2015年10月4日(日)滋賀県・琵琶湖畔の瀬田漕艇場で行われた
「第10回びわ湖ドラゴンボート1000m選手権大会」の模様より。

本会場は、ボート競技のメッカとも言える歴史と伝統のある
瀬田漕艇場で行われる、日本で唯一の長距離ドラゴンボート
大会である。会場の環境は申し分なく、おまけに今日は好天で
極めて心地よい、大変恵まれた状況だ。
しかし、風は強く、午前中は、琵琶湖側から岸側に向かっての
強い横風、昼を過ぎたあたりで、風向きが追い風に変わった。
この結果、2回戦では、各チームともタイムを伸ばしてくる事が
予想される、まあ、でも、その条件は各チームほぼ同一だと
思うので、1回戦の実力差がそのまま適用されるであろう。
あえてポイントを上げると、1回戦の強い横風による蛇行などで
タイムロスしたチームは、2回戦で、その挽回ができるという
可能性がある。
ちなみに、今日は風が強いので、”多少の蛇行は許される”
ローカルルールとなっている。1回戦から、他チームに接触
しそうなほど曲がってしまっているケースを多々見かけるが
まあ、実際にぶつからない限りはセーフという事である。

「池の里Lakers!」の2回戦、
う~ん、速いのは速いんだけどねえ・・ 恐らくタイムは、
4分40秒台くらいかな?
本日好調の「チームSH」(IHI相生)は、多分4分30秒台
で次も来るだろうから、これだとちょっと追いつかない。
「池の里」は、今日もきっとまた準優勝になる感じだ、
万年2位モードからの脱出は、なかなか難しい。
それよりも注目は、奥のレーンで「琵琶ドラ」が「池の里」に
並走していることだ。「琵琶ドラ」は1回戦で4分50秒台の
後半で、入賞にやや届かないラインに位置していた。
しかし、例の「驚異の粘り腰」で、2回戦はきっと10秒以上
タイムが伸びて、4分40秒台に入ってくるであろう。すると、
長距離戦初入賞を狙う「小寺製作所」に逆転しているかな・・?
さて、「オープンの部」の最終結果は後述するとして、まずは
「混合の部」の結果をお知らせしよう。

スタート前に円陣を組み、気合が入る「Team BANANA」
数年前にチームで自前のドラゴン艇を購入、その結果か、その後、
急速に実力を伸ばし、しばらく好調な年が続いたのだが、今年は、
何故か、今までほどは、入賞には恵まれていない。
この関西最終戦で、なんとか好成績を残して来年につなげたい
ところだろう。
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余談だが、アコースティックギターをたしなむ、私の友人知人で
稀に、数十万円という非常に高価なギターを購入する人達が居る。
私自身は、ギターは「消耗品」という、カメラ同様の考え方で、
クラッシックギターと、フォークギターを、それぞれ数年に1本
買い換えるようにしてきた。その際の価格は、性能と価格の
バランスの最も良い、5~6万円のギターを買うようにしている。
こういう発想からすると、高価なギターの購入は、かつては
私は賛同できなかったのだが、近年では、そうでも無いかな、と
思ってきている。
高価なギターを購入する動機は、大きくは2つのタイプに分かれる。
1つは、年配の方で、収入も上がり、自身の可処分所得も大きな
年代層であると、若いときにあこがれた有名ブランドのギターを
購入する、というパターンだ。で、残念ながら、このタイプの場合は、
買ったことだけで満足してしまい、練習はせず、実力アップの可能性
は極めて低い。で、従来はこのケースがかなり多かったので、私も、
高価なギター購入には反対派であったのだ。
で、もう1つは、若い人が、分不相応なまでに高価なギターを
購入するケース、「ボーナスをはたいて」、とか「ローンで」とか
聞くと、「大丈夫かよ?」と聞き返してしまうのだが、ところが
このパターンに限っては、彼らは、無理して買ったギターという
認識を持っているのか、恐ろしいまでにそのギターで練習をする。
なので、短期間で、めきめきと上達する。つまり、モチベーション
が極めて高い状態なのだ。
必ずしも上達する事だけが趣味の楽しみ方では無いのであるが
しかし、それは趣味という世界の中では非常に大切な要素だ、
厳しい言い方をすれば、上達の意図・意志が無い趣味は、趣味
とは言えず、単なる暇つぶし、または無駄遣いにすぎないと思う。
だから、ある意味、そうやって無理して買ったギターを必死で
練習して上達していく様子は、見ていて一種の羨ましさもある。
なので、そういう目的であれば、楽器に限らず、各ジャンルで高価な
アイテムの購入も悪く無いと、今は私もそう思っている次第だ。
「BANANA」に限らず、最近は、ドラゴン専業チームの一部で、
自前の艇を購入している所がボチボチと出はじめている、
実際に艇を購入するとなると、初期費用や、保管場所、
ランニングコストなど、色々課題はあるが、それらの課題を
乗り越えても、艇が欲しい、というモチベーションは、前述の
高価なギターの場合と同じ効果が出ることであろう・・

さて、混合の部の2回戦、1回戦ではややタイムロスがあった
「関西龍舟」(関ドラ)が順調なようだ、2以下を大きく
引き離しての独走は、恐らくは4分40秒台、これはオープンの
部の入賞タイムに匹敵する好成績だ。

2位争いは微妙だ、左が大阪のコラボ「みっくちゅじゅーちゅ」
右が「Team BANANA」だ。
やっぱり予想通り長距離に強い「BANANA」がやや有利の展開、
そして1回戦での両者のタイム差は10秒近くあったので、
仮にほぼ同着であっても合計タイムで「BANANA]の勝ちだ。
匠「もうこれで入賞順位は確定だな・・」

「関西龍舟」がゴールまじか、2位以下との差は20~30秒
程度になりそうな気配だ。
ちなみに、各大会でのドラゴン艇の速度(ペース)であるが、
たとえば200~250mの短距離戦では、秒速4m強くらいだ。
400~500mの中距離では、秒速4mちょうどくらい。
1000mの場合、4分40秒の場合に、秒速3.6mとなる。
なので、本大会での20秒の差というのは、70mもの差となるが、
ドラゴン艇身で言えば、ボートの分約11mを引いて5~6艇身の
隙間が開く差という事になる。
(注:ボートの長さを入るならば7艇身差、普通はこちらを使う)
よって、レース観戦時には、艇がいくつ分、離れているかを見て、
1艇身あたり3秒弱位を掛けてやれば、だいたいの、タイム差は
計算できるという事になる、艇の種類や環境でペースが違うので
多少の誤差はあるが、各大会でもだいたいそんな感じだ。

2位の「BANANA」が目の前を通過、舵取りの方のポーズが
なかなか面白い、実は、舵取りはその人毎に色々とスタイルが
あって、良く見ると興味深いのだ。
いつか、記事で「舵手(舵取り)」特集をやってみたいのだが、
思っているだけで、なかなか実現できていない(汗)

結果、「混合の部」優勝は、「関西龍舟」
本大会とは相性が良く、過去、何度も優勝の実績を持つ、
1回戦ではタイムロスしたが、2回戦では、4分42秒と
オープンの部の入賞タイムと同等、となかなかの健闘だ。

「関西龍舟」の、表彰式を撮影するチームの選手達。
「関ドラ」の写真班は、近年、なかなか強力である。
スマホやコンパクトは言うに及ばず、EOS70D,EOS8000D
などの新鋭高性能一眼レフも並び、かなりのものだ。
一眼ユーザーの彼らは「望遠レンズが欲しい」と良く言っている、
まあ、それはそうだろう、ドラゴン撮影ではそれは必須だ。
匠「まともに買うと高すぎるので、中古が良いですよ」
と、いつも答えているのだが、なかなか中古購入はハードルが
高い模様で、実現していない模様だ。
(どうしても欲しければ、候補となる具体的なレンズ名や価格帯、
購入方法を、お伝えするので、また言ってきて下さい)

こちらは混合の部3位となった「みっくちゅじゅーちゅ」だ、
ちなみに、ODBA(大阪府ドラゴンボート協会)であるが、
例年、北港でやっていた「北港スプリント・秋」の大会を
(北港が使えなくなったため)、今年は、琵琶湖の「OPAL」
で開催する(した)とのことだ。
その日程は、残念ながら、私は静岡の「ツナカップ」観戦の
予定が入っているので、ODBAの大会の方には行けない
のだが、また後で様子を聞いておくとしよう。
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さて、残るは「オープンの部」の結果だ、

「琵琶湖ドラゴンボートクラブ」は、思った通り、2回戦で
粘り腰を炸裂させ、「小寺製作所」を逆転して3位入賞となった。
「小寺」は、悲願の”長距離戦初入賞”を逃した事になる。
匠「小寺さん、今年は、ちょっと昨年より入賞に恵まれませんね」
小「昨年が良すぎたんだよ、何度も優勝したしね」
匠「まあ、毎年言ってますが、次の目標は、県外遠征ですね」
小「そうだな、来年は県外に行くとしようかな・・」
従来、県外遠征に及び腰であった「小寺製作所」であるが、
ここのところ、ちょっと目線が外に向いてきた感じだ、
まあ良い傾向だと思う、来年の活躍に期待するとしよう。
「小寺」のライバルにして盟友の「池の里」は、やはり準優勝、
何度も書いているのが、もう可哀想になるくらいの、典型的な
「万年2位」パターンに陥ってしまっている。
まあしかし「池の里」は、今年は、「高島ペーロン初優勝」
「キッズ大会親子の部の優勝」そして「びわこペーロン」では
4年ぶり2度目の優勝と、まずまず納得行く戦績であったと
思うので、充実した年ではあっただろう。

優勝は、相生から参戦の「チームSH」(IHI相生)である、
これで2連覇ということになる。
タイムは、1回戦4分38秒、2回戦4分31秒、合計が
約9分10秒と、9分切り、こそできなかったが、かなり
立派な成績である。
ちなみに、昨年の「チームSH」は、合計タイムが8分58秒
となっていた、まあ、コース条件は毎年、いや毎レースで異なる
ので単純比較はできないのだが、長距離戦で安定した実力が
つきつつあるのは確かであろう。

写真は、表彰式での「チームSH」の模様。
そうそう「チームSH」のSHは何の略だ?と昨年聞いたら
S「スーパーヒーター」です、という答えが返ってきた。
その時は、洒落でつけた名前だったかもしれないが、優勝したので
ゲンをかついてか、今年も同じ名前で来たのであろう。
そういえば、元々「相生ペーロン競漕」は、予選が600m、
決勝が900mの、中長距離戦だ、地元「IHI相生」は勿論
毎年その大会に出場し、好成績を残している、まあ、相生には、
「磯風」等の超強豪が沢山居るので優勝は出来ないが、逆に言えば
そういう強豪達に、いつも揉まれて戦っているという事にもなる。
そもそも、短距離よりも長距離が得意そうだし、昨年くらいから、
相生ペーロンとも、ドラゴンボートとも異なる、本大会専用の
独特の漕ぎ方を「チームSH」は身につけてきているように感じる。
しばらくは、本大会では「チームSH」の天下となるかもしれない、
という事で、来年も参加をお待ちしております!

S「匠さん、お疲れ様、これどうぞ」
「チームSH」から、ウーロン茶とビールをいただいた。
匠「おお、ありがとうございます、ビールは今はちょっと
まずいので(=各ドラゴン大会では飲酒禁止)
家に帰ってからいただきますね!」
さて「SH」は、午後から行われる「グランドシニア大会」には
参加しない模様だ、これで相生に帰ると聞く、お疲れ様でした!
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ペーロンの強豪チームは、漕ぎ方がドラゴン艇とは異なるので
最初は苦戦するケースが多いが、元々実力があるチームの場合、
ちょっと漕ぎ方を変えるだけで、それがハマって好成績を
残せる場合がある、けど、すべての大会でそれが成り立つという
訳ではなく、たまたま、ある大会との相性が良くなる事が
あるのだ、たとえばこの「チームSH」もそうだと思うし、
同じく相生の「南風(なんぷう」や「奴RUN海」も、それに
当てはまるであろう。純粋なペーロン出身ではないが、鳥取の
「しげる」も、そういうパターンかもしれない。
そういう観点では、高島の「松陽台」も、現在は、特集な構造の
地元ペーロン艇と、琵琶湖のドラゴン艇との差に苦戦していて
本日も成績はイマイチな模様であったが、今年の「スモール選手権」
での決勝進出という実績もあり、いつか、パターンにはまって、
急激に強豪チームに成長するかも知れない。

さて、1000m大会は、これにて終了。
で、午後からは、今年5回目となる「グランドシニア」大会が
引き続き開催される、その模様はまた別記事で紹介するとして
グランドシニアは、1000m戦ではなく、200m戦なので
スタート位置の移動等の作業が発生する、その間で、スタッフは
昼食や休憩をとったりする、また、選手達は、エキシビジョンの
「フレンドシップ戦」を行ったりしている。
ちなみに、この1000m大会のフレンドシップ戦は、他の大会
には無い、賞品が出る。まあ、とは言え、高額なものではないが
それでも、なかなか人気があり、自由参加のフレンドシップには
参加申し込みが殺到し、20人艇を3艘出すこととなった。
私も昼食休憩を取っていたので、フレンドシップ戦はほとんど
撮影していないが、なかなか白熱した好レースであった。

選「賞品もらってきたぞ、みんなで分けよう」
皆さん、お疲れ様でした。
1000m大会の総括だが、大会環境としては極めて良い部類だ、
風光明媚な琵琶湖の眺望、伝統のある漕艇場施設、気候の良い季節、
大会の始まった10年前は、飲食に苦労したが、コンビニが出来、
近年はすぐ近くにファーストフード店も出来たので、そのあたりも
全く問題ない。
レース内容は、国内で他に例を見ない1000m長距離戦だ、
レース間隔が長いので、適度にのんびりしていて、かつ、競技志向
も強いので、なかなか良いバランスの大会だ。もっと多くのチーム
に参加していただくのが望ましいと思うが、聞くところによると
1000mという長距離が災いして、尻込みしているチームも
多い模様だ、まあ、でも、一度やってみるのも良いかもしれない、
以前は、静岡、愛知、和歌山等からの遠方参加チームもあったので、
良かったら、たまには様子を見に来てやってください。
各チームの模様だが、昨年からの「チームSH]の
「変形ペーロン漕ぎ」は、この長距離戦によく合っている模様で、
磐石という雰囲気だ、チームのメンバーも若く、パワフルで
スタミナもあるので、それを迎え撃つ滋賀県勢としては
不利な状況は否めない、だが、個人的な見解を言えば、
漕ぎ方を工夫することで、まだ各チームとも、レベルアップの
余地は残されているように思える。
滋賀県勢の漕ぎは、いずれも短距離戦にマッチした漕ぎなのだ、
陸上練習を見ていても、多くのチームが、短距離と同じレート
(=漕ぐテンポ)で練習している、
匠「このレートで1000m漕げるのですか?」と聞くと
選「まあ、無理でしょうねえ・・」という答えが返ってくる、
でも、1000mという長距離に適切なレートやペース配分を
彼らは知らないのだ、知らないものは練習する事はできない。
きっと、1000mの長距離には、それに適した漕ぎ方や
ペース配分が存在するのであろう。思えば、強豪の「池の里」
にしても、以前は、1000mを漕ぎきるころには、ヘロヘロに
疲れた様子が、写真を撮っていてもはっきりとわかったのだが、
近年はその様子が無い。「池の里」は、ご存知、町内会チーム
なので、メンバーチェンジは殆ど無い純血チームだ、だから、
年々高齢化して体力は衰えているはずなのに、それがむしろ
楽になってきているということは、長距離の漕ぎ方に少しづつ
適応しているという事になるのであろう。
「小寺」が長距離に弱いのも、「Rスポーツマンクラブ」が
年齢層が高い割りに長距離に強いのも、いずれも、漕ぎ方の
問題かも知れない、それぞれ、漕ぎ方を工夫することで、もっと
この1000m戦は面白くなるに違いない、来年以降、そのあたり
を期待しつつ観戦するとしようか・・
さて、次回ドラゴン記事「グランドシニア大会」に続く・・・