本シリーズは、所有しているミラーレス機の本体の詳細を
世代別に紹介して行く記事だ。
今回はミラーレス第二世代=普及期(注:世代の定義は
第一回記事参照)の PANASONIC LUMIX DMC-G5(2012年)
について紹介しよう。
![c0032138_21215291.jpg]()
レンズは、Voigtlander NOKTON 42.5mm/f0.95
(フォクトレンダー ノクトン)
ミラーレス第14回,第41回,名玉編第4回,ハイコスパ第16回
等で紹介しているμ4/3専用超大口径MF中望遠レンズだ。
以降、本システムで撮影した写真を交えながら記事を
進めていく。
![c0032138_21231579.jpg]()
さて、本機の購入目的だが、ちょっと特殊な用途である。
本シリーズ第一回記事で、LUMIX DMC-G1を色違いで2台
紹介しているのだが、それらは優秀な「アダプター母艦」
として大活躍であった。
ミラーレス機用の減価償却ルール(1枚2円)も、それら
2台のG1は、とうにクリアしていて、故障時対応や
機能アップを狙った後継機購入の必要性を感じていた。
うち、1台のDMC-G1(青)は、2010年に発売された
NOKTON 25mm/f0.95の、ほぼ専用機として使用していた
のだが、2013年になって同じ超大口径シリーズのレンズ、
NOKTON 42.5mm/f0.95が発売された。
同じf0.95でも25mmと42.5mmでは、ボケ量(被写界深度)
が、だいぶ違う事が予想された。
すでに25mm版を3年ほど使用していて、その用途の多さ、
具体的には、人物撮影、舞台撮影、ライブ撮影、そして
勿論様々な暗所での撮影に重宝していたので、42.5mm版も
購入検討対象とした。
しかし、これが高価である、25mm版(初期型)は10万円
を切る定価で、実質8万円程で新品購入できたのであるが、
42.5mm版の定価は12万円台であった。
1年程待っていたのだが、非常にマニアックなレンズの為、
中古は1本も出て来なかった。2014年になって、一部店舗
では新品価格も税込み9万円程に下がっていたので、
思い切って新品購入した次第である。
![c0032138_21215215.jpg]()
さて、ここで母艦をどうするか? 2台のG1はすでにフル
稼動していて老朽化してきている。すると後継機を選択
する事になるのだが、2014年時点では、μ4/3機の全体を
見渡しても、その候補は限られていた。
すなわち、PANASONIC DMC-G5,DMC-G6,DMC-GH3
そして、OLYMPUS OM-D E-M5の計4機種のみである。
他の多くのμ4/3機は、EVFを持たない、あるいは旧機種だ。
中古価格から言うと、G5のみ安価で他は高価だ。
そして価格よりもむしろ、NOKTON 42.5mm/f0.95の母艦
として適しているかどうか?がポイントとなる。
GH3は、2ダイヤル機であり、純正AFレンズを用いるには
使いやすそうであるが、絞り環のあるNOKTONには適さない、
1つのダイヤルが完全に遊んでしまうからだ。
また、価格も高価なので対象外だ。
OM-D E-M5は、丁度MarkⅡが出るか?のタイミングだが
人気機種で中古相場も高価だ。内蔵手ブレ補正は魅力だが、
f0.95の超大口径のNOKTONでは、少なくとも日中は全く
手ブレ補正の必要は無い、むしろ明るすぎてシャター速度
オーバーになるので、ND8(減光3段)フィルターの常時装着
が必須となる。
フラッシュ非内蔵と、デジタルテレコンが連続的ではなく
2倍のみと言う点も気になり、E-M5も対象外とした。
![c0032138_21215183.jpg]()
結局、DMC-G5とDMC-G6の2択になった。
その両者の違いは微妙であり、EVFはG5が優れ、G6は改悪、
ただし、G6にはパナソニックでは初のピーキング機能が
搭載されているのでEVFの改悪は帳消し。
他の違いは最高ISO感度で、G5が12800,G6が25600
あと、物理FnキーがG6では1個増えている。
ボディ形状はG5よりG6が若干大きくなって、むしろ大型の
MFオールドレンズを使う上では使い易そうである。
なお、G5の前機種G3では、女性ユーザー層向けでボディが
小さくなりすぎていて購入対象外であった。ちなみに初代
のDMC-G1のボディは大柄で、その点でもオールドレンズの
母艦として適していたのだ。
また、G5とG6はバッテリーも充電器も共通だ
仕様上は、ほんの僅かな違いであるが、気になる事は
MFでのピント合わせの性能だ。
G5のEVFは旧来のG1と同じであり、G1で25mmのNOKTONを
使っていた上では、拡大操作と併用すれば問題無い。
G6のEVFは明るい有機ELの新型だが、ピントの山は掴み辛い。
ピーキング機能は、パナではG6に初搭載である、これまで
他社機で色々とピーキング機能を見て来たが、その性能差が
大きい事が気になっていた、つまり処理アルゴリズムの良否
により、ピーキングが実用的に使える機種(メーカー)と、
そうで無い場合があるのだ。
パナのピーキング性能が、どれほどの物かはまだわからない、
店頭で付属標準ズーム等で試して見ただけでは意味が無く、
NOKTONのf0.95の極薄の被写界深度では、まともに動作しない
危険性もあった(注:この点については、実は心配する必要
は無かった。後に入手したDMC-G6でNOKTONでのピーキングは、
ちゃんと動作している)
そして、DMC-G5は発売後2年を過ぎたところで、すでに中古
価格は、1万円台後半と極めて安価だ。
この相場の下がり方は異常ではあるが、世の中の殆どの
ユーザー層が最新型で無いとダメなカメラだと思ってしまい
旧機種は売れない訳なので、販売側も価格を下げざるを
得ないのであろう。
そして、DMC-G6は2013年発売なので、2014年時点ではまだ
最新機種であり、中古もそこそこ高価であった。
「ならば、G5を選ぶしか無いでしょう・・」となった訳だ。
![c0032138_21215180.jpg]()
長々とDMC-G5の購入動機を説明してきたが、これはあくまで
私の個人的な事である。一般的なカメラ選択理由では無い。
しかし、このように、各々のユーザーには、ユーザー毎の、
カメラを必要とする理由(目的)が、それぞれ存在する。
だから、カメラの良し悪しを他人が決める事は基本的には
出来ない。対象とするユーザーが、いったいどんな用途で
どんな撮り方をするのか、100%理解する事は無理だからだ。
つまり、「オススメのカメラは?」という質問には
答える事が出来ない訳だ。
けどまあ、1本のレンズを使う為に、1台のカメラを
買ってしまう事は、一般的には奇異に映るかもしれない。
しかし、レンズの価値の方がカメラよりはるかに重要な
事は間違いない事実であるし、今回のケースでも、カメラ
の価格(中古16000円程)は、レンズよりも遥かに安価だ。
持論では、「(システムにおける)カメラとレンズの
価格比は、1対4が望ましい」とずっと思ってきた、
まあ、これは1台と1本というわけではなく、そのマウント
における数台のカメラと複数の交換レンズのトータルだ。
けど、ミラーレス時代になって、この持論はちょっと
成り立たなくなって来ている、ミラーレス機には、およそ
どんなレンズでもアダプターで装着できる為、ボディと
レンズの価格比がいくらでも大きくなる。
今回のケースにおいても、私は他のμ4/3機もいくつか
所有しているし、レンズも色々とあるので、システムの
価格比が求まらない。
しかし、仮に、DMC-G5とNOKTON 42.5/0.95だけの
比率を見れば、約1:5.6であり、これは1:4の法則を
楽々クリアしているので、何ら問題は無い。
この価格比の法則は、すなわち、レンズの方がカメラ本体
よりも4倍以上も価値が高い、という事を示している。
だが、実際には4倍では効かない、なにせデジタルカメラ
(一眼、ミラーレス)は、数年で古くなってしまうのに
(相対的な仕様の老朽化現象)レンズは壊れなければ、
ほぼ半永久的に使える訳だ。
本ブログの、ミラーレス・マニアックスやハイコスパ
レンズのシリーズ記事では、平気で50年前後も前の古い
レンズを使っているが、それらのレンズの描写力が
現代のレンズに比べて、壊滅的に酷い、という事は一切無く、
場合により、安価な現代レンズを凌駕する描写力を持つ物も
少なくない。
![c0032138_21232827.jpg]()
現代のデジタルカメラで、仮に50年後になっても、使える
機体はあるだろうか? 勿論、それは1台も無い事であろう。
だから、レンズの価値の方が遥かに重要な訳だ。
今時の初級中級層が、数十万円もする高価なデジタル一眼
に、3万円程度の描写表現性能の低そうな旧世代の標準
ズーム等を使用している様子を見ると、がっかりする。
・・というか、その高価なカメラは、数年あるいは十年で
信じられない程、価値が低下してしまう、5分の1か
それ以下であろう。
そして、その初級中級者は、そのカメラでいったい何枚
撮るのだろう?まあ、多くても年間1万枚程度の撮影枚数
であろうが、それはちょっと甘い見積もりかもしれない。
1台の一眼レフにおいて、その使用期間(寿命内)に
トータルで3万枚程度撮れば、ビギナークラスでは、
まず上出来であろう。
しかし、その際のカメラの減価償却としては、1枚10円以上
もかかってしまう。
これはあまりに高価では無いだろうか?
まるで銀塩(フィルム)並みのコスパの悪さだ。
ミラーレス機の場合には、持論では「1枚2円の法則」を
適用する事にしている。つまり購入価格(新品でも中古でも)
を撮影枚数で割って2円に到達すれば、そのカメラは
元が取れたと見なす。だから、次の機種を入手しても良い。
(逆に言えば、元を取る迄は後継機を買ってはならない)
という法則である。
![c0032138_21220047.jpg]()
元々の減価償却の法則は、デジタル一眼レフや、デジタル・
コンパクト機、一部の特殊ミラーレス機(RICOH GXRと
PENTAX Q7,これらは、レンズが専用となるので、その
購入価格も合算する必要がある)では、「1枚3円の法則」
であったのだが、中古相場の下落が激しいミラーレス機
では少し厳しくして、「1枚2円の法則」とした。
なお、現代の高価なミラーレス機には、数十万円の定価の
ものが存在する、これらは「1枚3円の法則」であっても、
まず、それをクリアする事はできない、
元を取る事が無理な事は明白なので、私は今後たりとも
それらを新品購入する事は無いと思う。
ちなみに、何故価格が高いのかは、性能が良いからでは無い、
「高くても売れる」から、メーカーは付加価値が高い製品を
作って、利益を稼ぐわけだ、そうしないと、開発費を湯水の
ようにバカ喰いするデジタルカメラ事業を維持できない。
こういう事はあえて分析をする必要は無く、当たり前の話だ。
現代では、20世紀型工業製品のように原価から定価が自動的
に割り出される訳ではない(例、原価の3倍が定価等)
考えてみれば、デジタルカメラの部品代なんて、どの機種も
ほとんど差が無いのだ。それが1万円台で買えてしまったり
数十万円出さないと買えない場合もあるのを不思議に
思わないだろうか?
部品代自体の差は無い、あるとすれば、開発経費の差だ。
![c0032138_21220033.jpg]()
また、ユーザーから見れば、ブランドイメージとかの
部品コストとは全く関係無い部分が、より大きな
差異に見えるであろう、しかし、銀塩カメラとは異なり
デジタルカメラは、いまや消耗家電製品でしかない、
長く使い続ける為の所有満足度などは殆ど無い。
まあ、初級中級者層に、せっせと高価な新製品を買って
貰って、カメラ市場がこれ以上縮退しないように維持する
為の貢献をして頂き、メーカー側には、また、新たな技術
開発を行って、新製品を出して貰えれば良い訳だ。
とは言え、私は個人的には、その「循環サイクル」には、
全く貢献していないし、実のところ貢献する気も無い。
と言うのも、2010年代前半の時代のカメラ性能があれば、
それが一眼レフでも、ミラーレスでもコンパクト機でも
もう十分だからだ、これ以上の過剰な性能は不要だと思う。
だから新製品に「貢いで」、次世代機の開発体制に協力
したいとも、あまり思わない訳だ。
(あえて言えばAFの改良くらいか・・)
![c0032138_21220005.jpg]()
さて、遅ればせながら DMC-G5の基本スペックの紹介だ、
とは言え、もう数値性能は詳しく書いても意味が無いという
事は、本ブログの読者ならば良く分かっているであろう。
μ4/3型CMOSセンサー、約1600万画素、
ローパス有り、内蔵手ブレ補正無し。
ISO160~12800、AUTO ISO可変範囲160~3200
最高シャッター速度1/4000秒、電子シャッター可。
ドライブ性能秒6コマ(他に超高速、低速可)
デジタルテレコン x2, x4 (劣化あり)
デジタルズーム(無劣化)1.1~最大2倍連続可変
デジタルフィルター機能は若干あり
![c0032138_21220699.jpg]()
EVF 144万ドットカラー液晶(ピーキング無し)
背面モニター 92万ドット 自由アングル可変型
ボデイ重量 346g
ちなみに、こういう数値だから、良いとか悪い、とか言う
ものでは決して無い。
前述したように、カメラの利用目的は、個人個人で大きく
異なり、さらには、同じ個人でも、その個々のカメラに
おいて用途や目的が特定されるケースも多々ある。
結局、カメラの性能は、カメラのカタログスペックとかの
単純なものでは全く推し量る事はできないのだ。
![c0032138_21220164.jpg]()
ここから、DMC-G5でのスペックの数値には現われない
長所短所を紹介して行こう。
まず、MFレンズ使用時の優れた操作系については、
DMC-G1等の記事で書いて来た通りで、G5もそれを踏襲
しているのでアダプター母艦としての適性がある。
ちなみにNOKTON 42.5/0.95は、μ4/3専用レンズで
あるが、MFレンズであり、実質上はアダプター使用時
と同じと思えば良い。
![c0032138_21213006.jpg]()
G1との最も大きな差は、DMC-G5の前部ファンクション・
レバーに連続可変型デジタルズーム機能がアサインできる
事である。
ちなみに、パナソニックの説明書用語では、テレコンと
ズームの意味が逆転してしまっているので、本記事では
パナの用語を無視し、一般的な写真用語を用いる。
つまり、
(デジタル)ズーム=拡大率を連続可変できる
(デジタル)テレコン=拡大率が2倍、4倍と固定的
である。
![c0032138_21220064.jpg]()
なお、余談だが、「ズーム」は、元々の登場時には、
あるいは現代のCCTV(監視カメラ等)用レンズでは
「バリフォーカル」という名称のタイプも存在している。
バリフォーカルとは「焦点距離が可変する」という意味である。
だとすれば、ズーム(レンズ)と同じだと思うかも知れないが、
バリフォーカルは焦点距離を変えると、ピント位置がずれて
しまい、都度、ピントを変えなければならない。
ピントを合わせ直さなくても良いのがズームレンズになる訳だ。
監視カメラ用レンズで、いまだバリフォ-カル型が
使用されているのは、監視カメラでは焦点距離を、
その監視環境(部屋の広さ、画角)に応じて、ほぼ固定で
用いる、だから、カメラ設置時に焦点距離を決めて、
そこでピント合わせをしておけば、後からそれを触る事は
殆ど無いのだ。で、バリフォーカルの方がレンズ設計も
容易で製造コストも下がるので、それが一般的だ。
だが、写真用レンズでは、頻繁に焦点距離を変えるので
いちいちピントを合わせ直すのは効率的では無い、
なので、複雑で高価なズーム型レンズにせざるを得ない。
![c0032138_21220025.jpg]()
ちなみに、「ズーム」の意味だが、本来の英語的には
「ブーンという音」「急角度に上昇(急騰)する」
といった意味であり、擬音語(オノマトペ)が語源だ。
世界初の(35mm判カメラ用)標準ズームレンズは、
1959年のキルフィット「ズーマー」36~82mm/f2.8
と言われている。
(ズーマーそのものは入手困難な幻のレンズであるが、
キルフィット・キラー150mm/f3.5の紹介記事として、
ミラーレス・マニアックス第54回、補足編第1回等で
ズーマーの話も述べている)
なお、それらの記事でも書いたが、キルフィット社は
生産拠点も社名も色々と変わった謎のメーカーであり、
「ズーマー」の製品は、当時の「フォクトレンダー」
(注:勿論現在のコシナ社では無い、コシナ社は、
1990年代末に、宙に浮いていたフォクトレンダーの
ブランド商標を取得した)より発売された。
まあ、このレンズに、ズームという名前をつけたのは
元々の擬音的意味から「ブーンと焦点距離が変わる」
という感覚であったのであろう。
それから勿論、「ズーム」と「望遠」は違う意味であり
初級者が良く言う「ワタシのカメラはズームが効かない」
は間違いであり、正しくは
「私のズームレンズは、望遠域が足りない」である。
さて、余談が長くなった、引き続きDMC-G5の長所を説明
していこう。
![c0032138_21213136.jpg]()
操作系全般は、初代DMC-G1の時代から良く練れている。
G1では学習型の「マイメニュー」があり、以前使った
機能設定を上位に呼び出す方式であったが、
これは良し悪しあって、滅多に使わない機能設定を行うと、
それもまた学習されてしまう。
G5では、それを廃し、自在カスタマイズ可能な「Q. MENU」
を主力として、その専用ボタンもある。
(G1にもQ.MENUはあるが、操作系が若干使い難い)
![c0032138_21213036.jpg]()
これのカスマイズ性は強力であり、多くの必要な機能を
選択および、その表示順番も含めて自在に設定できる。
ただ、若干この初期設定が面倒だ、しかし、1度完全に
自分好みの設定にさえしておけば、以降、極めて快適に
様々な機能メニューを効率的に呼び出す事が可能である。
なお、この手の設定は、カメラの中にどんな機能があって
それを、いつ、どんな時に使うのか?を理解していない、
初級者には設定自体が難しい、だから中上級者向けの機能
となるが、こういう設定をちゃんとやる事で、本当に
利用者自身が使い易いカメラとなる。
メーカーが最初に決めたカメラ設定だけを見て(使って)、
それが、使い易いとか、使い難いとかは言ってはならない
訳である。それは単なるファクトリー・プリセット
(工場出荷時の初期値)でしかなく、万人向けの標準的な
ものであり、前述のようにユーザー個人個人は、カメラの
使用目的も、使い方も全く異なる訳だ。
この「Q.MENU」が存在する事と、十字キーに基本機能である
ISO、WB、ドライブ切り替え、およびMFレンズ使用時の、
画面拡大(これはAF時のフレーム選択と自動的に切り替え)
があり、露出補正操作についても、AFレンズ使用時の絞り
ダイヤル(兼露出補正)が、MFレンズ装着時には自動的に
露出補正専用となる。
![c0032138_21220660.jpg]()
ここまで充実しているので、他の物理Fnキーの3つには
殆ど他の機能を割り振る必要がないが、私の場合は、
デジタルテレコン(2倍、4倍)機能を、Fnキーにアサイン
している。
NOKTONを前述の優れたデジタルズームの操作系と組み合わせ、
フルサイズ換算画角では、
テレコン無し: 85~170mm/f0.95
テレコン2倍:170~340mm/f0.95
テレコン4倍:340~680mm/f0.95
の、強力な望遠系超大口径仮想ズーム機として使える。
なお、ここで注意点だが、デジタルテレコンは画質が
劣化する事と、画面拡大機能が使えず、ピント合わせが
難しい事。また、デジタルズームは画素補完型なので
画質劣化は起こらないが、撮影画素数を予め落とさないと
使えず、これはトリミングとほぼ等価になる。
まあ、それらを理解して使うのであれば、非常に魅力的な
超大口径望遠機として本システムを使用できる訳だ。
![c0032138_21220689.jpg]()
・・という事で、NOKTON 42.5mm/f0.95用に完全に
カスタマイズした専用カメラの出来上がりだ、これは
極めて快適に使用する事ができる。
なお、一部の一眼レフ等では、カスタマイズ設定を何種類か
記憶でき、それを呼び出して使えるものもある、これは
一見便利そうなのだが、そのカメラ自身の長所短所等から
使える範囲の用途や使用レンズは、ある程度決まって来る。
そして、カスタマイズできる設定もさほど多くない為、
現実的には、一眼レフでのその機能はさほど有益では無い。
さて、これだけでもDMC-G5の利用価値は十分なのだが、
一応弱点をあげておこう。
まず、ピーキング機能が無いので、ピント合わせには
ほぼ毎回の拡大操作が必須となる。しかしこれについては
ピーキング機能があったとしても、NOKOTNのf0.95での
極薄の被写界深度では精度が厳しいので、やむを得ない。
![c0032138_21213035.jpg]()
次いで、DMC-G5のタッチパネル操作系の無意味さがある
EVF搭載機で、EVFを覗きながらのタッチパネル操作は、
「いったんカメラの構えを解く必要があるから実用性は無い」
とLUMIX Gシリーズの記事では毎回のように述べているが、
本機も勿論同様だ、タッチパネル上にあるソフト(仮想)
Fnキーの2つは、事実上使用できない。
しかし、これについては、上記「Q.MENU」に、ソフト
Fnキーの機能設定も含ませてあるため、問題では無い。
つまり、Q.MENUであればEVFを覗いたままでも、必要な
ほぼ全てのカメラ操作がEVF内のメニュー表示を見ながら
完結する。ちなみにQ.MENUに限らず、十字キーや物理Fn
キー、モードダイヤル、ファンクションレバーといった
全ての操作結果もEVF内に表示される。
なお、このように、EVFを中心とした撮影技法を行う為
自在可変背面モニターは、普段は収納位置として使わない。
背面モニターへのキズとか、あるいはぶつけて破損する等の
リスクを低減できる効果がある。
縦位置ローアングル撮影など、必要な場合にのみ、
背面モニターを使用するが、92万ドットと、そこそこ
解像度がある為、拡大機能と組み合わせて背面モニター
のみでもピント合わせは可能だ。
それと、動画録画ボタンと自動撮影設定の「iA」ボタンは
私には不要であるが、録画ボタンは機能停止はできるが
このボタンに他の設定機能を割り振る事は出来ない
ここは不満である。
思いもせず、これらのボタンを押してしまう事があり、
特に「iA」では、NOKTON使用時においては、何も変化は
ないのだが、たまにAF純正レンズを使用する際には、
自動化で使えなくなる機能が多数出てきてしまう。
![c0032138_21220756.jpg]()
それから、本機より電子シャッター機能が追加された事は
完全無音撮影が出来るので非常に良いのだが、
これを使っても(静止画撮影時には)、他社機のように
超高速シャッターが得られる訳ではなく、1/4000秒が
上限のままである。
電子シャッターでは、動体撮影が歪むのと、加えて
プロジェクターやPC画面などの走査線方式の画面を撮ると、
走査線の縞が写真に写ってしまう。
(シャッター速度を色々変えても回避しずらい)
その他の欠点は特にない、まあ、優秀なカメラである。
ちなみに、AFレンズは、本機の使用目的では、殆ど
使わない為、AFに係わる長所や弱点は考慮していない。
まあ、この時代のミラーレス機であっても、依然
コントラストAF方式であるから、速度も精度も期待
出来ない事は確かだと思う。
![c0032138_21220636.jpg]()
最後に本機DMC-G5の総合評価を行ってみよう。、
評価項目は10項目である(第一回記事参照)
【基本・付加性能】★★★
【描写力・表現力】★★☆
【操作性・操作系】★★★★
【アダプター適性】★★★☆
【マニアック度 】★☆
【エンジョイ度 】★★★★
【購入時コスパ 】★★★★ (中古購入価格:16,000円)
【完成度(当時)】★★★☆
【仕様老朽化寿命】★★☆
【歴史的価値 】★
★は1点、☆は0.5点 5点満点
----
【総合点(平均)】2.9点
得点は平均的、実用性能はかなり高い機体だが、
Ver 5ともなると、ありふれたイメージであり、
マニアック度も歴史的価値も低くなってしまっている。
中古価格が安価であったのでコスパは良い、減価償却は
とっくに完了していて、NOKTON 42.5mm/f0.95の母艦
として当面は使い続けるであろう。
なお、現在本機の中古は、かなりレアであり、殆ど
見かけないかも知れないが、どうしても本機でなくては
ならない理由はないので、欲しい際は、後継機のDMC-G6
を選択するのが良いであろう。
次回記事は、引き続き第二世代のミラーレス機を紹介する。
世代別に紹介して行く記事だ。
今回はミラーレス第二世代=普及期(注:世代の定義は
第一回記事参照)の PANASONIC LUMIX DMC-G5(2012年)
について紹介しよう。

(フォクトレンダー ノクトン)
ミラーレス第14回,第41回,名玉編第4回,ハイコスパ第16回
等で紹介しているμ4/3専用超大口径MF中望遠レンズだ。
以降、本システムで撮影した写真を交えながら記事を
進めていく。

本シリーズ第一回記事で、LUMIX DMC-G1を色違いで2台
紹介しているのだが、それらは優秀な「アダプター母艦」
として大活躍であった。
ミラーレス機用の減価償却ルール(1枚2円)も、それら
2台のG1は、とうにクリアしていて、故障時対応や
機能アップを狙った後継機購入の必要性を感じていた。
うち、1台のDMC-G1(青)は、2010年に発売された
NOKTON 25mm/f0.95の、ほぼ専用機として使用していた
のだが、2013年になって同じ超大口径シリーズのレンズ、
NOKTON 42.5mm/f0.95が発売された。
同じf0.95でも25mmと42.5mmでは、ボケ量(被写界深度)
が、だいぶ違う事が予想された。
すでに25mm版を3年ほど使用していて、その用途の多さ、
具体的には、人物撮影、舞台撮影、ライブ撮影、そして
勿論様々な暗所での撮影に重宝していたので、42.5mm版も
購入検討対象とした。
しかし、これが高価である、25mm版(初期型)は10万円
を切る定価で、実質8万円程で新品購入できたのであるが、
42.5mm版の定価は12万円台であった。
1年程待っていたのだが、非常にマニアックなレンズの為、
中古は1本も出て来なかった。2014年になって、一部店舗
では新品価格も税込み9万円程に下がっていたので、
思い切って新品購入した次第である。

稼動していて老朽化してきている。すると後継機を選択
する事になるのだが、2014年時点では、μ4/3機の全体を
見渡しても、その候補は限られていた。
すなわち、PANASONIC DMC-G5,DMC-G6,DMC-GH3
そして、OLYMPUS OM-D E-M5の計4機種のみである。
他の多くのμ4/3機は、EVFを持たない、あるいは旧機種だ。
中古価格から言うと、G5のみ安価で他は高価だ。
そして価格よりもむしろ、NOKTON 42.5mm/f0.95の母艦
として適しているかどうか?がポイントとなる。
GH3は、2ダイヤル機であり、純正AFレンズを用いるには
使いやすそうであるが、絞り環のあるNOKTONには適さない、
1つのダイヤルが完全に遊んでしまうからだ。
また、価格も高価なので対象外だ。
OM-D E-M5は、丁度MarkⅡが出るか?のタイミングだが
人気機種で中古相場も高価だ。内蔵手ブレ補正は魅力だが、
f0.95の超大口径のNOKTONでは、少なくとも日中は全く
手ブレ補正の必要は無い、むしろ明るすぎてシャター速度
オーバーになるので、ND8(減光3段)フィルターの常時装着
が必須となる。
フラッシュ非内蔵と、デジタルテレコンが連続的ではなく
2倍のみと言う点も気になり、E-M5も対象外とした。

その両者の違いは微妙であり、EVFはG5が優れ、G6は改悪、
ただし、G6にはパナソニックでは初のピーキング機能が
搭載されているのでEVFの改悪は帳消し。
他の違いは最高ISO感度で、G5が12800,G6が25600
あと、物理FnキーがG6では1個増えている。
ボディ形状はG5よりG6が若干大きくなって、むしろ大型の
MFオールドレンズを使う上では使い易そうである。
なお、G5の前機種G3では、女性ユーザー層向けでボディが
小さくなりすぎていて購入対象外であった。ちなみに初代
のDMC-G1のボディは大柄で、その点でもオールドレンズの
母艦として適していたのだ。
また、G5とG6はバッテリーも充電器も共通だ
仕様上は、ほんの僅かな違いであるが、気になる事は
MFでのピント合わせの性能だ。
G5のEVFは旧来のG1と同じであり、G1で25mmのNOKTONを
使っていた上では、拡大操作と併用すれば問題無い。
G6のEVFは明るい有機ELの新型だが、ピントの山は掴み辛い。
ピーキング機能は、パナではG6に初搭載である、これまで
他社機で色々とピーキング機能を見て来たが、その性能差が
大きい事が気になっていた、つまり処理アルゴリズムの良否
により、ピーキングが実用的に使える機種(メーカー)と、
そうで無い場合があるのだ。
パナのピーキング性能が、どれほどの物かはまだわからない、
店頭で付属標準ズーム等で試して見ただけでは意味が無く、
NOKTONのf0.95の極薄の被写界深度では、まともに動作しない
危険性もあった(注:この点については、実は心配する必要
は無かった。後に入手したDMC-G6でNOKTONでのピーキングは、
ちゃんと動作している)
そして、DMC-G5は発売後2年を過ぎたところで、すでに中古
価格は、1万円台後半と極めて安価だ。
この相場の下がり方は異常ではあるが、世の中の殆どの
ユーザー層が最新型で無いとダメなカメラだと思ってしまい
旧機種は売れない訳なので、販売側も価格を下げざるを
得ないのであろう。
そして、DMC-G6は2013年発売なので、2014年時点ではまだ
最新機種であり、中古もそこそこ高価であった。
「ならば、G5を選ぶしか無いでしょう・・」となった訳だ。

私の個人的な事である。一般的なカメラ選択理由では無い。
しかし、このように、各々のユーザーには、ユーザー毎の、
カメラを必要とする理由(目的)が、それぞれ存在する。
だから、カメラの良し悪しを他人が決める事は基本的には
出来ない。対象とするユーザーが、いったいどんな用途で
どんな撮り方をするのか、100%理解する事は無理だからだ。
つまり、「オススメのカメラは?」という質問には
答える事が出来ない訳だ。
けどまあ、1本のレンズを使う為に、1台のカメラを
買ってしまう事は、一般的には奇異に映るかもしれない。
しかし、レンズの価値の方がカメラよりはるかに重要な
事は間違いない事実であるし、今回のケースでも、カメラ
の価格(中古16000円程)は、レンズよりも遥かに安価だ。
持論では、「(システムにおける)カメラとレンズの
価格比は、1対4が望ましい」とずっと思ってきた、
まあ、これは1台と1本というわけではなく、そのマウント
における数台のカメラと複数の交換レンズのトータルだ。
けど、ミラーレス時代になって、この持論はちょっと
成り立たなくなって来ている、ミラーレス機には、およそ
どんなレンズでもアダプターで装着できる為、ボディと
レンズの価格比がいくらでも大きくなる。
今回のケースにおいても、私は他のμ4/3機もいくつか
所有しているし、レンズも色々とあるので、システムの
価格比が求まらない。
しかし、仮に、DMC-G5とNOKTON 42.5/0.95だけの
比率を見れば、約1:5.6であり、これは1:4の法則を
楽々クリアしているので、何ら問題は無い。
この価格比の法則は、すなわち、レンズの方がカメラ本体
よりも4倍以上も価値が高い、という事を示している。
だが、実際には4倍では効かない、なにせデジタルカメラ
(一眼、ミラーレス)は、数年で古くなってしまうのに
(相対的な仕様の老朽化現象)レンズは壊れなければ、
ほぼ半永久的に使える訳だ。
本ブログの、ミラーレス・マニアックスやハイコスパ
レンズのシリーズ記事では、平気で50年前後も前の古い
レンズを使っているが、それらのレンズの描写力が
現代のレンズに比べて、壊滅的に酷い、という事は一切無く、
場合により、安価な現代レンズを凌駕する描写力を持つ物も
少なくない。

機体はあるだろうか? 勿論、それは1台も無い事であろう。
だから、レンズの価値の方が遥かに重要な訳だ。
今時の初級中級層が、数十万円もする高価なデジタル一眼
に、3万円程度の描写表現性能の低そうな旧世代の標準
ズーム等を使用している様子を見ると、がっかりする。
・・というか、その高価なカメラは、数年あるいは十年で
信じられない程、価値が低下してしまう、5分の1か
それ以下であろう。
そして、その初級中級者は、そのカメラでいったい何枚
撮るのだろう?まあ、多くても年間1万枚程度の撮影枚数
であろうが、それはちょっと甘い見積もりかもしれない。
1台の一眼レフにおいて、その使用期間(寿命内)に
トータルで3万枚程度撮れば、ビギナークラスでは、
まず上出来であろう。
しかし、その際のカメラの減価償却としては、1枚10円以上
もかかってしまう。
これはあまりに高価では無いだろうか?
まるで銀塩(フィルム)並みのコスパの悪さだ。
ミラーレス機の場合には、持論では「1枚2円の法則」を
適用する事にしている。つまり購入価格(新品でも中古でも)
を撮影枚数で割って2円に到達すれば、そのカメラは
元が取れたと見なす。だから、次の機種を入手しても良い。
(逆に言えば、元を取る迄は後継機を買ってはならない)
という法則である。

コンパクト機、一部の特殊ミラーレス機(RICOH GXRと
PENTAX Q7,これらは、レンズが専用となるので、その
購入価格も合算する必要がある)では、「1枚3円の法則」
であったのだが、中古相場の下落が激しいミラーレス機
では少し厳しくして、「1枚2円の法則」とした。
なお、現代の高価なミラーレス機には、数十万円の定価の
ものが存在する、これらは「1枚3円の法則」であっても、
まず、それをクリアする事はできない、
元を取る事が無理な事は明白なので、私は今後たりとも
それらを新品購入する事は無いと思う。
ちなみに、何故価格が高いのかは、性能が良いからでは無い、
「高くても売れる」から、メーカーは付加価値が高い製品を
作って、利益を稼ぐわけだ、そうしないと、開発費を湯水の
ようにバカ喰いするデジタルカメラ事業を維持できない。
こういう事はあえて分析をする必要は無く、当たり前の話だ。
現代では、20世紀型工業製品のように原価から定価が自動的
に割り出される訳ではない(例、原価の3倍が定価等)
考えてみれば、デジタルカメラの部品代なんて、どの機種も
ほとんど差が無いのだ。それが1万円台で買えてしまったり
数十万円出さないと買えない場合もあるのを不思議に
思わないだろうか?
部品代自体の差は無い、あるとすれば、開発経費の差だ。

部品コストとは全く関係無い部分が、より大きな
差異に見えるであろう、しかし、銀塩カメラとは異なり
デジタルカメラは、いまや消耗家電製品でしかない、
長く使い続ける為の所有満足度などは殆ど無い。
まあ、初級中級者層に、せっせと高価な新製品を買って
貰って、カメラ市場がこれ以上縮退しないように維持する
為の貢献をして頂き、メーカー側には、また、新たな技術
開発を行って、新製品を出して貰えれば良い訳だ。
とは言え、私は個人的には、その「循環サイクル」には、
全く貢献していないし、実のところ貢献する気も無い。
と言うのも、2010年代前半の時代のカメラ性能があれば、
それが一眼レフでも、ミラーレスでもコンパクト機でも
もう十分だからだ、これ以上の過剰な性能は不要だと思う。
だから新製品に「貢いで」、次世代機の開発体制に協力
したいとも、あまり思わない訳だ。
(あえて言えばAFの改良くらいか・・)

とは言え、もう数値性能は詳しく書いても意味が無いという
事は、本ブログの読者ならば良く分かっているであろう。
μ4/3型CMOSセンサー、約1600万画素、
ローパス有り、内蔵手ブレ補正無し。
ISO160~12800、AUTO ISO可変範囲160~3200
最高シャッター速度1/4000秒、電子シャッター可。
ドライブ性能秒6コマ(他に超高速、低速可)
デジタルテレコン x2, x4 (劣化あり)
デジタルズーム(無劣化)1.1~最大2倍連続可変
デジタルフィルター機能は若干あり

背面モニター 92万ドット 自由アングル可変型
ボデイ重量 346g
ちなみに、こういう数値だから、良いとか悪い、とか言う
ものでは決して無い。
前述したように、カメラの利用目的は、個人個人で大きく
異なり、さらには、同じ個人でも、その個々のカメラに
おいて用途や目的が特定されるケースも多々ある。
結局、カメラの性能は、カメラのカタログスペックとかの
単純なものでは全く推し量る事はできないのだ。

長所短所を紹介して行こう。
まず、MFレンズ使用時の優れた操作系については、
DMC-G1等の記事で書いて来た通りで、G5もそれを踏襲
しているのでアダプター母艦としての適性がある。
ちなみにNOKTON 42.5/0.95は、μ4/3専用レンズで
あるが、MFレンズであり、実質上はアダプター使用時
と同じと思えば良い。

レバーに連続可変型デジタルズーム機能がアサインできる
事である。
ちなみに、パナソニックの説明書用語では、テレコンと
ズームの意味が逆転してしまっているので、本記事では
パナの用語を無視し、一般的な写真用語を用いる。
つまり、
(デジタル)ズーム=拡大率を連続可変できる
(デジタル)テレコン=拡大率が2倍、4倍と固定的
である。

あるいは現代のCCTV(監視カメラ等)用レンズでは
「バリフォーカル」という名称のタイプも存在している。
バリフォーカルとは「焦点距離が可変する」という意味である。
だとすれば、ズーム(レンズ)と同じだと思うかも知れないが、
バリフォーカルは焦点距離を変えると、ピント位置がずれて
しまい、都度、ピントを変えなければならない。
ピントを合わせ直さなくても良いのがズームレンズになる訳だ。
監視カメラ用レンズで、いまだバリフォ-カル型が
使用されているのは、監視カメラでは焦点距離を、
その監視環境(部屋の広さ、画角)に応じて、ほぼ固定で
用いる、だから、カメラ設置時に焦点距離を決めて、
そこでピント合わせをしておけば、後からそれを触る事は
殆ど無いのだ。で、バリフォーカルの方がレンズ設計も
容易で製造コストも下がるので、それが一般的だ。
だが、写真用レンズでは、頻繁に焦点距離を変えるので
いちいちピントを合わせ直すのは効率的では無い、
なので、複雑で高価なズーム型レンズにせざるを得ない。

「ブーンという音」「急角度に上昇(急騰)する」
といった意味であり、擬音語(オノマトペ)が語源だ。
世界初の(35mm判カメラ用)標準ズームレンズは、
1959年のキルフィット「ズーマー」36~82mm/f2.8
と言われている。
(ズーマーそのものは入手困難な幻のレンズであるが、
キルフィット・キラー150mm/f3.5の紹介記事として、
ミラーレス・マニアックス第54回、補足編第1回等で
ズーマーの話も述べている)
なお、それらの記事でも書いたが、キルフィット社は
生産拠点も社名も色々と変わった謎のメーカーであり、
「ズーマー」の製品は、当時の「フォクトレンダー」
(注:勿論現在のコシナ社では無い、コシナ社は、
1990年代末に、宙に浮いていたフォクトレンダーの
ブランド商標を取得した)より発売された。
まあ、このレンズに、ズームという名前をつけたのは
元々の擬音的意味から「ブーンと焦点距離が変わる」
という感覚であったのであろう。
それから勿論、「ズーム」と「望遠」は違う意味であり
初級者が良く言う「ワタシのカメラはズームが効かない」
は間違いであり、正しくは
「私のズームレンズは、望遠域が足りない」である。
さて、余談が長くなった、引き続きDMC-G5の長所を説明
していこう。

G1では学習型の「マイメニュー」があり、以前使った
機能設定を上位に呼び出す方式であったが、
これは良し悪しあって、滅多に使わない機能設定を行うと、
それもまた学習されてしまう。
G5では、それを廃し、自在カスタマイズ可能な「Q. MENU」
を主力として、その専用ボタンもある。
(G1にもQ.MENUはあるが、操作系が若干使い難い)

選択および、その表示順番も含めて自在に設定できる。
ただ、若干この初期設定が面倒だ、しかし、1度完全に
自分好みの設定にさえしておけば、以降、極めて快適に
様々な機能メニューを効率的に呼び出す事が可能である。
なお、この手の設定は、カメラの中にどんな機能があって
それを、いつ、どんな時に使うのか?を理解していない、
初級者には設定自体が難しい、だから中上級者向けの機能
となるが、こういう設定をちゃんとやる事で、本当に
利用者自身が使い易いカメラとなる。
メーカーが最初に決めたカメラ設定だけを見て(使って)、
それが、使い易いとか、使い難いとかは言ってはならない
訳である。それは単なるファクトリー・プリセット
(工場出荷時の初期値)でしかなく、万人向けの標準的な
ものであり、前述のようにユーザー個人個人は、カメラの
使用目的も、使い方も全く異なる訳だ。
この「Q.MENU」が存在する事と、十字キーに基本機能である
ISO、WB、ドライブ切り替え、およびMFレンズ使用時の、
画面拡大(これはAF時のフレーム選択と自動的に切り替え)
があり、露出補正操作についても、AFレンズ使用時の絞り
ダイヤル(兼露出補正)が、MFレンズ装着時には自動的に
露出補正専用となる。

殆ど他の機能を割り振る必要がないが、私の場合は、
デジタルテレコン(2倍、4倍)機能を、Fnキーにアサイン
している。
NOKTONを前述の優れたデジタルズームの操作系と組み合わせ、
フルサイズ換算画角では、
テレコン無し: 85~170mm/f0.95
テレコン2倍:170~340mm/f0.95
テレコン4倍:340~680mm/f0.95
の、強力な望遠系超大口径仮想ズーム機として使える。
なお、ここで注意点だが、デジタルテレコンは画質が
劣化する事と、画面拡大機能が使えず、ピント合わせが
難しい事。また、デジタルズームは画素補完型なので
画質劣化は起こらないが、撮影画素数を予め落とさないと
使えず、これはトリミングとほぼ等価になる。
まあ、それらを理解して使うのであれば、非常に魅力的な
超大口径望遠機として本システムを使用できる訳だ。

カスタマイズした専用カメラの出来上がりだ、これは
極めて快適に使用する事ができる。
なお、一部の一眼レフ等では、カスタマイズ設定を何種類か
記憶でき、それを呼び出して使えるものもある、これは
一見便利そうなのだが、そのカメラ自身の長所短所等から
使える範囲の用途や使用レンズは、ある程度決まって来る。
そして、カスタマイズできる設定もさほど多くない為、
現実的には、一眼レフでのその機能はさほど有益では無い。
さて、これだけでもDMC-G5の利用価値は十分なのだが、
一応弱点をあげておこう。
まず、ピーキング機能が無いので、ピント合わせには
ほぼ毎回の拡大操作が必須となる。しかしこれについては
ピーキング機能があったとしても、NOKOTNのf0.95での
極薄の被写界深度では精度が厳しいので、やむを得ない。

EVF搭載機で、EVFを覗きながらのタッチパネル操作は、
「いったんカメラの構えを解く必要があるから実用性は無い」
とLUMIX Gシリーズの記事では毎回のように述べているが、
本機も勿論同様だ、タッチパネル上にあるソフト(仮想)
Fnキーの2つは、事実上使用できない。
しかし、これについては、上記「Q.MENU」に、ソフト
Fnキーの機能設定も含ませてあるため、問題では無い。
つまり、Q.MENUであればEVFを覗いたままでも、必要な
ほぼ全てのカメラ操作がEVF内のメニュー表示を見ながら
完結する。ちなみにQ.MENUに限らず、十字キーや物理Fn
キー、モードダイヤル、ファンクションレバーといった
全ての操作結果もEVF内に表示される。
なお、このように、EVFを中心とした撮影技法を行う為
自在可変背面モニターは、普段は収納位置として使わない。
背面モニターへのキズとか、あるいはぶつけて破損する等の
リスクを低減できる効果がある。
縦位置ローアングル撮影など、必要な場合にのみ、
背面モニターを使用するが、92万ドットと、そこそこ
解像度がある為、拡大機能と組み合わせて背面モニター
のみでもピント合わせは可能だ。
それと、動画録画ボタンと自動撮影設定の「iA」ボタンは
私には不要であるが、録画ボタンは機能停止はできるが
このボタンに他の設定機能を割り振る事は出来ない
ここは不満である。
思いもせず、これらのボタンを押してしまう事があり、
特に「iA」では、NOKTON使用時においては、何も変化は
ないのだが、たまにAF純正レンズを使用する際には、
自動化で使えなくなる機能が多数出てきてしまう。

完全無音撮影が出来るので非常に良いのだが、
これを使っても(静止画撮影時には)、他社機のように
超高速シャッターが得られる訳ではなく、1/4000秒が
上限のままである。
電子シャッターでは、動体撮影が歪むのと、加えて
プロジェクターやPC画面などの走査線方式の画面を撮ると、
走査線の縞が写真に写ってしまう。
(シャッター速度を色々変えても回避しずらい)
その他の欠点は特にない、まあ、優秀なカメラである。
ちなみに、AFレンズは、本機の使用目的では、殆ど
使わない為、AFに係わる長所や弱点は考慮していない。
まあ、この時代のミラーレス機であっても、依然
コントラストAF方式であるから、速度も精度も期待
出来ない事は確かだと思う。

評価項目は10項目である(第一回記事参照)
【基本・付加性能】★★★
【描写力・表現力】★★☆
【操作性・操作系】★★★★
【アダプター適性】★★★☆
【マニアック度 】★☆
【エンジョイ度 】★★★★
【購入時コスパ 】★★★★ (中古購入価格:16,000円)
【完成度(当時)】★★★☆
【仕様老朽化寿命】★★☆
【歴史的価値 】★
★は1点、☆は0.5点 5点満点
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【総合点(平均)】2.9点
得点は平均的、実用性能はかなり高い機体だが、
Ver 5ともなると、ありふれたイメージであり、
マニアック度も歴史的価値も低くなってしまっている。
中古価格が安価であったのでコスパは良い、減価償却は
とっくに完了していて、NOKTON 42.5mm/f0.95の母艦
として当面は使い続けるであろう。
なお、現在本機の中古は、かなりレアであり、殆ど
見かけないかも知れないが、どうしても本機でなくては
ならない理由はないので、欲しい際は、後継機のDMC-G6
を選択するのが良いであろう。
次回記事は、引き続き第二世代のミラーレス機を紹介する。