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ミラーレス・マニアックス名玉編(1)

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ミラーレス・マニアックス「名玉編」、その1。
このシリーズでは、ミラーレス・マニアックス記事で紹介した
レンズ(延べ約330本)を5つの評価項目で採点し、
順位ランキングをつけた後、再度紹介する事にしよう。

評価項目は以下の5つだ。

1:描写表現力
  レンズの絶対的性能(描写力)のみならず、写真表現力の高さ
 (例:ボケ表現力、超望遠や超広角、魚眼等の特殊性等)も評価
2:マニアック度
  レア(希少)度や一般的に注目されていない度
3:コストパフォーマンス
  総合的なレンズ性能と価格(または中古相場)との比
4:エンジョイ度
  撮影していて楽しいかどうか? 「楽しい」というのは、
  「奥が深い」とも解釈しても良いかも知れない
5:必要度
  (私が)必携のレンズであるか否か?

いずれも5点満点で評価する、今回シリーズ初回では、
それら5項目の平均点が 4.0点(20位~)のレンズを紹介する。

4.0点のレンズは計9本あったが、それらの中から便宜上独断で
5本を選び、20位~16位として順位付けしてみよう。
(以降のシリーズ記事でも、各5本づつ紹介する)

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さて、まずは第20位から。
20位というと順位が低そうだが、なにせ数百本の中からの20位だ、
もうこの時点でかなりの高性能なレンズとなっているし何か1つでも
評価に問題点があると、ランキングには入らなくなってしまう。
今回紹介する各レンズは全て「名玉」と言っても良いかも知れない。

第20位:フォクトレンダー復刻TOPCOR 58mm/f1.4

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・描写表現力:★★★★
・マニアック:★★★★★
・コスパ  :★★★☆(購入価格:44,000円)
・エンジョイ:★★★☆
・必要度  :★★★★
・評価平均値:4.0
(★=1点、☆=0.5点)

第20回記事で紹介した、2000年代のMF単焦点大口径標準レンズ。
東京光学(トプコン)の1960年代の名レンズ「トプコール(Topcor)」
を、2003年にコシナ社が復刻限定版で発売したレンズである。
AiとM42マウント版が各800本づつ販売された。
本レンズはM42版であるが、実はAi版も予備として所有している
(後年には絶対に入手不能になると見て、新品で2本押さえておいた)
c0032138_1822105.jpg

復刻版であるので、近代のレンズながらオールドレンズ的な描写
特性を持っている、具体的には、絞り値により描写力が大きく変化し、
絞りを開けていくと、収差が発生し、描写力が「甘く」なる
(解像度が低下し、さらに球面収差によるハロや軟焦点化、
色収差などが発生)

ただ、実際には、それはメーカー側のキャッチコピーの受け売りだ、
そうした特徴は、あまり顕著なものではない。
例えば、キルフィット社製テレキラー150mm/f3.5
(第54回記事、補足編1で紹介)のように絞り値で極端に描写特性が
変化する訳ではなく、本レンズの絞り開放での「甘さ」も微々たる
ものだ。

まあ、基本的には、f5.6程度まで絞って使うのが汎用性が高くなる、
絞り開放近くを利用するのは、被写体によりけりという所であろう。
c0032138_18224962.jpg

大口径レンズを銀塩時代的に「光量不足の解消」の目的で使うのは
現代ではあまり意味が無い。
というのも現代のカメラは超高感度域とも言える最高ISO感度
(ISO25600以上)を搭載している事が当たり前であり、
ISO100~400程度のフィルムを常用していた銀塩時代とは明らかに
環境が異なる訳だ。

なので、絞りのコントロールは被写界深度の調整が第一の目的となる。
さらに、より高度な絞りの調整意義としては、前述の通り画質の変化
(MTF特性の向上)の目的がある、まあでも、それはオールドレンズ
又は本レンズのようなオールド風設計のレンズである場合のみの
話であり、現代の最新鋭単焦点レンズの場合は、あまり絞りによる
画質(収差)の変化は大きくは無い。

ちなみに、さらに高度な絞りの調整目的として「ボケ質破綻の回避」
がある。
これは本シリーズ記事ではたびたび説明している内容ではあるが、
従来の一眼レフの、その光学ファインダーでは使えない技法だった
ので、ミラーレス機、それもアダプター使用時等での絞込み測光の
状態で無いと成り立たない技法であると思う。
なお「ボケ質破綻」というものが発生する事は銀塩時代から知られ
てはいたが上記のように光学ファインダーでは、その発生条件の
因果関係はわからず、その条件の特定や回避の手法に関しては、
まだ他に一般的な情報というものは存在していない。
c0032138_18231222.jpg

本レンズの評価項目の中で、最高の5点をつけているのは
「マニアック度」である。しかし勿論マニアックだから、あるいは
レア(希少品)だから、それが良いレンズという訳ではない。

だが、そもそも本シリーズは「ミラーレス・マニアックス」である、
マニアック度が高いレンズは高く評価されるべきだと思っている。
何故ならばそれがマニアの王道でありモチベーションでもあるからだ、
マニアックなモノを追わないマニアなんて居ないと思う。

本レンズは「新しいオールドレンズ」である、これもやはり貴重な
特質であろう。

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第19位:キヤノン FD 100mm/f2.8
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・描写表現力:★★★★
・マニアック:★★★☆
・コスパ  :★★★★☆(購入価格:4,980円)
・エンジョイ:★★★★
・必要度  :★★★★
・評価平均値:4.0

第54回記事で紹介した、1970年代のMF中望遠レンズ。
c0032138_18241021.jpg

100mmのf2.8級は、どちらかと言えば小口径と言えるかもしれない、
f2やf1.8級の100mm級レンズは銀塩時代からも多数あるし、
同じキヤノンのMFレンズでも、第69回記事で紹介した
New FD100mm/f2がある。
だが、MF時代の単焦点レンズは同じ焦点距離でも大口径版と
小口径版がラインナップされている事も多々あった。
そしてその多くの場合、小口径版の方が写りが良い。
もし常に大口径版の方が写りが良いのであれば、わざわざ小口径版を
価格以外の意味でラインナップする必然性も無かったかも知れない。

けど、それは実際には、同じ焦点距離の両レンズを使ってみるまでは
分からなかった事でもあった。値段が高く開放f値が明るい大口径
レンズの方が良く写る良いレンズだと誤解してしまっても当然では
なかろうか?
c0032138_18243687.jpg

本レンズの描写は、若干コントラストが低い要素もあるが、
そのあたりはカメラのコントラスト設定等でどうにでもなる、
必要ならばPCでレタッチをかけても問題ないだろう。
本シリーズ記事では元々のレンズの描写力を紹介する為、基本的
にはほぼレタッチを行っていないのだが、それでもカメラの設定は
レンズ毎に変えているし、そもそもPCのレタッチを禁ずる理由も
何も無い。

ちなみに、銀塩からデジタルに切り替わった2000年代前半では
レタッチを嫌うアマチュアカメラマンも多かった、しかし、それは、
自身がPC操作が出来ない事から、他者がするそれを「ずるい」と
思って嫌う傾向もあった事などから、あまり正当な理由では
なかったと思う。
つまり、銀塩時代のカメラマンの役割は写真を撮る事だけであり、
現像やプリントやそれに付随する様々な作業は、殆どの場合
DPE店まかせであったのだ、カメラマンが写真を撮る以外の作業を
する等は、当時の一般常識では有り得なかった。
ちなみに、その後2000年代後半以降の完全なデジタル時代になると
アマチュアカメラマンであってもPC上での編集作業は必然となり、
誰も「レタッチが良く無い事だ」等とは言わなくなった。
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本レンズの評価点の傾向だが、最も良いのは「コスパ」が4.5点だ。
まあ、満点の5点をつけても良かったとは思うが、世の中には上には
上があって、1000円~3000円という驚異的な低価格のレンズで、
本レンズよりも描写表現力の高いものも沢山存在している。

例えば今回のランキングにはノミネートされてはいないが、同じ
キヤノンのMF望遠系レンズであれば、第52回記事で紹介の
New FD 70-210mm/f4 は、僅か2000円の価格ながら、
本レンズに勝るとも劣らない描写表現力を持っている、そのレンズの
コスパが満点の5点であったのは言うまでも無い。

まあ、それはともかく、本レンズも安価で良く写るレンズである事は
間違い無い、「コスパ」は本シリーズ記事のコンセプトしても非常に
重要な項目なのだ。高くて良く写るのは当然であり、本シリーズ記事
で紹介したレンズの中でも、値段だけ高くて、写りはたいした事の
無いレンズは残念ながら沢山ある。

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第18位:ペンタックス FA★85mm/f1.4
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・描写表現力:★★★★☆
・マニアック:★★★★
・コスパ  :★★★☆(購入価格:43,000円)
・エンジョイ:★★★★
・必要度  :★★★★
・評価平均値:4.0

第44回記事で紹介した、1990年代のAF大口径中望遠レンズ。
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その記事の際には、AF性能に致命的なまでの課題を持つPENTAX
K-01との組み合わせを試験的に行ったのだが、結局の所まともに
ピントが合う事はなく、ちゃんと写真を撮る事すら不可能であった。

今回はSONY NEX-7との組み合わせだ、優秀なピーキング機能と
高精細なEVF、そして優れたMF操作系により、問題無く本レンズを
使う事が出来る。

まあ、ちゃんと使うならば、かなり良く写るレンズではある。
数ある85mm/f1.4級のレンズの中でも、弱点が少なく優秀な方で
あろう。

紹介写真ではちょっと変ったフードを装着しているのだが、本レンズ
の純正フードは一応持ってはいるが、大きくて不恰好なのだ。
なので、そのフードを使う事はなく、宙玉(第61回、第69回記事)
用の構成部品を分解して用いている、ちなみに宙玉はワーキング・
ディスタンスを確保するのがなかなか難しく、使い難いシステムで
あるが、手持ちのアタッチメントを色々と組み合わせて何とか
使えるようにした事は、各記事で紹介した通り。
で、宙玉用だからといって、それにしか使わないのでは部品が
勿体無い、必要に応じて分解して、今回のように他のシステム用に
利用できる訳だ。
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レンズだが、K-01で全くピントが合わなかったのは、その被写界
深度が極めて浅い事が主な理由だ。
そして、MF性能に優れるNEX-7と言えども、やはりピント合わせは
かなりシビアな状況だ。

まあ本レンズに限らず、85mm/f1.4級は、たとえ一眼レフであっても、
AFでもMFでもピント合わせは困難であり、だいたい撮影枚数中の
9割位がピントを外してしまう。
が、一般的には85mm/f1.4級の撮影が困難である事はあまり
知られておらず、たまたま上手くピントがあった写真のみを皆が紹介
しているので、凄いレンズだ、と誤解されてしまうのかも知れないが、
まあ実際のところはそういう感じだ。85/1.4ユーザーが趣味で撮る
写真で、上手く撮れたものだけを紹介するのであればそれでも良い
のだろうが、「絶対にその瞬間を撮らなければならない」状況では、
85/1.4はリスキーで、まず使い物にならないであろう。

で、一眼レフよりはミラーレス機の方がピント合わせは多少マシだと
思う、それは、AFではどうせ被写界深度が浅くてピントが合わない
から、MF撮影が基本になると思うが、その際、ミラーレス機の方が
ピーキングや拡大機能を活用できるからである。

銀塩時代であれば、PENTAXの35mm判一眼レフカメラの中で
最も優秀な光学ファインダーを持つ機種はLXであった。
まあそれでもファインダーユニットがFA-1かFA-2かの差、あるいは、
さらなるピント精度を目指してスクリーンを全面マットに換装する
際にも、SE-20にするかSE-60にするかで、若干ピントの合わせ易さに
差はあった。けどまあ、総合的にはLXを使うのがベストであろう。
他のAF一眼の最高級機、Z-1(P)やMZ-3では正直お話にならなかった
し、その後のPENTAXデジタル一眼も、LXを超えるピント合わせが
出来るカメラは存在していない。

余談だが、2000年頃に放映していたTVドラマ(題名は忘れた)で、
劇中の役柄でカメラマンの人が出てきて、その役者さんが、
PENTAX LXに、FA★85mm/f1.4を装着していた。
単焦点レンズなのに無意味なズーム操作のような手つきをして
「とてもカメラマンには見えないなあ・・」と、
ちょっとTVに向かってツッコミを入れていた(笑)

おまけに、黒のLXと銀色と言うよりはネズミ色のFA85/1.4の
組み合わせはデザイン的なバランスが格好悪い。
まあそれは、組み合わせ、というよりは、1990年代のFAレンズの
デザインがイマイチだった事も原因の1つだったと思う。
TV映りもあまり良いとは思えなかった。

しかも、劇中の小道具としてはマニアックでかつ高価すぎる
組み合わせだし、(当時、LXが中古でも7~8万円位、FA85/1.4も
同等位だったろうか?)
その頃には、他に、F5でもEOS-1Nでも、カメラマンの人が持つ
定番の(つまり、視聴者ウケが良い)カメラはいくらでもあった
ではないか・・

あるいは番組制作費のコストダウンを狙うと、例えば記者会見の
カメラマンが、皆PENTAX SP(1960年代の古い銀塩一眼、当然安価)
を持って撮っているという、有り得ない状況とかがドラマ中では
よくあって失笑ものであった。

「LXにFA85とは無茶な組み合わせだな、何を考えているのか?」
と、またしてもTVにツッコミを入れていたのだが・・
しかし今にして思う、これはもしかするとFA85/1.4を使う上では、
当時の機材では、最も適正な組み合わせだったのではなかろうか?
だとすれば・・う~ん、もの凄く詳しいマニアが考え出した演出
だったのかも知れない(汗)いやあ、御見それしました。
c0032138_182875.jpg

本レンズの最大の評価ポイントは、「描写表現力」が4.5点である
事だ、この項目は単にレンズの絶対的性能のみならず、様々な
写真表現が可能かどうか、という点である。
勿論85mm/f1.4の多大なボケ表現力がその根幹にある。
小口径レンズでは、ボケを減らす方向にしか設定はできないが、
このクラスの大口径レンズでは、必要とあれば絞りを開放として、
どんな被写体でも前ボケ・後ボケの中で浮かび上がらせる事が
できるわけだ。まあ、でも、それは他の85mm/f1.4レンズでも
同様ではあるが、他の85/1.4に比べ、本レンズではボケ質破綻の
リスクが少ない事は特筆すべき点であると思う。

ちなみに「コスパ」が3.5点なのは、本レンズを1990年代に購入時
の価格が43000円であったからだ。
発売当時の定価は9万円台であり「ニコン6割、他社4~5割」と
呼ばれた当時の中古相場感覚からは適正だ。
本レンズは、2000年代前半に製造中止になってしまった後、
中古価格が高騰してしまい、現在では10万円を超える相場となって
いる。
しかし、もしその値段であれば、本レンズの評価での「コスパ」
項目は恐らく1点~1.5点、よって、ランキング上位になど絶対に
入ってこないレンズとなってしまうであろう・・

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第17位:アルセナール MIR-24 35mm/f2
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・描写表現力:★★★★
・マニアック:★★★★☆
・コスパ  :★★★★☆(購入価格:8,000円)
・エンジョイ:★★★★
・必要度  :★★★
・評価平均値:4.0

第14回、第55回記事で紹介した、ウクライナ製MF大口径広角レンズ。
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ニコンF(Ai)マウントだが、ロシア・ウクライナ製のレンズは、
完全な互換性がある訳では無いので、ニコンの一眼レフに直接装着
するのは危険である、第45回記事で紹介した、オリンパスのレンズの
話のようにボディから外れなくなってしまうリスクもある。
まあ、そういう意味でも、ロシアン(ウクライナ)レンズは
アダプターで利用するのが安全で便利だと思う。

本レンズは、国内製品のレンズでは類似の描写の雰囲気を持つ物は
見当たらず、独自性が高いのが1つのポイントだ。
残念ながら開放近くで若干のフレアやボケ質の破綻が出やすいが、
まあそれらは軽微であるので、撮影条件を変える事で回避可能だ。
c0032138_18292369.jpg

1990年代後半からの、第一次中古カメラ(レンズ)ブームにおいては、
ロシアン(ウクライナ)レンズは、比較的豊富に市場にあった、
ロシアン新品レンズを扱う専門店(実店舗)もあったし(ちなみに
通販は一応あったが、まだあまり普及していなかった、
インターネットがまだ一般家庭レベルにまでは行き届いていなかった
のも理由であろう)また、中古品もよく出回っていた。
新品でも中古でもロシアンレンズの価格は安く、5000円程度から
1万円台前半程度の相場で購入できるものが殆どであった。

本レンズも8000円の価格で中古購入していて、現代の感覚から
すると「コスパ」が極めて良い。

当時のマニアは、まずは珍しいからという理由で、それらの
ロシアンレンズを購入したのだが、実際に使ってみると、
なかなかの描写力を持つものが多かった。
まあ、一部のレンズは西独(1980年代当時)製の名レンズの
デッドコピー品も多々あったので、なおさら良く写ったのだと思う。
その為、一部のマニアは熱狂的なロシアンレンズファンとなった、
そうして需要が増えれば中古市場は活性化し、多数のロシアン
レンズが流通していたのだと思う。

だが、現代2010年代、第二次中古レンズブームの現在においては、
ロシアンレンズの流通はさほど多くは無い。
MF銀塩時代には、長期に渡り製造されていたロシアンレンズも、
1990年代以降のAF銀塩時代においては(AFレンズは各メーカーが
排他的に設計したので、他社では作りにくかった為)その多くが
生産中止となってしまったからだ。
しかしながら、流通量が減ってしまうと、レア感からか?相場は
上昇する。
それでも、欲しい人が誰も居なければ価格は下がるのが経済の
原理であるが、第一次中古ブームを知っている先輩マニア等から、
「ロシアンレンズは良く写る」などの話を聞いた初級マニアが
「是非欲しい」などと思ってしまったら、必然的に価格は高騰して
しまう。

まあロシアンに限らず、第二次中古ブームの現在では、オールド
レンズは過大に評価されすぎ、相場の高騰を招いてしまった。
あるいは「情報の一極集中化」により、誰か1人が「良い」と言えば、
ネット等を通じて「その他大勢」の受動的情報受信者達が、
こぞって同じ情報に群がり、根拠や理由の無い「フィーバー」を
招いてしまう事も多い。
c0032138_18294941.jpg

本レンズの評価項目のうち、得点が高いのは「マニアック度」と
「コスパ」である、それらが高くて「必要性」の点数が低いのは、
まあ、正直言えば「別に持って無くても良いレンズ」であり、
必携というものでは無いからだ。

レアなレンズの購入を検討している場合は、一握りの情報に踊ら
されずに、正しい相場感覚を持つ事が重要だと思う。
本レンズの「描写表現力」は、4点とまずまずの高得点であるが、
その点数がさらに上のレンズは、いくらでもある。まあ、それ位の
ポジションのものであろう。

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さて、次は本記事ラストのランキング。

第16位:ペンタックス FA50mm/f2.8 Macro
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・描写表現力:★★★★☆
・マニアック:★★★☆
・コスパ  :★★★★(購入価格:24,000円)
・エンジョイ:★★★★
・必要度  :★★★★
・評価平均値:4.0

第29回記事で紹介した、1990年代のAF標準等倍マクロだ。
c0032138_18303920.jpg

見るからに描写力の高いレンズである、ボケや色味などが若干独特
だが、同時代のFA★85mm/f1.4や、後年のDA★55mm/f1.4に
似ている感じもある。

標準マクロレンズとしては、かなりの高性能品であり、
同じ平均点4点ではタムロン SP60mm/f2 Macro(第75回記事)
があった(今回のランキングでは標準マクロが重複する為、残念
ながら割愛した。評価点の傾向も、両者はほぼ同一となっている)

購入価格が24000円と若干高目であったのは、発売間もない
1990年代に購入した為であり、現在の相場は2万円を切っている、
その価格帯であれば、「コスパ」の項目は間違いなく良いと言える
であろう。
c0032138_1831649.jpg

AF/MFのピント性能に致命的な弱点を抱えるK-01に装着している為、
正直言えば、カメラのせいでレンズの本来の性能が発揮できていない。

カメラの問題を抜きにすると本レンズの最大の弱点は、その
デザインであると思う。基本的にレンズのデザインとか外観とかは、
評価項目にはあまり入ってこないのではあるが、お洒落なK-01に
装着すると、FAレンズのデザインの悪さが目立ち、極めて
アンバランスで格好悪い。
本来はNEX-7やDMC-GX7などのMF性能に優れたミラーレス機か
あるいはPENTAXのデジタル一眼に装着して用いるのが良いと思う。

ただし、最近思うのだが、AFはともかくMF利用に関しては、
デジタル一眼よりも、ミラーレス機の方がはるかに優れている、
また、ミラーレス機でアダプターで利用時の絞込み測光は、
撮影前にボケ量、ボケ質の確認が出来るので、
その点でもデジタル一眼レフを大きく凌駕している。
ボケ量やボケ質を気にしない標準ズームレンズ等の場合であれば、
デジタル一眼でのAF開放測光での利用も良いかも知れないが、
大口径単焦点などはその限りではない。
また、AFで使う事が殆どである通常レンズであれば、デジタル一眼
でも良いかも知れないが、マクロレンズの場合はMF操作が基本と
なるので、デジタル一眼で使う意味はあまり多くない。

でも今回はあえてK-01で使用している、そのAF/MF性能は壊滅的だ。
だが、K-01には、そうしたカメラの基本性能とは別次元での大きな
長所が存在する、
それが「エフェクトの多彩さ、エフェクトの操作系の良さ」だ。
c0032138_1832643.jpg

やはり、K-01は、こういう使い方をするべきカメラだ。
AFが合わないから、とかいう理由で切り捨ててしまうのはあまりに
惜しい。

さて、本レンズの評価点においては、やはり「描写表現力」が
トップクラスの4.5点だ、それが満点の5点というレンズは、数える
程しか無いので、4.5点というのはかなりの上位となっている。

課題は前述のデザインの他、ありふれたレンズであり、マニアック
度が3.5点に留まっている事だ、まあ、それはレンズ自体の性能には
関係が無い事だが、フツーすぎるのも面白味に欠けるという事に
なるだろう・・

----
これで、20位~16位までの今回のランキングは終了。
なお、同じ4.0点の評価点であったが、今回紹介できなかった
番外のレンズとしては、以下の4本がある。

4.0点 ヤシカ ML 50mm/f1.7(第0回、第57回)
4.0点 コシナ MC 55mm/f1.2(第30回)
4.0点 ミノルタ APO AF 200mm/f2.8 (第67回)
4.0点 タムロン SP 60mm/f2 Macro(第75回)

これらも、一応20位~16位相当という事で、名玉である事には
違いない。

なお、予め言っておくが、一般カメラマンが高性能レンズとして
想像するような「大三元」などとも呼ばれている大口径ズーム
レンズなどは、本ランキングには今後も一切登場しない。

そもそも興味が無いので、それらは現在は所有していないし
(自分で買って所有しているレンズしか本シリーズには登場しない。
お金も出さずに他人やメーカーから借りて使うのでは、正しい評価
など出来る筈も無い)

そして、仮に持っていたとしても、描写力がそこそこ高くても
表現力まで考えると高得点にはならず、他のマニアック度や、
コスパ、エンジョイ度のいずれも高得点は望めないので、必然的に
そうしたレンズはランキングの圏外となってしまうであろう。

さて、名玉編1はこのあたりまでで、次回、名玉編2に続く・・

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