2018年10月21日(日)に滋賀県大津市びわこボートレース場
(びわこ競艇場)にて行われた、正式名称「第6回スモール
ドラゴンボート日本選手権大会」(以下、スモール選手権)の
模様より、前編。
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ここのところ選手達から「最近、ドラゴン系の記事の掲載の
タイミングが遅いのでは?」と尋ねられる事があるのだが、
これは、冬場にドラゴン系の記事が皆無になってしまう事を
避けて、年末で丁度全大会記事が終了するようにタイミングを
調整しているからである。そして、記事そのものは大会終了の
直後に執筆しないと、状況を忘れてしまう(汗)
執筆後は掲載スケジュールに乗せて、しかるべきタイミングで
アップする訳であり、この時期では大会から約1ヶ月後となって
いる。なお、逆に夏場では大会記事が集中しすぎる為に、多少
短縮したスケジュールで記事掲載を行う場合が普通だ。
----
さて、本大会は今年で第6回を迎えるが、実は前身の大会があり、
それは、2004年にプレ大会(第0回)が行われ、2005年より
2012年迄行われた「びわこスプリント(選手権)大会」である。
20013年より、同大会は「スモールドラゴンボート日本選手権」
となり、現代に至る。
全大会は、いずれも会場は、ここ「びわこ競艇場」である。
2012年迄の大会は20人漕ぎ200m戦というルールであったが
スモール選手権となってからは10人漕ぎで同じ200m戦である。
本大会が始まる前までは、10人漕ぎのドラゴンを何と呼ぶかは
まだあまり定まっていなかった。「スモール(艇)」の他では
「ミニ・トラゴン」という呼び方も多かったし、さらには地方
大会で既に小型艇が使われていた事から、その大会での呼称を
借りて「ドラゴン・カヌー」と呼ばれる事もあった。
だが、本大会が「スモールドラゴンボート選手権」として
始まってからは、「スモールドラゴン/スモール艇」という
呼び名が、実質的に公式名称となった事になる。
本大会開始以降、わずか数年間ではあるが、ドラゴン界では
10人漕ぎが急速に普及し、現代では20人漕ぎの方が珍く、
20人漕ぎの大会でも10人漕ぎの部を併設する事が殆どだ。
なお、その場合、艇をレギュラーとスモールと2種類準備
するのは大変なのだが、2014年のATC大会から、20人艇を
そのまま用いて漕手の数を10人に減らす方式が用いられ、
以降、他の大会においても、その方式がスタンダードと
なっている(注:南港ATC大会は現在は開催されていない。
また、滋賀のグランドシニア大会でも20人艇を用いた
10人漕ぎの前例がある、ただ、旧型艇なので重い模様だ)
まあこれは、FRP素材で軽量なチャンピオン社製の艇を
用いる事で実現した方式であり、旧型の木製の重量級の
レギュラー艇だと、漕手が10人に減ったら、相当に重くて
大変であったのだ。
本大会においては、10人漕ぎは同じくチャンピオン社製
の超軽量スモール艇(重量およそ160kg)を用いるが、
それは「選手権の部」(上級カテゴリー)だけであり、
「普及の部」(ビギナーチーム向けカテゴリー)では、
旧型の重量級10人艇(注:重量は不明だが、チャンピオン
艇の、およそ3倍程か?)を用いている。
さて本大会の特徴であるが、「非常に競技志向が強い大会」
であるという点だ。つまり、強豪チームが集まる「ガチンコ
対決」の大会だ。
この競技志向の強さは、私の知る限り全ドララゴン・ペーロン
系の大会中、トップである。これは同じく「日本選手権」の
7月の大阪の大会(旧:天神大会)をも上回る。
その理由であるが、大阪「日本選手権」は20人漕ぎであり、
現代の世情(各チームが多数のメンバーを集め難い)からは
参加の敷居が高い大会だ。だが、本大会であれば10人漕ぎで
あり、参加が容易な為、全国(例えば、九州、沖縄や東京、
千葉等)から、果ては海外からも、腕自慢の強豪チーム達が
この滋賀県琵琶湖を目指して集まってくる訳だ。
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(上写真は、海外チーム「極(きわみ)」である。
詳細は後編で紹介予定)
その結果として、全国屈指のハイレベルな大会となっている。
並の強豪チーム(変な表現だが例えば地方大会等で優勝経験が
あるチーム等)では、決勝どころか準決勝にすら進めない場合
が多々あり、準決勝以下の「B決勝戦」では、他の地方大会の
決勝戦位のレベルであり、準決勝ともなると他のメジャーな
規模の大会の決勝戦クラスのレベルである。
本大会の決勝戦では、もう超強豪チーム(たいていの大会で
常勝の実力値を持つ)ばかりの戦いとなり、極めてレベルが
高い。
だから必然的に本大会の見所も決まってくる。
混合、女子、オープン、そして普及の部ですらも、極めて
ハイレベルなレースが行われ、準決勝以降では全てのレース
が、強豪チーム達がしのぎを削る熱戦が繰り広げられるのだ。
ドラゴンファンであれば、これを見逃すなかれ、という感じで
観戦側としては非常に興味深い。ただ、参戦しているチームと
しては厳しい。前述の「並の強豪」チームあたりからも
「レベルが高すぎて・・汗」というような、ちょっと泣き言
めいた話を聞く事も良くある。
さて、開会式が始まった・・
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総合MC・解説は、もうお馴染みの「DJ西尾」氏である。
本大会での解説は7年目、自身もかつて漕手であったし、
もう、各チームの勢力関係も良くわかっているので、
その解説は安心して聞ける。
ドラゴン界は、特殊な環境とも言えるので、例えば
どこかから話上手なアナウンサー等を呼んだとしても、
なかなか上手く解説はできないであろう。他の各大会でも
やはりドラゴン界に精通した方々が解説を担当している。
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本大会では、他地区にある「入魂式」を省略する代わりに
勇壮な和太鼓の応援パフォーマンスが行われる。
演奏ユニットは、滋賀県を中心に公演を行っている
大津市出身の「湖鼓Ro」(こころ)の5人である。
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本大会では開会式のパフォーマンスの他、専業チーム
の「GPO」に混じって、大会にも参戦して漕いでいる。
「湖鼓Ro」は単独のドラゴンボートチームとして
滋賀県大津市堅田で8月に行われる「湖族船競争」にも
2017年より参戦、戦績は2017年が準優勝、2018年が
3位と、なかなか立派な結果だ(この大会での上位は
「小寺製作所」や「守のシルバニアファミリー」である。
本ブログの「堅田船競争」の観戦記事参照)
ただ、本大会においては、(大)太鼓の方の話では
湖「開会式で一番高い位置の太鼓を叩いていたので
もう腕がパンパンですよ・泣」
という話があり、この演奏で、だいぶ体力を消耗して
しまった模様だ。
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さて、開会式の後は、いよいよレースが始まる。
第一レースまで少し時間があるが、このタイミングでは
参加チームやレースフローを確認して、撮影の為の
方法論を考える必要があるのと、新規参戦チームの様子を
見に行く等、なかなか忙しい。
それと、本大会は参加チームが50数チームと多い。
全てのチームから話を聞いたり写真を撮ったり、とか
ブログで紹介するのは困難なので、どうしても抜けは
出てくる。でも、できるだけ広く話を聞いて行こう。
本記事「前編」では、主に「普及の部」と「選手権
女子の部」についての模様を紹介する。
さて、本大会での最大の課題は、天候である。
前身大会から通算で、今年で15回目の開催。私はその
全てを観戦撮影しているが、まず雨になりやすい大会
であり、およそ10回、実に3分の2程度の大会が雨天で
あった。
「季節がら」という訳でも無く、本大会はかつて9月や
6月に行われた事もあったが、変更した日程に付いて
くるように、いずれも雨となってしまう。
昔から「雨男存在説」が、まことしやかに囁かれ続け、
私も10年程の期間、本大会にしか参戦しないような
選手やスタッフが居るか調べていたのだが、「該当者
無し」という結論となった、まあつまり不運な大会だ。
ただ、撮影上では豪雨では無い限り、曇天や小雨程度
ならばむしろ撮り易い。・・と言うのも本大会会場は
完全な東向きで、晴天の午前中では、遮るものが無い
琵琶湖からモロに光が差し込み、酷い逆光となる。
解説のDJ西尾さんと話をしていた時も
西「今日は天気が良いですね、匠さんも写真が撮り
易いでしょう?」
匠「それがですね、晴れると完全な逆光なのですよ。
レース撮影ではボートが真っ黒に写るし、
選手の集合写真でも湖の方を向いたら同様です。
午前中は、太陽を背にして選手達の陸上写真しか、
ほぼ撮れない状況なのです」
西「なるほど、晴れても写真は難しいのですね」
西尾さんには言わなかったが、実は夕方もまた難しい、
競艇場の巨大な観覧席の建物の影が出て、レースの
模様は手前が暗く奥のレーンが明るい、という大きな
明暗差が出て、レース全体の模様が撮れないのだ。
おまけに、建物の影で選手達の写真を撮った場合、
光線の状況を表す「色温度」が高くなり、青味がかった
写真となる。
また競艇場の室内は、特殊な色味(波長)の複合光源で、
これもカメラの「色温度調整」をいくら微調整しても、
結局は写真が緑色味がかった発色になってしまう。
大会開始から15年も経てばカメラの性能(発色)も
進化しているのでは?と聞かれれば、この点に関しては
いつの時代のデジタルカメラでも殆ど対処不能だ。
つまり、レースと選手写真は撮れる時間帯が限られ、
室内での開会式閉会式もまた難しい。
好きな時間帯に、好きなレースだけを撮っておけば良い
「趣味撮影」ならば全然問題無いのだが、大会全般を
くまなく捉える「記録撮影」は極めて難しいのだ。
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(上は、超逆光状態となったレースの模様の写真)
この問題は、2021年5月に本会場で行われる「マスターズ
関西」のドラゴンボート競技の部において、もし多数の
アマチュアおよび報道系のカメラマンが来場した際、
きっと、「重大な問題点である」と気づく事であろう、
誰でも、まず、まともには撮れないと思う。
15年撮っていないとわからない事も色々とあるのだ。
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さて前置きが長くなったが、「普及の部」の模様だ。
上写真は、参戦2年目の「さざなみスポーツクラブ」
滋賀県野洲の社会人クラブからの参加である。
普及の部は、競技志向の極めて強い「選手権の部」だけ
では新規チームの参戦が難しい為に、別途用意されている
ビギナーチーム向けカテゴリーである。
とは言え、完全なビギナーチームは2チーム程しかなく、
他は全て「専業・準専業チーム」、「OB選手チーム」、
「強豪チームからの若手育成用サブチーム」という
構成となっていて、これらはもうビギナーでは無い。
つまり、「普及の部」もまた「激戦区」なのだ。
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上写真は「FULLAHEAD」、ここは静岡の強豪チーム
「海猿火組」の新人育成サブチームである。
本大会では数年前から参戦していて、いずれも入賞
している、まあ今年は優勝候補の1つであろう。
・・と言うのも、本シーズンにおいて「海猿火組」は
愛知の「闘龍者」と滋賀の「龍人」とのコラボの絆を
強くしていて、私は「今川義元の上洛」と呼んでいる
程に、東海圏の広範囲での大勢力となっているのだ。
(注:今川義元は、戦国時代には東海圏随一の大大名
であり、政治力も高かった。「上洛」とは京都に向かって
その勢力を朝廷や全国の大名にアピールする行動であり、
まあつまり「大物」である。ところが、静岡→愛知→
滋賀→京都と向かおうとした途中で、織田信長の奇襲
に合い、田楽狭間(桶狭間)で命を落とした。
この為、勝者の織田家側から「ダメな悪い大名だ」と
言われていたが、これは勝者側からの意図的で一方的な
話であり、近年では歴史的観点から、その高い政治力が
再評価されている。同様に嫡男の今川氏真も敗者の
息子ゆえに低評価だったのだが、上手く立ち回って
見事に今川家を存続させた事から、近年では好評価だ。
まあつまり「今川義元」に例えるのは褒め言葉である)
・・で、「FULLAHEAD」は、その潤沢なメンバー数を
元に、育成チームと言ってもあなどれず、専業チームと
同等の実力値を発揮する事だろう。
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こちらは「玉津FCアットマークス」
匠「玉津さん、おひさしぶり、2年ぶりの参戦ですね」
玉「はい、一昨年以来になります」
匠「前回は準決勝まで行けましたよね?」
玉「はい、惜しかったです、今年も頑張ります」
匠「確か東京と、あとは地元かな・・?」
玉「はい、東京のメンバーと滋賀の守山の合同です、
よくご存知で・・」
まあ、一昨年話を聞いているし、ここ数年間の各チーム
戦績も勿論事前に予習して覚えてきている、こういう
事前調査は、チームから話を聞き、写真を撮る上でも
必須なのだ。
それと、ビギナーチームは、フラリと本大会に来ても
周囲のあまりのレベルの高さに「唖然」としてしまい、
翌年からは二度と参戦しない事も良くあるのだが、
彼らのように、また時間を置いても参戦していただける
のは、とてもありがたい話である。
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こちらは「守(もり)のシルバニアファミリー」
例によって「人間ピラミッド」だ、前回の「びわこ
ペーロン」の際の写真では、下が土だったが、今回の
土台はコンクリートなので痛くて厳しそうだ(汗)
それでも、なんとか見事にピラミッドを完成させた。
匠「今年の”シルバニア”さんの戦績は、高島3位、
堅田優勝、びわぺー優勝、ここで本大会でも入賞
すればもう、完全に「ベストチーム」候補ですね」
守「プレッシャーをかけないで下さいよ~(汗)
あ、それと「能登川」では準決勝で敗退して
しまっているのです」
匠「ああ、能登川にも出てたのですが、日本選手権と同じ
日に開催なので、ちょっと見に行けないのです」
守「匠さんに指摘された、レース後半の漕ぎ、少し改良
しましたよ、また見ておいてください」
匠「ラストスパートが出来ていない件ですね、了解です。
では、この大会の活躍も楽しみにしています」
まあ「シルバニア」も、恐らく上位に食い込む事であろう。
元々は「高島ペーロン」の地元強豪「松陽台」からの若手
独立チームである、地力は十分にあるし若手はドラゴンに
向けて、どんどんと新戦法を吸収していて伸びしろもある。
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匠「こちらが、初体験(しょたいけん)さん?」
初「チーム初体験(はつたいけん)ですよ、”しょたいけん”
と言うと、なんだかいやらしい(笑)」
匠「あはは、・・と言っても初めての人達がカーボンパドルを
持っている訳ないですよね、こちら「IHI相生」ですか?」
初「はい、その通り、IHI相生ですよ」
匠「去年は「TAKAOオールスター」で参戦して、ペーロンの
ベテラン選手が漕ぎ、普及の部で入賞していましたね。
今年はチーム編成を変えたのですか?」
初「はい、今年はベテランがIHI相生としてオープンの部に
出ます、こちらは相生ペーロンでは漕いでいましたが、
ドラゴンは初めて、という若手チームなのですよ」
匠「なるほど、でもまあ、この大会ではいいところまで
上がれると思いますよ、頑張ってください」
「普及の部」の他の参戦チームとしては、準専業では
「WAYG」は、「Rスポーツマンクラブ」の兄弟チームだ。
京都の準専業企業チーム「メタルスタイリスト福田」は
ダブルエントリー。悲願の3位入賞(彼らの過去最高順位は
4位)があるのだが、今回も残念ながら準決勝敗退。
それから、琵琶ドラOBの選手達が中心となる
「あの頃、びわドラにハマってました」が居る、OBと
いっても数年前までの現役選手の若手も多い。
それと、専業チームとしては、冒頭紹介の「GPO」や、
KIX大会決勝進出の静岡の強豪「中電龍舟」が居るのだが、
記事文字数の都合で、やむなく細かい紹介は割愛する。
どのチームも専業や準専業故に、過去の他の記事でも
色々と紹介しているので悪しからず、また来期の記事などで
適宜ピックアップして紹介する事にしよう。
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さて、レースの方だが途中経過はざっくりと省略して(汗)
以降は決勝戦の模様である。
決勝進出チームは1レーンより「シルバニア」「初体験」
「中電龍舟」「琵琶ドラOB」「FULLAHEAD」となった。
まあ順当な勝ち上がりであろう。ただ、もうほとんど何処も
専業チーム級なので、「普及の部」とは言え、ここも大変な
激戦区である。これではビギナーチームは手も足も出ないが
まあ、選手権大会であるから、これ以上さらにビギナー向けの
カテゴリーを作る訳にもいかず、やむを得ないであろう。
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優勝は、現役強豪選手を含む「FULLAHEAD」である。
さすがに「今川義元」級(笑)であり、強い!
2位は、得意のロケットスタートを武器に、課題の終盤戦に
若干の改善が見られた「守のシルバニアファミリー」だ、
「シルバニア」、今年は成長が見られた良いシーズンだった。
3位には「あの頃、びわドラにハマってました」のOBチームが
入賞、OBとは言え、数年前までの現役選手たちが主力だ、
仕事の都合等で、なかなか活動がしにくいのだろうと思うが
また機会あれば集まって、様々な大会に参戦して頂きたく思う。
「初体験」は惜しくも4位、まあでもドラゴン初参戦では立派だ。
「中電龍舟」は(コラボで参戦した)KIX大会に引き続き、
またしても5位で入賞を逃した。
いつも惜しいところまで行くのだが、これは、この踊り場は、
どの強豪チームでも経験するステップ(通過点)だ。
この「万年4位」状態から脱却して、入賞常連になる事が、
真の強豪チームへの道筋になる。
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さて、閑話休題、こちらは「派遣舵」のスタッフ部門である。
舵「暇です・・汗」
匠「ああ、まあ、この大会は専業チームばかりですからね、
派遣舵も、かなり少ないでしょう?」
舵「まあそうなんです、ずいぶんと楽ですよ」
匠「他大会の様子を見ていると、とても大変そうですからね。
いつも話が出るけど、舵手の育成は最重要テーマですね」
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では、「選手権女子の部」の状況の話に移ろう。
参戦チーム数は4である、上写真はベテランの「SPIRITS」
「びわこペーロン」全試合(約30回)参戦の偉業を誇る。
本大会でも常連だ。
「小寺GP」は女子チームを作る悲願があった「小寺製作所」
(能登川大会では漕手が少ない為、「小寺女子」は編成が
可能で3連覇している)であるが、他チームからの応援選手を
加えて参戦だ、過去も数回そのケースがあり、応援選手の
チームは色々とあったが、今回は「GPO」とのコラボだ。
それと、同じくベテランの「Team河童」
匠「今回は調子はどうですか? 河童さんの好きな
根占(ねじめ)大会と今年は日程がかぶらなかったし、
こちらでも優勝を狙えますね。「直立漕ぎ」は完成
しましたか?「暴漕」とのタイマン勝負になりますね!」
河「はい、ちょっと今日はメンバー配置と漕ぎで工夫します、
まあ「新兵器」ですよ。
・・で、「暴漕」さんは、どんな感じですか?」
匠「”暴漕レディーズ”は、元トリッド、東海、Bon Oyage、
津奈木、TAITAMなどのメンバーによるエリートチーム
です、速いと思いますよ」
河「やはりそうですか、負けられませんね!」
匠「この大会、数年前に、河童チームの写真がポスターに
なりましたよね、またそれ位の活躍を期待しています」
河「そうでしたね、またポスターになれるように頑張ります」
さて、女子の部1回戦、順調なスタートを見せた「河童」だ。
これまでの「直立漕ぎ」は影を潜め、また旧来の前傾フォーム
が復活している、調子は良さそうだ。
だが、ここでアクシデント発生!
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手前「小寺GP」の奥で「河童」が蛇行して停止している。
これはどういう事か?と言うと、今回、新規の舵手の
育成を兼ねて漕手と舵手を交替した模様だが、慣れない
舵操作で艇を曲げてしまった模様だ。
まあ、残念な結果ではあるが、この日本選手権の大舞台で
そうした新戦法(彼女達が言う「新兵器」か?)に挑戦
した姿勢はとても良いと思う。
前述の「派遣舵」のスタッフとの話でも出ていたように、
どのチームも「舵手の育成」は非常に重要な課題である。
今回の結果はともかく、懲りずに、また舵に慣れていって
是非リベンジしていただきたいと思う。
しかし、女子の部は2回戦合計ポイント制であるから、
これで河童は2回戦で1位にならない限り、入賞は厳しい。
さらにもう1度、新体制で漕ぐか(それも有りだろう)
あるいは舵手と漕手を元に戻して、旧来の配置とするか、
そこはまあ、「河童」の選択だ・・
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上写真手前は「暴漕レディーズ」、物騒な名前だが
決してヒール(悪役)という訳では無い(笑)
実際には、漕ぐ事が大好きな全国各地(東京、熊本他)
のエリート女子パドラーによるコラボチームである。
勿論、「元ヤン」という事も無いだろうし、おまけに
美人選手が多いことも特徴であるチームだ。
「河童」のアクシデントにより1回戦暫定1位、このまま
2回戦でも頑張れば優勝は固いところである。
が、課題が1つだけある。それはこちらの女子メンバー
の中の4名が、男女混合の部の「暴漕連合」と重複出場
をしている事だ。(注:この重複出場は、規定上では
自己責任の範囲で認められている。つまり、”続けて
漕ぐからしんどい”等の文句は言えない、という事だ)
「暴漕連合」も強豪であるので、決勝に進出している。
この為、夕方の男女混合の準決勝、男女混合の決勝戦、
そして女子の部の2回戦、と、僅かに1時間強の間に
立て続けで3本のレーズをこなさなければならない事だ。
これでは、いくら優秀なパドラーでも体力が持たないで
あろう(汗)女子2回戦での戦力ダウンは避けられない。
もし「河童」が2回戦で1位となると、順位点の合計は
11ポイントとなる、そこで「暴漕」が2位の場合、
順位点は10点+5点で15ポイント。・・ああ、やっぱり
これは「暴漕」の優位は間違い無さそうだ。
2回戦のレース前、漕艇場に備え付けの巨大モニター
の「オーロラビジョン」には、レース参戦チームの
名前が表示される。
しかし、そこでの文字は、何と「暴走レディーズ」(!)
う~ん、いよいよと、そちらの世界に行ってしまい
ましたか(汗)「夜露死苦!」(よろしく)・・
さて、2回戦、「河童」の選択は、旧来の舵手配置に
戻す事であった。
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「河童」はかなり好調! 近年の「直立漕ぎ」に近い
ストローク型のスタイルではあるが、わずかに前傾姿勢で
ピッチも速く、バランスが良い。
これならば「暴漕」と良い勝負になりそうだ・・
余談だが、最近においては、単にこれまでのストローク型や
ピッチ型漕法、という水上フォームでの視点のみならず、
水中カメラを用いて、水中でのパドルの角度、動き、水流
などについても、一部のチームで解析や研究が進んでいる
模様である。ハイテクで合理的で、とても好ましい傾向だ。
チームでのフォームの「統制力」がとても高い「河童」には、
前の漕手から後ろの漕手へ水流を渡していくようなイメージの
「スタジアム応援・ウェーブ漕法」の私的アイデアを伝えて
おいた。まあ、それが実現できるか? 効果的か?は、試して
みないとわからないかも知れないが・・
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上は女子の部の表彰式の模様、結局、「河童」は
2回戦で見事に「暴漕」を僅差で抑えて1位となった
のだが、前述のように順位点が足りず、優勝は
「暴漕レディーズ」となった。(上写真)
「河童」は準優勝、まあでもアクシデントがあった
状況から見れば最善の結果であろう。
ちなみに、3位には「小寺GP」が入賞した。
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優勝を喜ぶ「暴漕レディーズ」の美人漕手の皆さん。
驚くべき事に、ほぼ3連続のレース出場であったにも
係わらず、2回戦は1回戦よりタイムを1秒程短縮して
きた事である。まあ1回戦は無風、2回戦では約3m/s
のフォロー(追い風)という環境差はあるが、それでも
連チャン(連続漕ぎ)の疲労の中でも、タイム低下を
最小限に抑えたのは、さすがに百選練磨と呼ぶべきか。
まあともかく、大変お疲れ様でした、明日あたりに
筋肉痛になるかもしれないけど(汗)お気をつけて・・
---
さて、事前の予想どおり「普及の部」も「女子の部」も、
好レースの観戦を堪能できた。
次回「中編」記事では「(選手権)混合の部」の模様を
紹介していこう。
(びわこ競艇場)にて行われた、正式名称「第6回スモール
ドラゴンボート日本選手権大会」(以下、スモール選手権)の
模様より、前編。
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タイミングが遅いのでは?」と尋ねられる事があるのだが、
これは、冬場にドラゴン系の記事が皆無になってしまう事を
避けて、年末で丁度全大会記事が終了するようにタイミングを
調整しているからである。そして、記事そのものは大会終了の
直後に執筆しないと、状況を忘れてしまう(汗)
執筆後は掲載スケジュールに乗せて、しかるべきタイミングで
アップする訳であり、この時期では大会から約1ヶ月後となって
いる。なお、逆に夏場では大会記事が集中しすぎる為に、多少
短縮したスケジュールで記事掲載を行う場合が普通だ。
----
さて、本大会は今年で第6回を迎えるが、実は前身の大会があり、
それは、2004年にプレ大会(第0回)が行われ、2005年より
2012年迄行われた「びわこスプリント(選手権)大会」である。
20013年より、同大会は「スモールドラゴンボート日本選手権」
となり、現代に至る。
全大会は、いずれも会場は、ここ「びわこ競艇場」である。
2012年迄の大会は20人漕ぎ200m戦というルールであったが
スモール選手権となってからは10人漕ぎで同じ200m戦である。
本大会が始まる前までは、10人漕ぎのドラゴンを何と呼ぶかは
まだあまり定まっていなかった。「スモール(艇)」の他では
「ミニ・トラゴン」という呼び方も多かったし、さらには地方
大会で既に小型艇が使われていた事から、その大会での呼称を
借りて「ドラゴン・カヌー」と呼ばれる事もあった。
だが、本大会が「スモールドラゴンボート選手権」として
始まってからは、「スモールドラゴン/スモール艇」という
呼び名が、実質的に公式名称となった事になる。
本大会開始以降、わずか数年間ではあるが、ドラゴン界では
10人漕ぎが急速に普及し、現代では20人漕ぎの方が珍く、
20人漕ぎの大会でも10人漕ぎの部を併設する事が殆どだ。
なお、その場合、艇をレギュラーとスモールと2種類準備
するのは大変なのだが、2014年のATC大会から、20人艇を
そのまま用いて漕手の数を10人に減らす方式が用いられ、
以降、他の大会においても、その方式がスタンダードと
なっている(注:南港ATC大会は現在は開催されていない。
また、滋賀のグランドシニア大会でも20人艇を用いた
10人漕ぎの前例がある、ただ、旧型艇なので重い模様だ)
まあこれは、FRP素材で軽量なチャンピオン社製の艇を
用いる事で実現した方式であり、旧型の木製の重量級の
レギュラー艇だと、漕手が10人に減ったら、相当に重くて
大変であったのだ。
本大会においては、10人漕ぎは同じくチャンピオン社製
の超軽量スモール艇(重量およそ160kg)を用いるが、
それは「選手権の部」(上級カテゴリー)だけであり、
「普及の部」(ビギナーチーム向けカテゴリー)では、
旧型の重量級10人艇(注:重量は不明だが、チャンピオン
艇の、およそ3倍程か?)を用いている。
さて本大会の特徴であるが、「非常に競技志向が強い大会」
であるという点だ。つまり、強豪チームが集まる「ガチンコ
対決」の大会だ。
この競技志向の強さは、私の知る限り全ドララゴン・ペーロン
系の大会中、トップである。これは同じく「日本選手権」の
7月の大阪の大会(旧:天神大会)をも上回る。
その理由であるが、大阪「日本選手権」は20人漕ぎであり、
現代の世情(各チームが多数のメンバーを集め難い)からは
参加の敷居が高い大会だ。だが、本大会であれば10人漕ぎで
あり、参加が容易な為、全国(例えば、九州、沖縄や東京、
千葉等)から、果ては海外からも、腕自慢の強豪チーム達が
この滋賀県琵琶湖を目指して集まってくる訳だ。
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詳細は後編で紹介予定)
その結果として、全国屈指のハイレベルな大会となっている。
並の強豪チーム(変な表現だが例えば地方大会等で優勝経験が
あるチーム等)では、決勝どころか準決勝にすら進めない場合
が多々あり、準決勝以下の「B決勝戦」では、他の地方大会の
決勝戦位のレベルであり、準決勝ともなると他のメジャーな
規模の大会の決勝戦クラスのレベルである。
本大会の決勝戦では、もう超強豪チーム(たいていの大会で
常勝の実力値を持つ)ばかりの戦いとなり、極めてレベルが
高い。
だから必然的に本大会の見所も決まってくる。
混合、女子、オープン、そして普及の部ですらも、極めて
ハイレベルなレースが行われ、準決勝以降では全てのレース
が、強豪チーム達がしのぎを削る熱戦が繰り広げられるのだ。
ドラゴンファンであれば、これを見逃すなかれ、という感じで
観戦側としては非常に興味深い。ただ、参戦しているチームと
しては厳しい。前述の「並の強豪」チームあたりからも
「レベルが高すぎて・・汗」というような、ちょっと泣き言
めいた話を聞く事も良くある。
さて、開会式が始まった・・
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本大会での解説は7年目、自身もかつて漕手であったし、
もう、各チームの勢力関係も良くわかっているので、
その解説は安心して聞ける。
ドラゴン界は、特殊な環境とも言えるので、例えば
どこかから話上手なアナウンサー等を呼んだとしても、
なかなか上手く解説はできないであろう。他の各大会でも
やはりドラゴン界に精通した方々が解説を担当している。
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勇壮な和太鼓の応援パフォーマンスが行われる。
演奏ユニットは、滋賀県を中心に公演を行っている
大津市出身の「湖鼓Ro」(こころ)の5人である。
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の「GPO」に混じって、大会にも参戦して漕いでいる。
「湖鼓Ro」は単独のドラゴンボートチームとして
滋賀県大津市堅田で8月に行われる「湖族船競争」にも
2017年より参戦、戦績は2017年が準優勝、2018年が
3位と、なかなか立派な結果だ(この大会での上位は
「小寺製作所」や「守のシルバニアファミリー」である。
本ブログの「堅田船競争」の観戦記事参照)
ただ、本大会においては、(大)太鼓の方の話では
湖「開会式で一番高い位置の太鼓を叩いていたので
もう腕がパンパンですよ・泣」
という話があり、この演奏で、だいぶ体力を消耗して
しまった模様だ。
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第一レースまで少し時間があるが、このタイミングでは
参加チームやレースフローを確認して、撮影の為の
方法論を考える必要があるのと、新規参戦チームの様子を
見に行く等、なかなか忙しい。
それと、本大会は参加チームが50数チームと多い。
全てのチームから話を聞いたり写真を撮ったり、とか
ブログで紹介するのは困難なので、どうしても抜けは
出てくる。でも、できるだけ広く話を聞いて行こう。
本記事「前編」では、主に「普及の部」と「選手権
女子の部」についての模様を紹介する。
さて、本大会での最大の課題は、天候である。
前身大会から通算で、今年で15回目の開催。私はその
全てを観戦撮影しているが、まず雨になりやすい大会
であり、およそ10回、実に3分の2程度の大会が雨天で
あった。
「季節がら」という訳でも無く、本大会はかつて9月や
6月に行われた事もあったが、変更した日程に付いて
くるように、いずれも雨となってしまう。
昔から「雨男存在説」が、まことしやかに囁かれ続け、
私も10年程の期間、本大会にしか参戦しないような
選手やスタッフが居るか調べていたのだが、「該当者
無し」という結論となった、まあつまり不運な大会だ。
ただ、撮影上では豪雨では無い限り、曇天や小雨程度
ならばむしろ撮り易い。・・と言うのも本大会会場は
完全な東向きで、晴天の午前中では、遮るものが無い
琵琶湖からモロに光が差し込み、酷い逆光となる。
解説のDJ西尾さんと話をしていた時も
西「今日は天気が良いですね、匠さんも写真が撮り
易いでしょう?」
匠「それがですね、晴れると完全な逆光なのですよ。
レース撮影ではボートが真っ黒に写るし、
選手の集合写真でも湖の方を向いたら同様です。
午前中は、太陽を背にして選手達の陸上写真しか、
ほぼ撮れない状況なのです」
西「なるほど、晴れても写真は難しいのですね」
西尾さんには言わなかったが、実は夕方もまた難しい、
競艇場の巨大な観覧席の建物の影が出て、レースの
模様は手前が暗く奥のレーンが明るい、という大きな
明暗差が出て、レース全体の模様が撮れないのだ。
おまけに、建物の影で選手達の写真を撮った場合、
光線の状況を表す「色温度」が高くなり、青味がかった
写真となる。
また競艇場の室内は、特殊な色味(波長)の複合光源で、
これもカメラの「色温度調整」をいくら微調整しても、
結局は写真が緑色味がかった発色になってしまう。
大会開始から15年も経てばカメラの性能(発色)も
進化しているのでは?と聞かれれば、この点に関しては
いつの時代のデジタルカメラでも殆ど対処不能だ。
つまり、レースと選手写真は撮れる時間帯が限られ、
室内での開会式閉会式もまた難しい。
好きな時間帯に、好きなレースだけを撮っておけば良い
「趣味撮影」ならば全然問題無いのだが、大会全般を
くまなく捉える「記録撮影」は極めて難しいのだ。
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この問題は、2021年5月に本会場で行われる「マスターズ
関西」のドラゴンボート競技の部において、もし多数の
アマチュアおよび報道系のカメラマンが来場した際、
きっと、「重大な問題点である」と気づく事であろう、
誰でも、まず、まともには撮れないと思う。
15年撮っていないとわからない事も色々とあるのだ。
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上写真は、参戦2年目の「さざなみスポーツクラブ」
滋賀県野洲の社会人クラブからの参加である。
普及の部は、競技志向の極めて強い「選手権の部」だけ
では新規チームの参戦が難しい為に、別途用意されている
ビギナーチーム向けカテゴリーである。
とは言え、完全なビギナーチームは2チーム程しかなく、
他は全て「専業・準専業チーム」、「OB選手チーム」、
「強豪チームからの若手育成用サブチーム」という
構成となっていて、これらはもうビギナーでは無い。
つまり、「普及の部」もまた「激戦区」なのだ。
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「海猿火組」の新人育成サブチームである。
本大会では数年前から参戦していて、いずれも入賞
している、まあ今年は優勝候補の1つであろう。
・・と言うのも、本シーズンにおいて「海猿火組」は
愛知の「闘龍者」と滋賀の「龍人」とのコラボの絆を
強くしていて、私は「今川義元の上洛」と呼んでいる
程に、東海圏の広範囲での大勢力となっているのだ。
(注:今川義元は、戦国時代には東海圏随一の大大名
であり、政治力も高かった。「上洛」とは京都に向かって
その勢力を朝廷や全国の大名にアピールする行動であり、
まあつまり「大物」である。ところが、静岡→愛知→
滋賀→京都と向かおうとした途中で、織田信長の奇襲
に合い、田楽狭間(桶狭間)で命を落とした。
この為、勝者の織田家側から「ダメな悪い大名だ」と
言われていたが、これは勝者側からの意図的で一方的な
話であり、近年では歴史的観点から、その高い政治力が
再評価されている。同様に嫡男の今川氏真も敗者の
息子ゆえに低評価だったのだが、上手く立ち回って
見事に今川家を存続させた事から、近年では好評価だ。
まあつまり「今川義元」に例えるのは褒め言葉である)
・・で、「FULLAHEAD」は、その潤沢なメンバー数を
元に、育成チームと言ってもあなどれず、専業チームと
同等の実力値を発揮する事だろう。
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匠「玉津さん、おひさしぶり、2年ぶりの参戦ですね」
玉「はい、一昨年以来になります」
匠「前回は準決勝まで行けましたよね?」
玉「はい、惜しかったです、今年も頑張ります」
匠「確か東京と、あとは地元かな・・?」
玉「はい、東京のメンバーと滋賀の守山の合同です、
よくご存知で・・」
まあ、一昨年話を聞いているし、ここ数年間の各チーム
戦績も勿論事前に予習して覚えてきている、こういう
事前調査は、チームから話を聞き、写真を撮る上でも
必須なのだ。
それと、ビギナーチームは、フラリと本大会に来ても
周囲のあまりのレベルの高さに「唖然」としてしまい、
翌年からは二度と参戦しない事も良くあるのだが、
彼らのように、また時間を置いても参戦していただける
のは、とてもありがたい話である。
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例によって「人間ピラミッド」だ、前回の「びわこ
ペーロン」の際の写真では、下が土だったが、今回の
土台はコンクリートなので痛くて厳しそうだ(汗)
それでも、なんとか見事にピラミッドを完成させた。
匠「今年の”シルバニア”さんの戦績は、高島3位、
堅田優勝、びわぺー優勝、ここで本大会でも入賞
すればもう、完全に「ベストチーム」候補ですね」
守「プレッシャーをかけないで下さいよ~(汗)
あ、それと「能登川」では準決勝で敗退して
しまっているのです」
匠「ああ、能登川にも出てたのですが、日本選手権と同じ
日に開催なので、ちょっと見に行けないのです」
守「匠さんに指摘された、レース後半の漕ぎ、少し改良
しましたよ、また見ておいてください」
匠「ラストスパートが出来ていない件ですね、了解です。
では、この大会の活躍も楽しみにしています」
まあ「シルバニア」も、恐らく上位に食い込む事であろう。
元々は「高島ペーロン」の地元強豪「松陽台」からの若手
独立チームである、地力は十分にあるし若手はドラゴンに
向けて、どんどんと新戦法を吸収していて伸びしろもある。
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初「チーム初体験(はつたいけん)ですよ、”しょたいけん”
と言うと、なんだかいやらしい(笑)」
匠「あはは、・・と言っても初めての人達がカーボンパドルを
持っている訳ないですよね、こちら「IHI相生」ですか?」
初「はい、その通り、IHI相生ですよ」
匠「去年は「TAKAOオールスター」で参戦して、ペーロンの
ベテラン選手が漕ぎ、普及の部で入賞していましたね。
今年はチーム編成を変えたのですか?」
初「はい、今年はベテランがIHI相生としてオープンの部に
出ます、こちらは相生ペーロンでは漕いでいましたが、
ドラゴンは初めて、という若手チームなのですよ」
匠「なるほど、でもまあ、この大会ではいいところまで
上がれると思いますよ、頑張ってください」
「普及の部」の他の参戦チームとしては、準専業では
「WAYG」は、「Rスポーツマンクラブ」の兄弟チームだ。
京都の準専業企業チーム「メタルスタイリスト福田」は
ダブルエントリー。悲願の3位入賞(彼らの過去最高順位は
4位)があるのだが、今回も残念ながら準決勝敗退。
それから、琵琶ドラOBの選手達が中心となる
「あの頃、びわドラにハマってました」が居る、OBと
いっても数年前までの現役選手の若手も多い。
それと、専業チームとしては、冒頭紹介の「GPO」や、
KIX大会決勝進出の静岡の強豪「中電龍舟」が居るのだが、
記事文字数の都合で、やむなく細かい紹介は割愛する。
どのチームも専業や準専業故に、過去の他の記事でも
色々と紹介しているので悪しからず、また来期の記事などで
適宜ピックアップして紹介する事にしよう。
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以降は決勝戦の模様である。
決勝進出チームは1レーンより「シルバニア」「初体験」
「中電龍舟」「琵琶ドラOB」「FULLAHEAD」となった。
まあ順当な勝ち上がりであろう。ただ、もうほとんど何処も
専業チーム級なので、「普及の部」とは言え、ここも大変な
激戦区である。これではビギナーチームは手も足も出ないが
まあ、選手権大会であるから、これ以上さらにビギナー向けの
カテゴリーを作る訳にもいかず、やむを得ないであろう。
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さすがに「今川義元」級(笑)であり、強い!
2位は、得意のロケットスタートを武器に、課題の終盤戦に
若干の改善が見られた「守のシルバニアファミリー」だ、
「シルバニア」、今年は成長が見られた良いシーズンだった。
3位には「あの頃、びわドラにハマってました」のOBチームが
入賞、OBとは言え、数年前までの現役選手たちが主力だ、
仕事の都合等で、なかなか活動がしにくいのだろうと思うが
また機会あれば集まって、様々な大会に参戦して頂きたく思う。
「初体験」は惜しくも4位、まあでもドラゴン初参戦では立派だ。
「中電龍舟」は(コラボで参戦した)KIX大会に引き続き、
またしても5位で入賞を逃した。
いつも惜しいところまで行くのだが、これは、この踊り場は、
どの強豪チームでも経験するステップ(通過点)だ。
この「万年4位」状態から脱却して、入賞常連になる事が、
真の強豪チームへの道筋になる。
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舵「暇です・・汗」
匠「ああ、まあ、この大会は専業チームばかりですからね、
派遣舵も、かなり少ないでしょう?」
舵「まあそうなんです、ずいぶんと楽ですよ」
匠「他大会の様子を見ていると、とても大変そうですからね。
いつも話が出るけど、舵手の育成は最重要テーマですね」
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参戦チーム数は4である、上写真はベテランの「SPIRITS」
「びわこペーロン」全試合(約30回)参戦の偉業を誇る。
本大会でも常連だ。
「小寺GP」は女子チームを作る悲願があった「小寺製作所」
(能登川大会では漕手が少ない為、「小寺女子」は編成が
可能で3連覇している)であるが、他チームからの応援選手を
加えて参戦だ、過去も数回そのケースがあり、応援選手の
チームは色々とあったが、今回は「GPO」とのコラボだ。
それと、同じくベテランの「Team河童」
匠「今回は調子はどうですか? 河童さんの好きな
根占(ねじめ)大会と今年は日程がかぶらなかったし、
こちらでも優勝を狙えますね。「直立漕ぎ」は完成
しましたか?「暴漕」とのタイマン勝負になりますね!」
河「はい、ちょっと今日はメンバー配置と漕ぎで工夫します、
まあ「新兵器」ですよ。
・・で、「暴漕」さんは、どんな感じですか?」
匠「”暴漕レディーズ”は、元トリッド、東海、Bon Oyage、
津奈木、TAITAMなどのメンバーによるエリートチーム
です、速いと思いますよ」
河「やはりそうですか、負けられませんね!」
匠「この大会、数年前に、河童チームの写真がポスターに
なりましたよね、またそれ位の活躍を期待しています」
河「そうでしたね、またポスターになれるように頑張ります」
さて、女子の部1回戦、順調なスタートを見せた「河童」だ。
これまでの「直立漕ぎ」は影を潜め、また旧来の前傾フォーム
が復活している、調子は良さそうだ。
だが、ここでアクシデント発生!
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これはどういう事か?と言うと、今回、新規の舵手の
育成を兼ねて漕手と舵手を交替した模様だが、慣れない
舵操作で艇を曲げてしまった模様だ。
まあ、残念な結果ではあるが、この日本選手権の大舞台で
そうした新戦法(彼女達が言う「新兵器」か?)に挑戦
した姿勢はとても良いと思う。
前述の「派遣舵」のスタッフとの話でも出ていたように、
どのチームも「舵手の育成」は非常に重要な課題である。
今回の結果はともかく、懲りずに、また舵に慣れていって
是非リベンジしていただきたいと思う。
しかし、女子の部は2回戦合計ポイント制であるから、
これで河童は2回戦で1位にならない限り、入賞は厳しい。
さらにもう1度、新体制で漕ぐか(それも有りだろう)
あるいは舵手と漕手を元に戻して、旧来の配置とするか、
そこはまあ、「河童」の選択だ・・
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決してヒール(悪役)という訳では無い(笑)
実際には、漕ぐ事が大好きな全国各地(東京、熊本他)
のエリート女子パドラーによるコラボチームである。
勿論、「元ヤン」という事も無いだろうし、おまけに
美人選手が多いことも特徴であるチームだ。
「河童」のアクシデントにより1回戦暫定1位、このまま
2回戦でも頑張れば優勝は固いところである。
が、課題が1つだけある。それはこちらの女子メンバー
の中の4名が、男女混合の部の「暴漕連合」と重複出場
をしている事だ。(注:この重複出場は、規定上では
自己責任の範囲で認められている。つまり、”続けて
漕ぐからしんどい”等の文句は言えない、という事だ)
「暴漕連合」も強豪であるので、決勝に進出している。
この為、夕方の男女混合の準決勝、男女混合の決勝戦、
そして女子の部の2回戦、と、僅かに1時間強の間に
立て続けで3本のレーズをこなさなければならない事だ。
これでは、いくら優秀なパドラーでも体力が持たないで
あろう(汗)女子2回戦での戦力ダウンは避けられない。
もし「河童」が2回戦で1位となると、順位点の合計は
11ポイントとなる、そこで「暴漕」が2位の場合、
順位点は10点+5点で15ポイント。・・ああ、やっぱり
これは「暴漕」の優位は間違い無さそうだ。
2回戦のレース前、漕艇場に備え付けの巨大モニター
の「オーロラビジョン」には、レース参戦チームの
名前が表示される。
しかし、そこでの文字は、何と「暴走レディーズ」(!)
う~ん、いよいよと、そちらの世界に行ってしまい
ましたか(汗)「夜露死苦!」(よろしく)・・
さて、2回戦、「河童」の選択は、旧来の舵手配置に
戻す事であった。
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ストローク型のスタイルではあるが、わずかに前傾姿勢で
ピッチも速く、バランスが良い。
これならば「暴漕」と良い勝負になりそうだ・・
余談だが、最近においては、単にこれまでのストローク型や
ピッチ型漕法、という水上フォームでの視点のみならず、
水中カメラを用いて、水中でのパドルの角度、動き、水流
などについても、一部のチームで解析や研究が進んでいる
模様である。ハイテクで合理的で、とても好ましい傾向だ。
チームでのフォームの「統制力」がとても高い「河童」には、
前の漕手から後ろの漕手へ水流を渡していくようなイメージの
「スタジアム応援・ウェーブ漕法」の私的アイデアを伝えて
おいた。まあ、それが実現できるか? 効果的か?は、試して
みないとわからないかも知れないが・・
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2回戦で見事に「暴漕」を僅差で抑えて1位となった
のだが、前述のように順位点が足りず、優勝は
「暴漕レディーズ」となった。(上写真)
「河童」は準優勝、まあでもアクシデントがあった
状況から見れば最善の結果であろう。
ちなみに、3位には「小寺GP」が入賞した。
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驚くべき事に、ほぼ3連続のレース出場であったにも
係わらず、2回戦は1回戦よりタイムを1秒程短縮して
きた事である。まあ1回戦は無風、2回戦では約3m/s
のフォロー(追い風)という環境差はあるが、それでも
連チャン(連続漕ぎ)の疲労の中でも、タイム低下を
最小限に抑えたのは、さすがに百選練磨と呼ぶべきか。
まあともかく、大変お疲れ様でした、明日あたりに
筋肉痛になるかもしれないけど(汗)お気をつけて・・
---
さて、事前の予想どおり「普及の部」も「女子の部」も、
好レースの観戦を堪能できた。
次回「中編」記事では「(選手権)混合の部」の模様を
紹介していこう。