2018年9月1日(日)に大阪府泉佐野市・関西国際空港
(KIX)にて行われた「第16回KIX国際交流ドラゴンボート大会」
の模様より、後編。
前編記事では、会場の雰囲気やチーム紹介を中心としたが、
今回後編では、レースの模様を紹介しよう。
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本大会でのカテゴリー分類は3つ、「20人漕ぎ混合」
「20人漕ぎオープン」「スモール(10人漕ぎ)」である。
内、スモールの部は、昨年までは関空関連のチームに
限定されていたが、本年からは、参加資格が緩和され
海外から参戦のチームや遠方から参戦の一般チームも
ここにエントリーしている。
20人漕ぎの部の存在は、今や関西圏のドラゴン系大会では
むしろ珍しく、日本選手権、1000m選手権、びわこペーロン、
そして、本KIX大会しか無い。
ほんの数年前までは、殆ど全ての大会が20人漕ぎであった
にもかかわらず、状況の変化が急激だ。
10人漕ぎ主体に替わるきっかけとなったのは、2013年に、
旧「びわこスプリント大会」が「スモールドラゴンボート
日本選手権」にリニューアルされた事からである。
なお、それ以前は、10人漕ぎ自体が「ミニドラゴン」や
「ドラゴンカヌー」等、呼び名もはっきりしていなかった
のが、スモール選手権開始以降、「スモール(ドラゴン)」
に統一された。
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では、20人漕ぎ混合の部(以下、「混合の部」)の
レースの模様から紹介しよう。
この部門で、昨年優勝に引き続きの連覇を狙うのは
「関西龍舟」(兵庫:以下、「関ドラ」)である。
(下写真の3レーン、写真は準決勝の模様)
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本大会においては、混合の部での強豪の「あめちゃん」
(「琵琶湖ドラゴンボートクラブ」(滋賀)+「東海龍舟」
(愛知)のコラボチーム)や、「熊野水軍」(和歌山)が
未参戦だ。また、今年は強い海外チームも参戦していない
ので、「関ドラ」の連覇は磐石だと思われる。
なお、本大会において「ドラゴン専業チーム」の参加数が
減って来ているのは、前述のように現在、ドラゴン界は
10人漕ぎにシフトしつつあり、本大会のような20人漕ぎ
が減っているからだと思われる。
現状、各チームとも主力メンバーは10人漕ぎに対応して
いて、20人漕ぎを全員主力で揃えられるチームは少ない。
ちなみに、それをどう見分けるか? と言えば、10人漕ぎ
の大会で2チームをダブルエントリーできるチームは、
20人漕ぎ大会でもやっていけるし、必然的に他のチーム
よりも有利となり、つまり、強豪チームとなる。
そんな状況から、20人漕ぎの大会においては、2つの
異なる専業チームがコラボレーションする事も良くある。
例えば、本大会においては、前述の「あめちゃん」や
「すいか」(「すいすい丸」(京都)+「Team 河童」
(大阪))の異地区コラボが良くあったし、
また、比較的交流が多いODBA(大阪協会)関連では、
「ミラ化けっ吹」(「team 未来」+「吹田龍舟倶楽部」)
「team パイレーツ(&電龍)と”いっとこ”」
「打艇風味」(「打艇龍舟倶楽部」+「team風」)
「みっくちゅじゅーちゅ」(ODBA混成)
「オープンサンド」(ODBA混成)
「黒と赤」(「Rowing Team浪わ」+「team 未来」)
といった組み合わせが近年の本大会においてあった。
さて、「関ドラ」(関西龍舟)の予選タイムであるが、
48秒台と非常に速い。
しかし、これは恐らくだが、設置されたコース長が短く、
200mに満たない事が理由だと思われる。
で、「関ドラ」の一般的な200m戦タイムを56~59秒と
想定すれば、この会場のコース長は、そこから逆算して
170m±5mと推定される。
コース長が短いのは、まあ全チームに同一の条件では
あるのだが、ピッチ漕法(=手数で漕ぐ)のチームの
方が、ストローク漕法(=推進力で漕ぐ)よりも
短距離(スプリント)戦では若干有利だとも思われる。
しかしながら、「ピッチvsストローク」のような比較
が良くされたのは、もう10年程前の話であって、
ここ数年間での超強豪チームの最新戦術においては、
1)スタート時のピッチ(レート)と、その回数(距離)
2)巡航(クルージング)レート(=レース中間地点)
3)状況に応じた、ラストスパートの開始タイミングと
その際のピッチ(レート)
の3要素を、いかに決める、またはバランスする、
あるいは柔軟に対応する、事に全てがかかっている。
(注:「ピッチ」と「レート」は意味が似ているので
混同されて用いられている。本記事では長くなるので
割愛するが、いずれ、ちゃんと用語を定義しておこう)
内、1)については、国内超強豪チームにおいては、
ピッチ120(1分間に120回=1秒あたり2回の漕ぎ)
で、100m前後まで引っ張る、というのが目標値だ。
超々強豪チーム(注:国内には居ない)においては、
このスタートピッチで、120m、あるいは150mあたり
まで引っ張れるだろうし、場合により本会場での
170mくらいは、スタートピッチのままで漕ぎきって
しまうようなチームも(海外には)居るかも知れない。
また2)の巡航レートは、勿論スタートピッチよりも
落とすが、ここもできるだけ上げたいところ。
しかし、高レートに苦しくてついていけない漕手が
居ると、バラけて、むしろスピードを落としてしまう。
3)のラストスパートは状況(レース展開)次第である、
また、漕手達の残存体力に応じて、それを指示しなくては
ならない。その役目は鼓手となるだろうが、難しい方法論だ。
「ルーチーン」として、予め決めておくのも良いかも
知れないが、予選や準決勝で独走なのに、それを行うのも
体力の無駄な消耗がある。ただ、とは言え、いきなり
それを試みても上手くいく保証は全く無いので、本当に
応用が難しいところだ。
近年急成長の「守のシルバニアファミリー」(滋賀)は、
このラストスパートへの移行がチームの練習課題となって
いると聞く。
さらに参考だが、国内超強豪チームの「磯風漕友会」は、
磯「レース毎にそれをやると、むしろ面倒・複雑なので、
どのレースでも全力で漕ぐ事にしています」
と言ってはいたが、まあ、それも数年前での話なので、
現在では、より柔軟な最新戦術に転換しているかも知れない。
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さて、混合の部予選第1組で、「関ドラ」に次ぐ2位に
つけたのは「IwataniクリーンエネルギーチームB」
である。前編で紹介したスポンサーチームであるが、
基本的にはビギナーチームである、しかし彼らの漕ぎを
良く見ていると「関ドラ」に似た本格的な漕ぎだ。
これについては「Iwatani」に直接理由を聞いてみると
I「実は、芦屋で事前練習を行いまして、その際、
”関西龍舟”さんの指導を受けました」
との事である。なるほど、そうであれば納得だ。
僅かな指導とは言えるが、ビギナーチームの場合は、
そのきっかけを与えるだけでも大きく成長する。
混合の部全体で「関ドラ」に次ぐ2番手級チームは
「Team BANANA」(兵庫)と、「ミラ化けっ吹」
(前述のコラボチーム)の専業チームである。
なお、選手の一部から「ミラ化けっ吹」の名称について
選「未来と吹龍はわかるけど”化け”って何だろう?」
という質問が(私に)あった。
これは、およそ10年前に、株式会社クラレのTVCMで
「未来に化ける新素材」という意味の略語(造語)で
「ミラバケッソ」というキャッチフレーズが使われた
ことから、それが元になっているのだと思われる。
と答えておいたが、恐らくこれが正解だろう。
なお、「team未来」は、国内におけるドラゴン競技の
黎明期(およそ30年前)から続く老舗古豪チームで
あるから(メンバーは殆ど替わっているとは言え)
各チームとの人脈が広く、しばらく前から、コラボ
チームや異地区コラボ等を他に先駆けて実現している。
また、それぞれのコラボチームでは非常にユニークな
命名をする事でも知られ、「未来」の創った最も秀逸な
チーム名としては「表面張力」があると思う。
まあでも、コラボチームは例え戦績が良かったとしても
戦果の立役者がどちらのチームであったのか?わかり難い
という課題も持つ。具体的には、例えば優勝トロフィーは
どちらの(どの)チームに置けば良いのだろうか?
そういう理由もあるからか?コラボチームは長くても
3年程で解消されてしまう。まあでも、喧嘩別れを
している訳では無いと思うので、再び異なるコラボ名で
コンビを組む場合もあるのだ。
いずれにしても、こうしたコラボの傾向は、スポーツ界
全般を通じて、かなり珍しい状況だと思う、普通は、そう
なかなかライバルチームが手を組む事は無いだろう。
混合の部、最終的に決勝戦に残れたのは以下のチームだ。
(レーン順、*印は専業チーム)
1:Team BANANA *
2:竹中工務店B
3:IwataniクリーンエネルギーBチーム
4:ミラ化けっ吹 *
5:関西龍舟 *
混合の部の決勝を私が観戦していたのは、ゴール前
50m地点(約120m地点)、まあ、専業チームと
企業ビギナーチームは差がつくだろうから、そのあたりの
レース展開への対応性を鑑みての、撮影ポイントの選択
である。
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ところが、私の撮影ポイントの廻りに、兄弟チームの
決勝進出を応援する、多数の「竹中工務店」の選手や
関係者が集まってきた、私の周辺にはVIPと思われる
お偉いさん方が・・ まあスポンサー企業さんである、
せっかくなので、私がこの16年間、竹中工務店チーム
を毎年見てきた中での、過去の戦績とか、他の決勝進出
チームに係わる情報を、その場でずっと解説し続けた。
その時間はおよそ15分間にも及んでいた事であろう。
なお、周囲の応援選手は、いずれも「竹中工務店」の
新入社員である。竹中工務店では新人が本大会に参加
する慣習であり、過去、そうでなかったのは、新人を
採用しなかった数年前の、ただ1回であり、その年
のみ選手達は2年連続で出場していた。
・・で、その結果として毎年の戦績がバラつく事は
やむをえず、過去では決勝進出が1度、準決勝敗退が
数度(2回?)あった事を皆に説明。
そして、今年の決勝は、過去最高順位が期待できる事、
さらには、この決勝戦の予想順位と予想されるタイム差も
詳しく説明した。(関ドラ→4~5秒差→BANANAおよび
ミラ化けっ吹→4~5秒差→Iwataniおよび竹中)
まあ、新入社員達は「オレ達が優勝する」とか言っては
いたが、そもそも専業チームとは練習量が数百倍も違う
事を説明し、さらには予選等での各チームのタイムを
全て把握(記憶)しておく必要がある事も伝えた。
結果として、優勝チームとは約10秒(3艇身)もの
タイム差がついてしまうのは、やむを得ない事も、事前に
詳しく説明した。
よって、「竹中工務店」から見た、決勝戦での注目点は、
「Iwatani」と「竹中」の順位争いであり、同じ境遇での
2つのスポンサード・チームが、予選タイム等も含め、
あらゆる点でライバル関係であるから、そこに着目する
のが、かなり興味深い、とも説明した。
また「Iwatani」では、広報部隊として社内広報部からの
スティル・カメラマンが3名、社外ビデオ・カメラマンが
2名も来ている事を説明。「竹中工務店」は、せっかくの
決勝進出の好機であるのに、広報部が誰も来ていない事も
「勿体無い」と指摘しておいた。(きっと来年からは、
広報部隊が来る事であろう)
なお「Iwatani」(岩谷産業)は、琵琶湖の夏の風物詩の
「鳥人間コンテスト」でもスポンサー企業となっていて、
同社の広報部の人達は、その「鳥人間コンテスト」でも
記録撮影を行っていたそうだ。「暑いのに、あちら
こちらで大変ですね、お疲れ様です」と労っておいた。
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混合の部の決勝戦の結果は以下の通り。
1位:0分50秒:関西龍舟(二連覇)
2位:0分55秒:Team BANANA(上写真手前1レーン)
3位:0分56秒:ミラ化けっ吹
4位:1分01秒:竹中工務店B
5位:1分02秒:IwataniクリーンエネルギーチームB
ぴったりと私の予想通りの順位とタイム差になった事に、
竹中工務店の応援団の方々も驚いてはいたが、まあ、
ドラゴンのレースでは、「番狂わせ」は、まず起こらず、
必ずと言っていいほど実力や実績どおりの結果となる。
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「竹中」と「Iwatani」は、最後の最後まで大接戦で
結果はコンマ秒差、各企業の応援団も大興奮の名勝負で
あったのだが・・(上写真)
まあ、レースを観戦する際には、単に優勝や順位争いに
着目するとか、あるいは野球等のように単に地元チームを
応援したり、所属チームを応援するといった事が全てなの
ではなく・・
競技を行う上では、それぞれのチームや選手には、各々の
歴史や出自や事情がある訳で、それがまた、レースの上での
「人間ドラマ」となる事が、とても興味深く、そこが面白い、
という事が、少なくとも私の周辺で観戦していた竹中工務店
の方々に伝わったのは良かったと思った。
もし、何も説明していなかったら、「竹中がんばれ~」と
皆は絶叫応援しているだけで、「ああ、結果4位かぁ」と
がっかりするだけであっただろう。
だが、それが16年の本KIX大会の歴史の中で、あるいは
専業チームが必ず勝つ、というドラゴン界の「掟」の中で、
今年が「竹中工務店」としての最高順位であった事を
伝えれば、まるっきり結果の見方は変わってくる。
物事を「知る」という事は、そういう意味であるのだ。
何もわかっていなければ、国際大会やオリンピック等で
「ニッポン!(チャチャチャ)」と応援するだけの
”にわかファン”と同じになってしまうではないか、
それでは、あまりに”浅はか”であろう。
それから、各チームの戦績等は、大会に参戦する選手や
関係者、カメラマンに至るまで「事前にちゃんと調べて
覚えてから大会に来なさい!」と私は良く言っている、
選手達とのコミュニケーションや、レース展開の予想、
レース戦略等、様々に関連する有益な情報だからだ。
まあ勿論、一部の専業チームでは、そうしているとは
思うが、あまりその話を選手等から具体的に聞く事は無い、
ちゃんとそれをやっている選手としては「ヤンググリーン」
(現:「魚橋水神龍会」)が居る、彼らには、私がそう
伝えたからか、毎回しっかりと勉強をして参戦している。
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上写真、混合の部で2位の「Team BANANA」は久しぶりの
好順位での入賞だ。
5万円分のショッピング券をGETして、美味しいものを
食べて帰ったのであろうか・・?
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さて、次は「スモールの部」の模様について紹介しよう。
このカテゴリーへの参戦チームは20と多く、とても
全てを紹介しきれないし、また、全てのチームの取材や
撮影が出来ている訳でも無い、まあ大会アルバムでの
レースの模様の写真では、必ずどのチームも写っている
とは思うが、陸上での取材までは時間が取れない状況だ。
(上写真は、スモールの部の予選第3戦の模様。
ちなみに、スモールの部は乗艇人数が少ないので、普通に
艇を単独で横から撮ると、スカスカな印象となって迫力に
欠けてしまう。よって、レース撮影時に留意するべきは、
できるだけ構図内にドラゴン艇や選手達の面積や密度を
増やすように工夫する事である)
ただまあ、チームや選手とコミュニケーションが取れる
カメラマンというのも、プロ、アマ問わず、まず皆無で
あって、普通はそんな事は、まず出来ない。
だが、その原因は、前述のように「過去の状況を知らない」
という課題がある事も確かだ。何も知らなければ、話しを
しようも無い訳だし、どうレースの写真を撮ったら良いか
(そこに、どんなドラマが潜んでいるか?)も不明のままだ。
しかし、稀にごく一部の報道系カメラマンでは、協会Webや
私のブログ等を事前に参照して、過去大会の模様をちゃんと
勉強してから大会の撮影に臨んでいる。まあプロ意識が高い
と言えるであろうが、他の大半のカメラマンは、そんな事は、
全く意に介さない状況であるし、アマチュア層で、それが
できる人はゼロ%という悲しい実態だ。
さらに余談だが、昨年の本大会には「ゆうゆう焦げる
んです」(静岡)チームが参戦しており、そこには
一部、FUJIFILM社の社員メンバーが乗っていた。
そこで今年の撮影機材も、1台だがFUJIFILM製のカメラを
持ってきている。カメラを購入する側は、お客さんだが、
こういう大会においては、選手達が「お客様」である。
だから、関係者やスタッフに至るまで「顧客満足度」
を高める必要性がある、それがビジネスの基本原理で
あって、プロ意識でもある訳だ。
ただまあ・・ 今年は残念ながらFUJIFILMチームは
不参加であったが。
では、このカテゴリーの注目チーム(結果的に決勝進出
チームである)のみをあげておく。
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*KOS消防チーム(ダブルエントリー)
昨年までKIAS(関西インターナショナルエアポート
サービス?)と呼ばれていたが、社名変更によりKOS
(関西エアポートオペレーションサービス)となった
と聞く。
昨年優勝(ワンツーフィニッシュ)、一昨年も優勝
(それ以前は、スモールの部無し)の強豪ではあるが、
連続優勝のままで居座るのも大人気ないからか?
チームを再編し、一部は20人漕ぎの部にも昇格参戦
している。メンバーがシャッフルされてしまったし、
参戦チーム数も多いので、上写真の集合写真が
どのKOS消防チームなのかは、良くわからない(汗)
(人数が多いので、多分20人漕ぎの部であろう)
なお、昨年2018年の台風21号での空港島孤立の際には
彼らが空港島宿泊の乗客にカレーライスや飲み物を
配っている姿がTVで映し出されていた。
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*潜水艦 うんりゅう
びわこペーロン大会の記事でも紹介した、現役の
海上自衛官(潜水艦乗り)のチーム(上写真手前)
ドラゴン経験は少ないが、体力は十分あり、何度か
「関西龍舟」からの直接指導も受けているとの事。
専業チームとほぼ同等、という彼らの実力値では、
このスモールの部での優勝は確実であろう。
2大会続けて様々な話をしているので、あれこれと
意見を言えるようになってきている。それに、前大会
から1週間の間、私も潜水艦の「うんりゅう」について
様々な調査を行っており、その仕様や性能の大半を
暗記して、すらすらと言えるようにもなっている(笑)
彼らは「それは国家機密です(笑)」と言ってはいたが
まあ勿論、世間一般に公開されている範囲での情報だ。
・・で、事前に彼らには 「この大会のスモールの部で
勝っても自慢にはならない」と伝えてはいるが、彼らには
「(自衛隊の)広報活動」という重要な指命があるので、
「ともかく優勝して爪跡(実績)を残したい」との希望。
恐らくそれは叶えられるだろうが、やはり、前編でも
書いた通り、しっかり広報活動をやるならば、会場に
ブースを構えて本格的に行う必要があるだろう。
なお、JDBA(日本協会)の女子役員に軍事マニアの
方が居るので、「こちらが、”うんりゅう”さん、
ホンモノの潜水艦乗りですよ」と紹介したら、たいそう
喜んでくれた、彼女は「グッズが欲しい」と連呼して
いたが、私もそう思う。SS502(潜水艦の型番)の
各種グッズを大会に持ってきて販売しているならば、
私も、お金を出して買うと思う。
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*鹿島(かじま)龍舟部
前編記事で紹介の、東京から参戦の企業チーム。
企業チームとしては珍しい強豪専業チームである。
今回は無事決勝戦にまで進出。
なお、同じ建設系の企業として、本KIX大会には
「竹中工務店」「熊谷組」「大林組」が常連で、
かつては「KALD」(関西国際空港開発用地造成会社)
も参戦していた。「鹿島(建設)」としても、参戦
しやすい雰囲気の大会なのであろう。
なお、企業系チームの多い大会としては、本大会の
他では、東京大会、びわこペーロン大会がある。
*HKUST MBAAA Dragon 科大商碩龍(香港)
*Stanley Raptors Dragon Boat(香港)
いずれも前編記事で紹介済みの海外チーム。
海外チームとしては中堅クラスの実力値だが、結果的に
いずれも決勝戦に進出している(下写真)
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さて、ではスモールの部の決勝戦の結果だ。
1位:0分53秒:潜水艦 うんりゅう(初優勝)
2位:0分57秒:Stanley Raptors Dragon Boat
3位:1分00秒:HKUST MBAAA Dragon 科大商碩龍
4位:1分01秒:鹿島龍舟部
5位:1分07秒:KOS消防 山チーム
今年から強豪チームが多数参戦した事で、いっきに
レベル(タイム)が上がってしまっている。
ちなみに、昨年優勝時のKIAS消防Aは58秒、準優勝の
KIAS消防Bは1分1秒であった。ただし、風や潮流、
コース長等の条件は毎年(毎レース)でまちまちで
あるので、絶対的なタイム参照はあまり意味がない、
まあ比較で言えば、昨年優勝クラスのチーム(KOS)の
戦績が5位に留まっている、という事実である。
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上写真は、優勝した「潜水艦 うんりゅう」の
表彰式の模様。
今期(3戦)限りの限定活動との事だが、かなりの
実力者チームであったので、ちょっと惜しい。
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では、最後のカテゴリー
「20人漕ぎオープンの部」
(以下、オープンの部)の模様に移る。
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実力値が未知なのは「Hong Kong National Team」
(上写真手前、前編で紹介)である。
ここを最も警戒していたのは「魚橋水神龍会」
(旧「ヤンググリーン」、前編で紹介)であろう、
「魚橋」としては、昨年順位(「bp」「bp next」に
次ぐ3位)を、今年は上回りたい。「bp」は今年は
シングルエントリーであるから、2位を狙えるのだ。
だが、この「Hong Kong」の実力値が不明なのだ。
匠「予選で当たるから、そこで様子見ですね」
と、「魚橋」に言ってはいたが、それが上写真の
レースである。スタート直後は、上手く「魚橋」
(4レーン、奥から2つ目のチーム)がリードしたように
見えたが、「Hong Kong」のスタートピッチと巡航レート
は凄まじく、あっと言うまに先行して逃げ切り、
結果は45秒。
「魚橋」も、49秒と悪くは無いが、1艇身もの差を
つけられた状態なので、正直、手も足も出ない。
前述のように、近年の「魚橋」(ヤンググリーン)は
各チームの戦績やタイムを良く勉強し、よく分析して
いる。相生ペーロンからドラゴン界に転戦(拡大参戦)
する以上では、そうした情報収集や戦略考察は必須だ。
帰ってきた「魚橋」チームの選手達いわく、
魚「あ~あ、これでは今回も3位迄か・・」
匠「でも、3位だったら上々でしょう?」
魚「そうなんですけどね・・ なんか、面白く無い」
ドラゴンの世界に「番狂わせ」は殆どない。完全な
実力勝負であり、その実力は、これまでの実績から、
ほぼ確実に予想できるのだ。
これが個人競技であれば、その時の体調や調子により
若干の差異も出るのだろうが、ドラゴンの20人漕ぎは
個人個人の調子の差は、チーム全体としては吸収されて
しまうので、ほぼ完璧に予測どおりの結果となる。
そしてチームの実力値も同様に、個々の漕手の体力や
パワーにはあまり依存せず、殆どが練習量に比例する。
つまり日常的に練習を行っている専業チームには、
ビギナーチームは、どう転んでも勝ち目は絶対に無い。
私は、6000を超えるレースを観戦しているが、その
全てにおいて、ビギナーチームがまぐれで専業チーム
を倒した事例は無い。稀にビギナーチームが好成績を
収めたとしても、それはそのチームは見えないところで
ちゃんと練習を重ねてきた結果であって、そうであれば
もはやビギナーとも言えないかも知れない訳だ。
(例:「潜水艦 うんりゅう」や「シンコーメタリコン」
(びわこペーロン入賞)は、ビギナーでは無い)
さて、順次、オープンの部のトピックを伝えていく。
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上写真は敗者復活戦、手前2レーンは「bon voyage」
主催者「関西エアポート株式会社」のオリジナル
チームであり、2016年、同社が関空および伊丹空港の
運営母体となってから、連続して参戦している。
クルーは関空の「VIP」とも言え、特に空港関係者は
ハラハラしながらもレースの模様を見守っている。
レース展開では、3レーンの専業チーム「チーム風」に
迫る勢いで悪く無い、ついに悲願の準決勝進出なるか?
実際には、ほんの僅かに2位には届かなかったのだが、
ゴール直後、好成績に興奮したクルー達が艇上で大きく動いた
のか?艇は急にバランスを崩し、あっと言う間に転覆(汗)
関空の社長さんを含むVIPの方々が落水した!という事で、
現場は大慌て、急遽モーターボートやジェットスキーが
かけつけ、落水者達を救助。
その後、陸上で点呼を行い、全員無事で、事なきを得た。
社長さんいわく「良い水遊びが出来たよ、アハハ!」と
豪快である、さすが評判の傑物という感じだ。
ちなみに、12年程前にも、当時の「関空会社」の
VIPチーム艇が強風で浸水沈没、どうも関空のVIPの方々
には、そういうめぐり合わせがあるのかも知れない。
本大会での沈没アクシデントは上記1件のみ。
参考まで、私が観戦した約6000ものドラゴン系レース
で沈没に至ったのは10数例ほどしか無く、その確率は
約0.2%程度となり、見た目よりも、かなり安全な競技
ではあろう、例えばヨットレース等ではもっと頻繁に
転覆が起こる。
また、ドラゴン系競技でも「高島ペーロン」は
アクシデント率が非常に高く、およそ20%にも及び、
これはドラゴンボート大会の100倍もの高確率だ。
しかし、静岡県の天竜川では、2011年の観光船と
2019年のゴムボートレースで、転覆死亡事故が起きて
しまっている。各地の水上レースでも安全対策には、
より慎重に対処していきたいところだ。
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上写真は、本大会オープンの部連覇中の「bp」
である、ただ今年に関しては、予選タイムで言えば
「Hong Kong National Team」が「bp」を約1秒
上回っており、「bp」としては苦しい状況だ。
しかしながら、本大会では「bp」は調整要素も多く、
例年、新人選手等を含んだ実践経験の場としている
ようにも見られる。
今回も、今日初めて「bp」艇で漕ぐという新人が3名
乗っている。
ちなみに、何故毎回、そんなに新人比率が多いかは
b「なかなかチームに定着しないのですよ」
との事だ。まあ、「bp」は、日本一を目指すチーム
であり、その真剣度は高く、当然ながら練習はキツい、
(参考:先年、真夏に「bp]の練習を見学に行き、その
模様を過去記事にまとめてある。非常に厳しい様子だ)
今時の若者では、そこまで1つの事にモチベーションを
持ち続けるのは難しい世情だ、それはドラゴンに限らず
趣味で仕事でも、多くの分野で同様であろう。
それに「bp艇」に乗った新人選手は、たいていの場合
優勝する事ができる、その1度や数回の優勝経験で
満足してしまう事もあるのかも知れないのだ。
そして、さしもの「bp」であっても「世界」の舞台
ではまだまだ通用しないレベルだ、なかなか目標が
設定しずらい状況になって来ているのかも知れない。
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(準決勝)レースを終えて帰って来た「bp」の幹部選手
が、私に「どうでした?」と聞く。
まあつまり、準決勝(上写真)での「Hong Kong」チーム
との差異についての質問であろう。
準決勝で負けたまま決勝戦で当たる前に、可能であれば
何らかの対策や戦術を考えなければならないという事だ。
匠「bpさんと香港は、スタートピッチは、ほぼ同等。
しかし、bpさんが90m前後から巡航レートに
入ってしまうのに、香港は120mまでスタートピッチ
のまま引っ張ります。そして、その後の巡航レート
でも、bpさんより香港の方が速い、これでは残念ながら
勝ち目はありません」
と、正直に見たままを語った。
b「ふむふむ、なるほど。良くわかりました。
しかし、我々は今日は新人さんを乗せているので、
これ以上レートを上げると、バラけてしまうのですよ」
匠「そうでしょうね、事実、既に後ろの方はバラけて
います。沢山写真を撮っているので、後で大会アルバム
を見て分析してみてください」
まあ、この会話からわかる事は、今日は「bp」は、優勝
には拘っていない、という事だ。それよりも、海外の
一流の強豪チームと当たる事で新人さん達の実践経験に
役立て、彼らの育成をする事が主眼であるのだろう。
匠「負けて学ぶ事も多いと思いますよ。
あるいはもう、新人さんを、ある程度乗せたら、
「bp」から早目に独立させ「後は、君達自身の力で
優勝を勝ち取れ」とするのも良いかも知れません」
b「なるほど、それもありかもですね」
ちなみに、「bp」は、現在、日本で最も優勝経験の多い
チームである、今の彼らは、自分達のチームが優勝する事
よりも、もっと広い視点、例えば、ドラゴン界全体の発展
といった視野も、きっと持っている事であろう。
だからこそ、「bpから独立させろ」といった、チームと
して考えれば無茶な意見も、聞く耳を持ってくれる訳だ。
さて、オープンの部の決勝進出チームが出揃った
以下はレーン順、勿論全て専業チームである。
1:Hong Kong National Team
2:Rスポーツマンクラブ
3:bp (昨年優勝&2位のワンツーフィニッシュ)
4:陸(くが)ペーロンチーム
5:魚橋水神龍会(旧「ヤングクリーン」、昨年3位)
予想順位はもう確定的だ、予選や準決勝のタイムから
類推しても、接戦になる順位戦は無く、各チーム間で
2秒程度のタイム差が順次出てくるであろう。
注目すべきは「Rスポーツマンクラブ」 こちらは
現役最年長チームながらも、こうしたメジャー大会で
稀に決勝進出してくる。超ベテランの経験値であるとか、
非常に綿密なレース戦略を持つ「試合巧者」チームだ。
「R」としては、各大会で今期2度目の決勝進出となる。
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また「陸ペーロン」(上写真は準決勝の模様、3レーン)
は、中学生漕手を9名も含むという超若手チームだ。
地元「相生ペーロン競漕」でつちかった英才教育が施され
ているのであろう、ちなみに今年、他に参戦したドラゴン
の「堺泉北港(高石)大会」でも優勝している。
数年後が非常に楽しみな若手成長株であると同時に、
陸(くが)地区には、まだ小学生等が沢山居るとの事で、
これら予備軍が順次、陸ペーロンチームに参加していけば、
あと20年や30年は安泰、という感じである。
(ちなみに、「相生ペーロン競漕」は、100年以上もの
長い歴史を持つ伝統行事であり、20年、30年という
時間のスパン・感覚は、さほど不自然な長さでは無い)
まあ、一種の「町内会チーム」であるとも言えるが、
高石大会で決勝戦で当たった同様の境遇の町内会チーム
「池の里Lakers!」(滋賀)(決勝で「陸」に負け2位)
に「陸ペーロンチーム」の子供達の状況を伝えると・・
池「非常にうらやましい、我々にはもう小学生の子供は
殆ど残っていないし、卒業生がチームに参加するのも
まだ時間がかかる。ならばチームの選手達に、頑張って
もう1人生むように、と指示をするか?(汗)」
と言っていた。
でもまあ、今回の「陸」での例のように、「池の里」も
大会の年齢制限が許す範囲において、中学生・高校生位から、
チームに入れてレースを体験させたらどうなのだろうか?
そうしないと、反抗期となった子供達は、「親父と一緒の
船など、乗りたくも無い」とスネてしまうかも知れない。
(事実、そんな話を聞いている・・汗)
さて、余談が長くなったが、いよいよ決勝戦のスタートだ。
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注目は勿論「Hong Kong」と「bp」の一騎打ちである。
ただまあ、準決勝までのレース分析では、正直言えば
「bp」は手も足も出ないと思う、
しかし、たとえ負けても「bp」がこの一戦から
得られる事は非常に多いと思う。たとえば地方ローカル
大会で他に強豪チームが居ない状態で「bp」が優勝しても
恐らく何も得られないとは思うが、ここで負けたならば
「世界には、まだまだ凄いやつらが沢山居る」という事を
肌で実感できる訳だ。
そして、当然レースの模様はビデオや写真で撮っている
だろうから、世界の超強豪と、自身のチームのどこが違い
どこを改善するべきかも、良くわかると思う。
これは非常に有益だ。
そう考えれば、日本のチームだからと言って、「bp」を
応援する必要は無い(汗)
「さあ、頑張れ香港チーム、その超絶的な技術を遺憾なく
発揮し、日本のチームに見せ付けてやれ」 そして、その
結果として負けた日本チーム達がレベルアップするならば、
むしろ願ったりかなったりであろう。
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オープンの部、最終結果は以下となった。
1位:44秒:Hong Kong National Team
2位:46秒:bp
3位:50秒:魚橋水神龍会
4位:54秒:陸ペーロンチーム
5位:56秒:Rスポーツマンクラブ
ちなみに、Hong Kong National Teamが、本当に
「国際選抜」チームであったかどうかは、聞きそびれて
しまったので不明である(汗)
でも、もしホンモノの国際選抜チームであったならば
きっと、もっと速いと思う。恐らくだがこのコースならば
40秒を軽く切ってくるであろう、それほどまでに世界
(アジア)の本場のレベルは高いと思われる。
まあ、「世界の実力」の一端を垣間見る事が出来た
だけでも、本「国際交流」大会の意義は大きいであろう。
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最後に、例年の本大会での感想(総評)であるが、
国内各チームの選手は、せっかくの機会であるので、
海外のチーム(選手達)と、もっと色々と会話をして
見聞を広めるのが良いと思う。
まあ、言葉の壁はあるとは思うが、殆どの海外チーム
とは中学生程度の英語力でも十分に会話が可能だ。
ドラゴンという枠をとっぱらったとして考えても、
こんな恵まれた機会は、日常生活においても、そう
滅多にあるものでは無い、沢山の外国人選手達に
日本人選手からは、殆ど誰も話そうともしていない
状況は、ともかく極めて勿体無いと思う。
----
では、本記事はこのあたりまでとし、
次回ドラゴンボート関連記事に続く。
(KIX)にて行われた「第16回KIX国際交流ドラゴンボート大会」
の模様より、後編。
前編記事では、会場の雰囲気やチーム紹介を中心としたが、
今回後編では、レースの模様を紹介しよう。
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「20人漕ぎオープン」「スモール(10人漕ぎ)」である。
内、スモールの部は、昨年までは関空関連のチームに
限定されていたが、本年からは、参加資格が緩和され
海外から参戦のチームや遠方から参戦の一般チームも
ここにエントリーしている。
20人漕ぎの部の存在は、今や関西圏のドラゴン系大会では
むしろ珍しく、日本選手権、1000m選手権、びわこペーロン、
そして、本KIX大会しか無い。
ほんの数年前までは、殆ど全ての大会が20人漕ぎであった
にもかかわらず、状況の変化が急激だ。
10人漕ぎ主体に替わるきっかけとなったのは、2013年に、
旧「びわこスプリント大会」が「スモールドラゴンボート
日本選手権」にリニューアルされた事からである。
なお、それ以前は、10人漕ぎ自体が「ミニドラゴン」や
「ドラゴンカヌー」等、呼び名もはっきりしていなかった
のが、スモール選手権開始以降、「スモール(ドラゴン)」
に統一された。
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レースの模様から紹介しよう。
この部門で、昨年優勝に引き続きの連覇を狙うのは
「関西龍舟」(兵庫:以下、「関ドラ」)である。
(下写真の3レーン、写真は準決勝の模様)
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(「琵琶湖ドラゴンボートクラブ」(滋賀)+「東海龍舟」
(愛知)のコラボチーム)や、「熊野水軍」(和歌山)が
未参戦だ。また、今年は強い海外チームも参戦していない
ので、「関ドラ」の連覇は磐石だと思われる。
なお、本大会において「ドラゴン専業チーム」の参加数が
減って来ているのは、前述のように現在、ドラゴン界は
10人漕ぎにシフトしつつあり、本大会のような20人漕ぎ
が減っているからだと思われる。
現状、各チームとも主力メンバーは10人漕ぎに対応して
いて、20人漕ぎを全員主力で揃えられるチームは少ない。
ちなみに、それをどう見分けるか? と言えば、10人漕ぎ
の大会で2チームをダブルエントリーできるチームは、
20人漕ぎ大会でもやっていけるし、必然的に他のチーム
よりも有利となり、つまり、強豪チームとなる。
そんな状況から、20人漕ぎの大会においては、2つの
異なる専業チームがコラボレーションする事も良くある。
例えば、本大会においては、前述の「あめちゃん」や
「すいか」(「すいすい丸」(京都)+「Team 河童」
(大阪))の異地区コラボが良くあったし、
また、比較的交流が多いODBA(大阪協会)関連では、
「ミラ化けっ吹」(「team 未来」+「吹田龍舟倶楽部」)
「team パイレーツ(&電龍)と”いっとこ”」
「打艇風味」(「打艇龍舟倶楽部」+「team風」)
「みっくちゅじゅーちゅ」(ODBA混成)
「オープンサンド」(ODBA混成)
「黒と赤」(「Rowing Team浪わ」+「team 未来」)
といった組み合わせが近年の本大会においてあった。
さて、「関ドラ」(関西龍舟)の予選タイムであるが、
48秒台と非常に速い。
しかし、これは恐らくだが、設置されたコース長が短く、
200mに満たない事が理由だと思われる。
で、「関ドラ」の一般的な200m戦タイムを56~59秒と
想定すれば、この会場のコース長は、そこから逆算して
170m±5mと推定される。
コース長が短いのは、まあ全チームに同一の条件では
あるのだが、ピッチ漕法(=手数で漕ぐ)のチームの
方が、ストローク漕法(=推進力で漕ぐ)よりも
短距離(スプリント)戦では若干有利だとも思われる。
しかしながら、「ピッチvsストローク」のような比較
が良くされたのは、もう10年程前の話であって、
ここ数年間での超強豪チームの最新戦術においては、
1)スタート時のピッチ(レート)と、その回数(距離)
2)巡航(クルージング)レート(=レース中間地点)
3)状況に応じた、ラストスパートの開始タイミングと
その際のピッチ(レート)
の3要素を、いかに決める、またはバランスする、
あるいは柔軟に対応する、事に全てがかかっている。
(注:「ピッチ」と「レート」は意味が似ているので
混同されて用いられている。本記事では長くなるので
割愛するが、いずれ、ちゃんと用語を定義しておこう)
内、1)については、国内超強豪チームにおいては、
ピッチ120(1分間に120回=1秒あたり2回の漕ぎ)
で、100m前後まで引っ張る、というのが目標値だ。
超々強豪チーム(注:国内には居ない)においては、
このスタートピッチで、120m、あるいは150mあたり
まで引っ張れるだろうし、場合により本会場での
170mくらいは、スタートピッチのままで漕ぎきって
しまうようなチームも(海外には)居るかも知れない。
また2)の巡航レートは、勿論スタートピッチよりも
落とすが、ここもできるだけ上げたいところ。
しかし、高レートに苦しくてついていけない漕手が
居ると、バラけて、むしろスピードを落としてしまう。
3)のラストスパートは状況(レース展開)次第である、
また、漕手達の残存体力に応じて、それを指示しなくては
ならない。その役目は鼓手となるだろうが、難しい方法論だ。
「ルーチーン」として、予め決めておくのも良いかも
知れないが、予選や準決勝で独走なのに、それを行うのも
体力の無駄な消耗がある。ただ、とは言え、いきなり
それを試みても上手くいく保証は全く無いので、本当に
応用が難しいところだ。
近年急成長の「守のシルバニアファミリー」(滋賀)は、
このラストスパートへの移行がチームの練習課題となって
いると聞く。
さらに参考だが、国内超強豪チームの「磯風漕友会」は、
磯「レース毎にそれをやると、むしろ面倒・複雑なので、
どのレースでも全力で漕ぐ事にしています」
と言ってはいたが、まあ、それも数年前での話なので、
現在では、より柔軟な最新戦術に転換しているかも知れない。
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つけたのは「IwataniクリーンエネルギーチームB」
である。前編で紹介したスポンサーチームであるが、
基本的にはビギナーチームである、しかし彼らの漕ぎを
良く見ていると「関ドラ」に似た本格的な漕ぎだ。
これについては「Iwatani」に直接理由を聞いてみると
I「実は、芦屋で事前練習を行いまして、その際、
”関西龍舟”さんの指導を受けました」
との事である。なるほど、そうであれば納得だ。
僅かな指導とは言えるが、ビギナーチームの場合は、
そのきっかけを与えるだけでも大きく成長する。
混合の部全体で「関ドラ」に次ぐ2番手級チームは
「Team BANANA」(兵庫)と、「ミラ化けっ吹」
(前述のコラボチーム)の専業チームである。
なお、選手の一部から「ミラ化けっ吹」の名称について
選「未来と吹龍はわかるけど”化け”って何だろう?」
という質問が(私に)あった。
これは、およそ10年前に、株式会社クラレのTVCMで
「未来に化ける新素材」という意味の略語(造語)で
「ミラバケッソ」というキャッチフレーズが使われた
ことから、それが元になっているのだと思われる。
と答えておいたが、恐らくこれが正解だろう。
なお、「team未来」は、国内におけるドラゴン競技の
黎明期(およそ30年前)から続く老舗古豪チームで
あるから(メンバーは殆ど替わっているとは言え)
各チームとの人脈が広く、しばらく前から、コラボ
チームや異地区コラボ等を他に先駆けて実現している。
また、それぞれのコラボチームでは非常にユニークな
命名をする事でも知られ、「未来」の創った最も秀逸な
チーム名としては「表面張力」があると思う。
まあでも、コラボチームは例え戦績が良かったとしても
戦果の立役者がどちらのチームであったのか?わかり難い
という課題も持つ。具体的には、例えば優勝トロフィーは
どちらの(どの)チームに置けば良いのだろうか?
そういう理由もあるからか?コラボチームは長くても
3年程で解消されてしまう。まあでも、喧嘩別れを
している訳では無いと思うので、再び異なるコラボ名で
コンビを組む場合もあるのだ。
いずれにしても、こうしたコラボの傾向は、スポーツ界
全般を通じて、かなり珍しい状況だと思う、普通は、そう
なかなかライバルチームが手を組む事は無いだろう。
混合の部、最終的に決勝戦に残れたのは以下のチームだ。
(レーン順、*印は専業チーム)
1:Team BANANA *
2:竹中工務店B
3:IwataniクリーンエネルギーBチーム
4:ミラ化けっ吹 *
5:関西龍舟 *
混合の部の決勝を私が観戦していたのは、ゴール前
50m地点(約120m地点)、まあ、専業チームと
企業ビギナーチームは差がつくだろうから、そのあたりの
レース展開への対応性を鑑みての、撮影ポイントの選択
である。
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決勝進出を応援する、多数の「竹中工務店」の選手や
関係者が集まってきた、私の周辺にはVIPと思われる
お偉いさん方が・・ まあスポンサー企業さんである、
せっかくなので、私がこの16年間、竹中工務店チーム
を毎年見てきた中での、過去の戦績とか、他の決勝進出
チームに係わる情報を、その場でずっと解説し続けた。
その時間はおよそ15分間にも及んでいた事であろう。
なお、周囲の応援選手は、いずれも「竹中工務店」の
新入社員である。竹中工務店では新人が本大会に参加
する慣習であり、過去、そうでなかったのは、新人を
採用しなかった数年前の、ただ1回であり、その年
のみ選手達は2年連続で出場していた。
・・で、その結果として毎年の戦績がバラつく事は
やむをえず、過去では決勝進出が1度、準決勝敗退が
数度(2回?)あった事を皆に説明。
そして、今年の決勝は、過去最高順位が期待できる事、
さらには、この決勝戦の予想順位と予想されるタイム差も
詳しく説明した。(関ドラ→4~5秒差→BANANAおよび
ミラ化けっ吹→4~5秒差→Iwataniおよび竹中)
まあ、新入社員達は「オレ達が優勝する」とか言っては
いたが、そもそも専業チームとは練習量が数百倍も違う
事を説明し、さらには予選等での各チームのタイムを
全て把握(記憶)しておく必要がある事も伝えた。
結果として、優勝チームとは約10秒(3艇身)もの
タイム差がついてしまうのは、やむを得ない事も、事前に
詳しく説明した。
よって、「竹中工務店」から見た、決勝戦での注目点は、
「Iwatani」と「竹中」の順位争いであり、同じ境遇での
2つのスポンサード・チームが、予選タイム等も含め、
あらゆる点でライバル関係であるから、そこに着目する
のが、かなり興味深い、とも説明した。
また「Iwatani」では、広報部隊として社内広報部からの
スティル・カメラマンが3名、社外ビデオ・カメラマンが
2名も来ている事を説明。「竹中工務店」は、せっかくの
決勝進出の好機であるのに、広報部が誰も来ていない事も
「勿体無い」と指摘しておいた。(きっと来年からは、
広報部隊が来る事であろう)
なお「Iwatani」(岩谷産業)は、琵琶湖の夏の風物詩の
「鳥人間コンテスト」でもスポンサー企業となっていて、
同社の広報部の人達は、その「鳥人間コンテスト」でも
記録撮影を行っていたそうだ。「暑いのに、あちら
こちらで大変ですね、お疲れ様です」と労っておいた。
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1位:0分50秒:関西龍舟(二連覇)
2位:0分55秒:Team BANANA(上写真手前1レーン)
3位:0分56秒:ミラ化けっ吹
4位:1分01秒:竹中工務店B
5位:1分02秒:IwataniクリーンエネルギーチームB
ぴったりと私の予想通りの順位とタイム差になった事に、
竹中工務店の応援団の方々も驚いてはいたが、まあ、
ドラゴンのレースでは、「番狂わせ」は、まず起こらず、
必ずと言っていいほど実力や実績どおりの結果となる。
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結果はコンマ秒差、各企業の応援団も大興奮の名勝負で
あったのだが・・(上写真)
まあ、レースを観戦する際には、単に優勝や順位争いに
着目するとか、あるいは野球等のように単に地元チームを
応援したり、所属チームを応援するといった事が全てなの
ではなく・・
競技を行う上では、それぞれのチームや選手には、各々の
歴史や出自や事情がある訳で、それがまた、レースの上での
「人間ドラマ」となる事が、とても興味深く、そこが面白い、
という事が、少なくとも私の周辺で観戦していた竹中工務店
の方々に伝わったのは良かったと思った。
もし、何も説明していなかったら、「竹中がんばれ~」と
皆は絶叫応援しているだけで、「ああ、結果4位かぁ」と
がっかりするだけであっただろう。
だが、それが16年の本KIX大会の歴史の中で、あるいは
専業チームが必ず勝つ、というドラゴン界の「掟」の中で、
今年が「竹中工務店」としての最高順位であった事を
伝えれば、まるっきり結果の見方は変わってくる。
物事を「知る」という事は、そういう意味であるのだ。
何もわかっていなければ、国際大会やオリンピック等で
「ニッポン!(チャチャチャ)」と応援するだけの
”にわかファン”と同じになってしまうではないか、
それでは、あまりに”浅はか”であろう。
それから、各チームの戦績等は、大会に参戦する選手や
関係者、カメラマンに至るまで「事前にちゃんと調べて
覚えてから大会に来なさい!」と私は良く言っている、
選手達とのコミュニケーションや、レース展開の予想、
レース戦略等、様々に関連する有益な情報だからだ。
まあ勿論、一部の専業チームでは、そうしているとは
思うが、あまりその話を選手等から具体的に聞く事は無い、
ちゃんとそれをやっている選手としては「ヤンググリーン」
(現:「魚橋水神龍会」)が居る、彼らには、私がそう
伝えたからか、毎回しっかりと勉強をして参戦している。
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好順位での入賞だ。
5万円分のショッピング券をGETして、美味しいものを
食べて帰ったのであろうか・・?
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このカテゴリーへの参戦チームは20と多く、とても
全てを紹介しきれないし、また、全てのチームの取材や
撮影が出来ている訳でも無い、まあ大会アルバムでの
レースの模様の写真では、必ずどのチームも写っている
とは思うが、陸上での取材までは時間が取れない状況だ。
(上写真は、スモールの部の予選第3戦の模様。
ちなみに、スモールの部は乗艇人数が少ないので、普通に
艇を単独で横から撮ると、スカスカな印象となって迫力に
欠けてしまう。よって、レース撮影時に留意するべきは、
できるだけ構図内にドラゴン艇や選手達の面積や密度を
増やすように工夫する事である)
ただまあ、チームや選手とコミュニケーションが取れる
カメラマンというのも、プロ、アマ問わず、まず皆無で
あって、普通はそんな事は、まず出来ない。
だが、その原因は、前述のように「過去の状況を知らない」
という課題がある事も確かだ。何も知らなければ、話しを
しようも無い訳だし、どうレースの写真を撮ったら良いか
(そこに、どんなドラマが潜んでいるか?)も不明のままだ。
しかし、稀にごく一部の報道系カメラマンでは、協会Webや
私のブログ等を事前に参照して、過去大会の模様をちゃんと
勉強してから大会の撮影に臨んでいる。まあプロ意識が高い
と言えるであろうが、他の大半のカメラマンは、そんな事は、
全く意に介さない状況であるし、アマチュア層で、それが
できる人はゼロ%という悲しい実態だ。
さらに余談だが、昨年の本大会には「ゆうゆう焦げる
んです」(静岡)チームが参戦しており、そこには
一部、FUJIFILM社の社員メンバーが乗っていた。
そこで今年の撮影機材も、1台だがFUJIFILM製のカメラを
持ってきている。カメラを購入する側は、お客さんだが、
こういう大会においては、選手達が「お客様」である。
だから、関係者やスタッフに至るまで「顧客満足度」
を高める必要性がある、それがビジネスの基本原理で
あって、プロ意識でもある訳だ。
ただまあ・・ 今年は残念ながらFUJIFILMチームは
不参加であったが。
では、このカテゴリーの注目チーム(結果的に決勝進出
チームである)のみをあげておく。
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昨年までKIAS(関西インターナショナルエアポート
サービス?)と呼ばれていたが、社名変更によりKOS
(関西エアポートオペレーションサービス)となった
と聞く。
昨年優勝(ワンツーフィニッシュ)、一昨年も優勝
(それ以前は、スモールの部無し)の強豪ではあるが、
連続優勝のままで居座るのも大人気ないからか?
チームを再編し、一部は20人漕ぎの部にも昇格参戦
している。メンバーがシャッフルされてしまったし、
参戦チーム数も多いので、上写真の集合写真が
どのKOS消防チームなのかは、良くわからない(汗)
(人数が多いので、多分20人漕ぎの部であろう)
なお、昨年2018年の台風21号での空港島孤立の際には
彼らが空港島宿泊の乗客にカレーライスや飲み物を
配っている姿がTVで映し出されていた。
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びわこペーロン大会の記事でも紹介した、現役の
海上自衛官(潜水艦乗り)のチーム(上写真手前)
ドラゴン経験は少ないが、体力は十分あり、何度か
「関西龍舟」からの直接指導も受けているとの事。
専業チームとほぼ同等、という彼らの実力値では、
このスモールの部での優勝は確実であろう。
2大会続けて様々な話をしているので、あれこれと
意見を言えるようになってきている。それに、前大会
から1週間の間、私も潜水艦の「うんりゅう」について
様々な調査を行っており、その仕様や性能の大半を
暗記して、すらすらと言えるようにもなっている(笑)
彼らは「それは国家機密です(笑)」と言ってはいたが
まあ勿論、世間一般に公開されている範囲での情報だ。
・・で、事前に彼らには 「この大会のスモールの部で
勝っても自慢にはならない」と伝えてはいるが、彼らには
「(自衛隊の)広報活動」という重要な指命があるので、
「ともかく優勝して爪跡(実績)を残したい」との希望。
恐らくそれは叶えられるだろうが、やはり、前編でも
書いた通り、しっかり広報活動をやるならば、会場に
ブースを構えて本格的に行う必要があるだろう。
なお、JDBA(日本協会)の女子役員に軍事マニアの
方が居るので、「こちらが、”うんりゅう”さん、
ホンモノの潜水艦乗りですよ」と紹介したら、たいそう
喜んでくれた、彼女は「グッズが欲しい」と連呼して
いたが、私もそう思う。SS502(潜水艦の型番)の
各種グッズを大会に持ってきて販売しているならば、
私も、お金を出して買うと思う。
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前編記事で紹介の、東京から参戦の企業チーム。
企業チームとしては珍しい強豪専業チームである。
今回は無事決勝戦にまで進出。
なお、同じ建設系の企業として、本KIX大会には
「竹中工務店」「熊谷組」「大林組」が常連で、
かつては「KALD」(関西国際空港開発用地造成会社)
も参戦していた。「鹿島(建設)」としても、参戦
しやすい雰囲気の大会なのであろう。
なお、企業系チームの多い大会としては、本大会の
他では、東京大会、びわこペーロン大会がある。
*HKUST MBAAA Dragon 科大商碩龍(香港)
*Stanley Raptors Dragon Boat(香港)
いずれも前編記事で紹介済みの海外チーム。
海外チームとしては中堅クラスの実力値だが、結果的に
いずれも決勝戦に進出している(下写真)
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1位:0分53秒:潜水艦 うんりゅう(初優勝)
2位:0分57秒:Stanley Raptors Dragon Boat
3位:1分00秒:HKUST MBAAA Dragon 科大商碩龍
4位:1分01秒:鹿島龍舟部
5位:1分07秒:KOS消防 山チーム
今年から強豪チームが多数参戦した事で、いっきに
レベル(タイム)が上がってしまっている。
ちなみに、昨年優勝時のKIAS消防Aは58秒、準優勝の
KIAS消防Bは1分1秒であった。ただし、風や潮流、
コース長等の条件は毎年(毎レース)でまちまちで
あるので、絶対的なタイム参照はあまり意味がない、
まあ比較で言えば、昨年優勝クラスのチーム(KOS)の
戦績が5位に留まっている、という事実である。
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表彰式の模様。
今期(3戦)限りの限定活動との事だが、かなりの
実力者チームであったので、ちょっと惜しい。
---
では、最後のカテゴリー
「20人漕ぎオープンの部」
(以下、オープンの部)の模様に移る。
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(上写真手前、前編で紹介)である。
ここを最も警戒していたのは「魚橋水神龍会」
(旧「ヤンググリーン」、前編で紹介)であろう、
「魚橋」としては、昨年順位(「bp」「bp next」に
次ぐ3位)を、今年は上回りたい。「bp」は今年は
シングルエントリーであるから、2位を狙えるのだ。
だが、この「Hong Kong」の実力値が不明なのだ。
匠「予選で当たるから、そこで様子見ですね」
と、「魚橋」に言ってはいたが、それが上写真の
レースである。スタート直後は、上手く「魚橋」
(4レーン、奥から2つ目のチーム)がリードしたように
見えたが、「Hong Kong」のスタートピッチと巡航レート
は凄まじく、あっと言うまに先行して逃げ切り、
結果は45秒。
「魚橋」も、49秒と悪くは無いが、1艇身もの差を
つけられた状態なので、正直、手も足も出ない。
前述のように、近年の「魚橋」(ヤンググリーン)は
各チームの戦績やタイムを良く勉強し、よく分析して
いる。相生ペーロンからドラゴン界に転戦(拡大参戦)
する以上では、そうした情報収集や戦略考察は必須だ。
帰ってきた「魚橋」チームの選手達いわく、
魚「あ~あ、これでは今回も3位迄か・・」
匠「でも、3位だったら上々でしょう?」
魚「そうなんですけどね・・ なんか、面白く無い」
ドラゴンの世界に「番狂わせ」は殆どない。完全な
実力勝負であり、その実力は、これまでの実績から、
ほぼ確実に予想できるのだ。
これが個人競技であれば、その時の体調や調子により
若干の差異も出るのだろうが、ドラゴンの20人漕ぎは
個人個人の調子の差は、チーム全体としては吸収されて
しまうので、ほぼ完璧に予測どおりの結果となる。
そしてチームの実力値も同様に、個々の漕手の体力や
パワーにはあまり依存せず、殆どが練習量に比例する。
つまり日常的に練習を行っている専業チームには、
ビギナーチームは、どう転んでも勝ち目は絶対に無い。
私は、6000を超えるレースを観戦しているが、その
全てにおいて、ビギナーチームがまぐれで専業チーム
を倒した事例は無い。稀にビギナーチームが好成績を
収めたとしても、それはそのチームは見えないところで
ちゃんと練習を重ねてきた結果であって、そうであれば
もはやビギナーとも言えないかも知れない訳だ。
(例:「潜水艦 うんりゅう」や「シンコーメタリコン」
(びわこペーロン入賞)は、ビギナーでは無い)
さて、順次、オープンの部のトピックを伝えていく。
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主催者「関西エアポート株式会社」のオリジナル
チームであり、2016年、同社が関空および伊丹空港の
運営母体となってから、連続して参戦している。
クルーは関空の「VIP」とも言え、特に空港関係者は
ハラハラしながらもレースの模様を見守っている。
レース展開では、3レーンの専業チーム「チーム風」に
迫る勢いで悪く無い、ついに悲願の準決勝進出なるか?
実際には、ほんの僅かに2位には届かなかったのだが、
ゴール直後、好成績に興奮したクルー達が艇上で大きく動いた
のか?艇は急にバランスを崩し、あっと言う間に転覆(汗)
関空の社長さんを含むVIPの方々が落水した!という事で、
現場は大慌て、急遽モーターボートやジェットスキーが
かけつけ、落水者達を救助。
その後、陸上で点呼を行い、全員無事で、事なきを得た。
社長さんいわく「良い水遊びが出来たよ、アハハ!」と
豪快である、さすが評判の傑物という感じだ。
ちなみに、12年程前にも、当時の「関空会社」の
VIPチーム艇が強風で浸水沈没、どうも関空のVIPの方々
には、そういうめぐり合わせがあるのかも知れない。
本大会での沈没アクシデントは上記1件のみ。
参考まで、私が観戦した約6000ものドラゴン系レース
で沈没に至ったのは10数例ほどしか無く、その確率は
約0.2%程度となり、見た目よりも、かなり安全な競技
ではあろう、例えばヨットレース等ではもっと頻繁に
転覆が起こる。
また、ドラゴン系競技でも「高島ペーロン」は
アクシデント率が非常に高く、およそ20%にも及び、
これはドラゴンボート大会の100倍もの高確率だ。
しかし、静岡県の天竜川では、2011年の観光船と
2019年のゴムボートレースで、転覆死亡事故が起きて
しまっている。各地の水上レースでも安全対策には、
より慎重に対処していきたいところだ。
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である、ただ今年に関しては、予選タイムで言えば
「Hong Kong National Team」が「bp」を約1秒
上回っており、「bp」としては苦しい状況だ。
しかしながら、本大会では「bp」は調整要素も多く、
例年、新人選手等を含んだ実践経験の場としている
ようにも見られる。
今回も、今日初めて「bp」艇で漕ぐという新人が3名
乗っている。
ちなみに、何故毎回、そんなに新人比率が多いかは
b「なかなかチームに定着しないのですよ」
との事だ。まあ、「bp」は、日本一を目指すチーム
であり、その真剣度は高く、当然ながら練習はキツい、
(参考:先年、真夏に「bp]の練習を見学に行き、その
模様を過去記事にまとめてある。非常に厳しい様子だ)
今時の若者では、そこまで1つの事にモチベーションを
持ち続けるのは難しい世情だ、それはドラゴンに限らず
趣味で仕事でも、多くの分野で同様であろう。
それに「bp艇」に乗った新人選手は、たいていの場合
優勝する事ができる、その1度や数回の優勝経験で
満足してしまう事もあるのかも知れないのだ。
そして、さしもの「bp」であっても「世界」の舞台
ではまだまだ通用しないレベルだ、なかなか目標が
設定しずらい状況になって来ているのかも知れない。
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が、私に「どうでした?」と聞く。
まあつまり、準決勝(上写真)での「Hong Kong」チーム
との差異についての質問であろう。
準決勝で負けたまま決勝戦で当たる前に、可能であれば
何らかの対策や戦術を考えなければならないという事だ。
匠「bpさんと香港は、スタートピッチは、ほぼ同等。
しかし、bpさんが90m前後から巡航レートに
入ってしまうのに、香港は120mまでスタートピッチ
のまま引っ張ります。そして、その後の巡航レート
でも、bpさんより香港の方が速い、これでは残念ながら
勝ち目はありません」
と、正直に見たままを語った。
b「ふむふむ、なるほど。良くわかりました。
しかし、我々は今日は新人さんを乗せているので、
これ以上レートを上げると、バラけてしまうのですよ」
匠「そうでしょうね、事実、既に後ろの方はバラけて
います。沢山写真を撮っているので、後で大会アルバム
を見て分析してみてください」
まあ、この会話からわかる事は、今日は「bp」は、優勝
には拘っていない、という事だ。それよりも、海外の
一流の強豪チームと当たる事で新人さん達の実践経験に
役立て、彼らの育成をする事が主眼であるのだろう。
匠「負けて学ぶ事も多いと思いますよ。
あるいはもう、新人さんを、ある程度乗せたら、
「bp」から早目に独立させ「後は、君達自身の力で
優勝を勝ち取れ」とするのも良いかも知れません」
b「なるほど、それもありかもですね」
ちなみに、「bp」は、現在、日本で最も優勝経験の多い
チームである、今の彼らは、自分達のチームが優勝する事
よりも、もっと広い視点、例えば、ドラゴン界全体の発展
といった視野も、きっと持っている事であろう。
だからこそ、「bpから独立させろ」といった、チームと
して考えれば無茶な意見も、聞く耳を持ってくれる訳だ。
さて、オープンの部の決勝進出チームが出揃った
以下はレーン順、勿論全て専業チームである。
1:Hong Kong National Team
2:Rスポーツマンクラブ
3:bp (昨年優勝&2位のワンツーフィニッシュ)
4:陸(くが)ペーロンチーム
5:魚橋水神龍会(旧「ヤングクリーン」、昨年3位)
予想順位はもう確定的だ、予選や準決勝のタイムから
類推しても、接戦になる順位戦は無く、各チーム間で
2秒程度のタイム差が順次出てくるであろう。
注目すべきは「Rスポーツマンクラブ」 こちらは
現役最年長チームながらも、こうしたメジャー大会で
稀に決勝進出してくる。超ベテランの経験値であるとか、
非常に綿密なレース戦略を持つ「試合巧者」チームだ。
「R」としては、各大会で今期2度目の決勝進出となる。
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は、中学生漕手を9名も含むという超若手チームだ。
地元「相生ペーロン競漕」でつちかった英才教育が施され
ているのであろう、ちなみに今年、他に参戦したドラゴン
の「堺泉北港(高石)大会」でも優勝している。
数年後が非常に楽しみな若手成長株であると同時に、
陸(くが)地区には、まだ小学生等が沢山居るとの事で、
これら予備軍が順次、陸ペーロンチームに参加していけば、
あと20年や30年は安泰、という感じである。
(ちなみに、「相生ペーロン競漕」は、100年以上もの
長い歴史を持つ伝統行事であり、20年、30年という
時間のスパン・感覚は、さほど不自然な長さでは無い)
まあ、一種の「町内会チーム」であるとも言えるが、
高石大会で決勝戦で当たった同様の境遇の町内会チーム
「池の里Lakers!」(滋賀)(決勝で「陸」に負け2位)
に「陸ペーロンチーム」の子供達の状況を伝えると・・
池「非常にうらやましい、我々にはもう小学生の子供は
殆ど残っていないし、卒業生がチームに参加するのも
まだ時間がかかる。ならばチームの選手達に、頑張って
もう1人生むように、と指示をするか?(汗)」
と言っていた。
でもまあ、今回の「陸」での例のように、「池の里」も
大会の年齢制限が許す範囲において、中学生・高校生位から、
チームに入れてレースを体験させたらどうなのだろうか?
そうしないと、反抗期となった子供達は、「親父と一緒の
船など、乗りたくも無い」とスネてしまうかも知れない。
(事実、そんな話を聞いている・・汗)
さて、余談が長くなったが、いよいよ決勝戦のスタートだ。
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ただまあ、準決勝までのレース分析では、正直言えば
「bp」は手も足も出ないと思う、
しかし、たとえ負けても「bp」がこの一戦から
得られる事は非常に多いと思う。たとえば地方ローカル
大会で他に強豪チームが居ない状態で「bp」が優勝しても
恐らく何も得られないとは思うが、ここで負けたならば
「世界には、まだまだ凄いやつらが沢山居る」という事を
肌で実感できる訳だ。
そして、当然レースの模様はビデオや写真で撮っている
だろうから、世界の超強豪と、自身のチームのどこが違い
どこを改善するべきかも、良くわかると思う。
これは非常に有益だ。
そう考えれば、日本のチームだからと言って、「bp」を
応援する必要は無い(汗)
「さあ、頑張れ香港チーム、その超絶的な技術を遺憾なく
発揮し、日本のチームに見せ付けてやれ」 そして、その
結果として負けた日本チーム達がレベルアップするならば、
むしろ願ったりかなったりであろう。
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1位:44秒:Hong Kong National Team
2位:46秒:bp
3位:50秒:魚橋水神龍会
4位:54秒:陸ペーロンチーム
5位:56秒:Rスポーツマンクラブ
ちなみに、Hong Kong National Teamが、本当に
「国際選抜」チームであったかどうかは、聞きそびれて
しまったので不明である(汗)
でも、もしホンモノの国際選抜チームであったならば
きっと、もっと速いと思う。恐らくだがこのコースならば
40秒を軽く切ってくるであろう、それほどまでに世界
(アジア)の本場のレベルは高いと思われる。
まあ、「世界の実力」の一端を垣間見る事が出来た
だけでも、本「国際交流」大会の意義は大きいであろう。
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国内各チームの選手は、せっかくの機会であるので、
海外のチーム(選手達)と、もっと色々と会話をして
見聞を広めるのが良いと思う。
まあ、言葉の壁はあるとは思うが、殆どの海外チーム
とは中学生程度の英語力でも十分に会話が可能だ。
ドラゴンという枠をとっぱらったとして考えても、
こんな恵まれた機会は、日常生活においても、そう
滅多にあるものでは無い、沢山の外国人選手達に
日本人選手からは、殆ど誰も話そうともしていない
状況は、ともかく極めて勿体無いと思う。
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では、本記事はこのあたりまでとし、
次回ドラゴンボート関連記事に続く。