Quantcast
Channel: 【匠のデジタル工房・玄人専科】
Viewing all articles
Browse latest Browse all 791

レンズ・マニアックス(7)

$
0
0
新規購入等の理由で、過去の本ブログのレンズ紹介記事では
未紹介のマニアックなレンズを紹介するシリーズ記事。
今回も引き続き未紹介レンズを4本取りあげる。

まずは最初のシステム
c0032138_17331293.jpg
レンズは、smc PENTAX-DA 50mm/f1.8
(中古購入価格 9,300円)
カメラは、PENTAX KP (APS-C機)

2012年に発売されたAPS-C機専用標準レンズ。
いわゆる「エントリーレンズ」であり、私は標準レンズとして
カテゴライズしているが、PENTAX(RICOH) のWEBサイトでは、
本レンズがAPS-C機専用であり、換算画角が75mm相当になる
事から「望遠レンズ」として分類され、本レンズの説明文には
「中望遠レンズ」と書かれている。

ただ、このあたりの概念だが。本レンズはアダプターなどで
様々なカメラに装着可能であり、カメラ側のセンサーサイズ
でも画角(換算焦点距離)は勿論、色々に変わる。
c0032138_17331234.jpg
例えば本レンズをμ4/3機に装着すれば100mm相当、
PENTAX Qシリーズであれば230~275mm相当(機種による)、
あるいはケラレを覚悟で無理やりフルサイズ機に装着も可能だ。
(現状、私の場合は本レンズをフルサイズ機に「正しく」装着
できる機材環境が無いが、軽く実験した所、あまり大きな
ケラレは発生しない様子だ)

また、PENTAXでは同じ焦点距離のFA50/1.4やDFA★50/1.4
も同時に販売されている。それらはフルサイズ機用だから
PENTAXにおいては「標準レンズ」にカテゴライズされているが、
同じ焦点距離であるが故、ビギナーには混乱を招くかも知れない。

そういう様々な混迷があるのが面倒なので、本ブログでは、旧来
より(35mm判等の)交換レンズは、対応フォーマットに係わらず
レンズ自体の実焦点距離を元に、広角、標準、望遠などと呼ぶ
事が多い(換算画角を基準とするケースも稀にある)

さて本レンズであるが、2012年と意外にも新しい時期の発売だ。
銀塩時代からPENTAXの小口径(F1.7~F2)標準は定番であり、
例えば、M42マウントのSMCT55mm/f1.8(ハイコスパ第2回記事等)
は「銀のタクマー」と呼ばれていて、その高い描写性能で、
当時は勿論、続く時代の初級マニア層からも大きな支持を得て
いたし、続くバヨネット(K)マウントの時代も、AF一眼レフの
時代にも(KAF)、PENTAXに小口径標準レンズのラインナップは
存在していた。

PENTAXでは、このあたりの標準レンズ(大口径、小口径)を
開発におけるリファレンス(他レンズの開発時の基準とする)
としている。という話はマニア層には良く知られており、
他社もまたPENTAXのこれらの標準レンズを買ってきて自社レンズ
との性能比較を行っていた、という噂も昔から囁かれていた。
(いずれも、あくまで噂であり、その真偽はさだかでは無い)

ところが、銀塩AF用のFA50mm/f1.7(勿論フルサイズ用)を
最後に、このPENTAX小口径標準の系譜は途絶えてしまっていた。
同レンズは2000年代にディスコン(生産終了)になっている。
(このFA50/1.7は未所有)

ちなみに、大口径版のFA50mm/f1.4(ミラーレス・マニアックス
第23回記事)は、ずっと生産が継続されていて、1990年代初頭
から、およそ30年間にも及ぶ超ロングセラー製品となっている。

さらにちなみに、大口径標準でのAPS-C機専用のDA★55mm/f1.4
(ハイコスパ第1回、ミラーレス名玉編第3位)は、2000年代後半
から発売されている。また、フルサイズ用の新鋭大口径標準
DFA★50mm/f1.4は、2018年の発売だ(未所有)

他記事でも色々書いたように、2010年前後のカメラ市場の変化で
「エントリーレンズ」の必要性が各社レンズ・ラインナップに
おいて高くなってきた為、本レンズを小口径標準レンズの
エントリーレンズとして復活させたのだと思われる。

旧来のFA50/1.7との性能差は(未所有の為)不明だが、
レンズ構成等に、あまり大きな変更は無い事であろう。
銀塩時代より、この手の標準レンズの構成は、5群6枚の
変形ダブルガウス型と相場は決まっており、各社の、
どの標準レンズを買っても、殆ど差異は無い。
(それだけ完成度が高いという事だ)
c0032138_17331104.jpg
さて、本DA50/1.8の特徴だが、まずは、そこそこ高い描写力が
ある点だ。このDA型番の単焦点のエントリーレンズのシリーズ
には、例えばDA35/2.4(ハイコスパ第10回)や、DA40/2.8XS
(レンズマニアックス第6回)等があるが、それらはあまり
感動的と言える程の描写性能は持たない。
だが、本レンズの場合は、旧来の「リファレンス」(参照用)
として安定した描写力を持っていたPENTAX標準レンズの
テイストが踏襲されている高描写性能だ。

また、122gと軽量化されている。
ただし、デザイン上では姉妹レンズDA35/2.4のような優美さは
無いし、DA35/2.4にあったオーダーカラーシステム
(11色だかの色が選べる)も無い。

PENTAXのオーダーカラーシステムだが、2010年頃~2013年頃の
間迄で、ほぼ終息してしまっている。ただ色付きボディが無く
なった訳では無く、その後のPENTAXや各社カメラには色付き
ボデイが依然ラインナップされている。
単に、ユーザーが色やその組み合わせを選べる、という要素が
無くなっただけだ。

まあ、現代でもたまに、その時代のオーダーカラー品のカメラが
中古市場に流れて来る事があるが、色の組み合わせが非常に奇抜
な物もあり(汗)そういうカメラは、なかなか買いづらい。
結局メーカー側がデザインバランスを崩さない程度に色分けした
標準品の方が安心して購入できる事であろう。

なお、PENTAXは銀塩時代の古くより、各々のカメラ製品の
生産終了間際に、特殊なカラーや仕様の製品を発売する事が多い。
これは、製品寿命をさらに延ばす措置であろう。
現代においても、例えば、K-7,K-5,K-3,K-1といった高級機に
各々限定版が発売されているが、いずれも限定版はシルバー塗装
となっていて、あまり奇抜な色や仕様のものは無い。

ちなみに、これらのシルバー塗装品は、銀塩AF時代のFA-Limited
の銀色版とのデザイン・マッチングが良いと思われ、私はそれらを
3本所有している為、ちょっと欲しいと思う事も多々あるのだが、
その目的には、久しぶりに発売当初がらシルバー版が用意された
PENTAX KP(今回使用機)を所有しているので、あまり欲張らない
ようにしている。

それから、カラーボディは同一機種を複数台所有する際に、
ボディ色で個体を識別できるので結構好ましい、だた、それは
かなりマニアックな使い方なので、一般ユーザーには無縁の話だ。

余談が長くなった。まあ、本DA50/1.8は、描写性能的には、
ほとんど不満は無い事であろう。
c0032138_17331134.jpg
逆に弱点だが、まず前述のようにあまり高級感が無い外観な事だ、
まあでも、このあたりは新品実売1万円台のエントリーレンズで
あるが故にやむを得ない。
APS-C専用レンズなので、もう少しコンパクトにも作れるような
気もする。つまりDA40/2.8系や、DA70/2.4(ハイコスパ第12回)
のような超小型、という雰囲気は本レンズには無く、フィルター
サイズもφ52mmと普通の標準レンズのサイズ感だ。
軽量だけに、なんだかスカスカな印象があり、安っぽい。

それから、特別な性能が与えられていない事も、やや不満だ。
例えば他社同等品では、SONY DT50/1.8(ハイコスパ第1回)は、
最短撮影距離が34cmと、優れた近接性能が与えられているが、
本DA50/1.8の最短は45cmと、一般的な標準レンズ並みだ。

さらには、QFSF(=クイックシフト・フォーカス・システム、
すなわち他社で言うフルタイムMFと同等の意味)の機能が入って
いない。加えて、ピントリングが有限回転式である点はMF時に
好ましいが、距離指標が無いので、実質上、MFでの使用には
あまり適しておらず、AF専用レンズと考えるのが良いであろう。

PENTAXの小型軽量の普及一眼レフ等と組み合わせて、軽快かつ
ローコストなシステムとして使うのが望ましいレンズである。
価格的に安価で、壊してもあまり被害が無い、という点で、
過酷な撮影環境で使うのも、特に有益かも知れない。

----
さて、次のシステム
c0032138_17332797.jpg
レンズは、HOLGA HL-O 60mm/f8
(新品購入価格 1,000円)
カメラは、SONY α7 (フルサイズ機)

2010年代初頭発売の中国製の安価な一眼レフ用トイレンズ。

HOLGAのこのタイプのレンズとしては3本目の紹介だ。
旧来の記事では、ミラーレス機用25mm/f8(ハイコスパ第24回)
や、PENTAX Q用10mm/f8(ミラーレス・マニアックス第68回)
を紹介した。

本来、このHOLGAレンズは同社銀塩中判(6x6判)カメラの固定式
レンズを単品化し、デジタル一眼レフ用とした物が2000年代
から発売されていたのだが、当時APS-C機が主流のデジタル一眼
レフ用としては、換算焦点距離がやや長めとなる事、そして
HOLGAレンズの特徴である周辺光量落ち(=「ヴィネッテイング」
注:「トンネル効果」と言う表現は重要な物理学用語と被る為、
本ブログでは非推奨(=使ってはならない)としている)
・・が発生しないので、もの足りない印象があった。

これに対策を施した物が、一眼レフ用での「BCエフェクト機構」
搭載品である。
BC(ブラックコーナー)は、すなわち「周辺光量落ち」であり、
これを実現する為、レンコン状に多数の穴の開いた部品を
絞り位置付近に配置する、この為、実絞り値はF10~F11相当
とやや暗くなるが、「周辺光量落ち」の効果が現れる。

ただし、BCは工作精度などで固体差がある模様で、本レンズ
の場合は、あまり綺麗な周辺光量落ちの効果は出ない。
なお、こういう場合は、デジタルズーム機能を用いて、
ある程度周囲をカットする事も対策としてはありうる。
c0032138_17332791.jpg
なお、本シリーズのレンズには絞り機構は搭載されておらず
全て開放F8(実質はやや暗い)で固定である。

で、初期の本レンズにはBC機構が搭載されておらず、
BC付きは、2011年以降の製品群であったと思われる。
本レンズは、一眼レフ用であり、発売当時ではニコンF、
キヤノンEFなど、いくつかのマウント版があった。

発売時価格は3000円+税であり安価だ。

さらに、この60mmのままで4/3版(注:μ4/3では無い)が
発売されていたのだが、ご存知のように、その後、4/3機は
ほぼ絶滅し、μ4/3ミラーレス機に移行してしまった。

近年、アウトレット専門ショップ(カメラ以外の商品が主だ)
で、本レンズを見かけた。
4/3版なので、在庫が売れ残っていたのであろう。
新品価格は定価の7割引きの約1000円と、非常に安価であった。
「そういえば一眼レフ用の60mm版は持っていなかったなあ・・」
という事で、これを購入した次第である。

さて、4/3用というマウントだが、これを使うのはやや難しい。
4/3機は、E-410をまだ現役で使用しているが、今回はちょっと
捻くれて、フルサイズ機で、どれ位「周辺光量落ち」が出るのか
試してみたくなった。4/3機とフルサイズ機ではセンサーサイズの
対角線長が約2倍違うので、こういう効果ははっきり出る筈だ。
c0032138_17332890.jpg
だが、上写真のように、フルサイズ機ではイメージサークルが
小さすぎる為、適宜トリミングして使う事とする。

それと、4/3用レンズをアダプターで使うのは普通は難しい。
何故ならば4/3用レンズはピントや絞り値をカメラ側から電気的
に制御する為、一般的なアダプターでは装着はできたとしても、
レンズをマニュアル(フォーカス、絞り)で使う事が出来ない。

この為、本家オリンパス等からμ4/3機で4/3レンズを使用できる
電子アダプターが発売されているが、2万円以上と高価だ。
(注:中古ならば1万円以下と適価となる)

ただ、これらは純正のAF系の4/3用レンズの場合の話だ、
ピントがMFで、絞りの制御もカメラ側から不要なトイレンズ
等では、カメラとの電気的なやりとりは必要とせず、
単にマウント形状だけ合わせてあげれば良い。
c0032138_17332746.jpg
以前、まったく同様の理由で、4/3機用商品で売れ残っていた
LENS BABY MUSE(4/3用)を在庫処分で安価に購入して使っている。
(本シリーズ第4回)その際に、4/3用の非電子アダプターを
購入してあったので、それを使って、今回はEマウント機α7に
装着している次第だ。
これで「1000円のレンズを使う為に、2万円のアダプターを
買わなければならない」という不条理な事態は避けられている。

さて、本レンズの特徴だが、まず長所とも短所とも言えるのが
この「ユルユルの写り」である。

大阪の、ある老舗中古専門店では、本レンズを取り扱っていて
そのショーウィンドウには「ともかく写りが悪い」と自虐的な
ポップ文章が書いてある、これではまるで「日本一まずい菓子」
のような「怖いもの見たさ」で購買意欲をそそるようなもので
あるのだが、その専門店に来る客層は、ほとんどがシニア層や
マニア層だ(観光名所に近い為、近年は海外からの観光客も
とても多い)で、そうしたユーザー層に「トイレンズ」の
意味や意義は簡単に理解できるとはあまり思えず、自虐的な
宣伝文句となっているのであろう。
c0032138_17332718.jpg
本レンズは勿論「トイレンズ」である、現代の良く写りすぎる
機材へのアンチテーゼ(対立する主張)もあるだろうし、
これによる、今まで見た事が無い「表現」を得る為のアート的
要素も多分にある。

私自身は「トイレンズ」は非常に好きであり、沢山のそれを
所有していて、過去記事でも色々と紹介している。
これら「トイレンズ」を否定する理由は何も無く、むしろ
本来の「新しい表現力を得る」という点では、大きな武器とも
なってくると思っている。

ただ、レンズ評価等を行う場合、私が良く評価項目にあげて
いる「必要度」という要素では、トイレンズは常に最低点に近い
評価だ、つまり「持っていてもいなくても良い」レンズの
代表格であり、周囲の知人友人等に積極的に薦める事もしない。

まあ、一々長所や欠点を上げる必要も無いレンズである、
トイレンズの概念や使い方については過去いくつもの記事で
書いてきているので今回は割愛する。そうしたトイレンズの意義
やコンセプトが理解でき、それに賛同または興味を持てるならば、
トイレンズを買えば良い、まあ、そんな感じであろう。

----
さて、次のシステム
c0032138_17334114.jpg
レンズは、OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL ED 30mm/f3.5 Macro
(中古購入価格 22,000円)
カメラは、OLYMPUS OM-D E-M5 MarkⅡ Limited (μ4/3機)

2016年発売のμ4/3専用AF単焦点標準画角マクロレンズ。

最大の特徴は、レンズ単体で等倍を越え、1.25倍の撮影倍率
を得る事ができる点だ。これは被写体が写る範囲(撮影範囲)を
フルサイズ相当で見た時の定義であり、μ4/3機の場合はセンサー
サイズがフルサイズ機の約半分であるので、撮影倍率は倍となり
「2.5倍相当」のマクロレンズであると言える。オリンパスの
WEBサイトには、あくまで35mm判(フルサイズ)換算ながら、
「標準焦点域のマクロレンズとしては最高レベルである」
と記載されている。
c0032138_17334154.jpg
まあでも、もっと撮影倍率を上げる手段は他にいくつもあり、
例えばレンズ単体においても、中一光学 Free Walker 20/2
(レンズマニアックス第2回記事)は4.5倍もの撮影倍率を持ち、
これは、μ4/3機では実に換算9倍もの高撮影倍率となる。

あるいはリバースシステム(ミラーレス・マニアックス第67回)
でも最大撮影倍率4倍のシステムを紹介している。
また、ヘリコイド内蔵アダプターやエクステンションチューブを
用いて、撮影倍率を高めるのもミラーレス・マニアックス記事で
色々紹介しているし、もっと簡便には、デジタルズームや
デジタル・テレコン機能を用いても、見掛け上の撮影倍率を
高める事が可能だ。

今回使用のE-M5 MarkⅡでも、2倍デジタル・テレコン機能が
入っているので、フルサイズ換算5倍で撮影する事は容易だ。
あるいは、画像編集でトリミングをすれば、閲覧解像度(画素数)
の許す範囲内で、いくらでも見かけ上の撮影倍率を高められる。

だからまあ、あまりカタログスペック上での撮影倍率の高さに
拘る必要は無い、他になんとでも倍率を高める手段はあるからだ。

そして、あまりに撮影倍率を高めると撮影が極めて難しくなる。
前述の中一光学 FreeWalker 20/2を第2回記事において
撮影倍率9倍のシステムとして試写した際には、1000枚中10枚
程度しか使える写真が無く、99%がピンボケまたは構図的に
大きなズレが出て使い物にならない、という結果となった。
同様に、撮影倍率を高めると出てくる「露出倍数」(見かけ上、
レンズが暗くなる)も大問題であった。

本システムにおいても、銀塩換算2.5倍という撮影倍率において
どこまで実用に耐えられるのか?という点がポイントとなる。
c0032138_17334142.jpg
それについての問題点は、まずAFでは、近接になるほど
ピント精度が怪しい、本レンズは駆動部品等を軽量化し
従来比2~3割のAF高速化を施したとの事だが、速度はともかく
AF精度が足らず、近接ではピントが合い難いのが大きな課題だ。

これはカメラとの相性にもよるかも知れないのだが、今回は
本レンズとほぼ同時代に発売された E-M5Ⅱ(2015年)を用いて
いるので、これでもシステム的な相性は取れている方であろう。
これでAF精度が出ていなければ、他の大多数のμ4/3機では
アウトだ。

かといって、MFで使おうとしても、無限回転式ヘリコイドでは
MFでの使い勝手が悪い、これは殆ど全てのミラーレス機用の
普及版レンズで同様な課題を持つ。
E-M5Ⅱとの組み合わせでは、S-AF+MFのモードを使うと、
AFで合焦しなかった際、すぐさまMFに移行でき、その際には
MFアシスト(拡大、ピーキング)機能も併用できる。

まあ、なのでピントの問題は重欠点とは言えないのだが、
使い難い事は確かだ。それにその課題は、本レンズ自身の
問題点のみの話ではなく、ミラーレス機の本体側を含めた
システム的な課題によるものだ。
c0032138_17334133.jpg
描写力は、マクロレンズを1つのお家芸とするオリンパスの
製品らしく、あまり不満は感じない。

価格もあまり高価ではなく、μ4/3用の常用マクロとしては
お勧めだ。

----
次は今回ラストのシステム
c0032138_17335369.jpg
レンズは、TAMRON SP 45mm/f1.8 Di VC USD(Model F013)
(中古購入価格 36,000円)
カメラは、NIKON Df (フルサイズ機)

2015年発売のフルサイズ対応の単焦点小口径標準レンズ。
本シリーズ第4回記事で紹介したSP85/1.8の姉妹レンズ
であり、このシリーズには他にもSP35mm/f1.8が存在する。
(後日紹介予定)

近代の新鋭単焦点レンズの例にもれず、高付加価値型製品だ。
特徴として、高解像力、高い描写性能、高い近接性能
(最短撮影距離=29cm)、内蔵手ブレ補正機構(VC)
超音波モーター(USD)と、現代のレンズとしてフルスペックだ。
c0032138_17335497.jpg
最初に弱点をあげれば、標準レンズとして考えると大きく重い。
フィルター径はφ67mmもあり、大きいという印象があった姉妹
レンズのSP85mm/f1.8と同じであった事は、購入時にはちょっと
驚いた次第である、また、重量も520g(注:ニコン用)という
点で、標準レンズとしてはかなり重い部類だ。
(注、ライバルのSIGMA Art 50mm/f1.4は815gと、さらに重い
本シリーズ第2回記事参照)

大きさと重さからか、USD(超音波モーター)の動きは、あまり
迅速という印象は得られない。
それから、SP85/1.8は、ニコン用でも電磁絞りを採用して
いたが、本レンズは通常の機械式絞りだ。

まあ、ニコン用(Fマウント)レンズは、マウントアダプターで
他の多くのカメラ(一眼レフやミラーレス機)で使用できるの
だが、電磁絞りのEタイプレンズは他社機では、普通のマウント
アダプターでは使用できない(=絞りが動かない)、かつ
ニコン製の一眼レフであっても、2000年代末以降の機種
(例:D300以降)で無いと使用できない、なので、この仕様は
弱点とは言えないであろう。

さらには、45mm/f1.8と地味なスペックの割りに高価である、
定価9万円+税であり、新鋭レンズとは言え旧来のAFの50/1.4
級レンズの2~3倍の定価だし、エントリー標準レンズ
(例:本記事冒頭のDA50/1.8)と比較すると、4~5倍もの
価格差となってしまう。

まあ、一眼レフ市場が縮退している近年においては、メーカー側も
本レンズのような高付加価値型商品を出して、利益を上げないと
やっていけない状況であるのは、他の様々な記事でも書いた通りだ。

だとすれば、ユーザーとしては、そうした高価な最新レンズを
買うのか?買わないのか?という選択が重要であるのだが、
まあ私個人の意見としては、特定の撮影シーンなどで、必要性が
あるのならば買えば良いと思っている。
(ここは、あくまで「必要性」がポイントで、特に使う当ても
無く高価なレンズを買うのは、本来あってはならない事だ)

ただ、「コスパ」という面からは、それらの最新レンズは、
旧来のレンズに比べて極めて効率が悪い。
だから、あくまで「購入予算があれば」という条件もポイント
となり、資金面で無理をしてまで購入する必要は無い。
まあ、すぐに必要性は無いが、それでも欲しかったら、何年か
待って中古相場が十分に下がったタイミングで買うと言う
選択肢もあるかと思う。
勿論、価格が数倍に跳ね上がったからと言って、従来型のレンズ
よりも、値段に見合うまでの描写力の改善がなされている訳でも
無いのだ。

ただまあ私は、当初、名レンズ FA77/1.8を暗所でのライブ系
人物撮影用途に使う際の代替機材として(注:FA77/1.8は、
ミラーレス名玉編第1位と、十分過ぎるほど優秀なレンズだが、
設計がおよそ20年前と、やや古い)TAMRON SP85/1.8に目をつけ、
その目的に十分に足りるレンズであったから、そのシリーズ
(新鋭SP単焦点F1.8級)の他のレンズにも興味が出てきて
購入した訳だ。

なお、同様にライバルのSIGMAの新鋭ART LINE単焦点レンズ群も、
なかなかの描写力を持ち(重くて高価だが)気に入って少しづつ
揃えている次第である。
c0032138_17335432.jpg
さて、本SP45/1.8だが、描写力や近接性能、内蔵手ブレ補正等、
旧来の標準レンズに比べて様々なアドバンテージはあるものの、
開放F1.8という平凡なスペックが仇となって、あまり人気が
出ないのではなかろうか?と予想していた。
であれば、ユーザーの立場からは、時間が経って中古の値段が
下がってから買うのが本来の賢いスタンスだが、今の時代に
おいて、それ(あざとい中古買い)をやってしまうと、
縮退しているカメラ市場をメーカーが維持していくのが大変だ。

まあ、悪いレンズでは無い、重欠点と呼べる弱点は殆ど無いので
最新の高画質のレンズが欲しい初級中級ユーザーであれば、
購入を検討しても良いと思う、値段にさえ目をつぶれば、
買って損は無いレンズだ。

気になる価格だが、本レンズの発売後2年程経過した2017年後半
では定価の半額位(45000円前後)の新品在庫アウトレット品が
中古市場に良く流通していた。前述のように平凡なスペックの
レンズであるから、初級中級層では、あまり本レンズの価値は
量りきれない訳なのだろう。
新古品が中古市場に出始めると、連動して一般の中古品相場も
下がる、本レンズは多少キズ有りのBランク品で、36000円程と
定価から比較すれば十分に安価であった。ただ、これでも、
本記事冒頭のDA50/1.8の4倍程の入手価格となっているが・・
c0032138_17335327.jpg
余談だが、本レンズは電磁絞り対応では無いが、その露出制御
の安定性等は、撮影においては、あまり重要な要素では無い。

(つまり、もし露出安定性が絶対に必要なのであれば、
もっと昔から改善されていてしかるべきであった事だろう。
ニコンFマウント機が出来てから約50年間も改善されなかった
のは、技術的な制約よりも、そもそも余り必要性が無かった
からであろう、従来型レンズでも普通に写真は撮れるのだ。
新機能を搭載してマウント互換性を失うのも好ましく無いし・・
高速連写で露出がバラつく点は、今はまあ電磁絞りレンズの方が
耐えうる要素が大きいが、電磁絞りレンズであっても40年も
50年も経過したら正常に動作する保証は無い、それならば
いっそアダプターで、実絞り測光で使った方が、はるかに安心
だとも言えるが、それが出来ない事が問題なのだ)

まあ、本レンズが電磁絞りレンズでは無い事は良し悪し
あると思うが、私としては、この仕様で良いとは思っている

---
さて、本記事はここまでとする。


Viewing all articles
Browse latest Browse all 791

Trending Articles



<script src="https://jsc.adskeeper.com/r/s/rssing.com.1596347.js" async> </script>