
行われた「第33回セタシジミ祭」のイベントの模様より。
本イベントの内容は「シジミ掻き体験」や弁当配布、出店等
様々であり、その中に「ドラゴンボート体験乗船会」もある。
なお、事前申し込み制であり、参加料は大人1000円、
子供500円となっている(注:以前より値下げしている模様)
さて、私はこのイベントそのものには不参加であるが、
ちょっとドラゴン体験乗船の様子を見学しに行こう。
会場は昨年末等の記事で「Head of the SETA」の多種ボート
競技のイベントを数回観戦した瀬田川であるので、まあ良く
知った場所だ。

交通の要所であり、古代から壬申の乱(671年)や、源平合戦
(1184年頃)の折に、この付近が戦場となっている。
戦国時代の話で有名なのは、上洛中の「武田信玄」が
死の間際に、「明日は勢多(瀬田)に武田の旗を立てよ」と、
重臣の山県昌景に言い残した、と伝えられている(1573年)
唐橋は、京の都の目と鼻の先(直線距離で十数km程度)
まあつまり、戦略的にも要所という事であろう。
その為、古来より戦時には橋が何度も焼き払われており、
(注:勿論、軍勢を足止めする為だ)
よって、古来からの橋そのものは残っていない。
現在の橋のベースは約40年前に建てられたもので、その後
幾度かの改修や塗り替えが行われていて現在に至っている。

唐橋は全長260mの大きな橋であり、石山方面(西側)から
徒歩で渡って来るのは少し時間がかかる。
瀬田川の河川敷全体が公園であるが、本イベントの駐車場は
無い。アクセスは京阪石山坂本線の「唐橋前」駅が最寄だが、
その駅からでも徒歩6~7分はかかる。その駅は、JR東海道
本線の石山駅からわずかに一駅なので、JR石山駅から歩いて
行く観光客も多い、その場合は徒歩20~25分位となる。

ここでは、いつでも様々な観光船、漁船、各種ボート競技の
練習艇等が多数行きかい、観光地としても人気だ。
琵琶湖には百数十という多数の様々な河川が流れ込んでいるが、
琵琶湖から流れ出る川は、再南端の瀬田川のただ1本だけである。
この瀬田川は、京都地区で宇治川、大阪地区で淀川と名前を変え
大阪湾にまで流れている。流路距離、流域面積、流域人口の
いずれも西日本トップクラスの大河だ。
この恵まれた環境の為、魚介類の収穫もかつては多かった、
そのひとつが、「セタシジミ」であり、味も良く、約60年前の
1957年頃にはその漁獲量もピークとなっていた。
しかし、この流域面積が広い事が瀬田川の課題でもある。
古来から大雨などの際には琵琶湖が氾濫、その大量の水は下流の
京都や大阪にも甚大な洪水被害をもたらした。
長い年月をかけ、堰やダムが建設され、そして河川の拡幅工事
等も淀川水系全域で何度も何度も行われている。
(注:こうした水流改良工事の影響で、例年5月に下流の宇治川
で行われていたドラゴンボート大会は、今年は会場工事中の為
9月に延期されている)
で、こうした各種工事の影響や琵琶湖水質悪化の影響もあってか、
セタシジミの収穫量は年々減少、この状況を持って、琵琶湖の
水質環境改善と「セタシジミ」の復活を願って、市民等にこれを
広める目的で33年前から行われているのが、この「セタシジミ祭」
である。
主催は瀬田町漁業協同組合「セタシジミ祭実行委員会」だ。
ドラゴンボートとは直接関係は無いのだが、漁船による瀬田川
クルーズなどの参加者特典と合わせて、ドラゴンの体験乗船会が
行われている。

であろうか・・ なお、この写真では人が少ないように見えるが
ちょうど「昼食休憩タイム」であり、支給の弁当で皆は食事中だ。
まあ、肖像権の関係からも、あまり人が多い状態で写真は撮れない
ので、このタイミングを狙った事もある。

ように見えるが、勿論シジミは皆、沈んでいるのだ。
支給品はちょっと小ぶりのシジミなのだが、なかなか美味しい。

収穫量が少ないので、かなりの希少品だ。

として参加されている。
こうした魚類は支給では無いが、出店で売られており、中には
珍しい、外来魚(ブラックバス)の天ぷら等もある。
ちなみに、ブラックバスやブルーギルといった外来魚は
琵琶湖や各地の湖沼の生態系を荒らす為に、リリース(放流)
禁止とか、持ち込み・持ち出し禁止などの厳重な措置が
取られている。
ブラックバスを食べる事は一般的には「臭みがある」と
嫌われているのだが、皮を取り除く等の適切な処理をすれば、
何ら問題無いとのことである。
滋賀県内でも「バス丼」などの料理が食べられる店舗が
いくつかある模様だが、有名なのは「滋賀県立琵琶湖博物館」
(草津市:JR草津駅から路線バスで25分程)の館内レストラン
であろうか。知人が実際に食べたのだが「なかなか美味しい。
完全に臭みは抜けていて、白身魚が食べられる人なら、何ら
違和感は無いであろう」との事であった。
なお、この「琵琶湖博物館」は近年リニューアル(改装)を
段階的に繰り返していて、綺麗で広い博物館であり、水族館も
ある。まあ、そういう関係で館内レストランにも力を入れている
様子である、所在地の烏丸半島(からすまはんとう)の近隣には
食事の出来る所が少なく、このレストランは本格的な料理を
安く提供するので貴重だ。
ちなみに、琵琶湖東岸から付き出た烏丸半島は、ハスの群生地
として有名であり、観光や写真撮影ポイントともなっていて、
私も何度か訪れた事があったのだが・・
近年、このハスがほぼ消滅してしまった模様。原因は不明だが、
現在これらを再生する為のプロジェクトが色々と進行している。
余談が長くなった、本「セタシジミ祭」でも、外来魚の
天ぷら等が販売されていて、滋賀県民のお父さん達には
「ビールのつまみに合う」と人気である。

体験乗船会のスタートだ。
午後1時から乗船開始の前というのに、早速沢山の子供達が
集まってきている。
体験乗船で艇を漕いで動かすのは滋賀県の強豪ドラゴンチーム
「小寺製作所」および「池の里Lakers!」の選手達だ、
他にも瀬田漕艇倶楽部等のボート選手達が運営や指導に
あたっている。

安全の指導、当然ながら全員ライフジャケット(救命胴衣)
着用だ。
午前中のイベントの模様は見ていないが、参加者達は漁船等に
分乗してクルージングをしたり、シジミ漁の模様を見学
していた模様だ。
マザーレイク「琵琶湖」を擁し、マリンスポーツ大国でもある
滋賀県は、今時であれば子供達が、こうした様々な船舶に
乗る事には、まったく違和感が無い模様。
各地で子供達のドラゴンボート体験乗船会等を行っても、
水が怖く、揺れるので、泣いてしまう子供達を良く見かける。
滋賀県では、十数年前頃では、そういう状況も見たのだが
現代では、子供達はまったく物怖じしない、むしろ積極的に
色々な船に乗るし、それを漕ぎたいと言い出すのだ。

ドラゴンボート大会「ドラゴンギッズ選手権」が毎年夏休みに
行われているのだが、その大会も今年で13回(13年)目となる。
今時の滋賀県の子供達のレベルは恐ろしく進化していて、
小学生の部(漕ぎ手の8割が小学生との規定)のレースでも
200m戦を1分少々と、すばらしく速く、大人の中堅ドラゴンチーム
でも負けてしまいそうな勢いである。
滋賀県における子供達の幼少期からのマリンスポーツの
経験度は、他地区とは一線を画す。
他地区であれば、親御さん達も、ボートに乗るとか、水場で
遊んでいる事に「危ない」と、ただ叱るだけの状況かも
知れないが、ここ滋賀県では全然OKだ。勿論安全についての
認識も子供達自身にもあり、どの程度の行為であれば危ない
のか否か、その線引きも子供達は、はっきりと認識している。
そして、ドラゴンボートはスポーツ(競技)であるので、
子供達には、その認識もある、小学生大会でも、ライバルチームの
予選タイム表を見ながら、「う~ん、あと3秒速くしないと、
あいつらに勝てないなあ・・」など、まるで大人の大会のように
競争心を持って、ボート競技に臨んでいるのだ。
まあ、とは言うものの・・

と、漕ぎのバランスを崩して、危うくポールに接触しかけて
しまうなど、慣れない競技で、多少のハプニングはあるが、
全般的には全く問題は無い、今回も何も事故もなく、順調に
体験乗船会は進んでいく。

それらの接触やニアミスもあまり心配は要らない。
こういうケースは、ここでは日常であり、ぶつかる事は皆無
であるし、大型船が通れば引き波が発生して小型艇が揺れる
等は、皆、誰でも知っている事なのだ。

他地区でそれをやっても、そんなに人は集まらない。数十人
が良いところであり、過去、一番多かったケースで、大阪のATC
での100人強、まあ、そんな感じであっただろうが・・
今日、この会場では次から次へ、ひっきりなしに体験乗船の
希望者が現れる。
恐らくはこのドラゴン体験乗船が入場料の中に含まれている為
だとは思うが、何百人という参加者が、ほぼ全員乗りに来て
いる模様だ。

20人艇の方は、最大8名程度、10人艇では4名程度までしか
体験乗船者は乗せられず、他は安全の為、ドラゴンボートの
ベテラン選手達が乗って漕いでいるのだ。
結局、およそ10~15分の体験乗船を、およそ2時間半の間、
2艇のドラゴン艇が、各々繰り返し10回近くも発艇していた。
しかも、今日の大津市の最高気温は30度近くの夏日だ。
これは選手達にとっては「良い練習」のレベルを超えて
なかなかハードで厳しい。
体験乗船が終わる頃には、ずっと漕ぎ続けていた選手達は
ヘロヘロに疲れ果てていた。
まあ、選手達は暑さには慣れているとは思うが。
4月や5月で暑い日は、紫外線の量も真夏より多い模様だし、
なにより暑さに体が慣れていない、だからこの時期の運動は
なかなかキツいと選手達から良く聞く。
アスリートでも勿論そうだし、写真撮影もそうだ。
いきなり慣れない真夏の長時間撮影などは、危険極まりない、
熱中症などのリスクが大変高いのだ。
・・まあ、だから、最近ではアマチュア層、特にシニア層の
夏季のドラゴンやペーロン大会の観戦撮影は推奨していない。
加えて報道系のプロ層でも慣れていない夏場は危ないので、それら
カメラマン等を各地の会場で見かけた場合には、熱中症対策として
水分や塩分の大量補給、タオルや帽子などの使用、それから長時間
続けては撮らずに適宜日陰で休む、等を色々とアドバイスしている。
なお、この日は京都等では30度くらいにまで気温が上がった様子で
他のイベントで、シニアの方が熱中症で倒れて救急車で搬送された
とも聞いている。4月だから平気だろうとは思わず、この時期、これ
くらいの気温となると、むしろ熱中症対策は入念に行う必要がある。
しかし、私もちょっと気を抜いていた、短時間(3時間くらい)
なので平気だろう、と塩分補給を全く怠っていたのだ。
体調が悪くなる事はなかったが、やはりちょっと疲労が大きい。
主力の超望遠機材(重量級一眼レフ+400mmズーム)は2kg強程度の
重さであり、昨年シーズンオフより、久しぶりに3時間ほど続けて
その重さの機材を構えていたら、腕もかなり疲労して痛くなってきた。
今回は機材軽量化を狙って、他の機材は標準ズーム付きの一眼のみ
だが、シーズンインしたら撮影機材は3台となり、気温は35℃超、
撮影時間も最大で10時間程度になるので、今のうちから重さにも
暑さにも、慣れておく必要がある。
まあつまり、アスリート同様に、カメラマンもシーズンに向けての
調整期間が必須という事だ。

小寺団長は、乗船中にも子供達に対して熱血指導だ。
こういう事からも、滋賀県の子供達のマリンスポーツのレベルが
上がっていくのであろう。
前述のドラゴンキッズ大会は、稀に滋賀県外からのチーム参加も
あるが、今のところ、殆どが滋賀県内から参加のチームである。
他地区の現行ドラゴンチームの選手の子供達が成長したら「キッズ
チームを作ってキッズ大会に参戦(挑戦?)しに行く」という話も
良く聞のだが、まだ現役選手の子供達は年少なので、今のところ
それは実現していない。
他地区の子供達も、幼少のうちから、様々なマリンスポーツの
体験を積んでおかないと、なかなか滋賀県の子供達には勝てない
かも知れないなあ・・ とも思う。

会場はすでに後片付けを始めているのだが、ドラゴン体験が済んで
いない参加者達が、まだまだ残っている。そこでドラゴン体験は
時間延長となり、さらに20分程度続ける事となった。
もう漕ぎ手の選手達の疲労もピークに達しており、会場撤収の都合も
ある、桟橋からはグルグルと手を振る(=巻き、急げ、のサイン)
があって、上写真の「池の里Lakers!」は、レースさながらの
本格的ラストスパートを見せる。
体験乗船の子供達は、当然このピッチにはついていかれないが、
それでも、下船した子供達は「スピードが出ていておもしろかった」
などの笑顔だ。まあ、なかなか良い体験イベントであったと思う。
さて、これにて私も会場を撤収。
日焼けした模様で、顔や半袖の腕がピリピリとする。
まあ、これも7月や8月ともなれば、真っ黒に日焼けするので、
まだ今は調整期間に過ぎない、シーズン本番はまだまだ先だ。

艇に乗って撤収だ。これは恐らくこの会場では駐車場が無いので
艇の保管庫まで漕いでいって、そこから解散という事なのだろう。
さて、これにて「セタシジミ祭」のドラゴンボート体験乗船
イベントの記事は終了。
今年のドラゴンボートのシーズンインは例年よりやや遅い、
また各大会の日程や見所などは、適宜、別記事で紹介しよう。