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ミラーレス・マニアックス(29)

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安価な中古ミラーレス機とマニアックなレンズを組み合わせ
コスパの良いアダプター遊びを楽しむシリーズ第29回目。

今回は、まず、このシステム。

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カメラは孤高のKマウントミラーレス PENTAX K-01
AF,MFいずれのピント合わせにも致命的な課題を抱える
機種であるが、まあ、どんなカメラにも長所、短所はある。
そこで短所を相殺できるように、レンズを組み合わせる事も
このシリーズ記事のコンセプトの1つだ。

で、今回のレンズは、PENTAX FAマクロ50mm/f2.8
1990年代のAFレンズで、等倍撮影が可能な最短撮影距離
19.5cmの本格マクロである。

AF性能に問題があるK-01に何故こうしたピント合わせの精度が
必要なレンズを装着するか?むしろ逆効果では?と思った人が
居るとしたら、はい、それは正解である。

今回はむしろ最悪性能のチェックである、このレンズと、
そしていずれ FA85/1.4を装着してみて、限界まで悪い状態が
どこにあるのか試してみたいという考えだ。

そしてK-01の長所の1つである、その優美で個性的なデザイン、
それが、この1990年代の最もデザインセンスが悪かった頃の
PENTAX FAレンズとの組み合わせで、まったく活かされていない
どころか、冗談に近いほど悪趣味なマッチングとなっている。
でもまあ、限界テストであるから、デザインは目をつぶろう、
せいぜい誰も見ていないところで使うとするか(笑)
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ピントは近接域では思ったよりは良好だ、ただし、ちょっとでも
AFポイントをミスったりすると、とてつもなく長い時間をかけて
ピント位置が近接から無限遠まで往復する(汗)

ちなみにAFポイントは移動式1点としている、まあ、と言うより
本来マクロレンズではAFは使わないのだ、けど、K-01のMF性能
(仕様・操作系・精度)はAF同様に極めて悪いのでMFは使用不可、
なので任意ポイント移動式(または中央固定)のAFモードに
せざるを得ない。

K-01のようなミラーレス機におけるコントラストAF方式の場合は、
一眼レフの位相差検出AFと異なり、画面内の特定のポイントを
有限個の測距点でピントを検出するという訳ではなく、
画像処理により画面内の任意のポイントでピントを検出する。
これは良し悪しあって、良い点は画面のどこでもピント合わせが
できる事だが、悪い点もいくつもあって、課題はピント精度や
検出速度が劣る事、複数点測距が苦手な事などがある。

まあつまり、ミラーレス機はAFが苦手であり、そして一眼レフの
ように「ピントが合いにくいから精度の高い中央位相差センサー
に固定する」といった回避法も使えない。

ミラーレス機を開発する各社とも、このAFの課題の改善には
務めている模様であり、たとえばFUJIFILM,SONY,NIKON等では
像面位相差AF技術を採用している、これはセンサー面の一部の
画素の代わりに、ピント検出専用の画素を埋め込む技術であるが
その画素からの輝度情報が無くなるので、周辺の画素から補完
または復元するようになっている。これはコントラストAFのみ
の場合よりはるかに精度と速度が高まるが、まだ完璧ではないと
思われる。例えばFUJIFILMでは、これを搭載したX-E2と未搭載
のX-E1はAF性能に大差があると思われるが、私はX-E1を購入
する際、この技術を搭載したコンパクトXQ1を先行して購入していて、
それがあまりピントが合わないケースがある事を知っていたので、
まだ中古相場が高価なX-E2ではなく、安価なX-E1を購入した次第だ。

恐らくは像面位相差の技術そのもののみならずAF測距ステップ等を
含めたシステム全体の仕様チューニング等、まだ色々と改善要素が
あるのだろう。

それと、一部の画素が欠損するというのは、ちょっと感覚的に
気持ち悪い、周囲から埋める(補完する)や、点像復元等に
ついては、画像処理をかけまくっているようなイメージがある。
まあ実際の撮影画像に不自然さは無いのであくまで感覚的な
ものではあるが・・

また、PANASONICでは、空間認識AFの技術を採用している、
これは4K動画撮影機能の普及により、高速で複数の高精細画像を
撮像あるいは画像処理できるようになったことにより、各々の
画像のピントの合い具合を検出できる仕組みである。

これにより、レンズのAF駆動中に、何枚かの画像を撮像し、
それらのピントの合い具合を検出することで、今レンズが駆動して
いる方向が、正しくピントが合う方向か、あるいは外れていく
方向なのかをカメラが知ることができる。ならば、ピントが
合う方向にまっしぐらとし、目的地(すなわちピントが合う)に
近くなったら、ゆっくり細かく検出すれば良い、ということで、
無駄や迷いが無いため、ピントの精度、速度ともに向上する事が
原理的に可能となる。

残念ながらこの新技術を搭載した LUMIXは、私はまだ保有して
いない、いずれ中古が安価になったら購入したいと思っているが、
このシリーズ記事で紹介しているように、LUMIX G系のカメラは、
その優れたMF操作系を重視し、私はアダプター母艦として利用する
事がほとんどであり、現状、AFはほぼ使用していない。

まあ、各社とも新技術によりミラーレス機のAF問題を解決しようと
している。もし将来、AFがとても優れたミラーレス機が出てくれば
その特徴を生かしてAFレンズ母艦とするという事になるであろう。
それまではMFのアダプター母艦として使う方が効率的とも言える。

で、余談が長くなったが、ともかくK-01は、この段階ではAF機と
しての利用は苦しく、また後継機も出ていない(おそらく出ない)

そして予想通り、AFがシビアなマクロレンズと、AFが苦手なK-01の
組み合わせは最悪に近い。まあ、こういうケースがあるからこそ、
逆に、カメラとレンズの両者の欠点を相殺するような組み合わせ
とする事が望ましい訳である。
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本レンズFAマクロ50mm/f2.8であるが、その無骨なデザインとは
裏腹に、描写力は一級品である。

これは私は銀塩時代、1990年代から使っているレンズであるが、
Z-1P,MZ-3やLXに装着して撮っていた頃から感じていた事だ。
その後、デジタル時代に入ってからも、*istDs→K10D→K-5と
各時代のデジタル一眼でずっと使い続けているレンズである。

PENTAX のFAレンズには流麗なデザインと感動的な描写力を持つ
FA Limitedが、31/1.8,43/1.9,77/1.8の3本存在している、
いずれのFA-Limitedも私は愛用しているが、それらの影に隠れ
本レンズを始めとするLimitedで無いFAレンズはあまり目立たない。

しかし、特にこの FA 50/2.8は捨てがたい性能であり、思うに、
AF時代の50mm標準マクロとすれば、ミノルタ、シグマと並び、
3本の指に入る名レンズであると思う。
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まあ、K-01との組み合わせは失敗であったのだが、だからと
言って、本FA MACRO 50mm/f2.8の性能の優秀さは間違いない。
現代に繋がる後継機のDFAマクロ50/2.8は、所有していないが
レンズ構成、最短撮影距離も本FA50/2.8と同じことから、
コーティングや後玉のテレセントリック特性などが異なるだけで、
恐らく基本設計・性能は同一であろう。まあ、であればデザイン的に
少しましになったDFA版を購入するか、それとも、デザインは無骨で
あるが中古が安価なFA版を購入するかは迷いどころであろう。

ちなみに、私が1990年代にFA MACRO 50/2.8を購入した際は、
中古で24000円であった、発売からあまり年月がたってなかった
ので若干高価であったのだが、近年は20000円程度まで相場は
下がってきている、コストパフォーマンスは極めて良いが、
いかんせんデザインが・・という所であろうか。

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さて、次のシステム

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カメラはNEX-3、Eマウント初号機、MF時(アダプター利用時)の
操作系に課題を持ち、AF単焦点レンズやトイレンズの母艦として
使うのが正解のカメラである。

しかし、こちらも今回は限界性能チェックとして、原則的には
有り得ない組み合わせのレンズを装着している。
レンズは旧CONTAX/KIEV用(Cマウント)のJupiter 9である。

Jupiter 9については、M42マウント版で第26回記事で紹介して
いるので、今回は詳細は割愛する。
まあ、簡単に言えば、独製ゾナーの設計をコピーしたロシアン
レンズで、ゾナー85/2同様に85mm/f2という仕様である。
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M42版ジュピター9と同様に、こちらのCマウント版ジュピターも
プリセット絞り。ただし、その外観は大きく異なり、M42版は
比較的近代(1980~1990年代頃?)の製品であったのだが、
Cマウント版は、どうみても、それより20~30年は古そうだ。
まあ、製品寿命がとても長いロングセラーレンズであったので
様々な年代での製品があったのであろう。

M42版との一番の違いは最短撮影距離である。
M42では、0.8mであったのに、こちらは、1.15mと長い。
まあ、このレンズを装着できるレンジファインダー機の、
Kiev 4やCONTAX Ⅱ/Ⅲでのピント合致距離は、0.9~1.0m
が最短だったと思うので、1m程度の最短撮影距離となるのは
やむを得ないのであるが、それにしてもちょっと長めである。

NEX-3への装着は、CONTAX Cマウントと形状が同一の
NIKON Sマウント用のアダプターを使用している。

しかし、ここで大問題が発生。
まず、NIKON Sマウント用アダプターに、このCマウントJupiter9が
きちんと装着できないのだ、一応付くことは付くのであるが、老朽化
して重くなった C-Jupiter9のヘリコイドやプリセット絞りを
操作すると、レンズがアダプター上で廻ってしまい、すぐに外れて
しまう(汗)まあ、ロシアンレンズは工作精度が低いので個体差も
あり、また、Kiev4や19やらは、そのオリジナルのCONTAX Ⅱや
NIKON一眼と微妙にマウントが異なるので、完全に互換性が
あるとは限らないのだ、こういう事は良くある。焦ってみても
意味が無いので冷静に対処方法を考えてみよう。
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すぐに解決方法はわかった、ピントや絞りを廻すとレンズが脱落
するのであれば、それらを廻さなければ良い(当然だ・・)

じゃあ、ピントも絞りも廻さずに写真が撮れるのか?
・・実は出来る、マクロっぽいレンズとしてしまえば良い。
まず、レンズが脱落しないように慎重に絞り値を調整、開放f2は
ちょっとボケ質破綻がしやすい事もあろうから、絞りをちょっとだけ
絞って、f2.5~f2.8あたりにする(注:プリセット絞りなので
無段階で絞り値を変更できる)そして、ピント位置も同様に慎重に
事前調整、ここでは、最短よりちょっと長めの1.2~1.3m程度に
合わせておこう。

そうしたら、後は、レンズが脱落しないように注意しながら、
被写体を見つけたら、後は自分が前後してピントを調整する。
ちなみに、そうしたフットワークは単焦点使いの基本的動作だ、
それで困ることは殆ど無い。そしてピントが合えば NEX-3の
ピーキング機能がそれを知らせてくれる、MF性能に色々課題を持つ
NEX-3ではあるが、条件さえ合えばピーキングはそこそこ使える。

こうして、ピントも絞りも動かし難いという最悪な条件のレンズも
難なくクリア。
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まあ、かなりイレギュラーな使い方だし、この状態では、ボケ質
破綻の回避も簡単では無い、絞り値の変更を伴わずに、ボケ質
破綻を回避するならば、撮影距離、背景距離、背景の絵柄、
の3要素で回避するしか無い。

本レンズの製造時期は不明であるが、恐らく50年位前であろう、
さすがにフレアっぽいし、コントラストもシャープネスも低く、
性能的には問題ありだが、まあ、それらをさっぴいて考えれば
意外なまでに良く写る。けどまあ、現代において必要なレンズでは
無く、「全く」と言っていいほど不要であろう。

このレンズは2000年代前半に15000円ほどで中古購入、
勿論高価すぎたが、当時は、コシナ製の新品 Cマウント・レンジ機
BESSA R2C(過去記事で何度か紹介)に装着する望遠レンズとして
「必須である」と思っての購入であったのでやむを得ない。

まあ、現代における性能的な価値は3000円くらいであろうか。

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さて、次のシステム
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カメラが、お馴染みマイクロフォーサーズ機 DMC-G1
レンズは、京セラCONTAX ディスタゴン25mm/f2.8である。

1975年のRTSと同時発売、その後、銀塩MF一眼としてのCONTAXの
歴史の期間(~2005年)ずっと販売されていた(後期型はMM対応)

CONTAX のレンジ機(旧CONTAX Ⅱ/Ⅲや京セラCONTAX G)での
広角は、対称型のビオゴンシリーズが名レンズとして著名だが、
一眼レフ用の広角ではミラーが邪魔して対称設計が出来ない、
そこでレトロフォーカス型として設計されたのがDistagonである。

ディスタゴンタイプは、コンタックス党のマニアにおいても、
21mm/f2.8MMの他は、あまり「神格化」されていない、つまり、
人気が無いという事とイコールである。描写力も平凡であり、
やはりプラナーやゾナーの方が知名度も描写力も優れている
という立場である。

けど、コンタックス党とは言え、システムを組む上では広角も
必要であろう、そうなると、ディスタゴンには、15mm,18mm,
21mm,25mm,28mm,35mmのレンズが存在するが、
15mmは高価すぎる、18mmはちょっと中途半端、
21mmは人気だが高価でかつ大柄、
28mmや35mmは平凡すぎて面白くない、
35mmにはf1.4という大口径版もあったが、大きいわりに
写りは平凡で、一時期使っていたが知人に譲渡してしまった。

結局、広角域は25mmの1本があれば十分で、この25mmという
焦点距離が他社ラインナップに無かった事も一因として、意外に
CONTAX党の間でも保有率の高いレンズだったかも知れない。
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描写力であるが、銀塩時代はアンダー気味でのシャドウの締まりが
良いと言われていた、逆に欠点として周辺の解像度や光量が
落ちるとも・・

しかし、いずれもデジタル時代においては意味の無い評価だ。
まあ、CONTAXのレンズというと本能的にアンダーで撮ってしまう
のが銀塩時代からクセではあるが、だからと言って、デジタルの
においては、そのあたりはカメラ設定での調整範囲内である。
周辺の解像度低下も、センサーサイズが小さいμ4/3機であれば、
周辺がカットされて、何ら問題は無い。
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余談であるが「画角2倍の法則」というのを昔から提唱していて、
これは、ズームではなく単焦点レンズを使う際、多くの被写体の
画角をカバーしようと思ったら、レンズの焦点距離を画角が2倍
位になるように持っておき、画角2倍に満たない範囲の被写体
では、その単焦点1本でなんとかカバーし、2倍となれば、
レンズを交換して対処する、という考え方である。

レンズの画角は、ほぼ焦点距離に比例するので、たとえば
広角28mm、標準50m、望遠100mmを持っていれば、それぞれ
カバーする守備範囲がかぶらず、うまく繋がるというイメージである。

で、厳密に計算すると、50mm標準を持っていた場合に、28mmでは
画角2倍には若干届かない(23mmくらいが2倍だ)のでCONTAXの
システムの場合は、28mmを持つよりも、50mmプラナーと25mm
ディスタゴンを持つほうが、なんとなく画角2倍理論にしっくりくる
ようにも思っていた。

ちなみに、この画角2倍理論には、個人的な好みの差があって
28mm→50mm→100mm→200mmという系列を好む人と、
そうではなく、
35mm→85mm→135mmという系列を好む層が
存在しているようにも思えていた。
35mm系列は50mm系列より若干広く、これはその個人が
どれくらいの画角をデフォルトとして被写体を捉えるかにより
差が出てくるのであろう。

ただしこれは銀塩時代の話であり、APS-Cデジタル時代となると、
焦点距離(画角)1.5倍相当で、これらの系列がそっくりひっくり
かえってしまう。なので APS-Cデジタル時代の初期に銀塩から
移行したカメラマンが「画角に違和感」を感じた多くの原因は
実はこのあたりの、デフォルト画角の個人差に依存していたの
ではなかろうか?と思ってしまう。

実のところ、私も35mm→85mm→135mm画角系列の方が
しっくりきていた口であり、50mm標準が75mmや80mmの画角
になってしまう事に対して、さほど感覚的な違和感を覚えなかった。
逆に50mmの標準画角をAPS-Cデジタルで得ようとしたユーザー
層が、35mmや30mmのレンズを買いあさった事を不思議と
思っていたものであった。

まあそれでもデジタル時代初期から10年以上を経過し、その間、
撮影技法も大きく変化した、広角をただ単に広い範囲の被写体を
平面的に撮影するとう技法も、デジタル時代にはメインとなる
方向性ではなく、広角による様々なアングルの自由度をむしろ
重視するようになってきている。
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Distagon 25mm/f2.8 の購入価格だが、1990年代後半で
45000円であった、これは正直高い(汗)
まあ、CONTAXブランドが神格化されていた時代であったので、
多少高いのはやむを得ない感もあったのだが、現代の感覚で
あればコスパがかなり悪いように感じてしまう。
デジタル時代に入ってから少し相場が下がったが、その後また
じわじわと高騰、現在の相場は、やはり5万円程度はしてしまう。
悪いレンズでは無いが、最新のAF25mm単焦点レンズが安価に
流通しているので、ここまで値段を出す事は少々考え物である・・

ちなみに、購入価格の高いレンズであったので、保護フィルター
も高品質のものを装着している。
私は「保護フィルター5%の法則」というのを昔から提唱していて
つまり、保護フィルターの価格はレンズの購入価格の5%を
超えてはならないという自身のルールである。
1万円のレンズでは500円の中古フィルター、3万円のレンズで
1500円の新品フィルター、このレンズは45000円であったので、
2250円までOK,なので高級保護フィルターの中古をそれ位の
値段で買って装着している。

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さて、今回ラストのシステム
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カメラは LUMIX DMC-G5、1万円台と安価な中古価格ながら、
高い基本性能とGシリーズ譲りの優れた操作系の高コスパ機だ。
私の場合、ノクトン用および望遠アダプター母艦として使っている。

レンズは、フォクトレンダーAPO LANTAR (アポランター)
180mm/f4 SLである。

フォクトレンダーSLシリーズとは、コシナ社がフォクトレンダー
ブランドを取得した1999年以降、銀塩一眼レフ用に、高品質な
MF単焦点を何本か発売したものである。本レンズは後発の方で
2000年代前半の発売だったと思う。
SLシリーズは、当初多くのMFマウントで発売されていたが、
その後、一時期はニコンFとM42版のみとなり、現代では
CPU内蔵レンズのⅡ型として、ニコンFやキヤノンEFマウント版
が販売されている。ちなみに全てのSLレンズが継続販売されて
いる訳ではなく、本180mm/f4や、
第2回記事のカラーヘリアー75mm/f2.5SL、
第23回記事のマクロアポランター125mm/f2.5SL等、
惜しくも生産中止になってしまったSLレンズも多い。
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このレンズの最大の特徴は小型軽量である事だ。
10年ほど前の本ブログの記事でも、当時はOLYMPUS E-300
という初期のフォーサーズ一眼に装着し「最軽量望遠システム」と
謳っていた事もあった。

最軽量と言うのは、フォーサーズや現代のμ4/3機に装着した
場合に、360mm相当の画角の望遠レンズとして使える事、
銀塩時代は、なかなか300mmを超えるレンズは一般的では
なかった事と、あったとしても大きく重く高価であった事等が
その理由となっていた。

現代においては、ミラーレス機やコンパクト機に特化した小型の
望遠レンズ、あるいは高倍率ズーム、またはデジタルズーム等で
300mm相当を超える画角のシステムも珍しくない。

まあ、単焦点であるので、360mm相当というのは、さすがに
ちょっと長すぎるので、被写体を選ぶのは少々難しい。
しかし、第二の特徴として、最短撮影距離の短さがある。
最短1.2mは、180mm望遠としてはかなり優秀な方であり、
撮影倍率として1/4倍を実現している。
μ4/3機においては換算1/2倍となるので、これはもう望遠マクロ
レンズと思っても差し支えない、こうなると、360mmという
長すぎる換算画角はあまり気にならなくなり、ワーキング
ディスタンスの長い望遠マクロの感覚で被写体を探す事ができる。
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ボケ質の破綻は若干発生するが、その頻度は低い。

但し開放f値が暗めな為、ボケ質破綻回避の為に絞りを調整
しようとすると、2段絞っただけでf8となって、今度はシャッター
速度低下や手ブレが気になりだす。DMC-G5には内蔵手ブレ
補正機能は無いので、そのあたりは注意する必要がある。

絞り設定の自由度が制約されるので、近接撮影時の被写界深度
調整と、ボケ質破綻回避の両者の目的を並存させるた為の、絞り値
変更をするのは困難となってくる。実質的にはアンコントーラブル
(制御不能)と思っても良いかも知れない。

さらに余談だが、AUTO ISOという機能は曲者であり、レンズの
焦点距離情報が伝わらないアダプター使用の状態では、AUTO ISO
にしていると、1/60秒あたりの低速シャッターでも「そのまま
撮れるだろう」とカメラが判断してISO感度が上がらない場合が
殆どだ、しかしこのレンズは換算360mm、原則論から言えば、
1/360秒以上の高速シャッターで常に撮る必要がある、その為、
望遠レンズ使用時には、AUTO ISOには頼らず、換算焦点距離分の
1秒を確保できるように、手動でISOを調整する必要がある。

加えて、G5搭載のデジタルズームやデジタルテレコンを用いる
場合はさらにシャッター速度を上げないと手ブレが厳しい。
つまり、ISO感度をさらに手動で上げる必要があるのだ。

こういう事からも、ISO感度を常時直接変更可能な専用ダイヤル
の必然性を昔から説いているのだが、現代にいたるまで、ISOが
直接変更できるカメラは数えるほどしかない。
c0032138_22724100.jpg

デジタルズームを少しかけてみた、やはり遠距離の野鳥などは
数百mm程度の超望遠域では足りず、1000mmオーバーの
超々望遠域が必要となってくる。

先般からG5を用いて、1000mmはもとより最大6400mmという
手持ち超々望遠撮影を試してはいるが、まあ、1500mmを超えると
さすがにファインダー内で被写体が暴れまくるため、フレーミング
すらままならない。この焦点域で手ブレ補正がどこまで効くかは
やや疑問ではあるが、いずれ手ブレ補正内蔵のμ4/3機を入手して
試してみるとするか・・

アポランター180mm/f4は、用途も限られており、また、他のSL
シリーズレンズに比べ、感動的な描写力というのも無い為か、
情報や口コミもあまり多くなく、結局短期間で発売中止となり
流通本数が多くない、このため、現在では中古も極めてレアであり、
まず見かけないと思われる。

私は、このレンズは発売直後の2000年代前半に新品購入している、
価格は5万円台前半とちょっと高価すぎた(汗)
まあ、新品なのでしかたない、そう簡単に中古が出るレンズとも
思えなかった訳だ。

その後2000年代後半になって、生産中止による在庫処分で新品が
結構安価に出ていた頃があった、当然2本もいらないレンズで
あったし、マニアの友人達にもあまり薦めることはなかったが
友人の1人が購入「軽量だし、写りもさほど悪くない」と
結構気に入っていた模様であったが、まあ、彼はSLシリーズの
レンズを殆ど所有しているヘビー級のマニアであったので、
私が黙っていても結局買ったであろう・・

もしポンと中古が出てきて、それが2万円台とかであれば、
お買い得感があるかも知れないマニアックなレンズである。

次回シリーズ記事に続く・・

ミラーレス・マニアックス(30)

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安価な中古ミラーレス機とマニアックなレンズを組み合わせ
てアダプター遊びを楽しむシリーズ記事の第30回目。

まず、このシステムから。

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カメラはFUJIFILM X-E1、Xマウント最初期のミラーレスであり
AF性能および操作系に課題を持つ。そして、MF時もピーキング
精度や拡大操作系に問題があり、完成度が高いとは言い難い
カメラである。まあでも、アナログライクな操作性や絵作りに
長所を持つので、ピントさえ合えば・・ という感じではある。

レンズは第17回記事でも紹介した XF56mm/f1.2R APD
ミノルタ/SONY STF135mm/f2.8[T4.5]と並んで、現在2機種
しか存在しない「アポダイゼーション・エレメント」を内蔵した
レンズであり、AF動作可能なものは、本レンズ(以下APD)が
唯一である。(コントラストAFにより、AF機構が実現できた)

アポダイゼーションとは、グラデーションのかかったフィルター
の事であり、レンズ周辺に行くほど減光率が高くなる。
それが写真にどういう効果をもたらすか?と言えば、まあ、
ボケ質が綺麗になるという訳だ。
c0032138_1757437.jpg

このシリーズ記事で良く話題となる「ボケ質の破綻」は、
APDにおいては起こらない、いつでも綺麗なボケ質が得られる
という多大なメリットがあるが、注意点としては基本的に絞りを
開けた状態で無いとアポダイゼーションの効果は発揮できない。
なのでAPDやSTFは、絞り開放で使うのが基本であり、
絞り込んで撮る事はまずしない。

開放f値は本レンズの場合f1.2と明るいが、アポダイゼーション
フィルターは、その構造上、レンズに入ってくる光の量を減らして
しまうので、実効絞り値(すなわちf値ではなくT値)はT1.7となる。

これでも日中は明るすぎ、最高1/4000秒のX-E1のシャッターは、
最低ISO感度でもすぐオーバーしてしまうため、減光(ND8)フィルター
の装着が欠かせない。
c0032138_17582694.jpg

STF同様、いつでも最良のボケ質が得られるのは非常に大きな
APDのメリットだ。
なお、STFとの詳細な比較については第17回記事で書いて
いるので、今回は割愛する。

STFを購入してから20年近くが経過し、より短い焦点距離のSTFが
欲しいと思っていながらも諦めていたのだが、2014年に突然
FUJIからAPDが発売された時は、かなり驚いた。

それまで、Xマウントのシステムにはあまり興味を持てなかったの
だが、こうした魅力的なレンズが発売されたのであれば話は別だ。
APDを使うためにXマウント機を買おうと思ったのであったのだが、
肝心のAPDの新品価格が高すぎた。

1年ほど待って2015年後半、やっとAPDの中古が出てきたので、
迷わずそれを購入、カメラボディは何でも良いか・・と思ったが、
EVF搭載機でローパスレスという点に着目して、新型が出て安価に
なったX-E1を合わせて購入したのだが、残念ながらX-E1はピント
性能や操作系に問題ありで、ちょっと困ったものである。まあ同社の
ミラーレスでは初号機に近いので、やむを得ない点もあるが・・

とりあえずX-E1の操作系の問題は目をつぶろう、APDが使えれば
それだけで目的は達せられるのだ。
で、いつも書いているように、カメラシステムを揃える上で、
「ボディ価格とレンズ価格との比率は2:8とする」が、私の場合の
ルールである。APDの中古購入価格は11万円程であったので、
ボディは、その1/4の27500円の予算が適正だ、X-E1の中古は、
その予算にぴったりだった。

レンズを買い足せばシステム的なバランスは、予算比率上からも
Xマウントシステムの使い勝手の上でも本来ならば望ましいのだが、
今のところ、X-E1の問題点を考えると、むやみにレンズを増やすの
は得策では無いと思い、それは保留している。
他の焦点距離の普通のレンズはいくらでもあるので、あえてX-E1で
Xマウントのレンズを揃える必要性も少ない。まあ、今後も最小限の
範囲でしかレンズを購入しない予定であり、ともかくAPDが使えれば
それで満足な訳だ。
c0032138_17595393.jpg

「唯一のもの」というのは、私が様々な商品を買う時の、最も大きな
購入動機だろうと思っている。APDは、その「唯一のもの」であり、
他に代わるものは存在しない。

しかし、発売後にさほど時間が経っていないのに中古に出して
しまうというのは何故なのだろうか?まあ、お金が必要となったので
あればやむを得ないのだろうが、欲しくて買ったレンズでは無かった
のだろうか?高価なレンズであるので、中古として売ってしまう
だけで、5万円も6万円も損することは確実であろう、その点だけ
見ても勿体無いと思うのだが、もし、このレンズがどんな性質な
ものであるかを知らずに買って、その結果として売却してしまった
のであれば、それはそれで、さらに勿体無い話だと思う・・

よほどの事が無いかぎり購入したレンズは手離さないのが基本だ、
カメラがどんなに進化しても、レンズは、この先、ずっと使う
ことができる。そうしてレンズを重要視する為に、カメラ本体の
購入予算は抑えるべきであり、その結果として、持論である
「カメラ対レンズは2対8の予算」という話が出てくる訳だ。

最近はさらにこの持論が発展し「カメラとレンズの組み合わせは
カメラの方が高すぎないようにする」という風になってきている。
銀塩時代はともかく、デジタルあるいはミラーレスのカメラは
価値の下落が激しい。発愛直後の高価なカメラを新品で買う
事は意味が無いと、近年は思うようにしている。

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さて、次のシステム。
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カメラは、OLYMPUS E-PL2 μ4/3機である。
長所は、中古が1万円以下の低価格である事、
ISO感度がAUTOで6400まで上がる事、手ブレ補正内蔵、
フラッシュ内蔵、背面モニターの解像度が高い事、と、
PENシリーズの中では、最もコスパが高い機種ど思われる。
短所は、EVFが無く、かつ拡大操作系が課題でピーキング機能
も無い、よってMF操作は絶望的となる。また、絞りと露出補正の
操作系やエフェクト操作系にも課題を持つ。

これらの長所、短所からは、装着レンズは、MFトイレンズ、
AF広角系レンズ、MF超広角系レンズ、のいずれかが望ましい。
これらのレンズであれば、カメラの短所を相殺する事ができる。

しかし、今回のレンズは、SIGMA A60mm/f2.8DNである、
これはE-PL2の欠点を相殺できるかどうか、ぎりぎりのスペックだ。
で、これは最近の本シリーズで良くやる「限界性能テスト」である、
つまり、たとえば、E-PL2にボディキャップレンズ 15mm/f8(MF)
を装着するのであれば快適に使える事はわかっている。
AFであれば、SIGMA 30mm/f2.8DNであれば、これも快適に使えた、
(第10回記事)
じゃあ、被写界深度が、やや浅いA60/2.8だったら、どうか?
という限界性能を調べる、という意味だ。
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描写力に定評がある A60/2.8ではあるが、E-PL2との組み合わせ
においては、色々と問題点が見えてくる。

まず、E-PL2自体の操作系の課題として、絞りと露出補正を独立
してコントロールできないという点がある。露出補正ボタンを押せば、
その瞬間は、背面十字キーの上下が絞り、左右が露出補正,という
操作系になり、これは優秀である。

ちなみに、この操作系は、今から20年近く前、1990年代後半の、
オリンパスのCAMEDIAシリーズの一部の機種にも搭載されていて
当時は関心したものである(一部の・・というのは、他のCAMEDIA
には搭載されておらず、カメラの機種毎の開発チームによって、
写真を撮るという行為を熟知している場合と、そうで無い場合が
ある、という事に気づかされた瞬間でもあった)

で、E-PL2の露出操作系が優秀なのはこの瞬間だけであり、
他のボタン操作をしたり、電源を切ったりすると、見事にこれを
忘れてしまう、つまり優秀な操作系が保持できないのだ。

まあ、こういう事はよくある、前述のFUJI X-E1にいたっては、
メニュー位置すら記憶する事ができない、これはかなり酷い例だが、
多かれ少なかれ操作系に課題を持つカメラが殆どであり、
操作系に優れたカメラは数える程しか存在していない。

この操作系の課題により、絞り値や露出補正を駆使した撮影が
やりにくい、面倒なので、どうしても手抜きになってしまう訳だ。
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レンズ側にも問題点がある、このレンズのヘリコイドは無限回転式
である(ちなみに最短撮影距離は50cmだ)

しかし、E-PL2のAF精度はさておき、ヘリコイドがアナログ的な
有限回転方式で無い場合は、最短撮影距離付近での撮影が難しい。
つまり最短撮影距離を少しでも下回ってしまうと、ピントが合わない
か、または合わせようとしてピントが往復して迷う、この迷う速度が
コントラストAF方式のミラーレス機では非常に遅いのだ。

これを避けるために、本来は有限回転式のヘリコイドを最短撮影距離
付近で固定して、AFをやめてMFとし、後はカメラごと前後させて
ピントの合うポイントを探す操作が出来れば良い。
AFからMFへの移行は、E-PL2ではAF-S+MFのモードを選択して
おくと、ピントリング操作と同時に拡大モードに入るので、被写体が
中央にある場合はこれで特に問題無い。
(ちなみに、拡大枠の位置を変える操作系は、E-PL2は優秀では無い)

で、MFでかつ拡大モードとなれば、ピーキングが無くともピント
位置は、E-PL2の46万ドット液晶では、なんとかわかるのであるが、
ここでレンズ側が無限回転式だと、このピント距離が最短撮影距離
かどうかが判断できないのだ。もし、既に最短に到達していると、
それ以上いくらピントリングを廻してもピントが合わないので、
その操作は無駄になり、体ごとポジションをバックして撮影
しなければならない、つまり、無駄打ちをするかどうかが、
事前に判断できないという問題がある。

ややこしい事を書いていると思うかも知れないが、AFが最短付近で
合いにくい場合は、レンズを最短にMFで固定して体を前後してピント
合わせをするという方法は、撮影の基本中の基本であり、例えば
写真教室の初級コースですら教える事である。まあ、つまり誰でも
知っている事であり、レンズやカメラの仕様を決めるメーカー側が
設計の都合か、あるいは下手をすると、そこまで配慮しておらず、
写真を撮る操作を、やりにくくしてしまう事は問題だと思う。
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本レンズは、MF操作性に課題があり、その結果として近接撮影が
やりにくいという問題に繋がる。まあでも、描写力は極めて高い
部類と思われ、かつ価格も安価である。

本レンズの購入価格は2015年に中古で14000円であり、
現在2016年であれば、もう少しだけ相場は下がっていると思う。
非常にコスパが高いレンズであり、中遠距離のAF撮影に特化
するのであれば、全く問題は無く、むしろ「必携」と言っても良い
優秀なレンズだと思う。
(ちなみに、μ4/3版以外に、Eマウント版もある)

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さて、最新レンズばかり続いたが、次はオールドだ。
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カメラは、アダプター母艦のDMC-G1、毎回書いているが、操作系に
優れた数少ないカメラの中の1台である。

2008年末発売と古いカメラであり、2014年頃には、中古相場は
7~8000円まで下がったのだが、2015年後半位からめっきり
中古を見なくなり、たまに出ても14000円前後と、かなり相場が
上がってしまった。何故だろうか?古いカメラだから、中古市場的
には安く売ればそれで良いのではなかろうか?
このカメラのMF操作系の優秀さなんて、中古市場の価値感覚
では、どうでも良い事ではなかろうか?知っている人だけが、
安くて良いものを買えば良い、と思っているのだが・・・

レンズは、ミノルタのMFレンズ MC W ROKKOR 35mm/f2.8
正直、あまり好きでないレンズだ、およそ20年も使っているが、
良いと思った事は殆ど無い。
で、あまり興味が無いレンズなので、そのまま使うのも面白みに
欠けると思い、今回は、KENKO マクロテレプラス MC7との
組み合わせを試してみよう。

マクロテレプラスは、シリーズ第18回記事でも紹介しているので
重複説明は避けるが、簡単に言えば、リアコンバーターであり、
テレコンとして焦点距離2倍(画角は1/2=狭い)f値も1/2
(=暗い)になるという基本機能と、繰り出し型ヘリコイドで、
マクロ撮影をも可能とする、という仕組みである。

ちなみにマクロ倍率(撮影倍率)は、銀塩(フルサイズ)で、
50mm標準レンズの場合に1対1となる模様であるが、デジタルで
しかもμ4/3で、加えて35mmのマスターレンズでは、どのような
撮影倍率となるるか、計算方法が不明で見当がつかない。
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まあ、そこそこ寄れるようになる模様であるが、問題は画質劣化だ、
マクロテレプラスは、やはり画質の低下が気になるアイテムだと
思う。おまけに、このマスターレンズのMC 35mm/f2.8が、描写力に
課題あり、のレンズな訳だ。

性能の悪いレンズに、性能の悪いコンバーターを使うと、さらに
性能が悪くなるのは当然だ、しかし、逆に性能の優れたレンズに
性能の悪いコンバーターを組み合わせるのは、最終的な画質は
そこそこになったとしても、なんだか勿体無くないであろうか?

まあ、このあたりは利用者のポリシーの問題もあるかも知れないが、
私としては、性能の高いレンズは、そのまま使いたいし、逆に性能の
悪いレンズは、あれやこれや遊んでみるのも良いかと思っている。
c0032138_1875665.jpg

ミノルタMC35/2.8は、発売時期によっていくつかのバリエーション
が存在する模様だ、本レンズはHGというタイプであり、最初のHは、
ヘキサなので6を意味し、後のGは、アルファベット順、つまり
A,B,C.D.E,F,Gなので7を意味する。
すなわち、レンズが6群7枚構成である、という意味である。

ミノルタがMCレンズにこのようなレンズ構成記号をつけていたのは、
1960年代までだと思われるので、およそ50年近くも前のレンズだ。

まあ、この時代のレンズの描写力に過度な期待は禁物であるが、
それでも描写力的には不満足だ。問題はフレアとハロ、そして
解像力不足であると思うのだが、この場合、マクロテレプラスとの
相乗効果で、本来よりも、さらに画質が劣化していると思われる。

銀塩時代に、本レンズはミノルタ SRT-Super等のクラッシックな
MF一眼レフにつけて遊んでいた、銀塩時代ではマウントアダプター
遊びは殆どできなかった(せいぜい各マウントのボディにM42
アダプターを使うくらいであっただろうか・・)ので、オリジナルの
マウントのボディを使う事になる。

その際、カメラの年代とレンズの年代を合わせる事が、ちょっとした
マニアックな遊び方であった。ミノルタMF一眼レフは、SRT-Superの
他にも、もう少し新しいX-1,XD,X-700,X-500と、何台かのカメラを
持っていたのだが、MCレンズを絞り優先で使う上では他の一眼でも
何ら問題は無い、でも「時代を合わせる」と言う発想においては、
SRT-Superが最もしっくり来ていたように思える。
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「時代合わせ」という点で言えば、よりマニアックな遊び方としては、
そのレンズが作られた時代の被写体を探したりする事もある。
この古い標識は、40年やそこらは経過しているかも知れないので、
まあ、ちょっと気になったわけだ。

本レンズは、1990年代に中古購入、価格は12000円と、性能から
すればかなり高い買い物であったと思う。
まあ、当時は第一次中古カメラブームであったので、高めの相場は
やむを得ない点もあったかも知れない。

現代で必要と思われるレンズでは勿論無い、レンズ単体での性能的な
不満は、カメラをどう組み合わせても防ぎようが無いからだ。
もし、どうしてもロッコールらしい描写が欲しい場合は、他にMCでは
標準レンズ系では良いものもいくつかあるので、またいずれ紹介して
みようと思う。

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さて、次は今回のラストのシステム。
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カメラは、お馴染み Eマウントのアダプター母艦のNEX-7
レンズは、COSINA MC 55mm/f1.2である。

現代のコシナは、ご存知、フォクトレンダーやツアイスのブランド
を擁する高級レンズメーカーとして著名であるが、このレンズが
発売されていた時期(推定 1980年代~1990年代)では、
他社OEMカメラやOEMレンズの製造が主力であり、
自社ブランド力はほとんど無かった。

しかし、自社ブラント「コシナ」としても、何本かのレンズを
発売しており、非常に大きな値引率(定価で4~5万円、実売新品
価格が1万円台)という事と、特殊なスペックのレンズ(例えば
第14回記事で紹介した、超広角20mm/f3.8や、本55mm/f1.2の
大口径レンズ、他にも超広角ズームや、安価なマクロなど多数)
として、一部のマニアからは重用されていた。

これらの自社ブランドレンズ群は、ほぼすべてMFレンズである。
(ごくまれにAFレンズが存在した)
マウントは、MFマウントのほぼ全て、すなわちニコンAiやキヤノン
FD・・M42等のバージョンがあり、これはコシナ社がOEM製品を
作っていたことから、これらのマルチマウントでの展開が容易で
あったのだろうと推察される、この方式は、2000年以降の
フォクトレンダーブランドでの一眼用MFレンズ群(SLレンズ)にも
踏襲され、初期の頃(2000年代前半)には各MFマウントでの販売が
行われていた。(ただし、2000年代後半では、互換性の高い M42と
ニコンFのみ、2010年前後には、近代のデジタル一眼に対応した、
ニコンF,CPU内蔵やキヤノンEFマウント(まれにPKも)
に、製品ラインナップが整理されている)

本レンズは、PENTAX PKマウントである、市場にはあまり
本レンズは流通していなかったが、比較的入手しやすかったのが
このマウントであった、他のコシナ製レンズでは、他のMFマウント
版が良く目についたのだが、この 55mm/f1.2だけは、何故か
PK版しか販売されていなかったようにも思う(注:情報不足)

もしかすると、このf1.2レンズの後ろ玉の口径は非常に大きい為、
マウント径の小さいM42やニコンFでは、構造上、レンズが
作れなかったのではなかろうか?とも推測している。
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絞り開放だと、ちょっと甘さが目立つレンズなので、きりっとした
描写が欲しい場合は、中間絞り(f5.6~f8)まで絞ると良いであろう、
このあたり、冒頭に紹介したAPDレンズは、56mm/f1.2であり、
本レンズは、55mm/f1.2であるので、スペックだけ見たら同じような
レンズなのに、両者は、まるで撮りかたが変わるところが面白い。

なお、最短撮影距離は、60cmと、標準レンズとしては不満な
性能である(一般的な標準レンズの最短は、45cm~50cm)
コシナ社の他のMFレンズ製品の多くは、寄れることを特徴としており、
多くのレンズにMACROの名前を冠していた(まあ実際には、1/3倍や
1/4倍程度でも、マクロと言っていた製品も多かった模様である。
このあたりはメーカーによっても基準が異なり、1/3倍以上を
マクロとしたり、1/2倍以上をそう呼ぶ例もある。そうした規格も
決まっておらず、おおらかな時代でもあった。けど、混乱するので、
個人的には、1/2倍以上無いとマクロとは呼んで欲しくないのだが・・)

寄れないのは、大口径レンズなのでやむを得ないかも知れない。
第一、冒頭の XF56/1.2 APDにいたっては、最新レンズであるのに、
最短撮影距離が70cmと、非常に不満な性能なので、それに比べたら、
こちらの60cmの方がまだましか(汗)
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最短が長い事から、無理して近接撮影をしようとすると、ストレス
となるので、中距離での自然なボケを楽しむような撮りかたとする
のも良いであろう。

すなわちボケ量は、レンズの焦点距離、絞り値、センサーサイズが
同じであれば、後は撮影距離(と背景距離)より決まる、よって、
f1.2の大口径レンズによる大きなボケ量を得たい場合は、近接撮影
に持ち込んだ方が、その効果をはっきり出すことが出来る。

そういう意味では、本シリーズ第0回(マイクロフォーサーズ・
マニアックス)と、第14回記事で紹介した、NOKTON 42.5/0.95は
f0.95の超大口径に加えて、最短撮影距離23cmの超絶性能なので、
こうしたCOSINA MC55/1.2や 56/1.2APD等の寄れない大口径
レンズに比べて、焦点距離はやや短くても、はるかに大きなボケ量を
得ることができる。

あと、大口径レンズの課題は、明るすぎることだ。
いつも書いているように、f1.2級のレンズを最低ISO100のカメラ
で晴天屋外で使う場合、1/4000秒の最高シャッター速度では全く
足りず、概ね1/16000~1/32000秒のシャッター速度が必要となる。
銀塩・デジタル時代を通じ、過去、ごく僅かなカメラでは、
1/16000秒のメカシャッターを搭載していたり、1/32000秒の
電子シャッターを搭載していたり、デジタルNDフィルターを搭載
しているケースもあるが、一般的なミラーレス機のメカシャッター
の場合、ほとんどが1/4000秒、良くても1/8000秒である。
よって、これらのf0.95~f1.4級の大口径レンズを使う場合、日中で
絞り開放で使うには、ND8程度の減光フィルターが必須となる。

XF56/1.2R APDには、嬉しい事にND8が付属していたし、
NOKTON42.5では最初からミラーレス機では無理だと思って、
ND8も同時購入していたのだが、このような大口径レンズ各々に、
そのフィルター径に合わせたNDフィルターを揃えるという訳には
行かないであろう。

まあ、たまたま、NOKTON42.5/0.95と、本MC55/1.2は、
58mmΦと同一フォルター径なので、ND8をこちらに流用すれば
良いのだが、使うたびにフィルターを交換するのも面倒だ。
それならば、被写体に気をつけて、背景ボケを狙うならば暗所の
被写体、明るい場合には、絞り込んでも良いような被写体を
各々探した方が簡単だ・・
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本レンズの購入価格だが、1990年代に新品で17000円であった、
その後、もう少し値段が下がり、2000年ごろに、15000円前後で
販売されていたと記憶しているが、その頃に生産中止になったのか、
そこからはめっきり市場で見なくなってしまった。

恐らくマニアしか購入しなかったレンズだろうし、マニアはなかなか
手離さないであろうから、中古流通は玉数が少なく滅多に見かけない。

2000年代に一度見かけたが、店舗側が相場不明なため、定価から
類推してつけたのか? 2万円台中ほど、という価格がついていた。
「新品より高いじゃあないか」と、ちょっと愕然としたのであったが、
まあ、発売当時の新品割引率の大きさはさておき、中古でも1万円台
前半くらいであれば悪くは無い買い物だろうと思う。

ほぼ類似のスペックのAPDと比べると、APDを買う値段で、
本レンズが10本近くも買えてしまう、優秀なSIGMA A60/2.8DNも
同様に10本近く買えるであろう、勿論同じレンズは10本も要らないが、
同じ予算で、あれもこれも、安くて良いものを買う事はできるという事だ。

レンズの値段は原価(コスト)では無いなあ、と痛感する次第である。
同じようにガラスを使っている工業製品だ、値段が10倍も違うというの
は、なんとも納得がいきにくい話だ、結局、「(ユーザーが)欲しい
と思うから、その値段を出して買う」という事につきるのであろう、
だとすれば、やはり、同じお金を払うのであれば、よりコスパの高い
製品を求めるのが、正しい方向性だと思うのだが・・

今回はこのあたりまでで、次回シリーズ記事に続く。

ミラーレス・マニアックス(31)

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安価な中古ミラーレス機とマニアックなレンズを組み合わせ
アダプター遊びを楽しむシリーズ記事、第31回目

今回は、このシステムから。

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カメラは超小型軽量ミラーレス機 PNETAX Q7
レンズは、Q用の 04 TOY LENS WIDE 6.3mm/f7.1である。

PENTAX Qシリーズのレンズは、標準的な描写力を持つシリーズ
01単焦点標準、02標準ズーム、06望遠ズーム、08広角ズームと、
描写力をあえてトイレンズ風としたシリーズ
03魚眼、04単焦点広角、05単焦点望遠,07単焦点ボディキャップ
の2つの系列に分かれる。

このレンズは「トイレンズ系」であり、基本的に高画質と言う訳
ではない。
また、Qシリーズは、初期のQおよびQ10が、1/2.3型撮像素子、
後期のQ7およびQ-S1が、1/1.7型撮像素子である。

同一シリーズの(デジタル・ミラーレス)一眼で、途中でセンサー
サイズを大きく変えるケースは珍しく、このQシリーズと
NEX→α7の例しか無かったと思う。
で、センサーサイズが変わって、(35mm銀塩)換算焦点距離(画角)
における倍率は、Q7の場合レンズ焦点距離の4.6倍が基本である。

すると、このレンズは、6.3x4.6=約29mm画角相当の広角レンズと
なる筈であるが、PENTAX のWEBサイトによると、何故か換算画角
は33mmとなっている(この理由は後述しよう)

まずは写り。
c0032138_20495254.jpg

基本的に高画質レンズではない。それと、QシリーズのTOY系の
レンズ群はどれもピントが甘く、Q7に装着するとなおさらに
それが顕著だ、MFレンズであるので、Q7の貧弱な背面モニター
解像度と、精度の悪いピーキング機能では、ピント合わせは
困難であると言えるし、無限遠などの被写体はヘリコイドを
いっぱいに廻しても、どうもピントが合わない模様だ。

で、まあ、そのあたりはどうでも良い、トイレンズであるから
できれば、あまりシャキっとは写って欲しく無いわけだ。
トイレンズに求めるのは、そうしたユルい写りである。

そして、Qシリーズの私が思う最大の長所は、エフェクト母艦
としての利用である。小型軽量というのは最大のメリットだとは
思わない、その結果としてセンサーサイズや操作性等いくつか
のカメラとしての必要な部分を犠牲にしているし、小型とは言え
意外に中途半端なサイズであるので、カメラバッグの仕切りの
1つを占有する点では、他のミラーレス機と大差ないからだ。

長所であるエフェクトに関しては、その多彩さ、操作系の良さ、
オリジナルエフェクトが作れる事など、他のミラーレス機の
追従を許さない。
まあ、そういった理由から、Q7での撮影では、たいてい何かしら
のエフェクトを掛けて楽しんでいる事となる。
トイレンズ系の場合は、元々高画質は期待できないので、さらに
そうしたエフェクトの重要度が増し、創造性を用いて遊ぶような
撮影スタイルとなるであろう。

さて、本レンズ、04 TOY LENS WIDEは、そうした目的には
最適のように思えるが、無限遠にピントが合わないの問題だけは、
かなり気になる。
反面、最短撮影距離は、驚異の7cmである。
c0032138_20515232.jpg

まあ、実際の焦点距離が6.3mmのレンズであるから、最短はその
10倍で、6cm前後というのは納得のいく話だ。

6.3mm/f7.1のレンズであっても、7cmまで寄れば背景をボカせる
ほど被写界深度が浅くなるのはちょっと驚きであるが、まあ、
思えば、初期のGR Digitalシリーズが、本レンズと同等の焦点
距離6mm程度で、Q7とほぼ同等のセンサーサイズで、f値こそ
違えど、最短の1cm程度まで寄ることで背景を盛大にボカせた事を
考えれば、Q7+本レンズで背景がボケるのも、当然と言えば
当然であろう。むしろGR Ditgalの前例を考えると、もうちょっと
寄れてもよかったかも知れないとも思ってしまう。

でもまあ、本レンズにしても、寄れる、というだけであり、
近接においてもピントがかっちり来ないユルい写りなので、
あまりそのあたりの性能面をとやかく言ってもしかたが無い。
c0032138_2053834.jpg

Q7のセンサーサイズ1/1.7型における換算画角であるが、
どうやらちょっと変わったことをやっているらしい。
トイレンズシリーズはやはり、イメージサークルが大きく
なったセンサーサイズには対応していない模様であり、
一度1/2.3型相当でクロップ撮影してから、1/1.7型相当に
拡大補完しているとの話を聞いた。
なので、6.3mmレンズが33mm相当(5.2倍)と、Q7の本来の
4.6倍とも、Q10の5.5倍とも異なる、半端な値になる模様だ。

本レンズ、TOYY LENS WIDEの購入価格は、中古で4000円弱。
まあ新品でも6000円程で購入できると思う。

この中古には保証書が付いていて、わずか1ヶ月前の大手量販店
の判が押してあった。恐らくは、前ユーザーは、買ったものの、
写りの酷さに驚いて、すぐ手放したのであろう。
もしかすると「トイレンズ」という意味がわかってなかったのかも
知れない。
しかし買取代金は半額以下だったろうと思うので、差額は丸損だ。
まあ、そういう類のレンズと理解して、上手く使いこなすので
あれば十分面白いレンズだと思うのだが、買ってすぐ手放す
のはお金をドブに捨てているのと同じで、勿体無い話だ。

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さて、次のシステム。
c0032138_205551100.jpg

カメラは、LUMIX DMC-G5  特殊レンズ、および望遠系
MFレンズの母艦としているマイクロフォーサーズ機。
ベースISO感度が高い事や、デジタルズームの操作系が優れて
いる事がその理由で、望遠のテレ端をさらに拡張できる。

レンズは、TAMRON SP 500mm/f8ミラーレンズ(55B)だ。

「ミラーレンズ」と「ミラーレス」は、語感が似ているので
ビギナーユーザーは混乱するかも知れないが、前者については
「反射光学系レンズ」という事で、厳密にはガラスレンズではなく、
反射用のミラー(反射鏡)が入っている物だ。
つまり、反射式天体望遠鏡と類似の仕組みであり、よって、
写真用レンズにおいても、ミラーレンズは主に望遠域で使用される。

長所は、長い焦点距離(この場合は500mm)の割に小型軽量な事、
そして安価な事である。
短所は、絞り値の調節が出来ないこと、AF化が難しい事(一応
AFミラーレンズは、ミノルタ製が1機種存在する)さらには
ガラスレンズよりも画質が落ちる場合が多い事だ。

そして長所か短所かは微妙な点として、ボケがリング状になる
事である。
c0032138_20572923.jpg

今回は、リングボケについては、できるだけ出さないようにし、
G5の特徴である「ファンクションレバー」にデジタルズームを
アサイン可能な事から、本レンズを銀塩換算1000~2000mm/
f8の超望遠ズームとしての目的で使ってみることにしよう。

ただし、G5にも、勿論ミラーレンズ側にも手ぶれ補正機能は
入っていないし、そもそも1000mm超の超望遠域においては
被写体がファインダーからフレームアウトするくらい大きな
ブレが発生する(勿論、三脚は邪魔になるし、アングルの自由度
が無くなるため、このような場合でも使用しない)

それから(換算)800mmを超えると、被写体を見つけたとしても、
そこにレンズを向けて、ぴったりと被写体をフレームに入れること
すら難しい。ただ、これも練習次第の要素もあり、最近1000mm超
の超望遠撮影を(本シリーズ記事でも)色々とやっているので、
1000mmくらいであれば、レンズを向けたところに、だいたい
被写体を捉えられるようになってきた。

けど、ブレの方はやっぱり盛大に出る、1500mmを超えると
フレーミングがかなり怪しくなってきて、2000mmwを超えると
ブレてフレームからはみ出してしまうケースが多くなり、
3000mmを超えると、もう、偶然でしかフレーム内に被写体を
捉えることはできない、まあ、こうした限界点もわかって
きたので、あとはさらに技術を高めるか、あるいは手ブレ
補正機能内蔵のマイクロフォーサーズ機(Olympusであれば
一般的、Panasonicでは数が少ない)を購入して、それで
どれくらい超々望遠域の手ブレが緩和できるのか、試して
みるとしようか・・
c0032138_2058551.jpg

本レンズの最短撮影距離は、(500mmの)ミラーレンズと
しては極めて短く、1.7mである、なので、こうしたマクロ的
な撮影も可能である。

ただし、これはかなり遠くから撮っている。2mは超えている
距離であろう。感覚的には望遠マクロと言うよりは望遠鏡だ。

そして、ミラーレンズをデジタル(APS-C機またはμ4/3機)で
使った時に毎回思うことだが、どうも最短撮影距離が、スペック
上より長くなっている気がする(?)

第9回記事のKENKO 400/8 もそうだし、第20回のMINOLTA
RF250/5.6の時もそうだった、ミラーレンズに書かれている
指標の最短の数値までピントリングを廻しても、ちゃんと計測は
していないが、なんとなくその距離まで近寄れていない気がする。

これはあくまで「気のせい」なのであろうか?つまり、
一般的な望遠レンズは、135mm程度の焦点距離だと1.3m程度
の最短撮影距離であるから、そのようなつもりで、400mmや
500mmのレンズを使うと、3mとか4mとか、慣れない間合いと
なる事から、寄れていないと錯覚するのであろうか?
それとも、デジタルだから(センサーサイズが小さいから)
最短撮影距離が伸びているのであろうか?後者は光学的には
あまり考えられない事であるが、ミラーレンズの時にばかり
その感覚が起きるので、ミラーだと光学系の理屈が何かしら
変わってくるのであろうか・・?(そのあたりは不明である)
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TAMRON 500mm/f8ミラーは、ロングセラー商品であり、
1970年代後半の55B型(本レンズ)や、その後、
1980年代~2000年前後の55BB型という風に、長期に渡り
販売が継続されていた。

いずれもマウントは「アダプトール2」であり、各社のMFマウント
にユーザー自身で換装可能、まあ、これは銀塩MF時代は非常に
重要な長所であった。つまり、このレンズを1本持っていれば、
アダプトールを交換すれば、ニコンでもキヤノンでもペンタックス
でもミノルタでもオリンパスでもコンタックスでも、どのメーカーの
MF一眼にでも装着できたのである。この時代のマニアは、
複数のマウントの一眼を所有する事は「常識」であったので、
本レンズは「望遠はこれ1本で共用する」という意味においても
マニアの所有率はかなり高いレンズであったのではなかろうか?

そして、最短撮影距離が、この手の望遠レンズにしては極めて
短い事もあり、その点においても人気の一因であろう。
画質も、ミラーレンズだから悪かろうという常識を覆して
そこそこ良く写る。

ピントリングの回転角の割合が、一般的なガラスレンズとは
異なるので、ピントが合わせにくい印象があるが、まあそれも
慣れの範疇であろう。
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何よりも嬉しいのは、価格が安価な事だ。
普通、500mm級の望遠レンズというと、最低のスペックで
あっても、中古で5~6万円以上、ちょっとまともそうなもので
中古でも数十万円と極めて高価だ。

本レンズの購入価格は、1990年代で23000円、ただしこれは
本レンズが人気が高かった時代の話だ、その後、中古相場は
じわじわと下落し、2000年代で1万円台、現在では、場合により
1万円を切る中古もたまに見るまでに値下がりしている。

本レンズはマニア必携レンズの1本だ、ましてや1万円を切る
価格であれば何も躊躇する必要は無い、安価なものを見つけたら
入手しておくべきであろう。

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さて、次のシステム
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カメラはお馴染み、Eマウントでのアダプター母艦のNEX-7
あまり良く書くと相場が上がってしまうのを懸念しているのだが、
本カメラはEマウント最強の操作系を誇るが、フルサイズのα7
人気の影に隠れて相場が暴落、極めて高コストパフォーマンスと
なっている旧最高級機だ。まあでも、この高度かつ複雑な操作系は
ビギナーユーザーには使いこなせないだろう事は明白であり、
プログラム露出やフルオートでAFズームレンズを使って撮って
いるようなユーザー層には推奨しない。そういう使い方で
あれば、もっと安価な中級NEXやαで十分だからだ。本NEX-7は、
カメラの全ての機能のうち、少なくとも9割以上を理解している
ユーザー層で無いと上手く使えないカメラである。

そして、レンズは、コニカ HEXANON AR52mm/f1.8である。
ARヘキサノンは、本シリーズ過去記事でも何度か紹介しているが
まあ、どのレンズも比較的良く写る。
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このレンズの発売時期 1960~1970年代にかけて、
であれば、恐らく他社レンズよりも描写力において優位性を
持っていた事であろう、「ヘキサノン」という名前が「神格化」
されていた事もうなずける。
ただし、いつも書いているが、ヘキサノンだから全て良いという
訳ではない。私は天邪鬼なもので、はるか昔に良いと言われて
いたからと言って、現代ではそれは通用しない事を、確かめて
みたいと思ってしまう訳だ。
これまで紹介した中では、AR35/2.8などは確かに現代でも
通用する写りを見せてくれていたし、さらに意地悪して、57/1.4
の大口径標準(昔は性能を出すのが難しかった)や、200/3.5
(望遠も昔は性能を引き出すのが難しい)を持ち出してみた
のであるが、まあ、どれもそこそこ写るのには感心した。
今回は、安物の小口径標準である52/1.8を持ち出してみる、
これはさすがに厳しいのではなかろうか・・?
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曇天でやや薄暗い光線状況での撮影、ただし、こういう条件は
むしろオールドレンズに有利だ、コントラストが高い現代の
レンズ(やカメラ)においては、光線状況はあまり意識する
必要性は無いかも知れないが、オールドの場合は、一般的に
良く写るだろうと想像される晴天時の撮影よりも、曇天や
やや暗所、フラット光などの方がむしろ性能を発揮できる。
(逆に言えば、高コントラスト被写体などには弱い)
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ホケ質はあまり良くない、というか、ボケ質破綻の回避方法
が難しいレンズだ。単純に絞り値を変えたくらいではあまり
改善が見られず、撮影距離や背景の絵柄などを意識して
おかないとならない雰囲気だ。

本レンズの購入価格は、1990年代に4000円とかなり安価
であった。

その後、デジタル時代になってARレンズ全体の相場は下落
傾向となった。まあ、アダプターが作りにくいマウントであったのも
中古相場下落の原因であろう。2010年代のミラーレス時代に
入ってから、ARマウント用アダプターは入手可能となったが
ARレンズそのものは、だからと言って相場が上がる事はなく
横ばいまたは下落(ちなみに、CONTAX Gシステムのレンズは、
アダプターが出来てから中古相場が上がってしまった)

結局、ARレンズは、その性能のわりに安価で、コスパが非常に
高い、難点は中古の玉数が少ない事であるが、見つけたら
オールドレンズ入門用に最適だと思う。
ただ、どうせヘキサノンを使う(買う)ならば、1960~1970
年代に神格化されたその性能の片鱗が診られる方が良いで
あろう、すると、これの他の標準レンズか,AR36/2.8か、
はたまた AR40/1.8かと、なかなか悩みどころにはなると
思うが、まあ、いずれ本シリーズで一通り紹介したあたりで、
お勧めARレンズを決めることとしようか・・

---
さて、次は今回ラストのシステム。
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カメラは「孤高のKマウントミラーレス機」PENTAX K-01だ。
AF/MFともにピント合わせの精度や操作系といった性能に
弱点を持つ、この課題に対処するため、ピント合わせの負担
が少ないレンズとの組み合わせを模索している最中である。

レンズは TAMRON SP 90mm-/f2.8 Macro である。
昔から名玉と称されており、マニア必携のレンズ、いわゆる
通称「90マクロ」を持っていないマニアは居ないであろう。

・・とは言え、このレンズは長い歴史を持ち、型番を指定して
あげないと正しく分類できない。このタイプは、72Eであり、
1996年の発売のAF版のものだ。

これ以前には、MF時代のf2.5版(52B,52BB)、f2.8版(72B)、
およびAF時代になってからのf2.5版(52E)が存在しているし、
これより後の同じf2.8版でも、172E,272E,F004と、多くの
型番のモデルが存在する。これらは時代の変遷とともに、
スペックも価格もまちまちであるが、いずれもフルサイズ
対応であり、基本的には、f2.5版とf2.8版の2つの大まかな
光学設計の差異がある。
172Eからのデジタル対応での後玉の小改良とか、超音波モーター
内蔵手ぶれ補正機能などの付加機能に拘らなければ、AF初期の
f2.8版の72E(本レンズ)でも十分である。

ただし、MFのf2.5版はずいぶんと描写の性格が異なるので、
52BBあたりを1本併用して持っておくのも悪くないであろう。
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本レンズは、f2.8版になったと同時に近接域での性能に重点を
置いて設計されるようになった、その為、中距離撮影などでは
ボケ質が旧タイプ(f2.5版,52BB等)に比べて固いイメージがある。

ただまあ、それは両者を比較した時の話であり、本機を1つの
レンズとして見れば、ボケに関しても全体的にさほど悪くない。
例のボケ質破綻は、発生する場合があるので、絞り値や背景の
絵柄などに注意して、それを回避するのが良いと思われる。

K-01の貧弱なピント性能との組み合わせにおいては、当初
「ダメな組み合わせとしての限界確認」としてテストするつもり
だったのが、意外にスムースにピントが合う。まあ、もっとも、
それは条件によりけりで、いったんピントを外してしまうと、
遅いコントラストAFがいったりきたり往復するので、待って
られずかったるい。ちなみに、MF操作はピーキング機能の精度、
背面モニターの解像度、拡大操作系、などの悪さにより絶望的
なので、本来ならばMFで使うことが90%以上である「90マクロ」
であってもMF操作を用いることができない。

AFが合う時には合うので嬉しくなって、できるだけコントラスト
AFが合いそうな被写体のポイントを見つけて「合わせに行く」と
まあ概ね快適に使うことができる、本来最もダメな組合わせに
なるだろうと覚悟して持ち出したのに、いったい何故だろう・・?

余談だが、AFが合いそうな条件で合わせる、というのはいかにも
エンジニア的な発想だ。つまり、技術的な原理・原則がわかって
いると、それを逸脱した操作を行わないのがエンジニアの心理
なのだ。これは長所ばかりではなく、短所になる場合もある。

例えば、プログラマーがソフトウェアを開発したとする、
そのデバッグ(問題点やミスの洗い出し)を開発者本人がやると、
本人はそのプログラムがどのように組まれて、どのように動作
するかを熟知しているから、それに沿った操作を本能的に
やってしまう、したがって、正常に動作しているように見え、
バグを洗い出す事が出来ない。
ところが、そのソフトの内部の事を、まったく知らない人が
操作すると、設計者が思いも寄らない操作を行うので、
バグやエラーがボロボロと発生するのだ。

私もプログラミングは若干できるので、こうした経験もある、
自分で動かしている時はまったく問題ないのに、他の人が
いじくると、エラーになってしまうのだ。
たとえばファイル名の中にスペース(空白)を入れたりして、
あとで、プログラムでそれを認識しようとしてエラーとなる、
「普通そんな使い方はしないでしょう?パソコンの常識だよ」と
言っても、世の中的にはそれは通用しない、どんなアマチュアが
いじくっても安全なようにする「フールプルーフ」は必須なのだ。

けど実際のところ、フールプルーフやフェイルセーフといった
対策の為にソフトウェア開発時に費やす時間は極めて大きい、
例えば、自分だけ使って動くような部分は全体の工数の3割で
出来あがったとして、残りの7割の時間は、そうした、誰がどう
いじくるかわからない部分の対応に費やされてしまうイメージだ。

そして、カメラにおいても、私が使う場合には技術内容や設計
思想を一応理解してから操作をするので、それにそぐわない
操作はしない、したがって、カメラに技術上の欠点があったと
しても、それを気にすることは基本的にはあまり無いのであるが、
「操作系」に関しては例外である。

つまり、ユーザーインターフェース設計は、写真を撮影する
という操作内容全般を理解してカメラメーカーが行う事なのだが
それがあまりに不出来であったり理不尽であると、すなわち写真を
撮るという行為を理解していない設計であると、ちょっと頭に来て
しまう、「メーカーのエンジニアは写真を撮っているのか?」と
疑ってしまうのだ、

まあ確かにデジタル時代、特にミラーレス機は、本来の写真を
撮るという基本部分に付加する機能が沢山ありすぎて、それらを
上手くまとめることが出来ていない可能性は高い。でも、多くの
機能を「とりあえず入れました」というだけでは、実際の撮影の
場では使えない機能になってしまう・・
そのあたりの良し悪しは簡単には見分けがつかないかもしれないが
まあ、購入時には注意する必要はあるだろう。
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余談が長くなりすぎた、TAMRON 90/2.8 Macroの話に戻ろう。
まあ、マクロレンズと言うと花や小物を撮る事が一般ユーザーの
マクロを買う目的のほぼ100%だと思うが、今回はあえてそうした
撮りかたはしていない。
理由はいくつもあるが、最大のポイントは、近接撮影時の
性能ばかり見ていても意味が無い、レンズとは様々な条件で
撮るべきものである、という点であろう。

他には、心情的には、マクロ撮影ではいわゆる「図鑑撮り」に
なってしまう事だ。「図鑑撮り」とは、良く言えばその対象
となる被写体(花、草木や昆虫など)の特徴をちゃんと捉えて
説明的に撮るという事なのだが、悪い意味で使われる場合は
何ら写真的な創造性を含まない撮影である、という意味になる。

別の言い方をすれば、花のマクロ撮影では綺麗に撮れたとしても
それは花そのものが綺麗であり、また、レンズなどの性能が
優れている為であり、撮り手の手柄がそこには何も無い訳だ。
ビギナーの頃であれば、マクロによる花の撮影とかは極めて
面白く楽しく感じるかもしれないが、ベテランともなると
花とかは敬遠される被写体の筆頭であるかも知れない・・・
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90マクロの写りについては、とやかく言う必要は無いであろう
それこそ星の数ほどレビューや作例などは世の中に存在するし、
マニアとして必携のレンズでもあるからだ。

本レンズの購入価格だが、2000年前後に20000円であった。
ロングセラーで様々なバージョンが存在しているが、一番効率が
悪いのは最新型を新品で買ってしまう事だ。まあ、色々と付加機能
が付いているかもしれないが、量販店で7万円以上という風な
価格帯になってしまうと、これではちょっと敷居が高い。
私が思う本レンズの適正相場は、やはり2万円までだ。
72E型であれば、その価格帯で、豊富な中古の玉数から
探す事は可能だと思うし、それで描写力が気に入って、さらに
懐に余裕があれば、超音波モーターでも手ブレ補正版でも
好きなように新しいモデルにアップデートすれば良いと思う。

ちなみに、ニコン、キヤノンユーザーは不利だと思う、
それ以外のマウントであれば多くのデジタル一眼レフで
ボディ内手ぶれ補正が使える。
本レンズはPENTAXマウントであるが、PENTAXのデジタル機
でもボディ内手ブレ補正が効くので、安価な旧型の中古でも
十分である。尤も、花の撮影などでは、いくら手ブレ補正機能が
あっても、被写体の方が風などで動くので、殆ど意味は無いので
念のため・・・

さて、もう文字数が限界なので、次回記事に続く・・

【熱い季節2016】ドラゴン・ペーロン大会日程(5月~7月)

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さて、今年もそろそろ「熱い季節」がやってくる。

まずは大会日程の告知という事で、本年度前半期5月~7月の
近畿圏の主要大会の日程及び開催場所について紹介しよう。

今年の皮切りはこちら。

5月8日(日)第4回宇治川・源平・龍舟祭

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京都、宇治市で行われる、ドラゴンボート大会である。

京都でも有数の観光地である宇治で行われる本大会の特徴は
まずは観客数が多い事。

世界遺産、宇治平等院のすぐ裏手の宇治川で行われる大会
であり、勿論、観光誘致を1つの目的としている。
まあ、もっとも、今年の大会は、ゴールデンウィーク直後で
あり、観光客の入りの状況は良くわからない。

ただ、近年は、外国人観光客の急増などから、京都の
トップシーズンは何処も恐ろしく混雑する。観光地の混雑の
分散という意味においても、GWをちょっと外したくらいの
タイミングも良いのかも知れない。

で、観光客、観客に配慮しているという事からの、本大会の
1つの特徴としては、「仮装自由」の珍しい大会である事だ。
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地元のチームはもとより、「ドラゴン専業チーム」ですらも
思い思いの仮装で観客の目を楽しませている。

ちなみに、本大会は「市内の部」「市外の部」に分かれているが
これは実質的な「実力別カテゴリー分け」と同等であり、ビギナー
チームでも(市内の部で)上位入賞のチャンスがある。

もっとも、過去3回の大会を観戦した経験から言うと、
市内の部でも、ちょっと頭ひとつ抜きんでいるチームが
3~4チーム程あり、毎年、これらのチームの上位争いが
見ものとなっている。
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宇治川そのものは流れが速いので、大会は、宇治川の派流で
観光船などが行きかう半閉水面で行われる。狭いという事もあり、
各レースは2艘建てのマッチレースとなっている。

ただし、昨年までの状況を見ると、この会場ではちょっとした
問題点があった。レーン毎の状況が、イコール・コンディション
ではなく、漕ぎやすさや水流等が異なり、レーンによって、
結果的に2秒程度のタイム差がついてしまっていた。

昨年(2015年)の大会では、この状態を考慮し、予選では、
2回戦の各レースで、同一組み合わせによるレーン交代を行い、
できるだけイーブンな条件になるようにしていた。

ただし、準決勝および決勝戦では、レーン交代する余裕も無く、
1発勝負となるため、そうした対策が行えない。
(抽選)で厳しいレーンに当たったら、ちょっと不運な所もある。

まあ、この問題の原因は、恐らく川底の地形や水深の差にあった
のであろう。
で、最新情報だが、本年(2016年)、1月~3月(頃)にかけ、
宇治川の会場域水面は、大規模な工事が入っている。
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これが工事の模様、恐らくは、水害対策の工事だと思われる。

この写真の左側の地形は、中の島(通称:塔の島)と呼ばれる
宇治川の中に浮かぶ小島(人は住んでいないで公園となっている)
だが、2013年9月の大雨では、この島が殆ど水没するほど
宇治川が増水した。
まあ、そういった洪水対策もあっての川底改良工事という事で
あろう。

ただ、宇治大会参加経験のある選手の方が、この写真を見て
もらえればわかるように、工事場所はモロに大会のコースと
なっている。この結果、川底がどう変化して、前述のレーン毎
のコンディションの差がどうなるかは現時点ではわからない。

もしかすると、レーン毎の差はなくなるかも知れないし、
場合により、もっと別の形で条件に差が出てしまうかも知れない。

まあ、そのあたりちょっと不安もあるが、ともかく、本大会は
本年度、近畿圏では最初の大会になるため、楽しみでもある。

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続くは、5月22日の、東京ドラゴンポート大会(お台場)
であるが、残念ながら私はこの大会を観戦した事が無いので
写真の掲載や詳細の紹介はは出来ない、いちおう参考まで。

次いで、こちらの大会。

6月19日(日)第4回堺泉北ドラゴンボート大会
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大阪府、高石市の臨海工業地帯の海水面で行われる大会だ。
会場は恐ろしく広く、今では全国でも珍しくなった500mの中距離
レースが行われる(注:市内の部は、250mの短距離戦)

会場は「浜寺公園」の西側の水面と言えば分かり易いであろうか。
埋立地である工場群と浜寺公園の間の運河(浜寺水路)である。

ただし、電車を使った場合、最寄り駅からこの会場へのアクセス
はかなり遠い。このため、大会当日は高師浜駅から200mほど
西に歩いた「臨海スポーツセンター」前から、会場(選手村)までは、
無料シャトルバスが出ている。

しかし、一般観客の場合は、選手村から観戦する必要性は
あまり無く、浜寺公園側からでも十分にレース観戦は出来るので、
家族でお弁当片手に行楽がてら、というのもありだと思う。
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こちらも宇治大会同様に「市内の部」があり、ビギナーチーム
でも大会を楽しむ事ができる。

まあ宇治同様、本大会でも、近年、地元ビギナーチームの中から
強いチームが出てきていて、本大会で優勝のみならず、他地区の
大会にも参戦して優勝の実績を持つチームも居る。

見所は500mという中距離戦であろう、強豪ドラゴンチームも
よく全国(あるいは海外からも)から集まってくる大会であるので、
激戦が見られる時も多々ある。
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これは、昨年(2015年)大会のオープンの部決勝で、
国内最強の「磯風漕友会」が、同トップクラスの「bp」に
敗れた瞬間である。

「磯風」は、国内の大会では、ここ8年くらいは、出場した
(ドラゴンボートの)大会で優勝を逃した事はなかった。
だから、この磯風の敗北、あるいはbpから見たら「金星」は、
ひとつの「事件」とも言えるのであるが・・
続く翌月の「日本選手権」では、海外の超強豪チームが
優勝したものの、磯風2位、bp3位と、また順位が逆転した。

まあ、そのあたりも色々とドラマがある、詳細は長くなるので
割愛しよう。昨年の各々の大会観戦記事を見返してもらえれば
幸いだ。

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次いで、こちらの大会。

6月26日(日)第9回静岡県ドラゴンボート大会御前崎市長杯

昨年の本大会は、風速15m/sを越す強風により、残念ながら
大会当日に中止となってしまい、急遽行われたのがジャンケン
大会による、賞品争奪戦であった。
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まあ、ジャンケン大会は、意外なほどの盛り上がりを見せて
選手達はそこそこ楽しめた模様である。
大会中止は残念であったが、さすがに大自然の猛威に
勝つ事は出来ない。

ちなみに、数年くらい前までは、ドラゴン(ペーロン)大会が
中止になる事は殆ど無かったのであるが、2013年以降、
台風や強風などの理由で中止になる大会が結構目立つ。

ちょうどその頃から、「異常気象」というものが世間で言われ
始めた時期である。ドラゴンは、天候には比較的強いイベントで
あるが、今後もこういう事はあるかも知れない。

晴れていれば、御前崎大会はなかなかの盛り上がりを見せる。
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静岡近郊のチームならず、特に関東方面からのチームの
参戦が多い。

静岡では、他に10月の体育の日の連休に「ツナカップ大会」が
行われている。こちらも従来は関西地区からの参戦が少なかった
のだが、2015年、bp、関空飛龍、河童などのチームが参戦、
なかなかの盛り上がりを見せている。

関西から静岡は思うよりも近いのと、タイミング的に他地区の
大会とかぶる事も無いと思うので、関西圏からの多数の出場も
是非期待したいところだ。

なお、地元チームの数は多く、場合により計50チーム前後に
までなる事もある。
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古くから「実力別カテゴリー制度」を採用している大会なので、
初心者のチームでも楽しめることができる。

ドラゴンの大会では、旧来は「男女混合」「オープン」「シニア」
などのざっくりとしたカテゴリー分けが主流であったが、いわゆる
「ドラゴン専業チーム」と呼ばれる上級チームが出始めてからは、
ビギナーチームとの実力差が深刻になってきた。

よって、近年では、「チャレンジ」「チャンピオン」などの
実力別カテゴリー分が各大会での主流になりつつある。
ちなみに、前述の「宇治」も「高石」も、市外の部、市内の部と
便宜上なっているが、これらも、ほぼ実力別カテゴリーと言える。

静岡は風光明媚な土地であり、海産物をはじめとするグルメも
魅力だ、本、御前崎大会、そして10月のツナカップ大会は
私も毎年の楽しみでもある。
関西圏からのチーム参戦も大歓迎とのことなので、今年は是非
静岡の大会にも挑戦してもらいたい。

ちなみに、現在静岡県では、南海トラフ巨大地震による想定津波
被害対策の為、各港湾に順次、防潮堤の設置工事が進んでいる。
この為、御前崎大会の会場は、これまで大会を行っていた場所が
防潮堤設置により使い難くなってしまった、そこで本年から
会場位置を移動し、南側の港を使うという話も出ている。
(従来の200m戦から、150m戦となる可能性もある)

将来的にはツナカップ会場である清水港にも防潮堤が設置され
会場を移動する可能性もあると聞いている。
こういう被害対策は必須だと思うので、会場環境などでの多少の
不便は目をつぶりたいところだ。

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次は、こちらの大会。

7月3日(日)2016相生ペーロン競漕
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兵庫県、相生市で行われる伝統行事的な大会であり、すでに
100年近くの歴史があるという。

例年 5月末頃に行われる大会だが、今年は他の行事と日程が
かぶるということから、7月に変更された模様だ。

地元中心のお祭り的な雰囲気もあり、ちょっと県外チームなどは
敷居が高いイメージもあるが、それでも関西圏や長崎(ペーロンの
本場)からの参戦も目につく。

相生を地元とする男子強豪「磯風漕友会」(上写真)がともかく
強く、10年前後の期間、連覇を続けている。

しかし、2番手、3番手のチームも、それなりの実力がある
常連チームであり、決勝戦(ターン2回ありの 900m)では、
なかなかの激戦が繰り広げられ、見ごたえがある。
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「磯風」の兄妹チーム、女子強豪「スーパードルフィン」は、
さらに磯風の上を行き、十何連覇と、他の女子チームから
すれば、もう手がつけられない状態である。
また、磯風同様、「ドルフィン」も、日本選手権など関西圏の
ドラゴンボート大会でも連覇を続けており、磐石という感じだ。

相生ペーロンも、駅から選手村はかなり距離があり、駅に近い
港側の公園から無料シャトルバスで選手村に行くことができる。
一般カメラマンの多い大会であるが、選手村は「場違い」と感じる
のか、ほとんどのカメラマンは、公園側から観戦・撮影をしている
模様だ。
なお、前日には多数の花火が上がり、関西圏ではほぼ最初の
時期の花火であるから、数万人という観客が訪れる。
その余波で、ペーロン競漕の当日も、万単位の観客に恵まれる
大会である。

なお、ドラゴン・ペーロンの観戦撮影には、少なくとも銀塩換算
600mm以上の望遠レンズが必須になる。
三脚は、動き物被写体には百害あって一利無しなので使用不能だが、
600mmオーバー望遠での手持ち動体撮影は、ビギナーカメラマン
には機材的にも技術的にもハードルが非常に高いと思うので、
無理して撮影しようとせず、純粋に競技を観戦して楽しんで貰えれば
良いと思う。

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次いで、こちらの大会。

7月17日(日)2016天神祭奉納日本国際ドラゴンボート選手権大会
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大阪、天満橋の八軒屋浜で行われる、国内最高峰の大会。

古くは「天神大会」と呼ばれていた、四半世紀の長い歴史を誇る
ドラゴンボート大会であるが、2000年代後半より「日本選手権」
としてリニューアル、ちょっと参加料が高いのが玉に瑕だが、
まあ上位に入れば、それなりの名誉にはなる大会である。
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関西圏はもとより、東京、埼玉、静岡、愛知、四国、九州、
といった全国区、加えて海外チームなど、まさにオールスター
大集合の大会だ、観戦していても楽しく、極めてハイレベルかつ
スリリングな激戦が繰り広げられる。選手(チーム)の裏事情を
知ればさらに見所が増し、もはやそれは「ドラマ」であるとも言える。

観客はかなり多い大会なので、できれば、彼等一般観客にも、
そうしたチーム事情を知ってもらいたいと思っているのだが、
なかなかそれを伝えていくのは難しいのかも知れない・・
でも、それ(観客の理解と興味)が、ドラゴンやペーロンを
メジャーなスポーツにしていく第一歩でもあると思う。
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まあ、あれやこれやあるが、そのドラマはとても短い記事では
語りつくせない、過去記事などを参照してもらえれば良いと思う。
日本選手権は、ともかく、必見の大会だ。

----
さて、7月までの日程では、次がラストの大会だ。

7月24日(日)第25回 びわ湖高島ペーロン大会
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滋賀県、西琵琶湖の高島市で長い歴史を誇る大会である。
とは言え、ドラゴンボートのチームにはあまり馴染みが無い。

恐らくだが、「ドラゴン専業チーム」で本大会への参戦経験が
あるのは地元滋賀の2チームだけであろう。
(ただし、ペーロン、カヌー系チームでの県外からの参戦は
過去あった模様だ)

特徴は、極めてデンジャラスな大会であるという事。
すなわち、本大会のFRP製専用ペーロン艇は、他地区では類を
見ない特殊な形状、特殊な漕ぎ方を要求され、ビギナーチーム
は勿論、ドラゴン専業チームですらも相当苦戦する。

デンジャラスというのは、その操船が極めて難しい艇により、
蛇行、接触、衝突、舵の破損、クルーの落水、転覆など、
ありとあらゆるアクシデントが日常茶飯事的に起こる大会という
意味だ。

通常、ドラゴンやペーロンでは、チームの「監督」は、クルーと
して艇に同乗するが、本大会では監督は乗艇が禁止されている。
というのも、転覆などのアクシデントがあった際、岸に戻ってくる
メンバーの安否を確認するのが本大会の監督の役目なのだ!

まあ、でも、観戦する上では、これほど面白い大会は他に無い、
通常のドラゴン・ペーロン大会を見慣れている目からすると
様々なアクシデントは、衝撃的ですらある。
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高島市は琵琶湖の北西部にあたり、水質は南琵琶湖とは
比べ物にならないくらい綺麗である。
このため、大会を観戦する子供達はもとより、選手にいたる
まで、(大会中に)湖水浴を楽しんでいる事もよく見かける。

大会はターン有りの600m戦だ、ターンの良否が勝敗を分ける。

ちなみに、ドラゴンボートの大会はすべて直線コースのみで
戦われる。これは、ドラゴンボートとは古来の類似の各種競技
(ペーロン、ハーリー等)を規格化してルール統一した国際競技で
あるからだ。
ペーロンはドラゴンと類似競技であるが、そのルール上の制約を
受けない、なので国内のペーロン大会は、一部を除き、ほとんど
ターン有り、のルールとなっている。
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主催側の、高島市観光協会によると、
「ドラゴンボート強豪チームの参加大歓迎」という事である。

私もこの話には賛同する、この難しくもユニークな大会を
是非「ドラゴン専業チーム」で盛り上げてもらえれば良いと
思っている。ちなみに、本大会も実力別カテゴリー制なので
実力派チームであっても、地元チームに対する遠慮は無用だ。

さらにちなみに、入賞は、賞品ではなく、賞金(現金)なので、
そのあたりもプロ志向・競技志向の上級チームには魅力的であろう。
(まあ、専業チームが、あえてチャレンジの部(フレンドシップと
呼んでいる)に参加して勝つのは、ちょと大人気ないのだが、
賞金が出るのは、チャンピオンの部だけなので、そのあたりは
間違いなく上のカテゴリーに出る事になるだろう)

なお、本大会は、人気大会の「久美浜大会」(正式名称は
京丹後ドラゴンカヌー選手権大会)と良く日程が被ってしまうのが
参加しずらい原因の1つであったのだが、今年の久美浜大会は
翌月の8月7日開催予定なので日程がかぶらない。

また、日本選手権の翌週であることも若干参加しずらい理由と
なっているが、まあ、ドラゴン専業チームであれば、毎週の
ように大会に参戦しても体力的には問題は無いだろう、遠征費用や
参加料(安価である)は、優勝すれば賞金で楽に回収できる。

・・という事で、本年(2016年)の、5~7月のドラゴン・ペーロン
大会の紹介まで。 今年の「熱い季節」は、もうまもなくだ!

ミラーレス・マニアックス(32)

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安価な中古ミラーレス機に、少々マニアックなレンズを
組み合わせて楽しむシリーズ記事。第32弾。

まず、このシステムから。

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カメラは今回初登場のマイクロフォーサーズ機、
Panasonic DMC-GX7である。
この機種以前の全てのGシリーズは、レンズ側手ブレ補正
であったのが、本機で初めてボディ内手ブレ補正を搭載した。
2013年発売の比較的新しい機種である。発売当初から注目
していたのだが、高価であった。
最近やっと、3万円程度まで値段が下がってきたので、
それであれば良いかと、購入した次第である。

マイクロフォーサーズ機の特性上、換算焦点距離が2倍に
なるという事から、本機は、手ブレ補正機能を活かした
「望遠母艦」にするのが望ましい、そのような目的に使う
カメラにするとしよう。

レンズは、京セラ・コンタックスのプラナー100mm/f2である、
カールツァイス系レンズや、一部のロシアンレンズ等では
開放f値を先にするf2/100mmのような記述が正式な模様だが
私はこの方式に反対である、一部のメーカーだけ異なる表記
をしていたら、他との統一性が失われてしまう。

たとえば電池や電球やCDやSDカードやUSBメモリー等では、
どのメーカーのものを購入しても使う事ができる、これは当然
の事であろう。
趣味の世界においても、電子楽器では、30年以上も前から
MIDIという規格で、どのメーカーの楽器間でも相互に通信する
事ができる。

しかし、カメラの世界では、いつになっても共通(統一)
マウントが出来ないのは何故だろうか? 何故皆それに
不満を持たないのであろうか?

PENTAX は古くから M42やKマウントで規格の統一化をはかって
いたし、OLYMPUS やPANASONICがマイクロフォーサーズを
提唱しても、結局それに乗ってくるメーカーはさほど多くない。
それはまあ大手メーカーは自社の製品が売れなくなってしまったら
困るのだろうが、それにしても自分勝手がすぎなくは無いだろうか?

まあ、元を言えば、戦前のライカ対コンタックスが、そもそもの
走りであろう、両者のカメラは操作性から様々な表記までも、
全部逆にしてしまった訳だから・・それが現代に至るまで、
まだ、その弊害が残っている事がどうしても信じられない。
(例えば、ニコンは戦前の旧コンタックスを参考にして
Sシリーズを作ったため、それが、Fマウントの銀塩一眼レフや
現代のDシリーズデジタル一眼にまで引き継がれ、結果として
レンズの装着方向、露出補正の方向、絞りの方向、それらが
全て他社カメラと逆になっている)

そのメーカーの製品しか使わないという「信者」であれば
ともかく、私のように、ほぼ全てのメーカーの製品を使う
マニアック・ユーザーであると、こうした、1つのメーカーだけ
の独自性(自分勝手)はどうしても受け入れることが出来ない。

余談が長くなったが、本ブログではたとえコンタックスの
レンズであっても、100mm/f2のように焦点距離を先に書く
スタイルを頑なに守っている訳だ。

さて、プラナー100mm/f2(以下P100/2)の写り。
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第16回記事で、マクロプラナー100mm/f2.8を紹介した際、
「神格化」されたMP100/2.8よりも、本P100/2が良いと
実感していると書いた。

P100/2は、例の「プラナーボケ」と言われるボケ質破綻も
出難いし、逆に言えば、絞りの変化による画質の変化も
P85/1.4や、MP100/2.8より少ないので使い易い。
いや、使いやすいと言うと御幣があるかもしれないので、正確に
言えば「絞りを純粋に被写界深度の調整の目的で利用できる」
と言うべきであろう。
例えば、P85/1.4は、被写界深度を変えようと絞り値を調整
しようとすると、ボケ質が変化して時に破綻してしまったり、
焦点移動が起こってピント位置が変わったりしてしまうのだ。

P100/2の場合は、完璧とは言えないが、そのあたりの課題は
だいぶクリアされている。
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非常に高性能のレンズであり、場合によっては、京セラ・
コンタックスのY/Cマウント群の中では最良のレンズであるの
かも知れないのだが、このレンズがさほど評価されなかった
のは何故であろうか?恐らくは最大の課題はその価格であろう。

このレンズが販売されていた1990年代前後、
コンタックスのレンズ群の価格は、P85/1.4が10万円強、
MP100/2.8が20万円弱、本レンズは、定価178000円であった。

コンタックス党は、このあたりの焦点距離では、まずP85/1.4
を購入し、さらに予算に余裕があれば、MP100/2.8を購入する
まあ、これらのレンズは評判が良く「神格化」されていたからだ。
でも、さらにこれらに加え、似たような焦点距離のP100/2を
購入するユーザーなど、滅多にいなかったに違い無いし、
高価なコンタックスのレンズあれもこれも次々に買うような
ブルジョアなユーザー層が、レンズの性能のぎりぎりまで使い込んで
正当な評価を下す、などというケースはなかなか想定しにくい。

まあ、レンズをしっかり使いこむマニアであっても、お金を貯めて
コンタックスの中望遠を買おうとした際、神格化されている
P85/1.4やMP100/2.8を避けて、わざわざマイナーなP100/2
を購入するであろうか? いや、それはまず無い・・・
まあ、なので、本レンズは単純にユーザー数が少ないのだろうと
思われる、だから良い評判もあまり流れていなかったのであろう。
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私は、1990年代後半に、本レンズを新品で購入した、
行きつけの中古カメラ屋さんで、長い間売れ残っていた物だ
カメラ屋の店長いわく
店「もう誰も買わないので困ってますねん、
  匠さん、買ってくれないかなあ、お安くしておきまっせ」

ということで、定価178000円を、10万6000円まで
値切って購入した次第であった。
まあもっとも、私もそこまで懐に余裕はなかったので、
その代償として、P85/1.4を手離す事になったのだが・・
(でもP85/1.4の個性も忘れがたく、その後10年近くたってから
コシナ・バージョンの同一レンズ構成のP85/1.4を買いなおした)

ちなみに、P100/2の最短撮影距離は1m弱と、100mmレンズ
としては標準的な性能だ。
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GX7との組み合わせだが、基本的には悪く無い、200mm
相当の焦点距離は、静止被写体であれば手ブレ補正は効果が
あるし、G6/GX7以降のシリーズで搭載されているピーキング
機能も良く効く、ピント拡大時の画面分割も悪くない。

ただし、GX7のデジタルズーム系の操作系は、G5/G6に比べ
悪化している、これは、静止画撮影をメインとしているGに
比べ、GXだからそうなのかと思いきや、G7でさえも、GX7と
同様に、G6から一部の操作系が改悪されているのでちょっと
困ったものである。GX7の後継機のGX8では、また改善されて
いる部分も多々あるが、なにせ現在はまだ高価である。

G7の発売以降、G6の中古価格が急落しているので、現在G6は
狙い目である、ただし、私はG5を既に使っているので、G6の
選択は微妙なところだ、なのでまあ、GX7に方向転換した訳だ。

ちなみに、G5とG6の差異は微妙であり、目に見えるスペック差と
しては、G5の最高ISO感度は12800で、G6が25600。
そして、ピーキング機能なしがG5で、有りがG6。

目に見えない差異は、G5のEVFはピント合わせがしやすいが
ボケ質がわかりにくく、G6は逆で、ピントの山がつかめないが
ボケ質が若干わかりやすい。

他にも微少な差異があるが、実用面での差は上記しか無い、
中古相場は、G5が1万円台後半、G6が2万円台前半だ。
G7はまだ高価であるし、操作系が改悪されている部分もあるので
購入対象外だ、空間認識AFとかは、MFで使う上ではどうでもよい。

なお、GX7のEVFは、G5ともG6とも違うスペックだ、276万ドットと、
ミラーレス機の中では最高スペックの解像度、しかし、まだ
これを使っている期間が短いので、現段階での評価は避けておこう、
解像度の数値が高ければ良いというものでもないし、ちょっと
今後はシビアにそのあたりを見て、このEVFの特徴を掴むとしよう。
AFレンズでしか撮らないユーザー層には、わからないと思うが、
アダプターでMFレンズを使う上では、EVFの性能や特性は
生命線であるとも言えるのだ。

---
さて、次のシステム。
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カメラは LUMIX DMC-GF1、最初期のμ4/3機であり、同時期の
G1と比較して、小型化の為に簡略化されすぎたスペックにより
カメラとしての基本機能のピント合わせに弱点を持つように
なってしまった。後継機のGFシリーズでも、基本的な部分と
してのMF操作系の改善は図られてはいない。

また、派生シリーズとして前述のGX7の前機種のGX1は、
(注:他のGシリーズの型番が先行しすぎていたため、
GX1の次が、いきなりGX7になってしまった)
外観や操作系などはGF1と大差無いため、数値上のスペックが
上がっていても、あまり興味がもてなかった。
後期GFシリーズや、GX1を買うのであれば、GF1でも十分という
事であったのだ。

で、レンズはかなりマニアックな、インダスター26M 50/2.8
である、このレンズは、ロシアのFEDシリーズの付属標準レンズ
とされていたもので、ライカLマウントのレンジファインダー機
用のレンズである。

GF1に装着しているのは組み合わせ特性上の理由よりも、ボディ
との価格バランスが主眼だ、ともかく安価なレンズなのである。
なので、あまり高価なボディに装着するのはアンバランスだ。
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写りは典型的に「テッサー」臭い(笑)
テッサーとは、今から100年以上も前にツアイス社により
開発されたシンプルな構成の標準レンズであり、ガウス型が
標準レンズのノーマルな構成になり始める1960年代以前は
極めて多くのカメラの標準レンズとして使われた構成である。
本インダスターも、テッサー型構成を採用している。

テッサーの使いこなしは、f5.6~f8前後まで絞って、メリハリの
ある被写体を撮る事が基本である。
メリハリとは、まずコントラストや形状がはっきりしているもの
それから、色も原色系ではっきりしているものがあげられる。
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テッサー型レンズの弱点は4つある、
1)開放f値があまり明るくできない(f2.8程度まで)
2)最短撮影距離の長さ
3)条件によりボケ質が破綻する場合がある
4)焦点移動、すなわち絞り値を変えるとピント位置が変わる

このうち、1)はまあ良い、4)は、ミラーレス機で絞り込み
測光(絞込み撮影)であれば、これも全く問題は無い。
3)のボケ質破綻は、回避する技術があれば問題ない。

すると、最大の問題点は、2)の最短撮影距離である。

一眼レフ用の標準レンズであれば、(変形)ガウス型構成の
50mm標準レンズの最短撮影距離は、45cm~50cmである。
同、一眼レフ用のテッサー型3群4枚構成の45mm~50mm
標準レンズの最短撮影距離は、おおむね60cmと、ちょっと長い。

そして本レンズはレンジファインダー機用であるので、
その場合は、距離計の精度の問題から、どのレンズであっても
70cm程度が最短撮影距離になるのが本来なのだが、本レンズは
なんと最短1mである。

標準レンズで、この長い最短撮影距離は致命的に近い問題点
だと思う、一般にレンジ機では、広角レンズにおいて、本来は、
20cm~30cmであるべき最短撮影距離が、70~90cm程度に
まで(レンジ機の構造上・仕様上)伸びてしまうことが、大いに
不満であったのだ。

せめて、最短が近ければよかったものの、最短1mでは、
50mmレンズとしては、「使えないレンズ」となってしまうのも
やむを得ないと思う。
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本レンズは、アタリ(外観のダメージ)があるジャンク品で
2010年ごろの購入で、価格は1000円(!)であった。

しかし、この時代は、地方DPE店などの廃業から、一眼レフ用の
MF標準レンズなどが集められ、そのジャンク品が大量に販売
されていた。それらは1000円~3000円程度の価格であったので、
1000円のレンズでも安すぎると驚く事は無い。

むしろ、同じ1000円ならば、一眼レフ用の標準レンズの方が
使いやすいのは確かだ、それほど最短撮影距離の長さは致命的な
問題だと思う。まあ、将来Lマウントのヘリコイドアダプターを
入手して、そのあたりを緩和する手はあるが・・

---
さて、次のシステム
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ボディは、いつものDMC-G1である。
レンズは、SIGMA AF24mm/f1.8 EX DG
AFレンズであり、本来はAF(デジタル)一眼レフに装着して
用いるのがAFなどの機能制約が無く、本筋である。

AFデジタル一眼レフも、近年は中古が安価であり、2~3万円
程度も出せば、実用的に十分の高性能機を入手することができる。
優秀なレンズを買う予算で、ボディが2~3台買える訳であり、
つまり、ある1本のレンズを使う為に専用のボディを買うのも
アリという事である(=レンズの方が価値が高い)

で、今回あえてマイクロフォーサーズ機に装着している理由で
あるが、ミラーレス・マニアックスというシリーズ記事を
進めていく上で、従来はあえて掲載対象外としていた個性的な
一眼用AFレンズも、いくつか取り上げていこうと思った次第であり、
まあ、リファレンスとして比較の対象として行こうという理由だ。
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本レンズの特徴であるが、2000年頃の銀塩末期に「大口径広角
3兄弟」の1本として発売されたレンズだ、シリーズ第18回記事で
紹介したAF20/1.8の兄弟レンズであり、20mm,24mm,28mm
がラインナップされていた。

その発売当時は他にあまりなかった、広角で、大口径で、寄れる
レンズであり、普及し始めたAPS-C撮像素子のデジタル一眼に
装着した場合でも、それぞれ30mm,36mm,42mmの使い易い
画角となるので、銀塩、デジタル両用レンズとして重宝した。

寄れる、という性能は、前述のインダスターと対極にあり、極めて
実用的だ。本レンズの最短撮影距離は、18cmであり、24mm
レンズとしては(第16回記事の「サイコール」の16cmはさておき)
トップクラスの近接性能である。
ちなみに、第26回記事で紹介した、SIGMA AF24/2.8(この
レンズの旧型にあたる)も、本レンズと同じ18cmの最短だ。
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広角レンズは理論上は被写界深度が深いのであるが、近接すると
それに応じて被写界深度が浅くなる、その感覚は、一般的な標準
レンズ等に比べて分かり難い、つまり、広角でレンズの先ぎりぎり
まで寄れるレンズなど、他にあまり無いからだ。
だからこそ、本レンズを本来の(デジタル)一眼レフではなく、
ミラーレス機で使用する理由はある、被写界深度が直接EVFや
背面モニターで確認できるからだ。
まあ、この写真も、もう少し絞ってもよかったのだが、飲食店
の中だったので、あまり時間をかけて撮っても、餃子が冷めて
しまう(笑)
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本レンズの弱点は、フレアやゴーストであった。
あった、と言うのは、μ4/3機で使うとだいぶ様相が変わって
くるからだ、まず画角が狭いので、太陽などが入り込みにくく
なるのだが、これについては、見かけの画角が狭くなっていて
も、レンズは広範囲の光を取り込んでいるので、レンズの内面
反射などの問題は残っているかも知れない。
そして、銀塩時代では存在しなかった広角マクロ的な撮影技法
において、フレアやゴーストを回避するような撮りかたも意識して
出来るからである、まあ、後者は技法なので、μ4/3に限らず、
APS-Cでもフルサイズでも同じと言えば同じだが・・

それとフレアやゴーストは、そもそも悪か?といえば、これが
また微妙である、作画表現上ゴーストを取り込んだりする事は
今の時代の映像作品では、ごく一般的に行われている技法であり
そういう画(え)が欲しい場合に、ゴーストが全く出ない高性能
レンズだと、ちょっと寂しくなってしまう事すらある。

本レンズの購入価格は、2000年代前半に新品で38000円
であった(定価は5万円台ではなかっただろうか?)
その後、長期にわたって販売され、中古もたまに出ていたが
おおむね3万円弱程度の相場であったように思える。
しかし、最近、本レンズは新型のA24/1.4にリニューアルされ
同時に販売価格が10万円程度と、値段が跳ね上がってしまった。

その直前に旧型の在庫処分で、24/1.8の新品が量販店で
3万円程度で多数販売されていた、まだ残っているかも知れないし、
中古も今後も出てくるだろうから、まあ、焦って購入する必要は
無いのだが、コスパと使い勝手からすると、デジタル一眼レフ
ユーザーであれば、必携レンズと言っても良いと思う。

---
さて、次は今回のラストのシステム。
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カメラが、SONY NEX-7 フルサイズでこそ無いが、
Eマウント最強の高度な操作系を誇る名機だ。

レンズは、MINOLTA New MD 50mm/f1.4である。

1980年代前半に発売された、MF一眼レフ用のレンズ、
もっとも、それ以前にMD 50/1.4があり、New MDとなって
最小絞りのロック機構(すなわちプログラムAE対応)が追加
されただけであった、と思っていたのだが、どうやら、この時点で
レンズ構成にも手が入れられていた様子である。

ミノルタのMF一眼用標準レンズは、ロッコール時代、MC時代、
MD,Mew MDと、発売期間が長く、非常に多くの種類がある。
全て同じようなものかと思いきや、微妙に描写力などが異なる
ので、ミノルタの標準を集めているだけでも面白い。
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このNew MDは、ミノルタ標準の中ではどうか?と言えば
まあ、中庸な部類の性能であろう、最大の問題は、この当時
(1980年代)PENTAX や OLYMPUSの小型MF一眼レフが
流行していて、それらはボディのみならず、レンズも小型化され、
それまでの一眼レフのイメージである、大きく、重く、高価
という印象を払拭しつつあった。
そんな中、ミノルタも従来のMCシリーズ等のラインナップは
大型のレンズが多く、例えばフィルター径1つとってみても、
MC50/1.4は、55mmΦであり、他社に負けじと小型化する
必要性があった。

本New MD(MD)は、フィルター径は49mmΦに小型化されて
いる、勿論レンズ全体のサイズや重量も、従来のMCタイプに
比べて相当小さくなっている。

しかし、レンズの開放f値というのは、光を取り込む量、
すなわち有効瞳径、まあ簡単に言えば、レンズの大きさで
決まるのだ、レンズを小さくした事で、同じ開放f値を実現
する上で何か弊害は起こらなかったのであろうか?
実はそれはあった模様で、小型化の為に若干描写性能が
犠牲になっていた様子である。

後年、当時のミノルタでαなどのレンズ設計に関わっていた
元ミノルタの技術者の方から話を聞く機会があった。
彼は、そのあたりの技術の詳細は語らなかったが
「50/1.4は、MDよりMCの方が良いですよ・・」と一言、
まあ、それだけでも、私としては、その背景に何があった
のかは、だいたい察したのであるが・・

その彼も、銀塩時代は、ミノルタXEにMC50/1.4という
かなりマニアックなシステムで写真を撮っていた。
「XEですか? 普通はX-700か、ちょっと通の人であっても
X-1や、XD等、まあ、そこらへんでしょうが・・」
と思わず私は聞き返す。
マニアである私も、それらの一眼は一通り持っていたが、
XEまでは所有していなかった。

しかし開発に関わった彼が選んだシステムなのだから恐らく
それが最も正解だったのであろう、XEは「感触性能」に優れて
いるという事であったが、1990年代の私には、その性能を
正しく理解、評価することができず、結局、XDの両優先とか、
旗艦のX-1とか、見た目のスペックに走ってしまった訳だ(汗)

まあ、XEはマウントを変更して、ライカR3になったという事
からも、感触性能による高級感を持つカメラであったのだろう。
今から思うと、これを使っていなかったのはちょっと惜しい・・
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さて、New MD 50/1.4であるが、特筆すべき性能は持って
いない、まあ、ごく普通の標準レンズという訳である。

ボケ質の破綻が生じる場合もあり、絞り値のコントロールには
神経を使う。最高シャッター速度1/4000秒、最低ISO100の
NEX-7であっても、晴天時には絞りを開けて使う事が出来なく
なる(シャッター速度オーバー)、減光フィルター(ND4/ND8)の
装着が望ましかったが、今回は持ってきていなかったので、
やむを得ない。

思えば、私もMF銀塩時代は、50/1.4のレンズを、最高シャッター
速度1/1000や、せいぜい1/2000秒のカメラで良く使っていた
なあ、と思う、ISO100のフィルムを使っても、絞りを開けることが
出来なかったではないか・・

そういえば、MF銀塩一眼レフを使うビギナーユーザーで、
白トビしている写真ばかりになっているケースも良く見かけた
「絞り優先で撮りなさい」と言われても、露出の概念を理解して
いなかっただろうから、50/1,4でシャッター速度オーバーの
まま使っていたのであろう。

ベテランやマニアであっても、いちいち標準レンズにNDなどを
装着している人はあまり見かけなかった。ただし、PLフィルターを
装着していた人は多かったので、PLフィルターを正しく使用すれば
最大2段(4分の1)相当の減光効果は得られたのであろう、

まあ、でも、PL(偏光)の仕組みを正しく理解して、ちゃんと
使用しているユーザーの比率は、ベテランであっても、あまり多く
なかったように思うし、もしかすると、そのころ良く言われていた、
「レンズは絞りを絞って使いなさい」という、良くわからない
アドバイスに従っていただけなのかも知れない。
(MTF値を向上させるメリットはあるが、作画表現が制限される)
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さて、特徴の無いレンズに飽きてきたので(汗)NEX-7で
エフェクトを使用しはじめた、まあ、いざというときに、こういう
遊びが出来るカメラは、やはりオールドレンズ母艦としては
適していると思う。オールドといっても、面白いとか、良く写る
レンズばかりでは無いことも確かなのだ。

で、1990年代に、前述の元ミノルタ技術者の言葉を信じて、
私は、ミノルタ標準レンズは、MC系ばかりを集めていたのだ。
2000年代、デジタル時代になってしばらくは、ミノルタMD系
レンズは一眼レフ用のアダプターは作りづらく、活躍の場を
失っていたのだが、2010年代のミラーレス時代になってからは
MD系アダプターの製造が容易となり、このあたりのレンズも
揃って復活する事となった。

同じく2010年代、ちょっと前述したが、地方のカメラ店など
からの大量のMD一眼用レンズの流通が起こり、MCやMD系の
レンズが安価でよりどりみどりの状態になった。
その際、私は、これまであまり手を出していなかったMD系標準
も色々と入手、このNMD50/1.4も、その中の1本であり、
購入価格は、僅かに1000円であったのだ。

まあ、1000円でちゃんと写るレンズであれば、あまり文句は
言うまい、ちなみに、ジャンク標準レンズの流通は、現在
2016年ではほぼ止まっていて、整備されたB級品以上の品質
の中古が、だいたい相場として5000円~10000円の間で販売
されている、まあ、本レンズは、1万円も出す程のレンズでは無い
と思うので、もし購入する場合は、価格に注意する必要がある。

結局、色々と追加購入したので、ミノルタMF標準レンズは、
今7~8種類が手元ある、まあ、今後の記事でも順次紹介して
いく事にしよう。

さて、今回はこのあたりまで、次回シリーズ記事に続く・・

ミラーレス・マニアックス(33)

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安価な中古ミラーレス機をベースに、アダプター遊びを
楽しむというシリーズ記事、第33回目。

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カメラはマイクロフォーサーズでの望遠アダプター母艦と
している、PANASONIC DMC-GX7
レンズは、コシナ・フォクトレンダー アポランター
90mm/f3.5SL である。

望遠アダプター母艦とは何か?といえば、まず、μ4/3は、
換算焦点距離(画角)が2倍になる事で望遠に有利な事と、
GX7は、Panasonicで初めてボディ内手ブレ補正機能を
搭載した機種だからだ。

「それだったら、Olympusのμ4/3機だったら、もっと以前から
ボディ内手ブレ補正が入っているでは無いか」と思うだろうが、
Olympusの場合は、デジタルテレコンが不連続(2倍のみ)しか
動作せず、Panasonic の場合は、テレコンが2,4倍に切り替え
できる事に加え、デジタルズームが1~2倍までの間で連続可変
できる、よって、単焦点のオールド望遠レンズを、あたかも
超望遠ズームのように使用する事が可能なのだ。

ただし、この話には、2つ注意点がある、まず連続デジタル
ズームの操作がスムースに出来るのは、旧機種のG5/G6等であり、
新しいG7やGX7/GX8では、その機能に関する操作系が改悪されて
いて、あまり便利では無い事と、あともう1点は、Panasonicの
カメラでは「テレコン」の意味と「(デジタル)ズーム」の意味が、
一般的な概念からは逆になっている事だ、一般的にはテレコンは
レンズに装着するアクセサリーだから固定倍率で不連続であり、
ズームは勿論連続的に焦点距離を変化させる事ができる意味だ。
これが逆に定義されているのは非常にややこしく、操作をしていて、
逆の意味の用語が出てくると混乱してしまう。

Panasonicのカメラは、この他にも、ボケ量をボケ味と書いてあって
これも問題だ、「ボケ味」というのは一般的なカメラ用語では
ボケの「質」を表す用語であり、ボケの量と質はまったく別の
概念である事は。以前から何度も記事中で指摘している通り。

このあたりのカメラ用語の問題点は是非改善してもらいたい
ところだ、なんだかカメラの事をまったくわかっていない人が
用語を勝手に決めている印象を、ユーザーに確実に持たれて
しまうだろうから、メーカーとしても格好悪い事であろう。

さて、最初から余談が長くなったが、アポランターの写りだ。
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このレンズは2000年代前半に発売されたMFレンズである、
マウントは、当初は各MFマウントで発売されたが、その後
ニコンAiとM42のみとなり、そこからPKが追加され、
さらには、ニコンFのCPU内蔵型とEFが追加され、同時にⅡ型
としてレンズのサイズがコンパクト化されたが、現在では、
残念ながら生産中止になってしまっている。

コシナやフォクトレンダーの歴史については、本シリーズでは
何度も書いているので、今回は割愛する。

で、本レンズ、アポランター 90mm/f3.5は、
「コシナ社の最高傑作」と言われていた名レンズだ。

言われていた、というのは、近年、コシナはカールツァイスの
ブランドでの超高級レンズ群を多数リリースしているので、
贅沢にコストをかけて最新の技術をも導入されて作られた、
それらのレンズの方が、やはり高性能かも知れない、という意味だ。
で、そもそも、そうした贅沢レンズは、私は1本くらいしか持って
いないので、総合的に比較のしようが無い。
(自ら試してみないと納得いかないし、贅沢レンズを次々に、
ちょっと買ってみようか、とか思える程の懐の余裕も無いし、
そもそも値段が高いから写りが良いという訳でも無いだろうし)

では、ややこしいいので言い方を変えよう「フォクトレンダーの
最高傑作」? いや、それも近年の「ノクトン」シリーズが
あるから微妙な判定だ。ノクトンは描写力的には最高のレンズ
では無いが、f0.95の超大口径の表現力は何物にも変えがたい。
ならば「フォクトレンダー最高のコストパフォーマンスのレンズ」
ではどうだろうか?
う~ん、なんだか安物みたいに聞こえる(汗)
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まあ、呼び方はどうでも良い。
ともかく、このレンズは良く写るのだ。

しかし、90mmで開放f3.5という地味なスペックであるし、
MFであるし、「フォクトレンダーって何?」って言うような
ビギナーユーザーも勿論大半だろうから、本レンズの実力を
知っているユーザー層は極めて少ない事であろう。

私は、本レンズは発売直後に新品で購入したのだが、最初から
良く写るレンズだと思っていた。その後、雑誌だかムック本
だかに、このレンズのテストデータが乗っていたのだが、
その数値を見ると、殆ど収差が無いのに驚いたものだった。

それでも画面周辺は若干解像度が落ちたりしていたのだが、
今回のようにマイクロフォーサーズ機で使うのであれば、
もう何ら、そうしたレンズ性能上の欠点は無いに等しい
という事になるであろう。

ならば残る問題は、ボケ質およびその破綻である。
GX7の276万ドットのEVFは、ミラーレス機最高クラスの解像度
であるが、ボケ質の確認も、まあ、他機種のEVFよりわかりやすい
と思われる、で、そのEVFで見ている限り、条件によっては
ボケ質の破綻が発生するが、それはかなり軽微であり、実用的
には殆ど気にしなくて良さそうである。

ちなみに、GX7のチルト(傾く)方式ファインダーは、背面の
モニターと同じ方向にしか傾かず、縦位置のローアングル撮影
が出来ない、このあたり背面モニターが自在に回転する仕様の
Gシリーズに比較して不満な点だ。なお、後継機のGX8では、
背面モニターはGシリーズと同等になったが、EVFの解像度
が一般的な236万ドットに戻っている、なんだかこのあたり
Pananonic のカメラの仕様の変遷が、ちぐはくな気がしてならない。
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アポランターの話が少ないが、あまり弱点が無いので、つっこみ
ようが無いのだ。最短撮影距離も50cmと極めて短く、マクロ的な
利用方法も、このレンズの特徴である。
このレンズの総括としては、極めて優秀なレンズであり、マニア
必携と言っても良いであろう。

入手性だが、微妙なところだ。発売後10数年となるが、
その間、中古は数える程しか出てこなかったように思える。
元々、このレンズを買う一般ユーザーは皆無に近いだろうし、
マニアは購入したとしても、価値が分かるだろうから、これを
簡単には手離すはずが無い事であろう。

私は2000年代前半の発売直後の新品購入であったので、
47000円とちょっと高価であったのだが、その後、2000年代後半
には、安売りの店舗であれば、3万円台で新品販売されていた。
新品はもう殆ど無いと思うが、もし中古を見つけたとしたら、
このレンズの性能的価値であれば、3万円台であればOkだと
思われる、まあ多少高価であっても迷わず「買い」であろう。

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さて、次のシステム。
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カメラはちょっと微妙なポジションの DMC-GF1
最初期のμ4/3機であるが、小型化とともに簡略化された性能は
絶対的に不足気味であり、トイレンズ母艦にもなりきれない、
まあ、安価なカメラであるから「使い潰してしまう」のが良い
だろうと思っている。

レンズは、Olympus Body Cap Lens BCL-1580だ。
15mm/f8で、マニュアルフォーカスのレバーがついている。

他社のボディキャップレンズ、たとえば PENTAX Qシステムの
07 Mount Shield Lens や、FUJIの X Mount Filter Lens は、
パンフォーカス仕様であり、ピント合わせ機構が無いが、
被写界深度の計算上では、それらのレンズは完全にパンフォーカス
にはならず、無限遠等でピントがかなり甘く感じてしまう。

本レンズは、一応ピント合わせが可能であるので、その点に
関しては問題ない。
ただし、最短撮影距離は30cmと、15mm広角にしては控えめな
スペックであるし、ピント合わせに課題を持つGF1などでは
近接撮影ではピントが合う保証が無いので、中遠距離撮影に特化
するのが賢明だ。本レンズのフォーカスレバーには、無限遠
の少し前で、パンフォーカスとなるクリック・ストップが
あるので、あらかじめ、そこに合わせておけば、中遠距離撮影では
ピント合わせの必要が一切無い。
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本レンズは、開放f値が暗く、簡易式とは言えMFであり、かつ
安価なレンズである、こらの特徴に組み合わせるボディとしては、
高ISO、内蔵フラッシュ、内蔵手ブレ補正、高解像モニター(EVF)
で、かつ安価なボディが必須となる、Panasonic には残念ながら
この条件に当てはまるボディは存在しない(GX7/8は高価すぎる)

オリンパスだと唯一 E-PL2だけがこの条件を満たしている。
AUTOのままでISO6400まで上がり、内蔵フラッシュを持つ
(後継機のE-PL3からは内蔵フラッシュは廃止されている)
背面モニターは同時期の上位機種のE-P2等よりも解像度が
高い46万ドットである。中古相場も1万円以下と安価だ。
なので、ベストマッチングであるから、以前このレンズを紹介した
記事でも、ボディキャップとE-PL2とを組み合わせて使用していた。

今回は、以前と同じになるのは避けて、あえて低性能なGF1と
組み合わせている。
GF1は、スペックの老朽化が酷く、せめて何らかの長所があれば、
まだまだ使えるのだが、それもなかなか見つから無いので、
前述のように、早く使い潰すのが良いだろうという判断だ。

で、どこかGF1の良い所は何か?と思っていたが、まあ、
フィルムシミュレーション機能かなあ、という感じであった。
(まあ、他のGシリーズにも全て搭載してある機能だが・・)

一般的には、ダイナミックやバイブラントなどのカラーのモード
を選ぶのがノーマルだが、今回は、私もあまり使っていなかった
ダイナミックB&W(モノクロ)のモードをメインに使ってみる
ことにしよう。
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このレンズは、トイレンズと言うレベルよりは良く写るが、
一般レンズと同等と言うまでには及ばない、なので、ちょっと
中途半端な性能であり、ある意味、面白味には欠ける。

描写性能上の不満は、逆光時にフレアっぽくなる事だ、
だが、まあ、元々正規なレンズでは無いのでやむをえない。
(フレアでのコントラスト低下と元々の発色の地味さがあるので、
今回はモノクロモードを試験的に使っている)

性能に特徴が無く、むしろ中途半端なのであれば、本レンズの
存在意義は何処にあるのか?と考えるとなかなか微妙なものがあり、
あえて言えば、さほど必要性が多くないレンズであろう。
ただまあ、デザイン的な面白さとして、アクセサリー的に使うのは
ありだと思う。
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本レンズの購入価格は、発売から少したった時点で新品で5000円台
であった、その後、たまに中古が出てきているが、3000円台が
相場な模様だ。

なお、本レンズの姉妹品として、ボディキャップ魚眼、
BCL-0980(9mm/f8.0)が存在する、そちらは、本レンズよりは
少々高価だが、魚眼なので、撮っていて楽しさがあるので、
本レンズよりも、むしろそちらがおすすめだ、その魚眼レンズも
所有しているので、いずれ本シリーズで紹介してみよう。

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さて、次のシステム
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カメラは、Panasonic DMC-G5
ノクトン42.5mm/f0.95および超望遠レンズの母艦としている。

ノクトンの母艦とする意味は、G5の使いやすい2倍デジタルズーム
機能を用いて、銀塩換算85~170mm/f0.95相当の「超大口径
望遠ズーム」として使用しているからであり、
また、超望遠レンズの母艦とする意味は、デジタルテレコン機能
を用いる事であり、試験的に最大で6400mmまでの超々望遠撮影を
行った事がある。(第9回記事)

今回のレンズは、コニカ ヘキサノンAR135mm/f3.5である。
第21回記事で紹介したAR200/3.5と同時代のレンズであり、
1970年代のレンズと思われる。
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G5でAR135/3.5を使用する際、デジタルズーム併用で、
銀塩換算270~540mm/f3.5の超望遠ズームとして使う事が
出来る。

この画角であるが、私が長年ドラゴンボートの撮影で使っている
TAMRON 200-400mm/f5.6は、APS-Cデジタル一眼では、
300~600mm相当の超望遠ズームレンズとなるが、その場合と
ほぼ同等な焦点距離(画角)の感覚となる。他の人はいざしらず、
私の場合では、非常に慣れ親しんだ画角であり、今回の
G5との組み合わせにおいて快適に利用する事ができる。
ちなみに、デジタルテレコンを使用すれば、さらに換算
焦点距離を伸ばす事が出来るが、それが1200mmを超えると、
なかなか被写体を捉えるのが困難になってくる。

まあ、超望遠ズームは、実用的には、換算900mm程度までが
限界であろう、一眼レフ用の超望遠ズームも、実用的なものは、
望遠端500~600mmのものが普及している。
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で、G5には手ブレ補正機能が入っていない。
これはやはり超々望遠域の手持ち撮影ではだいぶ不利になる。
なので、それが(Panaで)初めて搭載されたGX7を購入し、
今後は望遠レンズ母艦は、GX7に任せようと思っていたのであるが、
GX7には、G5にあるファンクションレバーが無く、そこにデジタル
ズーム機能をアサインする事が出来ない。

GX7でも、デジタルズームは一応可能なのだが、Fnキーを1つ犠牲に
して、そこに機能を割り振り、それを押した後に十字キーを用いて
倍率を変えるように操作系が改悪されてしまったので、使い難い。
なので、望遠母艦をGX7に完全に置き換えるのは難しそうだ。

さて、AR135/3.5であるが、その時代(1960~1980年代)
には「神格化」されていた「ヘキサノン」であるにもかかわらず、
描写力はあまり褒められたものでは無い。

特に問題なのはボケ質が悪い事だ、これはレンズ構成が
極めてシンプル(4群4枚)である事も一因かも知れない。

ここまでの写真では、できるだけボケ質破綻を回避しながら
撮ってはいるが、実際には、イライラするほどボケ質が
簡単に破綻しやすく、その回避も難しいので、撮影途中で嫌に
なってきた程である。
c0032138_21175876.jpg

ヘキサノンAR135mmには、他に確かAR135mm/f3.2という
微妙にスペックの異なるレンズが存在していたはずである、
そちらは所有していないが、そちらはヘキサノンの名に
恥じない写りをするのであろうか? 

本レンズの購入価格だが、1990年代後半に5000円であった、
その時代は、第一次中古カメラブームであったから、
なかなか5000円とかで買えるレンズはなかったので
まあ、当時としては、安価であった訳だ。

現代においては、全く必要性の無いレンズであると思う。
(AR)ヘキサノンを買うならば、他に良いレンズが何本もある。

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さて、次は今回ラストのシステム
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カメラは FUJIFILM X-E1 、同社の初期のミラーレス機であり、
ルックスが良く、アナログライクな操作性は魅力的だが、
操作系全般とAF/MF性能に致命的とも言えるほどの完成度の
低さがあり、正直イマイチなカメラである。

まあでも、他の実用的なXマウント機はまだ高価であるし、
後継機でも操作系の問題点は、その多くが解決されていない。

先日、量販店のFUJIのコーナーに、メーカーの説明員が来て
いたので、そのあたりを問いただしてみたが、そこでわかった
事は、そういう立場の方であっても、「操作系」については、
そもそも問題点の認識が少ないという事だ。
こちらの言う課題は理解できたとしても、それが極めて重要で
ある事が、わからない模様であった。

操作系直接では無いが、以下のやりとりもあった、
私が「AFが遅い」と言ったら、「MFで撮れ」と言われたので、
「MFでは撮れない」といって、X-E1のMF操作系の問題を次々に
挙げると「古い機種だからしかたない、新しいのを買え」と言う。
が、新機種でも、MF操作系は改善されていないではないか!(怒)

まあ、この様子では、こちらの意見が開発サイドにフィードバック
される事は、まず無いだろうし、あったとしても、開発サイドも
重要度を感じていないであろう。もしそれが認識されていたの
ならば、とっくに後継機で改善されているはずであるし・・

だがまあ、カメラには欠点があってもしかたがない、
問題はそのカメラ固有の欠点をどうやって回避するか、という点だ、
あるいは回避できないのならば、長所を活かせば良い、
そういう意味では、X-E1にも勿論様々な長所が存在している。

そして、レンズの特性との組み合わせで、カメラの欠点が低減する
のであれば、その考え方を積極的に利用する必要もある。

で、私がXマウント機を購入した理由はただ1つ、
XF56mm/f1.2R APDという特殊レンズ(第17回記事で紹介)
を使いたいという、それだけなのだ。
Xマウント機でないと当該レンズは使えない、なので、とりあえず
安くて使えそうなボディとしてX-E1を買った次第だ。
私は、Xマウントでは他のレンズはフィルターレンズ1本しか
買っていない、様々な欠点を持つシステムである事がわかったから、
むやみにレンズを増やすことは止めている状況だ。

ただ、それでも多く撮らないと、ボディの減価償却が出来ない。
私個人のルールとして「1枚3円の法則」と言って、
購入したカメラは、最低でも1枚あたり3円になるまで、すなわち
「購入価格÷撮影枚数<3円」になる迄撮り続けなくてはならない。
(これは、次々にカメラを買ってしまう事への歯止めの意味もある)

しかし、最近はミラーレス機の中古価格の下落が激しく、この
ルールが簡単にクリアできてしまい、もっと厳しくする必要性を
感じている。
で、例えば「1枚2円の法則」プラス「そのカメラを1枚2円で
減価償却するまで、同一マウントのボディの追加購入禁止」という
新ルールを実行するかどうか迷っている次第だ。

で、X-E1の減価償却のために、ニコンF→Xマウントのアダプター
をとりあえず購入し、X-E1にニコン系のレンズも装着して
使えるようにしている。しかしながらX-E1のアダプター使用時の
MF操作系/MF性能も、致命的に近いほどNGである。

まあ、今のところは、使いにくさを我慢して、できるだけ
早く減価償却するしか無いであろう、まあ、そのためにも
様々な特徴を持つレンズが、どこまでならば使えるのか、という
限界性能は知っておく必要がある。(たとえばパンフォーカス系
レンズを装着すれば、MF性能は問題ではなくなる)

前置きが長くなったが、そういう経緯から、今回は広角の
ニコン Aiニッコール28mm/f2.8 をX-E1に装着している。
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本レンズは、1970年代後半に発売されたレンズである、
ほぼ同一の名称で Aiニッコール 28mm/f2.8Sというレンズが
1980年代に入って発売されているのだが、この2本は大きく
中身が異なっている、レンズ構成も異なっているのはさておき、
最大の差異は、Sなしの最短撮影距離が30cmで、
Sありが20cmだ。

28mmレンズでの、最短20cmは極めて強力な長所である。
しかし、本レンズは、最短30cmの旧型だ・・(泣)
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やはり最短が20cmでないと、間合いが伸びてしまい、ここぞと
言うときに寄れないという不満が大きい。

実は、何故こちらのレンズを買ってしまったのかは理由がある、
まず、1990年代、私はニコンAi28mm/f2.8を購入した際、
偶然にもSタイプを購入していた(性能の異なる旧型があるのは
知らなかった)しかし、2000年代初頭、やむをえない理由で、
このレンズは知人に譲渡してしまったのだ、でも必要なレンズ
であるから、しばらくして買いなおしたのだが、そこで買った
のが本レンズ(Sなし)であったのだ、
「あれ~? 確かこのレンズは最短20cmだったはず、これは
 何で30cmなの?」 
と、そこで初めて、仕様の異なる良く似た2つのレンズが
存在していた事を知ったわけだ。
でも、面倒なので、再々度これを買いなおすという事はしていない、
ちょっと悔しいが、知らなかった自分のミスであるのでしかたない。
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Aiレンズが販売されていた銀塩MF時代(1970~1980年代)では、
一眼レフ用で、広角の優秀なレンズはなかなか存在していない、
描写力からすれば、むしろ(最短撮影距離の問題は抜きにして)、
レンジファインダー機用の広角の方が優れていたくらいだ。

その理由は、一眼レフはミラーボックスの存在でフランジバックが、
おおむね40mm以上になってしまい、結果、40mm以下の焦点距離
の広角レンズを作ろうと、光学系を普通に設計すると、フィルム面
まで光が届かない(焦点が短い)よって、せっかく短い焦点距離
のレンズを設計したのに、レンズ後群で、わざわざフィルムまで
光の到達距離を伸ばしてあげる必要があったのだ。
これを「レトロ(遅れた)フォーカス」型と言い、余計なレンズ
群が入ることから、どうしても性能が劣化する。
じゃあ、ミラーボックスの制約の無い、レンジ用の広角レンズを
使えば良いではないか?と思うが、こちらは今度は最短撮影距離が
極めて長いという問題があるのだ。
現代の撮影技法においては、広角レンズは近接撮影能力が
生命線だ、寄れない広角は意味が無いと言っても過言では無い。

で、Aiニッコール 28mm/f2.8 であるが、凡庸な性能である。
一度手離してしまったので記憶に頼るしか無いが、最短
20cmのS型の方が良かったようにも思える(レンズ構成も違う)

まあでも、APS-Cやμ4/3機では、28mm広角レンズも42mmや
56mmといった標準画角となってしまう、そのあたりの画角を求めるなら
新しい時代のデジタル用の25~30mmレンズを購入した方が有利だ。

銀塩時代では必須であった28mm広角も、デジタルにおいては
使い道が少なくなってしまう。だったらフルサイズ機では?
と思うだろうが、残念ながらこの時代の設計のレンズでは
周辺収差・周辺画質・MTF特性・後群テレセントリック特性・
後玉反射・絶対的な解像度・コーティングなどの諸性能において、
現代の高画素フルサイズ機に装着しても、良い結果にはならない
可能性が極めて高い。
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まあ、ということで、本レンズの現代における必要性は
あまり高くない。ちなみに、私が2000年代前半に本レンズを
再購入した際には、中古価格は2万円であった。
(少々、いや、かなり高かったと思うので、失敗であろう)

が、ニッコールの代表的な28mm広角、という歴史的な意義で
本レンズを購入するのであれば、それはアリだと思う、
銀塩時代に一時代を築いたレンズであるので、デジタル時代
だからと言って、簡単に切り捨ててしまうのは勿体無い。

だが、購入する場合は、その最短撮影距離にはとても注意する
必要があるだろう、型番だけ見たら区別する事が難しいのだ。
実際にレンズを手にして、最短撮影距離が20cm型である事を
確認してから購入する必要がある。

中古相場であるが、程度により異なるが、1万円台前半という
感じであろうか。玉数は豊富にあるので、通販などに頼らず、
実際の店舗で実物を見て、納得いくものを購入するのが
良いと思う。

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さて、今回の記事の紹介レンズでは、アポランター90mm/f3.5
しか必要性の高いレンズが無く、かつ、それは入手困難な
ものなので、あまり参考になる要素が無かったかも知れないが
まあ、長くシリーズを続けていれば、そういう時もあるという
ことで・・
 
次回シリーズ記事に続く。

ミラーレス・マニアックス(34)

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安価な中古ミラーレス機にマニアックなレンズを装着し、
コスパの良いアダプター遊びを楽しむシリーズ、第34弾。

まずは、このシステム、

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カメラは おなじみ NEX-7
レンズは、TOKINA AT-X240 24-40mm/f2.8
このレンズの詳しい情報は不明だ、恐らくは、1980年代発売
のMF大口径広角ズームレンズである。
c0032138_20421541.jpg

ズーム比は2倍にも満たない、上に大口径と書いたが、
f2.8は単焦点レンズ使いの感覚からすれば、かなり小口径だ。
まあ、それでも銀塩時代においては貴重な広角の明るい
ズームてあった。

銀塩時代、この手の広角ズームにおいては、良く使われる
キャッチコピーとして、
「24mm,28mm,35mmの3本のレンズがこの1本に」
というフレーズがあった。

一見「それは便利そうだなあ」と思ってしまう名キャッチ
であるが、良く考えてみると。
いったい、24mm,28mm,35mmなどという近接した焦点距離
のレンズを3本も持って歩くだろうか?という疑問がある。

例えば撮り比べ等の場合を除き、そのような似通ったレンズ群を
カメラバッグに忍ばせてあるという状態はありえない、普通は
その中のどれか1本を持っていけば広角はそれで十分なのだ。

私の持論として「レンズ交換2倍画角の法則」と言うのが
あって、(超広角とか特殊な焦点域を除けば)、レンズの
画角(度)の比が、2倍になるまでレンズ交換はしない、
という法則である。

もう少し具体的に言えば、構図的に必要な画角とレンズの
焦点距離の比が2倍以下であれば、その手持ちの1本で何とか
撮ってしまえ、という意味である。
これは銀塩時代、トリミングが嫌われていた時代の法則としては、
やや厳し目の設定ではあるが、現代では画角2倍以内のトリミング
編集などは当たり前であり、デジタルズームすら一般的だ、
なので、むしろ、これより緩くしても良いくらいである。

で、本レンズの場合、APS-C撮像素子での対角線画角は、
約61度~約39度となる、これは2倍に満たないので、ズームで
なくても、フットワークやトリミング編集、そしてデジタルズーム
併用等で十分にカバーできる範囲であり、ズームの必要性が無い
という事になる。

分かり易い例をあげるならば、本レンズのAPS-C機での銀塩換算
焦点距離は36mm~60mmである。この範囲であれば、
普通は50mmか又は35mmレンズ1本で事足りる。
これは銀塩またはフルサイズ単焦点ユーザーであれば、容易に
感覚的に理解できると思う。
c0032138_20443384.jpg

ということで、じゃあ、この広角ズームの存在意義は?
と言えば、正直「ほとんど無い」という事になってしまう。

このレンズは銀塩時代から持っていたが、殆ど使用した事が無い、
理由は前述の通りで、どれか1本の単焦点広角を持っていけば十分
だからであり、さらに言えば単焦点レンズではf2.8は小口径だ。
なので、f2以下の広角レンズを持って行く方が大口径の有利さが
出るので、f2.8のような「暗くて、かつボケ表現力の少ない」
レンズを持ち出す気には余りなれなかった訳だ。

最短撮影距離は全域40cmである。40mmの望遠側ならば標準的な
性能であるが、広角側24mmに設定してしまうと、40cmは、かなり
長く感じてしまい、作画表現上ストレスを感じてしまう。
なお、本シリーズ記事で色々紹介している24mm単焦点は、
その最短撮影距離が、18cmとか中には16cmというツワモノさえ
存在するので、24mmで最短40cmでは、お話にもならないのだ。

・・という事で、すぐ飽きてしまったので(汗)
NEX-7の隠れた優秀な機能である「エフェクト」を使って
遊び始めてしまった。
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本レンズは、24-40mmの広角域で、f2.8を実現するため、
様々な設計上の制限があったのだろうと予想できる。
最短撮影距離が微妙に長いのもそれであるし、大柄な事も
弱点だ(フィルター径は72mmΦもある)

レンズ構成は13群17枚と複雑であり、その結果、レンズ間の
表面反射などが増幅され、フレアやゴーストが極めて出やすい。
その両者が同時に出た例をあげよう。
c0032138_20473174.jpg

このように、レンズを少し光源の方に向けただけで、盛大に
フレアやゴーストが出る。

これまで、このシリーズ記事では、単焦点レンズが殆どであり
ズームレンズの紹介は極めて少なかったと思う。
まあ、このシリーズもあって、しばらく様々な単焦点レンズ
ばかりを使っていたので、いくら古いとは言え、本レンズの
フレアとゴーストが、尋常なレベルでは無い事に驚いたともに、
古いズームレンズの性能的限界も再度認識した次第であった。

本レンズの購入価格は、1990年代に中古で17000円と、
性能からするとかなり高めだった。
だが、大口径広角ズームは魅力的なスペックであり、銀塩MF
一眼のFE2か、AFだがMF互換性の高いF4あたりで使用する
つもりで購入したのだった(本レンズはニコンAiマウントだ)
しかし、1~2度使った時点で、その性能の低さにがっかりして、
その後、長期間お倉入りとなってしまったレンズである。
勿論、現代においては全く必要性の無いレンズだと思う。

---
さて、次のシステム
c0032138_20485559.jpg

カメラはEマウント最初期のSONY NEX-3である。
基本性能は高いが操作系に弱点を持ち、特にMFレンズ
使用時の操作系は問題あり、で、その結果、小型AFレンズ
またはトイレンズの専用母艦としている。
ちなみに中古価格は安価で1万円を切っていて、コスパは
良いと思う。

レンズは、PENTAX M28mm/f3.5である。
1980年代のPENTAX 小型化志向の時のレンズである。

NEX-3はMF性能に弱点あり、と言いつつ何故MFレンズを
装着しているかと言えば、これは「限界性能チェック」である。
すなわち、MFが苦手なのはわかっているが、ピント合わせが
殆ど不要なトイレンズや超広角レンズであれば、NEX-3の
欠点を相殺して十分実用的だ、じゃあ、広角といっても、
どこまでなら使えるのか?という実験の意味もあった。
28mmレンズがまあ使えれば、それ以下の広角レンズは
楽勝という事になる。
c0032138_20495443.jpg

銀塩時代はPENTAX MXやRICOH製のMF一眼レフで使用した
レンズである、それらのMF一眼は小型軽量であったので、同じく
小型軽量を目指したMレンズとの相性はなかなか良かった。

PENTAXのAF一眼は、MFと同一のKマウントであったが、
私はPENTAX AF一眼をあまり使っておらず、所有していたのは
MZ-3、Z-1P、Z-20位であった、うち主力はMZ-3であるが、
もっぱら高性能AFレンズ(例:FA43/1.9)を使うのみであった。
銀塩末期では、PENTAX LXの1台で、MFもAFレンズもまかなう
事が普通となった、その理由は、LXのファインダーや全般的な
感触性能がとても優秀であったからだ。

デジタル時代、初期のPENTAX *istDsや、K-10Dでは、
Mレンズは(操作性には劣るが)なんとか使用できたが、、
近年のK-5やK-01では、Mレンズは絞りの制御が不可能となり、
活躍の場を失いかけていたが、他社機でアダプターを使用した場合
は、Mレンズであっても、他のKマウントレンズと同様に快適に使用
する事ができる。

デジタル時代で活躍できなかったのはもう1つ理由がある。
銀塩時代は、28mmレンズは必須の広角レンズであり、マウント
アダプターもさほど普及していなかったので、所有している
カメラの各MFマウントで、必ず28mm級広角レンズを揃える必要が
あったのだが、APS-C機においては28mmの広角レンズは42mm
相当の画角となってしまい、本来の広角としての用途に
ならなかった。

デジタル専用の新型広角レンズは、当初はさほど寄れない
ズームばかりが発売されて、殆ど魅力を感じなかった。
だが、GR Digitalという高性能な28mm相当のコンパクト機が
2005年に発売され、これがほぼ万能の広角コンパクトとして
使用する事ができたため、そこから5年くらいの間は
「広角はGRで十分、デジタル一眼では広角は不要」とまで
個人的には思っていて、銀塩時代の28mmレンズは、
その活躍の場を失ってしまったのだ。
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本レンズの描写力は、可もなく不可もなし、という感じで
あろうか?言ってみれば、特徴の無いレンズである。
最短撮影距離も30cmと標準的である。

PENTAX のMF時代のレンズは、その多くが「標準的」とい
う性能であった。だから悪いという意味ではなく広角でも
標準でも望遠でも、安定して使える性能という意味でもある。

例えば、50mm標準は、他社のレンズ開発時のリファレンス
(=参考にするために製品を解析し、同等かそれ以上の物を
目指す)に用いられていたと聞く。

SMC(スーパー・マルチ・コーテッド)を施したPENTAX のレンズ
の優れた基本性能や、レンズラインナップ間での性能の標準化
(=販売する様々な焦点距離や仕様のレンズで色味や他の
性能をできるだけ揃える)は、同時代の他社レンズ開発にも
かなり影響があった模様である。

しかし、それは同時に、他社レンズも同様な性能・性格に
なってしまったという事であり、AF時代初期(1980年代後半~
1990年代前半)において、PENTAXのレンズの他社優位性は
目立たなくなってしまっていた。
それが主な理由かどうかは分からないが、PENTAXは1990年代
後半から、他社に無い個性的なレンズの開発に着手する、
例えば、FA43/1.9やそれに続くFA-Limitedシリーズが一例だ、
その傾向は現代にまで続き「PENTAXレンズは個性的である」という
イメージがマニアはもとより一般ユーザーにも定着したと思う。

私としては、この傾向は非常に歓迎だ。写真というものは、
ただ単に、そこにある被写体を正確な映像として記録するもの
ではない、撮る人の感覚を写真に加えていく為には、解像度や
色味などの再現性が高性能であるレンズばかりでは面白みが
無いという事になる。
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本レンズの購入価格であるが、1990年代に12000円であった。
少々高かったと思う。
性能や玉数などから総合的に判断すれば、現代では8000円位が
妥当な相場だと思われる。

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さて、次のシステム
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カメラは PENTAX Q7 超小型のレンズ交換式ミラーレス機だ、
ただ、私は、このカメラは超小型な事がメリットなのではなくて、
優秀な「エフェクト母艦」としての性能や操作系が最大の特徴だと
思っている。

組み合わせるレンズは07 MOUNT SHIELD LENSだ。
すでに、本シリーズ第4回、第14回で紹介しているレンズだが
非常に個性的な描写をする面白いレンズなので再度取り上げる。
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レンズ構成は、1群1枚、つまり単玉レンズである。
単玉というと、ソフトフォーカスレンズ(第5回,第13回,第19回
記事で紹介)を連想すると思うが、本レンズはソフト効果では
なく、まるで虫眼鏡のような「真ん中だけはっきり見え、
周囲は大きく流れる」という特徴を持っている。
これは言うまでもなく、レンズの「収差」(欠点)なのだが、
これを積極的に用いて、個性的な描写を得るというのが
コンセプトだ。

前述のPENTAX M28/3.5のところで書いた「PENTAX が
個性的なレンズを目指している」という方向性は、こうした
現代のレンズ(発売は2013年)にまで引き継がれている。
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描写力は非常に個性的だが、使用する上での制限事項が
いくつかある。
まず仕様は、11.5mm/f9 (Q7装着時約52mm相当)とかなり
暗いレンズである事、暗いという事で、手ブレなどが心配に
なるが、Q7の場合は、こうしたトイレンズにおいても焦点距離が
ボディに伝達され、手ブレ補正機構が適切に動作する。
また、Q7はAUTO ISOのままでも最大12800まで自動で
感度が上がるので、暗いトイレンズを使っても、暗所でさえ
なければ、まず問題は無い。

f値が暗い理由だが、本レンズは、ピント合わせ機構を持たない、
パンフォーカスレンズとなるのだが、被写界深度を深くする為
には、f値を暗くするしか方法が無いのだ。
ただ、本レンズは完全なパンフォーカスレンズではなく、
およそ1m~5m前後の距離にしかピントが合わない。
仕様上の最短撮影距離は30cmではあるが、実際には
近距離にも遠距離にもピントが合わないのだ。

こうした性能(仕様)上の制限のみならず、作画上の制限も
発生する。スイートスポット(=ピントの合う場所という意味)
が中央の中距離被写体にしか無いため、構図作画上、
中距離の日の丸構図しか有り得なくなるのだ。

そうでなければ、上写真のように画面全体に同様なパターンが
繰り返される被写体で、場所による描写の差を楽しむという
撮り方になると思う。

まあ、しかし、PENTAX Qシリーズの最大の特徴であるエフェクト
を用いれば、そうしたオーソドックスな撮りかただけではなく、
個性的描写と個性的エフェクトの組み合わせで、かなり幅の広い
表現力を得ることができるレンズでもある。
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本レンズの重量は、わずかに8g、およそ今まで発売された
写真用レンズの中では最軽量である事は間違いない。

ちなみに、それまでの最軽量のオリンパスのBCL-1580の
重量は22gである。
さらにちなみに、一眼レフ用での最軽量レンズは、確か
XRリケノン45/2.8の55gであったと記憶している。

8gしかないので、持ち運びにまったく負担は無い、好きな時に
カメラバッグやポケットなどから取り出して、Q7に装着して
使うことができる。ただし、あまりに小さいレンズなので、
紛失などには十分注意する必要はあるが・・

購入価格だが、2015年に新品で4000円ほどで購入した。
中古も出ないことは無いが、出ても3000円弱してしまうし、
欲しければ新品で買ってしまうのも良いであろう。

ただ、普通のレンズだと思って買うと「何じゃこの写りは~」
と驚いてキレてしまうかも知れないので、これがどんなレンズで
あるかは理解して買う必要がある。

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さて、次は今回ラストのシステム。
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カメラは、LUMIX DMC-GX7 である。
比較的新しい高性能マイクロフォーサーズ機であるが、後継機の
GX8が発売され中古相場が下がってきたので、約3万円で購入。
基本性能は高いが、構造および操作系に若干の弱点を持つ。
ただ弱点はまあ良い、今回は、その最高シャッター速度1/8000秒
のスペックだけがポイントなのだ。

レンズは、MINOKTA AF 85mm/f1.4 G(D) Limited

「AFレンズは、オリジナルマウントの一眼レフで使うのが良い」
と、再三このシリーズで述べているが、本シリーズ記事も回を
重ねていくと、様々なレンズとの比較などもしたくなってきた。
そろそろ、そのルールを緩和して、可能なかぎりAFレンズも
紹介していくとしよう。

まあでも、当然、ミラーレス機にアダプターで装着する上では
様々な制限事項が出てきて、それは写真撮影上では概ね有利
ではないので、あくまで本筋のやりかたでは無い。
 
その典型的な例としては、今回、実は、CANON EF85/1.2Lを
紹介しようとしていたのだが、このレンズ、アダプターを
使ってミラーレスに装着しようとしたら、AFはもとより、
MFですら動かないじゃあないか。勿論EOSに装着したら
何の問題もなくAFもMFも動作する。もしかすると故障かも
しれないが、一部のUSMレンズでは、こういう事もあるのかも?
もう少し調べてみる事にして、急遽今回は MINOLTAのレンズを
紹介する事にしよう。

そして、本AF85/1.4 Limitedは極めてマニアックなレンズだ、
その理由(出自)は後述していくとしよう。
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本レンズは、85mm/f1.4 と、MINOLTA のαシリーズAF時代
(1980年代後半~2000年代前半)を通じて発売された 85mm
レンズと同スペックであるが中身はまったく異なっている。

KONICA MINOLTAのHPによると、本レンズは1980年代後半
に、ミノルタが 85mm/f1.4を開発する際、2本の異なるレンズが
開発され、社内コンペが行われた。その試作品の2本は全く
性格が異なり、方や汎用的に使いやすい性能で小型軽量、
かつローコスト。方や開放から極めて高い描写力を持つが、
大きく重く、コスト高である。

さて、メーカーの開発陣でなくても、この選択は迷いどころだ。
結局、前者が「製品としては適している」ということで選ばれて
発売されたのだが、後者のレンズはミノルタ社内でも伝説的に
語り継がれたと聞く。

で、2002年に、その後者の幻のレンズが何と限定700本で
生産された!
それが、本AF 85mm/f1.4 G(D) Limitedである。
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その噂を聞きつけた私は、すぐに行きつけのカメラ屋で予約した。
価格はまだ発表されていなかったが、限定700本であれば
一瞬で売り切れてしまう事が予想できたのだ。

1ヶ月ほどして、カメラ屋の店長が言う
店「あ~、匠さんねえ、あの予約した85mmだけど、値段出たよ、
  それが、恐ろしく高いみたいで・・・」
匠「え~? いくらなんですか」
店「18万5000円だそうですよ」
匠「ひえ~っ!(汗) どうしよう、でも、せっかくなので
  借金しても買います」

と言いつつ、それまで使っていた、ミノルタ AF85mm/f1.4を
泣く泣く手放す羽目に、まあ、一見両者は同じスペックなので、
2本もいらないだろうという判断であったのだ。

だが、実は、その事が後の時代になって悔いる事となるのだが、
その話はまた後述で・・
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発売が遅れ、予約してから、かなり時間がたったが、ある日、
無事本レンズがカメラ店に到着した、価格は少しまけてもらい
145000円であった。
匠「ボーナス払いでいいですか?」
店「いやあ、それはちょっと・・ 今払ってよ」
まあ、若干まけてもらったのでしょうがない、銀行に走って
お金を降ろしてくる、これでしばらくはインスタント生活だ(汗)

「こりゃあ、ポートレートに使うレンズだよね、それしかない」
と喜び勇んで、友人知人の女性達の中から綺麗どころを選んで
モデルになってもらい、撮影を続けた。ちなみにこれを装着した
カメラは、まだ銀塩時代であったので、MINOKTA α-9または
α-7Limitedであった。

だが・・ちょっとなんとなくおかしい。
まず、このレンズを使用するのは、開発者の言葉を信じて
開放近辺のみとしたのだが、ほとんどピントが合わない。

α-7ではまずお手上げであったので、α-9を使用する。
このカメラのAF測距点は3点しか無いが、中央の1点は非常に
高精度であったので中央1点固定とする、しかし、それでも
厳しいのだ、被写界深度が浅すぎるのがその理由であった。

この時、私のα-9は、MⅡ型スクリーンに換装してあった。
このスクリーンは、高精度のMFピント合わせを実現するのだが、
ファインダーが著しく暗くなり、f2.8以下の大口径レンズ専用
として、ミノルタのサービスセンターに行って換装するのだ。
サービスセンターに行くと、係員から
係「本当によろしいですか?
  普通のレンズを装着すると暗くて使えませんよ」
という脅し(笑)を受けて、それを了解しないと交換してくれない
という仕組みであったのだ。

匠「いいですよ、f1.4のレンズしか使いません!」
などと言いつつも・・
「ああ、STF (135mm[T4.5])はもうα-9で使えないかなあ・・」と、
ちょっとドキドキしながら交換したのを覚えている。

で、そのα-9の当時最強(今でもか?)のファインダーをもって
しても、このレンズのMFピント合わせは困難を極めた。
だったら絞って使えば良いではないか?と思うのだが、「開放で
最高の性能を発揮する」とまで言われてしまえば、もう意地でも
開放で使うしかない(汗)

匠「うわ~ 困ったなあ・・
  これだったら、元の普通のAF85/1.4を残しておけば良かった、
  その方がずっと汎用性が高く、多くのシチュエーションで
  良い写真が撮れたよ。やっぱ、1980年代のミノルタの
  選択は正しかったと思うな、このレンズが発売されていたら、
  使いこなせるユーザーは皆無に近かった事であろうし・・」

だが、この2~3年後、(コニカ)ミノルタは、SONYにαシステム
を譲渡して、カメラ事業から撤退してしまう。
この時、ミノルタ時代の優秀なαレンズのいくつかは、大手カメラ
チェーン店やブローカー等の買占めに合い、一瞬で中古市場から
消えてしまった。
しばらくの間、市場でのレア感が演出され、再度出てきたときには、
ノーマルのα85/1.4の価格は、10数万円というプレミアム価格
となってしまった訳だ。
私が初期型のα85/1.4を購入した時の中古価格は3万円台だったし、
それが欲しい、といった友人の為に2003年ごろに中古店で探した
時も、結局29800円のものを探し当ててそれを購入していた。

10数万円は無いでしょう!(怒)と思ったのだが、後の祭り、
その後も高値安定が続き、ノーマルのα85/1.4の再購入の夢は
消えてしまったのだ・・
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という事で、今、このレンズは、着物撮影などで使う場合が
たまにあるくらいで、他はほとんど休眠している。
そうした撮影に使う場合でも、被写界深度問題による歩留まり
の悪さ(ピンボケ確率が高い)ので、あまり使いたくないレンズ
でもあり、もっと安定した FA77/1.8などを代用するケースの
方が多いくらいだ。

本レンズをアダプターで使う場合の注意点だが、αのレンズ
であるので絞り環が無い、よって、アダプター側に、レンズ
後部の絞りレバーを機械的に動作させる機構を持つアダプター
の使用が必須となる。
本レンズは大型であり9枚の絞りが非常に強い力で、常に絞り込
もうとして動作している。これはつまり、この大口径レンズを
連写して使う際など一眼レフでの絞り動作機構が連写に間に
合わないという問題が発生するので当然なのだが、絞る力が強い
ために、アダプターの機械絞り機構が負けて、常に最小絞りに
戻ってしまう。

これはアダプター側の問題であろう、緩いのかも知れない。
家に帰ったら修理してみよう。だが、撮影中は、もうこのままだ。
結局、ピント合わせ操作に加え、余った指でアダプターの絞り
機構を、絞りに負けないように廻して押さえておく必要がある。
これは非常にかったるい操作であり、ただでさえピントが合わない
レンズであるので、イヤになってくる。
ちなみに、優秀な GX7のピーキング機能を用いても、被写界深度
が極めて浅いため、ピーキングが反応しない場合が殆どだ。

まあ「非常に趣味的なレンズである」といって過言ではない。
実用価値はさほと高くなく、現代における入手性も極めて低く
700本しか存在しないので、もし中古が出たとしても、かなり
のプレミアム価格となるだろう(30万円以上か?)

そこまでして入手しても使えるレンズではない、それであれば
FA77/1.8の中古を6万円くらいで購入して使った方がはるかに
実用的であろう。他社85mm/f1.4も生産中止品はプレミアム
価格となっている事が多いが、何故そもそも生産中止に
なったのか? たとえば、PENTAX は2000年ごろにFA★85/1.4
とFA77/1.8を併売していたのに、何故、FA77を残し、FA★85を
生産中止にしたのか?そのあたりを良く考えてみれば、
85mm/f1.4の実用性がさほど高くないという事にも気がつくで
あろう。

ちなみに、SONY αの時代になってから、SONYから発売された
Planar T*85mm/f1.4ZA が、本レンズと同じである、
(だから本レンズを無理に探さず、そちらを買えば良い)という
噂もマニアの間で流れたのだが、良く見ると、レンズ構成も
異なっており、違うもののようだ。

さて、そろそろ文字数が限界なので次回記事に続く・・

ミラーレス・マニアックス(35)

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安価な中古ミラーレス機とマニアックなレンズで、
コスパの良いアダプター遊びを楽しむシリーズの35回目。

今回は、このシステムから。

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カメラは、LUMIX DMC-GX7、
比較的新しいマイクロフォーサーズ機であるが、後継機の
登場により価格がこなれてきている。
新しい機種ゆえに、スペック的には優れてはいるが
操作系の優秀さでは、Gシリーズには一歩及ばない。

レンズはMINOLTA MC ロッコール PF 50mm/f1.7である。

1970年代のMFレンズであり、ミノルタSRT-Super等の銀塩
MF一眼レフと同時代の製品だ。この頃、ミノルタX-1やXE等の
絞り優先機が発売され始めたので、MCレンズも絞り優先
(開放測光)に対応している。

レンズ名のPFというのはレンズ構成を示す。前の文字が
ラテン語の数字で、Pだから「ペンタ」すなわち5だ。
後ろの文字がアルファベットの順番で、Fだから6番目だ。
つまりこのPFレンズは5群6枚という意味になる。

5群6枚といえば、変形ダブルガウス型であろう、まあ50mm
標準レンズのごく一般的なレンズ構成である。
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描写力は良い方である。

この時代か、もう少し前の時代だと、f1.4あるいはf1.2の
大口径標準レンズは、このレンズ構成だと設計が難しく、
やむなく焦点距離を50mmではなく、55mm,57mm,58mm
程度に伸ばしたり、あるいはレンズを1枚追加して5群7枚や
6群7枚とする場合もあった様子だ。

同時代のf1.7~f2.0級の小口径標準は、概ね50mmという
焦点距離のものが多く、設計に無理をしていないのであろう。
その理由かどうか?この時代の標準レンズには、小口径の
方が写りの良いものが多い。

けど、50mm級の標準レンズはこのシリーズ記事でも多数
紹介しているのだが、それぞれの写りの差はさほど大きく無い。
どれも似たようなレンズ構成であるし、銀塩MF時代は、
標準レンズを1本カメラに付属して販売する事が大半で
あったので、あまり写りの悪いレンズを付属してしまうと
メーカーの評判も落ちてしまうからまずかったのであろう、
よって、標準レンズは。どんな場合でも設計には力を入れて
いたのであろうと想像される。
結果、どのメーカーのものを使っても、そこそこ良く写るし
メーカー毎の差異も微妙な訳だ。

「この標準レンズが良い」などの銀塩時代のマニア等による
評価は、場合により、ブランド信奉での思い込みとか、あるいは
たまたま上手く写った時の印象などが元になっていたのかも
知れない。すなわち(後述するが)変形ダブルガウス型の標準
レンズは撮影条件により、ボケ質破綻が起こるので、良く写る
場合と、ボケが汚い場合とがあるのだ。
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けど、このレンズは個人的にはかなり好きな部類のレンズだ、
なにせ、コストパフォーマンスが非常に良い。

本レンズの購入価格は、2000年代後半に僅か2000円であった。
そう、たまに書いている「MF標準レンズ大放出の時代」である。
コスパが極めて良いので、友人知人にも薦め、計7~8本の
本レンズを購入しただろうか、いずれも1000~2000円であった。

「大放出の時代」、すなわち2000年代末~2010年代初め頃は、
恐らく地方のDPE店等の廃業により大量に中古MF一眼と
付属レンズが中古市場に流れたのであろう。
そのうち程度の良いものは整備され、そこそこの価格で売られ
程度の悪いものは「ジャンク」として、そのまま販売された。

私は、銀塩時代は、ミノルタの標準はMC50/1.4,MC58/1.2
を主に使っていて、小口径標準はあまり興味が無かったのだが、
後年こうした小口径レンズを入手してから、かなり考え方が
変わった。つまり「小口径の方が良く写るじゃあないか」と。
c0032138_2084734.jpg

本レンズは購入後も結構気に入っていて、比較的良く使っている
レンズである。
この描写力でこの価格なら文句無し、と言いたいところであるが、
弱点としては、例のボケ質破綻がこのレンズであっても発生する。

まあ、変形ダブルガウスタイプのレンズの宿命かも知れない、
俗に「プラナーボケ」と言われるものに近いが、プラナーは
50mmの場合6群7枚なので、レンズ構成が一般的な標準レンズ
とはちょっと違う。まあ、プラナーでボケ質が問題になるならば
それより簡素化されている一般的な標準レンズは、もっと問題に
なるという事だ。

ただ、その点も、このシリーズ記事で良く書いてあるように、
ボケ質破綻は、背景の決め方と、絞り値の設定である程度
回避できるので、何枚かそれらの条件を変えて撮り、できるだけ
ボケ質が破綻していないものを選ぶ必要があるだろう。

ボケ質破綻だけ回避できれば、本レンズは申し分無い。
最短撮影距離は50cmと、標準レンズの標準である45cmよりは
やや長いが、まあ、これはもしかすると、50mm/f1.4を高級版
として差別化するための仕様(戦略)であったのかもしれない。
けど、これくらいの差は、まあやむを得ないであろう。

で、前述の「大放出時代」は、現在は終わってしまったが、まだ
市場には本レンズは豊富に中古が存在する、比較的程度の良い
物ばかり残っていてジャンクは少ないと思うが、それでも相場は
3000円~5000円程度だ。見つけたら1本持っておいて損は
無いレンズだと思う。

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さて、次のシステム。
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カメラはEマウントのアダプター母艦としている NEX-7
レンズは、OLYMPUS OM SYSTEM Zuiko 85mm/f2 だ。

1970年代~1990年代にかけて発売された、OM SYSTEM用の
MF中望遠レンズである。

オリンパスOMでは、開放f値2で、21mm広角から180mm
望遠までを揃える事ができた、と何度か書いた事がある。
で、その中で私が「OM中望遠 f2 三兄弟」と呼んでいるレンズ
があり、OM85/2,OM90/2Macro,OM100/2である。

既に0M90/2Macroは第5回記事、OM100/2は第19回記事で
紹介している。いずれも文句無しの写りをする「スーパーレンズ」
(=コスパが極めて良い)であるが、大きく重く、やや高価で、
そもそもレアである(入手不能)のが弱点であった。

OM85/2は、90mmや100mmとはちょっとキャラが異なる、
まず上写真のように、非常に小型軽量なのだ。

で、写りは・・
c0032138_2014577.jpg

まあ、普通に良く写る。

焦点距離とレンズ構成から想像するに「ゾナー型」なのかも
知れない、それであれば、コンタックス、ニコン、ロシア製の
ジュピター等、多くの名玉が存在する85mm/f2級であるから、
同等の写りのレベルというのもうなずける。

ただ、私としては、あまり好きでは無いレンズだ、
というのも、兄弟レンズのOM90/2,OM100/2が凄すぎるのだ。

兄貴分に比べると、小型軽量で若干安価なだけが取り柄の
末っ子のように感じてしまう。焦点距離が5mmや15mm違うだけで
あれば、超優秀な90mmや100mmを持ち出したくなってしまうのが
人情というものであろう。
c0032138_20151890.jpg

よって、小型軽量である事を利点として、気軽に街中などに
持ち出して「中望遠スナップ」という感覚で使うのが良い
レンズである、レンズの全長は6cmほどしかなく、焦点距離
(85mm)よりも短い。
こういう特徴のレンズを「短焦点型レンズ」と呼ぶ場合もあるが
あまり一般的では無い用語だ。ちなみにビギナーがよく「単焦点」
を「短焦点」と誤記してしまうのは、この用語が別途あるために
非常にややこしく、単なるミスなのか深い意味があるのか判別
できない。正しい用語と意味をちゃんと覚えるべきだと思う。

レンズ重量はわずかに250gだ、OMが小型軽量を目指した
システムだとは言え、大口径中望遠レンズとは思えない程の
コンパクトさが嬉しい。

で、OMシステムの「標準化思想」によれば、レンズの開放
f値は、同一焦点距離でも、それぞれf2級の大口径とf3.5級の
小口径がラインアップされ、それぞれのフィルター径は、
55mmΦ、49mmΦにだいたい統一されているのであるが、
本レンズは、その大口径側のf2級であるのに、フィルター径は
49mmΦと、小口径の分類と同じである。

余談だが、近年フィルター径の事を「アタッチメント径」と
呼ぶ場合が多い模様だ。「アタッチメント」とは「付属物」を
意味する。まあ、つまり、レンズの前につけるのはフィルター
だけでは無いでしょう?という事だろう。
フィルター以外にも、フードとかフロントコンバーター
(ワイコン等)を装着する場合も多々あるから、フィルター径と
呼ぶもの変な話なのかも知れない。

けど、そうであれば「アタッチメント49mm」という表記は
誤りだと思う。「付属物49mm」では意味が通らない。
そういう場合は「アタッチメント径」とかにした方が
正しいと思うが、いかがであろうか?
それに最近の多くのレンズの純正フードは、ねじ込みではなく、
レンズ外枠の専用爪を用いて装着する、ならば、アタッチメント
である(純正)フードは、レンズの口径とは無関係であり、
フードが関係なければ、レンズに装着するものは、普通は
フィルター以外は無いのではなかろうか?
(とは言え、市販汎用フードは、ねじ込みのものが大半だが)

まあ、そんなこんなで、本ブログでは、ややこしい用語を使って
読者が混乱するのを防ぐためも、今後も「フィルター径」の
表記で統一しておく事にしよう。
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さて、OM Zuiko 85mm/f2 の話に戻ろう。

「OM中望遠f2 三兄弟」の兄貴分が存在するから、本レンズの
存在意義は描写力の点から言えば微妙なところだ。

最短撮影距離は85cmと、85mmレンズとしてはまあ標準的だ、
ボケ質はさほど綺麗という訳では無いが、破綻もしにくいので
あまり問題にはならない。それにゾナー型であれば、やや
絞り気味で(f5.6~f8)使うのがオーソドックスな使いこなしの
である(絞るとシャープネスが増えてきて気持ちよい写りになる)
なので、あまり近接+開放で背景や前景をボカすような撮り方は
本レンズでは使わないのがベターだ。
ならば、特徴は何か?といえば、前述のように、本レンズの
長所は「小型軽量」な所だ、

銀塩時代、1990年代だったか?どこかのカメラ雑誌か何かで
「OMに35mm/f2.8と、85mm/f2 を2本だけ持って旅に出る」
といった主旨のエッセイだったか何だったか?そんな文章を
読んだ事があり、それで、このレンズがとても欲しくなって
しまったのだ(笑)
私は他人の意見には影響され無い方であるが、この文章の
インパクトは大きかった、この2本のレンズのチョイスが
焦点距離的にも絶妙であり、いずれも小型軽量である事から
「気ままなブラリ旅」という状況すらも連想できるではないか。
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だが、このレンズは、1990年代ですら、すでに中古はレアで
あった。もともと、OMでf2級のレンズ揃えるのは相当の
マニアであり、普通は、28/3.5、50/1.8,135/3.5あたりを
揃えて、それで The ENDという感じであったであろう。

ちょっとOMに凝った人であっても、それらに加えて35/2.8,
50/3.5マクロ、200mm/f4かf5の望遠を揃える程度であり、
f2級は、高価でかつ、OMにそぐわない大型重量級レンズが
多かったので、マニアの範疇だ、で、マニアであるから手離す
人も少なかったのであろうと思われる。

結局、本レンズは、1990年代に東京の中古店で購入した、
価格は39000円であった。勿論「高っ!」と思ったのだが
まあ、欲しかったレンズだし、大阪では入手の目処が無かった
ので無理して購入した次第であった。

ただ、今にして思えば、ちょっと後悔している、並行しで
同時期に、または少し後に入手した90mm/f2,100mm/f2
の陰に隠れ、本レンズが描写力的に魅力を感じなくなって
しまったからだ。(おまけに100/2は本レンズより安価に
購入している)
けど、だからと言って本レンズがダメなレンズという訳では
無い、良く写るのは確かだ。「コスパが悪かった」という点
のみで私個人の評価が下がっているだけなのだ。

現在では中古はレアで、入手性は悪いとは思うが、安価に
(例えば2万円前後)入手できるのであれば、買って損は
無いレンズであると思う。

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さて、次のシステム。
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カメラは、お馴染みアダプター母艦のLUMIX DMC-G1
こちらは予備機の方だ、赤と青の色違いで揃えている。

安価でかつ性能が良く、特に操作系に優れるのは特筆すべき
点である。すでに齢6年を経過するミラーレス最初期のカメラ
なので、2台を並行して用いて負担を減らしているが、2台とも、
既にかなりの枚数を撮っているので、そろそろ耐久性が心配に
なってきた。従来は、青のボディはNOKTON 25/0.95の専用機
として使う場合が多かったのだが、負担を平均化させて行こう
として青ボディの使用頻度を増やし、かつ、バッテリーも
両者を交換してローテーションしている。
(ちなみに、G1をファームアップしてしまうと、純正バッテリー
しか使えなくなってしまうので、互換バッテリーが使える
バージョンまでで、ファームアップを止めている)

ごちゃごちゃと延命策をとるよりは、安価なので、場合により、
もう1台予備を買っておこうとも思っているが、G1以外でも
後継機のG5/G6も捨てがたいので、そちらを予備にするかも
知れない。ちなみに冒頭のGX7は、さらに新しい機種だが、
操作系がGシリーズよりも劣っているので、メイン機とはせずに、
使い潰してしまうつもりだ。

で、装着レンズは、SMC PENTAX 28mm/f2 である。

28mmの広角レンズであるが、見かけはまるで望遠レンズだ。
大口径を実現するため、8群9枚というレンズ構成となっている、

シリーズ第24回記事で紹介した、ミノルタMC 28mm/f2
と似通った外観であるが、レンズ構成は、ミノルタ版は、
9群10枚と、さらに1枚多い。
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28mm/f2の大口径広角の設計としては、こうした「長焦点型」
(すなわち前述のOM85/2は、レンズ焦点距離より鏡筒の長さが
短い「短焦点型」であるが、こちらは、焦点距離の28mmよりも
全長が長いレンズである、という意味でこの用語を使っている)
が、いくつかのメーカーで存在するのだが、実は、私は個人的には
この長焦点型28mm/f2の描写は好きでは無い。

まあ、このレンズを購入したのは、1990年代、第一次中古カメラ
ブームの頃であった、その頃は、f2.8やf3.5の小口径広角では
当たり前すぎて、なんとなく満足できず、f2級の大口径広角を
入手して単純に喜んでいた(汗)しかし、その後、そのちょっと
無理して(入手性も悪く、当然高価である)買ったそれらの
大口径広角は(特にこの長焦点型は)思ったほどの描写力を
もたらしてくれない事に気づく。

そりゃあ、大口径の方が、一般的な小口径よりも、はるかに高い
レンズであるし、当然良く写るであろう、という期待があったが
それは見事に裏切られた。「高価=写りの良いレンズ」という
公式は、まったく成り立たなかった訳だ。
c0032138_2026091.jpg

そもそも、広角であるのに、望遠レンズ並みに長いって
なんだか変な感じではなかろうか? 大口径にするために、
余分なレンズが、中に沢山入っているような印象すらある。
勿論内面反射は増えるだろうし、収差も増えるかも知れない。

ちなみに、レンズ全長は長いが、最短撮影距離は、他の28mm
の広角レンズと同等の30cmである。

現代における評価感覚で、一番気になるのは、ボケ質があまり
綺麗では無いことと、逆光に弱い(フレアっぽい)事であろう。
まあ、案の定、という感じだ、無理にレンズ構成を増やすと
そういう欠点がどうしても出てきてしまう。
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逆光でコントラスト低下を起こすので、暗い場所でばかり
撮ってみよう、今回もまた「日陰者」だ(笑)
まあ、オールドレンズでは、そういう弱点を持つレンズも
多々あるので、その場合はいつもそういう撮りかただ。

でも、第24回記事のミノルタMC 28mm/f2よりは、こちらは
少しはましかもしれない、MC28/2は、写りが嫌いで、殆ど
使っていなかったし、その記事の時も撮っていても楽しさを
感じられなかったのだ。
今度、同じスペックのキヤノンのFD28mm/f2
(長焦点型では無い)とも比較してみようか・・
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これはモロに光条を入れたケース、太陽を被写体の陰から
少しだけ出すとこういう風に撮る事が出来る。
光条を見れば、絞り羽根の枚数が分かるのだが、同時に
ゴーストやフレアの状態なども、ある程度はわかる。
どうやら、思ったよりはゴーストは発生しにくい様子だ。

本レンズは、1990年代に29000円で購入している。
勿論、性能からすれば「高すぎる」中古価格だ。
当時は大口径が良いレンズだと思って、レアなものを高価な
価格で買ってしまったのでしょうがない、こういう失敗を
重ねて人間は学ぶものだ・・

しかし、28mmレンズを本シリーズでも色々と紹介しているが、
どうも「これで決まり」という優れたものがなかなか無い。
やはり一眼レフでは、バックフォーカスの問題があって、
優秀な広角レンズはなかなか作りにくかったのであろう。
かといって寄れないレンジ機用広角を使う気にもなれないし、
なかなか困ったものだ・・

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さて、次は今回のラストだ。
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カメラは、FUJIFILM X-E1、フジ最初期のミラーレス機だ、
操作系に多数の問題点を抱え、はっきり言ってカメラとして
未完成であるが、とは言え、後継機でも操作系の課題の多くは
解決していないので買い換える訳にも行かない。
ただ、見た目よりはるかに軽量である事、「操作系」はダメだが
アナログライクな「操作性」は悪く無い事、そしてベルビア
モードでの絵作りがなかなか良い事など、長所も散見される。

レンズは、NIKON AiAF DC 105mm/f2である。

本レンズは、1990年代発売のAFレンズであるので、本来はニコン
AF(デジタル)一眼レフで使うのが望ましい、というコンセプトで
あるのだが、本シリーズ記事も、マニアックなレンズばかりでは
なく、できるだけ多くのレンズを比較しながら紹介して行きたい
という方向性も出てきたので、AFレンズであっても今後できるだけ
紹介していく予定だ。
(ただし、アダプターで使用時には絞りやMFも動かないレンズも
あり、そういうレンズは紹介不能であるが)
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本シリーズ第17回記事で、APD vs STFという特集を行った。
その両レンズは「アポダイゼーション・フィルター」を内蔵していて、
ボケの質が極めて良好な、両横綱と言えるレンズである。

で、アポダイゼーション・フィルター(エレメント)を使わない
レンズでボケ質を良好にしようと試みたレンズとして、その記事
中でも「ニコンDC」について、少しだけ説明していたのだが、
本記事でちゃんと紹介してみることにしよう。

DCとは「デフォーカス・コントロール」の意味である。
すなわち、ボケ質を調整する事が可能な仕様を持つ数少ない
レンズの1本だ(このレンズの他には、DC135/2しかない)

ボケには、前ボケと後ろボケとがあって、その両者を同時に
良好にするのは技術的に困難であると聞く、なので、本レンズ
では、そのどちらかを犠牲にし、逆側に最良のボケを得る為に
レンズの補正を行う設定リングを持つ、それは絞り環とは別途
備えられている。

その(DC)リングには、F(前側)R(後側)の2方向の目盛りが
あって、例えば、後ろボケを良好にしようとする場合、絞り値
と同じ値までR側へDCリングを廻す。

具体的には、絞りを f2.8に設定したら、後ろボケ優先の場合は
DCリングも R側2.8に設定する(廻す)
このため、絞りをひんぱんに変更すると、同じ操作が二重に発生
するのでやや面倒だ。
NIKON AF一眼レフでは、絞り値はボディ側のダイヤルで設定
できるが、DCリングまではボディから制御できないので、
手間はあまり変わらない、まあ、どうせ手間ならミラーレス機でも
大差は無いという感じもある。

ちなみに、DCリングを絞り値より大きく廻すと軟焦点レンズに
なると言われているが、その効果は微々たるものだし、優秀な
本レンズをそんな目的に使用するのは勿体無い、ソフト効果が
欲しければ、ソフトレンズかカメラ内蔵エフェクトを使えば良い。
c0032138_20315689.jpg

DCリングを正しく設定すると、ボケ質はかなり良好になるが、
アポダイゼーション内蔵の APD(FUJI XF56/1.2R APD)や、
STF(MINOLTA STF135mm/f2.8)程では無い。
なので、私は、その両横綱までは至らないので「大関レンズ」
と呼んでいる。けど、大関であっても横綱不在ならば最強だ。
他の一般のレンズとは格が違う優秀なボケ質を誇る。

で、このクラスのボケ重視レンズを使っていると、たとえば
冒頭のMC50/1.7で、ボケ質破綻回避などの細工(技法)を
チマチマとやっている事が馬鹿馬鹿しくなってくる。
ただ、APDやSTFは飽きが来るレンズでもある、何も工夫を
しなくても恐ろしく綺麗に撮れてしまうので、なんだか
「レンズの言いなり」になってしまうような気がしてくるのだ。

ところで、カメラのX-E1であるが、元々はXF56/1.2 APDを
使うために購入したカメラだ、Xマウントレンズは、Xマウント
機で無いと(現状)使う事ができない、だから、X-E1の選択は
コストバランス面からも、やむを得ない点があった。
(私のルールでは、レンズ8対カメラ2 の予算配分だ)

けど、毎回APDを持ち出すのも前述の理由で飽きてしまうのだ、
それでも X-E1は減価償却する必要があるので、まあ、色々な
レンズを組み合わせて今後も使っていくとしよう。

DC105mm/f2であるが、多くのニコンレンズは、ボケ質が固い、
まあ、ある意味、元々は報道や学術などの分野で信頼されて
発展してきたニコンであるから、被写体をはっきりくっきり写す
為の解像度を優先させ、ボケ質を犠牲にしてきたのはやむを
得ない、その両者は設計上のトレードオフであり、どちらかを
優先すれば、他が犠牲になる。

そんなニコンであるが故に、このレンズの存在が光っている。
ボケ質重視とは、メーカーのカラー(特色)からは正反対
だからだ、尤もメーカーもその問題をわかっているからこそ、
このDCシリーズのレンズを開発したのかも知れないが・・
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最短撮影距離は90cmとまずまず優秀。近接できる方で
あるので、ボケ量とボケ質の両者を得る事ができる。

弱点をあげるとしたら、高価な点だけだ。
他には、ちょっと大きく重いくらいか?(640g程度)

問題の価格であるが、1990年代の中古購入時点では
7万円であった。現在ではさらに相場が上がっていると
思われ、簡単には手を出せる価格帯ではない。

ちなみに、Dタイプでない初期型レンズもあり、そちらは
少し安価だ。D型は撮影距離情報をニコン一眼ボディに
伝える事により、露出精度、フラッシュ光量精度などを
高める仕様であるが、勿論、アダプターで使用するので
あればこの機能は何ら意味を持たない。

なお、本レンズは本シリーズ記事で紹介しているマニアック
な他のレンズとは異なり、ポートレートはもとより、イベントや
ステージ撮影等もこなせる実用レンズである事は特筆すべき
点である。

価格が高価なことが容認できるのであれば、本レンズは
必携の1本だと思う、ともかく(アポダイゼーションを除けば)
ボケ質に関しては最強クラスのレンズであるのだから・・

なお、高価なので、もう1本の大関レンズ、DC135/2は
私は購入していない、まあどちらか1本だけで十分だとは
思うが、完全に不要か?といえば・・どうだろう?(汗)

さて、もう文字数が限界だ、次回記事に続く・・

ミラーレス・マニアックス(36)

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安価な中古ミラーレス機とマニアックなレンズでコスパの
良い「アダプター遊び」を楽しむシリーズ、第36回目。

今回はまず、このシステムから、

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カメラは、Panasonic LUMIX DMC-G5

中古で1万円台後半の「高コストパフォーマンス機」である。
高ISO、ピントの山の見易さ、MF拡大やデジタルズームの操作系
に優れ、MFオールド望遠レンズのアダプター母艦として適切だ。
(ただしピーキング機能は無い。G6であればその機能があるが、
EVFが仕様変更になってしまい、G5の方が若干ピントは見易い)

レンズは、MINOLTA MD TELE ROKKOR 200mm/f4 だ。



1970年代後半のMFレンズであり、絞り優先、シャッター優先に
対応している、同時代のMINOLTA XD等の両優先機で使うのが
適切であると思うが、私は銀塩時代は、主にX-700で本レンズを
使用していた。

ちなみに、「いまのキミはピカピカに光って」というBGMで、
宮崎美子がジーパンを脱ぐCMで大ヒットしたMINOLTA X-7
は、このレンズの数年後の1980年の発売である。

さて、MD 200/4 であるが、マイクロフォーサーズ機である
DMC-G5 に装着すると、400mm相当の画角となり、かなりの
望遠である。
c0032138_9152334.jpg

このレンズは4群6枚。いわゆるゾナー系に近いレンズ構成
だと思われるが、感覚的に、この手の望遠レンズは、遠距離
被写体においては、f5.6~f8程度まで絞り気味で使うのが、
解像感やコントラストが上がって、気持ちよく撮れる。

ただ、それもケースバイケースであり、中~近距離撮影に
おいてはボケを活かし、絞りを開けて使うのも良い、
ただし、その場合には、背景ボケ質の破綻が出る場合もある
ので、それを絞り値調整や背景の選択で回避する必要がある。

まあ、銀塩時代であれば、例えば前述の XDやX-700の
最高シャッター速度は、僅かに1/1000秒までであったので、
ISO100のフィルムを使用しても、光線状況によっては
シャッター速度が足りず、レンズを絞って使うしか無かった。

現代のミラーレス機においては、ISO感度の調整は勿論可能
ではあるが、最低ISOはあまり低くならず、例えば本機G5
では、ISO160が最低感度であり、1/4000秒シャッターで
あっても絞って使わざるを得ない場合もある。
まあ、ND(減光)フィルターを装着するという方法はあるが、
あまり真面目に撮るようなレンズでもないので、そのあたり
は絞るなり、暗い被写体を探すなり、適当でも良いと思う。

そして、G5を使う1つのメリットとして、ボディ上面の
ファンクションレバーに、デジタルズーム(最大2倍まで
連続)をアサインできる事がある、これで、本レンズは
単焦点ながら、400~800mm/f4 相当の、実用的な
超望遠ズームとして使用できる訳だ。
c0032138_916168.jpg

こちらは、さらにデジタル・テレコンを加えて、
デジタル・ズームと組み合わせ、2千数百mm相当で手持ち
撮影している(手ブレ補正機能は無いので、勿論要注意だ)

ちなみに、パナソニックのミラーレス機の用語では、
(デジタル)テレコンと(デジタル)ズームの意味が反対に
なっている、本来は不連続なのがテレコンで、連続的なのが
ズームであるが、メーカー用語ではそれが逆なのだ。
これは非常にわかりにくいので、本シリーズ記事では、
メーカーの決めた用語は無視して、一般的な写真用語として
通じる方を使って説明している。

で、デジタルテレコンやデジタルズームを使うと画質の
劣化が激しい、というのはいつも書いてある通りであるが、
まあ、マスターレンズ(=これは主レンズという意味、
実物のテレコンを使う場合は、2つのレンズがあるので
主と副で区別するという慣習がある。が、デジタルでは勿論
テレコンは実在せず、あくまでバーチャルなのではあるが、
その慣習により、この書き方をしている)の性能にも画質劣化
の度合いは依存する。本レンズは描写力が悪いレンズでは
無いので、ある程度デジタル系で拡大しても大丈夫な模様だ。
c0032138_9164315.jpg

ただし、近接性能は、最短撮影距離が2.5mと、やや不満だ。
オールドの望遠レンズは、このように最短が長い場合が多く、
そして、2.5mとかそれ以上となると、感覚的に想像するよりも
はるかに長い撮影距離に感じてしまう。

以前より、例えば、第20回記事のRF250/5.6でも、「最短が
2.5mなのが、3m以上にも思える」と書いたのだが、それ以降
最短2.5m以上級のレンズをいくつか使った時も、同様に
それが3m以上あるように感じてしまう、これは私の距離感覚の
問題である可能性が高いが、それにしても寄れないという事は
大いに不満である。
c0032138_91748.jpg

本レンズは、200mm/f4という、MF時代のごく一般的な
望遠レンズのスペックであるのだが、このMD200/4は
それらの中でも、悪く無い方である、という認識だ。

MDレンズの時代は、一眼レフが一般ユーザーに普及し始めた
時期であり(前述の宮崎美子CMのX-7の例などもしかり)
一般向けにカメラもレンズも各社とも小型化が進んでいた。

ミノルタも、それ以前のMC型に対してMD型は小型化されたので
あるが、同時に、若干性能を落としてしまったものも多い。
ただ、MDの望遠系のレンズは、さほど性能を落とす事がなかった
ように思え、その1例が本MD200mm/f4だと思う。
(ちなみに、MC200/4とMD200/4はレンズ構成が異なる)

本レンズの購入価格は、1990年代に中古で15000円であった、
ちょっと高すぎたとは思うが、第一次中古カメラブームで
あったので全体的に相場は高めであった。
現代であれば、仕様的に特徴が無く、玉数も多い本レンズは
数千円の価格で購入可能であろう。相場的には6000~7000円
が妥当であるが、性能的に考えると1万円くらいはしても
おかしくない。

高倍率ズームレンズや、デジタルズームなども実用的な現代で
あるから、あまり200mm単焦点レンズの必要性は多くないとは
思うが、もし、安価でそこそこ写る200mmが必要な場合は、
本レンズという選択肢もあると思う。

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さて、次のシステム。
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カメラは、お馴染み、SONY NEX-7
レンズは、キヤノン (New) FD 28mm/f2 である。

1979年発売のMFレンズである。旧F-1の時代のレンズで
あるが、私は、主に中古のNew F-1に着けて使用していた。

28mm/f2といえば、第24回記事でのMINOLTA MC28/2、
第35回記事でのPENTAX SMC 28/2を紹介しているが、
いずれもレンズ構成が複雑で、鏡筒が望遠レンズ並みに長い
「長焦点型」であった、これらのレンズは、そこそこ高価であったのに、
ボケ質や逆光耐性に課題があり、正直、好きでは無いレンズだ。

今回は「長焦点型」では無い28mm/f2だ。しかも、キヤノン
MF時代の「FD広角f2 三兄弟」すなわち、24/2,28/2,35/2
はどれも定評がある。すでに第4回記事でFD35/2を、第22回で
FD24/2を紹介しているが、いずれも優秀なレンズであったので、
今回の28/2も期待が大きい。
c0032138_9182157.jpg

日陰はまずOK,でもこの撮影日の天気は、晴天と曇天とが
入れ替わりにやってくる。

で、太陽光がさしてくると・・
「あちゃ~ フレアが出るよ!(汗)」

太陽が出ている状態で逆光になると、画面内の光のあたる
部分が広範囲に白っぽくなる。典型的なフレアであるが、
これは,そういうレンズ性能(欠点)の他、カビの可能性もある。

しばらく使っていなかったレンズなので、防湿庫の中に
入っていたとは言え、カビているかも知れない。
レンズを外してチェックするが、カビはどうやら大丈夫な模様。
ならば、こういう性能か? 以前使っていたときは、
「FD広角f2 三兄弟」は、どれも優秀だったいう印象だが、
これは何故に?

まあ良い、フレアを回避するため、今回も「日陰者」生活だ(笑)
c0032138_9191312.jpg

日陰の撮影であれば特に問題は無い、カビでもなさそうだし、
やはりレンズ性能なのか・・?

そういえば、各社の三兄弟レンズには優秀なものが多い。
例えば、「OM中望遠f2 三兄弟」(OM85/2,OM90/2,OM100/2)
「SIGMA 大口径広角三兄弟」(AF20/1.8,AF24/1.8,AF28/1.8)
「PENTAX FA-Limited三兄弟」(FA31/1.8,FA43/1.9,FA77/1.8)
などである。

でも、思うに、その中に1つだけ「ハミ子」(仲間はずれ)
がある場合も多い、例えば、OMは85/2、SIGMAはAF20/1.8
PENTAX はFA31/1.8なのだが、これらはちょっと他の2本
に比べて描写力的に見劣りしてしまう。(とは言え、優秀
である事は間違い無いが、他の兄貴分がさらに凄いのだ)

「FD広角f2 三兄弟」も28/2だけイマイチなのか・・??
c0032138_9194353.jpg

う~ん、なんとも微妙な判定だ、フレアが出る場合もあれば
さほどでも無い場合もある、「日陰者」や順光に徹して
撮るのであれば逆光耐性は問題は無い、けど、そんなに
色々と撮影条件に制限のあるレンズだったかなあ?
何かレンズの調子がおかしいのかも知れない、機会があれば
またちょっと使ってみてから判断するとしよう。

ちなみに最短撮影距離は30cmと28mm広角としては一般的。
レンズ構成は9群10枚とやや複雑だ、これは前記「長焦点型」
と同様の複雑な構成である。(これは描写力的には不利だ)

本レンズの購入価格は、1990年代に18000円であった、
これは若干安かったと思う、なにせ、MD28/2は24000円、
SMC 28/2は、29000円もしていたのだ。

それら高くてイマイチなレンズに比べては安価ではあったが
フレア問題は、ちょっと追加検証が必要な模様だ、いずれ
機会があれば、再度別な撮影条件で試してみる事にしよう。、
さらに、確か、もう1本28/2があったので、それとも比較して
みる事にしようか。

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さて、次のシステム。
c0032138_9201969.jpg

カメラは、SONY NEX-3 、MF性能に課題をかかえる為、
主にEマウントでの「トイレンズ母艦」としている。

レンズは、OLYMPUS BODY CAP LENS FISH EYE
BCL-0980 9mm/f8 である。

「ちょっとまてよ、マイクロフォーサーズ用レンズでは
 無いのか?」
と思った人は、正解! その通りである。

すでに、第22回記事で、OLYMPUS E-PL2に本レンズを
装着して紹介しているが、本来はマイクロフォーサーズ
専用の魚眼レンズだ。(以下μ4/3)

μ4/3用レンズを、Eマウント機に装着するマウントアダプター
は存在する、上写真で着けているのがそれである。

しかし、μ4/3用AFレンズは、通常絞り環が存在しない、また、
下手すると同規格のボディでないと、AFはおろかMFも動かない
かも知れない。

すると、MFで、かつ絞りがあるμ4/3レンズしか、Eマウントに
装着できない。具体的にはフォクトレンダー・ノクトン系、
サムヤン(韓国製)、コーワ(日本製)、そして、この
オリンパス・ボディキャップ、ミラーレンズ、およびLOMOや
HOLGA等のトイレンズあたりしか無いと思う。
(注:ボディキャップレンズやトイレンズには絞り環は無い、
そもそも固定絞りなのだ。だが、一応、条件は満たしている)

じゃあ、このアダプターは何に使うか?といえば、
本来は「マイクロフォーサーズ用のマウントアダプターを
Eマウント機で使用するためのアダプター」なのだ。
これを使えば、μ4/3とEで同じアダプターを重複購入する
必要は無い、μ4/3版のアダプターだけ買っておけば、この
アダプターを併用して、Eマウントでもそれが使える訳だ。

で、銀塩用オールドレンズを使う場合は、イメージサークル
は十分大きいので、μ4/3であろうが、EマウントAPS-Cで
あろうが、Eマウントフルサイズであろうが使用できる。

しかし、前述のマイクロフォーサーズ専用(MF)レンズは、
いずれもイメージサークルがμ4/3サイズであると想像でき
APS-C機に装着すると、元々が小さいセンサー(撮像素子)
専用のレンズであるから、APS-Cの画面周辺まで光が行き
届かず、ケラれる(画面周囲が暗くなる)という現象が起こる
可能性が非常に高く、一般的な感覚では「使い物にならない」
(使ってはならない)組み合わせである。

ただ、今回はあえてその「使ってはならない」組み合わせを
試している訳だ。
c0032138_921273.jpg

今回使用する BCL-0980 は、「対角線魚眼レンズ」である。

一般的に、銀塩(フルサイズ)用の対角線魚眼レンズを
APS-C機や、μ4/3機に装着すると、画角が狭くなるとともに
魚眼の歪み(ディトーション)効果が殆ど失われてしまう。

まあ、それはそういう原理なのでやむを得ない、なので
最近は(フルサイズではない)ミラーレス機で、魚眼レンズ
を用いる場合は、あえて、その減少した歪曲を前提に作画する
手法を色々と模索していた(やや歪む広角レンズとしての利用)

だが、BCL-0980 は、μ4/3機においても、対角線魚眼
効果を出せるように設計されたレンズである。
では、それをもし、μ4/3に比較して画角が1.4倍相当に
なるAPS-C機に装着するとどうなるのか? 

もしイメージサークル(レンズ後玉からフィルムや撮像素子
(センサー)に対して投影される光束の径)が十分に大きいので
あれば、フルサイズ用魚眼がAPS-C機でディストーションが
減ったのとは逆の現象が起こり、より魚眼効果が強調されるの
ではなかろうか? 

という理屈である。
つまり、これをすると「スーパー魚眼レンズになるかも」
という期待があったわけだ。

しかし、案の定、画面周囲にわずかにケラレが出る、
(ただ、思ったよりはケラれない)

ケラれはちょっとうっとうしいので、以降、ほんの僅かだけ
周囲をトリミングして掲載しよう。
c0032138_9221551.jpg

魚眼効果が助長されているのか? と問われれば
ちょっと微妙だ、よく曲がっている(笑)ようにも思えるし、
こんなものだ、という感じでもあり、良くわからない(汗)

「スーパー魚眼レンズ」にはならなかったようにも思える。

だが、発色が凄い、いわゆる「オリンパスブルー」か?

ただ、私は、その「オリンパス・ブルー」の俗説にはあまり
賛同できない。オリンパスのレンズはMF時代から現在まで
何百機種も存在するし、デジタルカメラだって、コンパクトや
一眼・ミラーレスも含めれば何百機種も存在しているだろう、
それらの全て、あるいは特定の組み合わせで「オリンパス・ブルー」
の特徴的な発色が出る訳でも無いだろうし、だいたい、カメラの
設定だって、彩度やホワイトバランス、さらにはISO感度や
露出補正をいじくってしまえば、青の色味は大きく変化する。
勿論、その時の被写体(青空など)の状況もある。
つまり、オリンパスのカメラを買えば誰でも特徴的な青を
出せる訳では無いと思っている。
c0032138_9225657.jpg

余談だが、私は、CANON IXY L、および IXY L2という10年
以上も前のクラッシックなコンパクト・デジカメを、現在に
いたるまで計3台も使っているのだが、それは何故かと言うと、
IXY Lを、日中でISO感度50、露出補正-0.3という設定で使うと、
オリンパスブルーよりさらに強烈な「IXY ブルー」とも言うべき、
強く濃い青の発色をするのだ。それが非常に特徴的な描写なので、
同じカメラを3台も使いつづけている訳だ。

特にIXY Lを晴天時に使うと青空の深い青色がとても印象的である、
これは、初期のデジカメなので、色再現性に問題があったの
だろう(新しいIXYでは改良され正しい色味になっている)
でも、その弱点を特徴にしてしまうのは確信犯かも(笑)
c0032138_9234699.jpg

こちらが、IXY L2で撮った写真である。

さらに余談だが、3台目のIXY L2は、最近BOOK OFFという古本の
チェーン店で購入した(近年、BOOK OFFは、家電製品の中古を
扱っている場合もある)価格は何と 500円!(税別)

安価な理由は充電器が欠品してい為だ。
店員さんから「充電器がありませんので、充電できませんよ」
と念を押され「いいんです(充電器は)持っていますから」
と喜び勇んで購入、非常に安価であったので満足だった。
(ちなみに、同一バッテリーが使える機種の中古購入で、
充電器欠品の物を狙うと、価格がとても安くなるので嬉しい)

で、今回、NEX-3の画像設定は「VIVID」であり、露出補正は
被写体状況に応じて適宜行っている。f8と暗いレンズなので
ISO感度はAUTOとしているが、日中なので、ほとんどの場合
ISO100~200程度の低感度に自動設定されている事であろう。
この状態では、NEX-3の初期のキットレンズである、E16/2.8を
用いても、同様に比較的濃い青の色味が得られる場合がある、

色についての余談が長くなったが、今回の着目点は、
「対角線魚眼より見かけ画角が広くなるスーパー魚眼は
成り立つか否か?」という評価であったのだが、
まあ、「微妙」という結論にしておこう・・

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さて、次は今回のラスト。
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カメラは、お馴染みDMC-G1
レンズは、ヤシカML 50mm/f2である。

本レンズは、京セラ(コンタックス)の傘下に置かれた
時代(1970年代後半以降)のヤシカのレンズである。
よってマウントも、Y/C(ヤシカ・コンタックス)
(RTSマウントとも言われる)である。
コンタックス・ブランドのプラナー等のレンズとも互換の
マウントであり、コンタックスの銀塩MF一眼に装着しても
絞り優先等で使用できる。勿論、ヤシカの同時期のMF一眼の
FR/FXシリーズなどでも使用できる。現代、アダプターで利用する
上では、Y/C用を買ってくれば、それで問題なく使える。

ML系標準レンズには、多くの種類が存在し、50/1.4,50/1.7
50/1.9,50/2 さらに、55/1.2や55mmマクロもある。
加えて、M42時代のDS/DX/DSBレンズも加えるとかなりの数と
なるが、まあ、M42版とY/C版はレンズ構成が同じものも多い。

富岡光学製とも言われているが、マミヤ、トキナー、コシナが
製造していた時期もあると言われている。
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外観はややチープであり、上位機種のプラナー50/1.4,50/1.7
等と比べると少々安っぽく感じる、勿論中古相場もコンタックス
ブランドよりもかなり安価に流通していた。
しかし、そのチープさとは裏腹に、比較的良く写る。

本シリーズ記事では、MF時代の50mm標準は、どれも良く写り
しかも、小口径(f1.7~f2)級は、さらによく写る、と何度か
書いているが、本レンズも同様であり、特に「ヤシカだから
非常に良い」という訳でも無い。

50mm標準レンズとしては、同時代(1980年前後)であっても、
f1.2級のレンズも存在し、f2と言ったら最も暗い類の標準
レンズである。ただまあ、ヤシカの銀塩MF一眼レフの最高
シャッター速度は、1/1000秒~1/2000秒であったので、
ISO100程度のフィルムを使うのであれば、明るいレンズは
簡単にシャッター速度オーバーになってしまう可能性もあった。

これ以降の時代のCONTAX製MF一眼を使うならば、1/4000秒
以上のシャッターを搭載している機種も多かったので、それで
あればf2級の明るさのレンズは問題なく使えるが、高価な
CONTAX一眼と、ヤシカの小口径標準の組み合わせは価格的に
アンバランスだ(カメラの価格がレンズを大きく上回っては
ならないという、本ブログのコンセプトはこの時代でもあった)

なので銀塩時代には、CONTAXカメラにはプラナー50/1.4等を
装着し、気軽にヤシカを持ち出す時は、安価なFX-3 Super2000
(コシナ製OEMカメラで、レンジ機BESSAの元になった機体。
1990年代発売で、安価だが1/2000秒シャッターが使え重宝した)
にヤシカMLレンズを装着する事も多かった。
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銀塩MF標準レンズを使う際、大口径版(f1.4前後)と小口径版
(f1.8前後)の使い分けであるが、まず大口径版は勿論大きな
ボケ量を得られるし、最短撮影距離も、おおむね45cmと
まずまず寄れる。小口径版は、ボケ量も少なく、最短も
50~60cmとあまり寄れない、まあ、このあたりはメーカーも
ラインナップの上下で差別化をするために、あえて小口径版は
最短撮影距離を長くしていたのかも知れない。
よって、小口径は近接撮影がしずらいため、さらにボケ量の
(調整範囲が)少なくなる。

そういう特徴があるので、「大口径は開けて使う、小口径は
絞って使う」というのが一般的な使い分けであろう。

後年、同一メーカーの大口径と小口径のレンズ2本で
それぞれ絞りを変えながら解像度チャートを撮影して実験した
事があるのだが、その時にわかったのは、大口径版は、
f1.4開放~f5.6あたりまでは解像度が低く、f1.7~f5.6の
絞り値の範囲では、小口径版の方が解像度の数値が上回る
という事であった、それを超えてf8より絞り込むと、今度は
大口径版の方が僅かに解像度が上回る。

すなわち、大口径版は絞りの値による描写特性の変化が大きく、
「開放で甘く、絞ってシャープ」という事になる。
これはどこかで聞いたセリフであるが、第20回記事で紹介した
「復刻トプコール58mm/f1.4」発売時のコシナ社のキャッチ
コピーと同じだ、つまり、MF銀塩時代(1960~1980年代)の
各社の大口径標準は、多かれ少なかれその傾向があるという事だ。

その後、1990年代~2000年代前半のAF銀塩時代は、
ズーム全盛期となり、単焦点標準レンズの新規開発は、ある意味
放っておかれた時代である(作っても売れない)なので、AFの
単焦点標準レンズはMF時代のものを、そのままAF化しただけの
ものも多かった。

だが、2000年代後半以降、デジタル時代になると、逆にズーム
全盛期な故に、個性的な高性能の単焦点の市場ニーズも増え、
各社とも優秀な単焦点レンズの開発を再び開始した、

最新の各社の単焦点レンズは、「お試しバージョン」とも言える
安価なラインナップと、上級者向けの「超高性能バージョン」
が存在している。後者は特に最新の設計や最新の素材・技術を
用いて、超高画素対応に加え、絞り開放から高性能を発揮するとの
ことであるが、いかんせん価格が高くなってしまい、そう簡単に
は買えないのが辛い所である。
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さて、本レンズであるが、最短撮影距離50cm、f2の小口径故に、
ボケを活用した作画表現はしにくい、よって、前述のように、
やや絞り気味での気軽な撮影に向くという事になる。

特徴は、特に無く(汗)そこそこ写るし、逆光耐性もさほど
悪くない、また、ボケ質の破綻もあまり起こらない、
あまりにオーソドックスで、やや拍子抜けしてしまう。

もう少しアクがあった方が、このレンズを持ち出す意味が
出てくるのだが・・他にもヤシカ標準レンズは何本か所有
しているので、わざわざ本レンズを選択する意味があまり無い。
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本レンズの購入価格は不明である。
実は1990年代に、ヤシカFRだったか何かのボディを購入した
際に、付属していたか、おまけにつけてくれたのか、そんな
感じであった。まあ、あえて金額をつけるとすれば、2000円
位だと思う。
ちなみに、2010年前後の「中古レンズ大放出時代」に購入した
ヤシカDSB50/1.9は、ジャンクであったが、2000円という
価格だったので、それと同等と見れば良いであろう。

現代において、このレンズを「指名買い」で購入する必然性
は無い。けど、ヤシカの標準レンズは、どれを購入しても
たいていハズレは無いので、歴史的意味からも、ヤシカの
どれか1本は必携のレンズであると思う。本家コンタックスの
プラナー標準レンズよりは、はるかに安価(場合により1/10の
中古価格!)なので、両者を所有して、撮り比べをしてみる
のも楽しいかも知れない、もし両者に、さほど差が無いと
思えば、そこで「価格(相場)とは何ぞや?」というあたりを
考えてみるのも良いであろうと思う。

さて、今回はこのあたりまでで、次回記事に続く・・

【熱い季節2016】番外編~チーム未来さくらクルーズ

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2016年4月2日(土)および4月9日(土)の2回にわたり、
ドラゴンボート専業チーム「チーム未来」の一般向けイベント
「さくらクルーズ」が行われる、との連絡を受けた。

匠「面白そうですね、ちょっと行ってみようかな」
未「ナイトクルーズをやりますよ、夜の体験乗船は初めてでは?」
匠「そうかも知れませんね、夜桜もなかなか粋かも」

そして、私が大阪・桜ノ宮を訪れたのは4月2日であった。
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こちらが大阪・桜ノ宮(毛馬桜ノ宮公園)の艇庫。

昔から、大学やアマチュアチーム等のカヌーなどが多数保管されて
いる艇庫であるが、私がここを訪れたのはおよそ12年ぶりになる。

ドラゴンボートも勿論いくつかある、チーム未来は2015年秋に、
自チームの専用艇を購入し、ここを練習拠点とした。
この場所には昔から「チーム浪わ」などが艇を保管していて、
近年では、強豪の「bp」も10人艇と20人艇を置いている。

この場所へのアクセスだが、
JR大阪環状線桜ノ宮駅から徒歩12分、
大阪市営地下鉄京橋駅からは徒歩17分、
環状線・京阪の京橋駅からは、徒歩18分程度
というところであろうか。

本日の最高気温は、21℃とこの季節にしては暑いくらいであり
花見には絶好の状況だ、おまけに、桜ノ宮と言えば、大阪市内でも
一二を争う、桜の名所である。午後3時の時点では極めて多くの
花見客が集まってきていた。
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ここはJR桜ノ宮駅から約2kmも南北に長さのある広い公園で
あるが、いたるところに花見の団体客が居る、家族友人連れ
のみならず、散歩するカップルや外国人旅行者などの姿も目立つ。

なお「大川」を挟んだ対岸は、こちらも有名な
「造幣局・桜の通り抜け」スポットである、もっとも、造幣局の
桜の見頃は、ソメイヨシノよりも2週間ほど遅い4月中旬であるが、
それでも近隣には、多数の種類の桜があるので4月上旬であっても、
やはり多数の花見客が訪れていて、屋台や屋外コンサートなども
開かれていた。
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こちらは、今回の「さくらクルーズ」を企画立案した「チーム
未来」の「らお」さん。”異チーム交流会”も手掛けていて、
ドラゴン関連の各チームに顔が広い。
本日は、一般体験乗船の他、他チームからの参加もあるとの事。
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こちらが「チーム未来」の新規購入艇だ。
チャンピオン社製の10人漕ぎ艇、FRP製で軽量である事が
最大の特徴で、確か重量は 170kg程度だったと思う。

他地区で使っている木製の重量級の艇が(20人漕ぎではあるが)
650~700kgもある事から比較すると雲泥の差だ。
小型軽量とは言え、長さは9m程あって、カヌーなど小型艇に
比べるとだいぶ大きい。
軽いので、数名の選手達で持ち上げる事も可能であるが、
通常の移動には台車のような車輪つきの器具を必要とする。
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本日は、数名の女性体験乗船者も参加している。
まあ、体験乗船と言うよりは、どちらかと言えば、
「チーム未来」の新人候補生である。

ドラゴンボートは各専業チームとも新人勧誘には熱心である。
まあ、それが将来のチームを支えていく事になるので当然だろう、
さもないと、同じメンバーばかりでやっていたら、どんどんチームが
高齢化してきてしまうのだ。「未来」のような歴史の長いチームでは
なおさらだ、適宜新しいメンバーを入れて、少しづつリフレッシュ
していかなくてはならない、各チームとも、そうしたメンバー改変期
には一時的に戦力ダウンするのが通例だが、そこからいかに短期間で
従来のレベルまで戻すか、というのも、近年の各専業チームの課題
となっている。

---
時刻は午後4時半、少し花見客の数も減ってきた、先ほどまでは
公園にある数少ないトイレには、男女とも長蛇の列が出来ていた。
まあ、気候が良いのでビールなどを飲んでトイレが近くなったの
かも知れない。公園にここまで多数の人が集まることは、花見以外の
季節では想定しにくいので、トイレの数が少ないのはしかたがない、
だが、ここから約2時間のクルーズが始まるので、トイレは済ませて
おかなければならない。

水分補給も必須であるが、問題は気温だ。昼間はかなり暑いくらい
であったが、夜になると急速に冷え込むであろう、選手達は、
ビニール合羽などを着込んでいる人も居る、それは正解だと思う、
風や水を通し難い素材のものが今日の環境では最適だ。
私も乗船して撮影を行うのだが、本日の上着はフリースだ、
ちょっと失敗したか?と思ったが、まあなんとかなるだろう。

艇庫から大川へのボートの移動であるが、人力でボートを
動かし、スロープから川に入る。
このスロープは、近年人気の水陸両用バス「ダックツアー」も
使用している。
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ダックツアーのバスが川に入るときは多数の観光客も珍しそうに
様子を見ている。このツアーが出来たのは確か10年程前であり
以前ここを訪れた時にはまだ無かった。

ちなみに、陸上および水上から大阪の名所を順次見学する事が
できる、かなり人気のツアーであるが、少々高目の値段であり
地元大阪の人達はあまり利用しない(私も乗った事は無い)
まあ、観光客向けという事であろう。

午後5時前、本日の参加メンバーも揃い、注意事項伝達や
準備体操も済ませてある、体験乗船の新人達へのレクチャーも
終了した、さて、ダックツアーが行ったタイミングを見計らい、
ドラゴンボートも川に入れる事にする。
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このように台車の上にドラゴンを乗せて人力移動、このまま
スロープから斜めに水上に落とす、艇には1~2名の選手を
あらかじめ乗せておき、スロープ脇の桟橋まで手漕ぎで移動する。
台車には紐をくくりつけておき、ドラゴン入水後、ひっぱって
回収する。

なお、陸に上げる時はこれと逆の手順でドラゴン艇を回収する。
陸に上げるには、スロープ上の半水中で待機する台車に正確に
ドラゴン艇を乗せないとならず、慣れないと、なかなかぴったりと
乗らないで何度もやりなおしする場合もあるが、「未来」などの
ベテランのチームであれば、そのあたりも慣れたものである。

余談だが「サンダーバード」という英国の人形劇・映画・アニメ
がある、昔から放送しているし、近年またリニューアルされた。
この作品の中に「サンダーバード4号」という小型潜水艇が
出てくる、これは水中・海中などのでの事故の際に救助活動を
行うメカであるのだが、この潜水艇は自力で事故現場まで移動
する事はできず、サンダーバード2号の装備として「ポッド」の
中に収納されていて、空中から水上にポッドごと投棄される。

なお、2000年代のリニューアル映画版では、2号の「ポッド」は
1960年代のオリジナル版のような交換式ではなく、固定式であり
4号は2号のハッチの1つを開けて、そこからカタパルトで射出
された、だが「2号と言えばポッド交換式」というイメージが
ファン層にもあったからか?2010年代のリニューアルTV版
では、再び交換式ポッドとなっていて、オリジナル版同様に
2号からボッドごと水上投棄となっている。

で、問題はその4号を、どうやって回収するの?というのが
私は疑問であった。しかし、サンダーバード全作品を良く見ると
オリジナル版でもリニューアルTV版でも、4号の回収シーンが
ある、ポッドにあるスロープから4号が逆進で戻り、
ポッドのハッチを閉め、2号がワイヤーのようなものを使って
ポッドを回収するのだ。なお、ポッドは2号にすっぽりと嵌る
仕組みなので、ワイヤーがどうなっているのか、そのあたりは
良くわからないのだが、まあ、これに限らずサンダーバードには
矛盾がいくつもあるので(例:ジェットモグラは、あの構造では
地中を掘り進めないのではなかろうか?とか、いつ制服に
着替えるの?とかだ)そのあたりはあまり気にしないでおこう。

余談が長くなったが、つまりボートの類を水上・水中に入れる
のはさほど難しくないが、問題はどうやって陸上に上げるか?
という点だ、ドラゴンに限らず、他のボート類でも同様の問題
を必ず抱えている。 

ちなみに、カヌー・カヤックなどの小型艇では、数名の選手で
人力で上げ下ろしが可能だ、スロープも不要で、桟橋があれば
それで事足りる。
ヨット等中型艇の場合は少々やっかいで、多くのマリーナには
クレーンが設置されていて、上げ下ろしを行う場合もある。
クルーザーなど大型艇の場合は、普通、陸上への上げ下ろし
を行わず、海上の専用桟橋に駐留させる事となる。
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さて、乗艇メンバーも揃った、順次ドラゴンに乗り込む、
桜が満開で綺麗なのでメンバーの期待も大きく、皆笑顔である。
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大川に漕ぎ出す、ビギナー体験乗船者も数名いるが、
まあ多くは慣れたクルー達だ、漕ぎに問題は無い。

チャンピオン艇は重心が高く、古い木造艇に比べ若干不安定だ。
だが、速度は出る。特にこの10人(漕ぎ)艇は、20人艇の半分
の漕手の数であるのに、速度は20人艇と殆ど変わらない。

私は撮影を行うので、最前部、ドラマー(太鼓手)の前に
逆向きで座っている、そこは座席ではないので、長時間座って
いるのは大変なので、たまに通常の漕手席で休んたりしている。

それと、ドラマーだが、太鼓の音を出すことができない、
まあ大川は一般の河川であり周囲には住宅地もあるからだ、
よって大会など特別なイベントの際には、周囲の住居などに
チラシなどを入れて告知するが、練習や今回のような小規模
なイベントでは、そこまで面倒なことはやっていられない。
なので、ドラマーは、ゴムのクッションを叩いて艇の中で
聞こえる程度の小さい音で全体のペース配分を取る。
ちょと拍子抜けであるが、まあやむを得ない。

不安定という点につていは、ドラゴン艇は、まず沈没や転覆
する事は無いのだが、それでも、近年、数件そういう事態を
目撃している。

数件ある沈没理由の全ては、強風による高波をモロにかぶり、
艇の中に大量の海水等が浸水してしまった事からだ。

転覆は1件ある、それはビギナーチームが、初めて優勝した
喜びで、全員艇の上で立ち上がってしまって転覆したのであった。
まあいずれも、事故理由がちゃんとある、なので、それらに
留意してさえいれば、一般的な状況で、沈没・転覆する事は無い。

今回のケースでは、大型の観光船とすれ違う場合もある、その際
「引き波」あるいは河岸からの「返し波」を喰らう事になるが
それもベテランチームでは慣れている事なので、適切な時点で
艇を「ステイブル」(パドルを左右に張り出して安定させた
状態で待機させる事)するので問題ない。

けどまあ、安全の為、勿論全員ライフジャケット着用だ。
数年前の天竜川の観光船事故から、近年では観光船と言えども
ライフジャケットを必ず装備していて、乗客にも着用を推奨して
いる。しかし、完全に着用義務がある訳では無いので、一部の
地域の観光船等では、ライフジャケットを着用しない乗客が
大半であったりもする。だが、たとえ運河のような比較的安全と
思われる場所であっても、水は怖い、水深が腰くらいの浅い場所
でも溺れる事があるので、ライフジャケットの着用は義務化する
のが良いと思う。
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陸上には「チーム未来」の選手が、撮影班として自転車で
随走している、この役目は非常に大変な事は、私も何度も経験
していて知っている。
大阪市内をドラゴンで一周する「水の回廊」イベントでの事だが、
電車やバスでの移動では、ドラゴンとの会合点への移動タイミング
が難しく、徒歩や場合により走ってその地点へ到達しなけれれば
ならない。
今回の彼は、自転車で移動している模様であるが、道路であれば
勿論移動は容易なのだが、川の直近まで自転車のままでは
近寄れない事が殆どだ、よって、階段などを自転車を抱えて
上り下りしなければならず、これはなかなかの重労働である。

で、彼は、コンパクトのロングズーム機を使用している模様だ、
最近思うのだが、ドラゴンボートにおいて、デジタル一眼レフを
使用しての超望遠撮影はなかなか大変だ、その最大の理由は、
レンズにあり、望遠端が400ないし600mmになるレンズが必須
なのだが、大きく重く高価であるという三重苦だ。

大会会場などで、陸上であまり移動の無い撮影であれば
まあそれでも良いが、今回の彼のように移動しながらの撮影では
それはちょっと厳しい。
なので、軽量な、ロングズームコンパクトがその目的には
ぴったりだ。

超望遠撮影では、ミラーレス機+デジタルズームという選択肢も
考えられるが(ミラーレス・マニアックスの記事参照)即時性
(操作が追いつかない)、画質(劣化する)の問題があり、
イベント撮影向けではない。

あるいは今回の私のように船上からの撮影でも当然超望遠は
不要である、むしろ防水コンパクト機がベストなのだが、
今回の私の撮影機材は、防水型ではなく、以下の2台だ、
FUJI XQ1(24~105mm相当+超解像で最大420mm相当)
FUJI X-S1(24~624mm相当+超解像で最大1248mm相当)

X-S1は、そうしたデジタル一眼超望遠撮影が大層であるケース
における軽量機として、本シーズンから導入している。
すでに生産中止品で、中古で27000円ほどで購入したもの。

新品を購入しない理由は、いつも書いている通り、ドラゴン撮影は
環境が過酷であるので、高価なカメラは推奨できない事が1つと、
現在、ロングーズーム機で、手動ズームを搭載している機種が
1つも無い事である。
電動ズーム機は、電源OFFで最広角の位置に収納されてしま
うので、再度電源ONした時に、すぐ超望遠撮影を行う事が
できないのだ。
ズーム位置メモリーという機能を持つカメラもあるが、電源ON
から前回使用時の焦点距離に復帰するまで、かなり時間がかかり
撮影の即時性に欠ける、つまり手動ズームで無いと間に合わない。

まあX-S1は、超望遠機であるので、陸上での撮影がメインとなり、
ドラゴン艇の船上では、もっぱら小型のXQ1の方を使用している。
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小型機である事を活かし、このような撮影アングルも自在だ。

XQ1は一見普通のどこにでもあるコンパクト・デジカメだが、
ローパスレス、2/3の大型撮像素子、など中身は高性能だ。
防水型のカメラを使わない理由は、防水機能を重視する事で
カメラとしての基本性能がどうしても不足してしまう事だ。

「水に濡れたらどうするの?」という疑問が一般的には
あると思うが、ずっとドラゴンを撮っていて、カメラが水に
濡れるのは当たり前、水上のみならず陸上でも、豪雨などの
中での撮影も多々あった。
で、そんな時、どこまでカメラを濡らしたら故障の危険があるの
かは十分に承知している。ヤバイと思ったら、乾いたタオル等で
よく拭いてから、しばらくそのカメラは休ませる(乾燥させる)
そういう事から、ドラゴン撮影をやってきた10数年での浸水故障
は1度も無い、そりゃあまあ、動かなくなった事は何度かあるが、
すぐ使用をやめて乾かせば、数日で復活するのだ。

さらにポイントだが、壊れても惜しくないカメラを使用する事だ、
これは極めて重要な点である、ビギナーカメラマンの殆どは
イベントとか旅行とかの非日常の撮影に、非常に高価なカメラを
持ってくる、これはまあ気持ち的には分かるのだが、そうした
際は、気分も舞い上がっていて、集中力に欠ける事が殆どだ、
だからカメラをぶつける、落とす、などで壊してしまったり
下手をすれば置き忘れ、盗難、などに見舞われたり、あるいは、
我れ先に撮るという意識が強くなりすぎ、マナー違反や周囲への
迷惑、トラブルになったりするケースが大変多い。

だからそんな時には決して高価なカメラを持ち出してはならない、
高価なカメラはできるだけ日常の中、安心できる環境で、じっくり
使えば良い、ある程度使って操作にも慣れ、かつ購入価格も十分
に元が取れるほど撮ったら(注:1枚3円の法則が良いだろう)
それから非日常に持ち出せば良いと思う。

「カメラは1台しか持っていないよ」という向きには、
安価な予備機を中古で1台購入する事を推奨する、
ミラーレス・マニアックのシリーズ記事で書いているように、
現代の中古デジタルカメラは恐ろしく安価であり、型遅れで
あれば2万円も出せばレンズつきセットが買えてお釣りが来る。
コンパクトの型遅れはさらに安価で、軽く1万円を切る、
ちなみに、最近私が買った機種は、なんと500円!であった。

そういう安価なカメラを買って、安心して撮影すれば良い訳だ、
そうであれば、雨や水も全く怖くは無い、最悪壊れても、
また買いなおすのも、さほどの負担では無いのだ。
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さて、若干暗くなってきた、本日の大阪の日没は18時20分
とのことである、夜間の小型艇の走行は、観光船などとの
衝突等が懸念されるので、ドラゴンの前後にはLED灯を
装備している、舵取の方もLED灯に加え、LEDが点滅する
工事用のジャケットを着込み、周囲にわかるように配慮している。

暗くなると、大阪の街は街灯やビル明かりが綺麗になって
くるが、観光的配慮から多くの橋のライトアップもある。
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橋のライトアップは、様々な色に変わる照明を使っている
場所も多く、なかなか綺麗だ。

ちなみに「水都大阪」の橋はかなり数が多く、江戸時代には
「八百八橋」とも言われたくらいである。
まあ、それは多少オーバーな言い回しであった模様だが、
現在では市内全域で867橋と、昔の言い回しを越える数がある。

大阪の駅名においても、淀屋橋、天満橋、渡辺橋、なにわ橋、
京橋、四つ橋、肥後橋、心斎橋、長堀橋、など、極めて多い。
外国人観光客が来て、日本語がわからなかったら、何故駅名の
多くに「バシ」が付くのか、意味がわからない事であろう。
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時刻は午後7時過ぎ、完全に日が落ちた。

ドラゴン艇は中之島界隈を進むが、このあたりはビジネス街
であり本日は週末であるから人出はあまり多くなく、同様に
観光客もさほど多くない。観光客の殆どは昼間の間に名所を
巡るのであろうし、花見客も桜ノ宮近辺に集中している模様で
桜の少ない中之島界隈にまでは来ていない。

乗船時間が長くなったので、桟橋に艇をつけ休憩する。
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熱いコーヒーとシュークリームが振舞われる、この経費の為、
本イベントは、500円という参加費を頂くことにしているとの事。

さて、一休みしたところで、あとは一気に本拠地の桜ノ宮を
目指して帰るとしよう。 
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それにしても夜間クルーズはなかなか新鮮だ、
ドラゴンといえば、完全に昼間のイメージであり、夜間に
ドラゴン艇を出すのは、よほど練習熱心な一部のチームだけで
あったし、確かに一般向け体験乗船のイベントで、夜間という
ケースは、今まで無かったに違いない。

夜間でのフラッシュを使った撮影であるが、基本的には、
フラッシュを「スローシンクロ」モードにすると良い。
つまり一般的なフラッシュ撮影では、その際のシャッター
速度は、シンクロ同調速度と呼ばれる、決まった値となる。

シンクロ速度はカメラの仕様により異なるが、コンパクト機
においては、1/60秒前後、デジタル一眼においては、
1/180秒~1/250秒前後である。 

で、例えば、ISO感度400で、開放f2.8のレンズを用い、
1/60秒~1/250秒というシャッター速度で夜景を撮ったら
どうなるか?恐らくこの露出では暗すぎて、夜景は何も写らない
に違いない。なので、一般的記念写真では、せっかくの夜景を
前に、オートで発光したフラッシュでは、夜景が何も写らず、
人物しか写っていない事が殆どになると思う。

ただし、デジタルコンパクトで、ISO感度をAUTOで使っている
場合、スローシンクロモードにしなくても、ある程度ISO感度が
上がり、フラッシュの光量が少なく、加えてシンクロ速度が
遅い場合、たまたま人物+夜景が撮れる場合がある。
デジタル一眼レフではシンクロ同調速度が速く、まず夜景に
露出が合う事は無い。

よって「一眼レフよりコンパクトの方が夜景が綺麗に撮れたよ」
と言ったケースが、これらのモードを使いこなす事ができない
ビギナー層において起こりうるわけだ。
だからまあ、いずれの場合でもスローシンクロを使うのが
良いのだが・・

しかし今回、私は実はスローシンクロモードを使っていない、
フラッシュは強制発光のままでISO感度と絞り値を手動調整して、
シンクロ速度での夜景での露出を合わせた状態として、フラッシュ
光をそこに補助的に乗せる事にしている。

フラッシュ光量は、ガイドナンバーおよび撮影距離と絞り値で
決まるが、フラッシュ光自体に調光補正という機能がついている
ため、それを調整するか、簡易的には絞りを調整すれば同様の
効果を出すことができる。

で、何故そうしているか?と言うと、その方が原理的に分かり易い
事と、手ブレのリスクを低減する為だ。

そもそもシンクロ同調速度だが、スローシンクロモードでは、
その同調速度が際限なく下がってしまうリスクがある、その為
数分の1秒のシャッター速度まで勝手に下がって、手ブレ必至と
なってしまうかもしれない。
よって、カメラの取扱説明書にも「スローシンクロの場合は
三脚を必ず使用してください」と書かれている。

勿論ドラゴン艇の上で三脚など立てられるはずもなく、立てられ
たとしても揺れる船の上ではまったく無効だ。
で、三脚を使わない場合は、スローシンクロも使わず、通常の
強制発光のフラッシュのシンクロ同調速度、すなわちコンパクト機
では、1/60秒程度で背景の露出が合うようにしたほうが、
ブレ対策になるのだ。
銀塩カメラや昔のデジタルカメラでは、それは不可能な話であった
のだが、近年のデジタルカメラではISO感度を、かなり上げる事が
できる。今日持ってきているXQ1とX-S1でもそれぞれISO12800
を搭載している、よってシンクロ同調速度で夜景に露出を合わせる
事が可能となっている訳だ。
c0032138_20423647.jpg

この方式であれば、フラッシュを引っ込めると、すぐに通常の
夜景撮影モードに移行できる、まあ、スローシンクロモードに
した場合でも同様ではあるが、同一の露出値で、フラッシュを
追加する、しない、という選択をした方が「原理的に分かり易い」
と書いたのがそれである。

さて、時刻は午後8時、そろそろ桜ノ宮に戻ってきた、
選手(漕手)達の体力も、ぼちぼち限界であろうし、
おなかもすいてきたし、トイレにも行きたい頃であろう。

前述の手順で艇を陸に上げ、収納する。
c0032138_20431046.jpg

ここでドラゴン艇の下に入れてある台車は、市販品ではなく
「チーム未来」の手作りとの事である。
木材を組み合わせたなかなか複雑な機構になっていて、
クッション効果まで得られるようになっているという優れもの。

2ヶ月もかけて作ったという「チーム未来」の自慢の逸品だ、
大量生産して、他チームにも販売すれば?と一瞬思ったが、
手作りでは手間とコストがかかりすぎるであろう(汗)

簡単な終了ミーティングがあって、これにて本日のイベントは
無事終了。思ったより好評であったので、今後も、春秋など
良い気候の際に定番化していきたいとの事である。

さて、今回は番外編でのイベント紹介であったが、
今年の【熱い季節】の本番も、もうすぐだ・・

ミラーレス・マニアックス(37)

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マニアックなレンズを安価な中古ミラーレス機に組み合わ
せて楽しむというシリーズ記事、第37回目。

まず、このシステムから。

c0032138_2050499.jpg

カメラは「孤高のKマウントミラーレス」PENTAX K-01
AFの精度・速度に課題を持ち、かと言ってMF操作でも
その仕様・操作系上の問題により、ピント合わせ全般に
致命的とも言える弱点を抱える。

しかし、そのエレガントなデザインや、エフェクト母艦と
しての優れた仕様や操作系等、欠点ばかりのカメラと
言う訳ではなく、なんとか欠点を相殺するレンズとの
組み合わせを模索中である。
ちなみにK-01の中古購入価格は、19000円程と
安価であった。

これまでこのカメラに組み合わせたAFレンズに関しては
KAfマウント、すなわちPENTAX旧来のFAタイプ又は
他社PANTAX対応AFレンズを使用していたのであるが、
K-01のボディ内モーターでは、限界があると見て
今回はKAf3マウントのSDM対応レンズを使用してみる。
PENTAX DA★55mm/f1.4 SDMである。
c0032138_2051284.jpg

本レンズを購入したのはごく最近であるが、発売は2009年と
少々時間がたっている。これが高性能レンズである事は
知っていたが、なにせ価格が高かった。例えば私の所有して
いるFA50mm/f1.4は、スペックだけ見れば大差ないが、
その購入価格は僅かに14000円であった。

対してDA55mm/f1.4は、新品で7~8万円、中古でも
5~6万円もしていたのだ。

PENTAXは銀塩時代のFAレンズを、デジタル時代のDA
レンズにおいて焦点距離の置き換えを良くやっている、

例としては、銀塩時代の魚眼ズームレンズ F17~28mm/
f3.5~4.5は、DA10~17mm/f3.5~4.5としてリニューアル、
同様にFA28-70/4 は、DA16-45/4といった感じで、
だいたい画角を銀塩時代と同等とする為に、APS-C専用
DAレンズでは焦点距離をFAの1.5~1.7分の1としている。

1990年代の銀塩時代のPENTAXにはFA★85mm/f1.4という
名レンズが存在したが、2000年前後にFA77mm/f1.8Limited
と置き換わるように姿を消してしまった。

優秀なFA★85/1.4を何故で生産中止にしたのか?と当時は
疑問に思ったのだが、仕様も撮影目的(ポートレート用)も
似通っていて、定価も確か97000円と98000円と、同じような
ものであったので、ラインナップの整理をしたのであろう。
(まあ、FA77/1.8もFA★85/1.4に勝るとも劣らない名レンズ
であるし)

しかし、その後FA★85/1.4は中古市場で非常に人気が
出てきてプレミアム相場となり、2016年現在において
約11万円ほどで取引されている。

で、デジタルにおいて、このFA★85mm/f1.4と同等の画角を
得られるように新たに設計されたのが、DA★55mm/f1.4
という事であり、両レンズの設計者は同じ人のようだ。

まあ、それはそれで良い話なのだが、私は、FA★85/1.4は、
1990年代に43000円で中古購入してあった、それがあるのに
DA★55/1.4を、それより高い値段で買うのはどうか?とも
思ったのだ(それを言えば、FA★85/1.4の中古相場の高騰
そのものが、どうにも納得の行かない話なのだが・・)
c0032138_2053229.jpg

で、近年まで中古相場が5万円以上していたDA★55/1.4だが、
2015年末から、何故か相場が急落、これは、もしかすると
「PENTAX フルサイズ一眼開発中」(後のK-1)の情報が入って
きた為、APS-C専用のDAレンズを手放す人が増えたから
かも知れない。

で、DA★55/1.4は、私の拘りであった「FA★85/1.4
取得価格以下」の条件、すなわち43000円を切ったので、
ついに購入、購入価格は税込み42000円程であった。

描写力はFA★85/1.4と同等(相当)との事だが、どうだろう?
ちょっと傾向が異なるようにも思えるが、まあ、それはともかく
ボケ質、開放からのシャープネス、いずれも文句なく、さすが
高性能を謳ったレンズである。

でも、私の今回のケースでは、描写力そのものは、実はあまり
拘りはなくて、もしこのレンズがイマイチであったとしても
必要とあらばFA77やFA85を持ち出せば良いだけの話であった。
けど、思っていたよりも良いレンズなので、これはちょっと嬉しい
誤算。

今回私が一番問題としていたのは、K-01との相性だ。
KAf3タイプのレンズは、SDM対応と呼ばれているPENTAXの
新しいデジタル一眼でしか動作しない。K-01はミラーレス機では
あるが比較的新しいカメラなので、一応SDMレンズに対応している。

で、K-01の遅いAFが、嘘のように快適に動作するでは無いか!
これも嬉しい誤算だ、この分ではK-01のメインレンズはもう
このDA★55/1.4で決まりかな?
c0032138_20552774.jpg

あえて課題を上げるとすれば、SDMレンズは超音波駆動方式の
モーターという意味なのだが、その動作音がうるさい事だ。

本来、超音波だから、20KHz以上の耳に聞こえない高周波の
はずなのに、K-01のシャッターを半押ししてAFを動作させると、
「チーッ」という可聴域の高周波音が耳につく。
撮影のたびに、毎回毎回「チーッ」と言うを聞かされていると
なんだかイライラしてくる(私の場合、元音響エンジニアで
病的にまで音に敏感なところがある、一種の職業病であろう)
で、うるさいからといってMFに切り替えると、今度は、K-01の
壊滅的なまでのMF性能だ・・(汗)

まあでも、それは良い、あまりに気になるのであれば、
いつも持ち歩いているポータブルオーディオで音楽でも鳴らし
耳栓代わりにすれば良い。 
その1点を除き、後は特に本レンズに不満は無い、

4万円前後で中古購入できた高性能レンズとして、今後も長く
使い続ける事であろう、私はフルサイズ機には拘りは無い為、
1台も所有していないし、今後も特に安価にならない限りは
購入しないであろう。で、もしそれを購入したとしても
銀塩時代から使っているレンズがいくらでもあるので、
特に困る事は無い、むしろ、皆がフルサイズ機に走ってくれて
APS-C機専用レンズの中古相場が安くなってくれるほうが
よほど嬉しいのだ・・

---
さて、次のシステムは、かなりのマニアックなレンズだ。
c0032138_20561181.jpg

カメラは FUJIFILM X-E1、FUJIの初期のミラーレス機であり、
こちらもK-01同様にピント精度や、操作系全般に課題を抱える。
とは言え、後継機でも、操作系の改善は微々たるものなので
買い替えする気にはなれず、本機は、値段が安かった事を
取りえとして、使い潰すつもりである。

レンズは、ロシアンレンズである。 
Телеар-Н 200mm/f3.5と書いてあるが、キリル文字
なので、これをアルファベットに直すと TELEAR-N となる。
最後のNはニコンマウントの意味、ただし、KIEV系マウント
である可能性も高く、ニコン機に直接装着するのは危険である。
(装着する機種によっては、外れなくなったり、マウント破壊の
リスクもある)

本レンズは、2000年ごろに、ロシアレンズの中古を7本まとめて
2万円で購入した「ロシアン福袋」(笑)の1本だ。
一応3000円程度の購入価格としておこう。
c0032138_20564893.jpg

まあ、望遠レンズである(換算300mm相当)ので、遠くから
被写体を撮るのは一応セオリーだ。

しかし、何か様子がおかしい、レンズを外して調べてみると
絞りが動作していない(開放のまま)ではないか(汗)
まあ購入時点でも、あまり魅力的なレンズではなかったので、
ちゃんとテスト撮影をしていなかったかも知れないし、
15年以上放置していたので、その間に絞りが硬化して
しまったのかも知れない。

まあ故障していても良い、どうせジャンクレンズだ。
けど、ジャンクにしてはそこそこ写るではないか。
c0032138_20572068.jpg

本レンズに似たスペックとしては、コニカAR200/3.5がある、
(第21回記事で紹介)そのレンズもそこそこ良く写ったが
大きく重い事が難点であった、本レンズはAR200/3.5より
一回り小型であり、まあ、ぎりぎり持ち歩ける程度である。

で、絞りが故障で動作しないため、例の「ボケ質破綻回避」
の為に絞りを使う事ができない、なので、できるだけボケの
関係無い平面的(等距離)被写体を中心にしてみよう。

けど、本来200mm級の望遠で金属質や建築物などを平面視点
で撮る場合、絞りを少し絞って f5.6~f8とするのが基本だ。
これは、そのあたりの絞り値でレンズの描写力(解像度)が
上がるのが理由であるが、それも出来ない。
幸いf3.5と暗いので、シャッター速度オーバーにはなりにくい、
X-E1は最低ISOが100と低めなので、その点でも大丈夫だ。

ちなみに、X-E1でAUTO ISOを使う場合は、ISOが上がる
最低シャッター速度を設定できるのが長所である。

例えば200mm望遠レンズを使用する場合、1/30秒では
手ブレ必至だ(X-E1にはボディ内手ブレ補正機能は無い)
そんな場合は、最低シャッター速度を1/125(またはそれ以上)
に設定しておけば、それを下回ると自動的にISO感度が上がる。
(これは望遠+AUTO ISOでは必須の操作系仕様だが、何故か
これを搭載しているメーカーは多くは無い)

ただし、X-E1のAUTO ISOは200~上限(例:6400)までの
範囲しか動かず、せっかくの100~25600の感度可変範囲が
AUTO ISOでは活かせていない。またISO設定は、Fn1ボタンに
のみ、割り振る(アサインする)事ができるが、モードを
色々変えると勝手に別の設定に変わってしまう事がある。

よって、いちいちメニューからISO設定を呼び出す事となるが、
そのメニュー位置が記憶されないという考えられない操作系と
なっていて大いに不満だ。まあ、もっとも、毎回メニューの
先頭に戻ってしまうのが、そこがISO感度調整なので、偶然
使えるようにはなっている。このあたりの操作系は未完成機
であるので、しかたがない。このくらいでキレていたら
このX-E1には、もっと酷い操作系が、まだいくらでもあるので、
ストレスになってしかたがない。

でも、X-E1を使い潰す必要があるし、ややこしいレンズを色々
と使って限界性能を試す意味もある。ちなみに、ピーキング
機能はあまり性能が良く無いので、ピント合わせはやや困難、
(なお、拡大操作系は、致命的なまでに劣悪なので使えない)
c0032138_20583538.jpg

TELEAR 200mm/f3.5の最短撮影距離は、1.6mとそこそこ
優秀だ。(200mmレンズとしては標準の最短は2mである)

よって、撮影倍率を高めた望遠マクロ的な撮影も若干できる、
背景の絵柄によっては、ボケ質破綻が出やすいケースだし、
絞りが故障しているので、撮影距離や背景を変えない限り
ボケ質破綻が回避できないが、このケースでは、何も工夫を
しなくても、比較的良好なボケ質が得られた。

総合的には、ロシアンレンズなので、まあこんなものであろう。
MIR-24(35mm/f2)のように優秀なレンズであるとは思えないが
コスパは悪くない。
7本で2万円と安価に購入できたのは、2000年前後という
当時は第一次中古カメラブームが収まってきていたからだ。
中古ブームで、ロシアンレンズも集めた好事家が誰かおって、
その人が手離したものであったのだろう。

近年、ミラーレス機の登場で、第二次中古レンズブームと
なっていると思われるが、約20年前の第一次ブームを知らない
人達ばかりになっている。その為、ロシアンレンズを非常に
高価な価格で取引するケースもあると聞くし、新古品在庫が
恐ろしく安価に発売されている事もある。しかし、珍しいから
という理由で安易に手を出す前に、その実力や長所・短所や
適切な相場はちゃんと把握しておく必要があるだろう。
(本シリーズでも過去何本かのロシアンレンズを紹介している、
第6回、第11回、第14回、第26回、第29回、第32回記事を参照)

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さて、次のシステム
c0032138_20594855.jpg

カメラはお馴染みアダプター母艦 LUMIX DMC-G1である。
他のカメラを使っていて、本機を使うと、その優秀なMF操作系
にほっとする、これでピーキング機能がついていれば申し分
無いが、それがついているG6以降、GX7以降では、操作系が
若干改悪されてしまっているのが難点だ(それでも優秀だが)

レンズは、PENTAX M40mm/f2.8である。

本レンズは、PENAX MX(1976年)と同時期に発売された
レンズであり、私は1990年代に中古購入し、同じく中古で
購入したMXと組み合わせて楽しんでいた。小型軽量のこの
システムは非常に格好が良かった。銀塩末期においては、
感触性能に優れたLXがお気に入りのカメラとなり、もっぱら
高性能レンズ(前述のFA77/1.8等)との組み合わせが多くなり、
あまり出番は無くなってしまったのだったが・・
c0032138_2102756.jpg

本来、このレンズは、冒頭のK-01と組み合わせて紹介する
予定であったのだが、K-01とMタイプレンズの組み合わせは
絞りが動作しないという問題を持っていた。勿論設定メニュー
で「絞りリングの使用可」にしているにもかかわらずである。

確かPENTAXの初期のデジタル一眼、例えば 私が持っていた
*istDsやK10Dでは、Mレンズでも絞りを動作させる事が出来たと
記憶している。ちなみに、K-01だけの問題かと思って、同時期の
K-5に装着してみたが、やはり絞りを動作させる事が出来ない。

まあ、なので、K-01を含む新しいPENTAXデジタル機では、
MFレンズはAタイプを使うか、いっそ絞り連動が無いM42しか
使えないという事だと認識している。
でも、他にMを使えるボディがあるので、あえてK-01で使う
必要は(デザインの点以外は)無いであろう。
c0032138_2111744.jpg

本レンズは、いわゆるパンケーキ型ではあるのだが、
この手のパンケーキで良く使われるテッサー型(3群4枚)
ではなく4群5枚というレンズ構成だ。

テッサー型では無いパンケーキも少なくはなく、例えば、
コニカ ヘキサノン AR40/1.8(5群6枚)(未紹介)
ニコン シリーズE/Ai 50/1.8(5群6枚)(第21回記事)
オリンパス OMズイコー 50/1.8 (4群6枚)(第26回記事)
等がある。

でも、最短撮影距離は、それら非テッサー型の45cm程度
ではなく60cmとやや長いのが弱点だ(テッサーと同等)

広角だけにとどまらず、標準レンズであっても寄れない事は
不満となる、f2.8というのはズームや他の焦点距離では大口径
かも知れないが、標準レンズでは小口径もいいところで、
ボケを作画表現に使おうと思えば、近接するしか方法が無い。

寄れないので、テッサー型では無いにもかかわらず、テッサー
と同等の撮影技法(f8前後に絞って中遠距離撮影)という
スタイルとなる。
c0032138_2115768.jpg

テッサーであれば、f8まで絞るとキリキリと解像感が増し、
かつ発色が良くなる(注:テッサーの焦点移動の問題は、
アダプター使用時は気にしなくて良い)という特徴があるが、
本レンズの場合は、絞りによるテッサーのような描写力の変化は
あまり出にくいように思う。ある意味、それは性能が良いという
事かも知れないし、逆に言えば、個性や特徴が無いという
事にもなる。
もっとも、銀塩一眼MXの最高シャッター速度は僅かに
1/1000秒であったし、ISO100のフィルムを使った場合は、
日中は必然的にf5.6~f8程度まで絞った撮影となったであろう。
小型軽量のMXであるので、その状態で、速写、すなわち
スナップ撮影のようなスタイルが主流であったと思われる。
c0032138_2123050.jpg

それでも無理やり近接して背景ボケを出すとこんな感じ。
やはり総合的にボケ量が少ないので表現範囲に制限が出る。
本レンズでは、ボケ質破綻も出るので、絞り込むばかりではなく
絞りを開ける(いわゆるバカボケにする)という回避方法も
考えられるが、f2.8では、それもしずらい。

総合的に、現代において必要なレンズでは無いだろうと思う、
パンケーキ・デザインは魅力であるが、PENTAXであれば、
近年のDA40mm/f2.8mm Limited や、K-01と同時発売された
DA40mm/f2.8 XSが究極のパンケーキとして存在するし
他の現代PENTAX レンズも同様に薄型や小型のものは多い。
また、DA40/2.8であれば最短撮影距離も40cmとMタイプ
よりも20cmも改善されているので、不満も少ないであろう。

どうしても本レンズが欲しい理由は歴史的な価値であると
思われる。本レンズの購入価格は、12000円程であったのだが、
これは程度が悪いためであり、第一次パンケーキブームの時
には2万円以上が相場であったと記憶している。
現在の相場は1万円~2万円台後半と幅が広い、これは
マニア受けするレンズであるから、相場は時価に近い状態に
なっているのだろう。本レンズの性能面からの適正な相場は、
やはり1万円台前半までと思われる。
ちなみにDA40/2.8Limitedの中古相場は1万円台後半なので、
APS-C機で使う前提であれば、新型の方が勿論良い。

---
さて、次は今回ラストのシステム
c0032138_2132258.jpg

カメラは、Eマウントのアダプター母艦としているNEX-7
レンズは、PCニッコール35mm/f2.8である。

1968年発売と古いレンズであり、PCとは、パースペクティブ
コントロールの略、すなわち「シフト型レンズ」である。

シフトレンズとは、レンズを光軸ごとずらす事により、
遠近感(パース)を調整する事が可能なレンズであり、例えば
建築写真で建物の上(遠い方)がすぼまって行くのを直すこと
ができる。とは言え、シフト量をゼロで使えば、ごく普通の
レンズとして使用できる。
c0032138_2134963.jpg

で、シフトの操作はちょっと面倒である。
レンズ側面についている、ネジのようなツマミをグルグルと
廻す事で、レンズが任意の方向にシフトする(ずれる)
ちなみに、任意の方向というのは、シフトする位置(方向)は
一定なので、レンズ全体をカチャカチャと廻して必要なシフト
方向を決めるという操作が必要になる(これが少々面倒だ)
シフトした状態が以下の写真である。
c0032138_2142632.jpg

これは横方向にシフトしているが、シフトした方向への遠近感が
無くなる(緩和される) ただし、カメラを横位置のみならず
縦位置にしたり、縦位置でも、右手を上にするか下にするかで
方向が変わるので、シフト方向の変化はややこしく、注意する
必要があるし、前述のように操作性はかなり面倒だ。
ちなみに廻せる方向は30度刻みの12段階である。

さらに操作性を言えば、本レンズは、その構造上、絞りが
ロシアンレンズのようなプリセット型絞りとなっている。
ただし、プリセット型絞り操作は、個人的には面倒とは思わず、
むしろ絞り込んだ状態と開放とを瞬時に切り替えるという裏ワザ
も使えるので良い点もある。

だが、本レンズの問題は操作性ではなく、最大の問題点としては、
フィルムまたはフルサイズ一眼では、画角が本来のレンズ画角で
あり、遠近感も広い画角で大きくなるのだが、NEX-7のような
APS-C機では、画角が狭くなってしまい、本来の十分なシフト
効果が得られない事だ。

これを試すために、大阪の都心部に行って高層ビルを下から
見上げて撮ってみたのだが、銀塩時代に比べて殆どシフト効果が
出なかったので、がっかりした。
c0032138_2152125.jpg

それに、写真だけ見ても、シフト効果はわかりにくい。
上写真は、神社の鳥居が比較的真っ直ぐに立っているが、
実際には、少しだけ上が遠く、上すぼまりになっているのを
シフトで補正した状態である。

けど、これでは、最初からそういう正対した角度(アングル)で
撮った場合との区別がつかない。(ノーマルに撮った写真の
掲載は、あえて割愛する。大きな差が無いので、たったそれだけか?
と、がっかりするだけであろうと思ったからだ)
APS-Cであまり効果が出ない上に、撮った写真も効果がわかりにくい
のであれば、せっかくのシフト機能も、ちょっと紹介する面白みに
欠けてしまう。

それに、そもそもシフト機能だけでは地味なのだ、本来は、
シフト・ティルト、すなわち光軸の平行移動と、傾きを同時に
コントロールできる「アオリレンズ」であれば効果はてきめんに
わかる、ただ、そういうレンズは非常に高価であり、十数万円
~数十万円もしてしまう専門的特殊用途レンズだ。

まあ、第11回記事、第14回記事で紹介した、LENS BABY 3Gは、
中古で約1万円と安価にアオリ機能が実現出来るレンズであったが、
建築や商品撮影など厳密なレベルで使えるものではなく、あくまで
トイレンズの一種と見なすのが良いものであった。

さて、シフト機能の使用は、すっぱりと諦めよう。手間がかかる
上に効果が少ないならば、それで撮る意味は無い。
c0032138_2163037.jpg

ちなみに、通常撮影したものをシフトレンズのような効果に
したい場合は、高性能なレタッチソフトで「遠近補正」を
行えば、はるかに容易かつ、任意の調整量で処理を
行う事ができるので便利だ。
そういう意味では、シフト・ディルトではなくて、単なる
シフトだけのレンズは、現代においては存在の意味が無いの
かも知れない、そういえば、、シフト機能のみのレンズは、
現代では数える程しか残っていなかったかも・・

まあ、そんな感じだと、PCニッコールは使い物にならない
レンズという事になりそうなのだが・・(汗)
以下は、一般にあまり知られていない事かも知れないのだが、
実はこのレンズには、非常に大きな長所がある。
c0032138_2174554.jpg

これは本レンズで近接撮影した写真。
シフト機能は使っていない。

最短撮影距離は30cmと、35mmのレンズとしては寄れる方
であり、マクロ的に使える、そして、ここが大事な点だが、
近接撮影した時のボケ質がかなり良好なのだ。

シフトレンズは、シフト操作をする為、イメージサークルが
大きい。3つ前の写真のように、あれだけレンズをずらしても
ちゃんと光がフィルムやセンサーに届くのだ。
で、その事と直接関係あるかどうかわからないのだが、余裕
のある設計、あるいは特殊な設計が理由なのか、本レンズは
ボケ質がとても良い。しかも近接撮影した状態においては、
なおさら良いように感じる。

この事実は本レンズを購入した1990年代の銀塩時代から
気がついていた。しかし、シフト機能をなんとか使いこなそうと
そちらにばかり気をとられ、貴重なフィルム枚数を、シフト機能
とは無関係なマクロ的撮影にばかり使うわけにはいかなかった。

デジタル時代、撮影コストは限りなくゼロに近づいたので、
これはもう、シフト機能をすっぱりと諦め、ボケの綺麗な
ニッコール(注:ニコンの銀塩用オールドレンズは、解像度を
優先する設計が殆どであり、ボケ質の良い物は極めて少ない)
として使うのも、本レンズの特徴を活かせて良いかと思う。

本レンズの購入価格だが、1990年代に、40000円とかなり
高額であった、まあ、希少なレンズであったので高価なのは
やむを得ないとは思っていたが、実はずっと高すぎたのを
後悔していた(汗)例えば、冒頭のDA★55/1.4や銀塩時代の
FA★85/1.4が、同じく4万円強と思えば、このレンズに4万円も
出す価値は無いと思ってしまう事であろう。

だが、今にして思う。これをシフトレンズだとは思わず、ボケの
綺麗な高性能レンズだと思うのであれば、これはこれでアリでは
なかろうか?と。

という事で、銀塩ニッコールとしては極めて貴重なボケ質に
優れる準近接撮影レンズ、これがこの PCニッコール35mm/f2.8
の最終評価だ、とても1960年代後半、今から50年近くも前の
古いレンズとは思えない描写力が、このレンズの「味」かも
知れない。まあ「味」と言う言葉で、古臭さや、性能の不足を
オブラートで包んでしまうような風潮も世の中にはあるが、
このレンズの「味」は本物だと思う。

今回はこのあたりまで、次回シリーズ記事に続く。

ミラーレス・マニアックス(38)

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さて、毎度おなじみの、安価なミラーレス中古機に様々な
マニアックなレンズを装着して楽しむというシリーズ。

今回第38回目は、このシステムから。

c0032138_229862.jpg

カメラは、アダプター母艦のNEX-7である。
レンズは、MINOLTA AF Macro 50mm/f2.8

1980年代後半の銀塩AF一眼、αシリーズ(7000,9000等)
と同時期の発売と思われる、いくつかのバージョンが存在
するが、このレンズは最初期型だ。が、レンズ構成は
後期型(SONY Aマウントに至るまで)も変更は無いと思う。

AFレンズなので、本来はAマウント機(銀塩α、デジタルα、
ソニーα Aマウント)に装着するのが望ましい。
その方がAF等、機能が限定されないからだ。

「アダプター遊びでは、ボディとレンズのお互いの欠点を
相殺する組み合わせが望ましい」と、再三このシリーズ記事
でも書いているのだが、シリーズも回が進むに連れて
リファレンス(参考)的意味合いも本シリーズ記事に
加わってきて、私自身のレンズデータベース的な目的も
持たせようと思っている為、最近は「AFレンズ無し」という
自主制限も緩和している。

それに、マクロレンズではそもそもAFは殆ど使用しないし、
ミラーレス機と組み合わせる事で、被写界深度、露出や
色の補正状況、ボケ質、などがリアルタイムでEVF上で
確認できる事もアダプター使用上の大きなメリットな訳だ。
AFが効かない、というデメリットと比較すると、長所の
方が大きいような気もしてきている。
c0032138_22101980.jpg

さて、本レンズは、私は銀塩時代より「最強の標準マクロ」
と評価しているレンズである。
まずボケ質は、場合により破綻するケースもあるが、
多くの状況で非常に優れている。

銀塩時代、ボケ質世界最強の、ミノルタSTF135/2.8と、
本AF Macro 50/2.8を同時に持ち出し、レンズ交換
しながら撮っていた事があったが、後で現像が上がってきて
一瞬、STFで撮ったのか、本レンズで撮ったのか見分けが
つきにくいカットもあった位である。

最短撮影距離は20cm、いわゆる等倍マクロであるが、
等倍というのは、35mmフィルムに、被写体と同じ大きさで
写るという意味であるから、APS-C機であるNEX-7では
センサーサイズが小さい為、1.5倍マクロ相当となる。

これはちょっと実用的には、大きく写りすぎる場合もあるので、
μ4/3や、APS-Cミラーレスで使う上では、あまり等倍という
スペックに拘る必然性も少なく、銀塩MF時代の1/2倍マクロでも、
まあ十分だ。

例えば・・
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こうした小さい昆虫を接写して、あまり大きく写して
しまうと、ちょっと気持ち悪い(汗)

人間が思う感覚というのもあって「実物とのサイズ感
の差異が大きいと違和感が出る」という話もある。

一例として、銀塩時代の写真展などで、まず最初に
2L版程度でプリントしたマクロ写真などを、展示会用に
4つ切りなどに大きく伸ばしてしまうと、印象が大きく
変わってしまうような事もあった。
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勿論、マクロレンズと言っても、中距離での撮影も可能だ。

で、一般的な写真用レンズは、無限遠の撮影で最適な
画質が得られるように設計されており、近接撮影にする程
画質が劣化するのが普通だ。
だが、マクロレンズはその逆、近接撮影で最高の画質が
得られるようになっており、中遠距離撮影ではむしろ
画質が劣化してしまう。

しかし、MF銀塩時代は、そのあたりの設計思想もレンズに
より、まちまちであって、例えば、ニコンのAi55/3.5や、
オリンパス OM50/3.5のマクロは、近接撮影での解像度を
重視した設計で、その代わり中距離撮影でのボケ質が極めて固い。
あるいは、人気のあるタムロン90mmマクロは、MF時代の
90/2.5は1/2倍であるが中距離でのボケ質に優れ、AF時代からの
90/2.8は、近距離のボケ質に優れるが中距離ではイマイチだ。

ミノルタ AF Macro 50/2.8は、その両者のバランスが良い、
第7回記事で紹介した ミノルタ銀塩時代のMD Macro50/3.5 は
1/2倍で、どちらかと言えば、オールドのマクロ、すなわち
解像度重視でボケが固い要素が強い。
ミノルタAF時代では、50/3.5というマクロがずっと併売
されていた、残念ながらそのレンズは所有していないのだが、
もしかすると、そちらはオールドマクロに近いような
解像度重視型なのかも知れない(?)、安価なレンズなので、
いずれ機会があれば、そちらも購入してみるとするか。
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本レンズの最大の特徴は、その描写力もさることながら
コストパフォーマンスである、初期型の中古価格は銀塩時代
より、ずっと1万円前後で推移している。
私が購入した1990年代では若干高価で15000円であったが、
2000年代以降は、若干相場が下がってきたのだ。
市場には、NewやD型と呼ばれる後期型の2型や3型も存在
していて少し操作性が良くなっている(ピントリングが広い)
ただ、その差異はあまり大きくない、初期型のピントリング
は狭いのだが、使えないという程では無い。で、中身のレンズ
構成は一緒であるから、若干相場が高い後期型や、SONY型を
選ばず、MINOLTAの初期型でも十分という判断だ。

あまりに良いレンズであったので、友人知人にも勧めて
以前のMINOLTA MC50/1.7と同様に、7~8本、このレンズ
の中古を購入しただろうか・・ α(Aマウント)ユーザー
必携のレンズであると思う。

---
さて、次のシステム
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本格派のAF Macro 50mm/f2.8 とはうって変わって
HOLGA 25mm/f8 のトイレンズである。

カメラは、Eマウントの「トイレンズ母艦」のNEX-3だ。

本レンズは、既にシリーズ第3回記事でも紹介しているが、
再度の登場だ。

HOLGAは、中国製の安価なトイカメラで、1980年代より
発売されている、当初は、中判用フィルムを使うなどで
ちょっと敷居が高かったが、後に35mmフィルム版なども
発売されている。
2000年代前半において、HOLGAはアート的な意味合いで
支持され、特に若い女性のユーザー層に爆発的な人気が
あった。

というのも、HOLGAで撮った写真は非常に個性的な描写を
もたらした為だ、そのため、個性や感覚を重視する女性
カメラマンに特にウケたのだろう。当時流行した女性向け
カメラ雑誌なども、こぞってHOLGAやLOMOといった
トイカメラを紹介し、現代で言うところの(悪い意味での)
一極集中化現象が起こってしまったのだ。
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私は、トイカメラやトイレンズは、アンコントーラブルな部分、
がある、すなわち撮影者自身では制御できない「偶発的な写真」
である事を良く理解した上で使うのであれば肯定派だ。

ただ、逆に、自身の撮影技術や知識、経験などが不足している
状態で、面白い写真が撮れるから、という理由でトイカメラや
トイレンズを使うのには反対であり、それはあくまで偶然写真
でしかないという事だと思っている。

写真を長くやっていればその人の個性や作風というものが出て
くるであろう、トイレンズでは、もし、たまたま面白い作品が
出来たところで、その理由がわかっていなければ、その作風
での再現性が無くなってしまう。
また、面白い写真が撮れるのは、あくまでトイカメラや
トイレンズのおかげであり、撮影者自身が色々と工夫をして
撮った結果で無い、というところも問題だと思っている。

銀塩トイカメラのブームは、2000年代なかばに収束、
2000年代後半には、あれだけ流行った(つまり高価だった)
トイカメラも、珍しいグッズを売る店とかで1000円台で
販売されるようになってしまった(まあそれが妥当だが)

しかし、2010年代、HOLGAやLOMOは主にミラーレス機
ユーザー層に向け、こうしたトイカメラのレンズを単体で
発売するようになった、価格はいずれも3000円程度、
私も何本かその手のトイレンズを買って、たまに使用して
遊んでいる。
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まあでも、こうしたトイカメラやトイレンズの背景を理解した
うえで、トイレンズを使うのは面白い。
ヴィネッティング(周辺光量落ち)も出るし、フレア、
ゴーストも盛大に発生する、カラーバランスは悪く、どんな
色で撮れるかも良くわからない、ピントは勿論ボケボケだ。

ピントはMFであるが、ゾーンフォーカス型であり、
山の絵や、人数の絵が書いてあり、その目盛りに合わせる、
最短撮影距離は記載が無く不明である。
ピントリングは重くて固い。

当初、このレンズがデジタル一眼向けに単体発売された時、
6x6判(中判)用のレンズをそのまま使用したので、
焦点距離は60mmと長く、かつイメージサークルが大きいので
周辺光量落ちの効果が出なく、不評であったと聞く。
やはりトイカメラでは周辺光量が落ちないと、らしく無い。

その後、BC(ブラックコーナー)エフェクトという特殊な
機構を内蔵したバージョンに改められ、同時にミラーレス機
に向けて焦点距離も25mmに短くなった。
それが本レンズである。

BCエフェクトの実現は、いくつかの小さい穴があいている
プラスチック板を、絞りに相当する位置に配置し、
その結果、周辺光量落ちを発生させるというユニークな
機構であるが、この機構がついているため、実際のf値は
スペック通りのf8ではなく、もう少し暗いと思われる。

また、BCエフェクト機構には弱点があり、遠距離の撮影では
正しく周辺が丸く暗くなるのだが、中近距離の撮影では、
周辺光量の落ち方が、円形ではなく不規則な形に歪む。
(2つ上の銅像の写真がそれだ)
ただまあ、そういうのはトイレンズなのでどうでも良い、
面白い写真が撮れれば、それで良い訳だ。
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本レンズの購入価格は、新品で3000円ほどであった、
こちらはSONY Eマウント版であるが、μ4/3や一眼用も
販売されている、センサーサイズが変わると、描写の
効果も変化するかもしれないが、それも気にする必要は
あまり無いであろう。
最近では、Qマウント版や、NIKON 1,EOS M版とかも
発売されていると聞いているので、いずれどこかで
見かけたら、他マウント版も買っておく事にしようか・・

必携のレンズという訳では無いが、たまに使うと面白い。

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さて、次のシステム
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再びトイレンズだ、しかも恐ろしく長い(汗)

カメラは、FUJI X-E1 AF精度やMF操作系に弱点を持つ。
FUJI 最初期のミラーレス機であるため、私の中では
未完成機という位置づけだ。ただ、これよりさらに
AFやMF性能の劣る PENTAX K-01であっても、
様々なレンズをとっかえひっかえして試しているうちに、
超広角AFレンズやSDMレンズでは、まあまあ使える事が
わかってきた、X-E1も、限界性能を試すとともに、
相性の良いレンズを探している状態だ。

レンズは、ニコンおもしろレンズ工房 400mm/f8である。

一眼レフユーザーにレンズ交換の楽しさを広める目的で、
魚眼、ソフト兼マクロ、超望遠の3本セットで安価な価格
(2万円弱)で発売された一種のトイレンズセットである。
1990年代の限定発売であるが、一度再生産された。

すでに、第13回記事で、ソフトとマクロを、
第18回記事で、魚眼を紹介しているので、そのセットの
詳細については重複するので割愛しよう。

本レンズは、「どどっと400」という愛称で呼ばれて
いる超望遠である。
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X-E1装着時の換算画角は、600mm相当と、かなりの
望遠になる、X-E1にはデジタルズーム機能は無いが、
ここまで望遠だと、そもそも被写体探しに苦労するので、
これ以上望遠になってもしかたが無いであろう。

望遠画角よりも問題なのは、そのサイズである。
紹介写真でもわかると思うが、ともかく鏡筒が長い。

実はこのレンズ、同じセットのソフト兼マクロと同様に、
分解が可能となっている。

レンズの真ん中で分割し、前群を逆さまにして後群の
中に収容できる、つまり、途中にはレンズが入っていない
スカスカの望遠なのだ(前群2枚、後群2枚の2群4枚構成だ)

でも、折りたたみ収納式とは言え、収納時でも約15cmあり、
最終的に伸ばすと、およそ26cm以上にもなる、それプラス
アダプターだ、ショルダー型のカメラバッグにはまず
収納できないサイズである。組み立ては、簡単とは言え
ねじ込み式なので、撮影時にその都度組立てるわけには
いかず、全長約30cmのままで持ち歩く必要がある。
これは周囲にも目立ちすぎるし、格好悪い(汗)

まあ、400mm超級の超望遠レンズであると、いずれに
してもカメラバッグには入らない。リュックタイプのバッグの
真ん中に収納するか、あるいは近年人気の150~500,
150~600,200~500,200~600mm等の一眼用
超望遠ズームの場合は、付属の専用のケースや汎用ケース
が販売されていて、それに収納するのが良いのだが、やはり
撮影時に、いちいちケースから出してカメラに装着するのも
面倒だ。

で、超望遠レンズをカメラにつけたまま歩くと、今度は、
周囲の人達から厳しい目線が集中する(汗)
「いったいあんなレンズで何を撮っているんだ、盗撮か?」とか、
「高そうなレンズを見せびらかして歩いている、成金趣味か?」
などである(汗)
そういう目線で見られてしまったら、いくら、このレンズは、
6000円~7000円相当の安物だよ、と値段をバラした所で、
もはや手遅れだ(笑)
超望遠レンズを使うのはスポーツ・イベントの撮影とか、野鳥や、
動物園などに限るとは思うが、そういう分野のカメラマンは
皆、いったい周囲の目線にどう対処しているのであろうか・・?
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600mm相当の手持ち撮影、かつ手ブレ補正無しは、ビギナー
には相当の壁かと思うが、慣れればさほど難しくは無い。

本当に難しいのは、被写体が捉えられなくなってくる1000mm
以上の撮影だ、1000mm超ともなると、カメラを向けたところに
被写体はピタリとは入らないし、そもそもブレが大きく、
被写体が動き廻ってファインダーをはみ出す程になる。

そのあたりを我慢しつつ、ぎりぎりで1500mm程度までは
いけるのだが、それ以上はもうお手上げだ、まあそれも
技術によるかと思うので、2000mmクラスで訓練を積めば
なんとかなるかもしれないが・・
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で、X-E1のピーキング性能があまり良くないので、ピント
合わせは困難だ、また、X-E1の拡大操作系は劣悪であり、
使い物にはならない。おまけに、このレンズは、MF操作でも
トルクという言葉のカケラも無いほど、ギリギリと金属の
きしみ音を立てながらヘリコイドが廻る。
まあ、元々、トイレンズなのでそのあたりはしかた無い,

でも思ったよりも結構写るでは無いか。
聞くところによると、この「おもしろレンズ工房」は
コストダウンを狙うために、様々なところで安価にレンズ
を作る工夫がされているとのことで、この「どどっと400」
も、元々はレンズ構成をもっと単純化する予定であったのが
試作品ではレンズ全長が長くなりすぎ、レンズ長を短く
しようとした結果、天体望遠鏡と同等の2群4枚構成に
なったとの事だ。これで画質は向上したとの事だ。
・・でも、その割には、依然レンズが長すぎるが(汗)

ちなみに、最短撮影距離は、4.5mと、恐ろしく長い(汗)
まあでも、天体望遠鏡風のレンズ構成なので、それもまた
しかたないか・・
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本レンズは、「おもしろレンズ工房」セットとして3本組
で発売されていたので、単品ではまず入手が出来ない。

セットも発売数が少なく、ほとんど中古が出てこない
あったとしても、コレクターズ・アイテム扱いとして
「時価」になってしまう事であろう。そこまで無理して入手
するべきレンズでも無いと思うので、まあ、運良くこれを
所有している人がいれば、たまには使ってみるのも面白い、
という感じであろうか。

勿論実用的には現代の超望遠ズーム(テレ端500~600mm
級等)がはるかに使いやすいと思うので、それらを5~7万円
程度で中古購入し、デジタル一眼に装着して750~960mm
相当の画角にして使うか、あるいは、マイクロフォーサーズ+
オールド望遠単焦点+デジタルズームで手軽に1000mm
程度の画角を得るのか、いずれかが良いと思う。
(ロングズームコンパクトでも良いが、近年良い機種が無い)

---
さて、次は今回のラスト。
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カメラは、LUMIX DMC-GX7である。
高感度、ピーキング、ボディ内手ブレ補正、エフェクトなど、
最新の機能を持つ比較的新しいカメラだが、旧機種に比べ、
操作系に若干の問題も抱えている。

レンズは、ミノルタα用 AF Soft 100mm/f2.8 である。
ソフトレンズは、本シリーズでは、第5回記事でのVK70R,
第14回記事での「ふわっとソフト」、第19回記事での
KENKO 85mmソフト、をそれぞれ紹介しているのだが、
いずれの記事でも「ピントをどうやって合わせるのか?」
という問題点が発覚していた。

第19回記事では、NEX-3の優秀なピーキング機能との
組み合わせでトライしたが、ピーキングが検出されず、
お手上げに近い状態であった。

本レンズは、希少なオートフォーカスを実現したソフト
レンズである、この AF Soft Focus 100mm/f2.8の他は
キヤノンEF135/2.8 Soft、PENTAX FA Soft85/2.8 が
存在していたのを記憶している。他にもAFソフトは存在する
かも知れないが、私が知っているのは、その3本だけである。
(注:ニコンDC105/2 第35回記事は、私はソフトレンズとは
見なしていない)
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MFのソフトレンズの殆どは、絞りとソフト量の調整が
共通化されている、つまり、絞り込むと収差が減って
同時にソフト効果も無くなるのだ。

本レンズは、その点異なり、絞りとソフト効果を別々に
調整する事が可能だ、そして、ピーキングでは手も足も
出なかったのに、何故かAF一眼ではAFが動作していたのだ。
(やはり位相差AFだからか?)
今回、GX7の優秀なピーキング機能を使いながら、
そのあたりの謎を探ってみる事にしよう。

まず、ピーキングであるが、GX7では、多少は検知する
模様だ、ただ、それはソフト量と密接な関係があり、
あまりソフト量を増やしてしまうと、やはり検知できない。

絞りとソフト調整が別々のリングになっている件であるが、
本レンズを使用する上で、マウントアダプターは、
レンズの絞りレバーを機械的に操作して絞り込むタイプの
アダプターを用いている、絞り羽根内蔵型とは異なり、
このタイプでは実際に絞りを動作させているので、
一眼レフに装着した場合と同等であろう。
で、絞り開放ではやはりソフト量が大きくなる。

ソフト量調整は、4段階で、0,1,2,3の各々の目盛りが
ある、0から3に向けて、前玉の繰り出し量が減る、
このことで何か、レンズの収差を増やしていると思う。
ただ、これは撮影直前にそうなるのではなく、ソフト量
を調整すると、その時点でレンズ構成が変化するのだ。
だから、一眼でのピント合わせは、それができやすい
レンズ構成のままで行うのでは?という予想は外れである。
あくまで、ソフト効果のままでピントを合わせている訳だ。

そして、ソフト量調整を大きくしたとしても、絞りを
絞り込むとソフト効果は出にくくなる。
思っていたような「絞りとソフト量は完全に独立」という
訳ではなさそうである。
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結局のところ、ピーキング機能は、ソフト量調整と
絞り値の相乗によるソフト効果の程度次第で、検出できる
場合もあり、そうで無い場合もある、という感じであった。

つまり、ソフト効果を減らせば、ピーキングで拾えるが
増やしたらお手上げ、という事である。まあ、それは
当たり前の話だ、NEX-3の時よりも、GX7の方が若干は
マシなような気もしているが、レンズにもよるであろう、つまり
KENKO のソフトは、ソフト効果大で使う事が大半であったが
本レンズ AF Soft 100mm/f2.8は、ソフト量調整リングを
頻繁に操作しているので、ピーキングでピントを合わせた
後で、ソフト量を増やすという操作も出来るからである。

きっと、一眼レフ用の位相差AFセンサーは、ミラーレス機
用のコントラスト検出AFよりも、ピント精度が高いので
あろう、だからソフトレンズにおいても、一眼の位相差
であればなんとかピント合わせが出来るのかも知れない。
実際のところは良くわからないが(汗)まあ、無難な結論
なので、そういう事にしておこうか・・
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で、ソフト効果ばかり続けて撮っていると疲れてくる、まあ、
最大の問題はそのピント合わせなのだ。
なので、ソフトレンズではあるが、ソフト効果を使わず、
GX7の多彩な機能と合わせて楽しむとするか。
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GX7のエフェクトである「インプレッシブアート」つまり
擬似絵画調HDR効果である、GX7の場合は、他メーカーの
同機能のように、露出をバラした連写をする訳ではなく
単写なので気軽で良い。連写タイプの本格的なHDR機能では
撮影後の画像合成に、数秒から10秒近くかかってしまう
事が多く、あまり実用的では無いのだ。

ちなみに、GX7には「ソフトフォーカス」効果のエフェクト
も内蔵されているので、ソフトレンズを使わなくとも
ソフト効果を得る事ができる。
まあでも、それで十分、と言ったら、ソフトレンズの存在
価値が無くなってしまう、エフェクトと本物は若干違うのだ。

そして、ソフトフィルターという物も昔から存在しているが、
それもやはり本物のソフトレンズとは若干効果の出方が変わる。
やはり、ソフトレンズには、それなりの存在価値があると言って
良いであろう。

なお、本レンズの最短撮影距離は、80cmと短いので、
マクロ的な近接撮影にも向いているであろう。
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こちらは、GX7のデジタル・テレコンを使って4倍相当に
した写真だ、100mmレンズxμ4/3(2倍)xテレコン4倍で
都合800mm相当、しかし、ここまでくると画質の劣化が
はなはだしく、パキパキの画像になってしまう。

パナソニックのミラーレス機では実用的な範囲としては
デジタルズームでの2倍程度か、もう少しはいけるか?
という感じであろう。

ちなみに、SONY NEX-7でも、オールドレンズでデジタル
ズームが可能であるが、そちらは10倍まで可能なものの、
実用的には、3~4倍程度だと思う、まあ、Gシリーズより
若干ましなのであるが、Gシリーズはμ4/3なので、
NEX-7の約1.5倍の画角となる、なので、総合的には両者は
ほぼ同等という事になり、マスターレンズの画角の、都合
5~6倍程度までは、ミラーレス機+デジタルズームでは
実用範囲という感じだ。

本レンズ、MINOLTA AF Soft Focus 100mm/f2.8 の
入手性だが、極めてレアである、中古はまず見ないし、
あったとしても「時価」になってしまうであろう。

私が購入したのは1990年代後半で、35000円であった、
これは当然高価すぎたと思う、でも、レアであったので
思わず・・(汗)その後、キヤノン版のEF135/2.8SOFTで
あれば2万円台で入手できた、そちらも一度購入したので
あるが、どうしても欲しいという人に譲渡してしまった。
ただ、キヤノン版の方が豊富に中古市場にはあったと思う。

あるいは、AFに拘らなければ、KENKO の85mm SOFTは、
1万円前後の安価な価格で入手できるので、それでも十分だと
思う、各MFマウント版があるが、実はそれは交換可能であり
(=Tマウントシステム)、どうせミラーレス機でアダプター
で使用する上では、マウントは何であっても良いであろう。

さて、今回はこのあたりまでで、次回シリーズ記事に続く。

ミラーレス・マニアックス(39)

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安価な中古ミラーレス機に、マニアックなレンズを組み合わせ
コスパの良いアダプター遊びを楽しむシリーズ、第39回目。

今回は、まず、このシステムから。

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カメラは、PENTAX K-01 、唯一のKマウントミラーレス機だ。
その構造上、ピント合わせに致命的とも言える課題を抱える。
ただ、レンズによっては(被写界深度の深い広角等)
そこそこ使える場合もあるので、様々なレンズを装着して
試している。

今回のレンズはPENTAX FA28-70mm/f4 AL だ。
1990年代のAF一眼用レンズ、当初はMZ-3/5の
標準ズームとして発売されたと記憶している。

このレンズは、実は2回目の購入だ。最初は1990年代
後半、MZ-3とのセットで購入して使っていた。
以前の記事で書いたが、その後、FA43mm/f1.9Limited
が発売され、友人が持っていたそのレンズの描写力に
衝撃を受け、FA43/1.9が欲しくなったところ、折良く、
MZ-3 SEという限定版の中古が出てきた。
これは、デザインが異なるMZ-3と、付属レンズにFA43/1.9
がついていたのだ、多少高かったがこのセットを購入、
それまで使っていたMZ-3は、同じものを2台持っていても
しかたが無いのでFA28-70/4ごと、下取りしてしまった。

だが、後から思うと、FA28-70/4は結構良く写るレンズで
あったので、手離したのを少し後悔していた。
それから20年近くの年月が流れ、ごく最近、たまたま
このレンズの中古を見つけ、税込3980円という安価な
価格に惹かれ再度の購入になった次第だ。
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やはりなかなかの写りだ、レンズの型番のALというのは
非球面レンズ使用、という意味であるが、なかなかキットズーム
でそういう仕様のものは、当時は無かったのではなかろうか?
まあ、MZ-3は当時のPENTAX がかなり気合を入れて
作ったカメラであったので、付属レンズもまた気合が入って
いたのであろう。
PENTAXは、F4通しの小型高性能ズームを作るのが
得意であり、その傾向は現在に至るまで続いている。

もしかするとピント合わせの苦手な K-01で、こうした小型
標準ズームならば問題点を回避できるか?というのも
本レンズの購入動機の1つであったのだが、その点については
あまり芳しくない、このレンズでも、やはりAFは問題ありだ。

もう1つの問題点は、K-01の個性的だが流麗なデザインが、
この時代のFAレンズの無骨なデザインとの組み合わせで
台無しになってしまう事だ。
そういう意味でも、K-01用の標準レンズは、通常はFA31/1.8
を使用している、そのレンズはデザイン的にも描写力的にも
優れているからだ(ただし、高価で性能はそこそこと、コスパ
が極めて悪いので、あまり好きなレンズでは無い)
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早くも飽きてきたので(汗)エフェクト母艦としてのK-01の
優れた機能を持ち出して遊び始めてしまった、まあ、こうした
標準ズームレンズというのは、元々殆ど興味が無いし、
おまけに、マニアックさの欠片も無い。

ただまあ、FA28-70/4の長所としては、描写力が高く、
F値固定ズームである事(これは思いの他重要な事だ、
別にf2.8では無くても良いが、F値が変わらない事が
使いやすいズームとなる)
そして、コスパが極めて高い事だ(ここも重要な事だ、いくら
写りが良くても、値段が高いレンズは、本シリーズにおいては
優秀とは定義していない)

欠点としては、まず最短撮影距離が40cmと、やや長め
である事、28mmからのズームであれば、28cmくらいは
期待したいのだが、まあこのあたりはやむを得まい。
そしてデザインが悪く、K-01に組み合わせるのは厳しい事だ。
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まあでも、4000円もしないレンズで、これだけ写れば、まず
文句は出まい。現代において必要なレンズか?と聞かれれば、
それはNOという答えになると思うし、APS-C機が中心のPENTAX
デジタル一眼(およびK-01)では、28mmからの広角も、
42mm相当からのズームとなり、使い勝手が悪い。
(なお、最近発売されたK-1 フルサイズ機を使えば
解消するが、レンズよりカメラの価格を高くしすぎない、
という方針に外れる)
が、本レンズに関しては、実は特殊な用途が存在する、
それはいずれまた、記事で紹介してみよう。

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さて、次のシステム。
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カメラは、Eマウント最強の高度な操作系を誇るNEX-7
レンズは、YASHICA オートヤシノン DX135mm/f2.8

本レンズは、1960年代後半~1970年代前半のMF
一眼用レンズで、M42マウントを採用している。
京セラ・コンタックスに吸収される前のヤシカの一眼の
Jシリーズや、エレクトロ・シリーズ用のレンズだ。

1990年代の第一次中古カメラブームの際、マニアの間では
「ヤシカのレンズは良く写る」という評判が立ち、確かに
何本かの標準レンズを入手してみると、どれも極めて良く
写った事から「では望遠はどうか?」と購入したものである。

ただ、購入時期は2000年代だったと思う、1990年代には
マニアが買い占めたからか?ヤシカのレアなレンズは玉数が
少なかったのだ、しかし、中古カメラブームも終わった頃で
世の中は銀塩からデジタルに変わる時期であったので、
本レンズの中古価格は、破格の3000円であった。
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これはデジタルズームを使用している。
NEX-7はAPS-C機であるので、135mmレンズを装着した
時の画角は約200mm相当だ、だが、NEX-7の優れた
操作系により、こうしたオールドレンズであっても、ボタン
一発で、プレシジョン・デジタルズーム機能を呼び出せる。
(注:そのようにカスタマイズしてある)
この機能により、NEX-7の背面ダイヤルを廻す事で、1.1倍~
最大10倍まで連続的にデジタルズームをかけることができる。
ただし、4倍位を超えると画質の劣化がはなはだしいので、
そのあたりまでで止めておく必要がある。

これは確か4倍くらいであったか?つまり換算800mm位の
画角となっている。

本レンズの弱点を最初に言ってしまうと、最短撮影距離が
1.5mとやや長めである事だ。
ヤシカのレンズには寄れないものが多い、標準レンズはどれも
最短50cm以上であるし、この135mmも、本来であれば、
1.3m位の最短でもおかしく無い。

しかし、実は秘密兵器がある、このレンズを装着している
マウントアダプター(M42→E)が、ヘリコイド内蔵タイプなのだ。

ヘリコイドアダプターは、それを繰り出す事により、最短撮影
距離を縮める事が出来る、すなわち接写リングによるマクロ撮影
を行っているのと同等だ。
なので、この特殊アダプターを使っている場合では、最短が長い
レンズであっても何も心配する必要が無い、ちょっと廻せば
それに応じて寄る事ができる(ただし、あまりやりすぎると
画質が劣化してしまう)
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で、デジタル・ズームにも、ヘリコイド・マクロにも耐えられる
という事はそこそこ優秀なレンズであるという事だ、
装着しているレンズの性能が悪いと、こうした裏ワザ的な
機能を用いると、とたんに描写力が大きく落ちてしまうのだ。

では、何もそうした機能を使わずに、DX135mm/f2.8
そのものだけで写してみよう。
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比較的ボケは綺麗に見えるが、本レンズの場合、背景によっては
ボケ質が破綻してしまう事がある。まあ、これはこの時代の
望遠レンズであればしかたない事であるが、いつもこのシリーズ
で書いているような「ボケ質破綻回避」を行わなければならない。

NEX-7の236万ドットEVFは、ピントの山は掴み難いが、反面
ボケ質の再現性は高い。ピントに関しては、NEXシリーズの
優秀なピーキング機能を用いれば、だいたいいけるし、
いざとなれば、拡大ボタンを使いやすい位置に設定してある。

で、ボケ質を見ながら、必要に応じて絞り値や背景のパターン
(アングル、距離、絵柄)を変化させてボケ質破綻を回避する。

あともう1つの本レンズの弱点は、やや大柄な事だ。
銀塩時代のヤシカ製のMF一眼レフは、どれも大きく重かったので
本レンズを装着してもバランスは取れていただろうが、
現代のミラーレス時代、NEX-7のような小型ボディに装着すると
どうしてもアンバランスとなってしまう。

以前、NEXに400mm望遠を装着してみたことがあるが、いかにも
アンバランスな上、アダプターに負担がかかりすぎ、内部のネジ
が緩んで、危うくレンズ脱落事故を起こしそうになった事もある、
まあ、NEXシリーズであれば、本レンズくらいの大きさまでが
重量バランス的にも限界であろう。
c0032138_20312895.jpg

再びデジタルズーム、結構距離があるので5倍以上の倍率に
していたと思う、このあたりから画質が劣化してくるので、
デジタルズームは、あまり上げ無いのが望ましい。
まあ、4倍程度までで使うとして、135mm単焦点は、
換算で200~800mm/f2.8ズームとして使えるので
便利と言えば便利だ。

本レンズは、3000円という価格からすれば高コスパのレンズ
であるが、まあ、現代においては135mm/f2,8のMFレンズは
特別必要なものでは無いであろう。中古市場においても、
MF135mmは人気が無く、50mm標準レンズよりも安い相場で
売られている事も多い。まあ、なので、安価な事を長所として
買うのも良いかも知れないが、この焦点距離は、f2級の大口径
レンズに非常に性能の良いものが多いので、買うとすれば
そちらが良いであろう、ただし、中古価格は、f2.8版の10倍
以上も高くなる場合もあるので、ちょっと微妙な選択だ・・

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さて、次のシステム。
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カメラは、FUJI X-E1 、Xマウント最初期のミラーレスであり
AF/MFともに、精度や操作系に課題を持つ、MF操作系は特に
劣悪であり、未完成なカメラであるとも言える。
まあ、でも、絵作りに長所を持ち、そのあたりは捨てがたい、
なので、本カメラも冒頭のK-01と同様に、様々なレンズを
組み合わせ、使えるものを模索したり、限界性能を試したりして
いる状態だ。
ということで、今回のレンズは、NIKON AiAF50mm/f1.8だ。

ただし、このシステムは、推奨できる組み合わせでは無い事を
最初に言っておく、AFレンズなので、勿論ニコンのデジタル
一眼と組み合わせた方が良い訳だ。

すなわち本シリーズでは、アダプター遊びと言っても、ただ
デタラメにシステムを組むのではなく、カメラとレンズとの
組み合わせにおいて、「お互いの欠点を相殺する」ものが
良いというのを1つのコンセプトとしているからだ。

まあでも、最近の本シリーズでは比較の為に、AFレンズも
ほぼ解禁している。

で、以前の第21回記事で紹介したAi50mm/f1.8は、
本レンズの前身となったMF版である(レンズ構成は同等)
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第21回記事のAi50/1.8では、NEX-7との組み合わせで、
ノーマルな撮影というよりは、エフェクト中心の撮影に
偏ってしまった。まあ、NEX-7の場合はオーソドックス
すぎるレンズで撮っていて物足りなくなってくると、そういう
エフェクトに走ってしまう傾向がよくあるのだが、今回は、
X-E1との組み合わせだ。X-E1にはエフェクトが無く、
かつ絵作りが良いので、普通に撮っていても、あまり飽きが
来ない、これでMF操作系が優れていれば問題無いのだが、
残念ながらその点は、本レンズを使った場合でも、欠点は
解消されない。

ニコンの50mm/f1.8の描写力が優れている事は、わかって
いたので、今回は特に、ボケ質のチェックを中心としている。
晴天であったので、ND4(減光1/4)のフィルターを装着している、
この状態で、絞りを開放から最小まで自由に使う事ができる。
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しかし、被写界深度が浅い撮影になると、X-E1の課題が
また出てくる、ピーキング機能はほとんど効かないほど
精度が悪く、拡大操作系は劣悪すぎて、もうそうした課題を
いちいち書いて説明する気にもならない程だ。
この状態なので、撮影はかなり難易度が高い状態となっている、
つまり、X-E1のMF性能で、このレンズのピントが合うのか?
という訳だ。

ちなみに、レンズの最短撮影距離は45cmと標準的だ。

他社の場合、f1.4の大口径標準(50mmm)と、小口径版を
ラインナップする際、f1.4の最短は45cmだが、小口径版
(f1.7~f2.0)は、最短が50ないし60cmとなってしまう事もある。

これは、ラインナップの「差別化」という意味もかも知れない。
つまり、高価な大口径版より、安価な小口径版が性能が良く
なってしまったら都合が悪いからだ。

まあ、ビジネス的には、やむを得ない措置かも知れないが、
個人的にはあまり好きでは無いやりかただ。
レンズのみならず(デジタル)一眼レフなどでも同様な
ケースがあり、たとえば、同じ画像周りの部品(エンジン)
を使っているのに、高級機では機能がフルに使えるが、
安価な入門機では、あえてその部品の性能を落として
(制限をして)性能を差別化し、価格ラインナップの
整合性を取っている事がある。まあ、高級機用と初級機用の
部品をいちいち変えて設計していたらコストがかかるで、
同じエンジンを使うのはある意味当然であるが、値段により
性能を差別化をするというスタンスは、やはり好きにはなれない。 

まあ良い、そういう状況が、そのカメラやレンズ(あるいは
他の製品もしかり)の性能・仕様などを慎重に調べる事で
何か気になったら、そうした機種は買わなければ良いだけだ、
つまり「気に入らないから」買わない訳であり、これが
メーカー側のスタンスに対する、ユーザー(消費者側)に
出来る唯一の対抗手段だ。

まあ、こうした色々と裏の事情があるので、結局、モノを
買うときは、私の場合は「コスパ」を最優先としている。

つまり「値段が高いから良いものである」というのは
ユーザーの全くの思い込み・誤解であるから、自身がモノ
に対する価値感覚を高める事で、そのモノの価格が適正か
どうかを自身で判断する、それがすなわち「コスパ」であり
値段に対して性能が優れていれば良しとし、その逆はNG
という訳だ。
極端に言えば、モノの売買は、それは戦争(競争)であり、
ユーザーがその物を、本来の価値よりも高く購入したら、
その時点で「負け」であるという認識だ。

さて、余談が長くなったが、AiAF50/1.8の話であった。
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ピント合わせが困難な状況は、やはりX-E1ではやむを得ないが
まあ、それでも本レンズ自体の描写力は一級品だ、
第21回記事でも、MF版の50/1.8を同様に紹介したが、その頃
(1970年代)から、すでに完成の域に達しているという事であろう。

ニコンのレンズは、ボケの固いものが大多数なので、こういう
レンズは特に貴重だ。ニコンユーザーならばMF版でもAF版でも
シリーズE版でも好みに応じ、必携と言っても良いかも知れない。

ちなみに、本レンズは2010年代の購入。
中古価格は、破格の5000円であった。
これは、AF版としては最初期であり、D型では無い事、
それとちょっと値切った事からである。

D型とは「距離エンコーダー内蔵」型のことで、AF合焦時に
距離情報を、ニコンの一眼レフに伝える、その合焦距離に
応じ、露出計の動作や、フラッシュ光量などを調整して
それらの精度を高めるという仕組みだ。

勿論、これはミラーレス機でアダプターで使う場合には
無効であるから、D型でなくても一向に差し支えない。

それと、本レンズはボケ質の破綻は出難いが、ミラーレス機
で使用する上では、絞込み測光となるので、撮影前に被写界
深度やボケ質が(目安だが)確認できる。
一眼レフで使用する場合は、開放測光となるので、それらは
確認できない、仮にプレビューボタンを使っても、絞り込んだ
映像は暗いし、スリガラスのファインダーでは被写界深度は
良くわからない。
ボケ質にいたっては、一眼レフでは、さらにわからず、だから、
銀塩時代は、撮影して現像が上がってきて「ギャーッ」となった
事が多発したのだ。

ミラーレス機では、撮影前にボケ質も(ある程度)確認できる
事で、このあたりは一眼レフに対しての多大なメリットであろう、
まあ、なので、最近は「AFレンズであっても、本来のAFボディ
(デジタル一眼)ではなく、ミラーレス機で使った方が
もしかしたら、トータルのメリットは大きいのでは?」とも
思うようになってきている。
まあ、ただし、MFに何のストレスも感じない、という条件つき
の話ではある。(ちなみに、私の場合は逆で、ミラーレス機の
コントラスト検出方式のAFに性能上のストレスを感じてしまう)

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さて、次は今回ラストのシステム。
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カメラは、LUMIX DMC-G1
レンズは、フォクトレンダー ノクトン25mm/f0.95だ。

本シリーズ記事を始めるまでは、2台持っているG1のうち、
赤の方をアダプター母艦、青の方を、このノクトン専用機と
していた、ノクトンだけで3万枚近くも撮ったであろうか?
まあ、すでに発売してから5~6年を経過するレンズなので、
それ位撮っていてもおかしくない。

近年、ノクトン42.5mmを購入した際に、その母艦はG1では
なく、G5を選択した。

すなわち、G1はベースISO感度がI00であり、ND4を装着
した25nm/f0.95で、日中、絞りの可変範囲がちょうど良く、
拡大操作系も優れ、ピントが見やすい144万ドットEVFであり、
25mmレンズは、μ4/3で、銀塩換算50mm相当の画角となり
まさしく標準レンズとして慣れ親しんだ画角となるからだ。

対して、G5は、ベースISO感度が160であり、ND8を装着した
42.5mm/f0.95と相性が良く、拡大操作系に優れた144万ドット
で、かつダイレクトアサインできるデジタルズーム(連続2倍)で
85mm~170mm/f0.95相当の、超大口径望遠ズームとして
使い勝手に優れるからである。

より新しいG6と迷ったが、G6はピーキング機能が入っているが
EVFがピントの山の見難いタイプだ、そして、ピーキングは、
ノクトンのような被写界深度が非常に浅いレンズでは無理と
見たので、G5を選んだ次第だ。

余談だが、後日、ピーキング機能をC言語で作って実験して
みた事がある、ピーキングは自分オリジナルの画像処理法だが、
計算時間が無制限なので、カメラのような、リアルタイムで
画像処理しなければならないものよりは精度が高い筈である。

で、それで試してみると、広角レンズのような被写界深度が
深いものはピーキングが綺麗に出るが、ノクトンで撮ったような
写真ではちょっと精度が怪しかった。まあ、自作アルゴリズム
でもコントラストを検出する方式であり、つまり、これは
正確には「ピントそのものを検出している訳では無い」のだ。
で、この方式はミラーレス機のAF方式ともイコールであろう、
まあ、冒頭のK-01や、X-E1、GXRなどで、さんざんAF性能の
低さに辟易していたので、「やはりまあこんなものか」という
のが、実験の結論であった。

で、さらに後日、ピーキング機能つきのGX7を入手したのだが、
GX7のピーキングは他機種に比べててさほど低い性能では
無いが、それでも被写界深度が浅いレンズでは精度が怪しい。
ちなみに、GX7のEVFはNEX-7よりさらに高精細な276万ドットで
あるが、236万と、さほどの差異は感じられない。

まあ、つまり、どのカメラもそれなりに長所短所があって、
レンズと組み合わせる事で、その短所をできるだけ目立たなく
するのが重要な訳だ。
ということで、余談が長くなったが、
ノクトン 25mm/f0.95は、G1が壊れたり老朽化しない
限りは、しばらくは、G1を母艦として使う事になると思う。
何故ならば、それが一番相性が良さそうだからだ。
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あいかわらずだが、このレンズの描写は本当に独特だ、
このレンズでしか得られない雰囲気というものがある、
そういう意味では、本当に「唯一の」レンズであろう。

発売直後の2010年ごろに新品購入したので、8万4000円と
かなりの出費となったが、3万枚近くも撮影したので、
十分元はとれているだろう。

ちなみに、本ブログで提唱する「1枚3円の法則」は、
カメラの減価償却の目安であり、レンズには適用しない、
何故ならばレンズはずっと長期にわたって使い続ける事が
出来る為であり、カメラは高価なものを買ってもどんどん価値が
落ちるので、元をとるには、1枚あたり3円になるまで撮れという
ルールだ。
仮に30万の新品高級カメラを買ったら、10万枚も撮らなければ
ならない、これは一般の人には無理な数だ。
だからこのルールによれば、一般ユーザーは高すぎるカメラは
購入してはならないという事になる。
高級機が中古となって10万円くらいまでになれば、3万3000枚
だったら、まあ頑張れば、数年でクリアできるだろうから、
せいぜいそのあたりまでという事になる。
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最短撮影距離は17cmと驚異的だ、それで1/4倍マクロとなり、
μ4/3で実質2倍であるから、フルサイズ換算1/2倍マクロである。

この写真の寄り具合ではまだまだ余裕で、いくらでも、という
イメージで寄ることができる。で、近接撮影ではただでさえ浅い
被写界深度がさらに浅くなり、平面に近いような被写体でさえも
画面の多くの部分をボケに埋もらせてしまう事も可能だ。

そしてf0,95の超大口径は、普段は、ND4のサングラスを用いて
暗くして使わないと、すぐにシャッター速度オーバーになるが
いざとなれば、ND4を外して暗所での撮影にも役に立つ。
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これはライブでの撮影、ただし、動き回る被写体では、MFが
難しく追いつかないので、人物中心のライブや舞台は極めて
難易度が高い撮影となる、5~6回ほど試してみたが、いくら
やっても歩留まりが悪い(つまり、ピンボケを量産する)ので
最近は、もうこうした暗所の撮影でも、AFの大口径レンズ
(f1.4~f2)を使う事にしている。
まあ、それには、カメラのISO感度が上がり、中級機でも、
最大ISOが12800~51200が普通の時代となった、
というのも、イベント撮影でのf0.95のノクトンの必要性が
無くなった理由の1つであろう。

では止まっている人物撮影ではどうか?
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まあ、難しさはライブ等とさほど変わらない、人物の場合は
さらに表情という要素が加わる。人間はそんなに長時間
じっと同じ表情をしている事は無いのだ。そのため、撮りたい
時にすぐ撮れない(つまりピントが難しい)ノクトンは
あまり人物撮影にも向いていないレンズなのかも知れない。

ちなみに、人物撮影というジャンルに対する興味は近年は
かなり減ってしまった、以前は、人物は最も好きな被写体で
あり、機材も技術も要求されるし、話術などのテクニックも
とても重要なので、かなり面白いと思って、色々と撮っていた
のだが、ある時、ふと気がつくと、一見奥が深い撮影ジャンルの
ように見えて、結局のところ「被写体が勝ち」のジャンルで
ある事を思い知らされる。つまり、いくら上手く撮れたところで
魅力的なのは、その被写体の人物の方が主体であり、撮った人
の手柄には、あまりならないのだ。

このような「被写体の方が強い」というジャンルは他にも
いくらでもあって、綺麗なオネイサンの他、綺麗な風景、
綺麗な花、格好良い乗り物、珍しい行事、珍しい動物・・

まあ、一般のカメラマンが好む被写体の殆どがそうである、と
言っても過言では無いであろう、しかし、それではいつまで
たっても「被写体の勝ち」であり、「撮影者の勝ち」に
なる事は有り得ない、なんかそのあたりが非常に疑問に
思えてきて、被写体の勝ちとなる写真はできるだけ撮らない
ようにしよう、と思うようになった次第だ。

まあでも、その事は、本レンズ ノクトン25mm/f0.95とは
関係が無い。ノクトンには独特の個性があり、それがまた
たまらない魅力なのだ。

次回に続く・・

ミラーレス・マニアックス(40)

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安価な中古ミラーレス機にマニアックなレンズを装着し、
コスパの良いアダプター遊びを楽しむシリーズ記事
キリの良い第40回目は、まず、このシステムから。

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カメラは、お馴染み DMC-G1
レンズは、少々レアな、VIVITAR 28mm/f2.8だ。

VIVITAR(ビビター)は、米国のカメラメーカーであり
銀塩時代の2000年代前半までは、銀塩一眼レフ、銀塩コンパクト、
トイカメラなどを販売していた。現在では、アクションカメラや
ドローン用カメラ、トイカメラ(デジタル・フィルム)など、
新しい分野やマニア向けのカメラ製品を手掛けている模様である。

同社は、カメラ本体からレンズまで全てが自社生産ではなく、
多くが他社からのOEM供給に頼っていた節がある。
以前は、その多くは日本製であり、現在は韓国SAMYANG等から
の供給もある模様だ。光学製品以外も取り扱っている様子なので、
どちらかと言えば商社的な性格の企業なのであろうか。

このレンズは恐らく1980年代のもので、ヤシカ・コンタックス
マウントのMFレンズである。
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描写力であるが、ちょっと厳しいのは、フレアが非常に出やすい
ところだ、長期間使わなかったレンズであるのでカビてしまって
いる可能性もあるが、目視ではよくわからなかった。
まあ、逆光を出来るだけ避けてフレアを回避していくとしよう。

私がこのレンズを購入したのは1990年代、何故ヤシコンマウント
なのか?といえば、恐らく本レンズは多種のMFマウント向けに
主に海外にて販売されていたと思う。日本国内ではあまり出回って
いなかったレンズであるが、好事家などが持ち込んだものが
一部中古市場に流れたのかもしれない。

で、当時私はコンタックス用には、このあたりの広角は
DISTAGON の25mm/f2.8 と35mm/f2.8を所有していたのだが、
「28mmが無いなあ・・」と思っていた。ディスタゴンの28mmを
買えば良い話なのだが、そんなに細かい焦点距離刻みで、
高価なCONTAXレンズを揃えるわけにもいかず、安価な
ヤシカMLの28mmを探していたが、ヤシカMLは50mm標準以外
のレンズは、少々レアなので簡単には中古市場に出てこない。
そんな時にたまたま見つかったのが、本VIVITAR 28/2.8あった。

ただ、描写力がコンタッックスレンズに比べてだいぶ劣るので、
実際には、ちょっと撮った後は、あまり使用せず、長期に渡って
休眠してしまった次第である。
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まあ「話のネタ」的な要素もあったかも知れない、
当時は第一次中古カメラブーム、マニア同士の会話の中で
「どうだ、VIVITARだぞ! 見たこと無いだろう?」等と自慢する
ような感じもあったという事だ。
おまけに、レンズ保護フィルターも、ViVITARブランドの純正品を
どこかのジャンクコーナーで探し当てて装着していた、
「フィルターまで VIVITARだぜ!」という感じである(笑)
まるで子供のような発想だが、当時のマニア道というのは
だいたいそんなものでもあった・・(汗)

冒頭の写真では、そのフィルターが装着してあるが、実は
この直後、撮影中にどこかで脱落して紛失してしまった(泣)
う~ん、残念! まあ、金額的には200~300円程度だったので
たいした事は無いが、レアものという意味では惜しい、
そしてフィルターを紛失した事などは過去無かったので、
自身のちょっとした油断に対してもショックでもあった。

しかし、妙なレンズである。逆光でヘロヘロになってしまう事は、
オールドレンズには良くある話であるが、それにしても、
ほんの僅かな撮影条件の差で、ちゃんと写る時もあり、なんだか
気まぐれなレンズだ。それに、被写界深度も28mm./f2.8に
しては少し浅く感じる。
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被写界深度は、レンズの絞り値、焦点距離、撮影距離、そして
センサーサイズ(許容錯乱円)からなる厳密な計算式があり、
レンズ個々の構成や性能で、それに差がつく事はない。
だから28mm/f2.8のレンズであれば、どれであっても同じ
撮影条件ならば被写界深度は同じだ。
けど、感覚的には浅く感じるので、不思議なものだ、ボケの
遷移(後述)が影響しているのかも知れない。

本レンズの出自(製造元)は不明である、マニアの間では、
キノン(キノ精密光学)製や、コシナ製との噂もあるが、
実際のところは不明である。
c0032138_18473992.jpg

現代における入手性は、かなり困難であろう、しかし、現代に
おいて必要なレンズか?といえば、それはNOだと思う。
28mm/f2.8クラスのMFレンズは中古市場にはいくらでも
玉数があり、これより優秀なレンズはいくらでもあるし、逆にクセ玉
ですら、いくらでもある、絶対にVIVITARでなければ、というのは
前述のように、レアである、というコレクター的要素でしか無い。

本レンズの購入価格は1990年代に8000円であった、性能から
すれば勿論高すぎたが、まあ、希少価値による値付けなので
やむを得なかっただろうか・・

なお、本レンズに限らなければ、VIVITARは多種多用の
レンズが発売されていたので、丹念に探せば、いずれかの
焦点距離のレンズは見つかるかも知れない。

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さて、次のシステム。
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カメラはお馴染み NEX-7だ、
レンズはPENTAX SMCタクマー 55mm/f1.8

前述の VIVITARのレア度とは、対極をなすレンズであり、
およそカメラマニアの中で本レンズを所有していない人を
探す方が難しいくらいのポピュラーなレンズである。

1960~1970年代の、PETAX M42マウント一眼レフ用の
安価なMF標準レンズであり、大ヒットしたSPシリーズなどと
セットで大量に販売された。

発売時期により、タクマー、オートタクマー、スーパータクマー
SMCタクマーなどのバージョンがあり、また、外装などにも差が
あるものもある。販売数が多かったため、現代でも中古の玉数
は極めて豊富であり、程度や仕様により、1000円~5000円
程度の価格で販売されている。
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初級マニアの間では、このレンズを「銀のタクマー」、対して
SMCT 50/1.4を「金のタクマー」と呼ぶこともあり、それは
つまり写りが良いという事からの愛称であろう。

ただ、上級マニアの間では、本レンズは基本中の基本なので、
あまり拘りが無いレンズでもある。知人のマニアで、PENTAX SP
を細かいバージョン違いで、都合40台も集めたツワモノが居て、
本レンズもSPの付属レンズとして買ったケースもあるので
「家にいくらでもある、2~3本持っていくか?」という事を
言っていたくらいである(すでに持っていたので断ったが)

描写力は、本シリーズ記事でも良く書いているが、小口径標準で、
変形ダブルガウス型の5群6枚構成であれば、本レンズ以外に、
どれを選んでも、まずハズレが無い。
ましてやPETANXだ、他社が新レンズ開発時にリファレンス
(比較参考)用として使ったという話もあるくらいなので
極めてオーソドックスかつ優秀なレンズである。
c0032138_1851544.jpg

本レンズに限らないが、優秀な小口径標準でも、撮影条件に
よっては、上写真のようにボケ質が破綻するので、絞り値や
背景処理を調整しそれを回避する必要がある。

一般的には、EVFでボケ質を見ながら、背景の絵柄の
ボケ状況に応じて絞り値を変更しつつ複数枚撮影するが、
それではカバーしきれない場合、撮影距離を変更する
(近づく、遠ざける)、そして最悪は、撮影アングルの変更
(すなわち背景状況を根本的に変えてしまう)という
手順になるであろう。

ただし(銀塩/デジタル)一眼レフではボケ質がファインダー
ではわからず、この技法は実現出来ないので念のため。
また、ミラレース機でもEVFが必須だが、EVFの仕様によっても
ボケ質は見えやすいものとそうでないものがある、一般的に
144万ドット(G5等)はピントの山は見やすいが、ボケ質が
わかりにくく、新型の236万(NEX-7等)または276万ドット
(GX7等)は、ピントの山は見難いが、ボケ質が見やすい、

逆光性能などは特に問題なく、さすがに当時はセンセーショナル
な性能であった、多層コート(SMC)版であるという事だ。

良く写り、おまけに安価なので、ミラーレス機で常用レンズ
として使っても良いとは思うが、マニア道(笑)からすると
ちょっと本レンズは、当たり前すぎて、面白みが無い。

撮っていて、さっそく飽きてしまって(汗)NEX-7の様々な
付加機能で遊びはじめてしまった。
c0032138_18532553.jpg

こちらはデジタルズーム使用、NEX-7は、DMC-G5/G6同様に
優秀なデジタルズーム操作系を持つ、高倍率(といっても
NEXでは4~5倍程度迄が実用限界)では、NEXの操作系が
優れ、低倍率(2倍まで)では、G5/G6の操作系が優れている。

本レンズ使用時は、55mmx1.5(APS-C)x5(デジタルズーム)
で、都合約400mm程度までの画角にワンタッチで対応できるので、
ふいに遠距離に野鳥などの被写体を見つけた場合でも、
NEX-7であれば、望遠レンズ無しでも対応が容易だ。

本レンズは、複数所有していたので、購入価格も色々であったが、
これは1990年代に購入したもので、値段もかなり高めの9000円
であった、まあ、程度の良いものを購入したのであったが・・

その後、1000~3000円で何本かジャンク品を購入している。
(良いレンズだよ、と、友人にあげたりしていた)
現代であれば、前述のとおり1000~5000円、まあ、4000円
位が程度の良い個体での相場だと思えば良いであろう。

大きな中古店であれば、これを置いていない店はまず無いと
思うので、オールドレンズ入門用としては最適な選択だ。

ただし、オールドレンズを初めてこのSMCT55/1.8で試してみて、
「お、古いレンズなのに思っていたより写るじゃん、びっくり!」
などと驚いたり感動したとしても、その次に買うオールドレンズが、
これと同様に良く写るとは限らない。意外なことに、本レンズは
平凡ではあるが、性能的にはトップクラスのオールドレンズで
あるので、オールドレンズが皆、このレベルで良く写ると
思ったら、それは違うので、がっかりしてしまうかも知れない。

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さて、次のシステム。
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カメラがEマウント・トイレンズ母艦としているNEX-3だ、
同じNEXであっても、7と異なりこちらは最初期の製品であり
MFのピント合わせや、操作系全般に課題を持ち、AF広角か
またはトイレンズ等の、ピント合わせに負担の少ないレンズ
との組み合わせが望ましいカメラである。

しかし、ピーキング機能はそこそこ優秀であり、EVFが
なくてもトイレンズであれば十分に対応できる。
中古相場は1万円以下と安価であるが、デジタルズーム機能が
純正単焦点レンズで無いとできないし、エフェクトもシンプルな
ものしか搭載されていないので、後継機の、N,C,F型などの方が
中古価格次第では、むしろ良いかも知れない。

今回はトイレンズとして KENKO LENS BABY 3G を使用、
過去第11回、第14回記事でも紹介しているが、面白いレンズ
なのでたまに使いたくなるのだ。
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本レンズは、アオリ(ティルト)型のレンズである、
その仕組みや効果などの詳細は、過去記事で紹介しており、
重複する為、今回は割愛する。

効果を簡単に説明すると、画面内のごく一部にのみピントを
合わせることができ、他の部分は大きく流れる(ボケる)
表現を得ることができる。

このような効果により、10数年前より、一般的な風景写真を
ミニチュア(ジオラマ)風に見せる作風が流行し、それを
簡単に実現するレンズとして、LENS BABYが発売された。
以降、ロングセラー商品となり、シリーズも多数出ているが、
新品はいずれもやや高価であり、4~6万円程度してしまうで
あろう、おまけに、楽しい付属品(魚眼風にしたり、ソフト
効果にしたり)も多数販売されていて、まともに揃えていたら
かなりの出費となり、トイレンズとして考えるとちょっと厳しい。
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LENS BABY 3Gはその名の通り、第三世代という事だが、
シリーズとしては中期の頃の2007年の発売である。

「操作性」にかなりの問題のあるレンズであり、極めて調整が
難しい、しかし、レンズ位置ロック機能を一々使用せず、
手持ちのまま指を複雑に動かし、ピーキング機能を見ながら
ピントがあった瞬間にシャッターを切るという手順で撮影する
技法を用いると、意外に快適に撮影ができる。
(ただし、それでも依然難しい事には変わりが無い、楽器を
演奏するような高度で複雑な指の動きが要求される)

その際、カメラボディの形状やサイズも重要であり、
小型のNEX-3との組み合わせは、指の操作上、悪くはない。

本技法での注意点としては、NEX-3ではLENS BABY 3Gを
操作すると動画撮影ボタンに指が触れやすい事である。
NEX-3では動画撮影ボタンに他の機能を割り振ったり、OFFに
する設定が出来ない模様であり(注:詳しくは調べていないが
メニューに無いので多分できない。NEX-7では動画OFFが可能)
勝手に動画撮影になってしまうのはちょっとうっとうしい。
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効果はかなり強烈である、絞りにより効果を増減する事が
可能であるが、LENS BABY 3Gの場合、絞り値はレンズで設定
する事ができず、付属品の絞りリングを都度交換する必要があり
その点は実用的では無い、なので、今回は中間サイズの絞り
(f5.6?)を装着したままにして、撮影時に交換はしていない。

撮影距離は、レンズの蛇腹だけの操作では、近距離から
無限遠まで全てをカバーできない、そのため、レンズ先端部に
あるピント微調整リングを使って調整が必要である。

このリングは、本来ならば三脚を使ってカメラを固定して撮影
する際、蛇腹位置をロックボタンを使って固定し、その後に
ピントを微調整する、という使用法をするのであるが、今回の
撮影方法では、三脚は使わず、ロックもしないので、ピント
位置はあらかじめ撮影距離に合わせ仮調整しておく必要がある。

まあ、三脚を使ったとしても同じ操作は恐らく必要であろう、
もしピント範囲外であれば、蛇腹操作からやりなおしになるので
結局、最初からピント位置は仮調整しておかなければならない事
は同様だと思う。
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本レンズは後継機が色々出ているが、前述の通り高価である、
中古市場にはごく稀に出てくる事があり、バージョン(世代)
により相場も大きく異なるであろう。

私が入手したのは昨年2015年であり、購入価格は1万円弱
であった。3Gは2007年の発売時の定価が約4万円だった
ので、まあ十分安くなったから、という判断である。

ただし、実用的要素は殆ど無い。たとえばティルト機能により
傾いた被写体にも均等にピントを合わせる商品撮影等では、
ちょっと画質的な問題があって使えないであろう、あくまで
トイレンズとしての楽しみ方が良い。

必携のレンズという訳ではないが、まあ撮っていて面白い
(楽しい)レンズの代表格だと思う。 

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さて、次は今回ラストのシステム。
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カメラは「孤高のKマウントミラーレス機」 PENTAX K-01
お洒落なデザインの個性派カメラであるが、ピント合わせに
AF/MFとも致命的と言える弱点を持つ。

ただし、エフェクト母艦としての優れた操作系や、Kマウント
レンズの多くが(一部使用不可)そのまま使えるなどの
特徴を持ち、基本的には好きなカメラだ。
ピント合わせの問題は出来るだけそれを回避するレンズ
(AF広角系レンズやSDMレンズなど)を用いれば良いのだが、
限界性能を知る意味でも、本シリーズ記事では、一見無茶と
思えるレンズも色々装着して試している。

レンズは、PENTAX FA 77mm/f1.8 Limited である、
ついに真打登場、という感じの超本格派レンズである。

1990年代後半発売のAF(勿論フルサイズ対応)のレンズであり、
あの、名レンズFA★85mm/f1.4を生産中止に追いやった(?)
FA85の後継機なのか、なんだか良くわからないレンズであるが
ともかく描写力は超一級品である。
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本来ならば、ポートレート専用レンズであるとも言える、
私は、銀塩時代は、その使いやすい画角で、AFならばMZ-3、
MFならばLXとの組み合わせで、滑らかなボケ質を楽しんでいた。
デジタル時代になってからも、*istDS,K-10D,K-5と、順次
その時代のPENTAXデジタル一眼との組み合わせで、
様々な撮影シーンで活躍してきたレンズである。

通称「ナナナナ」として、私の周辺のカメラ仲間では必携レンズ
として定着している「ナナナナを買わずして何を買うのか?」とも・・

長らく使っているので、本レンズのありがたみを忘れてしまい
がちだが、ここぞと言うときに、人物撮影から暗所でのイベント
撮影、街中の気軽な散歩写真にまで、幅広く対応できるレンズと
して非常に重宝してきた。

まあ、APS-Cデジタル一眼やミラーレス機K-01では、画角が
115mm相当になってしまい、人物撮影では、やや間合いが遠い
という課題もある。ただし、その点においては、ようやく発売された
PENTAX フルサイズ一眼 K-1が、その用途にはぴったりで
FA77/1.8も再評価される可能性も高い、中古相場も上がって
しまう可能性もあるため、必要な人はお早めに・・(笑)
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本 FA77/1.8はピント面のシャープさや解像感を主眼とした
レンズではなく、特徴は、しいて言えば、ボケの遷移であろうか?
遷移とは、ピント面からアウトフォーカス(ボケ)に変わって
いく様子であり、これが固いと「切り抜いて貼り付けたような」
写真になり、逆に甘いと、輪郭が曖昧なような写真になって
しまう、本レンズはそれがスムースで適切なのだ。

勿論、ボケ質も優れている、ただし、ボケ質だけに関して
言えば、アポダイゼーション機構を持つ2本の現行レンズ、
つまり、MINOLTA/SONY STF135/2,8(第17回記事)と、
FUJIFILM XF56/1.2APD(第17回、第30回記事)、
そして、デフォーカス・コントロール機構を持つ2本のレンズ
NIKON DC105/2(第35回記事),同DC135/2(未所有)
が存在するので、さしもの「ナナナナ」であっても、これらの
レンズには歯が立たない。

同じPENTAX マウントで言えば、FA43/1.9(第1回記事)
FA31/1.8(第11回記事)、DA★55/1.4(第37回記事)
FA50/2.8Macro(第29回記事)、FA★85/1.4(後日紹介予定)
あたりと、ボケ質で良い勝負をしそうなのだが、それらと
比較しても、FA77/1.8は、トップクラスの位置づけであると思う。

なお、DA70/2,4というレンズは私は所有していないのだが、
これも定評があり、聞くところによれば、フォクトレンダー
カラーヘリアー75mm/f2.5SL (第2回記事)と、ほぼ同等の
写りをする模様だ(そうであれば、なかなか優秀だ)
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FA77mm/f1.8Limited の定価は、発売当初(2000年頃)は、
10万円を僅かに切った価格で、性能からすればリーズナブルで
あった、これとしばらくFA★85mm/f1.4は併売されていて
ほぼ同じ値段であったが、その後、FA85は生産中止となり、
現在では、10数万円というプレミアム価格で中古が取引されている、
それであれば、FA77の中古を買った方が良いと思うのであるが、
どうしてもFA85が欲しいのであろうか・・?

FA77の中古相場は2000年代前半に5万円台であった、
欲しがる人もかなり少ないマニアックなレンズであり、それは、
当時のメディア(たとえばカメラ誌)などで紹介される機会が
少なかったから、つまり単に「知られていない」だけであった。
現代の悪い意味での「一極集中」の情報化社会においては、変に
注目されると、皆が一斉に飛びつき、とんでも無い事態になって
しまうリスクがあり、あまりベタ褒めする事はしたくない。

その後、PENTAXの変遷(HOYAの傘下、RICOHの傘下となる)
により、定価はそのたびに少しづつ値上げされてしまい、同時に
中古相場も定価に連動して上昇、7万円程度にまで上がってしまう。

ただし、長期間製造されているレンズであり、新品の割引率も
そこそこ高く、PENTAXストアで約10万円、量販店のアウトレット
新品などでは7万円台程度と、中古とさほど変わらない値段で
販売される事もある。

弱点は、私の感覚ではほぼ無いレンズであるが、一般的視点
からでは、単焦点のこの中途半端な焦点距離では、用途に
困ってしまう事であろう。
よほど用途を絞っての撮影になる、ポートレート用というのが
一般的だと思うが、一般的にはそういうシチュエーションも
有料モデル撮影会にでも行かない限りはなかなか無い事であろう。
そのためだけに使うレンズとしては、少々(かなり)勿体無い。
レンズとしての性能はとても優れているが、用途として
考えると、ちょっと使い難いレンズであると思う。

なお、K-01との組み合わせにおいては、やはりAF精度が厳しく
MFでも絶望的であり、ほとんどまともに使用する事ができない。

やはりPENTAX 一眼レフとの組み合わせが適切であるが
デジタル一眼を使った場合でも、ピント合わせをAFに頼ると
思ったより被写界深度が浅いため、かなり苦しいと思われる。
AF/MF併用での撮影を強いられ、難易度は高くなる。

今回はK-01との組み合わせなので人物撮影は行っていないが、
過去、七五三の撮影時に、PENTAX デジタル一眼との組み合わせ
で撮った写真を掲載してみよう。
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他の機種なので、K-01と色味の傾向などはだいぶ異なるが、
まあ、そのあたりはカメラの各種設定なども多大に影響するし、
勿論、被写体や撮影状況に応じて設定も変わってくる。

だから、特にこのカメラだから良く写るとか、写らないとかそういう
事も全くない、フルオートでカメラまかせで撮る事は皆無なので、
突き詰めて言えば、カメラなんて何であっても良いのである。

そしてレンズの方がカメラよりはるかに重要ということも同時に
言える、銀塩時代から、初期デジタル、中期デジタル、ミラーレス
時代に至る、十数年もの間の長きにわたり、トップクラスのレンズ
として重用できたという事、それが最も特筆すべき点であり、
本レンズ FA77mn/f1.8 の最大の特徴なのだとも思う。

「ナナナナを買わずして、何を買うのだ?」という総合評価は
まさしくそういうところから来ていて、それはあながち間違い
では無い。

ただ、そろそろ、このレンズも性能的には古くなってきている、
近年の超高画素時代に対応する最新鋭レンズ群がいくつも発売
されてきているが、その中で、このレンズの用途を代替できる
特性のものは現れるのであろうか? いや、それは少々疑問だ・・ 

本レンズはその発売時から「数値には現れない感覚的な性能」を
主眼に設計されたレンズだからだ、現代的な設計技法では、
ミクロン単位の画素ピッチに対応すべく、解像度を増やしたり、
レンズ周辺まで収差を減らしたような、いわゆる性能数値に
拘る設計しかしていないであろう。
ボケの遷移とか、ボケ質そのものとか、ボケ質破綻の少なさとか、
そういった数値には表れないような、けれども実際の撮影時に
おいては非常に重要な(下手をすると最も重要な)要素について
まで十分に考えぬかれて設計されたようなレンズは、なかなか
今後も出てこないかもしれないし、仮にそれらを意識して設計
したとしても、その事が(数値でしか物事を判断しない)一般
ユーザーに理解されて「売れる」レンズとなる事は、まず無い
だろうからだ(だから作れない、あるいは値段が高い)
FA77の必要性は、まだしばらく続くかもしれない・・

さて、文字数が限界なので、次回シリーズ記事に続く。

ミラーレス・マニアックス(41)

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安価な中古ミラーレス機とマニアックなレンズによる
コスパの良いアダプター遊びを楽しむシリーズ第41回目。

まず、このシステムから。

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カメラはμ4/3機、DMC-GX7
基本性能は高いが、操作系にやや難ありのカメラだ、
優秀なGシリーズの操作系を、なぜか引き継がず、ゆがめて
しまっている所がある、ターゲットユーザー層が違うと言えば
それまでかも知れないが、優れたものは引き継ぐのが
当然だと思うが・・ 

レンズは、SIGMA 105mm/f2.8 EX DG Macro である。
これは最新型の手ブレ補正内蔵型ではなく、旧型の方だ、
EFマウントなので、新型では手ブレ補正内蔵になっている
だろうが、マクロ撮影で手ブレ補正は不要なので、
(被写体ブレの方がむしろ問題である事と、撮影者の前後
方向へのブレ補正が出来ない事等)旧型でも十分である。
そして、いざとなれば、GX7には、ボディ内手ブレ補正がある。
尤も、マクロ撮影には不要なので、その機能はOFFしているが・・

EFアダプターは、絞り羽根内蔵の機械式、しかし、このレンズ
では、あまり絞り込むと光束が遮られて、大きなケラれが発生
してしまうので要注意だ。
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本レンズは実はAFが効かない、故障品をあえて購入したのだ。

けど、近接撮影では、手ブレ補正と同様にAFも不要なのだ。
AFに任せてしまうと、被写体の花などが風で揺れると当然AFは
合い難いし、もし外すとAFがいったりきたりで、大きなタイム
ロスとなる、最短撮影距離以下まで踏み込んでしまった時も
同様にAFが迷って、とてもうっとうしい。
よって、マクロはMF専用で使うのがベターだ。

2010年頃に、これを購入した大阪の老舗中古店では、店員から
店「AFが壊れてますよ、それでもいいですか?」
と念を押された。でも、値段は破格の5000円、一般的な中古
相場の5分の1程度だ(これは旧型の場合。現在、新型の中古
相場は5万円前後もする)それに、AFも(ましてや手ブレ補正も)、
私としては、全く必要無いのだ。

内心”これはラッキーな買い物だ”と思いながらも、
もし、ここが値切りが効く店であれば、
匠「え~!?AFが無いと困るなあ、もう少し安くなりませんか?」
と粘るところだが、残念ながら、この店は値切りが効かない。

老舗だからか?ちょとお高くとまっている若い店員から、
店「そりゃ無理ですね、ウチもギリギリでやってますから」
と過去何度も、生意気な口調で言われて、ちょっと不快に感じて
いた店だ。まあ、今回は値切らずとも良い、5000円ならば
十分すぎるほど安いのだ。

ちなみに、この店、最近店舗改装で縮小して(さすがに銀塩系が
メインの中古商売では、今時なかなかやっていけないのだろう)
店員もベテランの幹部級だけとなって、ずいぶんと雰囲気が変わり、
親しみ易くなった(あいかわらず値切りは無理だが)
まあ、以前の記事で、大手中古チェーン店で、若いカメラの事を
何も知らない店員と、値切りの件で喧嘩になりそうになった事を
書いたが、いずれにしても中古買いは気持ちよくしたいものだ。
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さて、このレンズの描写力だが、一級品である。

もう1つ秘密(?)をバラしてしまうと、本レンズの購入は
2本目である、1本目はニコンマウントのものを、2000年代
前半に購入していた、長くこのレンズを使って、描写力が優れて
いる事はわかっていたので、EFマウントでも使おうとした訳だ、
ちなみに、ペンタックスとミノルタ/ソニーの一眼では
TAMORN 90mm/f2.8Macroを使っている。
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さらに余談だが、このレンズの前身は存在せず、いきなり
105mmマクロが発売されたのだ。そこには、裏話があって
これ以前、1990年代にはSIGMA 90mm/f2.8マクロという
物が存在していた、だが、このレンズは描写力にやや問題ありで、
しかも、名レンズTAMRON 90マクロと同じ焦点距離だ、

私は「お! SIGMAにも90マクロがあったのか」と、少々レアな
このレンズを1990年代に購入したのだが、写してみてがっかり、
まあ、銀塩時代の当時は、レンズの欠点を回避しながら使う等
という高度なテクニックは使えない、何せ、現像するまで
どんな風に写っているかは分からなかったからだ。

私としては珍しく、SIGMA 90マクロは手離してしまった。
SIGMAも「TAMRON 90マクロと比較されるのはマズい」と
思ったからだろうか? 90マクロを生産中止とし、その後に、
焦点距離も設計も大きく変えて発売されたのが、この105mm
マクロである。

ライバルは当然、TAMRON 90マクロであろう、だからか非常に
気合の入った、優れた設計になっている。
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本レンズは、申し分無い性能であるが、TAMRON 90マクロ
との比較となると、ちょっと迷うところもあるかも知れない、
まあ、どちらも甲乙付けがたい性能であるから、
(各々の詳細の特徴は、いずれ別の記事で述べる予定)
中古の場合は、値段次第というところであろうか、

再三述べているように、マクロ撮影時に手ブレ補正機能は
不要であるし、アダプター使用時は、特殊な電子アダプターを
使わない限り、手ブレ補正は効かない。

よって旧型でも十分である、もし、どうしても新型しか
無い場合は、手ブレ補正を内蔵していない、ソニーα(A)
マウントやPENTAX Kマウント版を選べば良い、
それらは、ボディ内手ブレ補正対応であるので中古相場は、
時間とともに若干有利に(安価に)なる可能性がある。

これはTAMRON 90マクロの場合も同じ選択だ、いずれを選ぶに
しても、手ブレ補正機能の無い旧型であれば、2万円前後から
入手可能であろうと思う。

TAMRON 90マクロか、SIGMA 105マクロは必携のマクロ
レンズだとは思うが、APS-C機やμ4/3機では、若干焦点距離が
長すぎて、使いにくさも感じるかも知れない。
けど、良く本シリーズで述べているように、マクロレンズの
場合は、焦点距離の差は、ワーキングディスタンスの差および、
背景の画角の差と思えばよく、通常レンズのように、望遠には
遠距離被写体、といった考え方をしなければ良い訳だ。

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さて、次のシステム。
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カメラは、DMC-G5 、操作系のバランスのとれた高性能
μ4/3機で、中古で1万円台後半で安価に購入できる。
望遠アダプター母艦として、あるいは本レンズの専用機と
している。

レンズは、フォクトレンダーNOKTON 42.5mm/f0.95である。
安価な(といっても10万円超えだが・汗)超大口径レンズ
として4機種をラインナップしている。

近年「中一光学」という中国のメーカーが、同じくf0.95の
超大口径レンズを数機種販売をはじめた、こちらも興味が
あるが、あれもこれも買う訳にもいかず、まだ入手していない。
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ノクトン42.5/0.95は、超大口径による強烈なボケ量や、
独特の描写力を持ち、おまけに23cmまで近接撮影できる。

G5の上面レバーにデジタルズームをアサインすれば、
85~170mm/f0,95相当の望遠超大口径ズームとして
使いやすい画角に非常に重宝する。

2013年の発売後、少しの期間我慢し、新品割引率が若干
下がってきた頃に約9万円で購入したが、現在においても、
かなりのお気に入りのレンズの1本である(現有レンズに
ランキングをつけるとすれば、BEST 5には確実に入ると思う)

最強に見えるノクトン42.5/0.95にも弱点はある、
絞りをf0.95の開放として、近接撮影時に、ハイライト(光が
強くあたっている)部分に、強い滲み(ハロ)が発生するのだ。

これを回避するには、ハイライトになる被写体を避ける事、
あるいは絞りを少しだけ絞る事などの対策がある。

どんなレンズでも、長所もあれば欠点もある、完璧なレンズなど
存在しないのだ、もし、技術の粋を結集して作られた完全無欠の
超々高性能レンズがあったとしても、同時にそれはコストが高い
という欠点が間違いなく発生する。
たとえば、その「超々高性能レンズ」を50万円も出して
買う位ならば、同予算で「超高性能レンズ」程度で良いから、
それを中古で各10万円づつであれば、5本も買える事になる!
欲しかったあのレンズも、このレンズも買えるとなったら、
どう見ても、その方が楽しいと思うが、どうだろうか・・?

レンズの欠点ばかりを言う人も居る。だが、ちょっと待った。
レンズの欠点が分かるというのは、その時点で凄い事だ。
カメラユーザーが100人居るとしたら、そのうち90人までは、
レンズの欠点も長所も何もわからず使っている事であろう。
欠点が分かった時点で、既に「一握り」の部類な訳だ。

で、そうであれば、もう1歩上を目指すのも良いと思う、
つまり、レンズの欠点と長所を理解し、そのレンズが最大の
パフォーマンスを発揮できるように考えて使ったり、あるいは
レンズの欠点を逆に積極的に利用し、それを作画表現に使って
しまう等である(例:ゴーストをわざと入れて、日差しが強い、
神々しい、などのイメージを出す)
ここまでできれば、さらに「一握りの中の一握り」だ、完全に
レンズを使いこなしている。すなわち、残った10人の中の
さらに、1人になれるであろう。
そうなればもう「レンズ・マスター」の称号を貰っても良い
位になるかもしれない!

つまり、ネガティブな発言ばかりだと、レンズを使いこなして
いない事を露呈しているみたいで格好悪いという事だと思う。

余談が長くなった・・上の写真では、まさにそのノクトン
の弱点が画面下部の梅の花のところに出るケースであったので、
絞りを少し絞って(と言っても、f1.4~f2程度だが)、
ハイライト部の滲みを回避して使っている。

私は、この状況は、ノクトンからの、
「被写界深度が浅すぎますよ」という警告だと思っている。
レンズが「無理だ」と言っているのであれば、それに素直に従い、
「ハイハイ、わかりましたよ、じゃあ、もう少し絞りますね」
という風に受け止めれば良いのではなかろうか?
「ハロが出た!こりゃあダメなレンズだ!」と、突き放して
しまうスタンスは、ネガティブすぎる考えという事だ。
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で、言うまでもなくf0.95の超大口径のMFピント合わせは
難易度が極めて高い。母艦としているG5にはピーキング
機能が搭載されていないが、仮にGX7やG6等のピーキング
がある機種でも困難な事は変わらない。
なので、ぼぼ毎回の画面拡大操作(MFアシスト)が必須となる。
拡大操作系に優れ、かつEVFも、ピントの山が見やすい旧型の
144万ドット型を搭載するDMC-G5でないと、ノクトンを常用する
条件には当てはまらなかった訳だ。
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近接撮影のみならず中距離撮影においても背景ボケを得られる
事は、大きなメリットだ、この点、他のノクトンシリーズは
いずれも焦点距離が短いので、f0.95と言えども背景ボケを
大きくできるのは近接撮影に限られてしまう。

また、G5には優れた操作系のデジタルズームが搭載されて
いるので、必要に応じて2倍までの範囲であれば、構図(画角)
を微調整できるが、これは光学ズームでは無いので、
望遠にしても、ボケ量が大きくなることは無い。
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超大口径f0.95のピント合わせは深刻な問題だと思う。
ピント合わせそのものが難しい他、被写体の選び方にも関連が
あって、例えば複数の接近した距離が密集している被写体
(例:中~近距離の梅や桜など)を選んでしまうと、被写界深度
が浅い為、どこにピントが合っているのかわからないような
曖昧な写真になってしまう。

難易度の高いレンズなので、ビギナーにはお勧めできない。
私の場合は、先行して発売されたノクトン25/0.95を、
4~5年使いこんでから、さらに難しい本42.5mmを
追加で購入している。

ピント合わせだけではなく、被写体の選び方や描写のクセ等
があり、そう簡単では無い。こんな調子なので、数万枚位は
撮影しないと、なかなかこの超大口径は使い切れないと思う。

価格だが、中古はまず存在せず、新品値引きで買うしかない、
その場合の価格は、9万円前後になると思う。

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次は、うって変わってトイレンズだ。
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カメラが超小型ミラーレス機 PENTAX Q7
ただし、私としては、このカメラは小型である事よりも、
「エフェクト母艦」としての優れた操作系に最大の長所があると
考えている、そのため、装着するレンズもオーソドックスな
ものではなく、PENTAX がラインナップしているトイレンズ系
の方が、本機を使っていて楽しい。

レンズは、Qシステム純正の05 TOY LENS TELE PHOTO

レンズスペックは、18mm/f8で、Q7装着時には94mm相当の
中望遠画角となる、最短撮影距離は27cmだ。
パンフォーカスではなく、ピントリングのついたMF仕様である。
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早速エフェクトを併用している、Q7あるいは、それ以前の
Qシリーズのような、1/1.7型や1/2.3型の小型の撮像センサー
では、高画質を求めるというよりも、いかに楽しく撮るか、
という部分を重視するべきであろう。

ただし、本レンズ05 TELEの場合は、他のQのトイレンズ、
つまり 03 FISHEYE(第2回、第10回記事)や、
07 MOUNT SHIELD(第4回、第14回、第34回記事)の
ような完全なトイレンズで、ピントも甘い描写をするもの
ではなく、どちらかといえば、04 WIDE(第31回記事)の
ように、トイレンズとノーマルレンズの中間のような、
微妙なポジションにある描写力である。
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思ったより「普通に」写ってしまうので、ちょっと拍子抜け
ししてしまっている、変な話であるが、トイレンズであれば、
もっとダメダメの写りを期待していたのだ。

普通に(まともに)写したかったら、他のカメラを使えば良い、
このレンズしか持ち出していないという訳では、さすがに無く、
同時に他のまともなカメラ(レンズ)も持ってきているのだ。
なのでQ7で撮る場合は、エフェクトを多用しているという状況だ。

この05 TELE の望遠画角は微妙なスペックだ、Q7シリーズの
標準ズーム02は5mm~15mm(Q7装着時、23mm~69mm
相当)の仕様であるので、望遠域がちょっと足りないと感じる時が
ある(Q7にはデジタルズーム機能が搭載されていない)

とは言え、Q7にマウントアダプターを介して一眼レフ用レンズ
を装着すると、4.6倍相当の画角変化は、50mm標準レンズが、
230mm望遠の画角になってしまうので、少々使い難い。
なので、産業用 Cマウント(16mm)レンズを使ってもみたが
(第21回記事)手ブレ補正をOFFしても起動時に毎回焦点
距離入力が出ることがうっとうしく、かつMFアシスト(拡大)
機能が無く、ピーキング精度も低い事から実用的ではなかった。

だったら、純正の06 TELEPHOTO ZOOM(15~45mm
Q7装着時は69~207mm相当)を使えば良いか?と思ったが、
基本的にメインとなりえないQシステムにそこまでレンズを揃える
のもどうか?と思って(とは言え、すでに5本も揃えたが・汗)
購入していない。

まあ、そういう微妙な焦点距離というのは、メーカー側の製品
ラインナップ上のポイントかもしれない、つまり、02ズーム
を使って望遠がちょっと不足したら、この05を使いなさい、
という事なのであろう、もしこれが14mmとかの焦点距離で
あったら、02ユーザーは画角がかぶるので、このレンズを
欲しいとは思わないであろうからだ。

エフェクトばかりではわかりにくいので、ノーマルな撮影を。
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まあ、普通に写ってしまう、でも、望遠とは言えf8であるし、
撮像センサーも小さいから、背景ボケなどは殆ど出ない。
そして、MFのアシスト機能は無いに等しいのでピント合わせも
若干難しい。この状況であれば、むしろ、もっとダメダメな
写りのレンズであった方が良かったかも知れない、ピントも
まともに合わず、合ったとしても、ボケボケの方が(例えば
03や07がそれだ)、Qシリーズらしく楽しめる。

本レンズの購入価格だが、最近の購入で、中古で3000円程で
あった。Qシステムに必須のレンズか?といえば極めて微妙な
ところであり。もっと個性的な 03や07からまず始めるのが
良いかとも思う。その上で、本レンズも使いたいのであれば、
3000円という安価な価格で入手できる事は悪くは無い。

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さて、次は今回ラストのシステム。
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カメラは、Eマウントアダプター母艦のNEX-7
最近は、その優秀な操作系に加え、精度の高いピーキング
機能とデジタルズームを頼りに、中望遠レンズの母艦とする
ケースも多くなってきた。カメラを複数使うという事は、それぞれ
の長所短所に応じたレンズを装着できるという事でもあり、
その事は、本シリーズ記事でアダプターを使う上で、
「カメラとレンズの組み合わせを良く考えて使う」
という基本コンセプトにも通じている。

ただ、NEX-7自体、かなり小型なカメラであるので、中望遠と
言っても大口径とか、あまり巨大なレンズはバランスが悪くて
装着しずらい、持ち運び時にも、重量級レンズではマウント部や
アダプターにかかる負担を考えると常にレンズ側を持って移動
しなくてはならず、結構それは面倒だからだ(他のカメラが
すぐに使えない)
(アダプター部が重量オーバーでネジが緩んでレンズが脱落
してしまうケースは実際にあったので、常に注意が必要だ)

レンズは、PENTAX スーパータクマー 135mm/f2.5
1960年代のM42マウントレンズで、自動絞り対応である。
尤も、その点については、レンズ後部絞り連動ピンを押せる
現代のアダプターであれば問題にならず、絞込み測光で
普通に使用できる。

古いレンズであるが・・ まずは写り。
c0032138_2044472.jpg

色味がちょっと変なのは、NEX-7側の問題だ。
NEX-7は極めて優秀なカメラであるが、数少ない欠点の
1つに、AWB(オートホワイトバランス)が安定しない、という
問題点がある。1枚1枚、微妙に色味がばらつく事があるのだ。

尤も、それも、AWBアルゴリズム側の問題だ。
余談だが、私はC++言語等のプログラミングが出来るので、
AWB機能も、実験の為、自身で作ってみた事がある、
AWBには決まったアルゴリズムは存在せず、各々のメーカー
の独自方式と思われるが、いずれにしても、ともかく最初に
基準となる色を抽出しなければならない、これは基本的には、
無彩色の部分を基準とするのが良く、RGB空間をHSV空間に
変換してから、そこで彩度の低い部分を求める。
そこでの基準点の決め方は複数考えられるので、
それがメーカー間の独自性に繋がるのであろう、
次に、その基準点のRGB値を元に、全画素のRGB値に対し、
基準点を結ぶ直線で収束するように輝度値を補正する、
(なお、整数値への切捨て誤差等でトーンジャンプが
発生する場合もある)
で、その結果、AWBの出来上がり、という感じだ。
これはシミュレーション実験としては上手くいったが、様々な
画像で、全て正確な色味が出るとは限らなかった。

したがって、撮影状況によって、基準値が求め難い被写体の
場合は、AWBがバラつくのもやむを得ない、いかに多くのケース
でそれが安定してできるか?というのが各メーカーの、または
各カメラの機種毎の、設計上のポイントになるのであろう。

ということだが、色味の問題を抜きにして考えても、本レンズ
ST135/2.5の写りは、ちょっとイマイチのところがある。
まあ50年程前のレンズなのでやむを得ない。

事実、これ以降の1970年代においては、ST135/2.5は、
SMCT135/2.5としてリニューアル時に、設計変更してレンズ
構成が変化している、PENTAXとしても、このレンズの性能
には、ちょっと問題を感じていたのであろう。

レンズ自身の個性も少なく、早くも飽きてきた(汗)
まあ、それはわかっていた、本レンズは銀塩時代に、良く流通
していたSMCT135/3.5に、スペック的な物足りなさを感じて
ちょっとレアを狙ってf2.5版を購入したのだが、思ったほどの
写りをせず、がっかりして、その後あまり使用する事もなく、
休眠していたレンズだ。
で、そんな事(つまらない)もあろうかと、NEX-7を持ち出して
いるので、優秀なエフェクト機能を使って遊び始めた(汗)
c0032138_20492681.jpg

特定の撮影位置以外にグラデーションボケをかけるという
「ジオラマ効果」である、本シリーズではお馴染みのエフェクトだ。

ちなみにNEX-7との重量バランスの問題であるが、本レンズは
大柄で重いので、NEX-7とのバランスはこのあたりが限界だ。

最短撮影距離は1.5mと、135mmレンズとしては物足りない、
ただ、その点についてはヘリコイド内蔵アダプターを用いて
いるので、いざとなれば最短を短縮する事が自在だ。
だが、本レンズの描写力やボケ質においては、マクロ的撮影
には向かないと判断し、今回は遠距離被写体に徹してみよう。

メジロが飛んでいるのを見つけたので、早速デジタルズームを
使ってみる。
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野鳥撮影は意外に難しい、まず近くに人の気配を感じるとすぐに
どこかに飛んで言ってしまう、よってできるだけ静かに動かない
ようにしているのだが、近くに「犬の散歩」をしている人が
通りかかったり車の物音がすると、すぐに飛び去ってしまう。
おまけに、じっとしていない、好みの木の実や木の葉を探して
いるのだろうが、あっちこっちに飛び回る。

NEX-7のデジタルズームは連続可変である、1.1倍~10倍の
範囲でMFレンズをアダプターで使った場合でも可動する
(注:最初期のNEX-3/5では、純正単焦点でないと動作しなかった)
本レンズの場合は、まず135mmであるから、換算で約200mm
の画角となり、デジタルズーム(実用的には、4倍程度まで、
それを超えると画質劣化が激しい)を併用することで、
200~800mm相当のf2.5望遠レンズとして使用できる。

800mm程度であれば、ブレは比較的大きいものの、撮影不可
というレベルでは無いので、手ブレ補正機能の無い本システムに
おいても問題は無い(ただし1500mmを超えると撮影不能になる)

で、最初から800mmでは、素早く動き回る野鳥に正確に
レンズを向けるのは難しい、なので、デジタルズームをONに
したまま低倍率に設定をキープし、300mm相当位の画角で、
まず野鳥をとらえ、そこからおもむろにデジタルズーム倍率を
必要に応じて上げていく、これらは素早くやらないと、野鳥が
どこかに逃げていってしまう。ましてや三脚などを立てていたら、
その視野に、たまたま野鳥が入ってくる確率は極めて低いから、
勿論三脚は不要である。

そしてカメラの操作系も簡便さが要求される、冒頭のGX7では、
テレコン・ズームの操作系が良くないので、せっかくの手ブレ補正
内蔵のスペックだが望遠母艦としてはあまり適さない。
2機種目に紹介のDMC-G5では、デジタルズームの操作系は
ダイレクトに可能なので、ボタン必須のNEX-7よりむしろ優れて
いるが、そこで可能なのは2倍までだ、それを超えると
デジタルテレコンの併用が必須となり、その為には3~4回の
ボタン操作が必要となり、不便だ。

NEX-7では、ボタンCにデジタルズームをアサインしておけば、
1プッシュ+背面ダイヤル操作だけで10倍拡大までを速やかに
操作できる。ただし、ダイヤルを廻す際に、近接した十字キーに
触れてしまうと、別のメニューが出てしまうのが、ちょっとした
「操作性」上の欠点だ。

本レンズの購入価格だが、1990年代に12000円程であった、
ちょっと高すぎたし、性能的にも必携と言えるレンズでは
無いと思う。

さて、文字数がもう限界だ、次回記事に続く。

ミラーレス・マニアックス(42)

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中古ミラーレス機にマニアックなレンズを組み合わせて
コスパの良いアダプター遊びを楽しむシリーズ、第42回目。

まず、このシステムから、

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カメラは LUMIX DMC-GX7 比較的新しいパナソニックの
ミラーレス機であり、スペック的には優れているが、
Gシリーズと比較して操作系が劣っている部分もある。

レンズは CANON New FD 200mm/f2.8である。
1980年頃のMFレンズであり、New F-1の時代のものだ。
FD系ニーニッパ(200mm/f2.8の通称)には、いくつかの
バージョンがあり、新しいものは最短撮影距離が短い、
具体的には、FD200/2.8の最短は1.8m,NFD200/2,8旧
も1.8m、NFD200/2.8新が1.5mとなっている。
本レンズは新タイプであり、最短撮影距離は1.5mだ。



ちなみに、FDとNew FDの違いは、レンズ装着時にリングを
廻すか、ワンタッチで装着できるか、が異なっている。
銀塩時代は、しっかり締まるFD型を好むマニアも多かったが、
やはり New FD型の方がアダプターでは使いやすいであろう。
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μ4/3機のGX7に装着しているので、200mmレンズは、
まず2倍の400mm相当になる、
このあたりの望遠画角だと、野鳥、野生動物、動物園、
遠距離スポーツ撮影等限られたジャンルの被写体を
選ばざるを得ない。
という訳で、今回はそういう被写体を撮っている。
(下手をすると「被写体の方が勝ってしまう」ジャンルなので、
あまりそういう被写体は撮りたくないのだが)

上の写真では、GX7のデジタル・テレコン機能を利用して、
さらに2倍の800mm相当としている、GシリーズのG5/G6等
では、デジタルズームが直接ファンクションレバーにアサインできて
使いやすいが、GX7にはその操作子は搭載されておらず、ボタンや
キーを色々と併用するのが面倒なので、デジタルテレコンの方が
むしろ使いやすい。

GX7は、こうした目的に使う事を想定し、ボディ背面下部の
Fn2,Fn3のボタンには、デジタルズーム、テレコンをそれぞれ
割り振っている。(注:パナソニックのズームとテレコンの
用語定義は一般の写真常識とは反対である、本シリーズでは
メーカーの用語は無視し、一般常識の方の意味を採用している)

他のFn1ボタンには、かなりカスタマイズしたクイックメニュー
を振ってある、GX7には使えるFnボタンはこの3つしか無い。
他に、背面モニター内に、バーチャル(ソフトウェア)の
Fnボタンがいくつかあり、タッチ操作で呼び出せるのであるが、
この機能は、EVFを覗いてカメラを構えたままでは、構えを一旦
解かないと使えないので、構図決めやMFでの慎重なピント合わせ
が全て御破算になってしまう。なので、タッチパネルのFnキーは、
「最初から存在しないもの」と割り切って、何も機能をアサイン
していない。(というか、タッチパネルを一切使用していない)

ちなみに、ビギナーはタッチパネル操作の方が使いやすい
カメラだと誤解しているが、非EVF機ならともかく、EVF機では、
カメラの基本の構え方が身に付かないし、加えて、タッチパネル
方式では、同時あるいは短時間の間に複数の操作はできないので、
本来、ボタンやダイヤルの数は、多ければ多いほど望ましいのだ。

だが、あまりそれをするとコストがかかるし、配置するスペース
も無くカメラが大型化してしまう(別にそうでも良いのだが)
おまけにビギナーが使いこなせないという表向きの理由から、
カメラから、レバーやボタン、ダイヤル等の操作子がどんどん
少なくなっていくのが嘆かわしい状況である。

GX7も同じ理由で、ファンクションレバーが無くなっているが、
シャッターボタン周囲のダイヤルをその目的に使えれば望ましい
ものの、マウントアダプター使用時には、このダイヤルに何の
機能もアサインする事ができず、完全に遊んでしまっている。
これは信じられない操作系の改悪だ、パナソニックGシリーズでは
こうした無駄が一切無いような優れた操作系が、初代G1から
あったのに、その伝統は何処へ行ってしまったのだろう?
前述のカメラ用語の誤用も数点ある、写真に精通している優秀な
エンジニアが転属してしまったのであろうか・・?
c0032138_188543.jpg

さて、800mm相当となると、手持ちでは手ブレが気になる
焦点距離だ、本シリーズでの数々な望遠レンズの実験からは、
「換算1000mmを超えると厳しく、1500mmあたりが限界値」
という結論になっているのだが、幸いな事に、本機GX7には、
パナソニックのμ4/3機では初のボディ内手ブレ補正機能が
搭載されている(まあ、だから、オールド望遠レンズを装着
する母艦にしている訳だが)

手ブレ補正焦点距離は手動入力で、しかも電源ONにする
たびにメニューが出るので、操作系がうっとうしいが、まあ
そこは目をつぶろう。

設定をレンズの焦点距離どおりの200mmにしているのだが、
どうも、手ブレ補正の効きがほとんど感じられない、もしかすると
デジタルテレコンを使った際には、倍率に応じて焦点距離設定も
変えなくてはならないのかもしれない(汗)

そうだとすれば極めて面倒な操作となり、MF望遠ズームとか、
連続デジタルズームを使った際には、お手上げで、実質上は
内蔵手ブレ補正は、その操作系ではまともに機能せず、使いものに
ならないという事になるのだが、まあ単焦点望遠使用時のデジタル
テレコンでは、その操作系であっても、ぎりぎりセーフだ。

今回は、面倒だったので、途中で手ブレ補正をオフにしてしまい、
その検証はしていない(オフの方がカメラが熱を持たず、
勿論、バッテリー消費も少ない。昼間で、シャッター速度が十分
に得られるならば、手ブレ補正が必須という訳でも無い)
まあ、手ブレ補正の疑問点は、いずれ他の超望遠レンズで試して
みるとするか・・

400mmまたは800mmで(さらにテレコン倍率を上げて1600mm
にもしてみたが、例によってブレが大きく、画質も相当劣化する)
撮っていると、どうしても遠距離被写体ばかりになってしまう、
じゃあ、近接性能の方はどうだろうか?
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最短の1.5m付近での撮影。

どうも私は2m以上での距離感覚が鈍いようで、最短2.5m程度
のオールド望遠レンズだと、被写体に対峙した際、2.5mの
距離で立っているつもりが、近寄りすぎてしまっていて、
50cm~1mほどバックして撮影するケースが良くある。
だが、1.5mという距離感覚はいける模様で、だいたいレンズを
構えた場所でぴったり撮れるので気持ちよい。

けど、それで400mm相当の画角だ、その距離でも思ったよりも
被写体が大きく見えてちょっと驚く事もある。遠距離での
400mmは、長年のドラゴンボート撮影などで慣れている画角
であるが、400mmでの近接撮影は普通はあまりしないであろう。

この場合のボケ質だが、かなり良い、尤も、他の写真を見ると、
背景条件によりボケ質が破綻しているケースも多々あり、
例の「ボケ質破綻回避」のテクニックが必須になるであろう。
c0032138_18104658.jpg

逆光耐性であるが、レンズ組み込みのフードを伸ばした状態
でも、逆光気味でフレアが出やすい、遠距離だと特に顕著な
模様であり、旧タイプのFD200/2.8に比べてレンズ構成枚数が
増えた事も一因だろうか?まあ、でも、35年も前のレンズ
であるから、これでも他に比べてましな方だと思う。

本レンズの購入価格だが、1990年代に3万円であった、
現代では玉数がやや少なく、入手は困難かも知れない。
価格的には、ちょっとだけ高かったと思うが、2万円台ならば
まあ性能からすれば許容範囲であろう。

ちなみに、AFのEFマウント版の200/2.8もある。
ただ、現代では、いわゆる「大三元」などといわれている、
f2.8通しのズームで、広角、標準、望遠を揃える上級ユーザーが
殆どであり、わざわざ200/2.8のAFレンズを買う人は少ないで
あろう。けど、単焦点のニーニッパ級は、MFでもAFでも
非常に優秀なレンズが多い、具体的には、NIKON ED180/2,8
CONTAX ゾナー180/2.8 、ミノルタ ハイスピードAF200/2,8
など、いくらでもある。
試しに、これら優秀な単焦点ニーニッパと、f2.8大口径望遠
ズームと撮り比べてみるのも良いかも知れない。
もしかすると、ボケ質等での、単焦点との差異に驚くかも・・
(ちなみに、私はf2.8大口径ズームは頑なに使用しない事に
しているが)

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さて、次のシステムは、うって変わってトイレンズである。
c0032138_18113749.jpg

カメラは、DMC-GF1、パナソニック最初期の小型ミラーレス機で
現代では中古市場では値がつかないほどの状態になっているが、
まあ、それでもカメラとしての基本性能は十分である。
ピント合わせがAFでもMFでも問題ありなので、トイレンズか、
または小型AFレンズとの組み合わせで使うのが良いであろう。

ということで、レンズは、LOMO エクスペリメンタルキットの
円周魚眼風レンズを装着している。
μ4/3用の、魚眼・広角・標準の3本セットで、新品9000円程の
完全なトイ(玩具)レンズである。
c0032138_18121776.jpg

写真はμ4/3の4:3アスペクトでは左右に無駄な空間が残るので、
トリミングして掲載している、なお、多くのパナ機では、
1:1アスペクトで撮影する事も可能であるので、必要に応じて、
そうしても良いであろう(結果的に同じ事になる)

描写力は無いに等しいトイレンズである、いちおうMF操作の
レバーがついているが、MF距離をどこに設定してもピントが
シャープに来ることは無い。

円周魚眼風(180度にはちょっと足りない)の写りなので、
当然大きなディストーション(歪曲)が発生する、ただし、
いつも魚眼の記事で書いているように、画面の中心点に
向かう直線は歪まない。
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まあ、対角線魚眼であれば、構図を上記の中心点直線を
意識して魚眼っぽく見せない撮り方も可能であるが、円周魚眼
ともなると、画面の構図の全てを中心点直線にあわせる訳には
いかず、どうしても歪む部分が出てきてしまう。

また、180度に近い画角では、カメラを構える手や指、体や服・靴
の一部、そして自分の影などが、構図内に入ってしまいやすいので
注意する必要がある。一般の写真であれば、不要な部分を
トリミング編集してカットする事もできるが、魚眼では画面全体
の歪みに意味があるため、トリミングは心理的にやりにくい。

レンズの開放f値は、f8と暗い、まあ、トイレンズでのf8は
「常識」であるので、ISOやシャッター速度の原理をよく理解
して使う必要がある。すなわち、露出を決める要素に、絞り、
シャッター速度、ISO感度の3つがあり、それらは独立して
切り離しては語れない、という、ごく基本的な原理の話だ。

そういう意味では、トイレンズは、露出の仕組みを理解して
いないビギナー向けではないと思う。もしそうであれば、
手ブレ補正や、AUTO ISOの自動変化範囲の大きい(最低でも
6400以上に自動で上がる)カメラを用いるのが良いのだろうが、
ビギナーは、ブレやボケも、自身の「表現」としてしまう傾向が
あるので、むしろ変な写りは好まれるのかも知れない。

ただ、いつも言うように、写真の基本原理がわかっていないで
トイレンズを使うと、たとえ面白い写真が偶然撮れても、二度と
同様の写真を撮ない。つまり再現性が無くなってしまい、
それを自身の作風や個性に活かすことができないので、飽きて
しまうというリスクも多々ある。
c0032138_18133022.jpg

これは、暗いf値を活かし、シャッター速度を遅めにして
ブレ感を出したもの。簡単そうに見えるが、ISOとシャッター速度
との関連、動体の移動速度、魚眼の構図上の直線性、シャッター
を切るタイミングなどを全て意識すると、結構難易度が高い撮影
となる。ビギナーの場合、同様に撮れても再現性は難しいと思う。

トイレンズは、マニアの世界ではあまり人気が無いのだが、
ちゃんとトイレンズを使いこなそうとすると、かなりの技術が
必要になる。そういう意味では、マニアやベテランでも、たまに
こういうレンズを使って遊んでみるのも面白いかも知れない。
もしかすると、色々と刺激を受ける要素もあるかも・・

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さて、次のシステム。
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カメラは、Eマウントアダプター母艦のNEX-7
高度かつ複雑な操作系であり、基本性能も高く、フルサイズα7
人気の陰で、APC-S機のNEXは中古相場もかなり安価である。

レンズはかなりマニアックな物で、HANIMAR 35mm/f2.8 である。

このレンズの出自は不明だ、1990年代の第一次中古カメラブーム
の際には、「ハニマーやハニメックスは、日本のコシナ製だ」
という風にマニアの間では言われていたが、その真偽は良く
わからない、なにせ情報があまり無いのだ。
まあ、出自はどうでも良い、問題は楽しく撮れるか否かだ。
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本レンズはM42マウント、自動絞り専用レンズであるので、
レンズ背面の絞り連動ピンを押し込めるアダプターでないと
絞り開放でしか撮れない。例えば、PENTAX 純正の
マウントアダプターKや、一部の一眼レフ用アダプターでは
絞り連動ピンを押し込めない。まあ、近年のミラーレス機用
M42アダプターでは、ほぼ全て連動ピンを押せるので大丈夫
だと思うが・・

本レンズの最短撮影距離は、70cmと恐ろしく長い。
一般に、最短はレンズの焦点距離の10倍、つまりミリを
センチに変えた値が望ましい。 35mmのレンズであれば、
35cmというのが標準的な性能だ。

なので、本レンズの場合は、最短が通常の2倍も長い事になる、
「通常の3倍の速度のシャア」であれば格好良いのだが、
通常の2倍の最短撮影距離では、ちょっとがっかりだ。

まあでも、心配無用なのは、こういう事もあろうかと、例の
「ヘリコイドアダプター」を用いている、これにより最短撮影
距離を大幅に短くする事ができる、どれくらい短くなるかは
ちょっと良くわからない。最短が半分になるとか、撮影倍率が
何倍になるとか、そういう目に見えるスペック情報は存在しないし、
恐らくレンズの焦点距離や最短のスペックによっても変化する
のであろう(計測すれば撮影倍率はわかるが・・)
c0032138_18153599.jpg

本レンズは、いわゆる「ジャンク品」だ、レンズ自体のヘリコイド
が、スカスカだったり、たまにひっかかってカクカクしたりして
いて、操作していて、かなりうっとうしい。

だが、そんな場合においても、ヘリコイド内蔵のアダプターは、
マスターレンズの弱点を消すことも出来る。

例えば、マスターレンズのピント位置を∞(無限遠)固定にして、
アダプター側でピントを合わせる事もできる。
ただし、ヘリコイドアダプターの回転角は非常に大きく、廻すのが
面倒である。最短位置まで廻すのは、十数回も手を持ち替える
必要があり、以前に紹介した、マクロアポランター 125mm/f2.5
(第23回記事)やマクロプラナー 100mm/f2.8(第16回記事)
と同様の課題であり、近接から遠距離撮影を繰り返すと、
その大きな回転角により、左手にかかる負担が大きすぎる。

なので、とてもその操作をメインとする事はできない、あくまで、
寄れない時、あるいは本レンズのような故障気味のレンズの
場合の補助的目的にヘリコイドを使うのが良い。

ボケ質は意外に悪くない、ボケ質破綻も少ない、
これで壊れていなければ、かつ寄れたら、結構好みのレンズに
なっていただろうに、ちょっと惜しいところである。
ただし、逆光耐性は高くないので、撮影アングル等には注意が
必要だ。

アンダー気味に撮影しているのは直感だ、レンズの特性や
古さ、から考えると、光が豊富に当たる高コントラスト被写体で
良い結果が出るとは思えなかったからだ。

ただ、ここで注意点、カメラのNEX-7にも若干の問題点がある。
それまでのNEXシリーズと比較すると、全くの別物と思われる
くらいに進化したNEX-7であり、ほぼ弱点は無いのであるが、
細かく見ていると、ほんの僅かな弱点も持っている。
その1つは、AWB(オートホワイトバランス)が安定しない事、
つまり、撮影毎に、毎回僅かに色味が変化してしまう場合が
あるという事だ、
(ちなみに、デジタルズーム使用時に、AF/MF兼AELボタンに
アサインしたMFアシストが使えない点もNEX-7にしては、珍しく
不満だ)

なので、NEX-7を使う場合は、AE露出値は安定しているので
問題ないが、色味がちょっと写真によりバラつくかも
知れないので、それを(オールド)レンズ側のせいにしては
ならないという事だ。まあ、アンダー気味に押さえている
場合や、直射ではなく日陰などのフラット光で撮る場合は、
あまり差が出難いかも知れないが、普通に自然光で撮る時は、
そのあたりは要注意だ。
c0032138_18162174.jpg

本レンズの購入価格は、1990年代に3000円であった。
トイレンズ同様の低価格だが「ジャンク品」であったので、
中古カメラブームの際にも、見捨てられたレンズだった。

現代においては必要なレンズではない、それに、中古も
まず出てこないであろう、あくまで「話のネタ」的なレンズで
あると思う。

もし MFの35mm/f2.8級の単焦点がどうしても必要であれば、
コニカAR35/2.8(第8回記事)
ニコンE35/2.5(第9回記事)
ニコンPC35/2,8(但しシフト機能を使用しない、第37回記事)
キヤノンFD35/2(第4回記事)
フォクトレンダーS/Cスコパー35/2.5(第5回記事)
ロシア製 MIR-24 35/2(第14回記事)
ヤシカML35/2.8(未紹介)
オリンパスOM35/2.8(未紹介)

など、優秀な写りをする35mm級レンズは、他にいくつもある。

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さて、次は今回のラストのシステム。
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カメラは、お馴染みのアダプター母艦のDMC-G1
μ4/3の第一号機であるが、操作系に優れ、かつ現在では
中古は極めて安価だ。

私も周囲に勧め、2010年代前半に都合10台くらいの本機を
購入したであろうか?(うち、自身で使っているのは2台)
ただ、ビギナークラスでは、本機+MFレンズの使いこなしは
結構難い模様であり、ちゃんと使えず、持て余してしまって
いる人も多い(汗)けどまあ、中古MFレンズ込みで2万円以下で
購入できたので、量販店で新品デジタル一眼とズームのキットを
8万や10万も出して買うのに比べ、金銭的な負担は、かなり
少なかっただろうから、その点では周囲の皆も喜んでいた。

レンズは、少しマニアックなレンズであり、
リコー XRリケノン 28mm/f2.8である。

1970年代後半~1990年代に発売されていたリコーの
MF一眼レフ「XRシリーズ」用のMF広角レンズである。
マウントは、PENTAX Kマウントとほぼ互換であり、相互に
レンズを交換して使う事ができる。私は銀塩時代は、リコーには
リコーという事で、XR7(AE機)、XR-8 Super(メカ機)との
組み合わせでXRレンズを使用していた。
c0032138_18173193.jpg

写りは普通である、しかも、銀塩の広角の代表と言える28mmは、
μ4/3機では、56mm/f2.8相当と、面白味に欠ける画角となり、
使いにくさを感じる。

ちなみに、リコーがマニアに注目されたのは、1996年の
GR1の発売からである、言わずと知れた現代にも続くGRシリーズ
の元祖であり、28mm単焦点のその描写力は衝撃でもあった。
今年から見ると、ちょうど20年前となる(ちなみに、デジタル化
されたのは、初代GR Digitalが2005年であった)

ただ、一部のマニアの間では、1994年からの、R1シリーズ
(GR1のベースとなったカメラ)の描写力に着目していた、
私もその口であり、R1sそしてローライOEM版のプレーゴミクロン、
(1995年)、そしてファッションブランドとのコラボである、
リコーELLE(1999年)の3台を使用していた。
うち、R1sはパノラマモード用の遮蔽幕に、爪楊枝の先を詰めて
幕が降りないように改造し、30mm/f3.5と24mm/f8 の2焦点
切り替えカメラとして結構長く愛用していた。

で、GR1の発売以降、マニアがリコーのそれ以前の時代の
XRレンズにも注目をはじめ、最も有名になったのが、
XR50mm/f2であり、その描写力の良さは「和製ズミクロン」
と呼ばれ、マニアが飛びつき入手困難になった事もあった。

まあでも、現代において考えると、各社の50mm小口径標準は
どれも良く写り、リコーだけが特別という訳ではない、けれど
口コミというのは恐ろしいもので、リケノンXR50/2はマニアの
間で「神格化」されるまでになってしまったのだ。
c0032138_18182961.jpg

そして、かく言う私も、リコーのリケノンレンズを必死に
集めた口だ(汗)XR50/2単品が入手困難であったので、
XR500のボディとのセットで買って、XR500は使わないので、
友人に500円で譲ったくらいであったし、28mm/f2.8(本レンズ)
45mm/f2.8パンケーキ(最軽量交換レンズ)
135mm/f2.8(第28回記事),200mm/f4 と、一通り集めた
くらいであった。その一部はリケノンの熱狂的なブームが去った
2000年代に購入したもので、安価に入手する事が出来た。

本レンズの最短撮影距離は30cmである、28mm広角としては
標準的な性能であり、さほど寄れる訳でもなければ、大きな
ボケ量を得られるものでもない、ただしボカした場合のボケ
質は悪くはなく、ボケ質破綻も少ない。

どうだろう・・標準的な性能と言うべきか、あまり個性の
無いレンズである、絞り込んでパンフォーカス気味で使う
のが銀塩時代の28mm広角の一般的な使用方法であったが、
現代風の様々な撮り方にも耐えられると言えば耐えられる
レンズではある。
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これは逆光状態であるが、フレアやゴーストも出難い、
「ならば良いレンズじゃあないか?」という事になるかも
知れないが、私個人とすれば、オールドレンズは、何か
とても強い個性(たとえそれが欠点であっても)が無いと
あまり興味を感じず、使っていてもあまり楽しくないのだ。
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ということで、リケノン XR 28mm/f2.8の総評だが、
優等生的だが個性の無いレンズ、という感じにしておこうか、
28mmは、後のGRシリーズに続くリコーの「顔」と言うべき
焦点距離であり、元々それ以前の時代から、基本性能が
高かったのかも知れない。

それに正直言えば、GR1sは、私も銀塩時代に使っていたが、
コスパが悪かったし、モーターが弱く故障しやすかったので、
あまり好きなカメラではなかった。どちらかと言えば、前述の
R1シリーズを主に使っていたし、35mm準広角レンズを搭載
したオリンパスμ-Ⅱが出てからは「高価なGR1に安価なμ-Ⅱで
対抗」というひねくれたコンセプトになってしまっていた(汗)

その後、銀塩末期には、高価なGR21も購入したが、それもコスパ
が極めて悪く、あまり使うことなくデジタル時代を迎えた。
ただし、2005年のGR Digitalの初期型は発売当日に買ったのが、
私のツボにはまってしまって、お気に入りのカメラとして、
その後10年以上にわたって使い続けることになる、今でも現役で
保有しているが撮影枚数が5万枚近くとなって、コンパクト機
では耐久性の限界に近い状態となり、今では滅多に持ち出す事は
しなくなってしまったが。

本レンズ、XR 28mm/f2.8の購入価格だが、2000年代に
5000円であった、同じようなスペックのMF広角は、
1万円以上する事も多いので、かなり格安な印象である。
性能的にはまず問題ないと思うので、いずれフルサイズ機が
とても安価になったらそれで使ってみるとしようか。
なにぜ、5000円のレンズを10万円のボディに装着するのは、
コストバランスが悪すぎて、今のところ全くその気にならない。
(1万円の DMC-G1ですら、ちょっとアンバランスか?と思って
いるくらいだ)

今回はこのあたりまでで、次回シリーズ記事に続く。

ミラーレス・マニアックス(43)

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さて、毎度おなじみの、安価なミラーレス中古機に様々な
マニアックなレンズを装着して楽しむというシリーズ。

今回第43回目は、まずこのシステムから。

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カメラは、SONY NEX-7
レンズは、コシナ・ツァイス プラナー 85mm/f1.4 ZF

本レンズは、銀塩時代の京セラ・コンタックス製の
超人気レンズ、プラナー 85mm/f1.4(1975年のRTSと同時発売、
以下、区別の為、RTS PLANAR 85/1.4と呼ぶ)のリメイク版である。
レンズ構成はいずれも5群6枚、最短撮影距離も1m、と同じ、
勿論両者MFであり、これは同一レンズと思われる

2005年頃に、京セラ・コンタックスがカメラ事業から撤退
してしまった後、独ツァイスと提携したのは、コシナ社であった。
その後、コシナは2000年代後半に本レンズを含め、何本かの
ツァイスブランドのレンズを、一眼レフ用マウントで発売開始、
一部は新設計であるが、中には本レンズのように京セラ時代と
内容が同じものもある。

10年近くに渡り、コシナ・ツァイスの一眼用レンズラインナップ
には大きな変化が無かったが、近年、最新設計で超高性能、
しかし超高価なプレミアムレンズ群「OTUS」シリーズ、および、
デジタル時代に合わせて再設計した高級レンズ群「MILVUS」
シリーズを相次いで発売開始、その結果、従来のツァイス一眼用
レンズ群は「Classic」という位置づけでラインナップされている。
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本レンズは、中身は言わずと知れた「プラナー85mm/f1.4」
である。

余談だが、ツァイス・レンズは、1.4/85のように絞り値を先に
書くのがメーカー側の慣習であるが、本ブログでは、ツァイスだけ
特別視する事はなく、他のレンズと同様に焦点距離を先に書いている。

そもそも、何故そうした逆の書き方をしているかといえば、
今からさかのぼる事80年前、1930年代の、ツァイス・イコンによる
レンジファインダーCONTAXの発売時に、ライバルのライカへの
対抗心からか?CONTAXでは、絞りの回転方向や、ピントリングの
回転方向、レンズの装着方法、等、様々な点において、ライカとは
逆に設計されていた。
恐らくは、レンズ焦点距離と絞り値の表記方法もそれと同類なの
であろう。

その流れは現代まで脈々と続いていて、CONTAXのレンジ機を
参考にしてSシリーズを作ったNIKONは、さらにそれをベースに
ニコンFを開発したため、その後、現代に至るまで、他社のレンズや
カメラとは、レンズ装着方向、絞り回転方向、ピントリング回転方向、
露出計のプラスマイナスの向き、等の様々な点が逆となっている。

これはニコンと他社カメラを併用する際に不便極まりない。

なお、その原因を作ったCONTAXでは、現代の(コシナ製の)
ツァイス・レンズ群においては、対応マウント毎に、ピントリング
の回転方向が異なるという処置を行っている、これは一見、
ユーザー利便性が高いように思えるが、そもそもの原因を考える
と、まあ一種の「贖罪」と言っても良いのかも知れないが・・

余談が長くなった(汗) プラナー 85/1.4の写りであるが、
本レンズは銀塩時代には「神格化」されていたレンズであるが
同時に中古の玉数も極めて多かった、その理由は、本レンズには
いくつかの弱点が存在し、それを回避する使いこなしは、銀塩時代
には極めて困難であったし、高価でもあったので、撮影技術を
伴わない、お金持ちのユーザーが多数購入するけど使いこなせず、
そうしたユーザー層が多数本レンズを手離して、中古市場に
溢れていた訳である。
c0032138_20181993.jpg

その弱点とは、これもマニアの間では極めて有名な話であるが、
「ボケ質の破綻」および「ピントの不安定さ」の2点である。

で、これらは銀塩時代では、例え撮影技術が高くとも回避が
難しい事であった。「ボケ質の破綻」とは、本シリーズ記事では
毎回のように書いている事なので、その説明は割愛しよう。
けど、そもそもマニア間では「プラナーボケ」と呼ばれるもので
あり「ボケ質破綻の元祖(?)」のような立場のレンズである。

ボケ質破綻の回避方法は一眼レフ(銀塩・デジタル)での光学
ファインダーでは困難で、ミラーレス機の高精細EVFを見ながら、
背景撮影条件を微妙に変えていくしか方法が無い。

「ピントの不安定さ」は、まず、85mm/f1.4という被写界深度が
極めて浅いレンズでは、銀塩・デジタルのMF/AF一眼、あるいは
ミラーレス機におけるMF/AF + EVF ,拡大、ピーキングなどの、
あらゆる手段をとってもピント精度を高める事は難しい事と、
加えて、いわゆる「焦点移動」が出る事が問題である。

「焦点移動」とは、絞り位置によりピント位置(距離)が
変動するレンズ設計上の特性(欠点)であり、一眼レフの場合
開放測光・開放測距であるから、絞りは撮影直前に絞られる為、
そこでピント位置(距離)がずれてしまう。
しかし、ミラーレス機でアダプターで本レンズを使用する場合は
絞込み測光・絞込み測距の為、「焦点移動」の問題は発生しない。

なので、これらの問題が起きないミラーレス機で、かつ、
EVFおよびピーキングが高精度かつ拡大操作系が良いカメラ、
例えば、本NEX-7やPANASONIC GX7等が、PLANAR
85mm/f1.4を使うには適したボディであるという事になる。
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さて、しかし、いくら「神格化」された、プラナー85/1.4と
言っても、それはもう40年以上も前の話だ、本レンズは
すでに半世紀近くも前の設計の、「オールドレンズ」な訳だ。
(高価すぎるので)まだ購入していないが「OTUS」や「MILVUS」
といった、最新ツァイスに比べ物にもならない事は確かであろう。

なので、あまり本レンズに過剰な期待をかけても意味が無く、
また、「絞り値2.5~2.8程度でポートレートを撮る」といった
銀塩時代の”定番の使い方”に拘る必要も、現代においては
全く無い、普通のレンズとして好きなように使えば良いと思う。

冒頭のメジロや上のサギの写真では、NEX-7のデジタルズーム
機能を使用している、デジタルズームを過剰にかけると
画質の劣化がはなはだしい、だからこの機能は使わない人が殆ど
だと思うし、ましてや銀塩時代に「高性能」と謳われたプラナーだ、
銀塩時代は「保護フィルターを1枚つけただけても画質が悪くなる」
と言って、頑なに本レンズをあがめていた人も多かったのだが、
同様に「高性能なプラナー85/1.4にデジタルズームなど勿体無い」
と思うユーザーも多い事であろう。

しかし、ちょっと待った・・
「高性能レンズだからこそ、デジタルズームでの劣化を最小限に
留められる」とも考える事もできる、さらに言えば、そもそも、
40年以上も前の設計なので、現代においても高性能であるとは
言い切れない、だから、私としてはプラナーだからと言って
特別視する訳ではなく、普通のレンズとしてガンガン使って
やるのが良いと思っている。
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本レンズは、2006年の発売直後に新品購入、
価格はかなり高目の、10万1000円であった。

実は、京セラ・コンタックス版のRTS PLANAR 85/1.4は、
1990年代に所有してRTS等に装着して使っていたのだが、
正直、歩留まりが悪く(36枚撮りフィルムで1~2枚くらいしか
ちゃんとしたカットが撮れない)ので辟易していて、これを
下取りして より安定性が高く高性能な、PLANAR 100mm/f2
(第32回記事参照)に買い換えてしまっていたのだった。

しかし、手離したRTS P85/1.4の、バッチリ決まった時の
描写力が忘れがたく、そのRTS版は、2000年代半ばでは、
京セラがカメラ事業から撤退した事等から、4万円前後の安価な
中古相場で販売されていたので、「もう一度買いなおすか?」
と考えていたところに、本レンズが発表され
「よし、買うならこっちだ!」と、思わず中身を確かめもせずに
予約してしまったのだ。

なにせ、その間の2000年代前半に発売されて、私も購入した
N PLANAR 85mm/f1.4 (第13回記事)は、RTS版の欠点を
緩和した優秀なレンズであったので、それよりさらに新しい コシナ製
新PLANAR 85/1.4は「もっと優秀なレンズだろう」と、かなり期待
したのであった。

だが、喜び勇んで購入して、写してみてがっかり
「なんだ、RTS版と同じじゃあないか・・」と。

「これだったら、4万円でRTS版の中古を買えば良かったよ」
とも思ったが、でも、レンズの作りはRTS版よりもはるかに良く、
高級感があったので、「まあ良しとするか・・」という結論で、
現代に至るまでたまに使用して楽しんでいる次第だ。

RTS版より大柄(フィルター径72mmΦ,重量570g、ZF2,
ZE版はさらに大柄)になっているが、NEX-7との組み合わせは、
重量バランス的にも、優秀なNEX-7のMF操作系においても
悪くない。

なお、本レンズは初期型のニコンマウント版(ZF)であり、
CPU非内蔵型なので、ニコン製デジタル一眼では高級機で無いと
露出計が動作しない。(ZF2型であれば動作する)しかしながら、
アダプターで使う上では、CPU非内蔵であっても何ら問題は無い。

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次は、このシステム。
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カメラは GXR 、カメラの基本操作系は悪くないのだが、
現在においては、他のカメラと比べて性能的老朽化が厳しい
(AF精度悪い、MFは絶望的、最高ISO感度低い、エフェクト無し、
AWB不安定等)ので、早く使い潰してしまうのが良いシステムだ。

レンズ(ユニット)は、S10 24-70mm(相当)/f2.5-4.4
これは、1/1.7型CCDであり、GR Digital Ⅲ~Ⅳ型と同等、
手ブレ補正内蔵、最短撮影距離は1cmと、2000年代後半の
カメラスペックとしては上々である。
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既に第1回、第19回記事でも本ユニットは紹介しているが、
基本的にユニットの描写力は悪くない、レンズが画像処理エンジン
と直結しているメリットで、各収差も良く補正されている模様だ。
できるだけ沢山使って、早く減価償却してしまおう。
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収差の件だが、GXR には、マウントA12 というライカMマウント
のユニットがあって、これには、周辺光量、色・歪曲収差などの
補正機能がついていて発売当時は非常に魅力的であった。

その後、2010年代前半には、SONY やFUJIFILMのミラーレス
機にも同様な収差補正機能が搭載されているのだが、純正レンズや
純正アダプターを使用しないとその機能が使えないため、すべての
レンズに汎用的にその補正が出来る訳ではない。

GXRシステムは発売後しばらくは、どのユニットも非常に高価
であり、十分に中古価格が下がるのを待って2015年の購入に
なったのだが、購入時に、Mount A12 も、検討対象に入っていた。

しかし、GXRを実際に使ってみて、MF操作系は、ピーキングの精度、
背面モニター、EVF(別売)の解像度、表示拡大操作系の悪さ、など
から考えると、MFレンズを使うのはピント合わせが絶望的、と判断、
そして、レンジ機用レンズの最短撮影距離の長さ、などを総合的に
考え、実用的では無いと判断、購入を保留している。

もし、Mount A12が、EOS(EF)などの、マウント径が大きく、
フランジバックが短い、すなわち、多くのマウントアダプターを
流用できる汎用的なマウントであったら、迷わず買ってしまった
かも知れない、まあでも、ライカMマウントに一眼用レンズを
装着する各種アダプターも存在しているので、いずれ機会が
あれば買ってしまいそうな気もするが・・
c0032138_20274339.jpg

GXRシステムの最大の課題は、AF/MFのピント精度である、
A12 28mmや 50mmは、描写力は非常に優秀だが、それは
ピントが合った時の話で、実際の所は、ことごとく外してしまう。
S10 24-70mmの場合は、マクロは比較的合うが、中遠距離が
厳しい場合がある、絞り込んで被写界深度を深くしても
あまり改善されず、ピント合わせ全般が不満だ。

絞りと言えば、今回S10を使っていて、ボディ本体の前ダイヤル
(絞り値調整用に使っている)が不調になった。
本来 f2.5、2.8,3.5・・のように順番に変化するのが当然なの
だが、f2.5の次がf5になったり、さらに廻すとまた値が戻って
しまったりする(汗)これは内部のロータリーエンコーダー部品の
不良(接触不良または老朽化)だ。

過去にも、いくつかのカメラで同様な不調に陥った事があり、
昔のカメラは銀塩一眼もデジタル一眼も高価であったので、
修理に出したのだが、GXRユニットの現在の中古価格は1万円
程であり、修理に出すと下手すると中古価格よりも高くなる。

今回は、接点復活剤 CRC 2-26を注入、見事に復活した。
私は、CRCは、他に最も一般的な 5-56 および、浸透力の高い
5-56DXの計3種類を使っている、2-26は電気接点に強い仕様だ。

ただ、こういう応急修理は、注入量、注入の場所、注入後に
浸透させるための動かし方、などを適当にやると症状が悪化
したり、最悪はカメラを壊してしまうリクスもある為、簡単に
誰にでも推奨する事は出来ない。まあ、GXRの場合は肝心の
CCD関連部品が本体側には無い為、その点安全だと思った事と、
最悪壊れても、中古を買いなおせば良い、という判断であった。

それに、CRCでの修理は慣れている。カメラはもとより、家電に
いたるまで「まず応急修理は、CRC」という感じで長期にわたり
愛用しているので、かなりの経験があるのだ。壊しても良い
リスクとの引き換えは毎度の事だが、高い確率で応急修理は
成功している。
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マクロはさすがに強い、ボケ質は、初代GR Digitalと似て
いて独特だが、悪いボケ質では無いので気に入っている。

本ユニットは、GXRとのセットで2015年に購入、計2万円程度で
あったが、現在はさらに相場は下落傾向、ボディとユニットを
各々単品で買えば、さらに数千円価格を下げる事ができると思う。

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次いで、このシステム。
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カメラは、LMUMIX DMC-G5 、特定のレンズの専用機および、
MFやデジタルズームの操作系に優れるため、望遠オールドレンズ
のアダプター母艦として使用している、基本性能は高く、中古価格も
1万円台後半と安価で、コスパが極めて高い。

レンズは、XR リケノン 200mm/f4である。
1970年代後半~1990年代前半の、リコー 銀塩MF一眼レフ
XRシリーズ用のMFレンズで、PENTAX Kマウントとほぼ互換、
ミラーレス機に装着する場合は、Kマウントアダプターで全く
問題なく使用可能である。

レンズ構成は 5群5枚、最短撮影距離は2mである。
(注:一部の資料では、最短2.5mと記載されている模様だが、
本レンズは間違いなく最短2mである、後期型なのかも知れない)
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早速デジタルズームを使用、そもそもマイクロフォーサーズ機
であるので、本レンズは400mm相当の画角となり、さらに
G5の前部ファンクションレバーに2倍までのデジタルズームを
アサインしているので、800mm相当までは、レバー操作1つで
即時連続画角操作が可能、加えてデジタルテレコンをで倍
または4倍に出来る(これもFnキーにアサインしておくと便利)

ただし合計倍数が4倍を超えたあたりから急速に画質は劣化し、
加えて、G5には手ブレ補正機能が無いので、1500mm相当を
超えたあたりから、ブレ量が甚だしく、フレーミングすら、
ままならない状態になる、しかし勿論三脚を使うと、こうした
出会い頭の被写体が撮れず、撮影機会を大幅に制限してしまう
為、三脚は使用しないスタイルである。
c0032138_20323785.jpg

この手のオールド望遠レンズは遠距離被写体で被写界深度を
あまり意識しない(つまり平面的被写体)の場合は、さほど
悪く無い描写をするのだが、背景をボカす場合など、例の
ボケ質破綻が出やすいのが弱点だ。背景条件などの撮影アングル
を変えたくない場合は、絞り値でボケ質をコントロールするしか
方法がないが、本レンズでは実質的に f4,f5.6,f8の3つの絞り値
しか使えない、f11まで絞ると、そもそも背景をボカしたいという
意図に反してしまう。この3つの絞り値でボケ質破綻が回避できる
組み合わせがあれば良いが、そうでなければ、その構図自体を
諦めるか、ボケ質破綻を受け入れるかどちらかだ。

この点、f2.8,f2などの大口径望遠レンズでは、ボケ量の増加と
ともに、ボケ質破綻回避の選択肢も増える為、作画表現上では
望ましいが、その代わりレンズが大きく重く高価になってしまう。
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G5の144万ドットEVFはピントの山を掴むには、後継EVFよりも
適しているが、ボケ質はわかりにくいので要注意だ。

後継EVF、例えば236万ドット、276万ドットではその逆だが、
ピーキング機能が搭載されている場合が多く、その精度が
優秀なカメラであれば、236万、276万のEVFの方が、僅かに
使いやすいであろう。
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またしてもデジタルズーム、望遠撮影時には非常に便利な機能で
あるが、画質劣化(輪郭がパキパキになったり、色が滲んだり)
するのでちょっと惜しい、まあ、それでも、2000年代前半の
コンパクトデジタル機のデジタルズーム機能に比べれば
ずいぶんと進化しているので、あまり倍率を上げなければ
実用範囲であると思う。

本レンズの購入価格だが、2000年代に7000円であった。
現代では玉数が少なく、入手性が悪いレンズではあるが、
200mm/f4級のMF望遠レンズはマウントに拘らなければ
多数中古市場にあり、どれも基本的には大差無い性能であり
(=悪くは無い)しかも数千円程度と非常に安価である。
このクラスの望遠を買うとすれば、例えば第36回記事で紹介した、
ミノルタMD 200mm/f4あたりが、入手性も良く、安価で性能も
十分なので適していると思う。

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次は、今回ラストのシステム。
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カメラが LUMIX DMC-G1、優れた操作系を持つベーシックな
マイクロフォーサーズ初号機であり、コスパは極めて高い。

レンズは、OLYMPUS OM-SYSTEM 50mm/f1.4である。

1970年代~1990年代に発売されていた、OMシリーズMF一眼
レフ用のMFレンズだ、発売期間が長いが、本レンズは1970年代の
ものと思われる。
大口径の割りに小型コンパクトであり、フィルター径は49mmΦ
である。ちなみにOMシズテムでは小口径レンズの殆どが
49mmΦ、大口径レンズの多くが55mmΦにフィルター径が
統一されていたが、本レンズは小口径タイプのフィルター径に
収まっている。
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オリンパスOMの標準レンズには、50/1.2.50/1.4 ,50/1.8の
3本が存在するが、55mm/f1.2というレンズもあり、こちらは
この当時(1970年代前後)では、大口径標準は技術的に50mm
では作りにくく、55~58mm程度の焦点距離になってしまって
いたものであり、つまり古い型であるという事だ。

第26回記事で、OM50/1.8を紹介しているが、そのレンズは
ジャンク品を購入したもので、残念ながらカビが発生し、
本来の性能を発揮する事が出来ていなかった。

本OM50/1.4は、古い時期のものだが、幸い保管状態は問題
なく、カビの発生などは無い。
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写りはごく普通であり、例えば第32回記事で紹介した
ミノルタ New MD50/1.4 と大差は無い、両者のレンズ構成は
いずれも 6群7枚(変形ダブルガウス)であり、フィルター径
も同じ49mmΦと小型だ。

他にMFの50mm/f1.4というと、
第12回記事のキヤノンFD50/1.4
第22回記事のPLANAR 50/1.4、
第25回記事のヤシカ ML50/1.4、
を紹介済みだが、このあたりも全て6群7枚のレンズ構成だ。
(50mm/f1.4でも、たまに5群7枚とかのレンズがある)
しかし、フィルター径は、ヤシカが52mmΦ、キヤノンFDと
CONTAX PLANAR が55mmΦであり、レンズも大柄となっている。

まあつまり、各社多少の差はあったとしても、50mm/f1.4級の
標準レンズは、概ね1970年代頃に完成の域に達しており、
いずれも比較的良く写るという事だ。

まあでも、良くこのシリーズで書いているように、50mmの
MF標準レンズを買うならば、f1.7~f2級の小口径標準の方が
さらに良く写る場合もあり、大口径だから良いという訳でも無い。
小口径標準の方が、小さく、軽く、安価で、おまけに良く写る
となったら大口径標準の存在意義は何か?という事になるが、
半絞り~1絞り明るい事で、暗所の撮影での有利さ、さらに
ボケ量の大きさが優位点として上げられる。

まあ、MF銀塩時代、大・小口径の標準レンズには勿論価格差が
あったので、メーカーによっては、小口径版の方の最短撮影
距離を、あえて50~60cmに抑えて差別化していた状況もあった。

つまり、開放f値と最短撮影距離の差により、小口径版では
大口径版ほど背景をボカす事はできない、「だから値段の差が
あるんだよ」という理屈であろう。でも、今にして思うと
少々セコイ考え方だ、そんなところで差別化する必要は無いと
思うが・・

ちなみに、大口径f1.4版の最短は、ほぼ全てが45cmである。
まあ、その時代、50/1.4は、各社の代表的レンズであったので、
スペック競争で負けるわけには行かなかったのであろう。
c0032138_2039276.jpg

本レンズは、1990年代に11000円で購入したもので、程度が
若干悪かったからか、第一次中古カメラブームの当時としては、
相場的に安価であったと思う。
現代における中古相場も、ほぼ同様の1万円強くらいだと思う。

レンズの玉数(中古の数)だが、微妙に少なくなってきている。
近年では、例えば大阪の中古店などでは、売れない(売り難い)
MFレンズをあまり扱っておらず、ニコンやコンタックスの人気
ブランドや、マニアックなレアモノが中心となっている。
つまり、オリンパスOM、ミノルタMD,キヤノンFDなどのMFレンズ
の玉数が減っているという事だ。

その代わり、ニコンやコンタックスのMFレンズの中古相場は
以前よりずいぶんと上がっている。一部は、なかなか手が出せない
価格になってきており、例えば、コンタックスPLANAR 50/1.4が
3万数千円(!)とか、そんな感じだ。(以前は2万円を切っていた、
また、小口径のPLANAR 50/1.7ですら、27000円もしている!)
 
前述のように中身のレンズ構成は、他社大口径標準もほぼ全て
同じだ、コンタックスと書いてあるだけで他社と中古価格が
3倍も違うのはいかがなものだろうか?
まあつまり、高くても買う人がいるから相場は上がるという
事であり、良い意味でも悪い意味でも、ブランドの「付加価値」
があるから世の中の経済は廻っているという訳だろう。

高く買ったことで、当然ユーザーは、良く写ると思い込んで
しまう訳であり、結果、顧客満足度は高くなるだろうが、
その反面、絶対的な価値判断感覚はなかなか身につかない。

メーカー名(ブランド)にとらわれず、このレンズの性能で
あれば、いくらくらいが妥当、という判断が出来てくれば
よりオールド・レンズ遊びは楽しくなってくるのだが・・

まあでも、わかっている人は、ブランド神話にとらわれず、
安くて良いものを買えば良い、ブランド品の相場が上がれば
他社同等品の相場は下がる、というのが一般的な傾向だ。

本シリーズ記事では、コスパという概念を強く打ち出している、
いくら良く写るレンズでも、価格が絶対的判断基準よりも
高価であれば、そのレンズはダメレンズとして評価される。

---
さて、余談が長くなったが、オリンパスOM標準は、他に
55mm/f1.2も所有しているので、いずれ紹介してみよう。
でも、これらのOM標準の中では、50/1.8が最もコスパが高い
レンズ(写りも良い)だとは思うが・・ けど、現状の
カビレンズではしかたが無いので、余裕があれば50/1.8は、
再(々)購入してみるとしようか・・

さて、今回はこのあたりまでで、次回シリーズ記事に続く。

ミラーレス・マニアックス(44)

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安価な中古ミラーレス機にマニアックなレンズを装着し、
コスパの良いアダプター遊びを楽しむシリーズ、第44弾。

今回は、まず、このシステム、

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カメラは LUMIX DMC-GX7
後継機が発売されて、中古相場がこなれてきている。
基本性能は高いが、DMC-G5/G6と比較すると操作系に
若干の問題を抱えている。が、まあ悪いカメラでは無い。

レンズは、YASHICA ML135mm/f2.8

ヤシカが京セラ・コンタックスの傘下にあった時代、1980年代
前後のMFレンズだ。マウントはY/C(ヤシカ・コンタックス)である。
このレンズは製造元の差(富岡光学やコシナ等)により
いくつかのバージョンがある模様だが、本レンズがどれにあたる
かは良く分からない。
まあ、出自はどうても良く、いずれにしても言えるのは、ヤシカML
レンズ群は、CONTAXブランドの下位ラインナップの位置づけながら、
価格の割りに良く写る、すなわちコスパが良いレンズが多いという
事だ。
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μ4/3機のGX7に装着すると270mm相当と、かなりの望遠画角
となり、散歩撮影では被写体の見つけ方が難しい。

ボケ質は標準的、可もなく不可も無しと言う感じだろうか。
ボケ質の破綻が少し出るが、まあ他のレンズと比較すれば出難い方
であるので、最短撮影距離の1.5mまでボケ量変化を比較的自在に
使える。最短はちょっと長めであるが、CONTAXブランドレンズとの
差別化を図っているかと思いきや、不思議な事に、CONTAXの
ゾナー135mm/f2.8の方が最短1.6mと長くなっている。
レンズ構成もどちらも4群5枚で同じ模様だし、だったらゾナー
では無く、ヤシカMLを買った方が安くて良いのではなかろうか?
まあでも、ゾナー135/2.8では、絞り込んで行くと、キリキリと
解像度もコントラストも上がっていく感じが楽しいが・・
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DMC-GX7には、優秀な(精度の高い)ピーキング機能が搭載
されている、高精細(276万ドットと、ミラーレス機最高クラス)
なEVFとあいまって、MFレンズのピント合わせはスムースだ。

PANASONICのμ4/3機のピーキング機能搭載は他社より
やや遅いくらいで、GシリーズではG6から、GXでは本機が最初だ。
(後発はある意味正解であろう、他社の初期ミラーレス機では、
ピーキング精度が低く、実用的で無いものが多かった)

で、それまでのG5等では、ピント合わせに拡大操作が必須に
近い状態であったので、操作系が優秀なGシリーズと言えども
動き物(動体被写体)には弱かった。まあつまり、ピント合わせが
間に合わないのだ。

ピーキングであれば、拡大操作を省略する事も出来、スピーディ
ではある。上写真のような飛行機は、頭上にカメラを向けて
飛行機を追いながらピント合わせをする、画角が狭いので
(注:デジタルテレコンを併用している=画質は悪い)被写体を
追いながらのMF操作は少々困難であるが、まあなんとか
ピーキングであれば追いつく。

ただし精度は、完全にアテにする訳には行かない、ピーキングで
合っていると表示される場合でも、実際には合っていない事も
多々ある。まあ、それは、ピントというものは本来ならば画像の
空間周波数であるのだが、それを検出するには画像処理が大変だ、
だからコントラスト差分方式で輪郭を明瞭化する画像処理方法を
使わざるを得ないのだが、それは厳密にはピントという概念とは
異なるからだ。
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またしてもデジタルテレコン併用。
G5/G6では、ファンクションレバーに連続可変デジタルズームを
アサイン出来るので極めて便利であるが、GX7ではそのレバーが無く、
シャッターボタン周囲のダイヤルは、アダプター使用時には何も
アサインできず、完全に遊んでしまう(このあたり、Gシリーズより
操作系が悪化している)結局、GX7のFnキーで簡便に使えるのは、
2倍、4倍の不連続なデジタルテレコンでしか無いのだ。

で、270mmの画角というのは、かなり遠くの被写体を探す目線に
なる、なので、どうしても遠くの小鳥とかに目が行きやすい。
しかし、遠距離の小鳥等では270mmでは足りず、結局、テレコン
併用で540mmまたは1080mm画角での撮影になってしまうのだ。

GX7には手ブレ補正機能が内蔵されているが(PANAのGシリーズ
としては最初だ)アダプター使用時には、電源を入れるたびに
焦点距離を聞いてくる、これは少々うっとうしいし、おまけに、
例えば本レンズ本来の焦点距離の135mmに設定したとしよう、
そのままであれば手ブレ補正は良く効く、だが、テレコンを使うと、
恐らくだが、見かけ焦点距離が変わってしまい、手ブレ補正が
効かなくなるのだ、このため、テレコンの倍率に応じ、焦点距離を
変更しなければならない。この変更はメニューの奥深くにあるので、
テレコンを変更するたびに呼ぶのは不便だ、実質的にこの操作系は
NGであり、使い物にならない。
結局、面倒なので手ブレ補正はOFFにせざるを得ない。

まあ、昼間であれば、f2.8レンズは270mm画角であれば
シャッター速度不足による手ブレになる事はまず無い、1/250秒を
キープしておけば大丈夫だからだ。問題なのはテレコン使用時で、
1000mm超あたりになると、フレーミング自体がままならない程
になってくる、限界点は撮影者によっても異なると思うが、私の
場合は、およそ1500mmあたりだ、これを超えるともう手ブレ補正
があろうがなかろうが関係なく、ブレが大きすぎて手に負えない。

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余談が長くなったが、YASHICA ML135mm/f2.8の購入価格は、
2000年代に12000円であった。MFの135/2.8レンズの相場として
考えると、少々高かったかも知れない、他社製品であれば軽く
1万円は切るからだ。ただまあ、ヤシカMLは、マニアの間では
ある意味「神格化」されたブランドであるので、相場が多少
高いのもやむを得なかった。
現代では玉数が少なく、少々入手困難であろう。
仮にあっても「時価」になるかもしれないが、レンズ自体の性能
から考える適正相場は、8000円程度だと思う。

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次は、このシステム、
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カメラは、お馴染み NEX-7
レンズは、ミノルタ MC ROKKOR PG 50mm/f1.4である。

第32回記事では、同じミノルタのNew MD 50mm/f1.4を
紹介しているが、それと本レンズはちょっと異なる。

違いを述べると、フィルター径が、MCが55mm、New MDが
49mm(つまり、New MDはだいぶ小型化している)
レンズ構成は、MCが5群7枚、New MDが6群7枚
最短撮影距離は、MCが50cm、New MDが45cm
発売時期は、MCが1970年前後、New MDが1980年代である。

すなわち、今回紹介するMCの方が15年ほど古い型なのだが、
New MDは、少々無理して小型化している部分もあり、こちらの
旧型の描写を好むマニアも多い。

ちなみに、PGという名称の意味だが、前のPは、ラテン語の
ペンタであるから5、後のGは、7番目のアルファベット、
すなわちレンズ構成が、5群7枚という事を表している。
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ボケ質は悪くない、今回は、ND4つまり減光1/4のフィルターを
装着しているので、昼間でも絞りを大きく開ける事ができる。
(注:NEX-7を最低ISOの100に設定しても、f1.4レンズでは
減光フィルターを使わない場合、昼間に開放にすると、NEXの
最高シャッター速度1/4000秒を、軽くオーバーしてしまう)

ただ、今回、あまり近接撮影はしておらず、大ボケはさせていない、
まずは、ちょっとボケ質破綻が出そうなのが気になったからだ。
いつも書いているように、ボケ質が破綻しても、回避の手段は
あるのだが、なんとなくMCレンズは、少し絞って中距離で使った
方が良いような直感がしていたのだ。
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けど、こういう中距離被写体では、どんなレンズを使ったと
してもたいてい同じような写りになってしまい、あまり面白みが
無いのは確かだ。けど、大口径だからと言って、なんでもかんでも
背景をボカせば良いという訳でもなく、そのあたりは、銀塩時代の
50mm標準レンズの撮影技法、つまり、絞りを開放から最小ま
で駆使し、望遠的にも広角的にも使える万能レンズとしての用途を
意図しても良いと思う。

そして、MF銀塩時代の50mm標準レンズは、どれを使っても
たいてい良く写る。私もほぼ全てのメーカーの50mm標準を買ったし、
ミノルタだけとってみても、小口径から大口径まで、多数の標準を
所有している。まあ「もしかすると別のレンズの方が良いかも」
という淡い期待があって買い続けていたのだが、確かにMC50/1.7
などは良く写るレンズであるが、あくまで微々たる差でしかなく、
大局的には、どれを選んでも問題ないという事になるであろう。
c0032138_1855946.jpg

本レンズの購入価格だが、1990年代に10000円であった。
その時代、X-700やXDなどのミノルタ銀塩MF一眼に装着して使って
いたのだが、New X-700セット販売の標準は、本来 New MDだ。
でも、新品のセットは高価なので、ボディとレンズを各々中古で
バラバラに購入するから、時代の異なる組み合わせが出来てしまう。

保有機材に多少の余裕が出てくると、MC50/1.4は、SRT-Super
で使うなど、時代を合わせてシステムとする、という拘りも出てくる
のだが、まあ、実用的にはあまり意味の無い事だ。

MDやMCレンズは、デジタル時代初期(2000年代)においては、
デジタル一眼用アダプターが「補正レンズ入り」で無いと作れず
使い難いレンズであったのだが、処分せずに所有しつづけていた所、
2010年代、ミラーレス時代となって、アダプターで自在に使用
できる状態になって助かった。コスパの良いこれらのMC/MDレンズ
が復活したのは、ミラーレス時代ならではで、喜ばしい事である。

本レンズは現代でも、玉数は多く無いが、まあ入手可能だ。
相場は程度によりけりだと思うが、ジャクン同然だったら2000円
程度から、程度が良くても1万円はしないと思う。オールドレンズを
使う上では、1本所有しておいても悪くないレンズだ。

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さて次は、こちらのシステム、
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カメラは、OLYMPUS E-PL2 、MF時の操作系に若干の弱点を
持つが、ピント合わせの問題を除けば特に問題が無く使える為、
通常はピント合わせの負担の少ない「トイレンズ母艦」としている。

しかし、今回は限界性能テストとして、28mmMFレンズを装着
してみよう。

そのレンズは、SIGMA Z 28mm/f2.8である。
このレンズに関する情報は少なく、出自は不明だ。
見た感じの雰囲気だが、1970年代のレンズだと思われる。
フォーカスは勿論MF、最短撮影距離は、40cmまで目盛りが
振ってあるが、そこから相当量余分にヘリコイドを廻す事ができ、
およそ30cm台前半だと思われる。

なお、これはこのレンズ個体の問題かも知れないが、
最短を超えて無理に廻すと、ピントリングが空回りする(汗)
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最初に結論を書いておくが、E-PL2でMFレンズのピント合わせ
は、例え広角レンズとは言え、無理がある事が分かった。

PEN Lite シリーズのE-PL2は EVFを持たなず、外付けEVFが
オプションで存在するが、それを買うくらいならば、それ以下の
値段で、EVF内蔵のミラーレス機の中古が買えてしまう。

ただ、E-PL2は、PENシリーズで最初に46万ドットの背面モニター
を採用した機種だ。ちなみに46万とは、480x320x3色という
スペックである。(それ以前のPENシリーズは23万ドット)
しかし、MFピント合わせを快適に行う為には、46万ドットでも
足らず、当然ながら拡大操作が必須となる(ピーキング機能は
この時代=2011年のPENシリーズではまだ搭載されていない)

だが、E-PL2の拡大操作系は、残念ながら優れていない。
まず、専用の拡大ボタンを押して、そのボタンとは違う位置に
ある十字ギーで拡大位置を変える、この段階では、EVF型の
ミラーレス機では、手探りでこれらのボタン位置を探す必要
があるのでNGなのだが、背面モニタータイプのE-PL2では、
ボタンの位置を目視できるので問題は無い。

で、拡大位置が決まったら、そこで本来ならば十字キーの
中央を押せば良いものの、また拡大ボタンまで指を戻して
実際の拡大表示に入る、ここがまず無駄な操作だ、最初から
拡大しておけば良いのではなかろうか?

そして、拡大モードのままでピントを合わせるのだが、残念
ながら46万ドットではクリアにピント位置がわからない。
(なお、近年のミラーレス機では、640x480x3色=92万ドットの
モデルが多い。その仕様でぎりぎりという感じだろうか)
c0032138_18573585.jpg

まあかろうじてピント位置が決まった、そこでシャッターボタン
を半押しすれば通常は、拡大解除されて、構図を確認できるが
E-PL2では、その方法では拡大解除されず、さらにもう1度
拡大ボタンを押す必要がある。何故シャッター半押しで解除
できないのだろうか? AFでは関連があるとしても、アダプター
ではMFに設定しているのだから、操作系プログラムをIF文で
分岐させれば良いだけの話だ。というか、レンズ接点から情報が
入ってこなければ、自動的にMFモードになれば良いのに、
E-PL2では、AFモードのままである。

という事で操作系に様々な矛盾と弱点があり、MFはたとえ
被写界深度の深い広角レンズであっても無理である事がわかった。
28mm広角でも、絞りを開放にすれば、上の写真のように背景を
ボカす事ができる、けど、こういう撮影がカメラの性能上、極めて
難しいのだ。

じゃあどうするか? こういう場合は銀塩時代の技法で、
28mmレンズは絞りをf8~f11に絞って、ピント位置を3mないし
2mにしておけばパンフォーカスとなり、ピント合わせが不要に
なる。そうでもしないとMFではピントが合わせられないのだ。

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カメラの余談が長くなったが、レンズの性能はどうか?
まず、解像度が低い、そしてボケ質が悪い。ボケの破綻が
出るので、その回避手段をとろうにも、46万ドットの背面
モニターでは、そもそもボケ質がまったくわからない。

さらに致命的な問題がある、逆光での酷いフレアとゴーストだ。
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「これでもか」というくらいに、盛大に出る(汗)
少々の逆光でも、画面は完全に白っぽくなるし、6角形の
(注:6枚絞り羽根という事だ)ゴーストが沢山出る。

まあ、多少のゴーストくらいであれば、作画表現に盛り込む事も
可能なのだが、ここまでフレアを伴って出ると、どうしようも無い。
SIGMAのレンズは、この後、1990年代くらいまでは逆光に弱い
のは、お約束であった、2000年代に入った頃から急速に良く
なってきたのであるが、古い時代のものはしかたが無い。

そう言えば、シニア世代以上の年代の人は、カメラマニアで無くても
記念撮影の時等に「こっちは逆光だから、そっちで撮ろうか?」
とか(今でも)良く言う事がある。
1960~1970年代にカメラが一般大衆にまで普及した際、
その逆光性能は酷いものであったのであろう、だから、こうした
「鉄則」が、一般レベルの人達にさえも知られていたのだと思う。

それ以降の世代の人では、逆光でもカメラはある程度写るように
なったから、若い世代の人で「こっちは逆光だから」などと言う
人は少ない。

で、まあ結局、このレンズは順光で撮るしか無いではないか・・
c0032138_1859258.jpg

疲れるレンズである・・(汗) 何故このレンズを買ったかと
言えば、1990年代に、行き付けのカメラ店で「珍しいのが入った
けど買う?」と言われて、レアものに惹かれて、思わず買って
しまったのだ。購入価格は6000円と、勿論高すぎたのだが、
それは現代の価値感覚だ、当時は第一次中古カメラブームで
どんなに安いレンズでも、10000円程度はしていた。

まあ性能からすると今時の価値感覚では、2000円という所で
あろうか・・勿論、レアものというだけで実用価値は全く無い。

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次は、今回ラストのシステム、
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カメラは、PENTAX K-01。何度もシリーズ記事で書いていて
重複するが、ピント合わせに致命的弱点を抱えるが、極めて
個性的な「孤高の迷機」である。

レンズは、PENTAX FA★85mm/f1.4
1990年代のAF大口径中望遠である。

K-01に装着可能なレンズとしては、究極に被写界深度の浅い
レンズであろう。本シリーズでは、K-01の限界性能を知る為に
あえて無茶なレンズとの組み合わせをトライして来たが、
本レンズが「ラスボス」という感じだと思う。
c0032138_19087.jpg

案の定、AFではピントが合わせにくい(汗)

数本並んでいるチューリンプの何処にどうピントを合わせる等の
細かい芸当はK-01では不可能だ。そもそも、この構図で、どれでも
良いからチューリップにピントが来るようにする事自体困難で、
K-01は、平然と背景にピントを合わせに行ってしまう(汗)
勿論、K-01にはEVFもなく、背面モニターでは前記E-PL2の
ごとく、MFピント合わせは不可能に近い状態だ。

85mm/f1.4を、開放かつ中距離より短いピント距離にすると
被写界深度は紙の様に薄く(浅く)なり、一眼レフでの
光学ファインダーはもとより、EVF、拡大操作、ピーキング
いずれの方法でも無理がある。MFに限らず、AFでもピントの
正確性に欠け、一眼タイプの位相差AFでは精度はあるが厳密な
測距点が得られず、ミラーレスタイプのコントラスト検出AFでは
どうやっても精度が足りない。
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---4416
河津桜の中に野鳥(ヒヨドリか?)を発見、しかし、何処にピントが
行くか、K-01の場合には全く分からない(汗)
鳥が逃げないうちに20枚ほと撮って、撮れているのは2~3枚
という状況。ちなみに連写は無駄だ、1枚目でピンボケして
いたら、残りも全部アウトだ。なので毎回毎回、1枚づつAFピント
合わせをトライしつづけなくてはならない。

「動きもの」「瞬間もの」は不可能と判断し、静止被写体を
狙ってみるとしよう。
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それでも合わない。
もうイヤになってきた、降参だ。まさか本レンズをf16とかまで
絞るのは意味が無いし、撮影技法的なピント問題回避手段は皆無だ。

こうしたややこしい(大口径とかの)レンズの中で、かろうじて
実用的だったのは、魚眼ズーム F17-28mm(第5回記事)と、
大口径超広角 SIGMA AF20mm/f1.8(第18回記事)、および
超音波モーターのDA★55mm/f1.4SDM(第37回記事)位しか
なかったように思う。

FA31/1.8(第11回記事)は、本来K-01にベストマッチングな
レンズなのだが、やはりAF精度がやや厳しい.。

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本来 FA★85/1.4は、銀塩時代の1990年代にポートレート用レンズ
として開発されたものだ。

だが、2000年代以降、デジタル時代からミラーレス時代に至るまで、
PENTAXのカメラは、APS-Cサイズ以下の撮像素子であったので、
(ごく最近、フルサイズのK-1が発売された)
85mmの焦点距離では長すぎて、ポートレート用には使いにくく
なってしまった。私は、デジタル時代のポートレート用には
(若干長めではあるが)FA77mm/f1.8をメインにしていたので、
FA★85/1.4の用途は、暗所での中距離撮影、すなわち舞台とか
ライブとか、そういう被写体に限定されるようになってしまった。

K-01では無理なので、以前舞台撮影でデジタル一眼で本レンズを
用いた時の写真を掲載してみよう。
c0032138_1922839.jpg

この時に使った一眼は、PENTAX K10Dである。2006年発売の
デジタル一眼であり、良く舞台やライブで使ったが、最高ISO感度が
1600迄と、当時としても、かなり控えめのスペックであったので、
少しでも明るいレンズを、ということでFA★85/1.4はかなり重宝した。

近年では、舞台やライブ撮影では、最高ISO51200のK-5をメインで
使っているので、開放f値の制約はあまりなくなった。FA77/1.8
でも、あるいはf2.8級の小口径レンズであっても全く問題は無い。

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FA★85/1.4の購入価格だが、1990年代末頃に43000円であった。

第37回記事でも書いたが、本レンズは2000年代初頭に生産中止
となり、その後じわじわと中古相場が上昇、ついには、発売時定価
の10万円弱を超え、現在では11万円以上というプレミアム相場と
なってしまった、これはどうにも納得が行かない話だ。

確かに良く写るレンズであるが、このレンズだけ特別という要素は
一切なく、85mm/f1.4は、どのメーカーのものも良く写る。

例えば(使い勝手が難しいが)CONTAX プラナー85/1.4(第43回
記事でコシナ版を紹介)とかであれば、2000年代初頭では4万円台
で購入できた。(だがCONTAX版は、現在では、じわじわと相場が
高騰している)

α用85/1.4(第34回記事でLimited版を紹介)は、初期型であれば、
2000年代初頭に最安29800円で購入できた。
(α85/1.4も、その後極端に相場が高騰、バージョンによるが
現在6万~10万円程度する。ミノルタの撤退直後には、組織的な
買占めがあって、最も高かった時期で18万円というケースもあった)

本来85mm/f1.4は、5万円程度以下で買えるのが適正であるべき
なのに、何故そこまで中古相場が上がってしまうのか?
例えば、買う人が、85mm./f1.4の性能に過剰な幻想を抱き、
高くとも買ってしまう(売れる)から、中古相場が上がって
しまうのではなかろうか?

ここで断言するが、85mm/f1.4は、どんな手段を使っても
まずピントが合わないレンズであるという事だ。
その歩留まり率(ピンボケにならない確率)は、良くて10%以下、
悪ければ3%程度であると思う。 

趣味の撮影で、たまたま撮れている写真があればOK、という
ケースであれば、沢山撮って偶然上手く撮れたものを選べば
良いのであるが、絶対に撮らないとならないケース(業務上の撮影
に限らず、失敗が許されない場合、撮影チャンスが一瞬の時等)
では、85/1.4は怖くて使う事が出来ないレンズだと思う。

どうしても、FA★85mm/f1.4風の描写性能が欲しければ、
相場が高騰しすぎている状態で無理して買う必要はなく、
同一設計者でデジタル向けにリファインされた、DA★55/1.4
(第37回記事で紹介)を買えば良いのではなかろうか?

こちらであれば、APS-C機で約83mm相当のポートレート
画角となるし、FA85の描写にも似ている。
中古価格は、私の購入時点(2015年)での42000円より、
現在はさらに相場が下落して、40000円を切る気配もある。
(相場下落の理由は、フルサイズK-1に目がいってしまった
ユーザーが多いという事なのだろう)

結局、私はFA★85/1.4もDA★55/1.4も4万円強で購入している、
これらのレンズの性能からの適正中古相場は、そのあたりだと思う。

消費者も、自身で価格と性能の適正な物差しを持つ事が非常に
大事だと思っている、それを持たないと、無駄な高い買い物を
してしまうという事になる。まあ、それは自身の責任ではあるが、
結局、それにつられて、他のレンズも中古相場が上がって
しまうのだ(具体的には2016年現在では、ライカマウントレンズ、
ニコンFマウントレンズ、コンタックスMFレンズ、コンタックス
Gマウントレンズ、オリンパスPENマウント、海外製レアレンズ
等がそれだ)

そうした高騰レンズを、普通の理由(例えば、壊れたから
買いなおす等)で必要としているユーザーが困ってしまう。

中古市場は、お金持ちの好事家だけのものでは無いし、ましてや
転売(投機)目的というのもある模様で、困ったものだ。 
結局、高すぎてもレンズを買ってしまう人が居るから、他の人が
迷惑をこうむる、という事になる訳だ。
高ければ買わなければ良い、誰も買わなければ相場は下がるのだ。

さて、まだ書きたい事はあるが、もう記事文字数が限界だ、
次回記事に続く。

ミラーレス・マニアックス(45)

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安価な中古ミラーレス機とマニアックなレンズで、
コスパの良いアダプター遊びを楽しむシリーズ第45回目。

今回は、まず、このシステムから。

c0032138_20204358.jpg

カメラは、LUMIX DMC-G5 基本性能・操作系等のバランス
に優れ、かつ安価(中古で1万円台後半)でコスパが良い。

レンズは、PANASONIC G20mm/f1.7Ⅱ(H-020A)
2013年発売の比較的新しいレンズであるが、旧型が、
DMC-GF1と同じ時期の2009年に発売されていて、
評判の良いレンズであった。

Ⅱ型は、旧型に比べデザインが少し洗練されており、
少しだが軽量化している、中身のレンズ構成は同じである。
現在の中古相場は、旧型が2万円前後、Ⅱ型が25000円前後
と、数千円の差がついている。レンズ自体の性能からすれば
旧型でも十分なのであるが、デザインの良さを考慮し、新型を
選択した。

f1.7の大口径を活かし、かつ、ベース感度がISO 160と
やや高目のDMC-G5で使う為、ND2(減光1段)のフィルター
を装着している。
c0032138_20223012.jpg

最短撮影距離は20cmと、焦点距離の10倍ルールからすると、
普通のスペックである。

類似の仕様の一眼用レンズで、SIGMA AF20mm/f1.8が
存在するが(第18回記事)そのレンズは、フルサイズ用なので
極めてサイズが大きく、フィルター径にいたっては82mmΦ
もある(本レンズは46mmΦ)
それに比べて、本レンズの何とコンパクトな事!
イメージサークル、すなわち対応センサーのサイズが倍ほど
違うだけで、ここまでレンズの大きさに差が出てしまうのか、
と驚きを隠せないのだが、まあ、シンプルにμ4/3の恩恵、
という事に思っておこう。

マイクロフォーサーズ機装着時の換算画角は、40mm相当と
なり銀塩時代で言う準標準画角となる。
とは言え、元々が20mmと、銀塩で言えば超広角の部類で
あるから、計算上でも多大なボケ量は期待できない。
ボケ量を得るために、もう1歩寄りたくなったり、もう1段絞り
を開けたくなる事は当然なので、ND2フィルターを装着し、
できるだけ昼間でも絞りを開けられる(シャッター速度オーバー
になりにくい)ようにしている訳だ。

しかし、購入前に予想していた程、撮りやすいレンズでは無い
という事がわかってくる。

まず、被写体を探す目線の問題がある。
広角が必要な場合は(本シリーズ記事においては)
GXR+S10 24-70mm相当や、Q7+02 Zoomの 23-69mm
相当や、K-01+20mm での30mm相当とか、すなわち24mm
ないし28mmの画角が得られるシステムを用いている、これが
私には感覚的に使い易い。

対して、銀塩用の28mm広角をAPS-C機に装着した42mm
相当という画角は、どうも「調子が狂う」のである。
つまりレンズは銀塩時代から慣れ親しんだ28mmなのに、
28mmの目線で被写体を探して、いざカメラを向けると、
銀塩時代には,あまり馴染みのなかった40mm相当の画角と
なるからだ。
勿論それは28mmに限らず、他の焦点距離でもセンサーサイズ
の差で画角が変わる、それはもう十分慣れているはずなのにだ。
まあ、これは私の個人的問題なのかも?40mmの画角が、好みに
合っていないのかも知れない・・
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画角が好み(感覚)に合わないという事で、遠距離被写体
中心に変えてみよう。遠景であれば画角の違和感はあまり
関係ないし、いざとなれば、DMC-G5の長所である、直接連続
可変可能なデジタルズームを用いて画角を微調整しても良い。

だが、さらに画角以外の別の問題点が出てくる。

こういう明るい遠景被写体の場合は、ND2フィルターを装着して
かつ、DMC-G5を最低感度にしてあっても、絞り開放のf1.7は、
シャッター速度オーバーで使えず、多少(f4あたり迄)絞って
使う事になる。勿論G5は絞り優先モードで使っているが、
G20/1.7は絞り環の無いAFレンズなので、オールドMFレンズの
ように直接絞りを制御できず、ダイヤルを廻さなければならない。
(まあ、今時のカメラは殆ど全てそういう操作系だ)

そして、1ダイヤル方式のG5では、オールドレンズをアダプター
で使う場合は自動的にダイヤルが露出補正にアサインされる。
(注:これは単純だが素晴らしい発想だ、他社ミラーレス機では、
この機能が無く、絞り値変更用ダイヤルがアダプター使用時には
完全に遊んでしまっている場合が殆どだ)

だが、AFレンズを使う場合は、さしものG5の優れた操作系で
あっても、絞り用ダイヤルをワンプッシュして、露出補正
モードに切り替えなければならない。

これは悪い操作系では無い、ダイヤルに指を置いたまま全ての
操作が出来る訳であり、他社ミラーレス機のように、いちいち
露出補正用のボタンを手探りで探して、それを押してからまた
ダイヤル位置まで指を戻してそれを廻す、という無駄な操作が
不要なのだ。
けど、そうであっても「絞りと露出補正が同時に変更できない」
という問題が依然残っている。

上写真の遠景の塔、シャッター速度オーバーを避ける為、
絞りをf1.7→f4 に変更する、同時に、塔をどう表現するかに
よって露出補正をプラスまたはマイナスにする必要がある。

何故ならば背景の空が明るいから、塔は中途半端な明るさ
になる。
塔の明るさを標準的にするならばプラス補正(しかし、空は
トンでしまう)逆に空の風合いを残すならばマイナス補正だ。
(その代わり、塔はシルエット表現となる)
したがって、この状況では、絞り制御と露出補正設定が同時
に必要だ、これはG5の操作系であっても、ダイヤルを押して
絞りと露出補正とを切り替えつつ、各々の設定操作が必要
なので少々面倒だ。

普段のG5の使い方、すなわちアダプター+MFレンズか、
または、(G5を母艦としている)フォクトレンダー・ノクトンで
あれば、絞り環を左手で廻しながら右手で露出補正を操作できる。
何故同時にしたいかと言えば、カメラを向ける前に、その両者を
調整しなければならない事が予めわかっているから、できるだけ
そういう操作は、ちゃっちゃと済ませてしまいたいからだ。

すなわち、写真を撮る前にカメラの絞り値や露出設定を行うのは、
論理脳(左脳)の仕事であり、写真を撮る時には、感覚脳(右脳)
が動いている。それらを混在したくないので、スムースかつ
速やかにカメラ設定を終える必要がある、という事である。

さらに言えば、最高シャッター速度近辺では、露出補正を
マイナスにすると、それでまたシャッター速度オーバーになる、
なので、また絞りを少し絞らないとならないという面倒な操作が
必要となる。

で、やはり、ここではスムースにいかなかった(汗)
撮ろうとした時、絞りと露出補正の設定が同時に出来ない事に
気がつく。まあ1ダイヤル操作系カメラでは当たり前の話だが、
G5にAFレンズを装着するケースは極めて少ないので、逆に、
MFレンズでは当たり前に出来ることが出来ない事にイラっとする。

撮影直前だから、右脳にすでに切り替わっているのに、それを、
また左脳に戻して、チマチマと設定操作をやる気にはならない、
「ええい、面倒だからいいや!(輝度差を消す為に)擬似HDR
 モードにしてしまえ!」ということで、上の、あまり作画的には
意味の無いエフェクト使用の写真を撮る羽目になった訳だ・・

まだ問題はある。
絞りを開けて使える光線状況においても、今度はボケ量の不足を
感じてしまう。
c0032138_20313067.jpg

このような状態では、例えばノクトン25mm/f0.95等を使えば
画面左手前の部分だけにピントを当て、あとはス~っとボカして
立体感を得られる、けど、G20mm/f1.7ではこれ位迄だ。
元々広角なので、絶対的なボケ量が少なく、作画上で、よりボカ
したい時に、そのマージンが無い。

まあでも、これらの課題は、カメラやレンズの仕様上の話であり
G20/1.7の性能自体の問題点では無い。写りは評判どおりに良い
レンズだと思うし、総合的にも悪いレンズでは無い。
今度また別のボディで使ってみるとしよう。
c0032138_2032029.jpg

本レンズの中古購入価格は、2015年に23000円程、性能からの
価値はどうだろう・・? 17000円くらいが適切なような気もする。

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さて、次のシステム
c0032138_20322471.jpg

カメラがNEX-3 MF操作系に若干問題有りで、トイレンズ母艦
の他、AF広角を装着して使う事が殆どだが、今回はMFの広角
ズームを装着して、限界性能チェック(使えるかどうか)をしてみよう。

レンズは、COSINA 19-35mm/f3.5-4.5である。
銀塩MF一眼時代、高価であった超広角レンズの穴を埋める為に、
色々と発売されたサードパーティー製超広角レンズの中の1つだ。

超広角ズームとなっているので雰囲気的には使いやすそうだが、
実際はどうだろうか・・
c0032138_20332884.jpg

銀塩時代、このレンズをOMマウントで購入し、OM-2N等に装着
して使っていた時には、もっとフレアっぽく、描写力もたいした
事はないと思っていたが、意外にいけそうだ。
また、ズーム特有の各種収差は、周辺に関してはNEX-3が
APS-C機である事から、切り捨てられている。

近接撮影、およびその際のボケ質はどうか?
c0032138_20341510.jpg

ここで問題が・・ これ以上寄れないのだ。
最短撮影距離は、極めて長い50cmだ。

19-35mmの広角なので、10倍ルールからすると、
19cmまで寄れて欲しい、まあ、ズームではそこまでは難しい
ので、せめて望遠側の35mmの10倍で35cmまでは寄れて
欲しかった。これはかなり不満な性能だ。

まあ銀塩時代は、広角は絞ってパンフォーカスとし、中遠距離
の被写体を平面的に撮る、というのがセオリーであったので、
最短が50cmだろうが、はたまたレンジ機用の広角レンズで
70cm~1mであろうが、気にする人は殆ど居なかったように
思える。

しかし多種多様な撮影技法が必須となるミラーレス時代、
さすがに、この近接性能では使い物にはならない。

途中から、もうピントリングを最短の50cmにほぼ固定して
絞りも開放にしたまま、被写体を探していた。近接被写体を
見つけたら、あとは自分が前後してピントを合わせれば良い、
MFレンズでの、ごく基本的なテクニックだ。

ちなみに、冒頭の G20mm/f1.7 のような広角AFレンズで
近接撮影をしにくい理由の1つとして、最短を超えて踏み込んで
しまうとAFが迷って往復する、という問題があるからだ。
まあ、システムによっては、むやみに往復する事はなく撮れない
ままの状態で止まっている賢いAF機構もあるが、それにしても、
やはりAF近接は「最短を超えてしまったらどうしようもない」
という強迫観念があるので撮りにくい。
(AFとMFをシームレスに変えれるカメラやレンズもあるが
使える条件が色々ある)

で、COSINA 19-35/3.5-4.5 の場合は、MFであるから
勿論そういうAFの問題は関係なく、安心して近接撮影が出来る。

で、近接撮影の際は、最短が長く、暗いレンズなのでボケ量は
少ないが、意外にボケ質は悪くない。
c0032138_20363450.jpg

本レンズの購入価格だが、1990年代に9000円であった。

良く覚えていないが、もしかすると新品だったかもしれない。
なにせ、COSINAは1990年代当時、MFレンズをかなりの値引率
(何と定価の7~8割引!)で販売していた。下手をすると、その
定価に(中古店側が)惑わされて、中古価格の方が新品価格より
高かった事も良くあったくらいである。

本レンズは、まあ現代においては必要なレンズでは無いと思う。
かつて、こんなレンズもあった、という参考まで。

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さて、次のシステム
c0032138_20373479.jpg

カメラは PENTAX Q7 超小型のミラーレス機であるが、
小型化はメリットばかりではなく、センサーサイズ、操作系等
デメリットも多い。

そして、Qシステムの最大の問題はレンズ互換性の無さであり、
Q用のレンズを他のミラーレス機で使えない事が1つ、
それと、Qにアダプターをつけて一眼用等のレンズを使う事は
可能であるが、その際に、MFのピント合わせを補助する有効な
機能が何も無く、ピーキングは精度が全く足りていない。

で、まあ、実質的には純正のQシステム用AFレンズを使うしか
無いのだが、互換性が無いからと言って、出番が減って
しまうと、なかなか減価償却が出来ない、おまけに減価償却は、
持論のミラーレス機用のルールでは「1枚2円の法則」だが、
Qの場合、専用のレンズ群の価格をどう捉えたら良いものか? 

Qでしか使えないのであれば、レンズもちゃんと減価償却を
意識する必要があるだろう。
そもそも減価償却とは、使い切れない、使いこなせない、
高価なカメラを安易に買ってしまう事を、自分にも他人にも
戒めるルールだ。

で、買ってしまった以上はガンガン使い込んで(撮って)
元を取る事が必須だ。

本レンズ、Q用 02 Standard Zoomズームは特徴が無く、
面白みの無いレンズであるが、それでも、Qシステムでしか
使えない以上、沢山撮って元を取る必要がある。
c0032138_20391837.jpg

なお、私の場合は、ミラーレス機では、少なくとも減価償却
レベル(1枚あたり2円)を達成しない限り、同一マウントで、
次の新しいボディは買わないようにしている。

具体例として、本シリーズに登場する中古ミラーレス機の
現在の減価償却状況だが。

>μ4/3機
G1(赤)→0.8円/枚
G1(青)→0.4円/枚
GF1→1.3円/枚
E-PL2→0.9円/枚
G5→1.7円/枚
GX7→償却中(上記が全て償却済みなので買った)

>Eマウント機
NEX-3(1)→償却後、水没故障で廃棄
NEX-3(2)→0.7円/枚
NEX-5→譲渡
NEX-7→償却中(上記が全て償却済みなので買った)

>Kマウント機
K-01→2.0円/枚
>Xマウント機
X-E1→償却中
>GXRマウント機
GXR→償却中(レンズ代込みと考えると償却困難)
>Qマウント機
Q7→償却中(レンズ代込みと考えると償却困難)

と、現在償却中のボディの他は、全て「ミラーレス1枚2円の
法則」をクリアしている。だが、注釈のように、専用レンズ群を
伴うマウントでは、償却が難しいかも知れない。

例えば、GXRでは、本体と3つのレンズユニットで計7万円強を
投資しているが、ユニット群込みで1枚2円を達成する為には、
35000枚を撮影する必要がある。仕様的に老朽化したGXRで、
この枚数の撮影はなかなか難しい。

ちなみに、初代GR Digital(2005年発売)は、10年間以上
現役で撮影を続け、45000枚を達成したが、購入価格も当時で
75000円もしていたので、これでもやっと1枚2円弱だ。
2015年購入のGXRを、その調子で約10年、2025年まで
使うのは、とても無理であろう。

そうした場合、ルールを変えるべきか、ちょっと迷いどころだ。
c0032138_20442191.jpg

Qシステムでも同様。1本1本は安価であったので、知らぬ間に
殆どの専用レンズを集めてしまった(汗)おまけに、Cマウント
(産業用カメラ用)レンズまで買ってしまっているので、
トータルの投資価格は、そこそこ大きい、これもまた減価償却
困難であろう。 

思うに、やはりレンズは汎用性が高いマウントの方が望ましい。
本シリーズでは、古いレンズは、1990年代から使用している
ものが良く出てくるが、概ね20年である。各レンズを、どのカメラ
で何枚撮影したか、などはとうていカウント不可能であるが、
それぞれ、十分な数は撮っている事であろう。

近年では、最も多く撮影したレンズは、ノクトン25mm/f0.95で
数年間でおよそ2万5000枚以上は撮っている、けど、新品で
8万円以上もしたレンズであったので、これでもやっと1枚4円弱だ。

対極のレンズとしては、ドラゴンボートの撮影で良く使用する、
TAMRON 200-400/5.6は、20年近く、恐らく8万枚以上は
撮影していると思うが、元々2万円台の中古購入価格だったので、
こちらは1枚0.25円と完全に元が取れている。

商業撮影で、同じf2.8大口径ズームで、年間何万枚、何十万枚と
撮影するならば、元が高価でも、数年で減価償却できるだろう、
まあ、仕事撮影ならば、その結果として収入が伴うから、より
そのあたりはシビアに考える必要があるが、趣味撮影においては
本来、あまり減価償却など意識する必要は無い。好きな機材を
好きなように買えば良い訳だ、けど、それでは歯止めが効かない、
いわゆる「レンズ沼」に突入してしまう事を心理的にも防がない
とならない、だから「元を取るまで撮るという」ルールは必要だ。

結局、レンズの減価償却を、どう考えるかは微妙だが、まあ今の所
「レンズは将来に至るまでずっと使えるから、コストは考えない、
 ただし、コスパは強く意識する」という感じであろうか。
まあ、これで「レンズ沼」が止まるとは思えないが・・(汗)
c0032138_204655100.jpg

さて、余談ばかりで、Q7+ 02 Standard Zoomの話が
ちっとも出てこなかったのだが(汗) 本シリーズの初期の
記事(第2回、第3回、第5回)で、たびたび紹介してきたシステム
であるから、まあ、今回はレンズの詳細は割愛しておこう。

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さて、次は今回ラストのシステム。
c0032138_20472761.jpg

カメラはお馴染み NEX-7
レンズは、OLYMPUS E.ZUIKO AUTO-T 200mm/f4 である。

本レンズはレア品である。というのも、普通はこのスペックの
レンズは OM-SYSTEM 用であるのだが、本レンズは M42
マウント仕様となっているのだ。

オリンパスは、1970年代初頭に、FTLというM42マウントの
カメラを発売した事がある、その直後にOMシリーズが発売
された為、FTLは短命に終わったのだが、そのFTL用のレンズ
として、28mmから200mmまで、最小限のラインナップとして
6本のレンズが発売されていた、そのうちの最望遠のレンズが
このE.ZUIKO 200mm/f4となっている。

Eの名前のごとく、レンズ構成は5枚であろう。
しかし、現代においては本レンズの情報は極めて少なく、
より詳細な出自等は不明である。

実は、本レンズを持ち出すのはおよそ20年ぶりだ
(その理由は後述する)さて、実写・・・
c0032138_20483568.jpg

ほう、意外に良く写る、特に、シャープネスとコントラストの
バランスが良い。ただ、ボケ質がちょっと危ない、これは
絞りを使って破綻回避をするしか・・・ううむ、絞りが動かない!

絞りがちゃんと動く事は、レンズ単体では事前に確認できていた、
しかし、M42マウントアダプターに装着するだけで、この様子だ。

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さて、システムの紹介写真がなんだか、おどろおどろしい雰囲気
になっているのは、実は、本レンズは1990年代に、ちょっとした
事件があったからだ。

当時、カメラ好きの友人が居て、彼はオリンパスとコンタックス
の2つのシステムを重点的に収集していた。そこで、私はこの
オリンパス E.ZUIKO 200mm/f4を彼の元に持っていき、
「どう、オリンパスの珍しいレンズだけど、使ってみる?」
と言ったのであった。

彼は「M42マウントだね? じゃあ、アダプターがあるから、
CONTAX RTSⅢに付けてみよう」と、おもむろに嵌めこむ。

・・・そして、2度と外れなくなってしまった(汗)

RTSⅢだが、1990年の発売で、定価はなんと35万円!
当時最も高価な銀塩一眼レフであった。
これはヤバい、35万円のカメラに、こんなしょうもない(失礼!)
レンズが付けっぱなしとは・・

10分ほど2人で、レンズを外す算段を色々やってみたが、やはり
外れない、2人とも技術系なので冷静に状況を分析する。

匠「ほら、FUJIの ST-801なんかも、普通のM42規格ではなくて
  開放測光とか独自機能がついていて、他のM42のボディに
  つけるのは難しいでしょ? それと同じでは?」

友「これ、OLYMPUS FTL用のレンズだよね? 確かそれも開放
  測光だったので同じかも。普通のM42には無い爪とかが
  ついていて、それがひっかかっているのだろうなあ。
  でも、どうやって外す?」

匠「う~ん、カメラを分解するしか無いかも、でもRTSⅢ(汗)
  怖くて、とても自力で分解する気にはなれないよねぇ」

結局、相談した結果、修理代は折半するということで、メーカー
修理に出す事にした。まあ、2週間ほどで戻ってきて、事なきを
得たのだった。修理代は覚えていないが、1万円位だったか・・
c0032138_2052632.jpg

その後、このレンズは、付けたら外れなくなる「悪魔のレンズ」
として長らく使用する事はなかった。

銀塩・デジタル一眼用のM42アダプターは、フランジバックが
一眼マウントとほぼ同じ長さな為、外れなくなったら全く触れず、
どうしようも無い。
けど、ミラーレス時代のM42アダプターは、完全に独立した機構
となっているため、最悪レンズが外れなくても、またアダプターを
買えば何とかなる。本シリーズ記事で紹介する為に、恐る恐る
装着してみた訳だ。

で、その結果、やはり動きがなんだかおかしい、中でどうなって
いるかわからないが、絞り環が殆ど動かず、f4からf8くらいまで
絞った状態で頭打ちとなるし、無理に廻そうとするとレンズの
ねじ込みが廻ってしまう。
まあでも、外れる事は外れるみたいだ、ただ、絞りの自由度が
無いので「ボケ質破綻回避」などの高度な操作は出来ない。

----
しかし、まずまず良く写るレンズだ、第43回記事で紹介した
XRリケノン 200/4よりも上かも知れない。 

弱点は最短撮影距離が2.5mと長い事だ、何度か記事で書いて
いるように最短が2mを超えると感覚的にはずいぶんと遠く感じるし、
私個人的にも2~3m位の距離感覚が弱いようで、被写体を
見つけても、数十cmバックしないと最短に満たない場合が多い。

でも、今回は、そういう事もあろうかと、ヘリコイドアダプター
を用いている、最短が足りない場合、ヘリコイドを廻す事で
さらに近接撮影が可能な優れものだ。

けど、いくらでも寄れるようになる訳ではなく、感覚的には
1m台後半あたりで頭打ちだし、繰り出し量も非常に多く、
何度もヘリコイドを持ち替えて廻すのも大変だ、勿論繰り出した
状態では無限遠撮影は出来なくなるので、撮影後は速やかに
元の状態に戻しておかなければならない。

そのようにして近接撮影すると、こんな感じ。
c0032138_20541190.jpg

本レンズの購入価格だが、1990年代に9000円であった。
ただ、前述の RTSⅢ修理代負担分が5000円ほど追加される
とすれば合計14000円だ、高い買い物だった・・(汗)

勿論現代において必要なレンズでは無い、そしてもし買った
としても、下手をするとカメラから外れなくなる「悪魔のレンズ」
である。M42は、1970年代当時のユニバーサル・マウント
(汎用性を目指し、メーカー間の互換性を打ち出した)もので
あった筈なのに、実際にはここでも、一部のメーカーは「差別化」
の名目で、後年、メーカー独自の改良を施して、汎用性を失って
しまった訳だ。
つくづく、カメラ業界は、「協調」がなかなか成り立たない
世界だと思う。

まとめとしては、M42マウントのオールドレンズを購入する場合は
注意が必要という事だ。PENTAX製や海外製プリセット絞りレンズ
などは、まだ良いとしても、1970年代の、FUJICA STシリーズ用
M42開放測光(STマウント)やOLYMPUS FTLシリーズ用等の
M42開放測光レンズは、いずれも形状はM42マウントであっても、
装着互換性は無いと思った方が良い。
特に一眼レフには絶対にアダプターで装着しない事、ミラーレス機用
ですらも十分に注意をして装着する(最悪、外れなくなるリスクも覚悟)
という感じだと思う。

M42以外にも、ロシア製KIEV用マウントとニコンFマウント、
旧CONTAX Cマウントと、ロシア製Cマウント&ニコン製Sマウント
等の組み合わせも、マウント形状がそっくりでも、微妙に仕様が
異なるので、装着には十分に注意をする必要がある。

もう文字数が限界なので、次回記事に続く・・

【熱い季節2016】第4回宇治川・源平・龍舟祭(前編)

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さて、今年の「熱い季節」ドラゴンボート観戦記事の皮切りは、
京都府宇治市で行われる宇治川・源平・龍舟祭だ。

開催日は、2016年5月8日(日)
今年のゴールデンウィークは、平日は2日(月)と6日(金)
のみであり、これらを休みにして10連休という人も多かったと聞く。

まあ工場等では、こういう日程の場合には機械設備などを
無理に稼動しても生産効率が低下してしまうので、特に連休に
なりやすいとも聞いている。

その大型連休の最終日、天候は幸いにして晴れ、最高気温は
27℃くらいまであがり、絶好のドラゴン日和、というよりも
ちょっと暑い感じだ。

ドラゴン選手を初め、アスリートの人達が良く言うのは
「5月頃に暑くなると、まだ体の方が暑さに慣れていないため、
真夏に運動するよりも、むしろこの季節の方がしんどい」との事。

そしてアスリートで無くても、紫外線はこの時期でも意外に強く、
その対策を意識しないと、1日で、顔がピリピリになってしまう
くらいに日焼けする。

まあでも、天候が良すぎる、というのはさて置き、過去4回の
宇治川・源平・龍舟祭(以下、宇治大会と呼ぶ)で。雨に
見舞われた事は無い。雨男が居ないのか、晴れ男が居るのか、
そこらへんは不明だが、まあ、毎年5月上旬~中旬に大会が
行われるので季節的にも雨が降りにくいのであろう。
c0032138_19365885.jpg

さて、以前のドラゴン大会日程の記事で、この会場の宇治川は
洪水対策の為、河川工事を行っていた、と書いたが、その工事も
ほぼ終了した模様だ。

京都でも有数の観光地である宇治なので、風光明媚な景色や
平等院を始め、世界遺産にもなっている多くの寺社もある。
今の時期、国内各地から多くの修学旅行生が訪れてくる他
外国人観光客の姿も、ご多分に漏れず非常に多い。

私自身、宇治は良く訪れるが、もう有名観光地はたいてい
行き尽くしたのと、観光客が急増していて混雑すること等から、
近年では以前の記事に書いたような、大吉山ミニ登山とか、白川、
天ヶ瀬ダムや、紅葉の時期などでは、隠れ紅葉名所巡りとか、
一般観光客のあまり行かない、ちょっとマニアックなスポットを
廻るようにしている。

また、最近では、宇治周辺を舞台にした人気吹奏楽アニメ
「響け!ユーフォニアム」の、登場キャラをフィーチャーした
スタンプラリーが行われている。このスタンプラリーは
1回あたり宇治駅を中心とした3箇所のみ、と簡単なのだが、
都合4シーズンあって、異なる時期に4回それを繰り返さないと
コンプリートできないのだ(汗)
私も、すでに2回分をクリアしているので、最低あと2回は
宇治に行かないとならない(笑)

ちなみに、このアニメの舞台の「北宇治高校吹奏楽部」は
架空の高校だが、それのモデルになったと思われる高校が
あり、そのすぐ近くに住む知人が「ファンが良く訪ねてくる」
と言っていた。
私は「グッズでも作って、家の前で売れば儲かるかも」
と軽口を言っておいたが、「それ、いいかも」と知人は結構
乗り気であった(笑)
そのアニメはまだ全編は見ていないが、いずれレンタルとかで
借りてきて見るとしようか、なにせ、よく知った宇治の名所が
色々と作品中に出てくるので、とても面白そうだ。

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さて、本大会だが、宇治川で行われるのだが、本流は川幅は
広いが流れがキツく、ボートを出す事はできない。そこで、
塔の島と呼ばれる島を挟んだ派流の方を軽く塞き止めて
大会会場としている。この会場は普段は観光船などが
行き来しているが、大会の日はこれらの観光船は会場内では
運行せず、場所は貸切状態となる。

レースは10人漕ぎスモール艇で、200m戦、2艘建ての
マッチレースである。
まあ川幅から言えば、ぎりぎり3艘建ても出来るかも知れないが、
宇治のスモール艇の保有総数は4艇なので、3艘廻しは運営上
難しいであろう。

本大会は今年最初のドラゴン大会でもあり、参加チーム数が多く、
50チームともなっており、マッチレースなので、合計56レース
もある、終了予定時刻は、だいたい午後6時くらい、これは
なかなか遅い時間帯なので、10分間隔と速いスパンでレースを
スタートさせる必要があるが、まあ、そのあたりの運営は、
今回それにたずさわる、日本・大阪・京都の各ドラゴンボート協会
は慣れていて、お手のものだ。
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宇治川を少し掘り下げた模様で、その結果として塔の島の
護岸が崩れてしまわないように、新たに石垣を敷き詰めている。
ただ、これはちょうど座って観戦するのに都合が良い模様で、
選手達や一般観戦客などは、多くがこのようにして座って
レース観戦を楽しんでいる。
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宇治川の環境は、人間ばかりでなく、生物にとっても心地良い
のであろう、サギなどの野鳥をよく見かけるし、人間が近くに
来ても怖がらない。

これは恐らくであるが、観光客の食べ物などを狙っている
事もあるのだと思う、京都鴨川のトンビなどは、特にタチが
悪いので有名であり、観光客や、鴨川名物「等間隔カップル」の
お弁当やファーストフ-ド、スナック等を急降下して食べに来る。

それから、宇治川と言えば、毎年この時期に大量発生する
「トビケラ」がお馴染みだ。
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概ね宇治川には3種類の大きさの「トビケラ」が生息している模様、
人間に害を及ぼす事は無いが、沢山飛び回っていると、ちょっと
気持ち悪い。

宇治市では対策を立てている模様であるが、大量発生する
昆虫の駆除はなかなか容易では無いであろう。

まあ、宇治市内に限らず、宇治川流域での雑草の除去作業等は
随時行っている模様で、他にも色々何かやっているかもしれない。
そうした対策の効果か、毎年少しづつ減ってきているようにも
思える。今年は大会の間はほとんど気にならなかったが、夕方に
大会本部の後の地面に置いておいたカメラバッグを取りに行くと、
バッグに数十匹のトビゲラが止まっていて「ひえ~っ!」と驚いた。
まあ無害なので、手で払い落とせば問題は無いが、下手すると
家まで連れて帰る事になる(汗)
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さて、宇治大会と言えば「仮装推奨」の大会である、
まあ、上写真の、ドラゴン専業チーム「香里丘高校5期生」
のカツラの仮装はもう毎年定番化していておなじみだ。
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地元(市内の部)のチームのいくつかも、色々と工夫をした
仮装で観客の目を楽しませている。

そう、ここ宇治は観光地である為、当然観光客が非常に多い、
そこでドラゴン大会も、仮装やらできるだけ目立つような
状態を意識して作り出し、観光誘致に一役買ってもらうという
コンセプトがある。
確かに宇治大会の観客数は他の大会に比べても非常に
多いと思うので、そういう「魅せるドラゴン」は今後も必須と
なるだろう。

チーム数が多くて、レース間隔が短いのは、大会運営的には
少々慌しいが、観客目線からすれば、次々にレースが始まるのを
見れるので好ましい訳であり、これが20分や25分間隔とかに
なってしまうと、途中で待ちきれず観戦をやめてしまう一般観客
も多数居るのだ。(実際に他の大会でそういう事は良くある)

----
さて、宇治大会の特徴の1つとして、市内の部、市外の部
(オープン)の2カテゴリー制である事、オープンは全チームが
ドラゴン専業チームであるので、これは一種の実力別カテゴリー
分けとも言える。

普通、他の大会での「市内の部」というと、ほとんどボートを
漕いだことの無いような初心者チームが、えっちらおっちらと、
のんびりと漕ぐというイメージがあるのだが、でも、宇治大会では
そんな事は無い。その「市内の部」が、なかなか興味深いのだ。

その理由は追々説明していくとして、本記事(前編)では、
「市内の部」に着目してレース結果を書いていくとしよう。

まず、宇治大会の市内の部には、いくつかの常連強豪チームが
あり、毎年それらが激烈な優勝争いを繰り広げているという状況
がある。他地区の大会での市内の部のように、ビギナーチーム
ばかりという訳では無いのだ。

市内の部での過去の宇治大会での入賞実績を見てみよう。

第一回 2013年
1位:チーム賑やかし
2位:エンブレムジャパン

第二回 2014年
1位:チーム賑やかし
2位:エンブレムジャパン

第三回 2015年
1位:チーム塔の島
2位:エンブレムジャパン
(3位:チーム賑やかし)

つまり、「賑やかし」と「エンブレム」が、ほぼ毎年優勝を争う
2強である。これに続く第二先頭集団のチームとしては、

「京都工場保健会」
(こちらは宇治を拠点とするドラゴン専業強豪チーム「すいすい丸」
 と母体を同じくするサブチーム、2チームがダブルエントリー)

「メタルスタイリスト福田」
(様々なドラゴン大会に出場する地元専業チーム。
 昨年”メタル、正式な企業チームとして発足”の特集記事を
 書いて詳しく紹介している。)

「激漕」(げきそう)
(昨年優勝の「塔の島」がメンバーを入れ替えてリニューアル)

あたりが、注目チームであろう。
第二グループとは言え、準決勝進出の経験もあるチームばかりで
あるので、ほんのちょっとしたタイムの差で、結果に影響が
あるのは間違いない、つまり、実力伯仲の「団子状態」なのだ。
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こちらは。「チーム賑やかし」 第一回、第二回大会連覇だが
昨年第三回は準決勝敗退で3位に甘んじている、今回第四回は
まずは決勝進出、そして3度目の優勝を狙う。

いつも大きなシェパード犬を引き連れて来るのがチームの特徴だ。
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こちらは、「メタルスタイリスト福田」チーム。

所属企業が金属加工業につき、ロボット風のチームキャラクター
を新規にデザインし、今年からそれをユニフォームとしている。
例年のごとく、ブルー、レッドの2チームをダブルエントリー。

企業チームとして看板を背負っている以上、そろそろ成果が
欲しい所、「メタル」は、本大会の他にも琵琶湖ペーロン等の
いくつかの大会に出場しているが、過去の最高位は4位だ、
宇治は市内の部でエントリーしている為、チャンスと言えば
チャンスである。過去も2度準決勝に進出しているが、決勝
進出まであと一歩というところか。
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こちらが、チーム「激漕」(げきそう)
昨年優勝の「塔の島」が名前を変えてエントリーだ。

元々は、消防士の多いチームと聞いている。今年は新人メンバー
が増えている模様だが、パワフルな漕ぎは昨年以上か? 
予選でのタイムもなかなか良く、2連覇を狙っている状態だ。
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さて、本大会は、市内の部、オープンともに200m戦で、予選
2本でのベストタイム制である、すなわち、予選全レースの内、
トップ4のタイムを出したチームが準決勝進出となる。

なお、レーン1、2は水流等の条件が異なるため、予選の2本
では、1、2レーンを交代するように組み合わせが組まれており
公平を期するようにしている。
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さて、「市内の部」18チーム中、予選第1回戦で好タイムを
出したチームをあげてみよう。

1'10"38 京都工場保健会「受けようがん検診」
1'12"06 エンブレム Japan
1'12"12 チーム コロコロ ジャパン
1'12"13 激漕
1'13"47 メタルスタイリスト福田 レッド
1'13"94 メタルスタイリスト福田 レッド

やはり常連強豪チームが速い。それにしても「京都工場保健会」
は、なかなか見事なタイムだ、兄貴分の地元ドラゴン専業チーム
「すいすい丸」の指導が上手くいっているのかもしれない。

で、ここであげているのは、1分13秒台までのチームだ。
予選突破は、1分11秒台までと予想されるので、例えば
「メタル」の両チームは、ここから2秒ほどタイムを上げて
来ないと厳しい。

優勝候補の「賑やかし」はこの上位タイムに現状入っていないが、
2回戦でタイムを上げてくるだろう事は確実と思われる。

「コロコロジャパン」は、確か昨年も好タイムを出していた
チームで、惜しくも準決勝進出を逃したと記憶している。
今年は調子が良さそうだ、この1回戦のタイムで準決勝進出は
ぎりぎりの感じなので、2回戦で、もう少しタイムを伸ばして
おきたいところだ。
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ちなみに、レースの実況中継は、プロのアナウンサーさんではなく、
現役ドラゴン選手のスタッフだ、当然各チームの内部事情にも
詳しく、裏話なども含めて実況・解説してくれるのでなかなか
楽しい。やはりドラゴンの実況は、ドラゴンに詳しい人が必須
という事になるのであろう。

ドラゴン大会の一般観客から良く話が出るのは「感情移入
しにくい」という課題だ、これはドラゴンの世界を詳しく
知っている一般観客は少ないから、当然の問題かも知れないが、
こうした詳しい実況で、会場周辺の一般観客も、ドラゴンボート
のレースに興味を持ってもらえれば幸いだ。

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予選2回戦は、思ったとおり激戦となった。

優勝候補「賑やかし」は、1分11秒68の好タイムを叩きだし、
準決勝進出安全圏に入り込む。

こうなると、当確線上ぎりぎりのチームは気が気でならない、

決勝常連の「エンブレム Japan」は、1回戦1分12秒06なので
これは1回戦中第2位のタイムながらも、もう少しだけ伸ばして
おかないと準決勝進出は厳しいかも知れない。

同様に「メタルスタイリスト福田」の「ブルー」「レッド」
の両チームは1回戦いずれも1分13秒台、苦しいところだ。

「メタル」の2回戦を観戦しようとしたら、背後から男性に声を
かけられた。

匠「あ、”メタルスタイリスト福田”の社長さん!」

そう、企業チームである「メタル」の社長さんが応援に来て
くださったのだ、昨年の琵琶湖での「グランドシニア」大会にも
応援に来ていただき、ちょっと話をして顔見知りとなっていた。

「福田」は大企業なのだがで、普通は大きな会社では、
あまり社長さんが休日に社員のイベントの応援に来るなど
という事は無いようにも思えるのだが、こちらの社長さんは、
なかなかドラゴンボートに熱心だ。
まあ、悪くないと思うし、むしろ好感が持てる。

社「どうですかねぇ? ウチは。あと2秒くらい伸ばさないと
  苦しそうですが・・」
ほう・・ 社長さん、なかなかレース分析が鋭いですね。

匠「はい、その通りです、2回戦では、”レッド”、”ブルー”   
  ともに、約2秒タイムを伸ばし、1分11秒台に入らないと
  準決勝には進めないでしょう・・」
社「ちょっと厳しそうですかねぇ? ・・・あ、ウチが出ますよ!
  あれは”ブルー”の方かな? スタートしましたか?
  お・・ 来た来た、いい感じだ、相手チームより速いぞ」

匠「ううむ、対戦相手は、毎年準優勝の強豪チームですよ!
  ならば、いい感じです、結構良いタイムが出そうですね」
社「ほう、それは凄い! さあ、来たぞ。
  それ、行け~っ、頑張れ~!! そら、もっと漕げ~」

走ってドラゴンを追tっかける社長さん、そういえば昨年の
グランドシニア戦でも、そんな感じの応援であった。
なかなか・・ というか、かなり熱心な応援スタイルだ。

社「ふうふう・・
  (息を切らしながら本部近くに帰ってきた社長さん)
  さっきのタイム出ましたか? ウチは途中でちょっとペースが
  落ちてしまったようですけどね。
  ん? 1分12秒91? これはどうですか?準決勝に残れますか?」
匠「う~ん、ぎりぎりですね、他のチームの結果集計次第ですけど
  多分(準決勝に)届いていないかと・・」

社「そうですか・・
  お、次のレースは、ウチの”レッド”が出ますよ!
  それ、行っつけ~ 死ぬ気で漕げ~っ!!・・・」

また走ってドラゴンを追っかけて行ってしまった(汗)
見かけは、真面目そうで、やり手の経営者風の方なのだが、
気持ちが「若くて熱い」社長さんだ(!)
まあ、だからこそ大きな会社を切り盛りできるのであろう。

でも、これでは、「メタルスタイリスト福田」は、近いうちに
入賞などの「結果」を出さないと、風当たりが厳しそうだなあ(汗)
(ちなみに、本大会での「メタル」の戦績は、ブルー、レッド
ともに最高位4位だ)

その他、主催側の「京都商工会青年部」も、2回戦では、
1分13秒台の好タイムを叩きだし、「おっ!」っと思わせる
節があったのだが、これでは少しだけ準決勝には届かない。

また、「コロコロ ジャパン」は若干不利と思われる2レーン
ながらも、1回戦よりさらにタイムを伸ばして、1分11秒台。
これはいいタイムだ!

昨年優勝の「塔の島」改め「劇漕」は、2回戦で脅威の
1分9秒台! 昨年よりだいぶパワーアップしている、これは
もしかすると2連覇か・・?

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さて、2回戦が終了した時点で、タイムを伸ばしてきたチーム
も多々あり、最終的に準決勝進出は以下の4チームとなった。

「激漕」、「京都工場保健会(受けようがん検診)」
「チーム 賑やかし」、「コロコロ ジャパン」

上記4チームはいずれも1分11秒台以上のベストタイムを
出している、そのタイムは予想通りではあるが、地方大会の
「市内の部」としては、なかなかレベルの高い戦いとなった。
まあ、常連チームばかりなので、彼等も毎年少しづつドラゴンに
慣れてきているという見方もできる。

で、毎年決勝に進出している強豪「エンブレム Japan」は
今年はコンマ差で準決勝に届かず、残念ながら予選敗退となった。
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準決勝では、「チーム 賑やかし」、「コロコロ ジャパン」
の2チームが勝ちあがり決勝進出となった。

地元強豪専業チーム「すいすい丸」系列の「京都工場保健会」と、
昨年優勝の「激漕」(旧「塔の島」)は、残念ながら準決勝敗退
となった。3位決定戦は無く、タイム順で3位は「激漕」に決定。

さて、決勝戦はなかなか興味深い、「賑やかし」の2年ぶり
3度目の優勝か、あるいは「コロコロ ジャパン」の初優勝か?

本大会では、レース数が56とかなり多く、市内の部の決勝戦は
ラス前の第55レースだ、午後6時近くともなってようやく決勝戦。

決勝では、「コロコロ ジャパン」が、強豪「賑やかし」を
抑えて初優勝となった。 タイムは1分11秒台である。
予選ではもっと速いタイムを出していたチームもあったが
時間が経っているので、水流や風などの条件も変わっている
かもしれないし、まあ、組み合わせの運不運もあるだろう。

でもまあ、「コロコロ ジャパン」も強豪チームである事は
確かだ、初優勝と言ってもまぐれでは無い。まあ、常連チーム
でもあるので、やはり毎年ちょっとづつ進化しているのであろう。
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「チーム コロコロ ジャパン」、初優勝おめでとうございます。

そして来年の市内の部もまた楽しみだ。
今年の様子を見ていると、ほぼ6チームが実力伯仲という
感じである、うち3位までの入賞経験があるのは
「賑やかし」「エンブレム」「激漕」「コロコロ」の4チーム
であり、ここに、さらに準決勝経験進出のある2チーム
「京都工場保健会」「メタルスタイリスト」が来年も激戦を
繰り広げることであろう。

あるいは、またダークホースのチームが出現するのか?
(以前の大会で、「よゆうちからこぶ」というダークホース
チームが出てきて、好成績をおさめたことがある)

で、なにせ市内の部は、ハイレベルとは言え、やはり専業
チームとは数秒の差が出てしまう、具体的には専業チームの
準決勝進出ラインは1分6秒台なのだ。

つまり、市内の部のチームであっても、どこかで少し真面目に
練習をすれば、数秒程度タイムを縮めていく事はさほど困難では
無いと思われる、現状では各市内の部のチームは殆ど日常練習を
しておらず、結果的に「団子状態」だ、まあ見ている分には面白
いのだが、チームとすれば、その状態から少し練習すればすぐに
頭ひとつ抜け出せる、という事にもなると思う。

なお、今回の記事では、市内の部は限られた強豪チームの話
ばかりになってしまい、他のエントリーチームに関しての話が、
ほぽ無いことが気がかりだが、限られた時間の中で全ての
チームに話を聞く事も出来ず、また、記事の中でも全ての地元
チームを紹介する事は難しい。また来年の大会あたりで、
今回残念ながら取り上げる事がができなかった各地元チームに
ついても重点的に話を聞いていく事にしよう。

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さて、今回の前編はこのあたりまでで、
続く中編では、オープン(ドラゴン専業チーム)の予選の
模様を主に紹介していくことにしよう。
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