Quantcast
Channel: 【匠のデジタル工房・玄人専科】
Viewing all articles
Browse latest Browse all 791

デジタル一眼レフ・クラッシックス(13)「SONY α65」

$
0
0
本シリーズでは所有しているデジタル一眼レフについて評価を
行っている。
第12回からはデジタル一眼「現行世代」として、2010年以降
に発売された機種について紹介している。
c0032138_18065735.jpg
今回は2012年発売のSONY α65を取り上げる。
レンズは、SONY 85mm/f2.8 SAM (SAL85F28)を使用。
(ミラーレス・マニアックス補足編第6回参照)

このシステムで撮影した写真を交えながら、α65の特徴に
ついて紹介していこう。
c0032138_18065715.jpg
2013年以降のSONYの「α」は、2系統の異なるマウントがある。

1)一眼レフ(A)マウント
ミノルタα-7000(1985年)より始まったAF/デジタル
一眼レフ用の、お馴染みのマウントだ。
コニカミノルタ時代を経てSONYがカメラ事業を継承(2006年)
以降も、αの名前とそのマウント仕様が引き継がれている。
ミノルタ時代からのレンズの互換性は高く、およそ30年前の古い
α用レンズでも、最新のSONY製一眼レフで問題無く使用できる。

2)ミラーレス(E)マウント
このマウントは、当初NEXシリーズ(3&5が2010年発売)から
スタートしたのだが、ブランディング戦略の分散を嫌ったのか?
あるいはNEXという名称展開に海外等で何か不都合があったのか?
2013年のα3000(国内未発売)より従来のNEXという型番を廃し、
ミラーレス機の型番も「α」に一本化されている。
国内ではフルサイズミラーレスのα7シリーズ(2013年末~)
を皮切りに、同α9シリーズ(2017年)
そして、α5000/6000シリーズ等の旧NEXと同等のAPS-C型
センサーのEマウント機が展開されている。

今回の記事は「A」マウント機のα65の話である。
なお、Aマウントαレンズは、マウントアダプター使用で
Eマウント機に装着可能だが、その逆は不可だ。
c0032138_18065893.jpg
さらに、もう1つ「α」の型番ルールの話がある。
これは第7回記事α700の項でも述べたが、ミノルタ時代から
SONY時代に至る迄、カメラ型番の「7」は、新機能・新機軸を
搭載した革新的な機種に付けられるのが慣例となっていた。

その例はキリが無いが、
ミノルタ時代であれば、SR-7,X-7,X-700,α-7000,α-7等
コニミノ時代では、DiMAGE 7,α-7 Digital
SONY時代では、α700,α77,NEX-7,α7等である。

で、9は最高位機種(α-9000,α-9.α900,α99、α9等)
次いで、5,3,1が中級~エントリー機用の型番となっていた。

しかし本機α65における「6」は、ミノルタ時代では大変に
珍しく、X-600位しか記憶していない。
また「8」の機種はミノルタではα-8700i,α-807si等があった。
ミノルタ時代の6や8は、奇数番号が埋まってしまっている際に、
後継機等において補助的に展開したラインナップだと思われる
のだが、SONY時代では結構、偶数番台は使われている。
例えば「6」であれば、
Eマウントでは、NEX-6,α6000,α6300
Aマウントでは、本機α65,後継機α68がある。

SONY時代の型番ルールは、ミノルタの物を踏襲しているとは
言え、そこまでの厳密性はない模様で、さらに言えば
2010年代以降は一眼・ミラーレス混在期で、かつ市場が飽和
してしまっていて、旧来のように価格別でラインナップを組む
という訳にも行かなく、番号付けルールが崩れて来ている。

そして日進月歩のデジタル時代であるから、新機種の方が
番号が低くても性能が良いというケースも多々ある話だ。
よって、このあたりの型番ルールについては「だいたい」で
あると思っておくのが無難だ。

それと、2010年代後半からSONY Aマウント機はα77/99系
の高級機しか存在しておらず低価格機は無くなってしまっている。
c0032138_18065829.jpg
前置きが長くなったが、本機α65である。

本機は型番から言えばSONY α77(2011年)のスペックダウン版
と言う事になる。

私はミノルタ系(SONY含む)のカメラを買う場合は、7番台を
買う事が、これまでの通例であった。7は流石に栄光の型番だ、
新機能等がふんだんに入っていて、気合が入った名機ばかりで
あったからだ。

それが何故、6番台のカメラを買う事になったか?といえば
少々話が長くなるのだが、2010年代に主にドラゴンボート競技
撮影用の「望遠母艦」の一眼レフを旧機種からリプレイスする
必要が生じた。

その際、主に使用するマウントは2つあって
1つがCANON EFであり、こちらはEOS 20D→30D→7Dと
順次リプイレイス済み。ただ、EOS 7Dは第10回記事でも
書いたが、若干重く、より軽量なシステムを必要としていた。

もう1つのマウントはαであり、こちらはα-7 Digital→
α700と引き継いで来たのだが、α700の超晴天時での発色が、
どうも気に入らず、またAWBの不安定さもあって、現行世代
(2010年以降)のαにリプレイスする必要性を感じていた。
c0032138_18065681.jpg
2010年に発売されたα55は、SONY現行世代の一眼レフであるが
これは従来のデジタル一眼レフとはかなり構造が異なる。
一応「レフ」でありミラーがあるが、半透明固定式ミラーであり、
銀塩時代からあったペリクルミラー(例:EOS-RT,EOS-1N RS)
方式と類似だ。

α2ケタ機では光学ファインダーは搭載せず、EVFとなっている。
つまり、センサーの画像を直接見るライブビュー方式だ。
ある意味、ミラーはあるのだがミラーレス機の一種でもあり、
あえて言うならば一眼とミラーレスのハイブリッド機だ。

この革新的な機体に、何故か栄光の「7」は付かず、
α55となったのだが、翌2011年のα77で、やっと7番が出た。

私は、α77は「α700のリプレイス用に」と発売当初から注目
していたのだが、各部の操作時の反応がちょっと鈍重に感じる、
という弱点があり、即時の購入は保留した。買うならば時代が
過ぎて、すっかり中古価格が下がった頃にしようと思った訳だ。
その後2014年にはα77Ⅱが発売され、2015年にはⅡの中古も
市場に出始める。

「そろそろ旧機種α77を買うタイミングだな」と2016年にα77
を探し始めた、しかし何故かα77が中古市場に全く無い(汗)
ついこの間迄は、いくらでもあったし、しかも4万円程度で
買い頃の価格だったと記憶している。

ネット上に無く、実店舗を廻る事とした。大阪と京都の多数の
中古屋を巡ったが、やはり1台も無い。と言うか、現行世代の
α(2ケタ番号)の各機種も殆ど無いのだ。
おまけに、それはα全般に波及し、第三世代(2000年代後半)の
α3ケタ機の中古も品不足になっている。
c0032138_18065641.jpg
原因は、中古市場で良くある「海外流出」を疑った。
国内中古市場で大量に余った旧機種等が、まとめて海外に輸出
される事は良くある。概ねそれは国内よりも高値で売れる
可能性がある機種のような場合だ。
または2016年はオリンピックイヤーだ、海外に対してブランド力
の高いSONY製品が、まとめて中古市場から一掃されたのかも
知れない。
インバウンドの「爆買い」が中古カメラ市場にまで及んでいる
事も疑った。通常の観光客ならば、それは無いかも知れないが、
例えば、中古カメラを日本と中国間で売買する事を生業として
いる中国人ブローカー(せどり)も個人的に知っている。

まあ、このあたりはあくまで推測だ、いちおう中古店に裏事情を
聞こうと試みたのだが、「さあ・・?」と、知ってから知らずか
情報は聞き出せなかった。
原因はともかく、中古市場に無いものは無い。
(注:2017年現在では流通が復活している)

これは困ったなあ・・と、ドラゴンボートのシーズンが近づいて
きた時点で、私は少々焦っていた。
c0032138_18070174.jpg
丹念にウォッチしていると、たまたまα65の中古が1台出た。
すぐさま購入予約をして取り寄せて貰った。

α65に関しては完全にノーマークであった、「α77の廉価版」
程度の知識しか無く、その詳細なスペックは知らない(汗)
慌てて取説をダウンロードする、まあ、それを全部読めば
だいたいどんなカメラかは理解できる。

説明書を読む限りでは、α77と大きな差異は感じられない、
シャッター速度が1/4000秒止まり、1ダイヤル操作系な事、
連写性能が秒12コマから秒10コマにダウン、測距点数が減った事、
そしてAUTO ISOの高感度側設定に制限がある事、さらに、
背面の自在アングルモニターの構造が少し異なる点だ。
ただ、これらはたいした差ではなく「問題無し」と言える。

それでいて本体重量が658g→543gと、α77より100g以上も
軽量化されているのは好ましい。

そして良く見ると、Eマウントミラース機 NEX-7 (2012年)
と共通のスペックが多く見られる、NEX-7は既に長期間使用
しており、個人的には高く評価しているカメラだ、
そうであればα65で何ら問題ない、すぐさま購入しよう。
c0032138_18065661.jpg
実際に手にしたα65は小さく軽く、なかなか良い。
超望遠ズーム(例:TAMRON 200-500mm)を装着した際の
バランスはレンズヘビーとなるが、重心を意識すれば問題無し。
トータルの重量も装備状態で2kgを軽く切り、EOS 7Dと他の
望遠の場合の2.3kgと比べて格段に軽量だ。

一応各部動作が問題ない事を確認、ファームウェアが最新で
ある事も確認、カスタム設定も全て行った。

あとは実用性能だな・・ここは、もう直接実戦で確かめよう。
ドラゴンボート大会撮影に、ぶっつけ本番で持ち出す。
一応、万が一の初期故障に備えロングズーム機を予備に持って
いき、保険をかけておく。
c0032138_18064222.jpg
実用性は極めて快適だ、上下の2枚の写真は冒頭のSAM85/2.8
ではなくTAMRON 200-500/5-6.3(A08)での撮影だ。
(ミラーレス・マニアック第65回記事)
c0032138_18064204.jpg
さて、α65の基本スペックと特徴であるが、

撮像素子はAPS-CサイズCMOS 2430万画素
手ブレ補正内蔵、ゴミ取り機能つき。

ファインダーは236万ドットEVF、視野率100%でNEX-7と同じだ、
この解像度であれば、ピーキング機能とあいまって、EVFのみで
MF操作も問題は無い。

AF方式は「トランスルーセント」(半透過)ミラーによる
位相差方式。これはコントラストAFより遥かに精度が高い。

連写性能は、連続撮影優先で秒10コマ、高速で秒8コマ、低速で
秒3コマと、全く文句のない性能。ただし、実際の使用上では
秒8コマや10コマでは速すぎて、後の選別編集で時間がかかる。
その「編集コスト」を考えると秒5コマ程度の設定も欲しい。
(又はニコン機のように低速時のコマ数を設定可能とする等)
なお、連続撮影優先モードにすると、エフェクト不可等、
少しだけ機能制限が出てくる。

最大連写枚数は画質設定条件で異なるが最大18枚位と物足りない、
せっかくの高速連写機、他社機のように「無制限に撮れる」位の
スペックが欲しい所。なお、同一の回路構成と思われる上位機
α77やミラーレス機NEX-7も、ほぼ同様のスペックである。 

最高シャッター速度は、1/4000秒と物足りない、
ここがα77(1/8000秒)との最大の仕様的差異であろう。
大口径レンズ使用の場合には、NDフィルターが必須となる。
なお、さしもの高機能なα65でも、デジタルNDフィルターは
搭載されていない。
c0032138_18070199.jpg
測距点は15点、中央部と左右に分離されていて変な並びだ。
いくつかのエリア設定やAFモードを選べるが、ミノルタα時代
からの伝統のDMF機能(第7回記事参照)は非搭載だ。
同様に銀塩αからα700頃まであったグリップセンサーも非搭載。
この時代(2010年代)なんだか、やっとSONYがミノルタ時代からの
呪縛から逃れて、独自のデジタル一眼レフを作れるようになって
きたように思える。

ISO感度は100~16000。これはα77やNEX-7と同じ、
ただし本機のAUTO ISOは100~1600の範囲でしか使えない。
(α77は範囲設定可能で、最大100~12800)
何故こんな小さいところでスペックを差別化しているのか
わからないが、元々SONYのカメラは高感度領域については厳しい
仕様としている場合が多く(第7回記事参照)ビギナーが安易に
AUTO ISOで高感度域を使って「ノイズが多い」という評判が
立つ事を嫌っているのかも知れない。

なお、NIKON機やPENTAX機のように、M/TAV露出モードでISOが
露出値に自動追従する機能は無く、それどころかα65では
M露出モードにするとAUTO ISOそのものが効かない。

まあ、いずれのケースても手動ISOで使えば問題は無いが・・

発色や絵作りだが、まず、発色についてはα700(2007年)
の時代からかなり改善されている。
もっとも、この点に関して言えば、2008年位に「断層」があって、
その後のデジタルカメラは各社ともに発色が向上している。
この事実を持って、本シリーズ記事では「第三世代」を、
発色が良くなった時代として区分しているのだ。

絵作りに関しては、前記事第12回のPENTAX K-5と同様に、
「ピクチャーエフェクト」機能が存在している。
その内容は、トイカメラ、レトロフォト、ソフトハイキー、
絵画調HDR、リッチトーンモノクロ、ミニュチュア等多数。
α77やNEX-7とほぼ同等だ。
c0032138_18064221.jpg
これらのエフェクトは、十字キーの下ボタンで即時呼び出せ、
操作性には優れている。

なお、HDRとリッチトーンは複数枚撮影による階調合成を伴う
ので、連写等が出来ない他、撮影前の効果確認もできないし、
撮影後の画像処理も極めて時間がかかる。
また、ミニュチュアはNEX-7では所定の位置をスイートスポット
とするいくつかの設定を選ぶ形だが、本α65では十字キーで
効果位置を変更でき、エフェクト選択操作系が向上している。

エフェクトに加え「クリエィティブスタイル」が設定できる、
こちらは、ビビッド、白黒等のモードが指定可能だ。
なお、彩度、コントラスト、シャープネス設定は、全体に
掛かるのではなく、クリエィティブスタイル毎に設定する。

いずれにしても、PENTAX K-5や他の一眼レフのエフェクトと
大きく異なる点は、本機ではミラーレス機同様のEVFによる
ライブビューなので、撮影前に効果が確認できるという事だ。

光学ファインダー機ではこうは行かない。
ミラーレス・マニアックスのシリーズでも良く書いていたが、
これはEVF機(ライブビュー機)の大きなメリットだ。

ただ、本α65ではSONYのミラーレス機やアダプター使用時の
ような絞り込み(実絞り)測光ではなく、Aマウントレンズ使用
の場合は開放測光となる。
この為、絞りプレビュー操作を行わないと、被写界深度は
確認が出来ない。これは一眼レフの操作概念に合わせてあるから
だろうが、ミラーレス機に合わせてもよかったかも知れない。

すなわち、ミラーレス機NEX-7等では純正Eマウントレンズでも、
絞込み測光なので、絞り値を変更してもプレビュー操作無しで
そのまま被写界深度やボケ質が確認できる、という意味だ。

なおNEX-3等にあった、単に”絞り値を変更するだけの操作”を
「背景ぼかし」と称する不正確な用語表現は無くなった。
さすがに本機は一眼レフである、ちゃんと「絞り優先」モード
の項目には「絞り値を変更し、被写界深度を変える」といった
主旨の説明が書かれている。

まあこれが当然であろう、新しい用語を変に作って混乱させる
ような事は好ましくないし、そもそもビギナーがNEX-3に標準
ズームをつけて中距離被写体を平面的に撮る状況では、絞り値
を変えても被写界深度の変化の効果は殆ど出ない事であろう。
その際に「何故、背景ぼかしを廻しても背景がボケないのだ?」
とクレームが出て困るのは、メーカー側の方ではなかろうか・・
c0032138_18070160.jpg
記録メディアは、SDとメモリースティック(MS)(Pro Duo)
の共用スロット。

なお、記録画素数だが、まず3:2と16:9のアスペクトが選べ
3対2の時には、Lが24M、Mが12M、Sが6Mとなっている、
これは同じセンサーを用いるNEX-7等も同等であるが、
最低画素数が600万画素というのは、やや大きすぎると思う、
用途によっては、もっと小さい画素数で十分な場合もあるのだ、
まあ、最大記録画素数が2400万画素と大きいので、その半分、
半分となるのが普通なので、やむを得ないかも知れない。
それから、画素数は後述の「デジタルテレコン」機能に影響する。

なお、JPEGの圧縮率は計算上適正だ、初期のNEXのように
圧縮率の設定にバグがあって、計算値よりも2倍程ファイルサイズ
が大きくなる欠陥は解消されている。

「スマートテレコンバーター」という機能が搭載されている、
SONYで言う「スマート」とは、デジタルズーム等の拡大機能の際
画像処理ではなく、記録画素数を減らして拡大しているのと
同様な効果を得る事である。
c0032138_18064118.jpg
この機能は画質が劣化しない事がメリットであるが、PC上で
トリミングをしているのとほぼ同じ意味である。
その為、テレコン1.4倍では記録画素素がM(12M)に、2倍では
S(6M)に自動的に制限されてしまう。画素数が変わるという事を
認識した上で使うのが良いであろう。

まあ、後でトリミングする手間が省けるのと撮影時に作画したい
構図が得られている事、また、やや高度だがテレコンで画面内の
輝度分布が変わるので露出補正操作が少なくて済む事、などが
メリットだと思う。
ドラゴンボート競技の撮影では、この機能は非常に重宝する。

内蔵手ブレ補正は恐らく変化した画角に追従していると思われる
が、超望遠域では手ブレに十分注意する必要がある。
特に本機のAUTO ISOは1600までしか上がらないので、
1000mm相当とかの超望遠域では確実にシャッター速度が不足する。
手動ISOでシャッター速度を確認しつつ本機能を用いる必要があり、
上級者向けだ。

なお、テレコン機能は、手ブレ補正と連動しないのであれば、
連続可変型(デジタルズーム型)に出来たかも知れない。
例えばLUMIX DMC-G5/G6(注:内蔵手ブレ補正機能は無い)
では、カメラ前部の操作子にデジタルズーム機能を割り振れる。
これは極めて快適な操作系となるのだが、2倍までの拡大率を期待
すると、本α65と同様のトリミング原理から最大画素数の4分の1、
すなわちG5/G6での最小画素数に設定しておく必要があるので、
高画素数が必要で無い場合のみ有効だ。

ちなみに、内蔵手ブレ補正を持つDMC-GX7でアダプター使用時に
この機能を用いると、とたんに手ブレ補正が正常に動作しなくなる。
まあ、見かけの焦点距離が変化するので補正角度も変化するから
原理上はやむを得ない。で、本α65にように純正レンズにおいて
テレコン程度であれば、内蔵手ブレ補正は追従可能という事だ。

それから、本機α65と同じ中身のNEX-7では、やはり内蔵手ブレ
補正機能を持たず、その為「プレシジョン・デジタルズーム」の
搭載が可能となっている、これは計算(画像処理)により画像を
拡大するデジタルズームで、原理的に画質劣化を伴う。
しかし、最大10倍まで連続可変できるのは大きな魅力であり、
100mmくらいの焦点距離の中望遠レンズをつけておけば、
実質手持ち限界の1500mm相当位まで一気に連続拡大ができる、
ただ画質劣化があるので実用上では4倍拡大前後までが限界値だ。
なお、NEX-7にスマートテレコンバーター機能は搭載されていない。

動画撮影が出来るが、AVCHD規格なので他社互換性が少ない。

メニュー操作系は優れていて、おまけにEVF機であるから、
EVF内に簡易コントロールパネルが表示され、カメラの基本設定
等の操作が出来てしまう。ファインダーを覗いたままで多くの
設定操作が可能な事は多大なメリットだ。
c0032138_18070117.jpg
モニターは92万ドットの自由可変型、α77より若干構造が
簡略化されているが、まあ、動く事は同じなので問題は無い。
それと、ここはちょっと脆い構造と思われるので、モニターを
浮かしたままで撮影するのは、過酷な撮影状況においては
ぶつけて壊すなど、かなりリスキーだ。
ここは、α77でも同様であり、業務用途の撮影向けではない、
他社機では業務用の高級機が固定モニターになっている場合が
あり、それはこの破損リスク低減の為だと思われる。

なので、上記EVF内で殆どのカメラ設定が出来る事を活用し
背面モニターは裏返して収納位置で撮影を続ける事も可能だ。
こうすると、破損リスクが無い他、背面モニターをぶつけて
傷をつける事も無い(自動再生はEVF内で出来る)

バッテリーは例のインフォリチウム型で、これは互換バッテリー
が使えず、好みで無い、とSONY機の記事では毎回書いている。

その他色々あるが、概ね高機能・高性能機であると言えよう。
c0032138_18070216.jpg
本機の最大の長所であるが、一眼レフとミラーレスの
「良い所取り」であろう、それゆえの高性能・高機能は実用上の
不満は殆ど無い。

逆にそれが短所にもなりうる、例えば本α65を購入する中級
ユーザー層が、本機の全ての機能を使いこなせるであろうか?
まずそれは無理だ、仮に上級者と言えども、この内容を全て
理解し、必要に応じて使いこなすのは困難だと思われる。

この点、前記事のK-5と似たり寄ったりだ、現行世代(2010年代)
の一眼は、過剰な位の高機能となっている。そのK-5の記事では、
基本スペックの話が大半となってしまって、独自の視点の評価が
出来なかった事を反省したが、今回も同様だ。つまり機能が
多すぎて、きりが無いのだ(汗)

機能が多いので「?」ボタン(HELP機能)が存在する、ただし
これが不要な場合でも、?ボタンに他の機能をアサインできない。
ここは、かなり不満だ(α77も同様か?)

また、1ダイヤル操作系で、前ダイヤルかつ露出補正ボタンが
前にあり、露出補正操作がやりにくいのは難点だ。
c0032138_18070221.jpg
他の弱点だが、開放測光である点は一眼レフであると思えば
当然だが、ミラーレスもどき、と考えれば少々不満である。
NEXのように絞込み(実絞り)測光とすれば、ボケ量、ボケ質の
確認も出来た筈。

その他に大きな弱点は無い、非常に良く出来たカメラである。
本機があまり評価され無いのは、優秀な兄貴のα77の存在で
あろう。だとすれば、かなり勿体無い話だ・・

----
さて、本機 α65に対応する銀塩名機であるが、
ランクを超えた高性能機として α-SweetⅡ(2001年)
を上げておこう。
c0032138_18064109.jpg
ミノルタ最終期の銀塩AF一眼、当時のミノルタの価格別
ラインナップは多少崩れてはいたが、エントリークラスながら、
中級機をも上回るスペックの、超軽量スーパーサブ機だ。
私はデジタル時代になってからも、α-7/9のサブ機として
2000年代半ばまで使い続けた。

本機α65と同様、派手で優れた「7番台」の兄貴分の影に隠れて
目立たなかったが、決してあなどれない名機である。
c0032138_18070111.jpg
さて本機α65入手価格だが、2016年に中古で約32000円であった。
少々高目ではあったがαの品不足もあってやむを得なかった。
が、性能からすると納得がいく価格だ。

最後にSONY α65 の総合評価をしてみよう。
(評価項目の意味・定義は第1回記事参照)

【基本・付加性能】★★★★
【描写力・表現力】★★★☆
【操作性・操作系】★★★☆
【マニアック度 】★★★☆
【エンジョイ度 】★★★★
【購入時コスパ 】★★★
【完成度(当時)】★★★★
【歴史的価値  】★★
★は1点、☆は0.5点 5点満点
----
【総合点(平均)】3.4点

特殊な構造で、一眼レフとミラーレスのハイブリッド機とも
言えるカメラであるが、小型化した割りに基本性能をさほど
犠牲にしておらず、トータルの完成度が高い。

α77やNEX-7譲りの優れたバックボーンを持ち、高機能であるが、
NEX-7ほど複雑化せず、誰にでも使いやすいカメラになっている、
勿論、高機能を活用する事で、これまでの一眼レフでは
考えられ無かった新しい撮り方も出来る。

全体的に殆ど不満が無く、本機α65は、隠れた名機とも言えよう。

次回シリーズ記事に続く。

Viewing all articles
Browse latest Browse all 791

Trending Articles