一般的なカメラユーザー層には普及していない「特殊用語」
や「本ブログ独自の用語」を解説する、上級者または上級
マニア向けのシリーズ記事。
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今回第4回目記事は「操作性・操作系」編という事で、
それに係わる用語を説明する。では早速始めよう。
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<操作性・操作系>
★操作子
一般用語、ただし世間一般的には、カメラでの厳密な定義は
殆ど存在していないので、ここで詳しく定義する。
まず「操作子」とはカメラにおける、様々な設定操作を行う為
の物であり、具体的には、スイッチ(ボタン)、各種ダイヤル、
レバー、二次元操作子等がある。
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*スイッチとは、ON/OFFの2つの状態を切り替える物。
「ボタン」と呼ぶ場合もある。
例えば、電源スイッチ、AF/AEロック、Fnボタン等
また、スイッチを押しながらダイヤルを廻す場合も
操作子としてはここに含める(例:ISO感度変更用ボタン)
![c0032138_20224539.jpg]()
*ダイヤルとは、回転する操作子であり、アナログダイヤルと
デジタルダイヤルがある。
・アナログダイヤル=機能が固定されていて、その状態を示す
指標が存在する。
例えば一部のカメラにある「露出補正専用ダイヤル」
通常は回転は有限だが、「露出モードダイヤル」や
銀塩時代の「シャッター速度設定ダイヤル」のように
無限に回る物もある。
(一般には、単に「ダイヤル」と呼ばれる)
・デジタルダイヤル=指標が無く、無限に回転する。
ダイヤルの機能を変更する事もできる。
例えば一般的なカメラの前後ダイヤル。
(「電子ダイヤル」と呼ばれる事が多い)
また広い意味では、レンズのピントリングやズームリングも
回転する「ダイヤル」の一種と見なせるであろう。
*レバーとは、複数段階の固定的な機能を切り替えて使う物。
例えば、ドライブモード変更レバー、測光パターン切り替え
レバー等。
*二次元操作子とは、上下左右の方向に対して、連続または
不連続に状態や値を選択できる物。その機能は問わない。
これが「マルチコントローラー」等と呼ばれる場合には、
PCにおけるマウスのように必要に応じてメニュー位置変更
等の様々な異なる機能を割り振れるようにもなっている。
例えば「AF測距点選択」「メニューの選択」「コンパネの
項目選択」「再生画像送り」などに使われている。
これら以外にも「十字キー」があるが、これはその機能により、
スイッチの一種か、又は二次元操作子の代用として使われるので、
適宜それらに分類する。(注:キーとは、様々な異なる意味を
持つが、操作での概念としては、指で押さえて操作を行う物で、
鍵盤楽器(キーボード)や、PCのキーボードが代表的だ)
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また、背面モニターを使った「タッチパネル」も操作子として
分類できると思われるが、本ブログでは「EVF搭載機等での
タッチパネル操作は推奨していない」(第2回記事参照)
ので、この操作子は、申し訳無いが無視する事としよう。
あるいは現在のカメラでは搭載されていないが、近い将来には、
音声認識技術を用いた、音声操作子が加わるかもしれない。
それから、メーターやディスプレイは「表示装置」であるので
操作子の範疇には含まない。
★操作性と操作系
本ブログ独自の用語、一般的に浸透している概念とは異なる。
本ブログでは、基本的に「操作性」と「操作系」は異なる概念
として定義しており、簡単に言えば以下となる。
操作性=操作子(前述)の、位置、感触、使い易さ等
操作系=撮影状況に応じて、必要なカメラ設定機能を速やかに
呼び出し、速やかに変更できる為のUI設計。
操作全体が有機的に連携が取れているか否かが重要。
ちなみに、UIとは「ユーザー・インターフェース」の略、
GUIとは、グラフィカルUIであり、どちらもPC等の世界では
一般的な用語な為、ここでの詳細説明は割愛する。
![c0032138_20224520.jpg]()
さて、「操作性」と「操作系」において、いくつかさらに
細分化して説明しよう。
*MFレンズの「操作性」とは
・ピントリングの太さ、位置、トルク(廻す重さ)、回転角
・絞り値クリック解除機構(動画用)の有無と切り替え方式
・絞り環の位置や廻しやすさ等
(注:カメラを含めた重心やバランスも影響が強いが、
ここではその説明は省略する)
*AFレンズの「操作性」とは
・MFへの切り替え方式
・MF時のピントリングの位置や廻しやすさ(トルク、回転角)
・無限回転式ピントリングか否か?
・絞り環の有無、有る場合はその使いやすさ
・絞り値ロック機構の有無(P露出モード時用等)
・手ブレ補正モードの切り替え方式
・IF(インナーフォーカス)か否か。
・撮影距離範囲の切り替えの有無や方式
・機能スイッチ(フォーカス・ホールド等)の有無と位置
*ズームレンズ(AF/MF)の「操作性」とは
・ズーミング方式(回転式、直進式)
・ズーミングで全長が可変するか否か
・パワーズームか手動ズームか?
・マクロモードの有無やその切り替え方式
・ズーミング時のトルク(重さ)、回転角
・ズーム(焦点距離)ロック機構の有無
・ズームリングとピントリングの位置関係
*カメラ本体の「操作性」とは
・スイッチ、ダイヤル、レバー、二次元操作子などの
配置、押しやすさ、感触、ロック機構の有無等
・連続または同時に行われる操作での、カメラ保持状態
(例:スイッチを押しながらダイヤルを廻すと
カメラを持つ手指が足りない、持ちきれない等)
*カメラ本体の「操作系」とは
・メニュー構造(階層化、カスタマイズ性)
・使用頻度を意識した操作子の配置や連携動作
・操作子のカスタマイズの自由度、その方法、その表示
・連続または同時に行われる操作での、指動線への配慮
・操作子を「押しながら」か、「押すたびに」か、あるいは
そのタイマー機能等の仕様や方法論
・Fn(ファンクション)スイッチ等に割り振れる機能の
種類、そしてそれらが連続量の場合は、他の操作子と
どう連携するか、あるいは連続や同時操作がやりやすいか
・操作子の機能が静的(固定)か動的(可変)か、
動的操作子の場合は、その変化が合理的か否か
・全般的に、必要な時に必要な設定手法が速やかに呼び出せ、
それを速やかに変更できるか否か
・背面モニター上に表示された各種設定機能を二次元操作子
やダイヤルを組み合わせた簡易な操作でエディットできる、
「コンパネ(コントロール・パネル)」機能があるか
となる。
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しかし、「操作系」の概念が必要となってきたのは比較的近年
の機材からだ。具体的には銀塩時代のカメラであれば、機能が
増えてきたAF一眼レフ末期(1990年代後半以降)からであり、
そこから続くデジタル一眼レフの時代でも勿論そうである。
それ以前の時代のMF銀塩機等では、「操作系」の概念は
不要で、単に「操作性」だけを考えておけば良かったのだ。
カメラの長い歴史を見れば、操作系という概念は、つい最近と、
言えるかも知れず、この概念の進歩が全然進んでいないのも、
設計側であまり意識しないのも、評論家等が評価出来ないのも、
ユーザー層が殆ど理解できていないのも、ある意味やむを
得ない。
そして、そもそも、何故「操作系」が優れていないとならない
のか?すら余り理解されていない。これは勿論、コンマ1秒
でも早く写真を撮る為であり、重要な「撮影機会」を逃さない
為だ、業務撮影はもとより、趣味撮影でもこれは必須要件だ。
「操作系」の概念が、なかなか一般化しないのは、まずは、
作る側として、カメラを使って写真を撮る経験度が極めて高く、
かつ様々な機能を使う事に精通していないと、設計そのものが
困難であるからだ。
で、設計のみならず、ユーザーあるいは評価者も同様であり、
現在の超多機能化したカメラで、それら全てに精通するのは
たとえ専門家であっても困難だ。
つまり、殆ど誰も、操作系の良し悪しを理解や評価する事が
出来ない状態だ。
また、市場は常に新機種に新機能(高スペック)を要求する為
増えすぎた機能を制御(設定操作)する為の操作系概念設計が
どうしても遅れてくる。
さて、ここでシンプルな具体例を上げる、
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銀塩AF一眼レフの傑作機、MINOLTA α-7(2000年)は、
優秀な設計チームや外部スタッフ等により、「操作系」を
徹底的に磨きあげた銀塩最強のカメラであった。
しかし、デジタル時代に入り、このα-7の操作子(操作性)を
ほぼそっくりコピーして作ったKONICA MINOTA α-7 Digital
では、銀塩時代とデジタル時代では必要な操作が異なっていた為
(例:デジタルではWB調整やISO感度の調整が必須等、色々)
それらの新機能を、どの操作子で、いつ、どのように設定する
のが良いか?という「操作系」の概念が、まだ誰もデジタル
撮影のノウハウが無かった為、ちぐはぐな操作系を持つカメラ
となってしまった。(デジタル一眼第3回記事参照)
![c0032138_20230857.jpg]()
別の例だが、オリンパスのミラーレス機(2009年~)は
初期の段階では「スーパーコンパネ」の操作系が、なかなか
優れていたのだが、2010年代後半以降、新機種での新機能が
増えすぎていて、それを旧来の「スーパーコンパネ」には
入れる事ができず、はみ出し、若干の矛盾まで生じて、
結果的に操作系を悪化させてしまった事例もある。
なお、私が認める操作系に優れたカメラは数える程しか無く
2000年 MINOLTA α-7(銀塩一眼レフ第29回記事、予定)
2008年 PANASONIC DMC-G1(ミラーレス機第1回記事)
2012年 SONY NEX-7(ミラーレス機第8回記事)
2017年 PENTAX KP(デジタル一眼レフ第21回記事、予定)
のみである。
ただ、これらのカメラでも完璧な操作系とは言い難い面もあるが
他機が殆ど全滅状態なので、これらでも相当に優れた方である。
なお、次点となる機種もいくつかあるが、割愛する。
★アナログダイヤル
独自用語。一般的には、単に「ダイヤル」と呼ばれる事もある。
前述の通り、回転するダイヤルに割り振られた機能が固定されて
いて、その状態を示す指標が存在する物と定義する。
普通は「有限回転式」となっているが例外もある。
![c0032138_20230889.jpg]()
例えば、カメラ本体においては、専用露出補正ダイヤル、
露出モードダイヤル(ユーザー設定モード含む)、そして
一部のデジタルカメラにある専用ISO感度設定ダイヤル。
銀塩機等にあるシャッター速度変更ダイヤル、銀塩機用
ISO(ASA)変更ダイヤル等である。
それから、ファインダー用視度補正ダイヤルもまあ、この
一種かも知れない。
さらにレンズ側で言えば、絞り環、そしてピントリングも
言わばアナログダイヤルだ。
では、以下、その長所と短所を述べる。
*アナログダイヤルの長所
・ダイヤルを見ただけで設定値が視認できる
・電源を切っても、設定値がずっと残っている(不揮発性)
・電源OFF時にも設定操作が可能
・指の感触などで操作がし易い
*アナログダイヤルの短所
・デジタルダイヤルと併用する際、値に矛盾が出るため
通常はこのダイヤルでしか操作が出来なくなる。
(例:NIKON DfやFUJI X-T1のISO感度や露出補正ダイヤルは、
そのダイヤルでしか値の設定が出来ず不便だ。
ただし、SONY α7系の露出補正ダイヤルは、それが±0の
値になっている場合のみ、デジタルダイヤルで別途
露出補正値の設定が可能となる優れた操作系だ。
また、FUJI X-Pro2等は、露出補正ダイヤルにC位置があり
ここにセットすればデジタルダイヤルで露出補正が効く)
・ロック機構があるとお話にならない
ダイヤルでしか設定ができないのに、一々ロック機構を
外さないと使えない残念な機種がNIKON DfやFUJI X-T1だ。
ちなみに、OM-D等のOLYMPUS機では露出モードダイヤルの
ロックのON/OFFを機械式に切り替えれる優れた仕様だ。
またFUJI X-T2等も、ISO感度ダイヤル等が同様の構造に
なり、X-T1からの改善が見られる。
![c0032138_20230843.jpg]()
・連続量、あるいは極めて細かい多数のステップのある設定
要素変更が迅速に行えない。
(具体的には、ISO感度がISO50からISO160万まであるとか
シャッター速度が16秒から1/8000秒まで等、非常に沢山の
設定値がある場合等)
・設定値の変更幅(ステップ)を容易には変更できない。
(例、シャッター速度ダイヤルや露出補正ダイヤルを
1段,1/2段,1/3段ステップ等に切り替える事が困難である。
この問題に対応した例も、MINOLA α-7,CONTAX N1,
NIKON Df等があるが、細かくなるので詳細は割愛する)
まあ、アナログダイヤルの長所短所はそんな感じだ。
基本的には、短所の4つの問題に何らかの対策がなされて
いればアナログダイヤルによる「操作性」は悪く無いが、
「操作系」まで考慮するとなると、その設計は高度で困難だ。
(例:いちいちカメラの構えを解いて操作する必要がある等)
なお、近年のPENTAX KP(2017)に存在する「機能ダイヤル」は
機能がアサイナブル(変更可能)なアナログダイヤルであり
専用のデジタルダイヤルと組み合わせて用いる(以下写真)
まあ、アナログとデジタルのハイブリッドと言えるであろう。
![c0032138_20233217.jpg]()
(注:PENTAX K-1/K-1 MarkⅡにも機能ダイヤルが存在するが
それらは固定機能であり「アサイナブル」では無い)
★デジタルダイヤル
独自用語。一般的には「電子ダイヤル」と呼ばれる事もある。
前述の通り、このダイヤルには指標が無く、無限に回転する。
また、ダイヤルにアサインされる(=割り振られた)機能を
変更する事もできる。
具体例としては、一般的なデジタルカメラの前後ダイヤル
(メイン/サブ電子ダイヤルと呼ばれる場合もある)がある。
また、PENTAXの機能ダイヤルと対応する「設定ダイヤル」も
デジタルダイヤルの一種であり、さらに言えば、
近年の超音波モーター搭載の一眼レフ用AFレンズや、
ミラーレス機専用AFレンズにおける、AFとMFのシームレス
(=継ぎ目の無い)切り替えを実現する無限回転式の
ピントリングも、デジタルダイヤルの一種だと言える。
(注:一部のレンズでは、無限回転式ピントリングながら、
距離指標を持ち、その区間だけ有限動作のハイブリッド型も
NIKONやTAMRONレンズ等で見受けられる)
![c0032138_20233275.jpg]()
さて、デジタルダイヤルの長所短所だが、
*デジタルダイヤルの長所
・設定値を電子的に記憶(セーブ)でき、それを任意に
呼び出す事(ロード)ができる、その際、ダイヤルには
指標が無いので、見た目と実際の設定値に矛盾が起きない
・絶対値が異なる複数の設定値変更に対応できる
(例をあげれば、開放F値1.4のレンズを、開放F4のレンズ
に交換したとしても、絞り変更ダイヤルは、そのままの
位置で両者の異なる数値に対応できる)
・アサインされる機能や、回転方向を変更する事ができる
・連続量あるいは多数の設定値のある制御に向き、かつ
その変化幅(ステップ、段数等)を設定できる。
・簡易ロック機構が実現できる
(例:FUJIFILM X-T1等では、プログラムシフトを行う際
デジタルダイヤルを廻しても、すぐには効かず、
数回廻してから、初めてこれが効くようになる)
*デジタルダイヤルの短所
・指標が無く、見た目ではその値がわからない
・電源OFF時には操作が出来ない
・手指の感触だけで操作が出来ない。
特に、無限回転式ピントリングでは、MF時の操作性が
壊滅的に酷くなり、実用に全く適さない
・不連続量(離散量)の設定(選択)に向かない
(具体的には、”はい、いいえ”等の2者選択等の際に、
ダイヤルを余計に廻してしまう場合がある。
例として、以前SONY機でエフェクトの選択をダイヤルで
行った際、OFF位置に入れるつもりが、動作が重く遅れて
1つ余分に回って特殊なエフェクトがかかったままになり、
それがわかりにくく、続く撮影が全てエフェクトONと
なってしまった事がある(汗)
さらに悪い例としては、CANON初期のデジタル一眼レフ
では画像の消去時に”消去、キャンセル、全消去”の
3つのメニューが出てきて、これをダイヤルで選ぶので
間違って全消去を選んだら(一応確認メニューが出るが)
大変である。
このように、基本的には不連続量の選択には向かない)
・可変ステップ制御ができない
(これはまあ、多くのカメラの場合のみの問題だが、
例えば、PCや家電製品、電子楽器等では、押し続けたり、
廻し続けると、その変化量がどんどん大きく、早く
なっていくUIが存在している=例:ビデオの早送り等
おおざっぱでも良い設定の場合、この操作系は有効だが
カメラでそれを実現した例はあまり無く、初期の銀塩
AF機等のシャッター速度変更等で見られる程度だ)
デジタルダイヤルの長所短所は以上のような感じだ。
ここでは、デジタルダイヤルの長所である「設定値の矛盾が
出ない事」そして「連続量の制御」に、どのような機能を
割り振るべきか?が、UI(操作系)設計での鍵となるだろう。
![c0032138_20233289.jpg]()
他に単純な例を挙げれば、連写速度をダイヤルで変更できる
ような機能があれば、動体撮影時に極めて有効なのだが・・
(注:PETAX KP等の機能ダイヤルで、連写速度変更が出来るが、
残念ながら、連写中ではダイヤルを廻しても変わらない。
また、他機では、これを実現した例は無いと思う)
こうした事は、ごく簡単な事だとは思うが、前述のように
設計側でも、どんな機能がどんな時に必要かの操作系設計の
概念が未発達のままなのであろう。
写真を撮る暇も無い位に忙しいであろうデジタル機の開発
エンジニア(技師)に、それを考えろ、というのは困難かも
知れないが、そうであれば、UI設計検討チームを別途作るとか、
デジタルに精通している社外アドバイザーを入れて意見を聞く
とか(注:銀塩時代からの専門家では新規概念はまず無理だ)
、そういう風に、抜本的な対策を行わないかぎり、操作系の
改善は難しいかも知れない。
★動的UI
専門的な要素が高い独自用語。
この項目の定義であるが、通常のUI(操作系)では、
例えば、ボタンやダイヤル等の操作子は、特定の機能に
予め(デフォルトで)割り振られているか、又はユーザーが
機能をカスタマイズ(変更)して、例えば「Fnボタンに
アサイン」(割り当て)をする。
つまり、ユーザーがカスタマイズするか否かは別として、
あるボタンを押せば、常にその同じ機能が呼び出される。
このような通常型のインターフェース(操作系)を、
「動かない、固定的」という意味から、本ブログでは
静的(スタティック)(ユーザー)インターフェース
=静的UI、と呼ぶ事がある。
ちなみに、Wi-FiとかUSBなどの他機器との連携用の機構は
「物理的(フィジカルな)インターフェース」であり、非常に
広義な呼び方をすれば「I/O」(入出力)の一種である。
これの事を「UI」(ユーザーインターフェース)と書くのは
大きな誤りである(実際に、そう間違っている例がある)
(注:さらなる詳細で、ネットワーク等の専門技術分野では、
イーサネット等のコネクタやドライバを「物理インターフェース」
と呼び、そのアドレスやポート設定、トンネル設定などを
「論理(仮想)インターフェース」と呼ぶ)
いずれにしても「インターフェース」という技術用語自身に
「他機器との接続」という意味があったとしても、UIに関しては、
機械の操作の為に人間が介在する物であり、昔の時代では
「MMI」(マンマシン・インターフェース」とも呼ばれていた。
UIでの「操作系」と、物理的な接続機構(インターフェース)
を混同してはならない。
![c0032138_20233199.jpg]()
動的UIに対し、動的(ダイナミック)UIは、ボタンやダイヤル
といった操作子や、表示装置(メーターやディスプレイ)に
割り振られている機能が固定されておらず、状況に応じて、
自動的(あるいは能動的に)に機能が変更される。
ただ、何がどこまで変化すれば、動的UIと呼べるか?という
「程度」の点は、きちんと定義していない。
![c0032138_20233154.jpg]()
前述の「操作系が優れている4つのカメラ」には、
その程度はともかく、全て「動的UI」が搭載されている。
具体的には、
2000年 MINOLTA α-7では、
・AEロックボタンを押すと、その時点では分割測光は、もう
不要なので自動的にスポット測光に切り替わり、露出メーター
上に分割測光との差分値が表示され(メータードマニュアル)
さらにDISPボタンが、14分割露光分布表示の開始ボタンに
自動で切り替わる等(他にも様々あり)
2008年 PANASONIC DMC-G1では
・絞り値設定用ダイヤルは、MFレンズをアダプターで
使った際には不要となるので、自動的に露出補正ダイヤル
に切り替わる。加えて、十字キー上のAFモード切り替え
スイッチが自動的にMF拡大表示開始スイッチになる等。
![c0032138_20233114.jpg]()
2012年 SONY NEX-7では
・上部の2つのデジタルダイヤルと背面の1つのダイヤルによる
「トライ(=3)ダイヤル」は、ナビゲーション・ボタン
により、ユーザーが予め決めた3ダイヤルの機能セットを
必要な状況に合わせて次々に呼び出す事ができる。
その機能セットにより、各ダイヤルの機能は変化する。
加えて、メニューボタン等が通常アサインされている2つの
「ソフトキー」は状況に応じて、OK、キャンセル等の選択操作
ボタンに自動的に切り替わる(他にも色々有り)
2017年 PENTAX KPでは
・機能ダイヤルにユーザーが最大3つの機能をアサインし
それをまず変更すると、それに対応する設定ダイヤルで
呼び出した機能の設定値を変更できる。
また、グリーンボタンはHyper操作系での露出モードに応じて、
プログラムライン設定や、マニュアルシフト開始等に
自動的に機能(効能)が変更される等、色々。
この「動的UI」は、非常に効率的なカメラ設定操作を可能と
する「操作系」である。しかし、いずれも難解で高度であり、
これを使いこなすにはユーザー側での高いスキルを要求される。
初級中級者層はもとより、上級者や専門家層でも理解が困難かも
知れない。なので、基本的にこのような高度な操作系は世間
一般的にも、まず正当に評価される事は無い。
まあ「使い難い、わかりにくい」という評価が普通であろう。
操作系設計としては極めて優れているのに、残念な話だ。
「操作系」が発達しないのは作る(開発)側の問題のみならず、
こういう高度な操作系が殆ど理解できないユーザー側にも
多大な問題があるのかもしれない。
(だから、NEX-7の後継機のα7では、高度な動的UIを廃し、
安易な静的UIにダウングレードされてしまったのか・・)
★ISO感度直接変更
独自では無いが、あまり一般的では無い用語。
すなわち、ISO感度がいつでも(常時)直接変更できる
機能や機構を持つ機種の事だ。
デジタル時代初期(2000年代)のカメラ(一眼、コンパクト)
は、ISO感度の変化可能幅が小さく、かつ高感度はノイジー、
そしてAUTO ISOは、あまり高感度になるとノイズが出る事を
嫌ってか、可変範囲が非常に狭かった。
勿論、ISO感度設定は手ブレ限界速度(別記事で後述)の
保持にも多大な影響がある。
この為、この時代の古いデジタル機を使う際は、ISO感度の
頻繁な手動変更が必要となる。ところが、この時代ではまだ
操作系の概念が全く未発達であり、ISO感度変更は、専用
ボタンを押してからダイヤルを廻して設定するか、または
メニューの中からISO感度変更を選んで設定するしかなかった。
ましてや、ファインダーを覗きながらのISO変更など、絶対に
無理であり、これをダイヤル等に割り振って直接的にISO感度
を変更できるカメラを熱望していた。
しかし、その機能を持つ一眼レフは2000年代には発売されず
例外的に、PENTAXのハイパー操作系でのSVモードの際に
(K10D等で)それが実現できた程度だ(しかし、不十分)
![c0032138_20233229.jpg]()
2010年代(またはやや前)から、やっとISO直接変更が
出来るデジタル機が出始めている。
具体的には、
RICOH GXR,SONY NEX-7系/α7系,NIKON Df,FUJIFILM X-T1系
PENTAXのハイパー操作系搭載機のSVモード時(例:K10D,K-5)
PENTAXで機能ダイヤルを持つ機種(例:KP)
アサイナブルダイヤルにISO感度を割りふれるコンパクト機
(例:FUJIFILM XQ1)あたりだけだ。
(注:これらの系列機も同様に可能だ)
私はISO感度直接変更が可能なカメラを熱望していたので、
上記の、それが出来る機種群は全て所有している。というか
機種選定(購入)時の重要な条件がISO直接変更であったのだ。
しかしながら、2010年代中頃以降の機種はいずれも超高感度
を搭載している、上記機種群の中では、NIKON DfがISO20万、
PENTAX KPがISO80万もあり、両機種ともAUTO ISOのままで
その最高感度に到達できる。
であれば、もう実際の所では、頻繁なISO直接変更など
殆ど不要となってしまった・・
(ただし、AUTO ISO切り替わりシャッター速度(低速限界)を
調整できる機能が入っている事が必須となるだろう)
まあ、超高感度機を買うのであれば、もはやこのISO直接変更
の必要度は、かなり減っていると思うが、ここは参考まで・・
★取扱説明書
一般用語。
冊子あるいはPDFのカメラ取扱説明書を読む事は必須である。
基本的な機能、その操作、そして全体の仕様等は当然だが、
様々な「制限事項」(例外事項)は最も知りたい事だ。
これは、何かの機能を使う時に生じる制限であり、例えば
SONYのデジタル一眼レフで超高速連写(連続撮影優先AE)
を用いると、絞りが開放のままになる、等であるが、
上記は有名だが、他機や他社機でも細かい制限事項が存在する
場合が多々ある、例えば連写モードではフラッシュが焚けない
とか超解像拡大が効かない、とか色々とある。撮影中にそれが
起こると原因不明で混乱するので、それを細かく知りたい訳だ。
だが、これらの「制限事項」が取扱説明書に殆ど書かれて
いない場合が多い。まあ、わざわざ「カメラの弱点」は
書き難いのかも知れないのだが、それにしても不親切で
あると思う。
---
さて、今回の「操作性・操作系編」は、このあたり迄で・・
次回記事は「画像編(1)」となる。
や「本ブログ独自の用語」を解説する、上級者または上級
マニア向けのシリーズ記事。

それに係わる用語を説明する。では早速始めよう。
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<操作性・操作系>
★操作子
一般用語、ただし世間一般的には、カメラでの厳密な定義は
殆ど存在していないので、ここで詳しく定義する。
まず「操作子」とはカメラにおける、様々な設定操作を行う為
の物であり、具体的には、スイッチ(ボタン)、各種ダイヤル、
レバー、二次元操作子等がある。

「ボタン」と呼ぶ場合もある。
例えば、電源スイッチ、AF/AEロック、Fnボタン等
また、スイッチを押しながらダイヤルを廻す場合も
操作子としてはここに含める(例:ISO感度変更用ボタン)

デジタルダイヤルがある。
・アナログダイヤル=機能が固定されていて、その状態を示す
指標が存在する。
例えば一部のカメラにある「露出補正専用ダイヤル」
通常は回転は有限だが、「露出モードダイヤル」や
銀塩時代の「シャッター速度設定ダイヤル」のように
無限に回る物もある。
(一般には、単に「ダイヤル」と呼ばれる)
・デジタルダイヤル=指標が無く、無限に回転する。
ダイヤルの機能を変更する事もできる。
例えば一般的なカメラの前後ダイヤル。
(「電子ダイヤル」と呼ばれる事が多い)
また広い意味では、レンズのピントリングやズームリングも
回転する「ダイヤル」の一種と見なせるであろう。
*レバーとは、複数段階の固定的な機能を切り替えて使う物。
例えば、ドライブモード変更レバー、測光パターン切り替え
レバー等。
*二次元操作子とは、上下左右の方向に対して、連続または
不連続に状態や値を選択できる物。その機能は問わない。
これが「マルチコントローラー」等と呼ばれる場合には、
PCにおけるマウスのように必要に応じてメニュー位置変更
等の様々な異なる機能を割り振れるようにもなっている。
例えば「AF測距点選択」「メニューの選択」「コンパネの
項目選択」「再生画像送り」などに使われている。
これら以外にも「十字キー」があるが、これはその機能により、
スイッチの一種か、又は二次元操作子の代用として使われるので、
適宜それらに分類する。(注:キーとは、様々な異なる意味を
持つが、操作での概念としては、指で押さえて操作を行う物で、
鍵盤楽器(キーボード)や、PCのキーボードが代表的だ)

分類できると思われるが、本ブログでは「EVF搭載機等での
タッチパネル操作は推奨していない」(第2回記事参照)
ので、この操作子は、申し訳無いが無視する事としよう。
あるいは現在のカメラでは搭載されていないが、近い将来には、
音声認識技術を用いた、音声操作子が加わるかもしれない。
それから、メーターやディスプレイは「表示装置」であるので
操作子の範疇には含まない。
★操作性と操作系
本ブログ独自の用語、一般的に浸透している概念とは異なる。
本ブログでは、基本的に「操作性」と「操作系」は異なる概念
として定義しており、簡単に言えば以下となる。
操作性=操作子(前述)の、位置、感触、使い易さ等
操作系=撮影状況に応じて、必要なカメラ設定機能を速やかに
呼び出し、速やかに変更できる為のUI設計。
操作全体が有機的に連携が取れているか否かが重要。
ちなみに、UIとは「ユーザー・インターフェース」の略、
GUIとは、グラフィカルUIであり、どちらもPC等の世界では
一般的な用語な為、ここでの詳細説明は割愛する。

細分化して説明しよう。
*MFレンズの「操作性」とは
・ピントリングの太さ、位置、トルク(廻す重さ)、回転角
・絞り値クリック解除機構(動画用)の有無と切り替え方式
・絞り環の位置や廻しやすさ等
(注:カメラを含めた重心やバランスも影響が強いが、
ここではその説明は省略する)
*AFレンズの「操作性」とは
・MFへの切り替え方式
・MF時のピントリングの位置や廻しやすさ(トルク、回転角)
・無限回転式ピントリングか否か?
・絞り環の有無、有る場合はその使いやすさ
・絞り値ロック機構の有無(P露出モード時用等)
・手ブレ補正モードの切り替え方式
・IF(インナーフォーカス)か否か。
・撮影距離範囲の切り替えの有無や方式
・機能スイッチ(フォーカス・ホールド等)の有無と位置
*ズームレンズ(AF/MF)の「操作性」とは
・ズーミング方式(回転式、直進式)
・ズーミングで全長が可変するか否か
・パワーズームか手動ズームか?
・マクロモードの有無やその切り替え方式
・ズーミング時のトルク(重さ)、回転角
・ズーム(焦点距離)ロック機構の有無
・ズームリングとピントリングの位置関係
*カメラ本体の「操作性」とは
・スイッチ、ダイヤル、レバー、二次元操作子などの
配置、押しやすさ、感触、ロック機構の有無等
・連続または同時に行われる操作での、カメラ保持状態
(例:スイッチを押しながらダイヤルを廻すと
カメラを持つ手指が足りない、持ちきれない等)
*カメラ本体の「操作系」とは
・メニュー構造(階層化、カスタマイズ性)
・使用頻度を意識した操作子の配置や連携動作
・操作子のカスタマイズの自由度、その方法、その表示
・連続または同時に行われる操作での、指動線への配慮
・操作子を「押しながら」か、「押すたびに」か、あるいは
そのタイマー機能等の仕様や方法論
・Fn(ファンクション)スイッチ等に割り振れる機能の
種類、そしてそれらが連続量の場合は、他の操作子と
どう連携するか、あるいは連続や同時操作がやりやすいか
・操作子の機能が静的(固定)か動的(可変)か、
動的操作子の場合は、その変化が合理的か否か
・全般的に、必要な時に必要な設定手法が速やかに呼び出せ、
それを速やかに変更できるか否か
・背面モニター上に表示された各種設定機能を二次元操作子
やダイヤルを組み合わせた簡易な操作でエディットできる、
「コンパネ(コントロール・パネル)」機能があるか
となる。

の機材からだ。具体的には銀塩時代のカメラであれば、機能が
増えてきたAF一眼レフ末期(1990年代後半以降)からであり、
そこから続くデジタル一眼レフの時代でも勿論そうである。
それ以前の時代のMF銀塩機等では、「操作系」の概念は
不要で、単に「操作性」だけを考えておけば良かったのだ。
カメラの長い歴史を見れば、操作系という概念は、つい最近と、
言えるかも知れず、この概念の進歩が全然進んでいないのも、
設計側であまり意識しないのも、評論家等が評価出来ないのも、
ユーザー層が殆ど理解できていないのも、ある意味やむを
得ない。
そして、そもそも、何故「操作系」が優れていないとならない
のか?すら余り理解されていない。これは勿論、コンマ1秒
でも早く写真を撮る為であり、重要な「撮影機会」を逃さない
為だ、業務撮影はもとより、趣味撮影でもこれは必須要件だ。
「操作系」の概念が、なかなか一般化しないのは、まずは、
作る側として、カメラを使って写真を撮る経験度が極めて高く、
かつ様々な機能を使う事に精通していないと、設計そのものが
困難であるからだ。
で、設計のみならず、ユーザーあるいは評価者も同様であり、
現在の超多機能化したカメラで、それら全てに精通するのは
たとえ専門家であっても困難だ。
つまり、殆ど誰も、操作系の良し悪しを理解や評価する事が
出来ない状態だ。
また、市場は常に新機種に新機能(高スペック)を要求する為
増えすぎた機能を制御(設定操作)する為の操作系概念設計が
どうしても遅れてくる。
さて、ここでシンプルな具体例を上げる、

優秀な設計チームや外部スタッフ等により、「操作系」を
徹底的に磨きあげた銀塩最強のカメラであった。
しかし、デジタル時代に入り、このα-7の操作子(操作性)を
ほぼそっくりコピーして作ったKONICA MINOTA α-7 Digital
では、銀塩時代とデジタル時代では必要な操作が異なっていた為
(例:デジタルではWB調整やISO感度の調整が必須等、色々)
それらの新機能を、どの操作子で、いつ、どのように設定する
のが良いか?という「操作系」の概念が、まだ誰もデジタル
撮影のノウハウが無かった為、ちぐはぐな操作系を持つカメラ
となってしまった。(デジタル一眼第3回記事参照)

初期の段階では「スーパーコンパネ」の操作系が、なかなか
優れていたのだが、2010年代後半以降、新機種での新機能が
増えすぎていて、それを旧来の「スーパーコンパネ」には
入れる事ができず、はみ出し、若干の矛盾まで生じて、
結果的に操作系を悪化させてしまった事例もある。
なお、私が認める操作系に優れたカメラは数える程しか無く
2000年 MINOLTA α-7(銀塩一眼レフ第29回記事、予定)
2008年 PANASONIC DMC-G1(ミラーレス機第1回記事)
2012年 SONY NEX-7(ミラーレス機第8回記事)
2017年 PENTAX KP(デジタル一眼レフ第21回記事、予定)
のみである。
ただ、これらのカメラでも完璧な操作系とは言い難い面もあるが
他機が殆ど全滅状態なので、これらでも相当に優れた方である。
なお、次点となる機種もいくつかあるが、割愛する。
★アナログダイヤル
独自用語。一般的には、単に「ダイヤル」と呼ばれる事もある。
前述の通り、回転するダイヤルに割り振られた機能が固定されて
いて、その状態を示す指標が存在する物と定義する。
普通は「有限回転式」となっているが例外もある。

露出モードダイヤル(ユーザー設定モード含む)、そして
一部のデジタルカメラにある専用ISO感度設定ダイヤル。
銀塩機等にあるシャッター速度変更ダイヤル、銀塩機用
ISO(ASA)変更ダイヤル等である。
それから、ファインダー用視度補正ダイヤルもまあ、この
一種かも知れない。
さらにレンズ側で言えば、絞り環、そしてピントリングも
言わばアナログダイヤルだ。
では、以下、その長所と短所を述べる。
*アナログダイヤルの長所
・ダイヤルを見ただけで設定値が視認できる
・電源を切っても、設定値がずっと残っている(不揮発性)
・電源OFF時にも設定操作が可能
・指の感触などで操作がし易い
*アナログダイヤルの短所
・デジタルダイヤルと併用する際、値に矛盾が出るため
通常はこのダイヤルでしか操作が出来なくなる。
(例:NIKON DfやFUJI X-T1のISO感度や露出補正ダイヤルは、
そのダイヤルでしか値の設定が出来ず不便だ。
ただし、SONY α7系の露出補正ダイヤルは、それが±0の
値になっている場合のみ、デジタルダイヤルで別途
露出補正値の設定が可能となる優れた操作系だ。
また、FUJI X-Pro2等は、露出補正ダイヤルにC位置があり
ここにセットすればデジタルダイヤルで露出補正が効く)
・ロック機構があるとお話にならない
ダイヤルでしか設定ができないのに、一々ロック機構を
外さないと使えない残念な機種がNIKON DfやFUJI X-T1だ。
ちなみに、OM-D等のOLYMPUS機では露出モードダイヤルの
ロックのON/OFFを機械式に切り替えれる優れた仕様だ。
またFUJI X-T2等も、ISO感度ダイヤル等が同様の構造に
なり、X-T1からの改善が見られる。

要素変更が迅速に行えない。
(具体的には、ISO感度がISO50からISO160万まであるとか
シャッター速度が16秒から1/8000秒まで等、非常に沢山の
設定値がある場合等)
・設定値の変更幅(ステップ)を容易には変更できない。
(例、シャッター速度ダイヤルや露出補正ダイヤルを
1段,1/2段,1/3段ステップ等に切り替える事が困難である。
この問題に対応した例も、MINOLA α-7,CONTAX N1,
NIKON Df等があるが、細かくなるので詳細は割愛する)
まあ、アナログダイヤルの長所短所はそんな感じだ。
基本的には、短所の4つの問題に何らかの対策がなされて
いればアナログダイヤルによる「操作性」は悪く無いが、
「操作系」まで考慮するとなると、その設計は高度で困難だ。
(例:いちいちカメラの構えを解いて操作する必要がある等)
なお、近年のPENTAX KP(2017)に存在する「機能ダイヤル」は
機能がアサイナブル(変更可能)なアナログダイヤルであり
専用のデジタルダイヤルと組み合わせて用いる(以下写真)
まあ、アナログとデジタルのハイブリッドと言えるであろう。

それらは固定機能であり「アサイナブル」では無い)
★デジタルダイヤル
独自用語。一般的には「電子ダイヤル」と呼ばれる事もある。
前述の通り、このダイヤルには指標が無く、無限に回転する。
また、ダイヤルにアサインされる(=割り振られた)機能を
変更する事もできる。
具体例としては、一般的なデジタルカメラの前後ダイヤル
(メイン/サブ電子ダイヤルと呼ばれる場合もある)がある。
また、PENTAXの機能ダイヤルと対応する「設定ダイヤル」も
デジタルダイヤルの一種であり、さらに言えば、
近年の超音波モーター搭載の一眼レフ用AFレンズや、
ミラーレス機専用AFレンズにおける、AFとMFのシームレス
(=継ぎ目の無い)切り替えを実現する無限回転式の
ピントリングも、デジタルダイヤルの一種だと言える。
(注:一部のレンズでは、無限回転式ピントリングながら、
距離指標を持ち、その区間だけ有限動作のハイブリッド型も
NIKONやTAMRONレンズ等で見受けられる)

*デジタルダイヤルの長所
・設定値を電子的に記憶(セーブ)でき、それを任意に
呼び出す事(ロード)ができる、その際、ダイヤルには
指標が無いので、見た目と実際の設定値に矛盾が起きない
・絶対値が異なる複数の設定値変更に対応できる
(例をあげれば、開放F値1.4のレンズを、開放F4のレンズ
に交換したとしても、絞り変更ダイヤルは、そのままの
位置で両者の異なる数値に対応できる)
・アサインされる機能や、回転方向を変更する事ができる
・連続量あるいは多数の設定値のある制御に向き、かつ
その変化幅(ステップ、段数等)を設定できる。
・簡易ロック機構が実現できる
(例:FUJIFILM X-T1等では、プログラムシフトを行う際
デジタルダイヤルを廻しても、すぐには効かず、
数回廻してから、初めてこれが効くようになる)
*デジタルダイヤルの短所
・指標が無く、見た目ではその値がわからない
・電源OFF時には操作が出来ない
・手指の感触だけで操作が出来ない。
特に、無限回転式ピントリングでは、MF時の操作性が
壊滅的に酷くなり、実用に全く適さない
・不連続量(離散量)の設定(選択)に向かない
(具体的には、”はい、いいえ”等の2者選択等の際に、
ダイヤルを余計に廻してしまう場合がある。
例として、以前SONY機でエフェクトの選択をダイヤルで
行った際、OFF位置に入れるつもりが、動作が重く遅れて
1つ余分に回って特殊なエフェクトがかかったままになり、
それがわかりにくく、続く撮影が全てエフェクトONと
なってしまった事がある(汗)
さらに悪い例としては、CANON初期のデジタル一眼レフ
では画像の消去時に”消去、キャンセル、全消去”の
3つのメニューが出てきて、これをダイヤルで選ぶので
間違って全消去を選んだら(一応確認メニューが出るが)
大変である。
このように、基本的には不連続量の選択には向かない)
・可変ステップ制御ができない
(これはまあ、多くのカメラの場合のみの問題だが、
例えば、PCや家電製品、電子楽器等では、押し続けたり、
廻し続けると、その変化量がどんどん大きく、早く
なっていくUIが存在している=例:ビデオの早送り等
おおざっぱでも良い設定の場合、この操作系は有効だが
カメラでそれを実現した例はあまり無く、初期の銀塩
AF機等のシャッター速度変更等で見られる程度だ)
デジタルダイヤルの長所短所は以上のような感じだ。
ここでは、デジタルダイヤルの長所である「設定値の矛盾が
出ない事」そして「連続量の制御」に、どのような機能を
割り振るべきか?が、UI(操作系)設計での鍵となるだろう。

ような機能があれば、動体撮影時に極めて有効なのだが・・
(注:PETAX KP等の機能ダイヤルで、連写速度変更が出来るが、
残念ながら、連写中ではダイヤルを廻しても変わらない。
また、他機では、これを実現した例は無いと思う)
こうした事は、ごく簡単な事だとは思うが、前述のように
設計側でも、どんな機能がどんな時に必要かの操作系設計の
概念が未発達のままなのであろう。
写真を撮る暇も無い位に忙しいであろうデジタル機の開発
エンジニア(技師)に、それを考えろ、というのは困難かも
知れないが、そうであれば、UI設計検討チームを別途作るとか、
デジタルに精通している社外アドバイザーを入れて意見を聞く
とか(注:銀塩時代からの専門家では新規概念はまず無理だ)
、そういう風に、抜本的な対策を行わないかぎり、操作系の
改善は難しいかも知れない。
★動的UI
専門的な要素が高い独自用語。
この項目の定義であるが、通常のUI(操作系)では、
例えば、ボタンやダイヤル等の操作子は、特定の機能に
予め(デフォルトで)割り振られているか、又はユーザーが
機能をカスタマイズ(変更)して、例えば「Fnボタンに
アサイン」(割り当て)をする。
つまり、ユーザーがカスタマイズするか否かは別として、
あるボタンを押せば、常にその同じ機能が呼び出される。
このような通常型のインターフェース(操作系)を、
「動かない、固定的」という意味から、本ブログでは
静的(スタティック)(ユーザー)インターフェース
=静的UI、と呼ぶ事がある。
ちなみに、Wi-FiとかUSBなどの他機器との連携用の機構は
「物理的(フィジカルな)インターフェース」であり、非常に
広義な呼び方をすれば「I/O」(入出力)の一種である。
これの事を「UI」(ユーザーインターフェース)と書くのは
大きな誤りである(実際に、そう間違っている例がある)
(注:さらなる詳細で、ネットワーク等の専門技術分野では、
イーサネット等のコネクタやドライバを「物理インターフェース」
と呼び、そのアドレスやポート設定、トンネル設定などを
「論理(仮想)インターフェース」と呼ぶ)
いずれにしても「インターフェース」という技術用語自身に
「他機器との接続」という意味があったとしても、UIに関しては、
機械の操作の為に人間が介在する物であり、昔の時代では
「MMI」(マンマシン・インターフェース」とも呼ばれていた。
UIでの「操作系」と、物理的な接続機構(インターフェース)
を混同してはならない。

といった操作子や、表示装置(メーターやディスプレイ)に
割り振られている機能が固定されておらず、状況に応じて、
自動的(あるいは能動的に)に機能が変更される。
ただ、何がどこまで変化すれば、動的UIと呼べるか?という
「程度」の点は、きちんと定義していない。

その程度はともかく、全て「動的UI」が搭載されている。
具体的には、
2000年 MINOLTA α-7では、
・AEロックボタンを押すと、その時点では分割測光は、もう
不要なので自動的にスポット測光に切り替わり、露出メーター
上に分割測光との差分値が表示され(メータードマニュアル)
さらにDISPボタンが、14分割露光分布表示の開始ボタンに
自動で切り替わる等(他にも様々あり)
2008年 PANASONIC DMC-G1では
・絞り値設定用ダイヤルは、MFレンズをアダプターで
使った際には不要となるので、自動的に露出補正ダイヤル
に切り替わる。加えて、十字キー上のAFモード切り替え
スイッチが自動的にMF拡大表示開始スイッチになる等。

・上部の2つのデジタルダイヤルと背面の1つのダイヤルによる
「トライ(=3)ダイヤル」は、ナビゲーション・ボタン
により、ユーザーが予め決めた3ダイヤルの機能セットを
必要な状況に合わせて次々に呼び出す事ができる。
その機能セットにより、各ダイヤルの機能は変化する。
加えて、メニューボタン等が通常アサインされている2つの
「ソフトキー」は状況に応じて、OK、キャンセル等の選択操作
ボタンに自動的に切り替わる(他にも色々有り)
2017年 PENTAX KPでは
・機能ダイヤルにユーザーが最大3つの機能をアサインし
それをまず変更すると、それに対応する設定ダイヤルで
呼び出した機能の設定値を変更できる。
また、グリーンボタンはHyper操作系での露出モードに応じて、
プログラムライン設定や、マニュアルシフト開始等に
自動的に機能(効能)が変更される等、色々。
この「動的UI」は、非常に効率的なカメラ設定操作を可能と
する「操作系」である。しかし、いずれも難解で高度であり、
これを使いこなすにはユーザー側での高いスキルを要求される。
初級中級者層はもとより、上級者や専門家層でも理解が困難かも
知れない。なので、基本的にこのような高度な操作系は世間
一般的にも、まず正当に評価される事は無い。
まあ「使い難い、わかりにくい」という評価が普通であろう。
操作系設計としては極めて優れているのに、残念な話だ。
「操作系」が発達しないのは作る(開発)側の問題のみならず、
こういう高度な操作系が殆ど理解できないユーザー側にも
多大な問題があるのかもしれない。
(だから、NEX-7の後継機のα7では、高度な動的UIを廃し、
安易な静的UIにダウングレードされてしまったのか・・)
★ISO感度直接変更
独自では無いが、あまり一般的では無い用語。
すなわち、ISO感度がいつでも(常時)直接変更できる
機能や機構を持つ機種の事だ。
デジタル時代初期(2000年代)のカメラ(一眼、コンパクト)
は、ISO感度の変化可能幅が小さく、かつ高感度はノイジー、
そしてAUTO ISOは、あまり高感度になるとノイズが出る事を
嫌ってか、可変範囲が非常に狭かった。
勿論、ISO感度設定は手ブレ限界速度(別記事で後述)の
保持にも多大な影響がある。
この為、この時代の古いデジタル機を使う際は、ISO感度の
頻繁な手動変更が必要となる。ところが、この時代ではまだ
操作系の概念が全く未発達であり、ISO感度変更は、専用
ボタンを押してからダイヤルを廻して設定するか、または
メニューの中からISO感度変更を選んで設定するしかなかった。
ましてや、ファインダーを覗きながらのISO変更など、絶対に
無理であり、これをダイヤル等に割り振って直接的にISO感度
を変更できるカメラを熱望していた。
しかし、その機能を持つ一眼レフは2000年代には発売されず
例外的に、PENTAXのハイパー操作系でのSVモードの際に
(K10D等で)それが実現できた程度だ(しかし、不十分)

出来るデジタル機が出始めている。
具体的には、
RICOH GXR,SONY NEX-7系/α7系,NIKON Df,FUJIFILM X-T1系
PENTAXのハイパー操作系搭載機のSVモード時(例:K10D,K-5)
PENTAXで機能ダイヤルを持つ機種(例:KP)
アサイナブルダイヤルにISO感度を割りふれるコンパクト機
(例:FUJIFILM XQ1)あたりだけだ。
(注:これらの系列機も同様に可能だ)
私はISO感度直接変更が可能なカメラを熱望していたので、
上記の、それが出来る機種群は全て所有している。というか
機種選定(購入)時の重要な条件がISO直接変更であったのだ。
しかしながら、2010年代中頃以降の機種はいずれも超高感度
を搭載している、上記機種群の中では、NIKON DfがISO20万、
PENTAX KPがISO80万もあり、両機種ともAUTO ISOのままで
その最高感度に到達できる。
であれば、もう実際の所では、頻繁なISO直接変更など
殆ど不要となってしまった・・
(ただし、AUTO ISO切り替わりシャッター速度(低速限界)を
調整できる機能が入っている事が必須となるだろう)
まあ、超高感度機を買うのであれば、もはやこのISO直接変更
の必要度は、かなり減っていると思うが、ここは参考まで・・
★取扱説明書
一般用語。
冊子あるいはPDFのカメラ取扱説明書を読む事は必須である。
基本的な機能、その操作、そして全体の仕様等は当然だが、
様々な「制限事項」(例外事項)は最も知りたい事だ。
これは、何かの機能を使う時に生じる制限であり、例えば
SONYのデジタル一眼レフで超高速連写(連続撮影優先AE)
を用いると、絞りが開放のままになる、等であるが、
上記は有名だが、他機や他社機でも細かい制限事項が存在する
場合が多々ある、例えば連写モードではフラッシュが焚けない
とか超解像拡大が効かない、とか色々とある。撮影中にそれが
起こると原因不明で混乱するので、それを細かく知りたい訳だ。
だが、これらの「制限事項」が取扱説明書に殆ど書かれて
いない場合が多い。まあ、わざわざ「カメラの弱点」は
書き難いのかも知れないのだが、それにしても不親切で
あると思う。
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さて、今回の「操作性・操作系編」は、このあたり迄で・・
次回記事は「画像編(1)」となる。