正式名称は
「第13回びわこ1ドラゴンボート000m選手権大会」
&「第8回ドラゴンボート・グランドシニア大会」
であるが、長いので、以下「1000m選手権」(および)
「グランドシニア」と略す。
両大会は、2018年9月24日(月・祝)に、滋賀県大津市
瀬田の「滋賀県立琵琶湖漕艇場」にて行われている。
同日開催であるが、概ね午前の部が「1000mm選手権」、
午後の部が「グランドシニア」というスケジュールだ。
![c0032138_17404547.jpg]()
さて、今年の夏は異常なまでの猛暑に見舞われたが、
流石に9月下旬となると、気温も下がり、本会場での
本日の最高気温は27℃くらいに留まっている。
前回のドラゴン記事、KIX大会編から後、最強台風21号
の襲来により、関空はもとより多くのドラゴンチームの
保有艇等にも被害が出た。
・・が、その話は、また別の記事で述べる事として、
本記事においては、1000m選手権の話に集中しよう。
本日の天候は晴れ後曇り、小雨が一瞬だけ降ったが、
全く気にならない程度である。
風は、微風~風速2m/sくらいの範囲であり、
琵琶湖の水位は-23cm(これは、ほぼ基準水位)
水流は、琵琶湖から流れ出る瀬田川の南郷洗堰および
宇治川天ヶ瀬ダムの放流量は、およそ150トン/毎秒だ。
(これは全開時の、およそ1/5~1/6程度と少ない)
この放流量だと、水流も弱く、レースには影響しない。
また夏場の琵琶湖によく発生する「藻」も、殆ど無い。
まあつまり、全てのレース条件が理想的なレベルであり、
「絶好のドラゴン日和」となった。
これは、自然環境のコンディションに左右されずに、
「純粋な実力勝負が出来る」という意味である。
![c0032138_17404561.jpg]()
さて、では午前中の「1000m選手権」の模様から伝えて
いく事にしよう。
この「1000m選手権」は、今年で第13回目となるが、
過去1度だけ台風による中止がある(昨年2017年)
私は初回大会から全大会を観戦撮影している。
本大会は、参加チーム数は少ない小規模大会であるが、
元々の大会開催の主旨として「(長距離戦も多い)世界の
ドラゴンボート大会に通用するチームを育てる為」の
大会であり、全国のドラゴンボート系公式大会では
最長の1000mの直線レースとなっている。
まあ、他にこれだけのレース長を取れる会場が殆ど無い
という事もあるだろう。本「琵琶湖漕艇場」は、例えば
「朝日レガッタ」等も行われる全国屈指の総合ボート
レース会場であり、ボート競技がテーマの映画/ドラマの
「がんばっていきまっしょい」の舞台及びロケ地にも
なっている。
![c0032138_17523845.jpg]()
大会のレギュレーションであるが、滋賀県協会の所有する
通称、旧ペーロン艇を使用、重量級だが安定性の高い艇だ。
コースは1000m直線(ターン無し)、20人漕ぎ(22人乗り)
2~3艘建て、2回戦合計タイム制、そしてカテゴリーは
「オープンの部」と「(男女)混合の部」である。
現代では珍しくなった20人漕ぎオンリーの大会であるが、
まあ、1000mという長丁場だ、10人漕ぎだと、ちょっと
しんどいと思われるので、この大会を10人漕ぎにシフト
する提案は出ていないと思う。
本大会での両カテゴリーの参加チームは、各5チームで
計10チームである。やや少ないのだが、まあ多い年でも
計10数チームくらいの小規模大会である。
近年では、20人漕ぎの漕手を揃えられるチームも減って
きている為、本大会ではコラボチーム(=複数のチーム
メンバーによる合同の混成チーム)が増えてきている。
![c0032138_17404565.jpg]()
ではここで、まずオープンの部の参加チームを挙げておく。
・池の里Lakers!
・Rスポーツマンクラブ
・IHI相生
・龍衛者(どらえもん)(龍人+闘龍者のコラボ)
・小寺製作所
注目の兵庫県相生市から遠距離参戦の「IHI相生」は
本大会3連覇中の「長距離型」のチームである。
![c0032138_17404592.jpg]()
「IHI相生」は、同地区で100年以上の伝統を誇る
「相生ペーロン競漕」の創設に深く係わった企業チーム
であり、世代交代を続けながら、同大会での強豪チーム
(=上位カテゴリーのⅠ部チームだ)として著名である。
「相生ペーロン競漕」のレギュレーションは、ドラゴン
とはずいぶん異なるのであるが、それでも本大会との
共通点は「長距離戦」という事である。相生ペーロンは
予選が600m、決勝が900mという長丁場なのだ。
(注:ターン戦である)
その相生ペーロンで鍛えられた「IHI相生」は、長距離戦
に滅法強い。
まあ、と言うか他のドラゴン専業チームは近年の各大会が、
殆どがレース長200m前後のスプリント(短距離)戦と
なっている為、長距離戦を苦手としているのだ。
その為、「IHI相生」の近年の本大会オープンの部の戦績は、
怒涛の3連覇(2014年~2016年、注:2017年は大会中止)
である。
![c0032138_17524574.jpg]()
長距離戦に慣れている事に加えて、俗称「ペーロン漕ぎ」
と呼ばれている、パドルを上から突っ込むようにして
ストロークする漕ぎ方(注:舷側の高い相生ペーロン艇に
適した漕ぎ方だ)が、本大会にもマッチしているように
思える。
(注:上写真は、グランドシニア戦での「IHI相生」
この漕ぎ方は、相生ペーロンのベテラン層の方が顕著だ)
つまり、ドラゴン界の他チームで一般的な、短距離戦向けの
前傾姿勢+ピッチ漕法(手数で漕ぐ)では、1000mの長丁場
(およそ4分30秒前後のレースタイム)において、スタミナ
が持たないのだと思われる。
これが「ペーロン漕ぎ」であれば、体勢に負担がかからず
レース後半にもスタミナ切れになりにくいのだろう。
ただ、今日の「IHI相生」は、会場で見かけるなり開口一番
I「練習不足で・・(汗)、それに新人メンバーも
数名乗っています」との事である。
![c0032138_17410037.jpg]()
この状況だと、さしもの「絶対王者」の「IHI相生」も
4連覇は厳しいかも知れない。地元滋賀県等の強豪チーム
にも優勝のチャンスが巡ってくる状況かもしれないが、
それは、第一レースを見るまで様子はわからない。
それにまあ、「IHI相生」は、今年の本大会のパンフレット
の表紙写真にも載っている(私が撮った写真だ)
せっかく遠方から来てくださっているし、なんとか連覇を
続けてもらいたい気もするが、まあそれも、チームの調子
次第であろう。
さて、「IHI相生」以外のオープンの部の参加チームは
何処が勝っても初優勝である。「琵琶湖の三国志」の
強豪チームが参戦しているので、いずれもが初優勝となる
のは意外かも知れないが、「IHI相生」以前の「bp」の
時代とかも含めると、もう7年以上も時代を遡る事となって、
その当時と現在では、参加チームやら、チーム力とか
パワーバランスとか、様々な様相が異なっている訳だ。
![c0032138_17410039.jpg]()
まあでも、本大会は、参加選手達の認識では、
「競技志向はあまり強く無い大会」という雰囲気であろう。
あまり、ガツガツと勝ちに行こうとするチームは
見当たらず、選手村も比較的のんびりしたムードだ
上写真は、地元強豪「池の里Lakers!」のテントだが、
本大会の翌週に大津市で行われる「大津バル」
(3000円のチケットを購入すると、数十店舗の中から
好きな5店舗で、バル指定メニューの飲食が出来る)
・・の、お店選びをしている様子だ。
![c0032138_17410193.jpg]()
他の強豪チームのテントも、だいたいのんびりムードだ。
まあ、琵琶湖での最大のメジャーは、前月の大会の
「びわこペーロン」という認識なのであろう。
勿論、10月に「スモール選手権」もあるが、それは
全国から超強豪が集まる非常にレベルが高い大会である。
さしもの「琵琶湖オールスター」でも、少々厳しい。
さて、オープンの部の第一回戦の様子を見てみよう。
ここで注目は、前述の「IHI相生」の今日の調子だ。
![c0032138_17410173.jpg]()
奥のレーン「池の里」が「IHI相生」を1艇身強押さえて
フィニッシュしている。これは予想外の展開であり、
4連覇を目指す「IHI相生」と波乱含みになりそうだ。
両者のタイムは4分33秒と4分39秒、6秒差は短距離戦
では厳しいが、1000m戦では無いに等しいタイム差だ。
各チームは、ちょっとしたコンディションや調子の差で、
毎レースで±10秒くらいのタイム差は出てくる。
![c0032138_17410161.jpg]()
まあ、そういう視点からは、本レース3位の「小寺製作所」
も、さほど悪く無い。数秒差は2回戦で取り戻せる範囲だ。
なお「小寺製作所」は、琵琶湖の殆どのボート系大会で
優勝の実績を持つが、本1000m選手権は優勝経験が無い。
小「1000mだけは、勝てる気が全くしない」
と、長距離戦に苦手意識が強いのであるが、まあでも
600m戦の高島ペーロンと、500m戦の堅田湖族船競争で
優勝しているし、本大会でも、前回(1昨年)では
3位に入賞している。
自身が思う程には、長距離が苦手という訳でも無さそうだ。
![c0032138_17410044.jpg]()
さて、続くオープンの部の第2レースは[R」対「龍衛者」
戦だが、ここでトラブルが発生。
本大会では、スタートの合図をトランシーバーで
ゴール地点の本部に伝え、そこでストップウォッチの
計測を開始するのだが、まあ、電波の速度は秒速30万km
なので、この時間差はゼロに等しい。
ところが、一般的な業務用トランシーバーの到達距離は
数百m程度であり、1kmを越えて、しかも屋内となると、
電波の状態によっては通話が途切れ途切れになる筈だ。
今回、スタートの合図の電波が本部に届かなかったのか?
タイム計測が上手く開始できなかった様子だ。
そういえば、数年前の本大会でも一度同じ事が起こっていた。
タイムが測れなければ意味がない、しかたなく、これは
レースを途中中断して再レースとなった。
(しかし、この連絡もトランシバー不調により遅くなった)
漕いでいる選手の中からはクレームが出た模様なのだが、
これは機器の性能上、止むを得ないところもあるだろう。
ちょっと苦言は勘弁してあげていただきたいとも思う。
再レースは、数レース遅らせての処置となった。
----
さて、この問題が使用電子機器の性能に依存するならば、
対策を施すには、出力の大きい長距離型トランシーバーを
用いるしか方法は無いであろう。ただ、機種によっては
「無線免許」が必要な場合もあると思う。恐らくスタッフ
は皆、無線免許は持っていないと思うので、この代替案は、
微妙であり、なんとも言えない。
今のまま使うならば、できるだけ「屋外・見通し距離」
という条件を維持するような、機器配置、アンテナ角度
等を常に配慮して通話安定性を保たなければならない。
まあでも、こういう措置は電子機器の性能を熟知して
いないと少々難しいかも知れない。
世間一般的には、今時の「機械」は、「どれもちゃんと
動いて、当たり前だ」と認識している事であろう。
しかし、どんな電子機器にも、勿論性能限界はある。
カメラやレンズの撮影機材だってそうだが、どんな機器
にも「せいいっぱい」があり、それを意識して、その
限界点を高めるのは、基本的には利用者側の責務だ。
そして、性能の限界のみならず、機械には弱点もある。
カメラやレンズにも、本ブログの他の記事で色々と
解説しているように、様々な弱点があるのだが、
そういう事は、使う側がわかっていて、技能や工夫で
その弱点を回避して使えば何も問題が無い訳だ。
カメラにおいては、初級層では、機材の弱点がわからず、
その事があまりに怖いから、腕前に見合わない、性能の
高い高価な機材ばかりを欲しがってしまい・・
中級層では、機材の弱点には気づくが、それがわかると、
機材側の責任だ、と一方的に文句を言う事しかしない・・
・・でも、それらではダメなのだ。上級レベルになる為には
機材の長所も課題も100%理解し、かつ、その問題点を弱点に
しない為の知識や技法や技能を使わなければならないのだ。
これはカメラに限らず、世の中の全ての機械類で、当て
はまる話だと思う。つまり機械の欠点を責め立てている
だけではダメで、機械は「完全に使いこなす事」で、
その性能限界点を遥かに高める事が可能なのだ。
余談が長くなったが、でも非常に重要な事だ。
![c0032138_17413006.jpg]()
さて、本記事においては、1000m選手権のオープンの部の
結果まで伝えておく事としよう。
1回戦のタイムからして、優勝候補は「池の里Lakres!」
と「IHI相生」の2つに絞られた。
この大会には、3つの新聞社が取材に訪れて頂いている。
内1社は、前任者の時代から顔見知りで、今年からの
新任記者は、びわこペーロン等、複数の滋賀の大会にも
取材に来ていただいている。他の2社はドラゴン系の
取材が初めての記者の方であったので、色々と競技上の
見所等を説明させて貰ったが、上手く新聞記事にして
いただいたので、広報という意味では有り難い限りだ。
![c0032138_17413088.jpg]()
さて、複数の報道陣が見守る中、「池の里」と「IHI相生」
は2回戦で直接対決だ、ここでは「池の里」が少しでも
上回れば初優勝。仮に「IHI相生」が先行しても1挺身
程度であれば、やはり「池の里」の勝ち。
あるいは「IHI相生」が「池の里」を6秒以上リードすれば、
「IHI相生」の4連覇達成となる。
優勝争いに加えて、入賞圏内の3位争いも微妙であり、
「龍衛者」「小寺製作所」「Rスポーツマンクラブ」の
いずれにも、2回戦のタイム次第で3位入賞の可能性がある。
![c0032138_17413057.jpg]()
さあ、オープンの部第2回戦第1レースのスタートだ。
と言っても、他の短距離大会のように太鼓の音は
全く聞こえない、艇は、まだおよそ1kmも先だからだ。
風向きにもよるが、コース半分の500mくらいとなって
やっと太鼓が聞こえてくる。ただ、ゴール地点で待ち構えて
いても、まだそこからは2分以上も時間がかかる。
これまで使っていた超望遠レンズ等では、このあたりから
カメラを構えていたのだが、それでは流石に重量等で
疲れてしまうし、「引き寄せて撮らないと意味が無い」と、
最近では思うようになっている。(遠距離でボートを
単独で撮っても、構図的な面白味が無いから)
今回は、そういう意味でも、過剰な超望遠レンズは
持って来ていない。
![c0032138_17413040.jpg]()
レース終盤残り数十m、両者凄い接戦である。
手前オレンジが「池の里」、奥が「IHI」だ。
これが単純な「決勝戦」であれば、もう大興奮モノの
レースなのだが、本大会は2回戦合計タイム制なので
「池の里」が第一レースの分の約6秒のアドバンテージ
を持っている、だからもうこの時点では「池の里」の
初優勝が確定的だ。
![c0032138_17413080.jpg]()
両者がゴールラインに到達、殆ど差は無かったが、
コンマ差で「池の里」が上回り、これで「完全勝利」だ。
![c0032138_17413083.jpg]()
4連覇を逃して、悔しげに戻って来る「IHI相生」
この時、ドラマーの女性(4つ上の写真)は、
相生地区伝統のリズム(私は勝手に「ペーロン打ち」と
呼んでいる)で太鼓を叩いていた。
この「ペーロン打ち」が、どんな意味で叩かれるかは
良くわからない。でも、これまでこのリズムを聞いた時は、
「勝利を讃える時」「嬉しい時」「悔しい時」など、
つまり感情が昂ぶった時に叩かれるリズムなのであろうと
思われる。(ハワイ語の、「アロハ」や「マハロ」の
ように、複数の感情的な意味を持つ、という事か?)
![c0032138_17414566.jpg]()
本大会に初優勝した「池の里Lakers!」は、これまで
琵琶湖ペーロンで4度の優勝(2011,2015~2017)が
あり、高島ペーロンで1度の優勝(2015)がある。
私は「池の里」のメンバーに良く
匠「これまでの5回の優勝は、すべて「ペーロン」という
名前の大会ばかり。もう「池の里ペーロンチーム」
に名前を変えたらどうですか?(笑)
それが嫌ならば「池の里レイクスターズ」です(笑)
(注:滋賀のプロバスケチームの名前だ)」
と何度も冗談を言っていたが、これで「ドラゴン」と
名前が付く大会で、ついに初優勝だ。
池「どうですか? これでドラゴンチームだと
認めてくれますか?」
匠「よくやりましたね! はい、認めましょう!」
![c0032138_17414525.jpg]()
優勝決定後、新聞記者からのインタビューを受けている
「池の里」の監督のT氏(真ん中オレンジの服)
T「ずっと2位が続いていて、なかなか優勝できません
でした」
新「ほう、何回くらい2位だったのですか?」
T「え~と・・ 3回くらい、いやもっと多いかな?」
T氏は他の「池の里」メンバーに確認をしようとする。
すると、他のメンバー選手いわく
選「そういう事は、あちらのカメラマンの匠さんが
詳しいです」
匠「何故こちらに振る?(汗) 自分のチームでしょう?
え~と・・・ 多分7~8回はありますよ」
後日、2位の回数を調べようと思ったが、意外に難しくて
断念した。カテゴリーが微妙に変わる年などもあったし、
公式記録は飛び飛びの年の状態でしか残っておらず、
これでは多分、私のブログ記事を過去13年分遡って
全部読まないとわからない(汗)それに本ブログの記事は
あまり順位掲載等に拘った視点では書いていないのだ。
何故ならばそういう情報は、本ブログではなくても、他でも
情報として存在する「二次情報」だから好まないのだ。
でも、だいたいわかった範囲では、池の里は、直近の
2013~2016年の4年間は全部2位だ(2017年は大会中止)
2012と2011は、多分4位以下、そして2010と2009は2位だ
これで計6回の準優勝、これ以前にまで遡るのは、もう
やめておくが、7~8回はあると思う。これはもう、
完全な「万年2位」状態であったと思う(汗)
![c0032138_17414542.jpg]()
表彰式での「IHI相生」
4連覇はならず残念ではあったが、賞品は確か「近江米」
30kgと豪華なので、まあ良かったであろう。
![c0032138_17414643.jpg]()
3位には、「龍衛者」(どらえもん)が入賞した。
注:滋賀の「龍人」(どらんちゅ)と、愛知の「闘龍者」
(とうりゅうもん)のコラボチームだ。
さて、「1000m選手権」の「オープンの部」の模様は
このあたりまでで、続く後編記事では「混合の部」の
結果および「グランドシニア」の結果について述べよう。
----
追記:来る2018年11月11日(日)に、京都府宇治市の
観光名所、中ノ島(塔の島)(=ドラゴン宇治大会会場)
にて、京都のドラゴンボート強豪チーム「すいすい丸」が
一般向けドラゴン体験乗船会(無料)を行うそうだ。
![c0032138_17414535.jpg]()
詳細は、すいすい丸ブログにて。
「第13回びわこ1ドラゴンボート000m選手権大会」
&「第8回ドラゴンボート・グランドシニア大会」
であるが、長いので、以下「1000m選手権」(および)
「グランドシニア」と略す。
両大会は、2018年9月24日(月・祝)に、滋賀県大津市
瀬田の「滋賀県立琵琶湖漕艇場」にて行われている。
同日開催であるが、概ね午前の部が「1000mm選手権」、
午後の部が「グランドシニア」というスケジュールだ。

流石に9月下旬となると、気温も下がり、本会場での
本日の最高気温は27℃くらいに留まっている。
前回のドラゴン記事、KIX大会編から後、最強台風21号
の襲来により、関空はもとより多くのドラゴンチームの
保有艇等にも被害が出た。
・・が、その話は、また別の記事で述べる事として、
本記事においては、1000m選手権の話に集中しよう。
本日の天候は晴れ後曇り、小雨が一瞬だけ降ったが、
全く気にならない程度である。
風は、微風~風速2m/sくらいの範囲であり、
琵琶湖の水位は-23cm(これは、ほぼ基準水位)
水流は、琵琶湖から流れ出る瀬田川の南郷洗堰および
宇治川天ヶ瀬ダムの放流量は、およそ150トン/毎秒だ。
(これは全開時の、およそ1/5~1/6程度と少ない)
この放流量だと、水流も弱く、レースには影響しない。
また夏場の琵琶湖によく発生する「藻」も、殆ど無い。
まあつまり、全てのレース条件が理想的なレベルであり、
「絶好のドラゴン日和」となった。
これは、自然環境のコンディションに左右されずに、
「純粋な実力勝負が出来る」という意味である。

いく事にしよう。
この「1000m選手権」は、今年で第13回目となるが、
過去1度だけ台風による中止がある(昨年2017年)
私は初回大会から全大会を観戦撮影している。
本大会は、参加チーム数は少ない小規模大会であるが、
元々の大会開催の主旨として「(長距離戦も多い)世界の
ドラゴンボート大会に通用するチームを育てる為」の
大会であり、全国のドラゴンボート系公式大会では
最長の1000mの直線レースとなっている。
まあ、他にこれだけのレース長を取れる会場が殆ど無い
という事もあるだろう。本「琵琶湖漕艇場」は、例えば
「朝日レガッタ」等も行われる全国屈指の総合ボート
レース会場であり、ボート競技がテーマの映画/ドラマの
「がんばっていきまっしょい」の舞台及びロケ地にも
なっている。

通称、旧ペーロン艇を使用、重量級だが安定性の高い艇だ。
コースは1000m直線(ターン無し)、20人漕ぎ(22人乗り)
2~3艘建て、2回戦合計タイム制、そしてカテゴリーは
「オープンの部」と「(男女)混合の部」である。
現代では珍しくなった20人漕ぎオンリーの大会であるが、
まあ、1000mという長丁場だ、10人漕ぎだと、ちょっと
しんどいと思われるので、この大会を10人漕ぎにシフト
する提案は出ていないと思う。
本大会での両カテゴリーの参加チームは、各5チームで
計10チームである。やや少ないのだが、まあ多い年でも
計10数チームくらいの小規模大会である。
近年では、20人漕ぎの漕手を揃えられるチームも減って
きている為、本大会ではコラボチーム(=複数のチーム
メンバーによる合同の混成チーム)が増えてきている。

・池の里Lakers!
・Rスポーツマンクラブ
・IHI相生
・龍衛者(どらえもん)(龍人+闘龍者のコラボ)
・小寺製作所
注目の兵庫県相生市から遠距離参戦の「IHI相生」は
本大会3連覇中の「長距離型」のチームである。

「相生ペーロン競漕」の創設に深く係わった企業チーム
であり、世代交代を続けながら、同大会での強豪チーム
(=上位カテゴリーのⅠ部チームだ)として著名である。
「相生ペーロン競漕」のレギュレーションは、ドラゴン
とはずいぶん異なるのであるが、それでも本大会との
共通点は「長距離戦」という事である。相生ペーロンは
予選が600m、決勝が900mという長丁場なのだ。
(注:ターン戦である)
その相生ペーロンで鍛えられた「IHI相生」は、長距離戦
に滅法強い。
まあ、と言うか他のドラゴン専業チームは近年の各大会が、
殆どがレース長200m前後のスプリント(短距離)戦と
なっている為、長距離戦を苦手としているのだ。
その為、「IHI相生」の近年の本大会オープンの部の戦績は、
怒涛の3連覇(2014年~2016年、注:2017年は大会中止)
である。

と呼ばれている、パドルを上から突っ込むようにして
ストロークする漕ぎ方(注:舷側の高い相生ペーロン艇に
適した漕ぎ方だ)が、本大会にもマッチしているように
思える。
(注:上写真は、グランドシニア戦での「IHI相生」
この漕ぎ方は、相生ペーロンのベテラン層の方が顕著だ)
つまり、ドラゴン界の他チームで一般的な、短距離戦向けの
前傾姿勢+ピッチ漕法(手数で漕ぐ)では、1000mの長丁場
(およそ4分30秒前後のレースタイム)において、スタミナ
が持たないのだと思われる。
これが「ペーロン漕ぎ」であれば、体勢に負担がかからず
レース後半にもスタミナ切れになりにくいのだろう。
ただ、今日の「IHI相生」は、会場で見かけるなり開口一番
I「練習不足で・・(汗)、それに新人メンバーも
数名乗っています」との事である。

4連覇は厳しいかも知れない。地元滋賀県等の強豪チーム
にも優勝のチャンスが巡ってくる状況かもしれないが、
それは、第一レースを見るまで様子はわからない。
それにまあ、「IHI相生」は、今年の本大会のパンフレット
の表紙写真にも載っている(私が撮った写真だ)
せっかく遠方から来てくださっているし、なんとか連覇を
続けてもらいたい気もするが、まあそれも、チームの調子
次第であろう。
さて、「IHI相生」以外のオープンの部の参加チームは
何処が勝っても初優勝である。「琵琶湖の三国志」の
強豪チームが参戦しているので、いずれもが初優勝となる
のは意外かも知れないが、「IHI相生」以前の「bp」の
時代とかも含めると、もう7年以上も時代を遡る事となって、
その当時と現在では、参加チームやら、チーム力とか
パワーバランスとか、様々な様相が異なっている訳だ。

「競技志向はあまり強く無い大会」という雰囲気であろう。
あまり、ガツガツと勝ちに行こうとするチームは
見当たらず、選手村も比較的のんびりしたムードだ
上写真は、地元強豪「池の里Lakers!」のテントだが、
本大会の翌週に大津市で行われる「大津バル」
(3000円のチケットを購入すると、数十店舗の中から
好きな5店舗で、バル指定メニューの飲食が出来る)
・・の、お店選びをしている様子だ。

まあ、琵琶湖での最大のメジャーは、前月の大会の
「びわこペーロン」という認識なのであろう。
勿論、10月に「スモール選手権」もあるが、それは
全国から超強豪が集まる非常にレベルが高い大会である。
さしもの「琵琶湖オールスター」でも、少々厳しい。
さて、オープンの部の第一回戦の様子を見てみよう。
ここで注目は、前述の「IHI相生」の今日の調子だ。

フィニッシュしている。これは予想外の展開であり、
4連覇を目指す「IHI相生」と波乱含みになりそうだ。
両者のタイムは4分33秒と4分39秒、6秒差は短距離戦
では厳しいが、1000m戦では無いに等しいタイム差だ。
各チームは、ちょっとしたコンディションや調子の差で、
毎レースで±10秒くらいのタイム差は出てくる。

も、さほど悪く無い。数秒差は2回戦で取り戻せる範囲だ。
なお「小寺製作所」は、琵琶湖の殆どのボート系大会で
優勝の実績を持つが、本1000m選手権は優勝経験が無い。
小「1000mだけは、勝てる気が全くしない」
と、長距離戦に苦手意識が強いのであるが、まあでも
600m戦の高島ペーロンと、500m戦の堅田湖族船競争で
優勝しているし、本大会でも、前回(1昨年)では
3位に入賞している。
自身が思う程には、長距離が苦手という訳でも無さそうだ。

戦だが、ここでトラブルが発生。
本大会では、スタートの合図をトランシーバーで
ゴール地点の本部に伝え、そこでストップウォッチの
計測を開始するのだが、まあ、電波の速度は秒速30万km
なので、この時間差はゼロに等しい。
ところが、一般的な業務用トランシーバーの到達距離は
数百m程度であり、1kmを越えて、しかも屋内となると、
電波の状態によっては通話が途切れ途切れになる筈だ。
今回、スタートの合図の電波が本部に届かなかったのか?
タイム計測が上手く開始できなかった様子だ。
そういえば、数年前の本大会でも一度同じ事が起こっていた。
タイムが測れなければ意味がない、しかたなく、これは
レースを途中中断して再レースとなった。
(しかし、この連絡もトランシバー不調により遅くなった)
漕いでいる選手の中からはクレームが出た模様なのだが、
これは機器の性能上、止むを得ないところもあるだろう。
ちょっと苦言は勘弁してあげていただきたいとも思う。
再レースは、数レース遅らせての処置となった。
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さて、この問題が使用電子機器の性能に依存するならば、
対策を施すには、出力の大きい長距離型トランシーバーを
用いるしか方法は無いであろう。ただ、機種によっては
「無線免許」が必要な場合もあると思う。恐らくスタッフ
は皆、無線免許は持っていないと思うので、この代替案は、
微妙であり、なんとも言えない。
今のまま使うならば、できるだけ「屋外・見通し距離」
という条件を維持するような、機器配置、アンテナ角度
等を常に配慮して通話安定性を保たなければならない。
まあでも、こういう措置は電子機器の性能を熟知して
いないと少々難しいかも知れない。
世間一般的には、今時の「機械」は、「どれもちゃんと
動いて、当たり前だ」と認識している事であろう。
しかし、どんな電子機器にも、勿論性能限界はある。
カメラやレンズの撮影機材だってそうだが、どんな機器
にも「せいいっぱい」があり、それを意識して、その
限界点を高めるのは、基本的には利用者側の責務だ。
そして、性能の限界のみならず、機械には弱点もある。
カメラやレンズにも、本ブログの他の記事で色々と
解説しているように、様々な弱点があるのだが、
そういう事は、使う側がわかっていて、技能や工夫で
その弱点を回避して使えば何も問題が無い訳だ。
カメラにおいては、初級層では、機材の弱点がわからず、
その事があまりに怖いから、腕前に見合わない、性能の
高い高価な機材ばかりを欲しがってしまい・・
中級層では、機材の弱点には気づくが、それがわかると、
機材側の責任だ、と一方的に文句を言う事しかしない・・
・・でも、それらではダメなのだ。上級レベルになる為には
機材の長所も課題も100%理解し、かつ、その問題点を弱点に
しない為の知識や技法や技能を使わなければならないのだ。
これはカメラに限らず、世の中の全ての機械類で、当て
はまる話だと思う。つまり機械の欠点を責め立てている
だけではダメで、機械は「完全に使いこなす事」で、
その性能限界点を遥かに高める事が可能なのだ。
余談が長くなったが、でも非常に重要な事だ。

結果まで伝えておく事としよう。
1回戦のタイムからして、優勝候補は「池の里Lakres!」
と「IHI相生」の2つに絞られた。
この大会には、3つの新聞社が取材に訪れて頂いている。
内1社は、前任者の時代から顔見知りで、今年からの
新任記者は、びわこペーロン等、複数の滋賀の大会にも
取材に来ていただいている。他の2社はドラゴン系の
取材が初めての記者の方であったので、色々と競技上の
見所等を説明させて貰ったが、上手く新聞記事にして
いただいたので、広報という意味では有り難い限りだ。

は2回戦で直接対決だ、ここでは「池の里」が少しでも
上回れば初優勝。仮に「IHI相生」が先行しても1挺身
程度であれば、やはり「池の里」の勝ち。
あるいは「IHI相生」が「池の里」を6秒以上リードすれば、
「IHI相生」の4連覇達成となる。
優勝争いに加えて、入賞圏内の3位争いも微妙であり、
「龍衛者」「小寺製作所」「Rスポーツマンクラブ」の
いずれにも、2回戦のタイム次第で3位入賞の可能性がある。

と言っても、他の短距離大会のように太鼓の音は
全く聞こえない、艇は、まだおよそ1kmも先だからだ。
風向きにもよるが、コース半分の500mくらいとなって
やっと太鼓が聞こえてくる。ただ、ゴール地点で待ち構えて
いても、まだそこからは2分以上も時間がかかる。
これまで使っていた超望遠レンズ等では、このあたりから
カメラを構えていたのだが、それでは流石に重量等で
疲れてしまうし、「引き寄せて撮らないと意味が無い」と、
最近では思うようになっている。(遠距離でボートを
単独で撮っても、構図的な面白味が無いから)
今回は、そういう意味でも、過剰な超望遠レンズは
持って来ていない。

手前オレンジが「池の里」、奥が「IHI」だ。
これが単純な「決勝戦」であれば、もう大興奮モノの
レースなのだが、本大会は2回戦合計タイム制なので
「池の里」が第一レースの分の約6秒のアドバンテージ
を持っている、だからもうこの時点では「池の里」の
初優勝が確定的だ。

コンマ差で「池の里」が上回り、これで「完全勝利」だ。

この時、ドラマーの女性(4つ上の写真)は、
相生地区伝統のリズム(私は勝手に「ペーロン打ち」と
呼んでいる)で太鼓を叩いていた。
この「ペーロン打ち」が、どんな意味で叩かれるかは
良くわからない。でも、これまでこのリズムを聞いた時は、
「勝利を讃える時」「嬉しい時」「悔しい時」など、
つまり感情が昂ぶった時に叩かれるリズムなのであろうと
思われる。(ハワイ語の、「アロハ」や「マハロ」の
ように、複数の感情的な意味を持つ、という事か?)

琵琶湖ペーロンで4度の優勝(2011,2015~2017)が
あり、高島ペーロンで1度の優勝(2015)がある。
私は「池の里」のメンバーに良く
匠「これまでの5回の優勝は、すべて「ペーロン」という
名前の大会ばかり。もう「池の里ペーロンチーム」
に名前を変えたらどうですか?(笑)
それが嫌ならば「池の里レイクスターズ」です(笑)
(注:滋賀のプロバスケチームの名前だ)」
と何度も冗談を言っていたが、これで「ドラゴン」と
名前が付く大会で、ついに初優勝だ。
池「どうですか? これでドラゴンチームだと
認めてくれますか?」
匠「よくやりましたね! はい、認めましょう!」

「池の里」の監督のT氏(真ん中オレンジの服)
T「ずっと2位が続いていて、なかなか優勝できません
でした」
新「ほう、何回くらい2位だったのですか?」
T「え~と・・ 3回くらい、いやもっと多いかな?」
T氏は他の「池の里」メンバーに確認をしようとする。
すると、他のメンバー選手いわく
選「そういう事は、あちらのカメラマンの匠さんが
詳しいです」
匠「何故こちらに振る?(汗) 自分のチームでしょう?
え~と・・・ 多分7~8回はありますよ」
後日、2位の回数を調べようと思ったが、意外に難しくて
断念した。カテゴリーが微妙に変わる年などもあったし、
公式記録は飛び飛びの年の状態でしか残っておらず、
これでは多分、私のブログ記事を過去13年分遡って
全部読まないとわからない(汗)それに本ブログの記事は
あまり順位掲載等に拘った視点では書いていないのだ。
何故ならばそういう情報は、本ブログではなくても、他でも
情報として存在する「二次情報」だから好まないのだ。
でも、だいたいわかった範囲では、池の里は、直近の
2013~2016年の4年間は全部2位だ(2017年は大会中止)
2012と2011は、多分4位以下、そして2010と2009は2位だ
これで計6回の準優勝、これ以前にまで遡るのは、もう
やめておくが、7~8回はあると思う。これはもう、
完全な「万年2位」状態であったと思う(汗)

4連覇はならず残念ではあったが、賞品は確か「近江米」
30kgと豪華なので、まあ良かったであろう。

注:滋賀の「龍人」(どらんちゅ)と、愛知の「闘龍者」
(とうりゅうもん)のコラボチームだ。
さて、「1000m選手権」の「オープンの部」の模様は
このあたりまでで、続く後編記事では「混合の部」の
結果および「グランドシニア」の結果について述べよう。
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追記:来る2018年11月11日(日)に、京都府宇治市の
観光名所、中ノ島(塔の島)(=ドラゴン宇治大会会場)
にて、京都のドラゴンボート強豪チーム「すいすい丸」が
一般向けドラゴン体験乗船会(無料)を行うそうだ。
