今年の新春特集記事は、関西圏私鉄の「ニューイヤーチケット」
(新春特別乗車券/企画乗車券)について紹介しよう。
![c0032138_16504315.jpg]()
関西圏の私鉄と言うと、メジャーな路線では、阪急、阪神、南海、
近鉄、そして京阪がある。(勿論他にも沢山あるが割愛する)
内、阪急と阪神は元々別会社だったのが2006年に経営統合して、
現在は「阪急阪神ホールディングス株式会社」となっている。
この話はちょっと後述しよう。
さて、各私鉄は、初詣などで便利な、正月(新春)の期間だけ
利用できる、お得な「ニューイヤーチケット」を発売している。
本記事では、特に、お得感が強い近鉄と阪急阪神の企画切符に
ついて紹介しよう。
まずは近鉄の「京阪奈初詣1dayチケット」だ。
![c0032138_16504345.jpg]()
このチケットは「京阪奈」の名の通り、京都府、大阪府、奈良県
を走る近鉄全線が1日乗り放題となるチケットだ。
近鉄(近畿日本鉄道)は、実際には、奈良県よりも先、三重県や
愛知県まで路線を延ばしているのだが、まあ、さすがにその全域
までは使用できず、「京阪奈」に限定なのだが、まあそれでも
1300円という安価でこの広範囲が乗り放題であれば十分にお得だ。
本チケットは、元日より以前(12/31迄)に購入しなければ
ならない。(注:元日以降から1/11迄の期間は
「阪神・近鉄初詣1dayチケット」というバージョンが購入
できるが、こちらの利用可能範囲は異なる)
まあ、”事前に買う”という点だけが難点なのだが、これを
上回る大きなメリットが本チケットにはある。
それは、チケットにも書かれているが「12月31日(の利用)に
限り、翌日1月1日も利用可」と言う点である。
なので、本チケットを12月31日までに購入し、その大晦日が
近鉄乗り放題、さらに翌日元日にも、引き続き、乗り放題に
なるという事である。
これで1300円、つまり1日あたり650円で京都・大阪・奈良を
移動し放題だ!
(なお、12/31~1/1の両日で使わない場合は、1/1~1/8の
いずれか1日のみ乗り放題となる)
例えば、近鉄で京都駅から奈良県の吉野駅まで乗車する際の
運賃は1350円、つまり長距離であれば1日だけの片道だけでも
元が取れる、という、太っ腹な値段である。
![c0032138_16504410.jpg]()
こういう状況であれば、近鉄を使っておよそ何処へでも行く
事ができる。せっかくなので、普段は滅多に降りないような
駅や、その周辺にも色々と行けるのだ。
(マイナースポットに行きたいが、普段であれば、わざわざ
電車賃をかけてまでは行きたくは無い、という状況の場合等。
近鉄沿線での1例をあげれば、近年TV CMでも紹介された、
大阪府松原市の「布忍(ぬのせ)神社」には非常にユニークな
「恋みくじ」があって、引くと、おもわず笑ってしまう内容が
書かれている。「面白くて、何度でも引ける」と少し前から
マニアの間で有名ではあったが、ここもTVで紹介された事で
「知る人ぞ知る」のマイナースポットではなくなるかも知れない。
でもまあ、このクラスであれば、私の中ではメジャースポットだ、
私が行きたいのは、さらなるマイナースポットである)
![c0032138_16504359.jpg]()
注意点としては、京阪奈の近鉄は路線がやや複雑な事だ。
具体的には、
*奈良線は、難波・上本町(大阪)~近鉄奈良
*大阪線は、上本町~布施~八尾(以上大阪)~大和八木~
桜井~三本松(以上奈良)
*南大阪線は、阿部野橋(天王寺:大阪)~古市(大阪)~
(大和高田市)~橿原神宮前~吉野(以上奈良)
*京都線・橿原線は、京都~丹波橋~新田辺(以上京都)~
大和西大寺~近鉄郡山~大和八木~橿原神宮前(以上奈良)
さらに短い支線(生駒線、けいはんな線、田原本線、信貴線、
道明寺線、長野線、各種ケーブル線など・・)が多数あり、
それらの乗り換えは複雑で、近鉄の路線に精通している関西圏の
地元民で無いと、ちょっと全貌の把握は難しいであろう。
まあつまり、正月の帰省とか親戚の集まりなどで関西地元民
以外の方が近鉄を利用する際には、路線の乗り換え、乗り継ぎ
等は難しい為、よく路線図等を見てチェックしなければならない
という事だ、ちなみに関西地元民であっても、普段の生活で使って
いる沿線路線以外の近鉄線は結構使うのが難しいと思う。
(例:近鉄奈良線沿線の在住の人が、南大阪線を使ったら
どうやって奈良線に戻るのか?は、あまり簡単では無い。
短距離だけ他社私鉄やJRを使えば比較的スムースに乗り換えが
出来る場合があるが、一日乗車券を買ってしまうと、なかなか
他社路線に追加で運賃を払って乗る事は、ためらい勝ちだ)
![c0032138_16504325.jpg]()
なお、正月は、どの路線も初詣などで非常に混雑するのだが、
利用する時間帯と路線、電車の種類、およびその進行方向
によっては、混雑しない場合もある。
![c0032138_16504912.jpg]()
まあ、12月31日の大晦日は、家で色々やる事(大掃除や正月の
準備など)がある為、どの私鉄路線も比較的すいているのだが、
正月三が日は初詣などで出かける人が多く、時間帯や行き先に
よっては電車は極めて混雑する事が多い。
混雑する路線の見分け方は、いわゆる「初詣スポット」となる
社寺に向かう(および帰る)電車だ。
初詣スポットが何処か?と言うのはいわずもがな、各私鉄や
JRの駅で配布している無料情報誌等を見れば有名社寺が色々と
書いてある。
ちなみに、私の場合は、「初詣スポット」の書いてある情報誌
などを「逆情報」として利用する事にしている、つまり、
「そこに書いてある場所は混雑するので避ける」という意味だ。
でもまあ、混雑する事を承知していても、どうしても有名かつ
大きい社寺に初詣に行きたいとしよう・・ そういう場合は、
多くの有名初詣スポットへ混まずに行ける方法がある。
それは、元日の午前中、早目の時間帯にそうした社寺を訪れる
事である・・
![c0032138_16504966.jpg]()
上写真は、近鉄南大阪線および京都線(橿原線)で行く事が
出来る、「橿原神宮」の元旦の午前9時頃の模様。
橿原神宮は奈良県第二位の初詣の人出がある人気神社だ。
(ちなみに奈良県の第一位は春日大社)
橿原神宮も春日大社も、概ね元日の午前8時~10時頃ならば
すいていて快適に参拝(初詣)が出来る。
まあ、前日大晦日は年越しなどで夜更かしする人が多いし
気の早い人は「二年参り」で深夜零時に参拝する方も
居ると思う(このため、関西の各私鉄路線は終夜運転だ)
また、元旦(=元日の朝)は、朝寝坊に加え、おせち、雑煮、
お屠蘇等元旦の慣わしに沿って活動する家庭も非常に多いと思う、
だから元日の午前中は、エアーポケットのように、初詣
スポットはすいているのであろう。
![c0032138_16504939.jpg]()
私は本来、あまりこうした有名神社などに初詣は行きたく
無いのであるが、この「京阪奈初詣1dayチケット」には、
所定の有名社寺のいずれかで、記念品(祈念品)が貰える
特典(引換券)が付いていたので、それを貰いに行くのに、
あまり混雑しない時間帯を選んだ、という事である。
なお、上写真の橿原神宮の参拝場所は、他の神社でよく
あるような「鈴」は備え付けておらず、多数の参拝者が
同時に参拝できる「並列方式」だ
だから鈴を鳴らす為に長蛇の列になるという事は少ないと
思うが、それでも神社への出入りは時間帯によっては
大混雑するであろう。
![c0032138_16504991.jpg]()
さて、上写真が橿原神宮で貰える「えと置物」である。
勿論、記念品は社寺毎に異なるのだが、こちらはなかなか
良い物であった。
なお、様々な社寺では、その年の干支にちなんだ、特別仕様の
おみくじ、お守りなどが正月に発売される場合もある。
もし、それらが路線情報誌などで紹介されると「一極集中化」が
起こって、購入者が殺到、早々に売り切れてしまう場合も多い。
元々売れ残りを嫌っての限定数の発売だから、そうした情報誌に
載れば、数が不足するのは、やむを得ない節もあるのだが、
わざわざそれを狙って社寺を訪問して早々に売り切れていると
がっかりする。ますます(私が元々が大嫌いな)現代での
「一極集中化現象」を憎むばかりになってしまう。
それから、橿原神宮や春日大社を訪れるのは、もう1つ
メリットがある、これらの社寺の最寄り駅は近鉄の始発駅に
位置する事だ、だから多少自宅から距離があったとしても
始発駅なので、座れる等で混雑を避ける事ができる。
これが途中駅だと、帰路が混雑して、なかなか大変な事に
なる場合もあるのだ。
また、ターミナル駅から近距離にある社寺も、そこまでの
鉄道路線を含め大混雑する、例えば京都の「伏見稲荷」は
京都駅からJRで僅かに2駅という距離感だが、JR乗車を含めて
初詣のタイミングには近寄る事すらも難しい。
それから、有名社寺の最寄り駅は帰路の電車の切符売場も
大変混雑する、それを避ける意味でも、ニューイヤーチケット
の存在価値は大きい。
「伏見稲荷大社」は、ほんの10年程前までは、あまり注目
される神社ではなかったのだが、近年でのインバウンド
(外国人観光客)の超人気スポットになり(これは日本べの
旅行者向けの海外サイト等で紹介された事での一極集中化だ)
日本人を含め外国人の参拝者が極めて多い、これは初詣時期
のみならず、通年でそんな感じで、近年は残念ながら近寄り難い
観光・参拝スポットになってしまった。
なお、各私鉄路線のターミナル駅(例:京都駅、梅田駅、難波駅、
天王寺駅、三宮駅、奈良駅等)では、百貨店や大小の店舗等で
主に1月2日から初売りで福袋等が売られる、これらを目当てに
初詣の帰りにターミナル駅に寄って買い物をする、という行動
パターンが極めて多いので混雑は必至だ、この混雑や人の流れを
予測し、これを避けるのも、正月の行動計画を立てる上では重要だ。
![c0032138_16504960.jpg]()
今回は、まだ大混雑が始まっていない元日の午前中の時間帯で
「橿原神宮」からの帰路もスムースであった。
ちなみに一部の近鉄電車は臨時車両での運行で「開運号」など
ヘッドマークがついてたり、吊り革の一部に「開運ダルマ」が
あったりする(それを掴んだ人は幸運だ、という事だろうか?)
もっとも、帰路と言っても、まだ1月1日は昨日大晦日に続き
近鉄全線乗り放題だ、引き続き奈良や大阪、京都を廻ると
しよう・・
---
さて、引き続き、別の私鉄の「新春特別切符」を紹介しよう。
![c0032138_16505413.jpg]()
こちらは「阪急阪神 New Year Ticket」である。
有効範囲は、阪急、阪神、神戸高速全線、すなわち
京都、大阪、宝塚、神戸あたり全域をほぼカバー可能である。
(注:「能勢電鉄」は利用不可、この路線を含めた「能勢版」は
300円増しとなる)
有効期間は1月1日~1月11日、近鉄のチケットと異なり
当日買いで当日に利用できる。金額は1000円である。
(注:同じ有効範囲で通年で利用できる「阪急阪神1dayパス」
が存在するが、そちらは1200円と、やや高価となる)
大阪、京都、兵庫(神戸)の社寺で貰える「祈念品」の引換券が
4枚も付いている。それぞれの地域での「三社参り」を想定して
いる模様だが、地域を越えて、たとえば、京都、大阪、神戸の
各々で3つの社寺を巡ることも、時間と体力が許せば可能だ。
以前はこのチケットを利用し、神戸や大阪の社寺を初詣で沢山
回ったのだが、近年「情報の一極集中化」が加速し、どの有名
社寺も、初詣が考えられない程に非常に混雑し、参拝時間が
異常に長くなってしまう状況だ。(注:有名社寺以外は、逆に
ガラガラにすいている)
当方は、初詣は上記橿原神宮で済ましているので、
今回は初詣ではなく観光目的でこのチケットを利用しよう。
![c0032138_16505435.jpg]()
こちらは1月2日の神戸港の模様、午前中早くの時間帯なので
かなり人出はまばらだ。むしろ普段の休日などよりも
ずいぶんと快適に観光ができる、飲食店などはまだ三が日を
休んでいるケースも多いが、神戸ポートタワー等の観光施設は
年末年始も営業している。
ちなみに、大阪から神戸方面に行く際(逆もしかり)は、この
チケットの利用で阪急でも阪神でも好きな方の路線を使える、
目的地に応じて、最寄り駅により路線を選ぶ事が可能なのだ。
ただし、前述の近鉄の路線と同じく、阪急と阪神は相互の路線
の乗り換えが難しい、梅田と三宮および高速神戸線(新開地等)
を除き、「相互の路線の乗り換えは困難」と思う方が無難だ。
![c0032138_16505362.jpg]()
かつて阪急と阪神は、大阪(梅田)から、神戸三宮までの競合
路線であった(注:実際には両路線は三宮より、もっと先まで
運行している、また同区間はJRも併走している)で、それらの
路線の利用客は、なんとなくお互いをライバル意識する風潮も
あった。
また、梅田には阪急百貨店、阪神百貨店が存在し、それぞれ
固定的ファン層が居る。
それから勿論、阪神球団があり、そして阪急もかつては阪急
ブレーブス球団のオーナー企業であった(~1988年)
勿論、関西人の阪神贔屓などは言わずもがな、である。
このように、感覚的には相容れそうにも無い両路線なのだが、
それが統合するという話を聞いた際は、ずいぶんと不思議に思った。
余談だが、日本のSF、1970年代の名作で「決戦・日本シリーズ」
という作品がある。(注:かんべむさし著、各時代毎のSF傑作選
などに収録され刊行されていると思う)
これは当時では阪神球団も阪急球団もあり、それぞれセ・パ
両リーグに分かれていたので、両者が日本シリーズで戦った際、
勝った方が「お互いの路線を変えて優勝パレードを行う」という
架空の話であるが・・
このSF小説の面白いところは、途中から文章が上下2段に別れ、
それぞれ読者層のファン(贔屓)の球団が勝った前提で、
好きな方の文章を読む、という仕掛けが施してある事だ。
勿論、贔屓の球団の方を思い切り持ち上げて書いてある事は
言うまでも無い。
それと実際に両路線を電車が相互に乗り入れるには、レール幅
や上記乗り入れポイント等、様々な難しい問題点がある、それを
どうクリアしていくか? がこのSF小説の見所になっているのだ。
(なお、阪神・阪急の日本シリーズのカードは実現されていない)
まあ、実際にはその小説の30年後には両路線は合併(経営統合)
してしまう訳で、まさしく「事実は小説より奇なり」だ。
![c0032138_16505469.jpg]()
さて、神戸から大阪、あるいは京都までもが阪急、阪神の
路線範囲だ。
12/31~1/1の近鉄の「京阪奈初詣1dayチケット」および
1/2(他の日でも可)の「阪急阪神 New Year Ticket」を
駆使すれば、これら3日間は、合計金額2300円で、京都、大阪、
奈良、神戸の、およそ何処へでも行けてしまう。
![c0032138_16505490.jpg]()
これを初詣だけで済ますのは勿体無い、1日に2~4箇所
(地域)を巡る事も、時間と体力があれば可能であるから、
正月の3日間で10箇所(地域)位は縦横無尽に巡る事ができる。
かつて、こうした目的には「スルッとkansai 3dayチケット」
が存在していた、これはある発売期間のうち、任意の3日間
(注:非連続の日程でも可)関西圏「スルッとkansai」エリアの
全ての交通機関が乗り放題となる。
「スルッとkansai」は関西圏のほとんどの私鉄、地下鉄、
路線バスで有効だったので、3日間、およそ何処へでも
行けたのだ、価格は5000円(後に5200円)位であり、
1日あたりおよそ1700円と、新春チケット系より若干高価では
あるが、まあ特定の私鉄路線に限らず、ほとんどの交通機関
が利用可能であり、最大で1日あたり4000円くらいにもなる
交通費分を使う事もできたので、かなりお得ではあった。
ただ、近年の交通系ICカードの普及で「スルッとkansai」は
2018年1月末をもって終了、その後は、ほぼ使用不能となって
しまう。まあ使い切れば問題は無いのだが、その後はこうした
磁気系カードが使える関西圏の私鉄路線は殆ど無くなるのと、
(注:阪急・阪神・能勢電鉄・北大阪急行は、引き続き旧来の
ラガールカード、および新しく改名した「レールウェイカード」
が利用可能、これは恐らく「スルッとkansai」と同一の
プロトコルなので他社カードも使用できるかも知れない(?)
事実「レールウェイカード」は現在他社路線で使用可能だ)
まあ、それよりも「スルッとkansai 3dayチケット」が無くなる
のが痛い。
こういうお得感の大きい企画切符は貴重なのだが、ICカード
で同様の乗り放題系サービスを行うのは(購入方法等により)
困難であろう。まあ、残念な話だが、時代の流れでやむを得ない。
---
まあ、「正月は家でゆっくりしたい」という人が多いとは思うが、
正月もともかく様々な所に行きたい、というアクティブな人には
こうした新春特別乗車券は、かなりオススメである。
なお、本記事掲載時点でも、まだ「阪急阪神 New Year Ticket」
および近鉄の「阪神・近鉄初詣1dayチケット」は購入・利用可能
(~1/11)であるが、近鉄の「京阪奈」版は大晦日に発売終了して
いて、有効期間も1/8までで終了だ。
今年間に合わなくても、来年等の新春の行動計画の参考にして
いただければ幸いである。
さて、今回の新春記事はこのあたりまでで・・
(新春特別乗車券/企画乗車券)について紹介しよう。

近鉄、そして京阪がある。(勿論他にも沢山あるが割愛する)
内、阪急と阪神は元々別会社だったのが2006年に経営統合して、
現在は「阪急阪神ホールディングス株式会社」となっている。
この話はちょっと後述しよう。
さて、各私鉄は、初詣などで便利な、正月(新春)の期間だけ
利用できる、お得な「ニューイヤーチケット」を発売している。
本記事では、特に、お得感が強い近鉄と阪急阪神の企画切符に
ついて紹介しよう。
まずは近鉄の「京阪奈初詣1dayチケット」だ。

を走る近鉄全線が1日乗り放題となるチケットだ。
近鉄(近畿日本鉄道)は、実際には、奈良県よりも先、三重県や
愛知県まで路線を延ばしているのだが、まあ、さすがにその全域
までは使用できず、「京阪奈」に限定なのだが、まあそれでも
1300円という安価でこの広範囲が乗り放題であれば十分にお得だ。
本チケットは、元日より以前(12/31迄)に購入しなければ
ならない。(注:元日以降から1/11迄の期間は
「阪神・近鉄初詣1dayチケット」というバージョンが購入
できるが、こちらの利用可能範囲は異なる)
まあ、”事前に買う”という点だけが難点なのだが、これを
上回る大きなメリットが本チケットにはある。
それは、チケットにも書かれているが「12月31日(の利用)に
限り、翌日1月1日も利用可」と言う点である。
なので、本チケットを12月31日までに購入し、その大晦日が
近鉄乗り放題、さらに翌日元日にも、引き続き、乗り放題に
なるという事である。
これで1300円、つまり1日あたり650円で京都・大阪・奈良を
移動し放題だ!
(なお、12/31~1/1の両日で使わない場合は、1/1~1/8の
いずれか1日のみ乗り放題となる)
例えば、近鉄で京都駅から奈良県の吉野駅まで乗車する際の
運賃は1350円、つまり長距離であれば1日だけの片道だけでも
元が取れる、という、太っ腹な値段である。

事ができる。せっかくなので、普段は滅多に降りないような
駅や、その周辺にも色々と行けるのだ。
(マイナースポットに行きたいが、普段であれば、わざわざ
電車賃をかけてまでは行きたくは無い、という状況の場合等。
近鉄沿線での1例をあげれば、近年TV CMでも紹介された、
大阪府松原市の「布忍(ぬのせ)神社」には非常にユニークな
「恋みくじ」があって、引くと、おもわず笑ってしまう内容が
書かれている。「面白くて、何度でも引ける」と少し前から
マニアの間で有名ではあったが、ここもTVで紹介された事で
「知る人ぞ知る」のマイナースポットではなくなるかも知れない。
でもまあ、このクラスであれば、私の中ではメジャースポットだ、
私が行きたいのは、さらなるマイナースポットである)

具体的には、
*奈良線は、難波・上本町(大阪)~近鉄奈良
*大阪線は、上本町~布施~八尾(以上大阪)~大和八木~
桜井~三本松(以上奈良)
*南大阪線は、阿部野橋(天王寺:大阪)~古市(大阪)~
(大和高田市)~橿原神宮前~吉野(以上奈良)
*京都線・橿原線は、京都~丹波橋~新田辺(以上京都)~
大和西大寺~近鉄郡山~大和八木~橿原神宮前(以上奈良)
さらに短い支線(生駒線、けいはんな線、田原本線、信貴線、
道明寺線、長野線、各種ケーブル線など・・)が多数あり、
それらの乗り換えは複雑で、近鉄の路線に精通している関西圏の
地元民で無いと、ちょっと全貌の把握は難しいであろう。
まあつまり、正月の帰省とか親戚の集まりなどで関西地元民
以外の方が近鉄を利用する際には、路線の乗り換え、乗り継ぎ
等は難しい為、よく路線図等を見てチェックしなければならない
という事だ、ちなみに関西地元民であっても、普段の生活で使って
いる沿線路線以外の近鉄線は結構使うのが難しいと思う。
(例:近鉄奈良線沿線の在住の人が、南大阪線を使ったら
どうやって奈良線に戻るのか?は、あまり簡単では無い。
短距離だけ他社私鉄やJRを使えば比較的スムースに乗り換えが
出来る場合があるが、一日乗車券を買ってしまうと、なかなか
他社路線に追加で運賃を払って乗る事は、ためらい勝ちだ)

利用する時間帯と路線、電車の種類、およびその進行方向
によっては、混雑しない場合もある。

準備など)がある為、どの私鉄路線も比較的すいているのだが、
正月三が日は初詣などで出かける人が多く、時間帯や行き先に
よっては電車は極めて混雑する事が多い。
混雑する路線の見分け方は、いわゆる「初詣スポット」となる
社寺に向かう(および帰る)電車だ。
初詣スポットが何処か?と言うのはいわずもがな、各私鉄や
JRの駅で配布している無料情報誌等を見れば有名社寺が色々と
書いてある。
ちなみに、私の場合は、「初詣スポット」の書いてある情報誌
などを「逆情報」として利用する事にしている、つまり、
「そこに書いてある場所は混雑するので避ける」という意味だ。
でもまあ、混雑する事を承知していても、どうしても有名かつ
大きい社寺に初詣に行きたいとしよう・・ そういう場合は、
多くの有名初詣スポットへ混まずに行ける方法がある。
それは、元日の午前中、早目の時間帯にそうした社寺を訪れる
事である・・

出来る、「橿原神宮」の元旦の午前9時頃の模様。
橿原神宮は奈良県第二位の初詣の人出がある人気神社だ。
(ちなみに奈良県の第一位は春日大社)
橿原神宮も春日大社も、概ね元日の午前8時~10時頃ならば
すいていて快適に参拝(初詣)が出来る。
まあ、前日大晦日は年越しなどで夜更かしする人が多いし
気の早い人は「二年参り」で深夜零時に参拝する方も
居ると思う(このため、関西の各私鉄路線は終夜運転だ)
また、元旦(=元日の朝)は、朝寝坊に加え、おせち、雑煮、
お屠蘇等元旦の慣わしに沿って活動する家庭も非常に多いと思う、
だから元日の午前中は、エアーポケットのように、初詣
スポットはすいているのであろう。

無いのであるが、この「京阪奈初詣1dayチケット」には、
所定の有名社寺のいずれかで、記念品(祈念品)が貰える
特典(引換券)が付いていたので、それを貰いに行くのに、
あまり混雑しない時間帯を選んだ、という事である。
なお、上写真の橿原神宮の参拝場所は、他の神社でよく
あるような「鈴」は備え付けておらず、多数の参拝者が
同時に参拝できる「並列方式」だ
だから鈴を鳴らす為に長蛇の列になるという事は少ないと
思うが、それでも神社への出入りは時間帯によっては
大混雑するであろう。

勿論、記念品は社寺毎に異なるのだが、こちらはなかなか
良い物であった。
なお、様々な社寺では、その年の干支にちなんだ、特別仕様の
おみくじ、お守りなどが正月に発売される場合もある。
もし、それらが路線情報誌などで紹介されると「一極集中化」が
起こって、購入者が殺到、早々に売り切れてしまう場合も多い。
元々売れ残りを嫌っての限定数の発売だから、そうした情報誌に
載れば、数が不足するのは、やむを得ない節もあるのだが、
わざわざそれを狙って社寺を訪問して早々に売り切れていると
がっかりする。ますます(私が元々が大嫌いな)現代での
「一極集中化現象」を憎むばかりになってしまう。
それから、橿原神宮や春日大社を訪れるのは、もう1つ
メリットがある、これらの社寺の最寄り駅は近鉄の始発駅に
位置する事だ、だから多少自宅から距離があったとしても
始発駅なので、座れる等で混雑を避ける事ができる。
これが途中駅だと、帰路が混雑して、なかなか大変な事に
なる場合もあるのだ。
また、ターミナル駅から近距離にある社寺も、そこまでの
鉄道路線を含め大混雑する、例えば京都の「伏見稲荷」は
京都駅からJRで僅かに2駅という距離感だが、JR乗車を含めて
初詣のタイミングには近寄る事すらも難しい。
それから、有名社寺の最寄り駅は帰路の電車の切符売場も
大変混雑する、それを避ける意味でも、ニューイヤーチケット
の存在価値は大きい。
「伏見稲荷大社」は、ほんの10年程前までは、あまり注目
される神社ではなかったのだが、近年でのインバウンド
(外国人観光客)の超人気スポットになり(これは日本べの
旅行者向けの海外サイト等で紹介された事での一極集中化だ)
日本人を含め外国人の参拝者が極めて多い、これは初詣時期
のみならず、通年でそんな感じで、近年は残念ながら近寄り難い
観光・参拝スポットになってしまった。
なお、各私鉄路線のターミナル駅(例:京都駅、梅田駅、難波駅、
天王寺駅、三宮駅、奈良駅等)では、百貨店や大小の店舗等で
主に1月2日から初売りで福袋等が売られる、これらを目当てに
初詣の帰りにターミナル駅に寄って買い物をする、という行動
パターンが極めて多いので混雑は必至だ、この混雑や人の流れを
予測し、これを避けるのも、正月の行動計画を立てる上では重要だ。

「橿原神宮」からの帰路もスムースであった。
ちなみに一部の近鉄電車は臨時車両での運行で「開運号」など
ヘッドマークがついてたり、吊り革の一部に「開運ダルマ」が
あったりする(それを掴んだ人は幸運だ、という事だろうか?)
もっとも、帰路と言っても、まだ1月1日は昨日大晦日に続き
近鉄全線乗り放題だ、引き続き奈良や大阪、京都を廻ると
しよう・・
---
さて、引き続き、別の私鉄の「新春特別切符」を紹介しよう。

有効範囲は、阪急、阪神、神戸高速全線、すなわち
京都、大阪、宝塚、神戸あたり全域をほぼカバー可能である。
(注:「能勢電鉄」は利用不可、この路線を含めた「能勢版」は
300円増しとなる)
有効期間は1月1日~1月11日、近鉄のチケットと異なり
当日買いで当日に利用できる。金額は1000円である。
(注:同じ有効範囲で通年で利用できる「阪急阪神1dayパス」
が存在するが、そちらは1200円と、やや高価となる)
大阪、京都、兵庫(神戸)の社寺で貰える「祈念品」の引換券が
4枚も付いている。それぞれの地域での「三社参り」を想定して
いる模様だが、地域を越えて、たとえば、京都、大阪、神戸の
各々で3つの社寺を巡ることも、時間と体力が許せば可能だ。
以前はこのチケットを利用し、神戸や大阪の社寺を初詣で沢山
回ったのだが、近年「情報の一極集中化」が加速し、どの有名
社寺も、初詣が考えられない程に非常に混雑し、参拝時間が
異常に長くなってしまう状況だ。(注:有名社寺以外は、逆に
ガラガラにすいている)
当方は、初詣は上記橿原神宮で済ましているので、
今回は初詣ではなく観光目的でこのチケットを利用しよう。

かなり人出はまばらだ。むしろ普段の休日などよりも
ずいぶんと快適に観光ができる、飲食店などはまだ三が日を
休んでいるケースも多いが、神戸ポートタワー等の観光施設は
年末年始も営業している。
ちなみに、大阪から神戸方面に行く際(逆もしかり)は、この
チケットの利用で阪急でも阪神でも好きな方の路線を使える、
目的地に応じて、最寄り駅により路線を選ぶ事が可能なのだ。
ただし、前述の近鉄の路線と同じく、阪急と阪神は相互の路線
の乗り換えが難しい、梅田と三宮および高速神戸線(新開地等)
を除き、「相互の路線の乗り換えは困難」と思う方が無難だ。

路線であった(注:実際には両路線は三宮より、もっと先まで
運行している、また同区間はJRも併走している)で、それらの
路線の利用客は、なんとなくお互いをライバル意識する風潮も
あった。
また、梅田には阪急百貨店、阪神百貨店が存在し、それぞれ
固定的ファン層が居る。
それから勿論、阪神球団があり、そして阪急もかつては阪急
ブレーブス球団のオーナー企業であった(~1988年)
勿論、関西人の阪神贔屓などは言わずもがな、である。
このように、感覚的には相容れそうにも無い両路線なのだが、
それが統合するという話を聞いた際は、ずいぶんと不思議に思った。
余談だが、日本のSF、1970年代の名作で「決戦・日本シリーズ」
という作品がある。(注:かんべむさし著、各時代毎のSF傑作選
などに収録され刊行されていると思う)
これは当時では阪神球団も阪急球団もあり、それぞれセ・パ
両リーグに分かれていたので、両者が日本シリーズで戦った際、
勝った方が「お互いの路線を変えて優勝パレードを行う」という
架空の話であるが・・
このSF小説の面白いところは、途中から文章が上下2段に別れ、
それぞれ読者層のファン(贔屓)の球団が勝った前提で、
好きな方の文章を読む、という仕掛けが施してある事だ。
勿論、贔屓の球団の方を思い切り持ち上げて書いてある事は
言うまでも無い。
それと実際に両路線を電車が相互に乗り入れるには、レール幅
や上記乗り入れポイント等、様々な難しい問題点がある、それを
どうクリアしていくか? がこのSF小説の見所になっているのだ。
(なお、阪神・阪急の日本シリーズのカードは実現されていない)
まあ、実際にはその小説の30年後には両路線は合併(経営統合)
してしまう訳で、まさしく「事実は小説より奇なり」だ。

路線範囲だ。
12/31~1/1の近鉄の「京阪奈初詣1dayチケット」および
1/2(他の日でも可)の「阪急阪神 New Year Ticket」を
駆使すれば、これら3日間は、合計金額2300円で、京都、大阪、
奈良、神戸の、およそ何処へでも行けてしまう。

(地域)を巡る事も、時間と体力があれば可能であるから、
正月の3日間で10箇所(地域)位は縦横無尽に巡る事ができる。
かつて、こうした目的には「スルッとkansai 3dayチケット」
が存在していた、これはある発売期間のうち、任意の3日間
(注:非連続の日程でも可)関西圏「スルッとkansai」エリアの
全ての交通機関が乗り放題となる。
「スルッとkansai」は関西圏のほとんどの私鉄、地下鉄、
路線バスで有効だったので、3日間、およそ何処へでも
行けたのだ、価格は5000円(後に5200円)位であり、
1日あたりおよそ1700円と、新春チケット系より若干高価では
あるが、まあ特定の私鉄路線に限らず、ほとんどの交通機関
が利用可能であり、最大で1日あたり4000円くらいにもなる
交通費分を使う事もできたので、かなりお得ではあった。
ただ、近年の交通系ICカードの普及で「スルッとkansai」は
2018年1月末をもって終了、その後は、ほぼ使用不能となって
しまう。まあ使い切れば問題は無いのだが、その後はこうした
磁気系カードが使える関西圏の私鉄路線は殆ど無くなるのと、
(注:阪急・阪神・能勢電鉄・北大阪急行は、引き続き旧来の
ラガールカード、および新しく改名した「レールウェイカード」
が利用可能、これは恐らく「スルッとkansai」と同一の
プロトコルなので他社カードも使用できるかも知れない(?)
事実「レールウェイカード」は現在他社路線で使用可能だ)
まあ、それよりも「スルッとkansai 3dayチケット」が無くなる
のが痛い。
こういうお得感の大きい企画切符は貴重なのだが、ICカード
で同様の乗り放題系サービスを行うのは(購入方法等により)
困難であろう。まあ、残念な話だが、時代の流れでやむを得ない。
---
まあ、「正月は家でゆっくりしたい」という人が多いとは思うが、
正月もともかく様々な所に行きたい、というアクティブな人には
こうした新春特別乗車券は、かなりオススメである。
なお、本記事掲載時点でも、まだ「阪急阪神 New Year Ticket」
および近鉄の「阪神・近鉄初詣1dayチケット」は購入・利用可能
(~1/11)であるが、近鉄の「京阪奈」版は大晦日に発売終了して
いて、有効期間も1/8までで終了だ。
今年間に合わなくても、来年等の新春の行動計画の参考にして
いただければ幸いである。
さて、今回の新春記事はこのあたりまでで・・