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最強50mmレンズ選手権(3) 予選Cブロック AF50mm/f1.4 Part 1

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本シリーズは、所有している一眼レフ用の50mm標準レンズを
AF/MF、開放F値等によるカテゴリー別で予選を行い、最後に
決勝で最強の50mmレンズを決定するという趣旨の記事である。

この「選手権」には様々なルール(決め事)があるが、
詳しくは本シリーズ第1回記事を参照の事。

今回は、予選Cブロックとして「AF50mm/f1.4(Part1)」の
レンズを4本紹介(対戦)する。
なお、予選毎には勝ちあがりレンズは決定せず、本シリーズ
記事の終盤で決勝戦進出レンズを発表する。
また、現在所有している標準レンズの数はかなり多いので、
本シリーズ記事は長丁場になる予定だ。

それから、最初に述べておくが、今回の記事では、あまり
客観的視点で参考になる内容を書く事ができていない。
それは、本記事では個人の感覚値による好き嫌いの要素が
多分に入って来ているからだ。

「個人の好き好きだ、と物事の結論を出さない事は良く無い」
と本ブログでは再三述べてはいるが、それは絶対的な価値観を
物差しとして測れる範囲内での話しであり、それを超えて
微妙な差異のレベルにまで言及する場合は、個人的な好みが
入って来てもやむを得ない、とは思っている。

---
さて、まずは今回最初のレンズ。
_c0032138_06302918.jpg
レンズ名:CANON EF 50mm/f1.4 USM
レンズ購入価格:25,000円(中古)
使用カメラ:CANON EOS 30D (APS-C機)

ミラーレス・マニアックス第69回記事で紹介の、
1993年発売のEOS用大口径AF標準レンズ、USM仕様であり、
すなわち超音波モーターを搭載していて、フルタイムMF機能
(AFとMFをスイッチ等で切り替える必要が無く、シームレスに
AFからMFに移行できる)が可能だ。
_c0032138_06302985.jpg
2016年の記事から久しぶりの登場である、これまでのハイコスパ
系シリーズ記事の、いずれでも未紹介であったのは、コスパが
悪いレンズ故に、紹介の機会があまり無かったからだ。

コスパが悪いと言うのは、本レンズの性能において、6群7枚型
の変形ダブルガウス構成は、他社の50mm/f1.4級レンズと同様で
最短撮影距離も45cmとこれまた他社と同様、そして写りも他社と
大差無い事、それでいて、価格が若干高価であったからだ。

まあ、今でこそ25000円(現在の相場はもう少し高目だ)という
価格であれば、近年の新鋭50mm/f1.4に比べて安価に感じるかも
知れないが、AF一眼レフ時代の1990年代~2000年代前半に
おいては、本レンズと同等のスペックの他社製レンズであれば、
1万円台前半位から、高くても1万円台後半迄で中古が入手できた。

まあ、高価なのはUSM(超音波モーター)搭載であるからだろう。
この後の時代、2000年代位では、内蔵手ブレ補正(CANON
ではISと言う)と超音波モーターを搭載したレンズの価格が
吊り上ってしまい、(その後の時代でも同様)どんどんと
交換レンズが高価になって行き、入手し難くなってしまった。

まあつまり、それらの機能は「付加価値」であり、すなわち、
いつも説明しているように、機能をアップして価格を上げる
という市場戦略をメーカーが取ったからだ。

なお、「50mmレンズに手ブレ補正などは不要だ」と
中上級者であれば、そう思う事であろう。

明るい大口径で、小型軽量で焦点距離もさほど望遠では無い、
おまけに近年のデジタル一眼レフでは超高感度も使える、
これでは「手ブレなど、起こりようが無いではないか」となる。

だが近年の新鋭標準レンズ、例えばTAMRON SP45mm/f1.8
(Model F013、2015年発売、レンズマニアックス第7回記事)
では、内蔵手ブレ補正機構(VC)が搭載され、その結果、
定価も9万円+税と、かなり高額になってしまっている。

ちなみに、これは「手ブレ補正や超音波モーターが入っている
から高価だ」と言う訳では無い。その考え方はむしろ逆であり
「高く売りたい為に、手ブレ補正や超音波モーターを入れた」と
判断するのが正解だ。
だから、ユーザー視点からすれば、自分には不要と思われる余分な
機能を付加価値と見れるか否か?という点が重要になってくる。

前述のように、中上級者であれば「標準レンズごときで、
手ブレ補正はいらんよ」と思う事であろう、だから、手ブレ補正
機能を欲しがるのは、「どんな状況・条件で手ブレするのか?」
を殆ど理解していない初級者層のニーズであるとも言える。

だが、初級者が10万円近くもする標準レンズを欲しがるのか?
そこは市場戦略上の矛盾であろう。しかし、そうして高利益型の
商品を展開していかないと、スマホやミラーレス機の台頭で縮退
した一眼レフや交換レンズの市場を、メーカー側は維持できない。

好意的には、こういう風にも捉える事はできる・・
手ブレ補正機能が入っていれば、中上級者であれば、より厳しい
撮影条件(例えば、ISO感度を限界まで上げても、まだシャッター
速度が手ブレ限界を下回る暗所等での厳しい撮影)においても、
手ブレ補正の恩恵で、撮影が継続できる、という解釈だ。
_c0032138_06302910.jpg
本レンズには関係の無い余談が長くなった(汗)
USMや、それによるフルタイムMFは、本レンズ発売時の1990年代
前半では、まだ珍しい付加機能であったの知れないが、その後の
AF~デジタル初期の時代では、多くの交換レンズにその機能が
搭載され、さらに2010年代のミラーレス時代では、ミラーレス機
用の純正AFレンズのほぼ全てに、同様の機能が搭載されている。
だから今となっては目新しい機能では無い事が1つ言える。

もう1つの問題点として、「フルタイムMF」(または、各社に
おける同様の機能)には重大な欠点がある。
「AFからMFにシームレス(つなぎ目が無し)に移行できる」
という機能を実現しようとしたら、AFが、どの合焦距離で止まった
としても、そこからさらにピントリングを廻さなくてはならない
この実現の為には、旧来のMFレンズのような「有限回転式」
(つまり、最短撮影距離と無限遠でピントリングが止まる)の
構造では無理だ。だから「無限回転式」のピントリングを採用
する事が必須となる。

ところが、この「無限回転式」のピントリングでは、前述のように
最短と無限遠でピントが止まらない、すなわち手指の感触で、
速やかに近距離や遠距離の被写体にピントを合わせる、という
MF時代からの基本的撮影技法(技能)が全く役に立たなくなるのだ。

おまけに、レンズ(メーカー)によっては、ピントリングの
回転方向は、他社とは逆の場合もある。だから様々なメーカー
のレンズを使う際、MFでピントを合わせる時、ちょっと迷うの
であるが、まあ、回転方向で迷うならまだしも、最短と無限遠
位置(および、その中間に属する、様々な距離)が、指の感触
(感覚)でわからない以上、MFは極めて使い難くなってしまう。

これはカメラ界全体における「改悪」だと私は思っている。
MFによる高度な撮影技法の継承を失わせてしまいかねない。

「無限回転式」のピントリングでは、「AFが合わない場合に
MFで補助する=微調整」としての消極的な効能しかなく、
「積極的なMFによる撮影技法を有効に使う」という目的には
全く適さないのだ。

ちなみに「積極的なMF技法」とは、例えば近接撮影をしていたら
遠距離に飛ぶ野鳥等の被写体を見つけたとする、その際、
AFレンズでは、どんなにAF速度やAF精度が高くても、まず
そんな被写体には急には対応できない。
カメラを構えて、ピンボケの状態でフレーミングを決め、
測距点上で、うまく飛ぶ野鳥がカバーできる状態にしてから、
さらになお、AFを精度・速度とも万全な状態(機械が十分に
被写体を判別できる状態)で動作させないとならない。
それらの一連の動作を速やかに行う事は、技法上、および
カメラやレンズの性能上、まず無理な話だ。
(注:高いスキルと機材性能があれば、かろうじて可能。
しかしながら、ビギナー層には絶対に無理な話だ)

で、MF技法の場合だが、同じ状況で、カメラを構える途中にも、
手指でMFレンズのピントリングを廻す、これは無限遠で止まる
から、被写体が無限遠ならばそのまま、もう少し近ければ、
わずかにピントリングを止まった位置から戻す。
この結果、カメラを構えてフレーミングを行う瞬間には、
遠距離の野鳥等の被写体がピントが合ってはっきり見えている、
MFなので測距点の選択も不要であるから、そのままゼロタイムで
シャッターを切れば撮影が可能だ。

自分の方に近づいて飛んでくる野鳥等の場合は、MFでピントを
微調整しながら連写を行えば良い、近年の一眼レフやミラーレス機
は高速連写性能に優れるので、ピントを微調整しつつ大量に撮れば、
中にはピントが、ばっちりのカットも必ず存在する。
ミラーレス機やEVF型一眼レフではピーキング機能も使えるので、
上記のような、まぐれ当たり的技法では無くても、動体に追従する
MF操作を行いながら、ピーキングでなんとかピント確認も出来る。
AFの測距点等を外す心配も無用なので、高速で移動する被写体に
おいても、ともかくフレーミング内に納めてしまえば良い。
(後でトリミングで構図を整えれば十分だ)
この状況では、操作に余裕すらあるので、ズーミングにより画角を
変えたりする事も自在だ。

AFに頼ったり、フルタイムMFでは、こうは行かない、という例で
あるが、こうした極端な状況では無いとしても、MFの積極的利用は
技能を磨けば、様々な「AFでは撮れない状況」にも対応可能なのだ。
_c0032138_06302902.jpg
余談が長くなって、ちっとも本EF50/1.4の話が無いのであるが、
他の記事でも書いた通り、50mm/f1.4や50mm/f1.8(級)の
銀塩時代のレンズの構成は、各社殆ど差が無い、したがって
メーカー毎の性能や描写力の差も殆ど無い為、どれを買っても
まあ、同じなのだ。

そうであれば、コスパ的には、安いものを買うべきであろう。
ちなみに、本EF50/1.4の「無限回転式ピントリング」だが、一応
距離指標窓もついていて、最短と無限遠位置でわずかなひっかかり
が存在する。その感触を利用すれば、MFの撮影技法も出来ないと
言う訳では無い、これはまあ、旧来のMF技法を重視した設計仕様と
思われ、まあ、設計当時ではMFを無視する事ができる訳でも
なかっただろうし、「良くわかっている設計だ」とも言える。

これは現代のレンズでの設計コンセプトとは異なるのだが、
前述のように、現代のレンズのMF性能が壊滅的であるので、
むしろ、本レンズであれば、まだギリギリで使えるレベルだ。
(注:現代のレンズであっても、高級タイプでは、こうした
有限と無限回転式のハイブリッド型が多い)

---
さて、次のレンズ。
_c0032138_06304317.jpg
レンズ名:MINOLTA AF 50mm/f1.4 (初期型)
レンズ購入価格:9,000円(中古)
使用カメラ:SONY α700 (APS-C機)
_c0032138_06304453.jpg
ミラーレス・マニアックス第63回記事で紹介の、
1985年発売のα用大口径AF標準レンズ。
本レンズも久々の登場だが、これは、個人的にこのレンズが
あまり好きでは無いからだ。
その理由は、上記のミラーレス記事でも書いたのだが、
本レンズは、カメラ史上では結構稀な「改悪」という歴史を
持ったレンズであったからだ。

ただ、本レンズ自身で「改悪」が行われたのではなく、この
レンズのベースとなったMINOLA New MD50mm/f1.4
(1980年代前半)に問題があった。
他の記事で何度も書いた事なので、簡単に述べるが、
MINOLTAでは、それまで優秀な描写力を持っていた
MC50/1.4,MD50/1.4を、小型化の名目(目的)で

New MD50/1.4にした際に性能を落としてしまっていた。

その後、α-7000(1985)や多数の同時発売のAFレンズの発売の為
改良開発の余裕が無く、そのままAF化されてしまったレンズだ。
さらにはデジタル化(2000年代前半)や、SONYへのαシステム
の移譲(2000年代後半)でも、新規開発の余裕が無かった為に
この課題を抱えた性能のまま、35年間以上も、ずっと販売が
継続されているレンズである。

まあ、性能が良くて完成度が高いから、20年も30年もレンズ
構成を変えていなかった、というケースはカメラ(レンズ)の
歴史の中ではいくつか存在する、しかし、性能に問題がある
ままで継続生産してしまうのはどうなのだろうか?
_c0032138_06304374.jpg
今回、この古いレンズを使う上で、できるだけ時代の古いデジタル
一眼レフと組み合わようとした。その考え方はマニアックな視点
からは不自然では無い。
当初α-7 Digital(2004)を使おうと思って取り出したが、
あいにく丁度バッテリー切れ。充電するのは時間がかかるので、
急遽、SONY α700(2007)の出番となった。
ただ、この組み合わせでも、本体とレンズの時代差は20年を
軽く越えている。

まあでも、元々α-7000(1985)用の標準レンズだ、今回は
型番が似ているだけの理由で、α700で勘弁しててもらおう(笑)

さて、あまり書く事も無いレンズだ。
MINOLTA時代の単焦点レンズには相対的に(=当時の市場と
比較して)描写力の優れるものが多いのであるが、本AF50/1.4は
ちょっと困ったものである。
例えば、エフェクト性能に優れる近年のα77Ⅱとか、あるいは
ミラーレス機でアダプターで使えば、同様に、エフェクトを掛け
(言葉は悪いが)誤魔化してしまう事も出来るのだが、まあ
今回はレンズ自身の性能に、ちゃんと向き合ってみようと、
何の小細工も出来ないα700で試してみている。
_c0032138_06304312.jpg
でもまあ、依然、ちょっと好みでは無い感じの描写傾向だ。
α-7000よりSONY時代の現代までおよそ35年間、その間、
膨大な生産本数があったと思われ、勿論、膨大な数のユーザー
が居るだろうに、あまりこのレンズの悪評が聞こえて来ない
のは、むしろ不思議な状況だ。

まあ、多数のユーザーをがっかりさせるような事を書いても
しかたが無いので、本レンズについての詳細は、ばっさりと
割愛する事にしよう。

---
さて、次のレンズ。
_c0032138_06305402.jpg
レンズ名:NIKON AiAF NIKKOR 50mm/f1.4S
レンズ購入価格:15,000円(中古)
使用カメラ:NIKON D2H (APS-C機)

ミラーレス・マニアックス第49回記事で紹介の、1991年頃に
発売のFマウント用大口径AF標準レンズ。
_c0032138_06305517.jpg
本レンズも、実に久しぶりの登場だ、思うに、今気付いたが
1980年代後半~1990年代前半頃のAF50mm/f1.4級レンズ
には、私は殆ど魅力を感じていない、という事実だ。


同じ50mmm標準でも、F1.2~F1.4級の大口径標準よりも
F1.7~F2級の小口径標準の方が写りが良い、これは銀塩MF
時代のレンズで特に強く感じる事であり、そこから、それらの
レンズはレンズ構成を変える事なく、ほとんど全てが、
1990年前後に、そのままAF化されてしまっていたのだ。


だからAF化された50mm/f1.4級も、結局、高描写力とは言えず、
大口径とAF化で、値段が吊り上ってしまった故に「コスパが
悪い」と見なす事ができる、したがって、これらのレンズは
個人的には好きになれない訳だ。

本シリーズを始める前に、コスパが良いレンズのシリーズ記事を
いくつか掲載してたが、それらの中にAFの50mm/f1.4級レンズは
ほとんど登場しない、まあ、コスパが悪いから当然だ。
そして、高コスパ系のシリーズ記事を書いていく上で、さらに
自分自身の価値観もまた、一層コスパ重視の傾向になっていく、
つまり「値段(購入価格)に見合う性能のレンズで無い限り、
箸にも棒にもかからない」と言う、少々極端な価値感覚となって
しまった訳だ。

「50mm/f1.4級レンズの何が気に入らないのだ?」と言えば、
感覚的な点(個人の好き嫌い)を除いては、恐らくは
「ボケ質破綻の回避が困難」である事が、最も嫌な点であろう。

様々な記事で「各社の50mm標準は、ほとんど同じ性能」と書いて
はいるが、それらが、全て高性能であれば、それで文句は無い。
しかし、「ボケ質破綻の回避が困難」は、一種の欠点である、
上手く撮影条件が揃わない限り、なかなかボケ質が良い状況が
再現できないのであれば、それはイライラが募るばかりだ。

さらに不満な点としては、デジタル一眼レフの光学ファインダー
では、撮影前にボケ質の確認が出来ない点だ、まあ、ミラーレス機
の高精細EVFでは多少なりともそれが可能であるが、一眼レフでは
例えライブビュー機能を使ったところで不可能に近い。

そもそも、この各社の大口径標準レンズにおける、6群7枚の
変形ダブルガウス型の構成が、恐らくその原因なのであろう。
大口径レンズにする為に、小口径標準版でポピュラーな5群6枚
構成よりもレンズ枚数が増えているのだと思われるが、その結果
大口径だから、大きなボケ(=浅い被写界深度)を得たいのに、
ボケ質の破綻が小口径版よりも出やすくなっている事は、
使い勝手の上での矛盾であり、多分そこがイライラの原因だ。

それから、大口径であるが故に、開放近くの絞り値を使いたい
にもかかわらず、この構成の大口径標準レンズは、開放近くでは
解像力の低下や収差の増加が大きく、小口径標準よりも描写が
「甘く感じる」のも不満の1つであり、ここも絞りを開けたい事と
矛盾する為、さらにイライラする羽目になる。

まあ、こうした事は、ミラーレス・マニアックスのシリーズ記事
でミラーレス機を使用して、これらの大口径AF標準レンズを、
さんざん細かく評価した結果でわかった事だ。

それまでの時代のように「AFレンズだから」とデジタル一眼レフで
撮っていただけでは、決して分かる事が無かった事であろう。
「撮影状況によって、ボケ質や解像感が良い場合と、そうでは
無い場合がある、これは何故か?」と、そういう疑問があっても
原因までは、なかなか突き止められなかったに違い無い。

ただ、今回のシリーズ記事ではデジタル一眼レフを使っている
しかも、あえてできるだけ古い時代のデジタル一眼レフが多い、
ここは恐らく、本能的に新鋭デジタル一眼レフとは性能的な
アンバランスを感じているから、そうしている訳である。
なんだか、レンズ性能がたいした事が無いのに、高価な新鋭機
を使うのが勿体無いからだ。これは、カメラの価格や性能が
レンズを遥かに上回る「オフサイド」を禁じる本ブログでの
ルール(持論)にも繋がる事であり、マニア的な感覚から
くるものだ。
_c0032138_06305531.jpg
本レンズ AiAF50/1.4も、どうにも細かい事を書きづらい状況だ、
書けば、きっと文句だらけになってしまうだろう・・
そういうネガテイブな話は、書いていても読んでいても、ちっとも
面白く無い訳だ。
レンズの性能の弱点を見抜く見識があるのであれば、そのレンズの
弱点を回避しながら、良いところだけを活かしてやれば良い、
それがマニアや上級者の正しい思考法であると思う・・

なお、注釈だが、大口径標準レンズの6群7枚変形ダブルガウス型
構成は、例え、各社が殆ど同じレンズ構成であったとしても
レンズの口径(フィルター径)の差異と、それに伴う微妙な
設計の差異はある。

具体的には、本記事での登場レンズのフィルター径を上げれば
CANON EF50/1.4=φ58mm
MINOLTA AF50/1.4=φ49mm
NIKON AiAF50/1.4=φ52mm
PENTAX FA50/1.4=φ49mm
と、各社で異なる。

で、一見すると、口径(フィルター径)が大きい方が
性能が良さそうな印象がある。
ただ、それはあくまでイメージ的(感覚的)な事であり、
50mmレンズでF1.4と言う開放F値の場合、そのレンズの
前玉の有効口径(有効瞳径)は、50mm÷1.4の計算式で
表わされ、約36mmである事が、計算上で決まっている事実だ。
(これ以外の有効口径だと、開放F値が異なる事になる)

まあつまり、フィルター径ではなく、レンズの前玉の直径を
計れば、いずれのレンズもほぼ同じサイズだ、という事になる。

だが、さらに細かく言えば、これは有効口径の話であるから、
微妙にレンズ構成上の設計手法や、前玉のサイズを変えて、
フィルター径を小さくする、すなわち小型化するような
設計技法上での差異は存在するであろう、

実例では、ちょっと前述したが、MINOTAが銀塩MF時代に、
MD50mm/f1.4からNew MD50mm/f1.4に小型化リニューアル
した際に、フィルター径をφ55mmからφ49mmに小さくした。
で、恐らくはその事が「設計に無理をした」という状況になって
いて、「旧型の方が良かった」という評価の原因にも繋がって
きているのだと思われる。

レンズの口径に余裕が無いと、単純な例としては、ボケに口径食
(画面周辺のボケが丸くならず、半月状(レモン形状)に見える)
が発生する等があるが、これは夜景撮影等で特に目立つ話だ。
日中の撮影では、そこまで極端には差異はわから無いとしても、
口径食は、そもそもレンズの周辺光量が不足する状態であるから
ボケ質や周辺画質に影響が出ていない保証は無い。
_c0032138_06305455.jpg
まあ、と言う事で、レンズ構成が全く同じであっても、設計の
差異などで、僅かな性能差は出る可能性がある訳だ。
でもまあ、その話は微々たる差であろう、やはりレンズ構成
そのものが描写傾向に与える影響力の方が大きいと思う。

---
余談が長くなった・・・
では、今回ラストのレンズだ。
_c0032138_06310369.jpg
レンズ名:smc PENTAX-FA 50mm/f1.4
レンズ購入価格:14,000円(中古)
使用カメラ:PENTAX K10D (APS-C機)

ミラーレス・マニアックス第23回記事で紹介の、
1990年代初頭に発売のPENTAX Kマウント用大口径AF標準
レンズ。

本レンズも同様、久しぶりの本記事登場であり、これもまあ
感覚的には嫌いなレンズなのであろう、だから使う事もあまり
無いし、記事で紹介する気にもなれないのだろう。
_c0032138_06310387.jpg
今回の記事で、4本のレンズを全てAPS-C機ばかりで使用している
のも、感覚的(直感的)な理由だ。
使用カメラはレンズの特性や性能に見合ったものを用意するのが
基本ではあるが、その際、個人的には、意識してか無意識にか
大口径標準レンズには、古い時代のAPS-C一眼レフを使ってしまう、
フルサイズ機や新鋭機を所有しているのにもかかわらず、だ。

勿論これらの銀塩時代の大口径AF標準レンズは、フルサイズ対応
である、だが、それを感覚的に嫌うのは、これらは私に言わせれば
性能の低い(正確には、好みでは無い描写傾向の)レンズ群で
あるがら、レンズ周辺の収差などがはっきりとわかってしまう
フルサイズ機では、なんとなく、あまり使いたく無い訳だ。

APS-C機であれば、レンズの中心部の、画質が良い部分しか
写らない、だからまあ、感覚的かつ消極的な手段ではあるが、
画質向上策の一環でもある訳だ。

で、古いデジタル一眼を使うのは、前述のように、マニア的な
視点での「好み」の問題だ、だから、あまりそこは突っ込む
必要は無い・・
それよりむしろ、現代の新鋭デジタル一眼レフと、今から10年
以上も昔の古いデジタル一眼とで、あまりはっきりとわかる
描写力の差異が無い点に、むしろ注目するべきではなかろうか?
まあつまり、オールドのデジタル一眼も、まだまだ現役で使える
という意味だ。

オールド一眼は、最新機種に比べて、仕様・機能的に見劣りする
だけであり(例、連写性能や最高感度等) 写真を撮る、という
その事自体については、古いデジタル一眼でも撮影条件を整えば
余り問題は無いのだ。

だったら最新機種を買う意味があるのだろうか? という点だが
ここは難しい。古いものばかりを使っていたら、やはり気分が
良い訳ではないだろうからだ。無駄なAF性能や高速連写だと知って
いても、やはり素早くピタリとAFが合って、ダダダダ・・と連写が
できれば気分的には爽快だ。ピントがなかなか合わない、連写が遅い
等という状況では、写真を撮っていても、あまり楽しく無い訳だ。
_c0032138_06310320.jpg
本レンズFA50/1.4だが、やはり他の今回紹介のAF大口径標準と
大差無い性能だ、そして、それが個人的な好みにあまり合致
しないのも何度も述べてきた通り。
このあたりは、感覚的な要素も大きい話なので、具体的な長所
短所を述べる事もやりにくい、説明がすっきりとしないので
少々もどかしい所もあるが、まあ、やむを得ないであろう。
_c0032138_06310356.jpg
今回の記事は、あまり論理的な要素は無いので、読者の参考に
ならない内容かも知れない、ただまあ、映像やら音楽やらの
アート分野においては、どうしても理屈では割り切れない部分も
少なからず存在するのだ。
後は、実際に多数のこうした標準レンズを購入して、それらを
自分の目で差異を確かめてみるしか、それを知る手段は無いの
かも知れない・・

---
さて、ここまでで「最強50mmレンズ選手権」における
予選Cブロック「AF50mm/f1.4 Part1」の記事は終了だ、

次回の本シリーズ記事は、
予選Dブロック「MF50mm/f1.8」となる予定。


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