安価な中古ミラーレス機にマニアックなレンズを装着して、
コスパの良いアダプター遊びを楽しむシリーズ記事
第70回目は、まず、このシステムから。

カメラは、LUMIX DMC-GX7
レンズは、RICOH XRリケノン 50mm/f2 である。
1990年代の、リコーXRシリーズ用MF標準レンズ、
もっとも、PENTAX Kマウントとほぼ互換性があるので、
ミラーレス機で使う上では、PKマウント用アダプターを使えば
何ら問題なく使用できる。
以前より、何度か本レンズの事を書いたと思うが、
銀塩時代に、マニアの間では「和製ズミクロン」と呼ばれて
「神格化」されていたレンズである。
実は本レンズには初期型と後期型が存在する、
本レンズは後期型で、LまたはSタイプとも呼ばれている模様だが、
初期型の金属鏡筒(鏡胴)から、プラスチックにスペックダウン、
また、最短撮影距離も、45cmから60cmに性能ダウンしている。
レンズ構成などは両者同じで、何故スペックダウンしたのかは
さだかでは無いが、まあ、RICOHが銀塩GR1シリーズをリリース
した1996年以降での、RICOHに対する期待度(見直し)から、
本レンズの人気は凄いものがあり、入手するのが難しかった。
なので、初期型とか後期型とかを選んでいる余裕は無かったので
あった。
さて、「神格化」されているとなると、天邪鬼なもので、
そんな話はまったく聞かなかった事として、普通のレンズとして
扱ってみたくなってくる。

いきなりだが、デジタルテレコン+デジタルズーム併用、
銀塩換算700~800mm相当の超望遠撮影だ。
GX7には手ブレ補正機能が内蔵されているが、実はその機能は
テレコンやズームを使うと、焦点距離設定を、いちいち変えなく
ては効果が出無い、そして、そのような操作系は実用的では
無いので、今回は手ブレ補正機能はずっとOFFにしたままだ。
デジタルテレコンをここまでかけると画質の劣化が発生するが
それはどうでも良く、本レンズを、そもそも特別視する必要は
無いと思っている。
銀塩時代のMF50mm小口径(f1.7~f2級)標準は、どれをとっても
たいてい良く写る。別に本レンズだけが特別という訳でも無いで
あろうし、それに、いったい何をもって、良いレンズだと判断
しているのかも、大きな疑問なのだ。

本レンズの最短撮影距離は60cmだ、これは、数ある小口径標準
レンズ群の中でも最低レベルであり、大いに不満だ。
それとボケ質に、ちょっと不思議なクセがある。
およそ10年程前のブログ記事で本レンズを紹介した際に、
「絵画的なボケ味がある」と書いたような記憶がある、まあ
それは良い言い方をしている、という感じであり、要はボケ質の
破綻が出やすく、その回避が難しいレンズでもあるという事だ。
そして最短撮影距離の長さともあいまって、中近距離撮影でボケを
活かした表現を得意とする訳ではなく、少し絞って中遠距離での
平面的被写体を撮るのに適したレンズだと思われる。
そういう状況は、銀塩時代の常識的な撮り方だと思うし
そこで解像度の評価をするのであれば、まあ確かに小口径の
標準は、大口径標準よりも優位性の高い領域はある、概ね
絞り開放からf5.6程度までは小口径版の方が良い場合が大半だ。
その事は解像度チャートなどを写してみれば実感できるであろう。
だが、それがレンズの性能の全てか?と言えば勿論そうでは無い。
綺麗に写真を撮る事自体が技術であり、それが重要視された
銀塩時代と、現代のデジタル時代では、写真に求められている事も、
レンズに求められている内容も、まったく違ってくると思う。

さて、そういう事で、好評価であった事に対する先入観は無しに
本レンズを使ってみよう。
まず思う事は、発色が良く感じられる事だ、弱アンダー気味での
色味と階調が良い、けどまあ、そういう事はデジタルの場合は、
カメラ側の設定にも多大に影響される。
今回、GX7のフィルムモードはDYNAMIC にしてあり、シャープネス
とコントラスト、彩度は標準のままとしている。
必要に応じてこれらは変更でき、逆に言えば、レンズ描写の特性を
どうにでも好きに変えれる。
まあシャープネスに関しては、写っていないものを画像処理で
写す事はできないので、確かに解像力に関してはカメラ設定側での
限界はある、けど、写真閲覧の為に必要な画素数は、印刷という
銀塩時代の定番的な手法であれば、DPI(印刷サイズ1インチあたりに
必要なピクセル数)の計算式である程度決定されたのだが、
デジタルにおいては印刷の他、閲覧(表示)画素数との関連があり、
また、画像センサーのピクセルピッチに対応するレンズの解像力の
問題もある。
そして撮影画素数を、どのような手法で閲覧画素数に縮小するか?
もう少し詳しく言えば、写真画像の空間周波数の分布とレンズの
MTF特性のようなものがあったとして、それをどう縮小処理したいか?
という点もかなり影響する。
ここの具体例を上げれば、画面内に多数の細かい部分を持つ
(=空間周波数の高い)風景写真と、それを重要視しない一般的
ポートレート写真では、撮影画素数とその縮小効果は目的が異なる、
という事になり、よって、レンズ解像度に対する必要性も変わって
くると思う。
縮小に関しては、バイキュービック法や、Lanczos3法で縮小したと
すれば、画像の輪郭は比較的維持され、見かけ上の被写界深度は
深くなり、シャープネスが向上したような錯覚が出る場合もある。
これについてはピクセル等倍での閲覧環境というものはまず有り得
ないので、画像を大きく縮小することから得られる縮小効果を見て
「高画素のカメラは画質が良い」という風に誤解してしまうかも
知れない(例:カメラ背面モニターでの閲覧)
で、例えば、WEB掲載写真の場合は、まず閲覧ブラウザ毎の画像
縮小アルゴリズムが異なるが、高画素の写真を、とりあえず載せて
しまえば、HTMLのIMG SRCコマンドの画像サイズパラメーターに
呼応し、ブラウザが「適当な方法」で縮小して画像表示をする。
けど、それは結局ブラウザまかせとなり、高画素だから良いという
結論には結びつかない。縮小率が大きくて、輪郭線も見かけ上の
被写界深度も変化してしまった画像を見ても、なんとも言えない。
そんなこんなで、デジタルでは、様々な要素が複雑にからみ、
銀塩時代のように、撮ってそのまま印刷して(またはポジフィルム
をルーペで見て)それだけを見てレンズの良し悪しを評価する、
という訳にはいかないと思う。
で、レンズ解像力は、ラインペアという単位で表現され、解像度
チャートを適正に撮影した際に、撮影範囲1mmあたりに何本の
白黒線のペアが写るか、という点に終始する。
この時、150本/mmのレンズと200本/mmのレンズがあったとして、
その要素単体で性能差が大きく出るとは思えず、被写体の種類、
撮影画素数、縮小方法(とそれに関わる様々な点)、閲覧画素数や
閲覧方法といった、様々なデジタル処理上の要素に影響する部分が
大きい。で、その多くはカメラ性能や設定が影響するが、閲覧方法
まで考えると、とてもそれだけでは判断できないという事だ。
そして、カメラ設定ではどうにもならないのは、ボケ質と逆光耐性だ。
本レンズでは逆光耐性は比較的良い模様であるが、ボケ質に
関してはやはりクセがある。
GX7の高精細276万ドットEVFは、ミラーレス機の中では最高レベル
ではあるが、本レンズのボケ質の破綻の状態はファインダーでも
はっきりわかり、思うようにならず、イラっとする時も多々あり、
ボケ質破綻の回避作業に追われる事になる。
で、いつも書いているように、ボケ質の破綻回避の方法論は
銀塩時代では不可能に近い事であったので、やはり本レンズを
皆は、そういう視点では見てはいなかったのであろう。
レンズ周辺収差に関しては、μ4/3機ではそもそも出ないので
これについては無視しても良いレベルとなる、銀塩やフルサイズ
では使用が厳しかったレンズでも、APS-Cやμ4/3では問題が
無い事が多々ある。
結局、階調・コントラストや、色ノリ、シャープネスといった
多くの銀塩的評価要素はデジタルではあまり重要なパラメーター
では無いし、撮影表現的に必要な、ボケ質、ボケ表現力、逆光耐性、
そのあたりがより重要視されるのだが、本レンズに関しては、
デジタル的視点からは、それらはちょっと不足気味に思えてしまう。
銀塩時代に好評価であった故に、結局のところ期待はずれのように
なってしまい、ちょっとメゲて来た。
飽きが来てしまったので、デジタルテレコン等を使って遊び始めた。

さて、本レンズの中古購入価格であるが、ちょっと不明だ。
昔の記事で書いた事があるが、2000年頃に中古XR-500ボディ
とのセットで購入し、ボディは友人に500円で譲渡したのだった。
レンズ単体では、暫定的に6000円相当としておこう。
まあ、単純に性能対コスト比では、適正あるいは、ややコスパが
良いようにも感じる。デジタルで使う上での不足部分はあるが、
大きな問題ではなく、良いレンズである事は確かだ。
けど、評判が良すぎた、という点を加味するとマイナス評価だ、
つまり、都市伝説のようなものに踊らされた気がしてならない。
現代においても入手性はあまり良く無い、たまに中古市場に出て
きたとしても程度の悪いものが多い、まあその点で、相場的には、
6000~8000円程度のものになるであろう。が、程度の良い物は
強気の値付けの価格帯になっている場合もある。
でも、小口径標準であれば、本シリーズ記事でも多数紹介して
いるように、多くが、それ以下の価格帯でも入手可能であり、
そして良く写り、コスパが極めて高いものが多い。
本レンズを購入する事は基本的には悪い選択では無いが、
現代の用途においては、神格化されるようなものでは無い事には
くれぐれも注意する必要があると思う。特に、本レンズには限らない
が、有名あるいはレアだという理由での高価な相場の中古個体には
手を出す意味は殆ど無い。
中古レンズの相場は性能に応じた適正な価格になるべきだと思う、
名前だけで高くなるというのは、どうにも納得が出来ない。
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さて、次のシステム。

カメラは、望遠アダプター母艦、LUMIX DMC-G5
レンズは、PENTAX SMCT 200mm/f4
1970年代のMF望遠レンズで、M42マウントである。
SMCTとは多層コーディングの意味、まあ、当時であれば
衝撃的な技術ではあったが、現代ではごく普通のスペックだ。
勿論当時においては、その後に発展した、非球面レンズとか、
異常低分散ガラスを使ったアポクロマートとかは使われていない。
ちなみに、レンズが傾いて装着されているのだが、まあ、M42
マウントのレンズの場合は、スクリュー型であるので、バヨネット型
のようにレンズ位置が固定している訳ではなく、ねじ込みの差異で
良くこういう事はある。
アダプターのビスを一度緩めて調整すれば直るのだが、それでも
レンズによって異なる場合もあるので面倒だ。それに、意外な事に、
この傾きの角度だと、カメラが横位置でも縦位置でも、絞り値が
見やすいという、わずかなメリットもある、まあ、あまり気に
しないでも良いという事だろう。
半世紀近くも前のオールドレンズ、さて、写りはどうか・・?

びっくりするほど写りが良い、ボケ質も良好だし、発色や
コントラストも良い、G5のカメラ設定は冒頭のGX7と同等に
してあり、DYNAMICを基本で、シャープネス等はすべて標準。
レンズは200mmなので、μ4/3機では400mm相当の画角。
最短撮影距離は2.5mと少々長目であるので、近接撮影は苦手そう
ではあるが、デジタルズーム機のDMC-G5との組み合わせでなので、
画角の微調整は容易であり、最短の不満を少し解消できる。

こちらはデジタルテレコン+デジタルズームで、恐らくは
1200mm相当くらいになっている状態、その画角で撮影距離が
2.5m近辺であるから、かなりの望遠マクロ的な状況になっている。
いやしかし、ハルジオン(だと思う・・・ヒメジョオンで
あるなら、もう少し花びらが太いか?)の上には小さい昆虫が
沢山乗っているものだ、体長が1mm程度しか無い昆虫は、
横を歩いて通り過ぎているだけではなかなか気がつかない。
レンズを向けて、撮ってみて初めて気づく場合もある。
換算焦点距離1200mm程度なので、撮影時には大きく手ブレが
発生している。ISO感度を6400程度まで上げてシャッター速度
を確保しているが、手ブレ補正はG5には無く、なかなか苦しい撮影だ。
勿論三脚を立てても意味はない、何故ならば、この被写体もまた、
風で大きく揺れているからだ。

それにしてもボケ質が良いレンズだ、これまで何本も紹介して
きた200mm/f4級の中では最良かも知れない。
スペック的には、5群5枚と、特に凝った作りでは無いと思うが、
まさしく意外だ。
まあそれでもボケ質破綻は出る、それは勿論回避しているが、
絞り値の変更可能な範囲が、f4,f5.6,f8の3種類くらいしか
無い状態だ、それより絞り込むとシャッター速度の低下と、
望遠によるボケ表現が失われるので、そこまでが限界であろう、
だが、本レンズでは、それらの範囲で微調整するだけで、
ボケ質破綻の回避は容易に出来、構図や背景絵柄の変更迄は
不要な場合が殆どだ。
不満な点は、最短撮影距離の長さだけであるが、まあ
DMC-G5であればデジタルズームである程度不満は回避できるし、
他に、ヘリコイドM42アダプターというものも所有しているので、
それを使えば、最短撮影距離を大幅に縮める事も可能だ。

本レンズの中古購入価格であるが、2010年代に1000円(!)
であった、勿論ジャンク品である、「小カビ」と書いてあって、
カビの他、少しだけ前玉に曇りがある、けど、写りには殆ど影響
しない模様だ。
本レンズの描写力からすれば、15000円程度出しても惜しくは
無い事であろう、でも、現代ではこうしたオールド望遠レンズは
不人気で、まさしく二束三文だ。
で、「小カビ」「小ゴミ」等は、中古品の評価項目として一般的な
表現である、しかし、中古品を購入した事が無いと、あまりこうした
用語は耳にする事は無いであろう。
いつだったか、「大ゴミ」有りのレンズを買った事があった。
知人から、「またレンズ買ったの?高かったのじゃあないの?」
と聞かれ、「いや、ダイゴミだったからね・・・」と答えると、
「えっ? 醍醐味?? そんな良いレンズがあるのか?」
と驚かれた事がある(汗)
まあ、そうしたちょっと訳ありのレンズを安く購入して、
それで現代の高価なレンズにも負けない写りが得られたのならば、
それこそ、中古レンズ買いの「醍醐味」ではあると思うが・・・
購入価格1000円として考えれば、コスパ最強レベルのレンズで
あろう、現代の定価30万円もする200mmズームを買うのが
馬鹿馬鹿しくなるくらいである(まあ、コスパの悪いレンズは、
絶対に買う事は無いが・・)
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さて、次のシステム。

カメラは、RICOH GXR
ユニットは、A12 50mm/f2.5 Macroである。
すでに第1回、第10回、第29回記事で3度紹介しているが、
GXRシステムは早く使わないとならない、その理由は性能の
相対的老朽化であるとは、何度も説明している通り。
つまり、2009年製のGXRは、カメラとしては何ら問題なく
使えるのにもかかわらず、AFの精度が悪い、EVFが無い、
最高ISO感度低い、エフェクトが無い、など、周囲の新鋭カメラ
と比較して相対的に見劣りしてしまうのだ、だから早く使って
使い潰さないとならない訳だ、複数回の登場も少々やむを得ない。
で、本ユニット A12 50/2.5Macroの課題は、AFのピント精度
である。1/2倍マクロであるが、近接撮影では、まず100%と
言って良いくらいピントが合わない。これは致命的と言って
良い問題であり、MFに変えて対応しようにも、内蔵EVFが無い、
外付けEVFは高価な上に低解像度で使えない、拡大操作系は悪い、
ピーキングは精度が低い、と対応のしようが無い。
AFが合わない理由は、2000年代後半では、コントラストAFの
技術はまだ未完成であったからだ、まあGXRに限らず、
AF/MFに問題のあるミラーレス機は他にも多数存在するので、
その点については、色々言ったところで始まらない。
簡単な回避方法としては、マクロレンズだとは思わずに、
「いざとなれば、ちょっと寄れる、普通の標準レンズ」だと
思って、そういう被写体に特化する事だ。

本ユニットの独特のボケ質、独特の色味は、GRデジタル
シリーズにも通じるところがあり、個人的には嫌いでは無い。
ただまあ、クセのある描写とも言えるので、被写体選びは
難しいと思うし、まだそのあたりの使用上のコンセプトは
つかめていない。
本レンズの開放f値はf2.5であるが、ND2減光フィルターを
常用する事にしている、これで晴天時でも、多くの光線条件で
開放絞りをぎりぎり使う事が可能だ。

ピントは全く合わないが、万が一(笑)合った時の描写力は
捨てがたいものがある。
それは本レンズの発売時から、描写力には定評があったので
聞き及ぶ事ではあったが、ただ、全くピントが合わないレンズ
だ、という評価が少なかったのは不思議なくらいだ。
まあ、メーカーから機材を借りてレビューするような記事では、
そういう致命的な問題点を書くわけにはいかないのであろう、
でも、そういう裏の事情があるのであれば、記事を鵜呑みに
する事はできないのではなかろうか?
銀塩時代は、沢山のカメラ雑誌を買っていたが、およそ10年程
前から1冊も買っていない、つまり、信用できない事が書いて
あるので、結局参考にならないからだ。
同様にレビュー記事やらも、新製品のスペック情報だけは見るが、
描写力などの評価については、全く興味が持てない。
ビルやレンガを写して拡大して、いったいレンズの何がわかる
というのだろうか?まあ、それはともかく、悪い要素はそこには
載っていないため、必要な情報が入手できないのだ。
結局、自分で金を出して、かつ膨大な数の機材を使い、さらに
加えて膨大な枚数の撮影をしないかぎりは、真実は何も見えて
来ないのだろうと思う。

まあ、本ユニットにおいては、近接撮影でピントが合わないからと
言って、遠距離撮影は、やはり面白く無い。特徴が出ないのだ、
だから、無理しても近接撮影するべきなのだろうが、ともかく
ピントが合わないレンズは大いに不満だ。というか、道具として
使いようがなければ、所有している意味も無いではないか。
(ちなみに、中古購入価格は24000円と、そこそこ高価だった)
昔の私であれば、ブチ切れて早々に手離してしまった事であろうが、
今であれば、何とか、この問題ありのレンズを使いこなせないか?
と、むしろそいういう方向に興味が出てきてしまっている(笑)
まあ、そんな事をしばらくしているうちに自然に減価償却も完了し、
製品寿命もそこで尽きている事であろう、もうしばらくは文句を
言いながらも使っていくとしようか・・・
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さて、次のは今回ラストのシステム。

カメラは、SONY NEX-3
Eマウント最初期のカメラであり、未完成度満載である。
よって、Eマウントのトイレンズ母艦、およびAF広角レンズ、
例えば、SONY E16mm/f2.8や、SIGMA 19mm/f2.8DN
等の母艦としては、まあ使えないという訳では無い。
レンズは、MINOLTA AF24mm/f2.8 (初期型)である。
詳細は不明だが1980年代後半のα用のAF広角レンズだと
思われる。
最短撮影距離は25cm、8群8枚構成、ごく平凡なスペックだ。
αの初期型レンズなので、例によってピントリングの幅は狭く
操作性は悪い。
でもまあ、そのあたりはどうでも良く、注目点は2つ、
1つは、楽しく撮れるか? そして、もう1つは、MF操作系に
問題のあるNEX-3で、この広角レンズは使えるか否か?である。
つまり限界性能テストの意味もあるシステムだ。

MFピント合わせに関しては、NEX-3の優秀なピーキング機能は
比較的良くアシストしてくれる、でも被写界深度が適度に
深い広角であるので、ピーキングは画面内の比較的広い部分に
反応してしまう、なので、実際にピントの山がどの撮影距離に
位置しているのかは良くわからない。
NEX-7であれば、その優秀な操作系と優秀なEVFで、MFでの
撮影時においても、その操作をカバーできるようにカメラを
設定しているが、NEX-3は、トイレンズ&AF母艦としているので
凝ったMF操作系はまったく設定していない、よって、背面モニター
とピーキングだけに頼っているのだが、少々厳しい雰囲気はある。

NEX-3では、アダプター使用時にはデジタルズームが使用できない、
レンズの近接性能に助けられている気はするが、寄りきれない時
とか、構図の微調整において、デジタルズームは必須機能のように
思えるので、そのあたりは不満である。
NEX-7では、純正AF単焦点レンズ以外でも、AFレンズでも
アダプター使用時にも、デジタルズームを使用する事ができる。
まあ、そう言いながらも、デジタル時代(2000年代)は、
私もデジタルズームは反対派であった、画質劣化が甚だしく
コンパクト(デジタル)カメラにしか、そういう機能は搭載されて
いなかったし、大して必要度は感じなかった事もある。
だが、ミラーレス時代、デジタルズームを使うことで、
1)望遠域の拡張
2)構図の微調整
3)最短撮影距離の見かけ上の短縮
4)被写界深度をキープしたままの構図変更
5)ボケ質破綻を回避したままでの構図変更
6)トリミング可能域以上の倍率の拡大(トリミング負担の軽減)
という、いくつもの大きなメリットを感じるようになり、
一転してデジタルズーム愛用派になってしまったのだ。
だが、デジタルズームを 1)の望遠の拡張、という目的だけ
の意味でしか認識していない場合は、他のメリットについて
理解する事は難しいと思われる。加えて、一眼レフには
本機能が入っている事はまず無い(まれに、デジタルテレコン
という機能が入っている機種もわずかながら存在する)ので、
本格派を自負する一眼カメラマンには理解しずらい事かも知れない。
ミラーレス機は一般にビギナー用であると思われている節が
依然あるのだが、ミラーレス機を高度に使いこなす事により
様々な新しい撮影技法が見えてくるのだ。
そこが重要なポイントなのだろうと思う。
さて、AF24/2.8の話だが、やはりNEX-3では使い難いし、
特徴の無いレンズなので、完全に飽きてしまった。
NEX-3にはエフェクトなどのお遊び機能も殆ど搭載されて
いないので、ますますこういう場合は対処のしようがない。
せめてHDR(ハイダイナミックレンジ)合成機能くらいか・・

NEX-3のHDRは、3枚撮影による輝度合成なので、明暗差が
大きい被写体(普通は影の部分が真っ黒になる)においても、
明暗差を吸収して写せる、だが、これはコントラスト低下と同義
であり、不自然な「眠い」画像になってしまう。
まあ、あまり使いようのない効果だとも思う。
本レンズの中古購入価格だが、1990年代に12000円であった、
まあそんなものであろう、現代においてはあまり必要性の
高いレンズとは思いにくい。
さて、文字数限界につき、次回記事に続く。