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デジタル一眼レフ・クラッシックス(12)「PENTAX K-5」

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本シリーズでは、手持ちのデジタル一眼レフについて紹介、
発売時の時代背景を含めた評価を行っている。

第12回からは、デジタル一眼「現行世代」として、2010年以降
に発売された機種について紹介していこう。

「世代」については本シリーズ第1回記事で定義したオリジナル
なものである。第一世代から第三世代までは、2~3年毎の
区分となっていたが、現行世代についてはアバウトだ。
その理由は、私はこの時代の使用カメラは、ミラーレス機に
移行して、デジタル一眼レフをあまり所有していないからだ。

将来的に、この時代のデジタル一眼レフを多数所有し、そこで
何か特徴づける時代背景を感じたら、また細かく世代を分類し、
続編を書く事にしよう。(恐らくは高感度性能、ローパスレス、
動画性能、エフェウト、収差補正等で区分できると思われる)
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今回は、2010年末発売のPENTAX K-5 を取り上げる。
レンズは、PENTAX DA★55mm/f1.4を使用する。
(ミラーレス・マニアックス第37回,第49回,名玉編第4回)

本記事では、このシステムで撮影した写真を交えながら、
K-5の特徴について詳しく紹介していこう。
なお、今回の写真はK-5本体機能によるエフェクトを多用している。
c0032138_18305180.jpg
PENTAXの「K」の型番の意味については、第6回記事の
K10D(2006年)に詳しく書いてあるので今回は割愛する。

なお、K10D以降のPENTAXデジタル一眼レフの名称については、
まず末尾のDの文字(デジタルを表すと思われる)が外された。
この時代の新製品一眼は、デジタルしか無いので、Dを付ける
意味は無くなったのであろう。

加えて、理由は不明だが機種名にハイフンが入るようになった。
具体的にはK-m(2008年),K-7/K-x(2009年),K-r(2010年)
そして本機K-5である。

この時代(2008~2011年)のPENTAX一眼ラインナップとしては、
エントリー機が、アルファベット小文字(m,x,r)
高級機が数字1文字(7,5)という区分になっていた。

その後、2012年からは中級機に数字2ケタ(K-30,K-50,K-70)、
あるいは大文字のSやPを使うようになり(K-S1,K-S2,KP)、
また、中級機の守備範囲が広く、エントリー機や高級機との
区別も曖昧になった。

これは以前の記事でも書いたように、デジタル一眼レフの
市場が、この時代では既に飽和していて、従来のように、
エントリー、中級、高級、ハイエンド機といった価格別の
ラインナップを綿密に組んでも、ユーザーニーズを満たせ
なくなったからだとも思われる。

この状態に至るまでの間にも、既に2009年のK-xから100種類以
上ものボディカラーバリエーションが選べる「オーダーカラー」
システムをPENTAXは採用している。
(その後も同様だったが、2010年代後半以降は沈静化、
デジタルカメラ販売数の縮退が原因であろうか?)
c0032138_18305145.jpg
色付きボディは、現在2017年では、すっかり見慣れた物と
なったが、2009年頃はまだ珍しかった。前年2008年末の
LUMIX DMC-G1(第11回記事)が走りだったかも知れないが、
それ以前の一眼レフは殆ど全て黒か銀が基本の配色だった為
PENTAXのこの戦略は、そこそこ市場にインパクトを与えた。

ただ、これ以前、2000年代後半に既に飽和市場となっていた
コンパクトデジタルカメラでは色つきボディが当たり前であった。

あるいは衣料品や携帯電話等でも、同一商品で様々なカラー・
バリエーションが存在する事は、この時代からの常識となった。
すなわち、ユーザーの好みに細かく対応する事で、購入行動を
起こさせる為に必須の措置であったのだろう。

なので、私個人的には、遅かれ速かれ色つき一眼レフが出て
くる事は想像の範囲内であり、その事にあまり抵抗はなかった。
(当時の一部のマニアは結構反発があった模様だった)

むしろ私の場合、例えばDMC-G1の予備機を購入する際に、
色を変える事で同一機種を容易に区別する事ができ、
カラーボディに利便性すら感じていた。

なお後年発売されたSONY NEX-7も予備機が必要な状況なのだが
同機は黒しか無いので、まだ購入できていない。と言った逆の
問題点すら出てきている。もし違う色のボディがあったならば、
早くに予備機を入手していた事であろう。

本機K-5のカラーバリエーションは、
例の「PENTAX 生産終了間際の限定品販売」のパターンでの
K-5 Limited Silver(2011年)とSpecial Edition(2012年)
しかない。もし何らかの理由で本機の予備機が必要な際は
それらの限定製品を選ぶチョイスもあるが、私は、まずそうは
しないと思う。その理由だが、1つは、これらの限定機種は
中古市場での相場が高い、という点があるのと、もう1つは、
PENTAXのデジタル一眼は正常に進化をしている為、
後継機のK-5Ⅱsや、K-3,K-70,KP等に買い換えれば、
K-5でなくても何ら問題は無いからである。

ちなみに、上記SONY NEX-7の場合は後継機が無いのが問題
なのだ、だから同一機種で予備機を買わなくてはならない、
という状況に陥っている(注:α7やα6000シリーズは、
NEX-7とは全くの別物だ)
c0032138_18305103.jpg
さてPENTAXだが、この時代(2010年)は、HOYAの傘下と
なっていて、直後の2011年にRICOHの傘下となった。

PENTAXの買収先は、2000年代には様々な噂が流れ、
その最も有力な候補と思われたのは韓国のサムスンであった。

その事が関連しているのかどうかはわからないのだが、
本機の前モデルK-7(2009年)に関しては、撮像素子に
サムスン製のCMOSセンサーが採用されている。

本機K-5では、ソニー製の撮像素子を使用している。
この頃から、ソニー製CMOSは、裏面照射型等の技術革新により
高感度性能が向上し、本機も最大ISO 51200(カスタム拡張時)
となっている。

第6回記事で紹介したK10D(2006年)が僅かにISO1600迄で
打ち止めであった事から比較すると雲泥の差だ。

本機 K-5の最大の特徴が、この高感度性能であったとは思うが、
あいにく2010年代からデジタル一眼(ミラーレス含む)は
超高感度時代に突入し、ISO10万、20万、40万となり、さらに
近年のNIKON D5ではISO 328万(3,276,800)まで、際限なく
進化してしまった。

よって、今更ISO 51200程度では驚く事も無いのであるが、
それでも例えば、昼間の使用が殆どで、その後、夜にちょっと
した夜景や灯火イベント等を撮影するくらいの状況であれば、
ISO51200で大口径レンズを使えば、ほぼ何でも撮れてしまう。
なので、それ以上の超高感度化が必要なのか?とも思う。

ただ、第一世代(2000年代前半)のデジタル一眼レフを
使っていた頃にはISOは1600程度までが普通であったので、
個人的にも高感度化は切望していた訳だ。

それから僅かに6~7年でISO 51200が得られ、10年後には
ISO数十万となった訳だから、まあ、その点だけを見れば
カメラ技術の進歩は驚異的であり、歓迎すべき事だったとは
思う(但し、完全な暗所では露出計が追いつかないという
別問題が発生している)
c0032138_18305183.jpg
さて、K-5の特徴はその高感度だけではなく、
連写速度は秒7コマと速く、またAFも比較的良く合う
(たまに外す)
動画撮影も勿論ハイビジョン(1920x1080)で可能だ。

まあしかし、このあたりは、この時代(現行世代)としては、
当たり前の性能であり、本機K-5だけの特徴では無い。

じゃあ特徴は何か?というと、これが残念ながらあまり無い。

というのも、エポックメイキング的な製品としては、
前機種の K-7(2009年)の方が衝撃的であり、
K-5はK-7をマイナーチェンジしたような機種であるからだ。

ちなみに、本機は2年後の2012年にK-5Ⅱに小改良され、
同時発売のK-5Ⅱsでは、PENTAX一眼で初めてローパスレス仕様
が採用された。
(注:PENTAX Qの方が1年早くローパスレスとなっている)

歴史的価値があるのば、むしろ本機よりも、そのK-7やK-5Ⅱs
の方であろう。
c0032138_18305198.jpg
さて、本機K-5の基本スペックであるが、

撮像素子はAPS-Cサイズ、CMOS約1600万画素
内蔵手ブレ補正(SR)、ゴミ取り(ダストリムーバルDRⅡ)有り。

ISO感度は80~51200(拡張時)この時代のスペックとしては
申し分無い。
なお、ISO感度別にノイズリダクション処理の設定が可能、
という珍しい機能が入っている(AUTOで十分だが)

使用レンズはKAF(1~3),KAであり、銀塩時代のA位置絞りの無い
MFレンズはプレビュー操作必須で使い難いという弱点がある。
なお、M42レンズの場合はアダプターで簡便に使用可能である。
純正AFレンズの場合は、歪曲収差、色収差の補正機能が使える。

ローパスフィルターが入っている(ローパスレスでは無い)
絵作りは、カスタムイメージ(鮮やか、雅、銀残し等多数)
デジタルフィルター(トイカメラ、レトロ、カスタム等多数)
クロスプロセス(銀塩での特殊現像法をシミュレートした効果)
と非常に多彩である。(一部は動画撮影時にも有効)
モノクロ時のフィルター効果には、珍しい「赤外線風」もある。

ホワイトバランスにも、CTEという特殊モードが入っている。
CTEとは色温度強調という意味である。それだけでは、さっぱり
わからないと思うが、通常のAWB(オート・ホワイトバランス)
では、仮に色彩の分布に偏りがある際に、その特徴色を抑えて
しまうように振舞うのだが、CTEではその逆で、特徴色を強調
する効果がある。
ただ、被写体によっては不自然な色味になったり色飽和したり
する場合もあるので注意が必要だ。

余談だが、エフェクトのカスタマイズ性とその操作系に優れる
PENTAXの小型ミラーレス機 Q7では、CTEを用いたオリジナルな
エフェクトを自分で作れて、それを愛用している。

K-5でもカスタマイズ可能なデジタルフィルター機能があるが
このCTEの要素は、ユーザーエフェクト自体には取り込めず、
別途WBで調整する必要がある。

また、ダイナミックレンジ補正もあるが、他社機ほどには
重要視されていない模様だ。
その代わりHDR撮影に関しては多彩なモードが存在している。
(ただし撮影後の処理時間が極めて長く、実用性が低い)
c0032138_18305000.jpg
多重露出機能がある(これを搭載している機種は多くは無い)

AF測距点数は11点、AFモードは第二世代相当のクラッシックで
標準的であり、第三世代のNIKON D300(第9回記事)や、
EOS 7D(第10回記事)ほど、高度で複雑という訳では無い。
まあでも、実用的なAFとしては本機のレベルでも十分であり、
D300やEOS 7Dは別格で、むしろ過剰な位だとも思っている。

ファインダー視野率は100%、倍率0.92倍とまずまず。
また、ファインダー内水平方向電子水準器が入っている。
(モニター上では水平、垂直方向判断可能)
おまけに水準器と連動した自動水平補正機能もある。

ただ、これらは個人的には余り意味が無い機能だと思っている。
水平か否か?というより、被写体に並行して正対できているか
どうかの方が、パースペクティブと構図との関連の上で、
より重要な要素だと思っているからだ。

なお、電子情報を透過表示するスクリーンでは無いので、
見えはそこそこ良く、しかもスクリーン交換可能である。
電子化スクリーンでファインダーの見えを犠牲にしてしまった
他社機もあるだけに、本機のこの仕様はオーソドックスながら
好感が持てる。
この仕様から、MF性能はデジタル一眼としては優れた方である。

ここの詳細だが、上記電子化スクリーン搭載による弊害の他に、
近年のデジタル一眼はMF銀塩一眼に比べスクリーンの透過率が
高くなっているのも問題な訳だ。

すなわち、50mm/f1.4がキットレンズであった銀塩時代に比べ、
現代では開放f3.5~f5.6級の暗い標準ズームをキットレンズ
としてカメラを販売している。

その際、暗いズームレンズでは、ファインダースクリーンを、
素通しのガラスに近い透過率にしないと像が暗く見えてしまい、
ビギナーユーザーが店頭等で一眼レフを構えた際に、
「これは暗いからダメなカメラ」と印象を悪くしてしまうのだ。

だが、透過率が高い(明るい)と、反面MFでのピントの山を
掴む性能はどんどん低下していく。つまり、素通しのガラスで
あれば、ピントなんて見える筈が無いではないか・・
スリガラス状である時のみピントが分かる訳だ。

はっきり言えば、暗いスクリーンの方がピントの山がはるかに
掴みやすい、という意味であり、ファインダーが明るい
初級者用一眼レフは、MFでは使い物にならない訳だ。

そして、K-5のスクリーンも銀塩機並みに暗い、
暗いという弱点は、f2以下の大口径レンズを使えば解消できる。
そしてMF操作が必要なレンズも、そうした大口径レンズである
事が殆どなのだ(但し、NDフィルターを使用すると暗くなる)
まあこれは、マニア好みのスペックと言うべきであろう。
c0032138_18305057.jpg
構図微調整機能がある、上下左右回転方向に微妙にシフトが
可能だ。三脚使用時に便利な機能だとは思うが、元々はシフト
機能なので広角レンズ等で上手く使えば、パースペクティブ
(遠近感)補正も可能であろう。

なお、第6回記事のK10Dの際に「ファインダー像と撮影画像が
微妙にずれている、故障か仕様(欠陥)か?」という話を
書いたが、同機では、この構図調整の機能は入っていない。
本機能があれば、その問題の回避にも役立ったかも知れない。

連写速度は毎秒7コマと高性能。
低速モードでは秒1.6コマと、やや遅く、ここは変更不可だ。

連続撮影可能には制限があり、連写モードと画質モードで
異なるが、JPEGで最悪のケースで30枚程度だ。
低速連写のJPEGであれば(SD)カードいっぱいまで撮れる。

高速連写機の場合に、その重要な性能要素となる像消失
(ミラーアップ)時間は やや長めで長所にはならない。

記録メディアはSD/SDHCである、これより前の第三世代の
高速連写機は、ほとんどCFであったのだが、メモリーアクセス
の遅いSDでも(制限はあるが)高速連写を実現できている。

最高シャッター速度は1/8000秒、
全体的にシャッターならびにドライブ性能に不満は無い。
c0032138_18305076.jpg
「ハイパー操作系」を搭載している、この機能に関しての説明
は長くなるので第6回記事のK10Dの項を参照していただきたい。

ボタン・ダイヤル類の操作性は標準的で、可も無く不可も無し、
できれば自由に機能がアサイン可能なFnボタンのようなものを
1つ2つ搭載してほしかった。
とは言うものの、RAWボタンは余分であり、ここは変更が可能
だが、割り振れる機能に制限がある。
また、ダイヤル類のカスタマイズは、K10Dの時代からの機能
だが、ここは過剰なくらいに充実している。

全体的にカスタマイズ性は高いとは言えるが、ちょっとその
方向性がズレているように感じてしまう。
具体的には、全てスタティック(静的)な機能設定であり、
ダイナミック(動的)にインターフェースが変わる訳ではない。
c0032138_18310269.jpg
ストロボを内蔵している。GNは13と標準的。
シンクロ同調速度は1/180秒と、やや遅めだ。

動画撮影が可能だが、形式はAVI(Motion JPEG)と古典的、
ただ、だから悪い、という訳ではなく、およそどんな映像機器を
用いても再生が可能であり、互換性は高い。

一部のメーカーでは、ほとんど自社の家電製品でしか再生が
できないような動画フォーマットを採用している場合もある。
個人的には汎用性を排除する仕様は、現代的ではなく好ましく
無いと思っているので、本機のような仕様でも十分だ。
あえて別のフォーマットを使いたければ、動画形式の変換は
PC上で任意に可能である。

なお、動画撮影時でも様々なエフェクトをかけられる。
ただ、私は動画撮影は、まずしないので、このあたりの動画の
仕様は、ある意味どうでも良い事だが・・
c0032138_18310226.jpg
バッテリーはオーソドックスなリチウムイオン型だが、
互換バッテリーも使用可能なので、インフォ・リチウム型
よりも、むしろ嬉しい。
なお、同時機の他機種(K-01等)と共通である事も好ましい。
他の一部のメーカーでは機種毎にバッテリーや充電器が
まちまちで難儀する事も多々ある(それは大きな欠点だ)

充電器はケーブル接続型であり、複数同時にコンセント充電が
可能なので、プラグ一体型よりも使い易い。

ライブビュー機能が搭載されている。
ただ、背面モニターは可動式ではなく固定式であるので
ライブビュー時に十分に有効とは思えない。

ただし固定式の方が頑丈ではある。このあたりは用途と仕様に
よりけりであろう、コントラストAFしかないミラーレス機では
可変アングルモニターは必須だが、光学ファインダーで
位相差AFで使うデジタル一眼では固定式でも十分だ。
c0032138_18310208.jpg
メニューは多言語方式である。
私の友人にパラグアイ出身のカメラ好きの女性が居て、その方の
カメラも多言語メニュー式で、普段はスペイン語になっている。

外国人の方が使う分には非常に便利な機能なのだろうが、
「カメラのセッティングがワカラない、チョット見て」
と言われて見ると、メニューが全てスペイン語なので、
今度は、こっちが簡単には読めない、という問題点も(笑)
(まあ発音としては読めない事は無いのだが、露出補正とかの
専門用語だと、スペイン語の単語の意味が不明だ)

メニュー等の操作系は過不足なく、まずまず良く出来ている。
勿論ステータス・スクリーン及びコントロールパネルが表示
され、背面モニター上でGUI的にカメラ設定を変更可能である。

厳しい事を言えば、色々と操作系には細かい課題があるのだが、
このあたりは、いつも、ちょっと過剰なくらいに厳しく評価
してしまう事も多々あるので、今回は控えておこう。
まあ、これでも他社機に比べれば、すいぶんと優れている方
である。
外装は高級感があり、重量は本体のみ660gと軽量な部類だ。
防塵・防滴処置を施してあり、ボディ内部はマグネシウム合金
フレームを採用しているとの事だ。
c0032138_18310301.jpg
全体的にかなり優れたスペックである。
これ以上何を望むというのであろうか?

本機を購入する層は中級者であるとは思うが、そのクラス
であっても使い切れない機能が沢山入っていると思う。

私は、この時代(現行世代)の一眼レフを沢山持っている訳
では無いが、次回記事で紹介予定の中級機も本機に負けず
劣らずの充実した機能と完成度を誇っている。

ここまでカメラの機能が成熟してしまうと、もう発展の余地は
あまり無いようにも思える、もしここから何かやるとすれば
化物のような超高画素数や、超高感度を搭載するくらいしか
無いではないか・・
c0032138_18310348.jpg
ただ、そこまでの超絶性能を実用的に必要としないユーザー層も
多くなってきているだろう。デジタル一眼が出始めてからおよそ
20年、ベテランユーザーならば、デジタルにおいて何が必要で、
何が必要で無いかは、もう十分理解している。

これでは、新しい一眼レフが(故障買い替え等の事情を除き)
売れなくなってしまう事も理解できる。
・・だって、これ以上の機能は不要だからだ。

まあでも、新品カメラが売れなくなると、中古市場も沈静化して
しまい、個人的には安くて良いカメラが買えなくなるのは困る。
なにせ、一部の中古チェーン店では、デジタル一眼よりも
銀塩一眼の中古在庫数の方が多い場合すら出てきているのだ。

もっと大局的に見た場合でも、カメラ市場全体が現在は低迷
ムードだ、これ以上市場が冷え込んで、10数年前のように、
いくつものメーカーがカメラ事業から撤退してしまったり
したら、それはそれで困った事になってしまう。

まあ、初級中級ユーザー層が、前記のような超絶スペックを
持つカメラの「数字」に惹かれて、高価な新製品を買って
くれれば良い訳だ、そして事実、現在の市場はそんな感じに
なっている。

初級中級者層は、高価な高性能機にしか興味を持たず、
そうした新しいカメラを持っているのは、皆ビギナーばかり
という状況だ。
ベテラン層では、そういう最新鋭機オーナーはさほど多くない、
それ以前の時代のカメラがまだ現役で健在だろうし、実用的には
それでも十分だからだ・・
c0032138_18310310.jpg
私個人的には、この現行世代(2010年以降)は、すっかり
ミラーレス機の方に興味が移ってしまっていたが、
ただ、ミラーレスの歴史も、およそ8年、すでに成熟し飽和
している部分も見られ、そこがちょっと気がかりだ。
まあ、AF性能が今の所一眼レフよりも大きく劣っているので、
そこが改善されたら、生き残るのは一眼レフかミラーレスかは
微妙なところだ。

一眼レフは、その頃には、また新たな超絶性能でミラーレス機
と差別化していくのであろうが、そうなると、もはやユーザー
不在という感じであり、数億画素や、感度数千万という機種が
出ても果たして使い道があるのだろうか?という疑問は残る。
c0032138_18310175.jpg
さて、本機 K-5 に対応する銀塩名機であるが、ズバリの
ものが見当たらない。最高機種で無い高級機、という点では、
Z-5(1994年)あたりになるかもしれないが、生憎その機種は
所有していない(旗艦Z-1は第6回記事で紹介済み)

まあ、せっかくなのでLX (1980年)を紹介しておこう。
c0032138_18303752.jpg
LXは、まぎれもないフラッグシップ機(最高位機種)である。
まあ、便利なデジタルカメラを色々持っているのに、
こうしたカメラにフィルムを入れて撮影する訳も無いので、
今更何を書いても始まらないのであるが・・

1つだけLXの特徴を述べれば、「感触性能のバケモノ」である。
仕上げの質感、ファインダーの見え、シャッターフィール
(音やレリーズ感)巻き上げ感、その他全てが一級品である。
これはカメラと言うよりも、もはや「工芸品」である。

フィルムを入れては撮らない、と書いたが、もしフィルムが
完全に無くなりそうになったりしたら、もう一度銀塩カメラを
持ち出して最後に撮ってみたくなるかも知れない、その時に
持ち出すカメラとしては、LXは最有力候補かも知れない・・
c0032138_18310125.jpg
さて本機K-5の入手価格だが、2013年頃に中古で約35000円
であった。2017年現在の中古相場はさらに下がって2万円台だ。
ちなみに発売時の市場価格は14万円程していた。

最後に本機PENTAX K-5 の総合評価をしてみよう。
(評価項目の意味・定義は第1回記事参照)

【基本・付加性能】★★★★☆
【描写力・表現力】★★★☆
【操作性・操作系】★★★★
【マニアック度 】★★
【エンジョイ度 】★★★
【購入時コスパ 】★★★☆
【完成度(当時)】★★★★☆
【歴史的価値  】★☆
★は1点、☆は0.5点 5点満点
----
【総合点(平均)】3.3点

高感度性能を生かし、暗所等でも使える実用機である。
高速連写、デジタルフィルター等の付加機能も充実している。

また、操作性・操作系にも優れ、全体的に極めて完成度が高い。
中古流通価格も安価でコスパが良い。

ただ、普通すぎるという点が、あえて言えば欠点であろうか。
従来より驚く程進化した、という点は見当たらない。

よって、歴史的価値も殆どなく、数年して使い潰した後には
恐らくは、あまり記憶には残らないカメラになるかも知れない。
c0032138_18310212.jpg
それと今回の記事だが、K-5の基本スペックを書いていたら、
機能が多すぎて、それだけで記事文字数の限界に達して
しまった。
これでは、スペック表を見さえすれば比較的簡単に書ける
内容であり独自の視点があまり入っていないし、情報として
不十分だ。

ちょっと反省して、次回記事からは、カメラの多すぎる機能
紹介は、ある程度切り捨て、独自の切り口で書いていくと
しよう。

次回シリーズ記事に続く。

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