年に2回、6月と10月に静岡県で行われるドラゴンボート大会の
観戦・撮影の前後には、主に静岡県内の、ちょっと知られざる名所を
巡るのを楽しみとしている。
そうしたマニアックなスポットを巡った様子を綴ったのが、この
【遠州駿州紀行】シリーズ記事だ。
今回訪れた場所は、磐田市だ。
関西方面からだと、新幹線を浜松駅で降り、在来線に乗り換えて
静岡方面に3駅、10数分で磐田駅に到着する。
一般的には、磐田と聞けば、Jリーグの「ジュビロ磐田」をすぐに
連想するであろう。まあ、静岡県には「清水エスパルス」もあり、
学生や社会人でもサッカーが盛んに行われている模様だが、特に
磐田市は、町ぐるみサッカー、という雰囲気が漂っている街である。

あるいは、芸能通の人であれば、磐田市出身の芸能人として、
女優の”長澤まさみ”や、EXILE の”AKIRA”を思いつくかも知れない。
また、バイク好きならば、ヤマハ発動機の本社がある街としても著名だ。
まあしかし、今日の磐田市訪問の目的は、サッカーでも芸能でもバイク
でもなく、「見附(みつけ)」という旧東海道の宿場町だ。
戦国時代から江戸時代にかけては、このあたりは「見附」と呼ばれて
いたそうだが、もともと「見附」とは、東海道を(西から)歩いて来た
旅人が、初めて富士山を見ることができる、ということから名づけられた
という説がある。
旧東海道は、JR東海道線の磐田駅からは、約1.5kmと、微妙に距離が
離れている、歩いていく事は容易ではあるが、今日はあまり時間が
無い、まあ、ヤマハの街だけあって、電動バイクのレンタルがある
のが珍しいのだが、今回はシンプルに往路のみバスを使ってみよう。

磐田駅からは多数の路線バスが出ているが、多くが「加茂川」という
京都の川のような地名の場所を通る、駅からそこまでは約1.2kmくらい、
バスの運賃は安価で、「加茂川」までならば130円、目的地によっては、
さらに1~2停留所乗り越す場合もあるが、それでも150円くらいである。
今回は、「西坂町」という停留所で降りてみた、ここはまさしく旧東海道
そのものがあった場所である。

しかし、旧東海道、と言っても、「見附」は、同じ静岡の街道沿いの宿場町の
「由比」や「蒲原」のように、古い町並みが残っているわけではない、
念のため旧東海道の南北の細い道等も歩いてみたが、やはり古い町並みは
ほとんど残っていない模様だ。
まあしかし、古い宿場町だけあって、神社や寺は沢山ある、
「慈恩寺」(じおんじ)という名前に惹かれて(勿論、ガンダムシリーズより)
ちょっと寄ってみる。

使用したのはYASHICA F537IRという赤外線カメラ、監視カメラシステムの
部品を転用した海外製の市販品カメラで、数年前に安価で売っていたが、
現在は恐らくは生産中止になっていて入手が難しいと思われる。
まあ、監視カメラベースなので写真品質のカメラでは無いが、ちょっとした
遊びの撮影には面白い。
明日のドラゴンボート撮影大会に備えて4台のカメラを持ってきているのだが、
ちょっと寄り道するのに全てのカメラを持ち歩くのは重たいし、また、全ての
カメラの予備電池や充電器を持ってきている訳でもない。なので、ほとんどの
カメラを駅のコインロッカーに預け、散歩用のコンパクトデジカメ1台と、
玩具の赤外線カメラを持ち出している。
慈恩寺から2~3分歩くと、面白い施設が見えてくる。

レトロな雰囲気の人形や・・・

まだ動いている、こちらもかなりクラッシックなネジ巻き式の振り子
時計など・・ (時間は正確だ、恐らく、毎日合わせているのであろう)
そう、この場所は、旧見附学校という施設で、現在は博物館になっている。

この学校は、現存する日本最古の木造校舎とのことで、明治初期の建物。
洋風の作りで、5階建てとなっている、狭くて急な階段を登れば、すべての
階を見学でき、しかも見学料は無料となっている。
各階には、教育関係の資料、古い玩具、農機具などが展示されている。

一部の展示品は実際に触れても良く、たとえば古いオルガンを弾いても
良いし、昔のケン玉や福笑いで遊んでも良い、写真の撮影も自由だ。
観光名所が少ない磐田市としては、ここは一番の名所なのであろう、
なかなか太っ腹な措置だ、京都や奈良あたりで、同様な資料館(博物館)を
やったら、入場料を500円くらい取ってもおかしくない。

世の中には旧東海道を、(何度かに分けて)徒歩で踏破するというマニアも
多い様子で、以前、蒲原(かんばら)宿を訪れたときも、休憩所で地元の人に
「今日はどこまで歩きなさる?」と聞かれたこともあった。
まあ、確かに、「コンプリートしたい」、という気持ちは良くわかる、
そうした踏破活動をする中で、勿論、見所の多い場所や、そうで無い場所も
あるだろう、古い東海道の町並みは失われている見附宿ではあるが、
この旧見附学校のような名所があるのは救いなのだろう。
ちなみに、私は、東海道踏破などはまあ無理で、せいぜいが各地の小規模な
スタンプラリーの全ポイント制覇くらいが関の山だが(汗)
さて、さらに見附宿の面白そうな場所を探してみよう・・・
実際、こういう場合は徒歩に限る、車やバイクで廻ると、名所や寺社を順番に
巡るだけの旅になってしまう、歩きながらで無いと、その土地の持つ雰囲気は、
なかなか感じられない。

旧見附学校の隣の「淡海國玉神社」には、兎の狛犬(=狛兎?)がある。
この神社の祭神は 大国主命であることから、「因幡の白兎」の神話を
由来にしている模様だ。
ちなみに「狛兎」は、珍しいものではなく、関西で言えば滋賀県大津市の
「三尾神社」、京都市の「岡崎神社」(兎みくじ有り)等に「狛兎」があり、
また、京都府宇治市の「宇治神社」および、大阪の「住吉大社」では、
手水舎が龍の代わりに兎となっている。(どちらの神社も兎みくじ有り)
兎は神の使者として神話などでは書かれているので、これら以外にも、
いくらでも兎を祀る神社はあると思う。
(兎神社をコンプリートするのも面白いか?笑)

さて、旧見附学校の受付では住所(市内か市外か)を書く欄があるのだが、
それを記載するとき、「関西から来ました」と言ったら、珍しいのか、
受付の方は、ちょっと驚かれた模様だった、「それじゃあ、ゆっくり見附を
巡ってください」と、沢山のパンフレットや観光ガイドなどの資料を渡して
くれた、まあ、今日の予定ではここから御前崎まで行かなくてはならないので、
あまりゆっくりもしてられず、2~3時間しか余裕が無いので、ガイドマップに
書かれている場所を沢山見て帰るのは不可能であるが、その中でも「ここは是非」
と受付の係員さんがすすめてくれた「旧赤松家記念館」だけは見ていくとするか。
その場所までは、旧見附学校から1km以上あるが、ピンポイントで名所を
巡る旅ではなく、街そのもの全体が見所と捉えているので、距離は別に気にしない
単に間に合うかどうかだ? もし磐田駅から全行程を徒歩で歩いてしまうと、
全行程は約8km、最初の1km強だけバスを利用して正解だったかもしれない。
私の場合、1日で歩ける距離は、最大で15km程度、約3万歩だ、そのあたり
になると、あるいは超えると、ちょっとしんどくなってくる。
今日は、この磐田(見附)だけ歩くわけではないので、全行程10km程度、
まあ、それくらいならば、なんとかなるであろう。

「旧赤松家記念館」の裏庭の草陰に隠れていたネコ、
さと、今回はこのあたりまでで、
磐田市の旅の話の続きは、後編に廻すことにしよう・・
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追記(ドラゴン大会告知)
第二回大阪南港ATCドラゴンボート大会の締め切り日が迫っているとのこと。

ATC大会は昨年から始まった大会だが、大阪港屈指の商業施設で行われる
事で、駅近、飲食店の豊富さ、観客数の多さ、など非常に環境に恵まれた
大会だ。
10人漕ぎ、エキスパートの部(ドラゴン専業チーム対象)のみならず、
ビギナー、女子、シニアと対象としたチャレンジの部(10人漕ぎ)も併設される
参加費は安価で、賞品は、釜山フェリー高級スイートルーム往復ペアチケット
(10万円相当)が多数。また、別府行き温泉ツアーのフェリーチケットや、
高級パンケーキセットなど盛りだくさんで、かなり豪華だ。
現在参加チーム数にまだ余裕があるとのことで、参加希望チームは、
締め切り(7/24)前に応募をよろしく。
また、前日8月8日(土)、大会当日の8月9日(日)に、ドラゴンボート
親子体験乗船会が計6回行われるとのこと、夏休みの思い出には最適と
思われるので、是非家族揃っての来場を、とのことである。