本シリーズは、所有しているミラーレス機の本体の詳細を
世代別に紹介して行く記事だ。
今回はミラーレス第三世代=発展期(注:世代の定義は第一回
記事参照)の SONY α7(2013年)を紹介しよう。
なお、本日2018年11月15日は、本機発売日の2013年11月15日
より丁度5年だ、「α7 5周年記念記事」としておこう。
装着レンズは、本機の特性に合うものを数種類用意してある。
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まず最初は、KMZ ZENITAR 16mm/f2.8 FishEye
(対角線魚眼レンズ) を使用する。
(ミラーレス・マニアックス第6回、第72回、ハイコスパ
第17回記事)
以降、本システムで撮影した写真を交えながら記事を進めるが、
記事の途中で適宜、別のレンズに交換する。
なお、ZENITAR 16/2.8 は旧ソ連製M42マウントレンズであり、
使用するアダプターの種類、およびレンズ工作精度の関連で、
正しく真っ直ぐに装着できないケースがある。今回もその
パターンにハマってしまい、曲がったレンズ側固定フード
により画像周辺が僅かにケラれてしまうのだが、本記事では、
もうこのまま使う事とする。
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さて、「7番機」の登場である。
ミノルタ時代から7番というモデル名は、革新的で記念碑的な
意味合いのあるカメラが多かった。
(例:HI-MATIC 7,SR-7,X-7,X-700,α-7000,α-7,
Dimage 7,α-7 Digital等、一部コニカミノルタ製)
これは、ミノルタのカメラが米宇宙船「フレンドシップ
7号」(1962年打上)で使用された事を記念しての型番、
と言われている。
コニカミノルタを経てSONYにも、その文化は継承されたが
SONYの初の7番機、α700(2007年、デジタル一眼第7回記事)
は、SONY独自開発による初の一眼レフではあったが、さしたる
革新的な機能は搭載されていなかった。
続くα77(2011年)は、先に発売されていた革新的なα55の
上位機種であったに過ぎない。
NEX-7(2012年)は傑作機だが、残念ながら世間的評価は少ない。
まあ、そういう意味では、本機α7がSONYでは初の記念碑的な
「7番機」となる。
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本機α7の特徴であるが、言わずと知れた初のフルサイズ・
ミラーレス機である(注:α7Rと同時発売)
現在、2018年では、NIKON,CANON,LEICA,PANASONIC
SIGMA等から次々にフルサイズミラーレス機が発売または
発表され、市場は一気にミラーレス機のフルサイズ化へ
シフトして行く事が予想されるが、2018年になるまでは
フルサイズミラーレス機は実質SONYのα系しかなかった。
(注:一応ライカSLが存在するが、極めて高価だ)
まあ、2018年発表の新鋭機は、どれも非常に高価だ。
ここはデジタル一眼レフ市場の縮退を受けて、ミラーレス
機にユーザーの関心を向けるという戦略的な意味も強いと
思うので、フルサイズ機の意義や用途やコスパには十分に
注意して、安易に「フルサイズ機だから良い!」などと
超ビギナー視点にはならずに、冷静に新型機の必要性を
検討する必要がある。
そういう意味においても、本記事では、α7が、最初の
フルサイズ機である事から、そのあたりの得失を詳しく
述べているので、熟読していただければ幸いだ。
さて、SONYは2010年のNEX-3等(本シリーズ第4回)より、
2012年のNEX-7(本シリーズ第8回)等まで、APS-C
サイズセンサーを搭載したNEXシリーズを展開していたので
あるが、2013年、フルサイズの本機α7(および姉妹機の
α7R)の発売を機にブランド名称を「α」に統一した。
従来のデジタル一眼レフの「α」は、「Aマウント機」
として発売が継続されているが、2018年現在、Aマウント機
はα77Ⅱ、α99Ⅱの2機種しか国内では展開されておらず、
今後の市場の動向次第では、ゆるやかにEマウント機の
αのみに移行していく可能性もある。
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ちなみに、本機と同時期の2013年にOLYMPUSより発売された
OM-D E-M1では「旧来のフォーサーズとμ4/3を統合した
フラッグシップ」という主旨の謳い文句があって、まあ
これは、事実上「フォーサーズ機はもう作りません」と
宣言している事と同じであった。(後日紹介予定)
宣言するのは、まだマシな方で、ニコンが2000年代後半に
「銀塩一眼レフを生産中止とする」というプレスリリースを
出した際はマスコミ等のメディアも、ネガティブなニュース
ながら注目したが、他社では何も言わずに銀塩カメラを
いつの間にか生産中止にしたりもしていたのだ。
(注:CANONは最後の銀塩旗艦EOS-1Vの在庫品の販売を継続
していたが、2018年になって、その販売終了を宣言した)
もしかすると1985年のα-7000から30年以上も続いてきた
α(Aマウント)の系譜が途絶えてしまうかも知れない事は
寂しいが、他の銀塩時代からのマウントは、デジタル時代、
既に多くか絶滅し、アダプターを使わない限り使用不能だ。
こういう事は時代の変化により、やむを得ない節もある。
各社のフルサイズ・ミラーレス機へのシフトにより、
さらに一眼レフのマウントが減ってしまう恐れもあるが
まあ仮にそうなっても、当面は現代の一眼レフのレベルの
性能がれば、それらの中古を買い続ければ十分であろう。
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さて、ミノルタ/コニミノ時代のαには機種名にハイフンが
入るのが通例であった(例:α-7)
SONY時代のαの機種名には、ハイフンは入らないので、
(例:本機α7)それで旧機種と区別を行う事ができる。
ここは小さい事だが重要だ、同じ名前のカメラがあっては
ならないし、マニア的には旧機種であっても必ず識別する
必要がある、似た名前の両者を同時に所有/使用している
事も多々あるからだ。
ミラーレス史上初のフルサイズ機α7であるが、
デジタル一眼レフでは従来よりフルサイズ機は存在していた
その歴史を振り返ってみよう。
デジタル一眼レフの各社の最初のフルサイズ機だが、
まず、2002年にはCONTAX N Digital, CANON EOS-1Ds
が発売されている。
しかし、CONTAXのこの機種は商業的に失敗し、2005年に
京セラはカメラ事業から撤退してしまった。
CANONにおいては、以降のフルサイズ機は機種数が多いので
全てを紹介するのは避けるが、業務用途機の1D(s/X)シリーズ
以外の高級機シリーズではEOS 5D(2005),EOS 6D(2012)
の両系統があり、それらも後継機が色々と発売されている。
CANONがこの分野で、かなり先行できたのは自社製のCMOS
センサーがあるからで、それが競争力の原点であった。
NIKONはやや遅れて、2007年に最上位機D3でFXフォーマット
(フルサイズ)を採用、以降のDヒト桁機およびDf(2013)
は全てフルサイズだ。ハイエンド機以外では2008年のD700
以降のD三桁機の大半がフルサイズだ(D300S,D500を除く)
PENTAXは、2016年にK-1で、ようやくフルサイズに参入。
各社にセンサー部品を供給する本家のSONYでは、
2008年にα900を発売、それ以降のα二桁機は、一眼レフ
とは言い難い点もあるが、2012年にα99、2016年にα99Ⅱ
が発売されている。
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さて、本機α7が発売された2013年時点での一眼レフの
ハイアマチュア層向けのフルサイズ機は、結局のところ
EOS 5D MarkⅢ,EOS 6D,NIKON D800/E,α99
あたりしか選択肢が無いのだが、いずれも20万円~35万円
と、かなり高価であった(ボディ単体新品市場価格)
そうした状況の中、本機α7は15万円程と、これまでの
どのフルサイズ一眼レフよりも安価だ。
この為「ミラーレス機初の」という歴史的意味よりも
「最も安価なフルサイズ機」としての要素もまた、
α7(シリーズ)がヒットした所以になったのであろう。
(注:しかし、α7Ⅱが発売時約20万円、α7Ⅲが発売時
約25万円と、後継機の値上げ幅が極めて大きい。
まあ、そういう「付加価値戦略」である事は、ユーザー
側で十分に理解して機種選定を行う必要があるだろう)
それと、各社製の新鋭フルサイズ用レンズはどれも高価だ、
各社フルサイズ機で銀塩時代からのレンズを上手く使えば
安価となるが、各メーカー純正以外のオールドレンズ等では
どうか?それらについては、一眼レフでは自社製も他社製も
装着できるレンズが限定される事が多々ある。
ニコン機(一眼)では、フランジバックとマウント径の
関係から、ニコンFマウント以外の他社レンズは、
中判用等を除き殆ど装着できないし、Fマウントであっても
古いレンズ(例:非Ai)は殆ど利用できない。
またEOS機(一眼)では、アダプターの種類は色々ある物の、
MF時の機能制限が大きい(例:フォーカスエイト機能が
効かなかったり、分割測光が不安定になる等)
SONY α99は手ブレ補正が内蔵されているメリットがあるが、
残念ながら焦点距離手動設定がなく、アダプター使用時は
その機能は使えない(注:後継のα99Ⅱや、α7系のⅡ型
モデル以降では、やっと焦点距離手動入力が可能となった)
そんな中でのα7(Rも)の発売だ、フルサイズとなった事で、
アダプター使用時には、手ブレ補正機能こそ無いものの、
「オールドレンズのほぼ全てを本来の画角で使える」という
マニアにとっては嬉しい状況になった。
しかし、実際にもそうか?というと、単純に長所ばかりとも
言い切れない。
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ここで、フルサイズ機を使う長所、短所を挙げてみよう。
<フルサイズ機の長所>
1)レンズ本来の画角で使用できる
が、これは別にそうでなくてはならない理由も少なく、
小型センサー機で、望遠レンズをより望遠にしたいという
用途もあるので、フルサイズの場合は主に(超)広角レンズ
(概ね焦点距離が24mm以下)を使用して、広い画角で
撮りたい場合にのみメリットが生じるだろう。
ちなみに、28mmや35mmレンズの場合は、どうでも良い。
一部のマニアにおいては、それらの銀塩用レンズを多数
所有していて、それらを本来の画角で使いたいニーズも
あるのかも知れないが、しかし、そうでなくてはならない
意味が果たしてあるのだろうか?
画角感覚の差異が気になるならば、再度、換算画角に
おいて、それを身につけ直せば済む話だ。
2)ボケ量が多くなる
被写界深度の計算に必要な許容錯乱円の定義がデジタル
では少々曖昧なので具体的な計算例は省略するが、
概ねセンサーサイズが大きいほど被写界深度は浅くなる。
3)同一画素数であれば、画素ピッチを大きくできる
これは、ダイナミックレンジやノイズ耐性の面では有利だ。
また、解像力の低いオールドレンズとの相性も良い。
ただ、フルサイズ化に比例して画素数が増えている場合は、
この効能は得られない(逆に言えば、高画素化が可能だ)
(注:ピクセル上での回路構成部品面積は考慮していない)
4)ポートレート用の大口径中望遠レンズを適切に使用できる
例えば85mmレンズ等の場合、人物撮影時の間合いも適正
となる(まあ、撮影スタイル等によりけりだが・・)
5)収差強調系のレンズを効果的に使用できる
具体的には、魚眼、シフト、ティルト、ぐるぐるボケ、
周辺光量落ち、といったレンズ群である。
これらは、センサーサイズが大きい場合に、その特徴も
大きくなって、描写表現力的には効果的だ。
(今回の記事でも、これらのレンズを使用している)
<フルサイズ機の短所>
1)価格の高さ
一般に高価である。APS-Cサイズに比べ僅か2倍の
面積比でしかなく、部品代の差はそれくらいなのに、
カメラ価格は大きく跳ね上がる。
(注:製造工程での「歩留まり」の都合は勿論ある)
まあ、メーカーからすれば高付加価値(高く売りたい)
商品であるから、やむを得ないが、ユーザーから見れば、
コスパは非常に悪い。
それが許容範囲外と見なせば、もう「買わない」という
選択肢しか無いであろう(事実、私も、多くのケースで
そうしてきている。又、2018年後半発表の、各社の新鋭
フルサイズミラーレス機も当面は全く買う予定が無い)
2)レンズ性能の欠点が出てしまう
まず周辺収差、そしてテレセントリック特性、解像力等
レンズの性能上の欠点がモロに出る、これらは銀塩時代の
オールドレンズを使うと、さらに顕著となる。
また本機α7では、多くのオールドレンズで、「ゴースト」
の発生頻度が高くなる、これはかなり気になる場合が多く、
絞り値の変更等では回避出来ないので要注意だ。
オールドレンズは、描写力の面だけを考えれば、画角が
狭くなる点を甘んじてμ4/3機等で使った方が有利だ。
3)交換レンズが、大きく重く高価になる
上記性能的な欠点を目立たなくしようと新設計すると、
フルサイズ用新鋭レンズは、どうしても肥大化してしまう。
(勿論、イメージサークルの差異の課題も大きい)
まあ銀塩時代のレンズを使っても良いのだが、上記2)の
性能の欠点が目立つ事と引き換えだ。
まあ、メーカー側としては新設計の交換レンズを(高価に)
売りたい訳であり、これもまたミラーレス機のフルサイズ
化の大きな理由である。
4)連写速度が遅い
この速度は本来画素数やシャッター機構に依存する筈だが、
フルサイズ機ではAPS-C機との仕様差別化で、あえて遅く
している場合もある。
(注:近年、2017年以降では、一部のフルサイズ一眼レフ
にも高速連写機能を持たせ始めている。
まあ、一眼レフの場合には、ミラーが大きくなりその機械的
駆動に負担がある事も連写性能が落ちる原因の1つだろう)
フルサイズ機の長所短所は、大雑把に言えば、こんな所で
あるが、他にも色々ある。
例えば、ファインダーについてだが、ニコン等の一部の
フルサイズ・デジタル一眼レフでは、APS-C用レンズを使用
した場合はクロップして使うのだが、光学ファインダーでは
別枠フレームで、範囲を小さく表示せざるを得ない、
この仕様では見え難く、撮影しずらくなってしまう。
なお、ミラーレス機等のEVF機ではクロップした状態で
画面いっぱいに表示されるので、この違和感は無い。
なおフルサイズ機はファインダー像が広く見えて撮りやすく
感じるが、これは倍率やファインダー型式とも関連するし、
広く見えれば常に良いと言う訳でもなく、フルサイズ機の
一般的な長所とは見なしていない。(また、ミラーレス機の
EVFでは、それは関係無い話だ)
余談だが、個人的には、銀塩レンジファインダー機での、
ブライトフレーム方式の表示が、撮影・作画面においては、
非効率的で(画角変化に追従できない、ボケ量、ボケ質が
わからない、パララックスが出る等)為、基本的に好きに
なれず、それらの機体をあまり収集する事が無かった。
(既に所有していたレンジ機も、殆ど処分してしまった)
まあ確かに、レンジファインダーは「見え」は良いのだが、
勿論その「見え」が、そのまま写真に写る訳では勿論無い。
銀塩時代、レンジ機用レンズが、実際の性能よりも高く
評価され、ビギナー層においては一部神格化されるように
迄なったのは、そういう理由もあるからではなかろうか?
ファインダー像が綺麗だから良く写る、とは説明する必要
すら無い大誤解の話だが、レンジ機等のカメラの構造や原理が
まるで理解できていない愛好家も非常に多い時代ではあった。
まあ現代でもその傾向はあまり変わってないが・・
(例:モニターの再生画像が綺麗だから、良く写るカメラや
レンズだと誤解するなど)
ファインダー性能は、MF撮影全般において、極めて重要な
要素ではあるが、写りには全く関係が無い。
それから画素数についてだが、フルサイズ機において
画素数を大きくした場合等ではデータ容量的な不利が出る。
すなわち、画像容量が増えると連写速度や連写枚数が減り、
メモリーカード等の記録メディアや、HDD等のバックアップ
の容量も喰ってしまう。
まあ、記録画素数をあまり大きくしなければ回避可能だが・・
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さて、色々とフルサイズ機の一般論をあげてきたが、
私が本機α7を必要とした理由であるが、上記長所の中の
5)で挙げた「収差強調系レンズ」を使う目的が主だ。
特に銀塩時代の魚眼レンズやシフトレンズ等では、APS-C機
以下のセンサーサイズでは、その本来の効果が殆ど出ない。
と言う事で、ここでレンズを交換する、
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KENKO LENSBABY TWIST 60mm/f2.5
(レンズ・マニアックス第2回記事)
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こちらも「収差レンズ」である。強い「ぐるぐるボケ」が
発生する特殊なレンズだが、フルサイズ機であると
APS-C機の場合よりも広い面積に大きく流れるボケが出る。
(ただしデジタルズームをかけると、ぐるぐるボケは減る。
また、今回は少し控え目な「ぐるぐるボケ」としている)
で、収差レンズ使用の面以外での、フルサイズ機での他の
長所は、個人的には殆ど関係なく、APS-C型や4/3型で
何ら問題なかったが、まあ、高価だった(=コスパが非常に
悪かった)フルサイズ機が近年ようやく安価になってきたのも、
もう1つの購入理由だ。
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それと、Eマウント機では従来NEX-3とNEX-7を愛用して
来たのだが、使用年月が長く、両機ともボロボロになって
きていた。代替機を調達しないと、いつ壊れてもおかしく
無い状態だった。
以前からNEX-7を重複購入しようと思っていたが、まあ
上記の収差レンズの有効活用の意味もあっての、α7の購入だ。
(とは言え、本機α7も、既に2年以上使っているので、
こちらもだいぶボロボロになってきている・汗)
ただ、購入前にα7では名機NEX-7の代替には成り得ない事も
わかっていた。そのあたりは妥協(覚悟)するしか無いとの
判断である。(なお、NEX-7の代替には、本機とは別の機種を
あてがっている。後日紹介予定)
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ここで、α7の弱点だが、
まずは前述のゴーストだ。これはオールドレンズの多くで
発生し、アダプター母艦として用いる上では重欠点である。
少しでも逆光になると絶対に撮れないと言っても過言では無い。
センサー面からの反射と、オールドレンズの後玉との反射が
干渉してるのかもしれない。なお、他のミラーレス機や
フルサイズ一眼レフでは、こうした状態は起こりにくい。
そして、操作系がやはり気になる。
NEX-7の優れた動的操作系を踏襲せず、安易な静的操作系に
ダウングレードされた。まあ、NEX-7の操作系は高度だが
複雑すぎる、という判断であろう。
せっかくフルサイズ化した(利益の得られる商品が出来た)
のだから、多く売らないとならない、よって、初級中級者層
にも受け入れられる操作系仕様にしないと、最初の機種で
「難しすぎる」「使い難い」といった悪い評判が広まって
しまったら、開発費が無駄になり、製品戦略にも影響が
大きく、非常にマズい事になる訳だ。
操作系において、特にマウントアダプター使用時には、
使えない機能や、無駄になるダイヤルが沢山出てくる。
NEX-7では、そのあたり、トライダイヤルナビ操作系で、
完璧では無いものの、ある程度無駄を省く事ができた。
α7では特に前後ダイヤルが酷く、露出補正ダイヤルが別途
新設された事は良いが、前後ダイヤルの用途が何も無い。
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せめてここに様々な機能(例、ISO感度やゼブラ設定等)を
アサイン可能であったらよかったのだが、ISO感度変更等は
背面コントロールホイールにしか設定できない。
まあ、NEX-7でも、その点はそうだったのたが、NEX-7は
上部の2つのダイアルを、様々な目的用途に自由に(動的に)
変更できるのだ、その点でアダプター使用時にもダイヤルが
無駄になる事が少ない。
なお、何故アダプター使用時の利用法の詳細を上げている
か?と言えば、当然ながらフルサイズ対応純正レンズが高価
すぎるからである、まあメーカー側がそれらの利益の上がる
新鋭レンズを売りたいが為の、フルサイズ化戦略であるから
やむを得ない。ただ、本機登場後のしばらくの間は、
事の本質を良く理解しているマニア層などでは、本機用の
純正レンズを買わず、ほぼ全てアダプター母艦としての
利用であったので、ここはとても重要なポイントだ。
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他にも操作系で気になる点は多々あるが、いちいち書いて
いくと非常に長くなるので割愛しよう。
総合的には、本機α7は機能不足という事は無いのだが、
高度な設定操作は、ただメニューに入っているだけであり、
それらが必要な際に迅速に呼び出せる状況になっていない。
(注:Fnキーは存在し、編集可能なコンパネ機能はある)
すなわち操作系は基本的に、静的(スタティック)であり、
動的(ダイナミック)な要素は少ない訳だ。
まあこれは、ビギナー向けの操作系だと思う。
(しかし、EVF内で設定操作が出来る事は、ミラーレス機の
大きな長所であり、この点では、一眼レフに勝ち目は無い)
それから、位相差AF機能、収差補正、電子先幕シャッター等
の機能は、純正(対応)のレンズでないと正しく動作しない。
このあたりは技術的にも商売的にも、やむを得ない面があるが、
こういう状況が、あまりに酷いと「排他的すぎる」という
悪印象に繋がってしまう事は、過去のSONY機の記事でも
毎回のように書いている通りだ。
後、本機ではフルサイズの他、APS-Cサイズ撮影が可能である。
純正E型レンズ(APS-C)では、これは自動的にONとなるように
設定でき、アダプター利用で他社等のAPS-C対応レンズを使う
場合は手動でONとする。
で、APS-C撮影とすると勿論画素数が減るが、そこがなんだか
規則的では無い。
具体的には、
フルサイズでは3:2アスペクトの際、L=24M,M=10M,S=6M
の画素数だが、
APS-C撮影で3:2比では、L=10M,M=6M,S=2.6Mとなる
(注:本来は丁度半分の画素数になってしかるべきだが・・)
特に、APS-CのSでは画素数がかなり減るので、装着レンズにより
自動的に切り替わった場合は要注意だ。
(APS-C対応レンズを装着時には記録画素数を普段より上げる等
あるいはEマウントAPS-C機を使えば、この問題は起こらない。
APS-Cレンズ使用で高画素が必要ならば、APS-C機のNEX-7や
α6000系であれば、最大2400万画素のまま使用できる)
他の弱点としては、連写に関するドライブ性能が劣っている
事がある。(注:WEB上にはドライブ仕様が書かれているが、
取扱説明書の「主な仕様」の項目には、なんと連写スペックが
書かれていない! 確信犯であろうか?)
一応、秒2.5コマであるが、さすがに現代の感覚では、とても
遅く感じて、ここは不満が大きいであろう。
それと、背面モニターのコーティング仕上げが悪く、剥げて
すぐに汚くなる。これは前機種NEX-7も、あるいは同時代
(2012~2013年)のSONY機の多くで同様の「重欠点」を持つ。
(注:他の記事でも述べたが、この時代は色々な部品不良がある。
東日本大震災(2011)の影響での代替部品が原因であろうか?
なお、5~6年使っていると、剥げきって綺麗になる場合もある)
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その他の特徴だが、
「ゼブラ機能」が新設された。自身が決めた露出値に
合致する範囲が縞模様で表示される。
一般的には、100+、つまり白トビの部分の警告に使う
のが良いとは思うが、70~80%として適正な露出部分を
表示させる事も人物撮影等では適していると思う。
このゼブラは上手く使うと露出決定に効果的な機能だ。
ちなみに銀塩名機α-7では、ラティチュードの狭いポジ
フィルムを使用時に、露出決定に役立つ数多くの便利機能が
備わっていた(例:AEロックをかけると、スポット測光に
自動的に切り替わり、露出メーター上で平均輝度と指定位置の
露出差を測るメータード・マニュアル機能など)
α-7と同じものを搭載する必要は無いが、露出決定への配慮は
αシリーズの伝統とも言えるかも知れない。
(銀塩α-7開発時の社外アドバイザーの写真家の方が、露出
設定の概念に非常に詳しい方であったように記憶している)
あと、低感度ISO50が使え、1/8000秒シャッターとあいまって
大口径レンズを日中でも使い易い。これでNDフィルターの
必要性が減ったと言えよう。
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なお、M(マニュアル)露出モードでAUTO ISOが追従する。
これは2000年代前半から既にNIKON機、PENTAX機において
搭載されていた機能であったが、ISO感度の変化幅が十分に
広くなった2010年代以降で無いと、あまり意味の無い機能
でもあった。
SONYでは前年2012年の、NEX-7やAマウント機α65
(デジタル一眼第13回記事)では、この機能は無く、
M露出時は手動でISOを設定するしかなかった。
ただし、これは絞り値とシャッター速度を前後ダイヤルで
調整できるE/FEマウント純正AFレンズであれば、より有効
ではあると思うが、オールドレンズの場合は、操作性的に、
少々やり難さを感じる。
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さて、ここで再びレンズを交換する、
ここまで使用してきた、対角線魚眼とTwistは、いずれも
カメラ本体より安価である。
こういう状況を、本ブログでは基本的に禁じている。
「カメラの価格がレンズよりも突出する、オフサイド状態」
は反則扱いとなっているのだ。
超安価なトイレンズやエントリーレンズ等の一部のケースを
除き、それを全面的に許したのは、過去シリーズ記事での
「ハイコスパレンズ・マニアックス」の場合であり、これは
極めて安価で性能が高いレンズ群の紹介記事であったから、
カメラの方が高くなるのは、やむを得なかった。
本シリーズ「ミラーレス・クラッシックス」においては、
トイレンズ等の場合を除き、オフサイドルールは有効だ。
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レンズをLAOWA 105mm/f2 Bokeh Dreamer とする。
(過去特集記事あり)
これであれば、α7本体購入価格よりも高価だ。
何故、そのようなルールを儲けているか?と言えば、
カメラの性能を十分に引き出そうとするならば、少なくとも
良いレンズを使わなければならないからだ。
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ただし、値段が高ければ良いレンズであるとも言い切れない。
だから、あまり厳密に気にする必要は無いかも知れないが、
あまりにショボいレンズを高価なカメラにつけているのを
見ると、カメラの事が何も分かっていないようで、極めて
格好悪い。まあ近年のカメラは高価なので購入価格以上の
レンズ、とまでは言わないが、少なくとも本体の半額以上の
価格比率にはするべきだろう。
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さて、本機α7の基本性能だが、例によって現代のカメラ
では詳しくそれを書くときりが無い。
WEBの仕様表や取扱説明書を参照してもらうとして、
そのあたりのカタログスペックは、ばっさり割愛する。
多少そのあたりの数値が良かろうが悪かろうが、すでに
実用範囲以上なのだ。
例えば昔のスポーツカーでは最高速度を謡って、その値を
競っていたのだが、それが300km/hであっても310km/hで
あっても、もはや実用的には殆ど差の無い事であった。
現代のカメラでも、そんな感じになってきていて、
最高ISO感度が160万であっても320万であっても、もう
関係無いという感じだ・・
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で、その取扱説明書だが、前機種NEX-7では「操作編」は、
ビギナー向けの説明を廃し、簡略化されていて好ましかった。
より複雑な内容の別途CD-ROM版「αハンドブック」も、まあ
分かりやすい構成で、なかなかよかったのだが・・
本機α7では説明書が一本化されて、ビギナー向けの内容も
増えた為、300ページ近くに肥大化した。
まあ、このあたりはターゲット・ユーザー層の違いだとは
思うが、冗長すぎるものは読み難い事は確かだ。
なお、別途「ヘルプガイド」という詳細説明書があるが、
それはオンライン専用だし、意外にも、あまり詳しくも無い。
例えば、ヘルプガイドのWEB上での説明、
「あらかじめキーに機能を設定しておくと、撮影情報画面で
キーを押すだけで設定しておいた機能を実行できます。」
「キーによっては割り当てられない機能があります。」
と言う記述だけでは、実際の制限事項などは、さっぱり不明だ。
私が取扱説明書を見る主要な目的として、
「出来ない事、制限される事」が、一番知りたい事なのだが
それらがちゃんと書かれている説明書は各社においても
あまり無い。まあ、カメラの弱点を、わざわざ書きたく無い
のかも知れないが、隠しているようで、むしろ悪印象だ。
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そして、本機α7に限らないが、デジタルカメラの説明書に
マウントアダプターを使用した際での制限事項や注意事項が
一切書かれていない事は非常に気になる(残念な)点だ。
勿論、メーカーとしては他社製品を使用する事は推奨しない
事は理解できるが、最初のミラーレス機DMC-G1が出た時から、
マニア層がマウントアダプターを使ってオールドレンズで
撮影をする事は、わかりきっていた事ではなかろうか?
その事によって、ミラーレス機の市場は陰ながら支えられて
いる。メーカーもその事実をしっかり認め、非推奨なりの
但し書き入れても良いから、どの機能が使えなくなるか、や
こういう制限が出てくる、などの詳細を入れておいた方が
公平かつ丁寧であろう。
「言いたくない事を誤魔化して隠してしまう」と言う風潮は、
説明書の話に限らず、世の中全般でも、どうにも好ましく無い。
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さて、最後にSONY α7の総合評価を行ってみよう。
評価項目は10項目である(第一回記事参照)
【基本・付加性能】★★★★☆
【描写力・表現力】★★★
【操作性・操作系】★★
【アダプター適性】★★
【マニアック度 】★
【エンジョイ度 】★★★★
【購入時コスパ 】★☆ (中古購入価格:72,000円)
【完成度(当時)】★★★
【仕様老朽化寿命】★★☆
【歴史的価値 】★★★★★
★は1点、☆は0.5点 5点満点
----
【総合点(平均)】2.8点
史上初のフルサイズ・ミラーレス機という歴史的カメラで
ありながらも、総合評価点は平均点をやや下回る程度だ。
コストの高さやマニアック度の無さ、そしてゴースト発生等
によるアダプター適性の低さが評価点を下げている。
そして一番気になる点は、旧来のSONY NEX-7からの操作系の
ダウングレードである、初級中級者向けへの対応かも
しれないが、操作系に無駄が多く、かつ静的(固定的)
であり、目的とするカメラ操作が速やかに行えない。
特に、アダプター使用時での無駄な操作系は非常に気になり、
せっかくフルサイズでの「オールドレンズ母艦」として使える
機体であるのに、そこが不満点となっている。
また「一部のオールドレンズで逆光時でのゴースト発生」が
特に酷く、重欠点であり、オールドレンズ母艦としては使い難い。
まあ、総合的には、マニア向けでは無い機体だ。
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発売後の2014年頃では、個人的には、ややマニアックな
超高感度機 α7Sの方に興味があったのだが、その後の時代
では超高感度機も、その機体ではなくても一般的になって
きた為、高価なα7Sを購入する事は見送った。
近年までミラーレス機は成熟期であったが、2018年より
フルサイズ化で急激な変化を見せようとしている。
ここから数世代を経過したら、そうしたフルサイズ化以外の
面も見直され、もっと高度な操作系を持つ機体が出てくる
かも知れないので、それまでは本機α7を使い潰す事としよう。
減価償却ルールがほぼ完了しているので、今後については
「フルサイズ・トイレンズ母艦」への格下げも検討している。
---
なお、発売後5年を経過した現在においては、中古相場は
発売時のおよそ3分の1の、5万円台と安価である。
色々と問題点はある機体だが、「中古で最も安価に買える
フルサイズ(ミラーレス)機」である事も確かだ。
5万円ならば、コスパはさほど悪くは無い。
(注:一眼レフでは、CANON EOS 5D(初代、2005年)は、
もう少し安価な中古相場で買える。まあ勿論古いが・・)
ビギナー層は、いきなり高価な最新のフルサイズ機に目を
奪われず、本機を「お試し版」として、「フルサイズ機の
感触」を得るのも1つの方法論だ。
その際、事前にフルサイズ機に期待していた様々な要素が
「幻想」である事も見えてくるかも知れない。でもその事が
「感触」という意味だ。それをどう捉え、さらにその後
どのような機材購入行動をしていくかは、あくまでユーザー
次第である。
次回記事は、引き続き第三世代のミラーレス機を紹介する、
世代別に紹介して行く記事だ。
今回はミラーレス第三世代=発展期(注:世代の定義は第一回
記事参照)の SONY α7(2013年)を紹介しよう。
なお、本日2018年11月15日は、本機発売日の2013年11月15日
より丁度5年だ、「α7 5周年記念記事」としておこう。
装着レンズは、本機の特性に合うものを数種類用意してある。
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(対角線魚眼レンズ) を使用する。
(ミラーレス・マニアックス第6回、第72回、ハイコスパ
第17回記事)
以降、本システムで撮影した写真を交えながら記事を進めるが、
記事の途中で適宜、別のレンズに交換する。
なお、ZENITAR 16/2.8 は旧ソ連製M42マウントレンズであり、
使用するアダプターの種類、およびレンズ工作精度の関連で、
正しく真っ直ぐに装着できないケースがある。今回もその
パターンにハマってしまい、曲がったレンズ側固定フード
により画像周辺が僅かにケラれてしまうのだが、本記事では、
もうこのまま使う事とする。
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ミノルタ時代から7番というモデル名は、革新的で記念碑的な
意味合いのあるカメラが多かった。
(例:HI-MATIC 7,SR-7,X-7,X-700,α-7000,α-7,
Dimage 7,α-7 Digital等、一部コニカミノルタ製)
これは、ミノルタのカメラが米宇宙船「フレンドシップ
7号」(1962年打上)で使用された事を記念しての型番、
と言われている。
コニカミノルタを経てSONYにも、その文化は継承されたが
SONYの初の7番機、α700(2007年、デジタル一眼第7回記事)
は、SONY独自開発による初の一眼レフではあったが、さしたる
革新的な機能は搭載されていなかった。
続くα77(2011年)は、先に発売されていた革新的なα55の
上位機種であったに過ぎない。
NEX-7(2012年)は傑作機だが、残念ながら世間的評価は少ない。
まあ、そういう意味では、本機α7がSONYでは初の記念碑的な
「7番機」となる。
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ミラーレス機である(注:α7Rと同時発売)
現在、2018年では、NIKON,CANON,LEICA,PANASONIC
SIGMA等から次々にフルサイズミラーレス機が発売または
発表され、市場は一気にミラーレス機のフルサイズ化へ
シフトして行く事が予想されるが、2018年になるまでは
フルサイズミラーレス機は実質SONYのα系しかなかった。
(注:一応ライカSLが存在するが、極めて高価だ)
まあ、2018年発表の新鋭機は、どれも非常に高価だ。
ここはデジタル一眼レフ市場の縮退を受けて、ミラーレス
機にユーザーの関心を向けるという戦略的な意味も強いと
思うので、フルサイズ機の意義や用途やコスパには十分に
注意して、安易に「フルサイズ機だから良い!」などと
超ビギナー視点にはならずに、冷静に新型機の必要性を
検討する必要がある。
そういう意味においても、本記事では、α7が、最初の
フルサイズ機である事から、そのあたりの得失を詳しく
述べているので、熟読していただければ幸いだ。
さて、SONYは2010年のNEX-3等(本シリーズ第4回)より、
2012年のNEX-7(本シリーズ第8回)等まで、APS-C
サイズセンサーを搭載したNEXシリーズを展開していたので
あるが、2013年、フルサイズの本機α7(および姉妹機の
α7R)の発売を機にブランド名称を「α」に統一した。
従来のデジタル一眼レフの「α」は、「Aマウント機」
として発売が継続されているが、2018年現在、Aマウント機
はα77Ⅱ、α99Ⅱの2機種しか国内では展開されておらず、
今後の市場の動向次第では、ゆるやかにEマウント機の
αのみに移行していく可能性もある。
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OM-D E-M1では「旧来のフォーサーズとμ4/3を統合した
フラッグシップ」という主旨の謳い文句があって、まあ
これは、事実上「フォーサーズ機はもう作りません」と
宣言している事と同じであった。(後日紹介予定)
宣言するのは、まだマシな方で、ニコンが2000年代後半に
「銀塩一眼レフを生産中止とする」というプレスリリースを
出した際はマスコミ等のメディアも、ネガティブなニュース
ながら注目したが、他社では何も言わずに銀塩カメラを
いつの間にか生産中止にしたりもしていたのだ。
(注:CANONは最後の銀塩旗艦EOS-1Vの在庫品の販売を継続
していたが、2018年になって、その販売終了を宣言した)
もしかすると1985年のα-7000から30年以上も続いてきた
α(Aマウント)の系譜が途絶えてしまうかも知れない事は
寂しいが、他の銀塩時代からのマウントは、デジタル時代、
既に多くか絶滅し、アダプターを使わない限り使用不能だ。
こういう事は時代の変化により、やむを得ない節もある。
各社のフルサイズ・ミラーレス機へのシフトにより、
さらに一眼レフのマウントが減ってしまう恐れもあるが
まあ仮にそうなっても、当面は現代の一眼レフのレベルの
性能がれば、それらの中古を買い続ければ十分であろう。
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入るのが通例であった(例:α-7)
SONY時代のαの機種名には、ハイフンは入らないので、
(例:本機α7)それで旧機種と区別を行う事ができる。
ここは小さい事だが重要だ、同じ名前のカメラがあっては
ならないし、マニア的には旧機種であっても必ず識別する
必要がある、似た名前の両者を同時に所有/使用している
事も多々あるからだ。
ミラーレス史上初のフルサイズ機α7であるが、
デジタル一眼レフでは従来よりフルサイズ機は存在していた
その歴史を振り返ってみよう。
デジタル一眼レフの各社の最初のフルサイズ機だが、
まず、2002年にはCONTAX N Digital, CANON EOS-1Ds
が発売されている。
しかし、CONTAXのこの機種は商業的に失敗し、2005年に
京セラはカメラ事業から撤退してしまった。
CANONにおいては、以降のフルサイズ機は機種数が多いので
全てを紹介するのは避けるが、業務用途機の1D(s/X)シリーズ
以外の高級機シリーズではEOS 5D(2005),EOS 6D(2012)
の両系統があり、それらも後継機が色々と発売されている。
CANONがこの分野で、かなり先行できたのは自社製のCMOS
センサーがあるからで、それが競争力の原点であった。
NIKONはやや遅れて、2007年に最上位機D3でFXフォーマット
(フルサイズ)を採用、以降のDヒト桁機およびDf(2013)
は全てフルサイズだ。ハイエンド機以外では2008年のD700
以降のD三桁機の大半がフルサイズだ(D300S,D500を除く)
PENTAXは、2016年にK-1で、ようやくフルサイズに参入。
各社にセンサー部品を供給する本家のSONYでは、
2008年にα900を発売、それ以降のα二桁機は、一眼レフ
とは言い難い点もあるが、2012年にα99、2016年にα99Ⅱ
が発売されている。
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ハイアマチュア層向けのフルサイズ機は、結局のところ
EOS 5D MarkⅢ,EOS 6D,NIKON D800/E,α99
あたりしか選択肢が無いのだが、いずれも20万円~35万円
と、かなり高価であった(ボディ単体新品市場価格)
そうした状況の中、本機α7は15万円程と、これまでの
どのフルサイズ一眼レフよりも安価だ。
この為「ミラーレス機初の」という歴史的意味よりも
「最も安価なフルサイズ機」としての要素もまた、
α7(シリーズ)がヒットした所以になったのであろう。
(注:しかし、α7Ⅱが発売時約20万円、α7Ⅲが発売時
約25万円と、後継機の値上げ幅が極めて大きい。
まあ、そういう「付加価値戦略」である事は、ユーザー
側で十分に理解して機種選定を行う必要があるだろう)
それと、各社製の新鋭フルサイズ用レンズはどれも高価だ、
各社フルサイズ機で銀塩時代からのレンズを上手く使えば
安価となるが、各メーカー純正以外のオールドレンズ等では
どうか?それらについては、一眼レフでは自社製も他社製も
装着できるレンズが限定される事が多々ある。
ニコン機(一眼)では、フランジバックとマウント径の
関係から、ニコンFマウント以外の他社レンズは、
中判用等を除き殆ど装着できないし、Fマウントであっても
古いレンズ(例:非Ai)は殆ど利用できない。
またEOS機(一眼)では、アダプターの種類は色々ある物の、
MF時の機能制限が大きい(例:フォーカスエイト機能が
効かなかったり、分割測光が不安定になる等)
SONY α99は手ブレ補正が内蔵されているメリットがあるが、
残念ながら焦点距離手動設定がなく、アダプター使用時は
その機能は使えない(注:後継のα99Ⅱや、α7系のⅡ型
モデル以降では、やっと焦点距離手動入力が可能となった)
そんな中でのα7(Rも)の発売だ、フルサイズとなった事で、
アダプター使用時には、手ブレ補正機能こそ無いものの、
「オールドレンズのほぼ全てを本来の画角で使える」という
マニアにとっては嬉しい状況になった。
しかし、実際にもそうか?というと、単純に長所ばかりとも
言い切れない。
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<フルサイズ機の長所>
1)レンズ本来の画角で使用できる
が、これは別にそうでなくてはならない理由も少なく、
小型センサー機で、望遠レンズをより望遠にしたいという
用途もあるので、フルサイズの場合は主に(超)広角レンズ
(概ね焦点距離が24mm以下)を使用して、広い画角で
撮りたい場合にのみメリットが生じるだろう。
ちなみに、28mmや35mmレンズの場合は、どうでも良い。
一部のマニアにおいては、それらの銀塩用レンズを多数
所有していて、それらを本来の画角で使いたいニーズも
あるのかも知れないが、しかし、そうでなくてはならない
意味が果たしてあるのだろうか?
画角感覚の差異が気になるならば、再度、換算画角に
おいて、それを身につけ直せば済む話だ。
2)ボケ量が多くなる
被写界深度の計算に必要な許容錯乱円の定義がデジタル
では少々曖昧なので具体的な計算例は省略するが、
概ねセンサーサイズが大きいほど被写界深度は浅くなる。
3)同一画素数であれば、画素ピッチを大きくできる
これは、ダイナミックレンジやノイズ耐性の面では有利だ。
また、解像力の低いオールドレンズとの相性も良い。
ただ、フルサイズ化に比例して画素数が増えている場合は、
この効能は得られない(逆に言えば、高画素化が可能だ)
(注:ピクセル上での回路構成部品面積は考慮していない)
4)ポートレート用の大口径中望遠レンズを適切に使用できる
例えば85mmレンズ等の場合、人物撮影時の間合いも適正
となる(まあ、撮影スタイル等によりけりだが・・)
5)収差強調系のレンズを効果的に使用できる
具体的には、魚眼、シフト、ティルト、ぐるぐるボケ、
周辺光量落ち、といったレンズ群である。
これらは、センサーサイズが大きい場合に、その特徴も
大きくなって、描写表現力的には効果的だ。
(今回の記事でも、これらのレンズを使用している)
<フルサイズ機の短所>
1)価格の高さ
一般に高価である。APS-Cサイズに比べ僅か2倍の
面積比でしかなく、部品代の差はそれくらいなのに、
カメラ価格は大きく跳ね上がる。
(注:製造工程での「歩留まり」の都合は勿論ある)
まあ、メーカーからすれば高付加価値(高く売りたい)
商品であるから、やむを得ないが、ユーザーから見れば、
コスパは非常に悪い。
それが許容範囲外と見なせば、もう「買わない」という
選択肢しか無いであろう(事実、私も、多くのケースで
そうしてきている。又、2018年後半発表の、各社の新鋭
フルサイズミラーレス機も当面は全く買う予定が無い)
2)レンズ性能の欠点が出てしまう
まず周辺収差、そしてテレセントリック特性、解像力等
レンズの性能上の欠点がモロに出る、これらは銀塩時代の
オールドレンズを使うと、さらに顕著となる。
また本機α7では、多くのオールドレンズで、「ゴースト」
の発生頻度が高くなる、これはかなり気になる場合が多く、
絞り値の変更等では回避出来ないので要注意だ。
オールドレンズは、描写力の面だけを考えれば、画角が
狭くなる点を甘んじてμ4/3機等で使った方が有利だ。
3)交換レンズが、大きく重く高価になる
上記性能的な欠点を目立たなくしようと新設計すると、
フルサイズ用新鋭レンズは、どうしても肥大化してしまう。
(勿論、イメージサークルの差異の課題も大きい)
まあ銀塩時代のレンズを使っても良いのだが、上記2)の
性能の欠点が目立つ事と引き換えだ。
まあ、メーカー側としては新設計の交換レンズを(高価に)
売りたい訳であり、これもまたミラーレス機のフルサイズ
化の大きな理由である。
4)連写速度が遅い
この速度は本来画素数やシャッター機構に依存する筈だが、
フルサイズ機ではAPS-C機との仕様差別化で、あえて遅く
している場合もある。
(注:近年、2017年以降では、一部のフルサイズ一眼レフ
にも高速連写機能を持たせ始めている。
まあ、一眼レフの場合には、ミラーが大きくなりその機械的
駆動に負担がある事も連写性能が落ちる原因の1つだろう)
フルサイズ機の長所短所は、大雑把に言えば、こんな所で
あるが、他にも色々ある。
例えば、ファインダーについてだが、ニコン等の一部の
フルサイズ・デジタル一眼レフでは、APS-C用レンズを使用
した場合はクロップして使うのだが、光学ファインダーでは
別枠フレームで、範囲を小さく表示せざるを得ない、
この仕様では見え難く、撮影しずらくなってしまう。
なお、ミラーレス機等のEVF機ではクロップした状態で
画面いっぱいに表示されるので、この違和感は無い。
なおフルサイズ機はファインダー像が広く見えて撮りやすく
感じるが、これは倍率やファインダー型式とも関連するし、
広く見えれば常に良いと言う訳でもなく、フルサイズ機の
一般的な長所とは見なしていない。(また、ミラーレス機の
EVFでは、それは関係無い話だ)
余談だが、個人的には、銀塩レンジファインダー機での、
ブライトフレーム方式の表示が、撮影・作画面においては、
非効率的で(画角変化に追従できない、ボケ量、ボケ質が
わからない、パララックスが出る等)為、基本的に好きに
なれず、それらの機体をあまり収集する事が無かった。
(既に所有していたレンジ機も、殆ど処分してしまった)
まあ確かに、レンジファインダーは「見え」は良いのだが、
勿論その「見え」が、そのまま写真に写る訳では勿論無い。
銀塩時代、レンジ機用レンズが、実際の性能よりも高く
評価され、ビギナー層においては一部神格化されるように
迄なったのは、そういう理由もあるからではなかろうか?
ファインダー像が綺麗だから良く写る、とは説明する必要
すら無い大誤解の話だが、レンジ機等のカメラの構造や原理が
まるで理解できていない愛好家も非常に多い時代ではあった。
まあ現代でもその傾向はあまり変わってないが・・
(例:モニターの再生画像が綺麗だから、良く写るカメラや
レンズだと誤解するなど)
ファインダー性能は、MF撮影全般において、極めて重要な
要素ではあるが、写りには全く関係が無い。
それから画素数についてだが、フルサイズ機において
画素数を大きくした場合等ではデータ容量的な不利が出る。
すなわち、画像容量が増えると連写速度や連写枚数が減り、
メモリーカード等の記録メディアや、HDD等のバックアップ
の容量も喰ってしまう。
まあ、記録画素数をあまり大きくしなければ回避可能だが・・
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私が本機α7を必要とした理由であるが、上記長所の中の
5)で挙げた「収差強調系レンズ」を使う目的が主だ。
特に銀塩時代の魚眼レンズやシフトレンズ等では、APS-C機
以下のセンサーサイズでは、その本来の効果が殆ど出ない。
と言う事で、ここでレンズを交換する、
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(レンズ・マニアックス第2回記事)
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発生する特殊なレンズだが、フルサイズ機であると
APS-C機の場合よりも広い面積に大きく流れるボケが出る。
(ただしデジタルズームをかけると、ぐるぐるボケは減る。
また、今回は少し控え目な「ぐるぐるボケ」としている)
で、収差レンズ使用の面以外での、フルサイズ機での他の
長所は、個人的には殆ど関係なく、APS-C型や4/3型で
何ら問題なかったが、まあ、高価だった(=コスパが非常に
悪かった)フルサイズ機が近年ようやく安価になってきたのも、
もう1つの購入理由だ。
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来たのだが、使用年月が長く、両機ともボロボロになって
きていた。代替機を調達しないと、いつ壊れてもおかしく
無い状態だった。
以前からNEX-7を重複購入しようと思っていたが、まあ
上記の収差レンズの有効活用の意味もあっての、α7の購入だ。
(とは言え、本機α7も、既に2年以上使っているので、
こちらもだいぶボロボロになってきている・汗)
ただ、購入前にα7では名機NEX-7の代替には成り得ない事も
わかっていた。そのあたりは妥協(覚悟)するしか無いとの
判断である。(なお、NEX-7の代替には、本機とは別の機種を
あてがっている。後日紹介予定)
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まずは前述のゴーストだ。これはオールドレンズの多くで
発生し、アダプター母艦として用いる上では重欠点である。
少しでも逆光になると絶対に撮れないと言っても過言では無い。
センサー面からの反射と、オールドレンズの後玉との反射が
干渉してるのかもしれない。なお、他のミラーレス機や
フルサイズ一眼レフでは、こうした状態は起こりにくい。
そして、操作系がやはり気になる。
NEX-7の優れた動的操作系を踏襲せず、安易な静的操作系に
ダウングレードされた。まあ、NEX-7の操作系は高度だが
複雑すぎる、という判断であろう。
せっかくフルサイズ化した(利益の得られる商品が出来た)
のだから、多く売らないとならない、よって、初級中級者層
にも受け入れられる操作系仕様にしないと、最初の機種で
「難しすぎる」「使い難い」といった悪い評判が広まって
しまったら、開発費が無駄になり、製品戦略にも影響が
大きく、非常にマズい事になる訳だ。
操作系において、特にマウントアダプター使用時には、
使えない機能や、無駄になるダイヤルが沢山出てくる。
NEX-7では、そのあたり、トライダイヤルナビ操作系で、
完璧では無いものの、ある程度無駄を省く事ができた。
α7では特に前後ダイヤルが酷く、露出補正ダイヤルが別途
新設された事は良いが、前後ダイヤルの用途が何も無い。
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アサイン可能であったらよかったのだが、ISO感度変更等は
背面コントロールホイールにしか設定できない。
まあ、NEX-7でも、その点はそうだったのたが、NEX-7は
上部の2つのダイアルを、様々な目的用途に自由に(動的に)
変更できるのだ、その点でアダプター使用時にもダイヤルが
無駄になる事が少ない。
なお、何故アダプター使用時の利用法の詳細を上げている
か?と言えば、当然ながらフルサイズ対応純正レンズが高価
すぎるからである、まあメーカー側がそれらの利益の上がる
新鋭レンズを売りたいが為の、フルサイズ化戦略であるから
やむを得ない。ただ、本機登場後のしばらくの間は、
事の本質を良く理解しているマニア層などでは、本機用の
純正レンズを買わず、ほぼ全てアダプター母艦としての
利用であったので、ここはとても重要なポイントだ。
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いくと非常に長くなるので割愛しよう。
総合的には、本機α7は機能不足という事は無いのだが、
高度な設定操作は、ただメニューに入っているだけであり、
それらが必要な際に迅速に呼び出せる状況になっていない。
(注:Fnキーは存在し、編集可能なコンパネ機能はある)
すなわち操作系は基本的に、静的(スタティック)であり、
動的(ダイナミック)な要素は少ない訳だ。
まあこれは、ビギナー向けの操作系だと思う。
(しかし、EVF内で設定操作が出来る事は、ミラーレス機の
大きな長所であり、この点では、一眼レフに勝ち目は無い)
それから、位相差AF機能、収差補正、電子先幕シャッター等
の機能は、純正(対応)のレンズでないと正しく動作しない。
このあたりは技術的にも商売的にも、やむを得ない面があるが、
こういう状況が、あまりに酷いと「排他的すぎる」という
悪印象に繋がってしまう事は、過去のSONY機の記事でも
毎回のように書いている通りだ。
後、本機ではフルサイズの他、APS-Cサイズ撮影が可能である。
純正E型レンズ(APS-C)では、これは自動的にONとなるように
設定でき、アダプター利用で他社等のAPS-C対応レンズを使う
場合は手動でONとする。
で、APS-C撮影とすると勿論画素数が減るが、そこがなんだか
規則的では無い。
具体的には、
フルサイズでは3:2アスペクトの際、L=24M,M=10M,S=6M
の画素数だが、
APS-C撮影で3:2比では、L=10M,M=6M,S=2.6Mとなる
(注:本来は丁度半分の画素数になってしかるべきだが・・)
特に、APS-CのSでは画素数がかなり減るので、装着レンズにより
自動的に切り替わった場合は要注意だ。
(APS-C対応レンズを装着時には記録画素数を普段より上げる等
あるいはEマウントAPS-C機を使えば、この問題は起こらない。
APS-Cレンズ使用で高画素が必要ならば、APS-C機のNEX-7や
α6000系であれば、最大2400万画素のまま使用できる)
他の弱点としては、連写に関するドライブ性能が劣っている
事がある。(注:WEB上にはドライブ仕様が書かれているが、
取扱説明書の「主な仕様」の項目には、なんと連写スペックが
書かれていない! 確信犯であろうか?)
一応、秒2.5コマであるが、さすがに現代の感覚では、とても
遅く感じて、ここは不満が大きいであろう。
それと、背面モニターのコーティング仕上げが悪く、剥げて
すぐに汚くなる。これは前機種NEX-7も、あるいは同時代
(2012~2013年)のSONY機の多くで同様の「重欠点」を持つ。
(注:他の記事でも述べたが、この時代は色々な部品不良がある。
東日本大震災(2011)の影響での代替部品が原因であろうか?
なお、5~6年使っていると、剥げきって綺麗になる場合もある)
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「ゼブラ機能」が新設された。自身が決めた露出値に
合致する範囲が縞模様で表示される。
一般的には、100+、つまり白トビの部分の警告に使う
のが良いとは思うが、70~80%として適正な露出部分を
表示させる事も人物撮影等では適していると思う。
このゼブラは上手く使うと露出決定に効果的な機能だ。
ちなみに銀塩名機α-7では、ラティチュードの狭いポジ
フィルムを使用時に、露出決定に役立つ数多くの便利機能が
備わっていた(例:AEロックをかけると、スポット測光に
自動的に切り替わり、露出メーター上で平均輝度と指定位置の
露出差を測るメータード・マニュアル機能など)
α-7と同じものを搭載する必要は無いが、露出決定への配慮は
αシリーズの伝統とも言えるかも知れない。
(銀塩α-7開発時の社外アドバイザーの写真家の方が、露出
設定の概念に非常に詳しい方であったように記憶している)
あと、低感度ISO50が使え、1/8000秒シャッターとあいまって
大口径レンズを日中でも使い易い。これでNDフィルターの
必要性が減ったと言えよう。
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これは2000年代前半から既にNIKON機、PENTAX機において
搭載されていた機能であったが、ISO感度の変化幅が十分に
広くなった2010年代以降で無いと、あまり意味の無い機能
でもあった。
SONYでは前年2012年の、NEX-7やAマウント機α65
(デジタル一眼第13回記事)では、この機能は無く、
M露出時は手動でISOを設定するしかなかった。
ただし、これは絞り値とシャッター速度を前後ダイヤルで
調整できるE/FEマウント純正AFレンズであれば、より有効
ではあると思うが、オールドレンズの場合は、操作性的に、
少々やり難さを感じる。
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ここまで使用してきた、対角線魚眼とTwistは、いずれも
カメラ本体より安価である。
こういう状況を、本ブログでは基本的に禁じている。
「カメラの価格がレンズよりも突出する、オフサイド状態」
は反則扱いとなっているのだ。
超安価なトイレンズやエントリーレンズ等の一部のケースを
除き、それを全面的に許したのは、過去シリーズ記事での
「ハイコスパレンズ・マニアックス」の場合であり、これは
極めて安価で性能が高いレンズ群の紹介記事であったから、
カメラの方が高くなるのは、やむを得なかった。
本シリーズ「ミラーレス・クラッシックス」においては、
トイレンズ等の場合を除き、オフサイドルールは有効だ。
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(過去特集記事あり)
これであれば、α7本体購入価格よりも高価だ。
何故、そのようなルールを儲けているか?と言えば、
カメラの性能を十分に引き出そうとするならば、少なくとも
良いレンズを使わなければならないからだ。
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だから、あまり厳密に気にする必要は無いかも知れないが、
あまりにショボいレンズを高価なカメラにつけているのを
見ると、カメラの事が何も分かっていないようで、極めて
格好悪い。まあ近年のカメラは高価なので購入価格以上の
レンズ、とまでは言わないが、少なくとも本体の半額以上の
価格比率にはするべきだろう。
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では詳しくそれを書くときりが無い。
WEBの仕様表や取扱説明書を参照してもらうとして、
そのあたりのカタログスペックは、ばっさり割愛する。
多少そのあたりの数値が良かろうが悪かろうが、すでに
実用範囲以上なのだ。
例えば昔のスポーツカーでは最高速度を謡って、その値を
競っていたのだが、それが300km/hであっても310km/hで
あっても、もはや実用的には殆ど差の無い事であった。
現代のカメラでも、そんな感じになってきていて、
最高ISO感度が160万であっても320万であっても、もう
関係無いという感じだ・・
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ビギナー向けの説明を廃し、簡略化されていて好ましかった。
より複雑な内容の別途CD-ROM版「αハンドブック」も、まあ
分かりやすい構成で、なかなかよかったのだが・・
本機α7では説明書が一本化されて、ビギナー向けの内容も
増えた為、300ページ近くに肥大化した。
まあ、このあたりはターゲット・ユーザー層の違いだとは
思うが、冗長すぎるものは読み難い事は確かだ。
なお、別途「ヘルプガイド」という詳細説明書があるが、
それはオンライン専用だし、意外にも、あまり詳しくも無い。
例えば、ヘルプガイドのWEB上での説明、
「あらかじめキーに機能を設定しておくと、撮影情報画面で
キーを押すだけで設定しておいた機能を実行できます。」
「キーによっては割り当てられない機能があります。」
と言う記述だけでは、実際の制限事項などは、さっぱり不明だ。
私が取扱説明書を見る主要な目的として、
「出来ない事、制限される事」が、一番知りたい事なのだが
それらがちゃんと書かれている説明書は各社においても
あまり無い。まあ、カメラの弱点を、わざわざ書きたく無い
のかも知れないが、隠しているようで、むしろ悪印象だ。
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マウントアダプターを使用した際での制限事項や注意事項が
一切書かれていない事は非常に気になる(残念な)点だ。
勿論、メーカーとしては他社製品を使用する事は推奨しない
事は理解できるが、最初のミラーレス機DMC-G1が出た時から、
マニア層がマウントアダプターを使ってオールドレンズで
撮影をする事は、わかりきっていた事ではなかろうか?
その事によって、ミラーレス機の市場は陰ながら支えられて
いる。メーカーもその事実をしっかり認め、非推奨なりの
但し書き入れても良いから、どの機能が使えなくなるか、や
こういう制限が出てくる、などの詳細を入れておいた方が
公平かつ丁寧であろう。
「言いたくない事を誤魔化して隠してしまう」と言う風潮は、
説明書の話に限らず、世の中全般でも、どうにも好ましく無い。
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評価項目は10項目である(第一回記事参照)
【基本・付加性能】★★★★☆
【描写力・表現力】★★★
【操作性・操作系】★★
【アダプター適性】★★
【マニアック度 】★
【エンジョイ度 】★★★★
【購入時コスパ 】★☆ (中古購入価格:72,000円)
【完成度(当時)】★★★
【仕様老朽化寿命】★★☆
【歴史的価値 】★★★★★
★は1点、☆は0.5点 5点満点
----
【総合点(平均)】2.8点
史上初のフルサイズ・ミラーレス機という歴史的カメラで
ありながらも、総合評価点は平均点をやや下回る程度だ。
コストの高さやマニアック度の無さ、そしてゴースト発生等
によるアダプター適性の低さが評価点を下げている。
そして一番気になる点は、旧来のSONY NEX-7からの操作系の
ダウングレードである、初級中級者向けへの対応かも
しれないが、操作系に無駄が多く、かつ静的(固定的)
であり、目的とするカメラ操作が速やかに行えない。
特に、アダプター使用時での無駄な操作系は非常に気になり、
せっかくフルサイズでの「オールドレンズ母艦」として使える
機体であるのに、そこが不満点となっている。
また「一部のオールドレンズで逆光時でのゴースト発生」が
特に酷く、重欠点であり、オールドレンズ母艦としては使い難い。
まあ、総合的には、マニア向けでは無い機体だ。
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超高感度機 α7Sの方に興味があったのだが、その後の時代
では超高感度機も、その機体ではなくても一般的になって
きた為、高価なα7Sを購入する事は見送った。
近年までミラーレス機は成熟期であったが、2018年より
フルサイズ化で急激な変化を見せようとしている。
ここから数世代を経過したら、そうしたフルサイズ化以外の
面も見直され、もっと高度な操作系を持つ機体が出てくる
かも知れないので、それまでは本機α7を使い潰す事としよう。
減価償却ルールがほぼ完了しているので、今後については
「フルサイズ・トイレンズ母艦」への格下げも検討している。
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なお、発売後5年を経過した現在においては、中古相場は
発売時のおよそ3分の1の、5万円台と安価である。
色々と問題点はある機体だが、「中古で最も安価に買える
フルサイズ(ミラーレス)機」である事も確かだ。
5万円ならば、コスパはさほど悪くは無い。
(注:一眼レフでは、CANON EOS 5D(初代、2005年)は、
もう少し安価な中古相場で買える。まあ勿論古いが・・)
ビギナー層は、いきなり高価な最新のフルサイズ機に目を
奪われず、本機を「お試し版」として、「フルサイズ機の
感触」を得るのも1つの方法論だ。
その際、事前にフルサイズ機に期待していた様々な要素が
「幻想」である事も見えてくるかも知れない。でもその事が
「感触」という意味だ。それをどう捉え、さらにその後
どのような機材購入行動をしていくかは、あくまでユーザー
次第である。
次回記事は、引き続き第三世代のミラーレス機を紹介する、