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ミラーレス・マニアックス名玉編(3)

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「名玉編」、その3。
このシリーズでは、ミラーレス・マニアックス記事で紹介した
多数のレンズ(延べ約330本)を、描写表現力、マニアック度、
コスパ、エンジョイ度、必要度の5つの評価項目で採点し、
順位ランキングをつけて再度紹介している。

各評価項目は、いずれも5点満点で採点する、今回シリーズ3回目
では、それら5項目の平均点が4.2~4.3点のレンズを紹介する。

4.2~4.3点のレンズは計6本あったが、それらの中から便宜上
5本を選び、10位~6位として適宜順位付けしてみよう。

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さて、まずは第10位から。

第10位:コンタックス Nシステム Planar 85mm/f1.4
c0032138_19550953.jpg
・描写表現力:★★★★★
・マニアック:★★★★★
・コスパ  :★★(購入価格:110,000円)
・エンジョイ:★★★★☆
・必要度  :★★★★☆
・評価平均値:4.2
(★=1点、☆=0.5点)
c0032138_19555410.jpg
第13回記事で紹介した、2000年代のAF大口径中望遠レンズ。

悲運の「Nシステム」だが、京セラCONTAX一眼レンズの隠れた
逸品だ。

コンタックスのMF一眼時代のY/C(RTS)マウントでの名レンズは、
他に(RTS)Planar 100mm/f2(第32回、第61回記事)が存在し、
評価点の上位に上がってくるか?と思っていたのだが、残念
ながら平均4点に僅かに及ばず、ランキング圏外となった。
「コスパ」の悪さと、優等生的な描写で「エンジョイ度」が
少し低くなってしまったのが災いした感じだ。

本レンズもコスト高ではあったが、全般的なパフォーマンスが
高いので、「コスパ」は最低点ではなく、なんとか2点の評価に
留まった。
c0032138_19562531.jpg
類似の仕様のコシナ・ツァイス Planar 85/1.4(第43回記事)は、
銀塩時代の(RTS)Planar 85/1.4(現在未所有)と同一設計であり、
厳しく言えば「RTS時代のプラナーの弱点を引き継いでしまった」
レンズでもあり、購入価格が本レンズと同様の10万円オーバーで、
コスパは最低評価の1点だった。
その本家RTS Planar 85/1.4であれば、4万円台で中古購入可能な
時期もあったので、コスパ評価は若干良くなるが、やはり弱点が
多くて性能が安定しないのでランキング入りは無理であろう。

RTS系Planar 85/1.4は、たまたま当たった際の描写力は物凄い
ものがあるのだが、撮影条件を整えるのは困難であり、歩留まり
(成功率)が悪く、加えて現在は相場が高騰してしまい、
残念ながらランキングレンズには成り得ない、という感じだ。

他のRTS系一眼用レンズでは、描写安定度の高いRTS Planar
100mm/f2だけが唯一のランクインの可能性だったのだが、
こちらが入って来なかったのは、好きなレンズであるが故に、
少々残念であった。
c0032138_19565480.jpg
本N Planar 85/1.4をアダプターで使用するのは少々難しい。
電子接点での絞り制御の仕様であり、Nマウント用の
電子アダプターは殆ど発売されていないからだ。

今回使用しているアダプターは機械絞り羽根内蔵タイプ、この
タイプはシリーズ本記事でもEOS用の物を何度も使用しているが、
光量調整のみ可能なものの、被写界深度、ボケ質の破綻回避等の
目的には使いずらく、かつ、絞り込むとケラれる場合もある。

だが、幸い本レンズの場合は絞り開放付近でのボケ質破綻が少なく、
また、「プラナー」であるが故に、あまり絞り込んで撮る事も
無いので、そのタイプのアダプターでの問題点が表面化しない。
なお、2000年代後半に海外でNマウントをEFマウントに改造する
サービス(高価である)があったのだが、それをやらなくて
よかったと思っている。

シリーズ本編では、様々な85mm/f1.4級レンズを紹介してきたが、
名玉編にランキング入りをしたのは、他にはPENTAX FA★85/1.4
だけであった(第44回記事、名玉編第18位)
85mm/f1.4というのは確かに仕様的には極めて魅力的であり、
多少無理しても買い揃えてしまうのではあるが、描写力以外の
点も含めた総合性能としては、それらの85mm/f1.4の全てが
上位に入って来る事は無い、というのは重要なポイントだ。
つまり、85/1.4は実用的なレンズとは言いがたい、という
意味にもなる。
c0032138_19574943.jpg
本レンズは、現在となっては入手困難なレアなレンズではあるが、
それもまた「マニアック度」への高評価には繋がっている。
入手できる可能性は低いとは思うが、参考まで。

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第9位:ヤシカ ML 35mm/f2.8
c0032138_19582682.jpg
・描写表現力:★★★★
・マニアック:★★★★☆
・コスパ  :★★★★☆(購入価格:7,000円)
・エンジョイ:★★★☆
・必要度  :★★★★☆
・評価平均値:4.2
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第53回記事で紹介した、1970年代のMF準広角単焦点レンズ。

これと言う飛びぬけた特長や個性は持たないレンズであるが、
総合力が高い。つまり、いずれの評価項目にも大きな弱点は無く、
トータルで高得点となっている。
c0032138_19593238.jpg
すなわち一般的な意味での「コスパ」が良いレンズであるという
事になる、同様な傾向を持つ準広角ではSONY DT35mm/f1.8
(第60回記事、名玉編14位)があるが、AF時代の「エントリー
レンズ」とMF時代のレンズでは、評価すべき内容(見方)も
変わってくるであろう。
まあ、例えば、趣味性が高いか否か、というのも重要な要素だ。
それが「マニアック度」の評価にも繋がる。

本レンズは、ボケ質の良さや、最短撮影距離が30cmと、そこそこ
短い点も長所である、逆光耐性もさほど悪くない。
まあ、それらの総合的な性能の良さが、今度は逆に使いこなしに
面白さをあまり感じない要素にも関係してくる。
「エンジョイ度」の評価があまり高くならない事がそれだ。

つまり、逆説的に言えば、誰がどのように使っても、そこそこ
良く写るレンズだ、という事になる。
銀塩時代のCONTAX党の人が、同一のY/Cマウントの本レンズを
比較的高く評価していたのは、そういう理由もある。
もう少し具体的に言えば、1980年代までのCONTAX一眼用レンズ
は他社製品に比べ相対的に高価であった、そのような高価な
システムを、簡単に買ってしまうようなユーザー層は、その
全ての人が高い撮影技術を持っているという訳でもあるまい。
言ってみれば、一部は「道楽」のようなものであったと思う、
勿論全てのCONTAX党がそうではなかったが、本レンズが昔から
好評価だったのは、そういった背景も関係するかも知れない。
c0032138_19595765.jpg
弱点は特に無い、あえて言えば入手性くらいだろうか。
現代における中古入手性は、あまり良く無いと思う。
少々レアになってしまっているのだ、が、その分「マニアック度」
は高い、見つけたら買っておいて損は無いレンズだと思う。

なお、高い値段であれば買う必要は無い、それであれば、
同マウントではCONTAX(RTS) Distagon 35mm/f2.8(第56回記事)
の方が最短撮影距離以外の描写性能は優れているので、入手が
しやすいそれを選ぶのも良いし、そもそも他マウントでも
MFの35mm/f2.8級には、そこそこ安価で優れたレンズが沢山存在
している。ミラーレス機で使う上では、どのマウントのレンズを
選んでも問題は無い。
安価でマニアックであるからこそ、本レンズを使う意味がある訳だ。

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第8位:オリンパス OM SYSTEM ZUIKO MACRO 90mm/f2
c0032138_20001810.jpg
・描写表現力:★★★★★
・マニアック:★★★★☆
・コスパ  :★★☆(購入価格:50,000円)
・エンジョイ:★★★★☆
・必要度  :★★★★☆
・評価平均値:4.2
c0032138_20013128.jpg
第5回記事で紹介した、1970年代(?)の MF大口径中望遠マクロ
レンズ。

同じくオリンパスの銀塩一眼時代(OM時代)の名レンズとして、
1980年代のOM 100mm/f2(第19回記事)が存在する。
これも上位に入ってくるかな?と思っていたのだが、前述のRTS
Planar 100/2と同様に、まずは「コスパ」の悪さ、そして
優等生的で「エンジョイ度」が低かった。
さらには、そのP100/2が存在している事から、特性が被った
OM100/2の必要性が若干低く評価されてしまい、P100/2と同様、
平均4.0の評価点にわずかに届かず、ランキング圏外となって
しまっていた。
OM100/2も好きなレンズだけに紹介できなかったのは少々残念だ。
c0032138_20015504.jpg
本レンズの「描写表現力」の得点は高い、
珍しいf2級中望遠マクロであるというのも理由の1つであろう。
勿論、肝心の「描写力」も基本的には非常に良い。

弱点は、まず描写に若干のコントラストの低さを感じる事がある。
ただ、その点については、カメラの設定等でどうにでもなる。
また、逆光性能も僅かながら問題ありだが、オールドレンズなので
このあたりはやむを得ない、フードを装着するのが良いと思う。

それからOMレンズにしては大きく重い事がある、だが、それは
OMであるからと考えればそうだが、大柄なミラーレス機に装着
する上では問題無い。
今回は望遠母艦のDMC-G5に装着しているので、180mm相当と
かなり画角が狭いが、まあ、望遠マクロだとして考えれば
被写体探しに問題は無い。、

画角が狭くなるのが嫌であれば、APS-C機でもフルサイズ機に
でも装着すれば良いし、「マクロは90mmでなくちゃ」等の
一般常識的な点に拘るようなビギナー向けのレンズでもなく、
あくまで上級者向けだ。
結果として「マニアック度」や「エンジョイ度」の評価が高いが、
使いこなしには工夫や技術が必要だと思う。
c0032138_20022714.jpg
本レンズはレアである、入手性はかなり悪い。
ごく稀に中古を見かける事があるが、プレミアム相場となって
しまっていて、7万円や8万円はざらかもしれない。
しかし、中古店側の言い値とか、オークション等での際限ない
高値入札などで買うのは癪だろうから、欲しければ丹念に
足で出物を探すしか無いと思う、でも、出すとしても6万円迄だ。
それ以上高価になるのであれば、その予算で、
旧型のTAMORN SP AF90/2.8 Macro
旧型のSIGMA AF105/2.8 Macro
初期型のミノルタ AF50/2.8 Macro
の名マクロ3本が同時に買えてしまう、
それらと、このOM90/2Macro のたった1本を天秤にかけるのも、
ちょっと妙な話であろう。それが「コスパ」の考え方だと思う。

銀塩OMシステムを組む上では必須のレンズではあったが、
現代のミラーレスで使う上では勿論他にも優秀な90mmマクロは
存在する為、「必要度」は満点には至らなかった。
総合的には良いレンズではあるが、入手性等を考えると
上級マニア向けであると思う。

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第7位:フォクトレンダー NOKTON 25mm/f0.95
c0032138_20025304.jpg
・描写表現力:★★★★★
・マニアック:★★★★★
・コスパ  :★★☆(購入価格:84,000円)
・エンジョイ:★★★★☆
・必要度  :★★★★☆
・評価平均値:4.3
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第0回、第10回記事で紹介した、2010年代のMF超大口径単焦点
レンズ。

μ4/3機専用なので換算画角は50mm相当と、標準レンズと呼ぶ
べきかも知れないが、無理やり他のAPS-C機やフルサイズ機に
装着する事も、イメージサークルの小ささの問題を除き、一応
可能である。
なので、これを標準(画角)レンズと呼んで良いものかどうかは
曖昧だ。

長所は、やはり、その超大口径を生かした圧倒的とも言える
ボケ表現力である。
それを増長する上でも、本レンズの最短撮影距離のスペックは
17cmと、驚異的と言うべき仕様となっている。
ほぼマクロレンズ並みである上に、近接撮影ではさらに被写界
深度の浅い撮影が可能で、f0.95の凄さを実感できる。
c0032138_20051435.jpg
ただし、使いこなしはかなり難しいレンズだ。
その筆頭は勿論、極薄の被写界深度であり、本レンズ購入時
(2010年頃)に、MF性能に優れたLUMIX DMC-G1(青)を購入し、
本レンズ専用機としたが、最初の頃はピントがほぼお手上げで
あった。
その後、数年間にわたり数万枚程度撮影したので若干慣れては
きたが、慎重なピント合わせには、ほぼ毎回の拡大表示が必須で、
撮影の時間はかなりかかってしまう。
近年、様々な後継μ4/3機を入手してはいるが、ピーキング機能が
あっても浅い被写界深度の関係で精度が上がらず、
「結局G1でも変わりないかあ・・」と開き直って、依然、旧式の
G1を本レンズの母艦としている。

使いこなしの難しさは、ピント合わせのみならず、被写体の
選び方もまた難しい、浅い被写界深度への対応は、たとえば、
密接した異なる距離が多く含まれる被写体(桜、紅葉、紫陽花
等が、その典型例)では、ピント位置があいまいになってしまい、
いい感じに撮れない。
c0032138_20053586.jpg
したがって、平面的かつ背景や前景との距離差がある被写体、
つまり極端な例をあげれば、平板な看板や人形があって、そこに
ピントを合わせ、他はズドーンとボカす、という類の距離関係の
被写体を選ぶのが本来だ。
人物撮影も同様に難しい、不自然なまでに被写界深度が浅すぎるし、
適当に絞って撮るのであれば、他にもっと人物撮影に使いやすい
レンズはいくらでもある。

だが、これらの課題は、姉妹レンズのノクトン42.5mm/f0.95
(第0回、第14回、第41回)の方が顕著であり、さらに手に
負えない。
けど、ノクトン42.5/0.95に比べると、本レンズの方が、収差から
来るハロの発生問題などについては、若干安定性が高く、僅かに
使いやすい。

まあでも、こういう「難しいレンズ」は、それを使いこなす事が
楽しいのであって、変に「安定性の高い描写力」とか
「被写体を選ばない」では、面白味に欠ける場合もある。

それらの理由もあって、本レンズの「エンジョイ度」は、本来は
5点満点を与えてもよかったのだが、あえて0.5点減点している。
c0032138_20060048.jpg
面白いレンズではあるが、使いこなしがかなり難しいので、
誰にでも薦められるものでは無い。
また、絶対に撮らなければならない状況で使えるレンズではなく、
完全な趣味撮影向けである。

それから、f0.95レンズはND(減光)フィルター使用が必須だ。
これは弱点では無いが、露出の原理を理解して使う必要がある。

価格が少々高いのも問題点だ、「コスパ」の点数はあまり伸びて
いない。まあ、本レンズも、上級マニア向けとしておこう。

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さて、次は今回ラストのランキング。

第6位:フジフィルム XF 56mm/f1.2[T1.7] R APD
c0032138_20062394.jpg
・描写表現力:★★★★★
・マニアック:★★★★★
・コスパ  :★★(購入価格:110,000円)
・エンジョイ:★★★★☆
・必要度  :★★★★★
・評価平均値:4.3
c0032138_20070696.jpg
第17回、第30回記事で紹介した、2010年代のAF超大口径中望遠
レンズ。

最大の特徴は「アポダイゼーションフィルター」の搭載である。
その詳細は、シリーズ第17回記事等過去何度も記載しているので、
今回は割愛するが、簡単に言ってしまえばグラデーション状に
周辺が暗くなるフィルターをレンズ内の絞り機構の近辺に配置し、
結果的に、「ボケ質が極めて良好になる」仕組みの事である。

同じアポダイゼーション機構を持つ従来レンズ、ミノルタ
(SONY版もある)STF135mm/f2.8[T4.5](第17回記事)との
比較においては、本レンズはAFが効くこと(STFはMFのみ)、
焦点距離に汎用性が高い事(STFは、APS-C機やμ4/3機では
ちょっと長すぎる)が上げられる。

なお、近年、LAOWAという中国のメーカーから、
STF,APDに続く3本目のアポダイゼーション・レンズである
105mm/f2 Bokeh Dreamerが発売された模様だ。
約10万円だがSTFやAPDよりも安価だ。(下手をすると買って
しまいそうなので、見ないようにしている・笑)
c0032138_20074599.jpg
本レンズAPDの長所は多い、ともかく最良のボケ質を発揮できる
事から、人物撮影はもとより、なにげない、ごく普通の風景すら
もドラマチックな映像表現にしてしまう事が可能だ。

「ボケ量」を大きく出来るレンズは本レンズでなくても、
例えば各社85mm/f1.4級レンズや、ノクトン42.5mm/f0.95、
あるいはマクロレンズでの近接撮影など、いくらでも代わりが
あるのだが、「ボケ質」が最良というレンズは数える程しか無い。
多くのレンズは、ボケ質が良いとか言う以前に、撮影被写体や
レンズ性能などの各種条件によっては、ボケ質が汚くなる
「ボケ質破綻」を起こしてしまうくらいだ。

ボケ質破綻をどのようにして回避するか、というのは毎回かなり
頭が痛い問題であり、まあ撮影条件を変えれば良いのだが、
同時に撮影時間もかなりかかってしまい、時間的コスパが悪い。
まあ、幸いにしてデジタルなので同一被写体で条件を変えて
複数枚づつ撮影しても、銀塩時代のようなフィルム代や現像代と
いった撮影コストは浪費しないが、メモリーカードやバックアップ
のHDD等の容量を余分に消費してしまったり、あるいは時間が
かかる事で撮影機会を逃したりするのは少々問題だ。

で、最大の問題点はレンズ側よりもむしろボディ側やXマウント
システムの仕様にある。
まず母艦としているX-E1では、本レンズとの組み合わせにおける
必要なAF精度・速度・操作系などのAF性能が得られない事だ。

ちなみにMFでも、操作系や性能全般が劣悪であり、ピント合わせ
全般が致命的な課題である。

カメラを変えるのがベターなのだが、後継機の像面位相差AFで
若干AF性能は救済されるかもしれないが、AF操作系やMF性能
(操作系)は改善されておらず、また後継機は現状割高で
コスパも悪いため、当面はX-E1を使わざるを得ない。
予算的な面からも、わずかな改善点だけを求めて次々と新機種を
買う訳にはいかないのだ。「コスパ」などの概念を強く持って、
購入機材を良く吟味していかないと、ボケ質破綻とか言う前に
経済破綻してしまう(汗)

また、Xシステムでは、レンズ側に絞りがついている、という
優れた「操作性」ながら、シャッターを半押しするまでは
開放測光であり、絞り込んだ状態で、すぐにボケ量やボケ質を
確認できるという風にはなっていない。

プレビュー(絞り込み)機能は存在するが、専用ボタンは無い。
X-E1では、自在に機能を割り振れるFnキーは、たった1つだけ
であり、他に、十字キーにも1箇所のみ機能を割り振れるものの、
他の十字キーは「無意味な」マクロ操作子が1つ固定されている
のと、残った2方向には何ももアサインできない(!)という
非常にお粗末な仕様だ。

で、他の重要な操作系を犠牲にし、プレビュー(絞込み)を
アサインしても、なんと、それを押すと、一眼レフの光学
ファインダーのように絞り込んだ光量までEVFやモニターが
真っ暗になってしまうのだ!
それでは、ミラーレス機の特徴が何も生かせていない状態だ。

で、本レンズにおいても、ボケ質の確認が事前にはできない、
本レンズを使いはじめた当初は「ボケ質破綻は起こらない」
という風に認識していたのだが、しばらく使っていると、
ごく稀に限られた条件で、絞り開放近くではボケ質破綻が
発生するケースがある。
よって、半押しプレビューを駆使して、実絞りでのボケ質の
状況を良く確認する必要がある。

なお、AFでピントが合わせにくい本レンズだが、MFモードに
切り替えてピーキング機能を使おうとしても、ピーキングの
精度は高くなく、かつ半押しでピーキング表示が停止してしまう。
上記半押しプレビューとの関連だと思うが、なんとも、色々な
制限事項があって、やりにくい操作系だ。
まあX-E1の操作系全般は、お世辞にも優れている訳では無い
のだが、カメラやXシステムの文句を言っていても始まらない、
元々は、本レンズが使いたい、というただ1つの理由で、
Xマウント機を購入したのだ。
それほど本レンズAPDの仕様や性能は魅力的であった訳だ。
c0032138_20081649.jpg
ボケ質破綻は微々たる問題点であり、よほどの悪条件が揃わない
かぎり、ほとんど全てのケースで、本レンズは最良のボケ質を
発揮してくれる。
逆光耐性が完璧ではなくフードが必須となる事もわかってきて
はいるが、それも小欠点に過ぎない。
AFが合わないのは重欠点ではあるが、そこはどうにもできない、
X-E1の問題なので現状では我慢して使うしかない。

現在では、Touit 32/1.8や、各種マウントアダプターを揃え、
Xマウントも充実させている。
けど、それは実は「早くX-E1を減価償却させる」という後ろ向きな
理由であり、Xシステムを好んで使っている訳ではないのだ(汗)

いずれ減価償却が済み、多くの問題点が改善された後継機に
買い換える頃、こうしたレンズ資産が有効活用できる状況になる
であろう。
だから、結局のところレンズの方にお金をかける必要があり、
カメラ本体はさほど重要では無い訳だ。
まあしかし、皆がそれに気づかず、中古市場に型遅れのカメラが
大量に溢れて、それらの相場が安くなってくれた方が、
私としてはありがたい話であり、皆が、この事にはあまり気が
ついては欲しくないのだが・・
c0032138_20083501.jpg
後は本レンズに関しては、値段が高いというのも大きな問題だ。
中古で11万円台(現在では少し相場が下がって10万円台)
というのは流石に高い。
これ以上の金額を出すとなると、もうコスパ的には、たとえ
どんなに写りが良いレンズであっても購入は無いと思う。
レンズ購入価格の限界値は12万円くらいまでが上限だ、
少なくとも私はそう認識している

で、APD無しのXF56/1.2Rであれば7万円台の中古価格で入手
可能だ、けど、仮にそのレンズの写りが優秀であっても、
アポダイゼーションという唯一無二の機構が入っていなければ、
さほど魅力は感じられない。

唯一のスペックである事、それはマニアとしては大きな収集の
為のモチベーションとなる、すなわち、ありふれたスペックの
機材にはあまり興味が持てない訳だ。
そういう意味でも本レンズの独自性は高い「マニアック度」の
評価を与える事ができる、満点を越えて6点にしても良い位
だとも思う。

----
さて、これで、10位~6位までの今回のランキングは終了。
なお、同じ4.3点の評価点であったが、今回紹介できなかった
番外のレンズとしては、以下の1本がある。

4.3点 ミノルタ STF 135mm/f2.8[T4.5] (第17回)

これはアポダイゼーションフィルターを搭載した特殊レンズだが、
第6位に同様の機構を持つXF56mm/f1.2 APDが存在する為、
特徴が完全にかぶってしまうので紹介を見送った。
勿論、STFもかなりの名玉である。これらにさらに興味がある方は、
第17回記事「特集 STF vs APD」を参照していただきたい。

さて名玉編3はこのあたりまで、次回ベスト5の名玉編4に続く・・

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