳にもいかない、製造技術的な限界点も勿論あるし、
それに、この頃では、ユーザー層の皆がデジタルの原理に
ついても理解してきている。単純に「画素数を上げれば
写りが良くなる」訳では無い事は、皆、もう知っているのだ。
ではどうするのか?ここはCANONとしても迷いどころであろう。
その答えは、もう少し後の時代になって明らかになる。
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2011年
この年の3月、東日本大震災が起こる。
これも大きな出来事であり、1995年の阪神淡路大震災と
同様に、直接の被害を免れた人達の間にも精神的なショックが
あった事で、これは消費行動にも大きく影響する。
CANONでは、3月に発売されたEOS Kiss X5/X50を除き、
震災後のこの年のデジタル一眼レフの新発売を控えた模様だ。
恐らく、この休止期間において、製品研究開発が促進され、
続くフルサイズ化時代への準備期間となったのであろう。
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2012年 EOS-1D X
ここにきて、フルサイズ機にも高速連写性能を持たせた
超絶性能機が初登場。
というのも、これまでの時代、いや、この機体の後でも
2016年くらいまでの各社のデジタル一眼レフにおいては
「フルサイズ機は連写が遅く、APS-C機は連写が速い」
という、明白な住み分けを行っていた。
技術的には、両者を統合するのは(同じ画素数であれば)
さほど難しく無い筈であるが(注:フルサイズ機の方が、
ミラー駆動がやや重いか?)これは市場戦略上の狙いが
あったのかもしれない(あわよくば両者を買って貰いたい)
だが、前述のように、デジタル一眼レフは「飽和市場」で
縮退が始まっている事と、スマホやミラーレス機に押された
状況においては、もうそれらの安価な機体では到底到達不能
な「超絶性能」を持たせて差別化するしか無いではないか・・
そして、こういう高付加価値型カメラは価格を上げる事が
できる、「デジタル一眼レフの販売数が減っているならば、
1台あたりの利益を上げるしか無い」という理屈である。
その後の時代では各社で当たり前となった、「超絶性能」
戦略の走りとなったのが、このEOS-1D Xであったと思う。
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2012年 EOS 5D MarkⅢ、EOS Kiss X6i
前年2011年が震災の年であった為、開発や製造や発売が
遅れていた機種もあるかも知れない。どの機種がどうだとか
までは分からないが、この2012年には、CANONはもとより
各社でも、デジタル一眼レフを始め、ミラーレス機や
コンパクト機等の多くの機種の新発売が復活している。
まあ、もしかすると、この頃に伸びのピークを迎えた
ミラーレス市場への牽制の要素もあったかも知れない。
(CANON機は色々と新発売があって、面白いよ・・と)

ミラーレス機やスマホの台頭に対する、CANONの1つの回答と
なったと思われる、新シリーズモデル。
フルサイズ・デジタル一眼レフとして最軽量(本体680g)
のボディである、またフルサイズ機としては最も安価な
18万円台(発売時実勢価格)でもある。(注:依然高価だ)
(参照:デジタル一眼レフ・クラッシックス第16回記事)

具体的には、
CANONからはEOS-1D X,EOS 5D MarkⅢ,EOS 6D
NIKONではD4,D800,D800E,D600 そして
SONY α99やSONY DSC-RX1(コンパクト機)がある。
私は、この状況をもって「2012年はフルサイズ元年」と
定義している。
まあ、フルサイズ型センサーがコストダウンされたという
製造上の理由もあるだろう。安くなったものを高く売れば
利益が増えて、縮退したデジタル一眼レフ市場を支えられる。
加えて、フルサイズ機は、μ4/3やAPS-Cが中心であった
ミラーレス機陣営に対しても優位性を謳える事が出来る。
つまり「フルサイズはミラーレスよりも圧倒的に面積が大きく、
よって圧倒的に画質が良い!」と消費者層に言える訳だ。
でも、そういう話を聞いた、(わかっている)消費者層は
「はい、そうですか、ではフルサイズ機を買います」等と
素直には反応してくれない。
たとえば
「おいおい、つい2~3年前までは、画素数が多いカメラの
方が良く写るとか言って、そういう高いカメラを買わされた
ではないか、今度はセンサーが大きい方が良く写るだと?
いったい何台、高価なカメラを買わせるつもりなんだ!」
と思う中上級ユーザーも多かった事であろう。
デジタル時代に突入して既に10年近く、結果ユーザー側にも
それなりにデジタルの原理理解や知識がついてきている訳だ。
もう、そんなに簡単に、ユーザー層は乗ってこない。
フルサイズ化されて騒いでいるのは初級層のみという状況だ。
(でも、初級層ではこうした高価なカメラは買い難い)
結局、この時期2010年代初頭、ほとんどの消費者層は、
ミラーレス機の方に夢中になってしまったと思う。
これでは、一眼レフはますますヤバイ状態になるではないか、
起死回生のフルサイズ化戦略も、はたして効果があったか
否か・・?

2012年には、PowerShot G1 Xが発売。これはセンサー
サイズを1.5型(注:μ4/3より若干大きい)に大型化した
モデルである。センサーの大型化は上記EOS 6Dで説明した
理由とまったく同じだ。以降、PowerShot G-Xシリーズは
1型センサーに若干サイズダウンしたり、APS-Cに大型化
されたりしたが、依然、大型のセンサーを搭載したハイエンド
(高級)コンパクトとしてシリーズ展開を続けている。
なお、コンパクト市場は一眼レフ以上に市場縮退の要素が
大きく、こうした高付加価値の高価格帯(いずれも10万円
以上もする)カメラを、マニア層やビギナー層に売って
いかないと市場維持が難しい状態だ。
ただ、私は個人的には、残念ながらこれらの製品群に興味を
持てない。APS-Cセンサー機が欲しいのであれば2000年代の
デジタル一眼レフや、2010年頃の初期のミラーレス機で
あれば、1万円あたりから安価に購入する事が可能だからだ。
つまり「高級コンパクトはコスパが悪い」と見なしている。
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2012年 EOS M
キヤノン初のミラーレス機、キヤノンの同市場への参入は
他社に比べて最も遅く、この年からである。
これは同社が2000年代には自社製CMOSセンサーの優位点を
主眼に「高付加価値化戦略」を取っていた事情からであり、
つまり「高性能のEOS一眼レフを売って利益を得る」という
ビジネスモデルだからだ。もしここで安価なミラーレス機を
売ってしまうと、消費者はそちらを買って満足してしまって
高価な一眼レフの販売機会を逃してしまうかも知れない訳だ。
だが、市場におけるミラーレス機の伸びは、この時代は驚異的
であり、CANONも「いつ迄もこの市場を無視する事は出来ない」
という判断に至ったのであろう。それと、一眼レフの方は
この年から「超絶性能化」しているので、ミラーレス機とは
明確に「差別化」する事ができる点も重要なポイントだ。
なお、マウントが新規のEF-Mとなっていて、一眼用のEFや
EF-Sレンズはアダプターを介さないと使えない。
個人的には、EOS Mシリーズは後発である為、初期の製品群
は、性能的に未成熟と見なして購入していなかった。
(例:EOS M3までは像面位相差無しのコントラストAFのみ)

ここでキヤノンの話から一旦それる。
初のフルサイズ・ミラーレス機、α7系は、前年の各社の
一眼レフ・フルサイズ化戦略をひっくり返してしまった。
マニアであったら、きっと以下のように思う事であろう。
「だって、これでミラーレスと言っても、フルサイズだから
性能は一眼レフと同等だし、最軽量のEOS 6Dとか言っても、
α7ならば、その2/3程度の僅かに415g(本体のみ)だろう?
それにα7であれば、どんなオールドレンズもマウント
アダプターで遊べる。EOSもまあ、アダプターは何種類か
使えるのだろうが、オールドレンズをつけたら、フォーカス
エイドすら効かないし、勿論、拡大やらピーキングやら
そういう小技は不可能ではないか。
それに、そもそも値段だって、EOS 6Dよりもα7の方が
安価(発売時15万円台)だ、こっちを買った方が、ずっと
お買い得だろう?」
・・という感じで、マニア層は、いっせいにα7に傾倒した。
せっかくの一眼レフ陣営の起死回生のフルサイズ化戦略も、
ちょっと陰りを見せてしまった。それに、これではもう
「ミラーレス機はセンサーが小さいから、うんぬん・・」という
話は、μ4/3機を指名しての悪口でしか言えなくなってしまう。
それはさすがにフェアでは無い。
様々な「流言」(真偽とりまぜて、市場の思想を思惑どおりの
方向に誘導する)を流す「(ネット)情報戦略」は、もう
この時代では当たり前ではあるが、そこに「大義名分」が無い
限りは、そうした「流言」は、一般層に拡散されては行かない。
この時代に流れた、「μ4/3機は、フルサイズの1/4しか
面積が無いので、良く写る筈が無い!」という、恐らくは
業界内での敵対勢力関係を起因とした、悪意のある流言は、
一般層にまでは広まる事は無かった。
・・・さて、こんな状況の中、デジタル一眼レフは、一体
どこに向かって行くのだろうか?

「超絶性能機」の一種である。APS-C機ながら、秒10コマの
高速連写性能を持ち、遠距離動体被写体に無類の対応力を持つ。
(参照:デジタル一眼レフ・クラッシックス第19回記事)
現状、個人的には最も気に入っているEOS機であるが、
まあ用途が極めて限定されている為に、趣味撮影には向かない
業務用途専用機である事は言うまでも無いであろう。

(参照:デジタル一眼レフ・クラッシックス第20回記事)
であるが、こちらの機種の方が発売が早く、D500よりも
中古相場が、かなり安価なのでコスパが良い。

(参照:デジタル一眼レフ・クラッシックス第21回記事)
EOS Kiss Digitalの上位機種としての新シリーズの発売。
小型軽量でありながらスペックをあまり制限していない。
(=仕様的差別化の要因が少ない)
内部部品は、Kiss (X8i)と同じだが、「操作系」的には、
EOSフタケタDシリーズの中級機と同等であろう。
小型軽量な事はハンドリング性能が高く、個人的には好み
のコンセプトである。惜しむらくは同等の性能を持つEOS
フタケタDシリーズよりも、むしろ中古相場が高価になって
しまう点があったが、2018年頃に少々高目で購入している。
後継機にEOS 9000D(2017年)がある。

前述のとおり、EOS Mシリーズは、各社ミラーレス機と
比べて最後発の、2012年からの展開であった。
従前のEOS Mシリーズは、コントラストAFのみの
仕様であったが、本機EOS M5から、「像面位相差AF」
(デュアルピクセルCMOS AF)が搭載された為、「実用的な
レベルに達した」という判断で、近年に購入している。
フルサイズ・ミラーレス機のEOS Rシリーズが新発売
された為、APS-C機のEOS Mシリーズの中古相場が急激に
低下し、コスパが良くなった事も購入の一因だ。

いずれミラーレス・クラッシック記事等で紹介しよう。
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2015年以降のCANON 一眼レフの展開
EOS-1D X MarkⅡ(2016)、EOS 5Ds/R(2015)、
EOS 5D MarkⅣ(2016)、EOS 6D MarkⅡ(2017)、
EOS 90D(2019) などが代表的機体だ。
このあたりは非常にざっくりとした時代区分だが、
まだこれらの近年の機種は、所有もしていないので、
詳細には触れられないが、ごく簡単に述べておこう。
まずこれらの機種は「出し惜しみしないスペック」となった。
すなわち、何度も述べている国内一眼レフ市場の縮退の
事実を受け、高性能を「これでもか」と「てんこ盛り」にした
機種群である。
これは、CANONだけの戦略ではなく、他社もまったく同様に
この時期からの上級機種群に同様な「超絶性能」を与えている。
これらは「付加価値」であるから、価格を上げる事ができる。
つまり一眼レフの数が売れないのであれば、利益率を上げる
しか無いわけであり、メーカーの論理としては正しい。
しかしながら消費者側から見れば、自身が必要としない性能
(例えば超高感度や、超高速連写)が入って、それで価格が
高くなっているのであれば、それは、「コスパ」の意味を
もう一度、自身に問い直してみる必要性があるだろう。
ユーザーが不要な機能・性能は、無駄にお金を払っている
のと同等になってしまうからだ。
だが、コスパを判断できない初級中級層が、こうした超絶性能
機を欲しがって新品購入してくれる事で、国内一眼レフ市場は、
かろうじて支えられているとも言える。
これはCANONに限らず、他社でも全く同様の状況である。
なんとも複雑な時代になってしまった物だ、デジタルカメラは
現代、大きな転機を迎えているのかも知れない・・
ただ、それをあまり憂う必要は無く、記事で述べてきたように
一眼レフへの転換期、AFへの転換期、デジタルへの転換期で
各メーカーは、それなりに苦労して、新しい時代に対応しようと
していた。それについて行けずに撤退したメーカーも多々あれど
今生き残っているメーカーは、そうした大変革の経験を多数
積んできた老舗ばかりなのだ。また新しい形態のカメラに、
きっとうまく対応してくれるに違い無い。
まあ、既に各社はフルサイズ・ミラーレス機で、その変革を
行おうとしている状況だが・・
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CANON フルサイズ・ミラーレス機の展開
2018年~
新規フルサイズ・ミラーレス EOS Rシリーズを発売。
これについては所有もしていないし、調査もしていない。
正直、あまり興味が無いからだ。一眼レフ市場がもう限界
なので、無理やりミラーレス機に戦略転換した印象がある。
そして、既にEFマウントで多数の交換レンズを所有して
いる訳だから、たとえそれらがマウントアダプターで利用
可能とは言っても、これらのRマウントでの新鋭レンズ群
(注:魅力的に見せる為の、高付加価値化の工夫がある)
を、高価に重複購入させられるのは、コスト的に辛すぎる。
まあ、将来、これらの新鋭機種を入手する機会があれば、
本記事の「続編」を書くかも知れない。
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さて、ここまでがCANONの全カメラの歴史である。
今回紹介した機種群以外にも、実際にはもっと多くの機種が
存在しているが、書きたい事も色々あって、何回記事を重ねた
としても書きつくせるものでは無い。
それに、自身で所有した事が無い機種については、あまり
あれこれと書く事は、本ブログのコンセプトに外れる。
まあでも、これで新鋭Rシリーズの関連を除き、概ねCANON製
のカメラの変遷については、殆ど網羅できたと思っている。
Rシリーズについては、もし入手したら続編を書くが、
「対応レンズを全て新規購入する」という点で、ユーザーに
出費を強いる市場戦略が明白な為、今の所、購入予定は無い。
なお、当然ながら、こういうケースでは、従来マウント
では実現不可能であった仕様等のレンズを新規発売して
新マウント(レンズ)の優位性をメーカー側はアピールする。
(例:NIKON NIKKOR Z 58mm f/0.95 S Noct とか、
CANON RF85mm F1.2 L USM DS等の高付加価値レンズ)
その戦略に、モロにひっかかってしまうと、膨大な金額の
新規投資を強いられてしまう(それでは「メーカーの勝ち、
消費者の負け」の状態だ)ので、要注意だと思っている。
最後に、CANONの製品群では、本シリーズで紹介した
約50年間の間に、何度もの「排他的戦略」を取っている。
まあつまり、自社製品(システム)で固めて使う場合に
のみ高性能が得られ、結果、「汎用性を重視せず、他社
製品の利用を排除する」という企画設計思想だ。
まあ、メーカーが生き残る為、あるいは機材の性能向上
の為には、やむない戦略だ、とも考える事も出来るが。
それが度を越すと、気分を害して、「買わない」という
選択肢も、消費者側からは必ず出て来る事であろう。
CANONには限らず、本ブログでは全く紹介していない特定
のメーカーの製品群、あるいは特定のシリーズ製品群が
あるのだが、それらは個人的には「購入ポリシーにおける
我慢の限度を超えているから、一切購入しない」という
選択が既になされている状態の製品群な訳だ・・・
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では、次回記事は「PENTAX編」としよう。