
2016年8月7日(日)に、滋賀県大津市・堅田(かたた)地区・
神辺なぎさ公園にて行われた「湖族船競争」の模様より、後編。
さて、今回、私も初観戦となる本大会であるが、前編および中編
では本大会にまつわる様々な背景等の情報を漏れなく伝えてきた。
色々な情報を持ってレースを観戦するのであれば、初観戦の場合
でも、ある程度、いや、かなり楽しめる事もわかってきた。
地元の自治会の部などは、さすがにほぼ95%の選手は知らない
のであるが、過去の戦績とかの情報が多少なりともあったので、
そんな状態であってもレース観戦は十分楽しめた。
さて、今回後編では、「一般の部」の決勝戦の模様を紹介しよう。
このカテゴリーには、ドラゴン専業チームである「小寺製作所」が
初参戦する。また、琵琶湖競艇場で毎年行われている。
「スモールドラゴン日本選手権」で、毎年和太鼓演奏を披露している
和太鼓集団「湖鼓Ro(こころ)」+「GPO」チームも参戦している。
「一般の部」決勝進出4チームのうち、半数は知った顔だ。
さあ、楽しみになってきた・・・

こちらは、「湖鼓Ro(こころ)」の鼓手の方。
先ほどの予選では、驚異の「16ビート打ち」を披露して
極めて格好よかった。
まあ、音楽的にはそれでとても良いのであるが、実際には
漕ぎ手は一定のテンポを正確に維持しながら漕ぐのは難しい。
「湖鼓Ro(こころ)」のテントに行ってみると、
湖「おまえ、さっきのレースではちゃんと漕いでいなかっただろう」
と冗談半分の仲間割れ。
はは~ん、やはり一定のテンポで漕ぎ続けるのは難しいのだろうな、
と、私は思ったのだが、それを彼等に言っても始まらない。
音楽の世界では正しいと思って身につけてきた事だ、それを急に
変えるのは無理だろうし、今のままでも十分に成果は出ている。
ならば、ちょっと視点を変えてもらうとするか・・
匠「さっきの予選ですけどね、ターンでちょっと膨らんで
しまいましたね、あれをもう少し上手くやれば3秒は
縮まると思いますよ」
湖「え? 本当ですか? 3秒も縮まりますか?」
匠「はい、間違いないです。
内側の漕ぎも大事ですよね、前2枚(2人)がブレーキで、
残りがハーフで軽く漕いでいたように見えましたが、
上手なチームはターンの最中にも全員漕ぎを止めません、
それをやれば、さらに速くなるかも」
湖「ふ~む」
匠「一般の部の予選1位の「小寺製作所」とのタイム差は14秒、
ターンを改良して縮めても、優勝はちょっと厳しいかも知れま
せんが、決勝は「出たとこ勝負」なので、まだわかりません。
そして、一応ドラゴンのチームである限りは、地元チームの
予選タイムは上回りたいですよね。
地元の予選最速は「小番城(こばき)」の4分19秒、
「こころ」さんが、4分23秒だったので、その差は4秒です。
これくらいは詰めていきたいところですよね。」
湖「よ~し、4秒は絶対詰めるぞ~!!」

これで「湖鼓Ro(こころ)」も、いい感じに目標を持って漕げる事
であろう・・
さて、そのライバルの「小寺製作所」の予選の模様であるが。

さすがにターンが上手い。
まったく無駄が無い様子だ。
前記事「高島ペーロン大会」では、決勝進出チームの戦力分析を
行ったが、「小寺製作所」はターンの項目が満点の5点であった。
本大会においても、往路からトップで入り、上手なターンで
くるりと廻る、他チームに先駆けて、いち早く復路の直線を
漕ぎ始める。直線も勿論他チームよりも速い。

ターンが終わった時点でも、まだ他のチームはターンにすら
入れない、この様子だと、他のチームは手も足も出ないと思う。
「小寺製作所」の予選タイムは、全チーム中トップの4分9秒。
しかし、私としては、もう少し伸びるようにも思えていた。
というのも、小寺は「高島ペーロン」の600m(本大会より
100mも長い)を、3分24秒で漕ぎきっているからだ。
選手の人達と話をしてみよう。
匠「小寺製作所さん、4分9秒はなかなかのタイムですね。
で、このレースの艇は、ドラゴンのちょうど半分くらいの
速度みたいですね」
小「・・ああ、なるほど、そんな感じですか」
匠「すると、この500mが1000m戦のタイムとほぼ同じかと・・」
小「げっ! 1000m! それを聞くと、どっと疲れます」
あっ! しまった(汗) これは禁句であったのだ・・
思えば、2014年、小寺製作所は滋賀県で行われた殆どの
大会で、入賞・優勝の素晴らしい戦績をあげ、その年の年末の
本ブログでの「ベストチーム編」で、堂々の第一位のチームと
なったのであった。
だが、その年、1000mの長距離戦だけは散々な戦績で、
「長距離に弱い小寺」というイメージが選手達にも蔓延している
様子であった。
ここで1000m戦を思い出してしまったら、選手達のモチベーション
を失わせてしまうかもしれない。 私はあわてて・・・
匠「まあ、長距離が苦手というものの、高島ペーロンは600m戦
ながら、ずっと”小寺”さんは好成績ではないですか。
確か2013年が2位、2014年優勝、2015年2位、2016年3位
でしたよね。高島の600mに比べれば、この大会は100mも
少ない500mですよ」
小「そうでした、100m短いですね、よし、頑張るぞ~!」
ふう・・ これでなんとかなるであろう(汗)
それにしても、各チームの過去の戦績はできるかぎり詳細に
記憶しておく必要がある。レース分析や、写真を撮る上での
参考データにするのは勿論、選手達との会話、ライバル関係、
ありとあらゆる所にこれが影響するのだ。正確な順位までは
必要は無いとは言えるが、それでも概略は絶対に必須だ。
まあ、私の場合、大会観戦記事を書く上で、それぞれのレース
の状況を必ず1度は文章に起こしているので、その際に覚えて
しまう要素が大きいと思う、これがもし、大会をただ単に
ボーっと観戦しているだけでは、きっと覚えきれないことだろう。
それから大会観戦前に、少なくとも前年の同じ大会の模様は
復習しておく必要がある、最終決勝順位は勿論の事、できれば、
準決勝で敗退したチームが何処かとか、各レースで変わった
事があったとかの状況やら、優れたタイム等もだ。
これを毎年繰り返すと、さらに各年度でのデータベースが
頭の中に蓄積されていく。
この事が、写真撮影をはじめ、あらゆる事に役に立つ訳だ。

さて、こちらの大会本部、給水所あたりに積みあげてある
ビールの箱は「参加賞」である。
本大会の参加費について、まだ述べていなかった。
参加費は、なんと「無料」である!
これは地元チームはもとより、「一般の部」参加チームも
同様に無料である。
おまけに、入賞しなくとも、参加賞としてビール2ケース
(1人あたり2本相当)が振舞われる。
さらにさらに、入賞したら寸志(現金)が副賞として出るのだ!!
タダで出られる上にお金まで貰える! こんな太っ腹な大会は
他に聞いた事が無い。
まあ実のところ、ある程度賞金と言える額となるのは地元の
「自治会の部」の話であり、「一般の部」は、あくまで「寸志」で
あるが、それでも現金である事は確かだ。
このあまりに太っ腹な状況を案じて、大会の役員の方に確認した
匠「あの~、もし、この大会の事をネットとかに載せて、
それで多数の一般チームが参加するようになったら、
ちょっとまずいのではないでしょうか?」
役「いや、それは大丈夫でしょう。地元と一般をちゃんと分けて
いるし、元々この大会は地域振興としてもやっているので、
市外から来てもらえるのは助かります。
まああえて問題点をあげれば、会場が狭いので、あまり沢山
のチームが来るとちょっと大変になる事くらいかな・・」
匠「はあ・・ そうしたら、宣伝しても良いと」
役「はい、どんどん広めてやってください」
ということなので、ドラゴン専業チームの参加は、大歓迎との事だ。
ちなみに、日本一デンジャラスな大会「高島ペーロン」も同様に
市外チーム大歓迎との事なので、来年の夏は、滋賀(びわこ)で、
熱い勝負を展開するのも良いかも知れない。

ちなみに、こちらは、会場脇の堅田港桟橋から、びわこに向けて
出港していくプレジャーボートだが、後のバナナボートに
水着美女が5人も乗っている!(有料体験乗船であろう)
まあ、最大望遠で撮っているので、ものすごく距離は遠いのだが
若い女性達のグループで楽しんでいる事は間違いなさそうだ。
そういう意味でも(どういう意味だ?笑)
ここ堅田の「湖族船競争」は、刺激的な夏を体験するには
最適かも知れませんぞ・・
さあ、大会の話に戻って、「一般の部」の決勝戦がいよいよ始まる。

青の艇は優勝候補の「小寺製作所」だ。
監督の「小寺団長」は、決勝戦に乗っていない。
匠「あれ? 団長さん、どうしたのですか?」
団「いや、今日は夏休みともあってメンバーが沢山集まったのだよ、
だから、若い連中に漕いでもらおうかなって思ってな」
匠「はい、まあ、それでも十分良い線はいくでしょうね。
そしたら、ターンのあたりで写真撮ってきますね・・」
団「おお、よろしく頼むわ」

次いで、「湖鼓Ro(こころ)」が出る。
船長(監督)は、ミニシンバルのような楽器を持って、
まさしく「鳴り物入り」という感じだ。
まあ、こちらも、まずまずの線は行くでしょう。
残る決勝進出2チームだが、
まずは昨年3位の「スターバックス京都」
本日の予選タイムは4分51秒である。
もう1つが「スポ少野球部父母会」
いかにも地元的チームであるが、それでも予選タイム4分54秒
は、なかなか立派な成績だ。
だが、上位2チームの予選タイムとは30秒~45秒も差がある、
普通にいけば、決勝での上位2チームは決定で、あとは熾烈な
3位争いというところであろう。
「スターバックス」は出自が面白そうなのだが、今回は話しを
する機会がなかった、次回もし見かけたら、その時は色々と
話を聞いてみよう。
さて、「一般の部」の決勝がスタートした。
私の観戦ポイントは、前述のとおりターン地点だ。
往路、各チームの写真は勿論撮れるが、アングルの関係で
実順位と写真の順位イメージとは異なってしまう。

たとえばこれ、手前ピンクの「小寺製作所」と、奥のオレンジの
「スターバックス」が接戦に見えるが、これは実際には撮影位置
からだいぶ左側で撮っているため、「小寺」が先行時には両者の
差は写真的には縮まって見えるという錯覚である。
(加えて、望遠効果がある。これは、レンズの焦点距離が長く
なると被写体と背景の距離差が詰まって見えるという効果だ)
実際のドラゴンレース撮影では、このアングルの錯覚を利用して、
チーム間の順位を接戦に見せたり大差に見せたりする事ができる。
(TVのマラソン中継などでも、先頭と2位に大差がついた場合、
望遠レンズで距離感を圧縮して、さほど差が無いように見せる等)
ただし、それが可能なのは、チーム毎の実力値がわかっている
「ドラゴン専業チーム」の場合だけであり、レースの展開上で、
どの地点で、どれくらいの差がつくか、というのが予想できている
状況でのみ、撮りたい位置(撮影ポジション)を決めて、そこから、
その撮りたい瞬間のショットを狙えるわけだ。
これは真の意味での「シャッターチャンス」であり、
その言葉の意味として一般に言われているような、出会い頭的に、
撮影機会が訪れる等と言うことは、実際には、まず有り得ない。
まあ、コマーシャルなどで「シャッターチャンスに強いカメラ」
等のキャッチコピーは昔から良くあるが、そういうカメラを買った
ビギナーが、その瞬間を活かせて撮れる事は、実際には残念
ながら無いのだ。つまり「狙い目」が最も重要な要素で、カメラの
性能は、その事自体には全く関係が無い訳だ。

さて、ターン地点、ここでは、撮影アングルが、ほぼ真横か
あるいは少し右となっているため、手前の艇は遅れて見える。
つまり、写真を普通に見れば、奥の「小寺製作所」はすでに
ターン半ばであり、手前の「湖鼓Ro(こころ)」はだいぶ遅れて
いるように見えるが、実際には「湖鼓Ro(こころ)」もターンイン
直前の状況なのだ。
その差は5秒は無い事であろう。
だが、「こころ」には厳しい状況であるが、「小寺製作所」は
ターンが上手い、ここでターンと帰路の直線でさらに差は開いて
しまう事は確実だ。
しかし、おっとっと・・・(汗)

ここで、ターンの名手「小寺」がターンミス(!)
ラインが大きく膨らんでいる。
いわゆる「クリッピングポイントが奥すぎる」というやつだ。
だがまだ、「こころ」もターンインのあたりだ。
差は少しだけ縮まったかもしれないが、致命的なミスではない、
依然、「小寺」は安全圏であろう。
勝敗はここで決まったようなものであるが、後は写真的に、
どう撮るか?という点が残っている。
このまま帰路に向かうと、今度は手前レーンの「こころ」が
先行した「小寺」を追うポジションになる、その際、左へ向かって
のアングルであれば、5~10秒差があっても、両者の艇を
接戦のように撮る事ができる。
この大会の艇の速度は遅いので、1艇身差でも5秒差程あるのだ。
つまり、こういう事だ。

前述のように、実はここではタイム的には大差がついている。
10秒程度は「小寺」が先行している事であろう。
でも、アングルの錯覚で最後まで接戦のように撮れる訳だ。
そして、撮影アングルとしてターン地点を選んでいる事で、
往路と復路にこういうショットが撮れるのは想定範囲内だった。
もし仮にスタート地点で撮っていたとすれば、帰路は「小寺」の
単独での独走状態での写真しか撮れなかったであろう。
(”独走”というテーマ(意図)で撮るのであれば、それでも良い)
あるいはコースの中間地点で撮るという方法もあった。
だがこの場合、250m往路・復路の約半分の左側部分においては、
「小寺」と他チームを接戦のように撮れるが、半分の右側部分
では、タイム差にもよるが、まず「小寺」単独でしか撮れない。
まあでも、そのあたりは、この時点では、もうどうでも良い・・
レースの帰路はまだ残っているが、勝敗がほぼ確定しているので、
次の撮影ポジション、つまり乗艇桟橋にまで速やかに移動
しなければならない。
レース距離は片道250mだが、まあ、会場内の陸路の移動は
実際には200mくらいしか無いであろう。
この艇は、時速約7kmで進むと計算してあった。そして、それは
歩くよりも速いが、走るよりは遅いのだ。艇が桟橋に戻ってくる
時間も考えると、まあ、200mの移動は慌てずとも余裕で間に合う
事であろう。

「優勝」を告げられてから、桟橋に帰ってきた「小寺製作所」の
艇に間に合った。
まあ、選手達は勿論喜んでいるのだが、問題はタイムだな・・
本部アナウンスが正式確定タイムを告げる
本「1着、小寺製作所 4分07秒
2着、和太鼓集団こころ 4分22秒
3着は、え~、なんと、スポ少野球部父兄会が入りました
タイムは4分49秒でした。
スターバックスさんは4位、惜しくも入賞を逃しました」
う~ん、なるほど。
近くに居た「小寺団長」に話をする
匠「4分07秒でしたか・・今後、ドラゴン専業チームが参戦する
事を意識したら、4分は切っておきたかったですね」
団「そうだな、まあ、それくらい出さないとならないだろうな」
匠「まあでも、優勝おめでとうございます!」
ちなみに2位「こころ」も4分22秒と予選より1秒だけタイムを
縮めたが、目標としていた4秒短縮、4分19秒には届かなかった。
まあでも、これは実は「自治会の部」の決勝での優勝タイム
「柳田」の4分23秒を、1秒上回るタイムであったので、
ドラゴンチームとしては、十分な戦績であった事であろう。

「小寺製作所」の表彰式の模様。
表彰状、トロフィー、賞金(寸志)である。
参加費無料でここまで楽しめたら、御の字であろう。

「小寺製作所」、記念撮影の模様。
チームの誰かがスマホで記念撮影をしているところへ割り込んだ
のであるが、会場が狭く、引きが無く(これ以上後に下がれない)
広角でギリギリだ、多分選手のスマホの画角では全員は撮れて
いなかったのではなかろうか?今度はもっと広い所で撮るように
アドバイスしようか。
・・ということで、大会は無事終了。
時刻は午後1時、お腹がすいたので、国道161号沿いのどこかの
店で食事をして帰るとしよう。幸いにして、カレー、ラーメン、中華
などのチェーン店がいくらでもあった。
しかし、今日は暑かった、38度近くあったのではなかろうか?
これくらい暑いと、砂漠の民のように、長袖とかを着ている方が
むしろ涼しかったかも知れない(汗)
まあでも半日で幸いだ、1日撮っていたら、ヘロヘロになって
いたかも知れない。 水分は2.5リットル(ペットボトル5本)
位は補給したが、これだけ汗をかいたら、多分水だけでは厳しく、
塩分の補給も必要なレベルであろう、自動販売機で都度買って
くるのはコストも、その間の時間も無駄になるので、次回はやはり
2リットル級のスポーツドリンクを用意しておくのが良いかな?
小「匠さん、これを持って帰ってな」
「小寺製作所」から、参加賞のビールを2本いただいた。

「滋賀づくり」という地域限定だ、これは珍しい。
まあ、もっとも、「一番搾り」は最近、各地のご当地ビールを
展開する戦略に出ているので、京都に行けば「京都づくり」も
ある訳だが・・
さて、「堅田・湖族船競争」の総括だが、
「暑かったが、面白い大会であった」という感想になるだろうか。
やはり「ターンあり」戦は面白い。
滋賀では、本大会の他「高島」や「東近江」でも行われている。
まあ、東近江はたいてい「日本選手権(天神)」にかぶってしまう
のだが、「高島」や「堅田」は、他地区大会といえば「久美浜」や
「九頭龍」くらいにしか、かぶる可能性が無いであろう。
ターン有り大会に出てみたいドラゴン専業チームは、是非「堅田」や
「高島」にも参戦を、また今年の「高島」のように、専業チームが
集まってハイレベルな戦いを繰り広げるのは観戦側からしても
とても楽しみな訳だ。
なお、本大会には「池の里」の監督も視察に来ていたので、
来年「池の里」が参戦する可能性は高い。
ついでに「龍人」(どらんちゅ)さんもいかがでしょうか?
7月から8月の間、毎週のように、滋賀のライバル専業3チームが
戦うというのも、なかなか面白い状況だとは思う。
という事で、「湖族船競争」の観戦記事はこれにて終了、
来年もまた、目が離せない大会になりそうだ。