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レンズ・マニアックス(6)

新規購入等の理由で、過去の本ブログのレンズ紹介記事では
未紹介のマニアックなレンズを紹介するシリーズ記事。
今回も、引き続き未紹介レンズを4本取りあげる。

なお、実写用カメラはできるだけレンズの特性に合致した
機体をチョイスしており、本ブログでの持論となっている
「カメラ価格をレンズよりも高すぎないようにする」
”オフサイド禁止の法則”については緩和している。

まずは最初のシステム
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レンズは、smc PENTAX-DA 40mm/f2.8 XS
(中古購入価格 12,000円)
カメラは、PENTAX K-01 (APS-C機)

2012年に発売されたAPS-C機専用超薄型準標準レンズ。

当初はK-01のキットレンズとしてバンドリング販売された
物だが、後の時代になってからの単品購入となった。

K-01関連の記事(デジタル一眼レフ第14回、
ミラーレス・クラッシックス第9回等)で散々書いてきたが、
K-01は工業デザイナー「マーク・ニューソン」氏による極めて
個性的なデザインのカメラであり、それにマッチする雰囲気の
レンズは、なかなか存在しなかった。
本レンズは発売時から気にはなっていたが、黒鏡筒では黄色の
K-01には何となくアンバランスな気がして購入を躊躇っていた。

近年、シルバーの本レンズの中古を見かけ「銀色なら良いか」と
購入した次第だ。
K-01とセットでの当初発売時には本レンズの銀色版は無く、
後にK-5とセットの限定発売版(K-5 Sliver Special Edition)
として銀塗装で1500本販売された内の1本だと思われる。

なお、本レンズも基本デザインをマーク・ニューソン氏が
手がけている。

一般的に言われる「パンケーキ・レンズ」よりもさらに薄い為
PENTAXではこれを「ビスケット・レンズ」と呼んでいる。
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レンズ構成は、上位レンズのDA40/2.8Limitedと同じ4群5枚、
最短撮影距離も40cmと両者同じである。

フィルター径はφ27mmと極めて小さい、このサイズだと
市販フィルター等の種類もかなり限られてくるが、銀色枠の
保護フィルターを見つけたので、それを装着して使っている。

本レンズの原流は、銀塩時代1970年代のPENTAX M40mm/f2.8
(ミラーレス・マニアックス第37回記事)に迄さかのぼる。
M40/2.8も薄型レンズであるが、他社のパンケーキが軒並み
3群4枚のテッサー型であったのに、M40/2.8は4群5枚と異なる
構成であった(本レンズと同じ枚数)

当初、M40/2.8をK-01に付けるのも良いかな?と思って試したが、
K-01でのM型レンズは絞りが作動しないという問題を抱えていた。
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1972年、OLYMPUSは、センセーショナルな小型一眼レフ M-1
(後にOM-1)を発表する。PENTAXはこれに負けじと、OM-1より
さらに僅かに小さいMXを開発し発売する、1976年の事であった。
(MXは過去所有していたが、譲渡により現在未所有)

M40/2.8、すなわち「M」シリーズレンズは、そのボディの
小型化に合わせて開発された小型レンズ群である。

1980年代前半には一眼レフはマルチモードAE化するが、それに
合わせて開発されたのが、自動絞り位置を持つ「A」レンズだ。
が、M40/2.8はこれに対応しなかった。

1980年代後半に各社の一眼レフはAF化、PENTAXもSFシリーズ
で追従する。合わせて各レンズのAF化を行い「F」レンズとなる。
このあたりでM40/2.8は姿を消している。恐らくだが当時の
技術では、この薄型レンズに自動絞り(マルチモード露出)や
AF機構を入れる事が出来なかったのであろう。

その後1990年代には、レンズ内にROMを入れた「FA」レンズと
なるが、M40/2.8に相当する薄型レンズは発売されていない。
あえて言えば、1990年代後半にFA43/1.9Limitedが発売
されたが、これは準パンケーキ型だ(ミラーレス・マニアックス
第1回、第64回)

この時代、「パンケーキブーム」が起こり、各社の古い薄型
レンズの中古相場が急騰した。M40/2.8も同様に高騰したのたが、
基本的にパンケーキレンズの描写力はさほど高いものでは無い。
対して、新鋭FA43/1.9は極めて高い描写力を誇っていたので、
私はむしろ、そちらに興味を持っていた。M40/2.8は一応所有
してはいたが、あまり活躍する事は無かったのだ。

デジタル時代に入ってから、2005年にDA40/2.8Limited
(APS-C専用、未所有)が発売される。これがおよそ30年ぶり
に新発売されたPENTAXの薄型(パンケーキ型)レンズだ。
勿論、AF搭載、AE対応、最短撮影距離の短縮など、これ迄の
間の技術的課題を解決している。

そして2012年の本DA40/2.8XS超薄型レンズ発売という歴史だ。

まあ工業デザイナーは好き放題に超薄型にデザインすれば、
それで済むのかも知れないが、カメラ(レンズ)の歴史を
振り返っても、技術革新は、そう容易なものでは無い。
PENTAXは、この難問に良く挑戦し、パンケーキより薄い
AF搭載のビスケット・レンズを見事完成させたものだ。
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さて、本DA40/2.8XSの特徴だが、勿論超薄型小型軽量な事だ、
薄さ9mmは恐らく歴代トップのレンズであろう。
重さ52gもトップかと思われる、全てのデータを調べた訳では
無いが、RICOH XR45/2.8(現在未所有)が55gで、これが
これまでの最軽量だったと記憶している。

なお、ミラーレス機用ならばさらに軽量なレンズはいくらでも
存在し(ハイコスパレンズ第24回記事に一覧表)最軽量は、
PETANX 07 MOUNT SHIELD LENS 11.5mm/f9の僅か8gだ。

本DA40/2.8XSの描写力だが、普通によく写り、外観から
想像されるような「トイレンズ」では決して無い。
AF性能が壊滅的に悪いK-01との組み合わせでも、近接撮影以外
ならばまあまあいけるので、K-01の常用レンズとしても適任だ。

なお、元祖M40/2.8の最短は60cmと長く、そこが不満だったが
さすがに35年以上もの時を隔てて発売された新型レンズなので
最短40cmと、一応「焦点距離の10倍ルール」をクリアしている。

弱点だが、勿論MFが可能であるがピントリングが極めて細く、
使い難い。そしてそもそもK-01は、貧弱なAF性能のみならず、
MFでも、EVF非搭載、背面モニターの解像度が低い、ピーキング
精度が低い等、やはり壊滅的に問題アリなのだ。
MFを諦めてAFオンリーで使うしか無いであろうが、それでも
K-01でのAF精度の課題は残り、ピンボケ写真を頻発する。

なお、K-01ではなくPENTAX KP等のデジタル一眼レフであれば、
AFピント精度は若干マシで、MFでもなんとか使える。
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まあ、非常に趣味的なシステムであるので、レンズの描写力等は
もうある意味どうでも良い。高い描写力が必要な撮影であれば、
PENTAXには優秀で個性的な単焦点レンズが他にいくらでもある。

K-01と本レンズの組み合わせでは、優秀なエフェクト機能を
活用するのが良いであろう、基本的には「そういう類の
遊び専用システム」であり、本格的な撮影用途に本システムを
使おうとするのは合理的な選択では無い。

---
さて、次のシステム
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レンズは、TAMRON SP 70-300mm/f4-5.6 Di USD (A005)
(中古購入価格 19,000円)
カメラは、SONY α65 (APS-C機)

2010年発売のフルサイズ対応の高画質仕様望遠ズームレンズ。
それまでTAMRONのレンズ機種名はやたら長かったのだが、
本レンズから、AF/LD/MACRO/IF/Asperical等の、当たり前
とも言える部分の表記が省略された。
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旧来から各メーカー、そして勿論TAMRON においても
70-300mmというスペックの望遠ズームは極めてポピュラーだ。

TAMRONにおいては、1980年代のMF時代には同じスペックの
レンズこそ無かったものの、例えば近い仕様のものとして
SP60-300mm/f3.5-5.4 (23A)(ミラーレス・マニアックス
第58回記事)が存在していた。
1990年代のAF時代には、本レンズと同スペックのModel 172D
から始まり、372D,472Dと順調に改良が続き、さらに
2000年代にも、572D,A17とマイナーチェンジが続く。

2010年になってTAMRONの「創業60周年記念レンズ」として
発売されたのが、本A005型だ。
それまでの同仕様のレンズからは完全なモデルチェンジであり
例えば旧来の製品がおそよ500g以下の軽量レンズであったのが
いっきに765gとなり、ずっしりと重い大型レンズとなった。
(旧製品の一部は後日紹介予定)
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本レンズが発売された2010年、私はタムロンの本社を訪れ
技術開発陣と話をする機会に恵まれたが、エンジニアの方から
「今度出るSP70-300mmは自信作です、お勧めです」
という話があった。私は
「わかりました、いずれ購入します」
と答えたのだが・・

なんとなく旧来の70-300mmは全て廉価版レンズであった為、
SP(高画質)仕様と言えども、いまいち食指が動かなかったのだ。
「いつか値段が下がったら買うか・・」と思いつつも、
いつのまにか7年が過ぎていた(汗)

2017年になって本レンズが「A030型にリニューアルされた」
というニュースを見かけた。
しかし、その新型レンズは旧来のA005型と同じ光学系で外観を
変更しただけだったのだ。

「なるほど、これは旧来のA005の光学系の完成度が十分に
 高かった、という事なんだろうな。これが当時のエンジニア
 が言った"自信作"という意味か・・」と私は理解した。

それと、新型のA030はニコン用とキヤノン用しかラインナップ
されておらず、SONY α(A)用は発売されない模様であった。
この理由は、他の記事でも色々書いたので詳細は割愛するが
つまり市場縮退の現代では、売れるマウントで高付加価値
(例、手ブレ補正内蔵VC型)の物しか作らない、という
メーカー側の戦略転換だ。

すると買うべきは、旧型(A005)のSONY α(A)版がベストだ。
新型のニコン、キヤノン用は、後日、いつでも買える。
で、SONY α用だと、ちょっとした特殊用途が考えられる。

近年のαフタケタ機、例えば私が所有しているα65,α77Ⅱでは、
デジタル(スマート)・テレコンバーター機能により、簡便に
1.4倍、2倍の焦点距離(画角)を画質無劣化で得られる。
すなわちAPS-C機であれば、テレ端がノーマル時で450mm相当、
テレコン時では630mm,900mm相当の画角が(手ブレ補正付きで)
得られる事になる。
「これは、かなり軽量な超望遠システムが出来るのではないか?」
と思った次第だ。

特に500g台という軽量かつ高性能なα65との組み合わせでは
ハンドリング(取り回し、可搬性)に優れたシステムが
成り立つ事になる。これは、小規模会場におけるボート大会や、
スポーツ全般や運動会、イベントあるいはライブ撮影、動物園、
野鳥や昆虫、小動物等のフィールド(野外)撮影、等に極めて
有効ではなかろうか?と思うようなった。

おまけに新型のA030の発売で、旧型A005は2万円を切る安価な
中古相場となっている、「これは買いでしょう」という判断に
至った。
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長々と本レンズの購入動機を記載してきたが、以下は
本レンズの評価だ。

まず長所であるが、思いの他、非常に優れた描写力を持つ事だ、
解像力をはじめとして、ボケ質等も基本的には問題無い。
逆光耐性に優れ、コントラストの高いヌケの良い画像だ。

これならば「SP」の名は伊達(だて)では無い、文句無しだ。

しかし、細かい弱点も色々ある。
まず、若干のボケ質破綻が出て、かつその回避も困難である事だ。
また、遠距離&望遠端撮影では、解像感の低下などが現れる。

それと重量級レンズである事。765gという重量はα65本体よりも
約200gも重く、バランスやホールディングが悪く、長時間の撮影
ではカメラグリップに強く当たっている部分の指が痛くなる程だ。

まあでも、そのあたりはα77Ⅱとの組み合わせでは問題が無い。
理由はα77Ⅱが重いからでは無い、あくまで組み合わせの相性だ。
「最軽量高性能望遠システム」を意図して、α65との組み合わせ
を目論んだのが、ちょっと甘かったという事だ。
(なお、知人の女性は、これと同一のシステムを所有して
いるのだが、長時間使用しても指が痛くなる事は無いとの話。
まあ個人毎での手指の大きさの差もあるのだろう)

フードは深く大型なので、PLフィルターを装着した際は
フード前部から指を入れてPLの回転枠を廻すのは困難であろう、
ただ、私はPLフィルターを常用しないので問題は無い。
「PLを常用する」というのは過去の銀塩時代の、色々デメリット
がある半分誤った常識であるので、現代では推奨されない。

レンズには「ズームロック」機構が無く、自重で伸びるが、
TAMRON SP200-500(A08)ほど、無茶苦茶に長いレンズでは
無いので、地面にぶつかる事は無い、なので勝手に伸びても
気にしなければ良い。

AFはちょっと問題有りで、速度はともかく、精度が悪い。
特に、花などの様々な近接被写体がある中で、昆虫などに
ピンポイントでAFをぴったり合わせるのは精度的に厳しい。
(注、勿論中央固定スポットAFモードだ。なお、この弱点は、
新型A030では若干の改善が図られている模様だ)

で、AFが精度不足で合わないのでMFに切り替えて使おうとする、
レンズ側にAF/MF切り替えスイッチがあるが、それはまあ
カメラ本体側でも制御できるので不要であるとは言えるし、
フルタイムMF機能も一応使える。

問題はズームリングとピントリングが独立回転式である事で
これはズーミングとMFが同時に出来ず、不便な操作性だ。

そしてα65にはDMF(ダイレクト・マニュアルフォーカス)
機能は無いが、α77Ⅱでは設定でAF-AをDMFに変更できる。
本レンズは、USD(超音波モーター)仕様ではあるが、
α77ⅡではDMF機能(あるいはフルタイムMF)が効く、加えて
α65ではMFに切り替え無いとフォーカス・ピーキングが出ないが、
α77ⅡではDMFにすればピーキングが効く。

しかし本レンズがUSD仕様であるが故に、ピントリングが
最短および無限遠で止まらず、無限回転式となってしまう。
一応距離指標窓があるが、手指の感触ではわからない為、
最短撮影距離付近で撮影する場合、MFでピントリングをいくら
廻してもピントが合わない(最短を下回っているケース)
そして、旧型の非SP版(x72DやA17型番)では、最短が95cm
(マクロモード時)であったのに、本A005は最短1.5mと不満だ。
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なお、フルタイムMFが出来るUSD仕様なのに、何故わざわざ
DMFモードでMFをしなければならないのか?と言えば、AFモードの
ままでフルタイムMFをしてもα機ではピーキングが出ないからだ。
例えばα77ⅡでDMFを選んだ場合のみ、フルタイムMFでもDMFでも
ピーキング機能を活用できる。

まあでも、本レンズの開発時点では、ピーキング機能がある
デジタル一眼レフは存在していなかった。だからそうした
後世の操作系に対応できていなかったとしてもやむを得ない。

細かい短所は色々とあるが、基本的には描写力には不満を
感じる事は無いであろう。
入手価格が2万円以下であれば十分にコスパは良い。

---
さて、次のシステム
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レンズは、smc PENTAX-DA 16-45mm/f4 ED AL
(中古購入価格 11,000円)
カメラは、PENTAX KP (APS-C機)

2003年発売のデジタル(APS-C機)専用標準ズームレンズ。

恐らくは本レンズが、PENTAX DA型番(APS-C機専用)の
初のレンズであろう。
なお、PENTAX-DAとハイフンが入るのが正しい製品名だが
本ブログでは便宜上、適宜これを省略している。
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近年になって本レンズを購入した理由であるが、上記の
DA型番初という歴史的価値を意識した事に加え、銀塩時代の
PENTAX FA28-70mm/f4 AL (ミラーレス・マニアックス第39回、
第67回、ハイコスパ第8回)の、デジタル機での代用用途だ。

FA28-70/4は1990年代にMZ-3との組み合わせで使っていたが、
名玉FA43/1.9が付属したMZ-3SEに買い換えた際に、下取り処分
してしまっていた。その事をちょっと悔やんでいて、約20年が
過ぎた2010年代になって、二束三文の中古相場となっていた
当該レンズを再度購入、様々なデジタル機に付けて遊んで
いるが、そこそこお気に入りのレンズである(下写真)
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PENTAXは、中判機を除いたデジタル一眼レフでは、2003年発売の
*istDより、2016年のK-1迄の間フルサイズ機を出さず、APS-C機
オンリーであった。APS-C機専用レンズがDA型番ではあるが、
フルサイズ用FA型番レンズも、勿論APS-C機で使える。ただし
画角(換算焦点距離)が狭くなってしまうので、実用的な広角
からの画角の標準ズームにはなり得ない。

で、FA28-70/4に最も近い画角のレンズが、本DA16-45mm/f4
なのだ(換算約24mm-68mm)、まあつまり、PENTAXとしても
FA28-70のデジタル版として本レンズを用意したのであろう。

ただ、FA28-70に比べ、本DA16-45は一回り、二回りも大きく
重く感じる。スペック的には本レンズの重量は365gと、さほど
重くは無いが、大柄なのと、FA28-70/f4が小型軽量レンズで
あったので、比較すると、どうしても大きく重く感じる。

それに、イメージサークルの小さいデジタル(APS-C)専用レンズ
で焦点距離も短いのに、何故にフルサイズのFA28-70よりも
大きくなるのか?そもそも、そのあたりが良く分からない。

逆望遠(レトロフォーカス)型構成が必須な事は、銀塩広角
でも同じ事であろう。

それから、FA28-70/4は「リバース・システム」(レンズを前後
逆にしてカメラに装着して、超マクロレンズとして使う)に
最適の仕様である、という隠れた特殊用途が存在していたが、
本レンズはフィルター径がφ67mmと大きく、絞り環も無い為、
リバース撮影用途には全く向かない。
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さて、本DA16-45/4の特徴だが、
まず描写力は少々不満だ、解像感が低く、ボケ質破綻も出る、
さらには逆光耐性も低い。でもまあこれは2000年代の
標準ズームレンズであれば、まあこんなものであろう。

勿論この時代以前であっても、PENTAXに優秀なレンズは
いくらでもある。だから本レンズだけの問題であろう。
そして、FA28-70をAPS-C機に装着した方が、周辺収差が消え、
もしかすると本レンズよりも良くなるかも知れない。

いわゆるフルタイムマニュアル(Quick-Shift Focus System)
を採用している。しかし近年の他のレンズのように無限回転式の
ピントリングではなく、有限回転式であり、むしろその点は
最短や無限遠に手指の感触だけで合わせられるので、MF操作性の
上では長所となる(というか、無限回転式が全くMF向きで無い)

開放F値がF4で固定である事は、開放F値変動型ズームに比べて
様々な多大なメリットがある。その理由は他記事でも色々と書いて
いるので今回は割愛するが、まあ大きな長所であると言える。
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他の特徴はあまり無い、型番にあるED(特殊低分散ガラス)や、
AL(非球面レンズ)の採用はどうでも良い、問題は結果としての
描写力であって、そこに至る技術プロセスのみを測って、製品の
優劣を語る事は全く意味が無い行為だ。
そもそもEDレンズは、今から40年以上も前の1970年代のNIKON製
MFレンズでも多数採用されている、目新しい技術では無いのだ。

本レンズの直接の後継機種は無いが、DA17-70mm/f4 AL SDM
が仕様および撮影用途的には近いかも知れない、実はそのレンズ

も比較的安価な事から、購入時には迷った。
SDM(超音波モーター)仕様であれば、冒頭に紹介したK-01用
のレンズとしても、貧弱なAF性能を補佐できるかと思ったのだ。
しかしDA17-70/4は、本レンズよりもさらに大型で100g以上も
重くなっているので選択肢から外した。

本DA16-45/4とPENTAX KPとの組み合わせでは、カメラ価格の
方が突出する「オフサイド」となり好ましく無いが、旧型機、
例えば同時代2000年代の *istDsやK10Dと組み合わせて使えば、
雨天環境などでの消耗用のシステムとして適正だ。

中古相場がそこそこ安価なので、コスパは良いと言える。

---
次は今回ラストのシステム
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レンズは、SIGMA 135mm/f1.8 DG HSM | Art
(中古購入価格 100,000円)
カメラは、CANON EOS 7D MarkⅡ (APS-C機)

2017年発売の「アートライン」大口径望遠レンズ。
勿論フルサイズ対応だ、ただし手ブレ補正は搭載されていない。

定価約19万円と高価なレンズなので「ハイコスパ」をテーマ
とした場合での紹介に適しているかどうかは、かなり微妙だ。
ただ、もしこれが唯一無二の圧倒的なパフォーマンスを持つ
レンズであれば、絶対的な価格の高さは、あまり関係が無くなる。
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想定用途だが、ライブやイベント等での、やや暗所における
遠距離の人物撮影用だ。換算200mm級、F2以下というスペックが
その用途では有効となる。

旧来、この用途には、SONY Sonnar T*135mm/f1.8 ZA
(ハイコスパ第16回記事、以下ZA135/1.8)を使用していた。
そちらも定価20万円+税という高価なレンズであるが、
描写力は優秀であり、α一眼レフではボディ内手ブレ補正も
効くので重宝していた。
だがZA135/1.8は、AFが遅く、MF操作性も悪いという短所を
抱えている、そして、ツァイス銘ゆえに高価でありすぎる
(コスパが悪い、ラフに扱えない)という問題もあって、私の
機材使用コンセプト上では、あまり好ましいレンズでは無かった。

そして、動く人物の撮影においては、手ブレ補正機能があっても
有効では無く、被写体ブレ限界が手ブレ限界シャッター速度を
上回るので、SONYシステム使用時でもバッテリーの消耗を嫌って
内蔵手ブレ補正機能をOFFして使う事も多々あった。

また、ZA135/1.8は2006年発売と、古いレンズでもある。
描写力的にも、そろそろ古さを感じてくるタイミングである。
(近代のカメラシステムでは、発売後10年が、使用限界の
チェックポイントとなる、それを超えて使用する事も勿論可能
ではあるが、他の新製品と比較して、低い性能に感じてしまう
「仕様老朽化寿命」があるのだ)

それでも他にその用途を代替できるレンズが存在しなかった為、
ブツブツと文句を言いながらも使っていたのだが、近年になって
本レンズが発売された。SIGMA Art Lineでは他のレンズも
使っていて描写力には問題が無い事は知っていたし、思い切って
手ブレ補正機構を廃している事も、硬派で潔く、好感が持てる。
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問題は価格だ、2010年代のSIGMA Art Lineは「高付加価値戦略」
により、旧来のレンズ群より価格が上がりすぎている。
まあつまり一眼レフ市場の縮退により、高価なレンズを販売して
利益率を上げないと、レンズメーカーもやっていけない訳だ。

「まあ買ってみるまで、わからないか」とも思い、中古が適価に
なったと思われた時点での購入になった次第だ。
(ただし発売年での中古購入なので、まだ相場が高かった)

描写力だが、最大の特徴として解像感が非常に高い事がある。
ZA135/1.8とはまた異なる描写傾向で、ある意味近年の高画素
対応レンズの例に漏れず、カリカリの描写になったり、輪郭が
強すぎる印象もあるが、まあこれは撮影用途(被写体)次第だ。

最短撮影距離は87.5cmと短く、歴代135mm級レンズの中では、
第4位に相当すると思う(1位はZA135/1.8の72cm)
この為、今回の記事で試験撮影しているような、自然分野にも
そこそこ向く。ただ勿論フィールド(屋外)用途では、一般的な
中望遠マクロの方が遥かに汎用性が高く、かつ軽量でハンドリング
も良い為、本レンズをわざわざ持ち出す理由が無い。
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弱点はまず重い事か.
ZA135/1.8が995gと、これでもだいぶ重いと思っていたが
本A135/1.8は1130gと、さらに重い、
今回使用の高速連写機EOS 7D MarkⅡとの組み合わせでは、
装備重量2kgオーバーでハンドリングの限界値をやや超えている。
(この為、後年では、高速連写を諦めて、EOS 8000D等の
初級軽量機を本レンズの母艦とするケースも多々ある)

SONY α一眼レフであれば、500~600g台の軽量の高速連写機も
ある為、あまり問題無いが、CANONには軽量の高速連写機が無い。
本レンズのEFマウントでの購入は、SONY α版が発売されていない
という点もあるが、同じマウントのシステムにあまり機材を
集中させないという方針もある。
しかしそれは、あくまで私の機材使用コンセプトだ。
一般的には、できるだけ同一のマウントで機材を構成した方が
コスト面や故障、不調時の代替対応面でも合理的ではある。

けれど私は、それでは他社システムが進化した場合に追従できない
(あるメーカーの製品が他社に遅れた仕様でも我慢するしか無い
例:NIKON機の操作系設計が他社より大きく遅れている)
という点が気に入らず、できるだけ多数のメーカーのシステムを
並行して使うようにしている。

135mm/f1.8の望遠大口径は、ポートレートにも向くだろうが、
フルサイズ機を使った場合でも、その画角はやや狭い。
中遠距離ポートレートという用途は初級カメラマン等でのモデル
撮影会等では、あまり無いだろうから、その目的には使い難いと
思われる。使うならば、撮影距離が自由に設定でき、かつ、
時間をかけて多数の大口径レンズを交換利用できる業務用途での
人物撮影用だ。

それから、フィルター径はφ82mmと異常に大きく、保護、
減光等のフィルターのコストがかかる。

後、レンズが大きく重い為、AF速度もたいして速くは無い。

あと、これはレンズ自身の問題では無いが、EOS 7D MarkⅡ
との組み合わせでは、スクリーンのボケ質が奇妙に見える事、
それとMF時のフォーカスエイドが上手く動作しない事がある。
(注:他のEOS機でも殆ど同じ状況)

他に短所は無い、あえて言えばコストだが、この優秀な
描写力であれば、もうコスト高は不問と言えよう。
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上写真は遠距離での花火の手持ち撮影。とても特殊な
使い方だが、本レンズではそうした離れ業も可能だ。

が、ZA135/1.8の紹介記事(ハイコスパ第16回)でも書いたが、
135mm/F1.8は誰にでも必要なスペックのレンズでは無い、
特殊な用途での専用レンズであり、一般的な初級中級者での
汎用的用途には、価格面、目的面からも、決して推奨しない
レンズなので念の為。

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さて本記事はここまでとする。
次回はまた未紹介レンズの記事とする予定。


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